サンダーメタル・ブルー

2007年07月12日

カルラの歌

2006年、カンヌ国際映画祭にて、
パルム・ドール受賞の映画監督、ケン・ローチの、1996年の監督作品です。

ケン・ローチは、鷹と少年の物語、イギリス映画屈指の名作「ケス」を監督し、
そして、それ以降も7作品も、タフでリアリティのある映画をカンヌ国際映画祭に出品しています。



ケン・ローチの作品は、非常に政治色が強いといわれ、
実は、DVDでもビデオでも販売がなされておりません。

何年か前、この「カルラの歌」が劇場公開されたとき、
「リフ・ラフ」「レイニング・ストーンズ」「レディバード・レディバード」「大地と自由」
が一気にビデオ化され、発売されたものですが、
現在では、もう廃盤みたいです。しかも、この「カルラの歌」さえも。

ケン・ローチは、政治色が強いと言われますが、
それをさらりと描くうまさがあります。
政治色が強い人というより、
貧乏な労働者や性格がマイナスな人間の持つ独特なユーモラスを同情なく描く人です。


「カルラの歌」のテーマは、
イギリスに移住してくる新しい外国人たちと
遠くでおこっている戦争です。

主人公(ロバート・カーライル)は、
ニカラグアの女性、カルラと恋に落ちます。
二人は、やがて新しい生活をはじめていきますが。
カルラの胸の中に残るものが。

主人公は、カルラとニカラグアへいくことを決めます。
ニカラグアで、カルラの家族と話をすれば、
カルラの胸の中のものも少なくなるであろうと。

主人公は、ニカラグアへ行きました。
そこには、小銭を恵んでもらおうとする貧乏な子供達。
人が屋根の上にも乗っかろうとするバス。
ジャングルの国、貧乏な国、そして実際に戦争のある国でした。

「カルラの歌」が劇場公開されたとき、
ある評論家が評した評論が、

“ 恋愛のために、命をも懸けると
  ロマンティシズムに勇ましく旅立った、裕福な国のイギリス人男性が、
  貧乏な国でおこっている強烈な戦争という現実の前に、
  なすすべもなく、おめおめと逃げ帰ってくるだけの映画 ”

とうまく、評してありました。
ま、映画は、ラストシーンなど少しはロマンティックなものですが。


映画は、ほぼ二部構成になっており、
前半は、イギリス男性とニカラグア女性の恋愛映画となり、
後半が、銃弾がけたたましく、鳴り響く戦争映画となります。
そして、前半部分で、そんなに魅力的でもなんでもない女性、カルラが、
映画後半部分にて、圧倒的な存在感と魅力を見せます。


遠くでおこっている戦争と、
新しく移住してくる外国人たち。
日本でも、コンビニエンスストアができ始めた頃は、
深夜勤務の店員さんは、髪の毛が緑の長髪のロック・シンガーばかりでした。
最近の店員さんは中国人の留学生ばかりです。そして、イラクでは戦争。




イギリスでは、数日前、大規模なテロ事件がありました。
犯人は、外国人医師グループによるものと推測が上がっています。

イギリスは医者不足で、外国人医師がイギリス医師の4割を占めるそうです。
しかも外国人の医師の入国は、イギリスの医者不足により簡単なものになっているそうです。

外国での戦争が他人事であり、都合のいいものだけは外国から受け入れる。
そううまくはいくはずがない。




いい映画です。







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カルラの歌 (1996)

監督 ケン・ローチ
製作 サリー・ヒビン
脚本 ポール・ラヴァーティ
撮影 バリー・アクロイド
音楽 ジョージ・フェントン

出演 ロバート・カーライル
    オヤンカ・カベサス
    スコット・グレン
    サルヴァドール・エスピノーザ
    ルイーズ・グッドール

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物語

1987年、イギリス、グラスゴー。
バスの運転手、ジョージ(ロバート・カーライル)は、
無賃乗車を見逃してあげたことから黒い髪のエキゾチックな女性、
カルラ(オリンカ・カベサス)と知り合うが、彼女は何も語ろうとしない。
アパートを追い出されたカルラを友人の家の空き家に住まわせることにすると、
カルラはようやく心を開き、ニカラグアと故国の名を教える。
ジョージは乗客を降ろしたバスで、カルラと共に眼下に湖を臨む美しい山へ行った。
心やすらぐひとときに、ふたりは唇を重ねる。
しかし突然の土砂降りで道がぬかるみ、バスは立ち往生。
ジョージはこの一件で解雇されてしまう。
さらに彼は将来を約束していた恋人にカルラのことを打ち明け、
結婚できないと告げる。ところがジョージは自殺未遂で血だらけになっている
カルラを発見する。病院で生死の境をさまようカルラ。
彼女は6週間前にも自殺未遂をし、同じ病院に運ばれていた。
その時のカルテで、彼女が祖国への支援を募るためヨーロッパ巡業に来た
ニカラグア舞踏団の一員だったことを知る。
退院の日、ふたりは初めての夜を迎えた。
カルラの背中のひどい傷にうろたえるジョージに、
カルラは恋人だった同士アントニオのことを語る。彼は戦闘で重傷を負ったのだった。
バスでジョージと山へ行った夜、勇気を出して彼からの手紙を初めて読んでみた。
そこには彼と一緒につくり、カルラがひとりで歌った歌が綴られていた。
ジョージはアントニオの想いからカルラを解放するため、共にニカラグアへ向かった。

ニカラグアでは革命政府を倒そうとする右派ゲリラ組織コントラが、
アメリカから非合法の援助を受けて激しい武装攻撃を続けていた。
カルラは平和維持のボランティアをしているアメリカ人のブラッドリー
(スコット・グレン)を訪ねるが、誰も彼のことを語りたがらない。
2度目の訪問で、ブラッドリーはようやくアントニオが自分のキャンプにいると打ち明ける。
危険な地域を通って、ブラッドリーのジープはカルラの家族の住む村に着いた。
その夜、歓迎の歌に合わせて踊るカルラの生き生きとした姿があった。
だがふたりは突然の銃声で目覚める。コントラの襲撃に村全体が炎に包まれた。
ジョージはイギリスに帰ることを決めた。翌朝、カルラはアントニオとの間にできた子を抱いていた。
ジョージは子供とともに、彼女にも来て欲しいと頼む。
それを知ったブラッドリーは、ジョージにアントニオのことを語り始める。
コントラはアントニオを捕らえると舌を切り、脊髄を砕き、顔に酸をかけた、
だがそのコントラを訓練し、武器を与えてこの国に送り込んだのは、
かつて自分が属していたアメリカのCIAだったのだと。
カルラはアントニオに会って死ぬつもりで朝ひとりで出発した。
ジョージはブラッドリーと共に彼女の後を追う。
バスを運転したジョージは、コントラの襲撃をくぐり抜け、
ふたりはキャンプに到着した。「私を連れて帰って」と頼むカルラを、
ジョージはアントニオの家へひとりで行かせる。“ ここが彼女の国なのだ ”
アントニオはカルラの手を取り、ギターであの曲を弾き始めた。
ふたりで作ったその歌を彼女が歌う。翌日、ジョージは村を去った。
カルラの歌を心に響かせながら。

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stainbeck at 20:26│Comments(0)TrackBack(0)

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