2007年02月18日

少年、機関車に乗る

タジキスタン出身の映画監督、バフティヤル・フドイナザーロフの作品です。

少年、機関車に乗る
現代に失われた夢と冒険の、奇跡の映画です。

CGが本格的に使用された映画、「ターミネーター2」と同じ、
1991年に製作された「少年、機関車に乗る」、
まるで時間旅行をし、1891年に撮影されたような映画です。


物語の舞台は、現代では、南米やアフリカよりも秘境とされる中央アジア。
旧ソビエト連邦国の中でも最も貧しい国の一つ、
タジキスタンの17歳の兄、ファルーと7歳の少年の兄弟の物語。

兄、ファルーは、いい仕事につくために町を出て行こうとします。
それで、兄弟は遠くの町に住む父親に会うために、機関車に乗って旅にでます。


機関車は、運転士の好き勝手と気まぐれに走っていきます。
機関士の実家につくと、機関士はいきなり機関車を止め、実家の母親に着替えをもらいます。
ある場所でも、機関士はいきなり電車を止め、なじみの女性客を乗車させたりします。
そしておんぼろ機関車は、レール沿いの車道を走るトラックを見つけ、
運転士は、トラックの運転士をばかにし、機関士はいきなりスピードを上げ、
トラックとチェイスを繰り広げます。機関士は好き勝手です。
運転士の休憩中に間違えて、機関車を走らせてしまったファルーと少年、
怒った運転士は、機関車を止めることよりも先にファルーを殴ることを優先します。


山と大平原のタジキスタンを機関車は走っていきます。

看板だけのなにもない駅の横で普通に洗濯をする女性。

誰ひとり降りない駅で、ヨーグルトを売る子供。

ポット10個で絨毯を買い上げ、物々交換で商売を成り立たせる行商人。

線路の上を走って行く野生の馬。

旅は、決してロマンティックではなく、美しい景色にも退屈するもの。
が、タジキスタンの景色はべつに美しくもなく、ただのセピア。
これが飽きることのない永遠の風景として描かれています。




「少年、機関車に乗る」は、洗練されているというよりも、
奇跡ともいうべきタジキスタンの国と人間をただ、セピアに描いただけの映画です。

ドキュメンタリーよりも現実的で、ドラマよりも誠実な映画です。

物語はなく、ただ人と街を映し出すだけのフェデリコ・フェリーニを、
才能なき三流監督と貶めるほどの、26歳のバフティヤル・フドイナザーロフの手腕の映画です。




人間が夢も希望もどうでもよく、ただ生活していくだけの貧しい国の物語。
ただ、国は貧しくても人間は豊かで、人生が楽しみにあふれています。

そして、夢と冒険とやさしさの物語。




いい映画です。すばらしい映画です。









stainbeck at 19:24│Comments(0)TrackBack(0)

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