2007年02月19日
ベルリン、僕らの革命
２００４年、ドイツ映画としては、11年ぶりの、
カンヌ国際映画祭パルムドール候補作にのぼった、
ハンス・ワインガルトナーの監督作品です。
映画の主人公は、理想主義の青年です。
スポーツ・ショップで、ランニング・シューズを購入する人に、
「このシューズは、どこで作られているか知っています？、
インドネシアで作られていて、
12歳の子供が14時間の違法労働をさせられて、作られているんです。
どう思います？ 」と聞きます。
ヤンは、理想主義の青年、反体制主義ではなく、反資本主義です。
ヤンは、現代を知り、敵は政府ではなくて、敵は贅沢だと叫びます。
ヤンは、「誰からも、強制されてないにもかかわらず、
人々は毎日、４時間はテレビを見ている、
これこそばかげている 」と言います。
ピーターは、ヤンとつるみ、運動を手伝っていますが、
運動を人生のすべてというわけではなく、スペインにバカンスなど楽しむことを心得ています。
ピータの恋人ユールは、理想に熱いヤンを気味が悪いと嫌っています。
そして、ユールは家賃を溜め込み、アパートを追い出されます。
ユールは、仕方なしに、ヤンと暮らしているピーターの部屋に転がり込み、
ピーターは用事で出かけなければならず、こころならずも、
ヤンとユールは、一緒の時間を過ごすこととなります。
ユールは、アパートの敷金を取り返すために、
追い出されたアパートをきれいに清掃しなければならないという無情を味わいます。
ヤンは、ユールを手伝います。
そのときに、なぜ、そこまで働くのかということと、
働いているのに、なぜ、アパートの家賃をためたのかと聞きます。
ユールは、保険を切れた車を走らせ、前を走っていたベンツをぶつけてしまい、
その賠償として借金がある、と言い、
「計算してみたの、８年は人生を無駄にするわ」と言います。
ヤンは、「払う必要はない」と言い、
「まじめに生きてきた君が、まじめに働いているにもかかわらず、
お金の為に不幸をするなんてばかげている、
相手は重役なんだからベンツなんて小遣いで買えるさ 」と言います。
このことで、ヤンとユールは、仲良くなります。
とても、見やすい映画です。
ユールが、高級レストランでウエイトレスとして働き、
それだけの不遇な身の上にもかかわらず、
レストランの客たちが気取ってワインを楽しむエピソードなどは、
いかにも反資本主義的な説教くさい物語を連想するのですが、
物語は、意外な展開をみせます。
お金持ちは種類があり、
祖父が悪行な手口で財を成した人間でも、子や孫には罪はないという種類。
普通の人の数倍、数十倍、努力をし、働いて、財を成す種類。
悪行にて財を成す種類。
ここで、監督のハンス・ワインガルトナーは、
普通の人の数倍、数十倍、努力をし、働いて、財を成す種類のお金持ちを選択し、演出を施します。
「あんたの年収は、３００万ユーロだろ、結構なものじゃないか」とピータが言います。
「待てよ」とヤンは言い、「あんた、一日何時間働いている？」と聞きます。
男は、「１４時間だ」と答えます。
「君がそんなに苦しんでいるとは知らなかった、
事故はすべて弁護士にまかせて、わたしはサインをしただけだ」と男は言います。
「結婚して、子供も生まれた、人より少しでもいい暮らしがしたかった、
一生懸命がむしゃらに働いた 」と男は言います。
「それで、乗りもしないクルーザーを買ったのか？、意味はあったのか？」とヤンは言います。
「意味はないさ、毎日毎日、仕事ばかりでここ何年も余裕を持ったことがない」と男は言います。
映画は、後半からは最後まで、猜疑と共感のゆるやかな緊張がおもしろく、
ふときづいた四角い窓からの光のさす方向さえもが、罠とも誘いともなります。
ゴダールの映画にはないわかりやすさ、
ゴダールの意味不明な革命の映画が、
革命が間違っているのではなく、革命を志した自らが間違っていた、
ゴダールの革命は、たんなる言い訳とごまかしでしかない。
わかりやすくおもしろい映画です。
カンヌで、パルム・ドールを受賞するのにもふさわしい作品なのですが、
２００４年のパルム・ドールは、あのゴミのような映画の「華氏９１１」
審査委員長は、クエンティン・タランティーノ。
気取るのならば「ベルリン、僕らの革命」を選択すればよかったのにと感じます。
アメリカは、体制派も反体制派も腐っているようです。
いい映画です。
カンヌ国際映画祭パルムドール候補作にのぼった、
ハンス・ワインガルトナーの監督作品です。
映画の主人公は、理想主義の青年です。
スポーツ・ショップで、ランニング・シューズを購入する人に、
「このシューズは、どこで作られているか知っています？、
インドネシアで作られていて、
12歳の子供が14時間の違法労働をさせられて、作られているんです。
どう思います？ 」と聞きます。
ヤンは、理想主義の青年、反体制主義ではなく、反資本主義です。
ヤンは、現代を知り、敵は政府ではなくて、敵は贅沢だと叫びます。
ヤンは、「誰からも、強制されてないにもかかわらず、
人々は毎日、４時間はテレビを見ている、
これこそばかげている 」と言います。
ピーターは、ヤンとつるみ、運動を手伝っていますが、
運動を人生のすべてというわけではなく、スペインにバカンスなど楽しむことを心得ています。
ピータの恋人ユールは、理想に熱いヤンを気味が悪いと嫌っています。
そして、ユールは家賃を溜め込み、アパートを追い出されます。
ユールは、仕方なしに、ヤンと暮らしているピーターの部屋に転がり込み、
ピーターは用事で出かけなければならず、こころならずも、
ヤンとユールは、一緒の時間を過ごすこととなります。
ユールは、アパートの敷金を取り返すために、
追い出されたアパートをきれいに清掃しなければならないという無情を味わいます。
ヤンは、ユールを手伝います。
そのときに、なぜ、そこまで働くのかということと、
働いているのに、なぜ、アパートの家賃をためたのかと聞きます。
ユールは、保険を切れた車を走らせ、前を走っていたベンツをぶつけてしまい、
その賠償として借金がある、と言い、
「計算してみたの、８年は人生を無駄にするわ」と言います。
ヤンは、「払う必要はない」と言い、
「まじめに生きてきた君が、まじめに働いているにもかかわらず、
お金の為に不幸をするなんてばかげている、
相手は重役なんだからベンツなんて小遣いで買えるさ 」と言います。
このことで、ヤンとユールは、仲良くなります。
とても、見やすい映画です。
ユールが、高級レストランでウエイトレスとして働き、
それだけの不遇な身の上にもかかわらず、
レストランの客たちが気取ってワインを楽しむエピソードなどは、
いかにも反資本主義的な説教くさい物語を連想するのですが、
物語は、意外な展開をみせます。
お金持ちは種類があり、
祖父が悪行な手口で財を成した人間でも、子や孫には罪はないという種類。
普通の人の数倍、数十倍、努力をし、働いて、財を成す種類。
悪行にて財を成す種類。
ここで、監督のハンス・ワインガルトナーは、
普通の人の数倍、数十倍、努力をし、働いて、財を成す種類のお金持ちを選択し、演出を施します。
「あんたの年収は、３００万ユーロだろ、結構なものじゃないか」とピータが言います。
「待てよ」とヤンは言い、「あんた、一日何時間働いている？」と聞きます。
男は、「１４時間だ」と答えます。
「君がそんなに苦しんでいるとは知らなかった、
事故はすべて弁護士にまかせて、わたしはサインをしただけだ」と男は言います。
「結婚して、子供も生まれた、人より少しでもいい暮らしがしたかった、
一生懸命がむしゃらに働いた 」と男は言います。
「それで、乗りもしないクルーザーを買ったのか？、意味はあったのか？」とヤンは言います。
「意味はないさ、毎日毎日、仕事ばかりでここ何年も余裕を持ったことがない」と男は言います。
映画は、後半からは最後まで、猜疑と共感のゆるやかな緊張がおもしろく、
ふときづいた四角い窓からの光のさす方向さえもが、罠とも誘いともなります。
ゴダールの映画にはないわかりやすさ、
ゴダールの意味不明な革命の映画が、
革命が間違っているのではなく、革命を志した自らが間違っていた、
ゴダールの革命は、たんなる言い訳とごまかしでしかない。
わかりやすくおもしろい映画です。
カンヌで、パルム・ドールを受賞するのにもふさわしい作品なのですが、
２００４年のパルム・ドールは、あのゴミのような映画の「華氏９１１」
審査委員長は、クエンティン・タランティーノ。
気取るのならば「ベルリン、僕らの革命」を選択すればよかったのにと感じます。
アメリカは、体制派も反体制派も腐っているようです。
いい映画です。
監督：ハンス・ワインガルトナー
収録時間：124分
レンタル開始日：2005-10-28
Story
『グッバイ、レーニン』のダニエル・ブリュール主演、現代ドイツ社会を背景にレジスタンス活動を続ける青年の友情や葛藤、恋を瑞々しいタッチで綴る青春映画。金持ちの留守宅に不法侵入を続けるヤンとピーターはひょ（詳細こちら）
stainbeck at 23:09│Comments(2)│
この記事へのコメント
1. Posted by ヤマ 2013年01月03日 21:38
３６５日映画さん、はじめまして。
『間借り人の映画日誌』というサイトを十年余り続けているヤマと申します。表題作を検索していて辿り着きました。
拙サイトでは、ネットで遭遇した気に入りテクストを、いわゆるトラックバックのような形で拙日誌からの直リンクに拝借しております。
このたび年末最後の更新でこちらの頁をリンクしたので、報告とお礼に参りました。不都合があれば、解除しますので、お知らせください。
この作品を観たのは、かなり前になるのですが、相当に気に入っている作品で、今回思うところあって、取り上げたのですが、３６５日映画さんが抜き書きしている部分を読むと、とても生き生きと作品が蘇ってくるように感じました。どうもありがとうございました。
『間借り人の映画日誌』というサイトを十年余り続けているヤマと申します。表題作を検索していて辿り着きました。
拙サイトでは、ネットで遭遇した気に入りテクストを、いわゆるトラックバックのような形で拙日誌からの直リンクに拝借しております。
このたび年末最後の更新でこちらの頁をリンクしたので、報告とお礼に参りました。不都合があれば、解除しますので、お知らせください。
この作品を観たのは、かなり前になるのですが、相当に気に入っている作品で、今回思うところあって、取り上げたのですが、３６５日映画さんが抜き書きしている部分を読むと、とても生き生きと作品が蘇ってくるように感じました。どうもありがとうございました。
2. Posted by コメントありがとうございます。 2013年01月13日 04:15
ご丁寧な文章ありがとうございます。
どうぞよろしく。
どうぞよろしく。
