山椒大夫ロゼッタ

2007年11月11日

踊る大捜査線 THE MOVIE

1998年の日本映画のヒット映画です。
監督は、本広克行。
脚本は、君塚良一。
主演は、織田裕二。
共演は、柳葉敏郎、深津絵里、水野美紀、いかりや長介。





1980年代から1990年代にかけての日本映画は散々たるものでした。
とにかくおもしろくなく、とにかく暗い、へりくつだけをぶちまけて、
よくわからない映画こそがさも美しいといわんばかりの映画ばかり、
日本映画を10本観れば、10本おもしろくないというのは普通でした。

わたし個人は、かなり長い間、日本映画など暗い、おもしろくない、
観る価値などなにひとつないという考えがずいぶんとありました。

「踊る大捜査線 THE MOVIE」も、人気テレビドラマの映画化と、
よくある企画にての映画作品ですので、まったく期待せずに観に行きました。

しかし、「踊る大捜査線 THE MOVIE」は、おもしろく、びっくりしただけでなく、
わたしの周辺の“ あの人は頭がいい ”
と言われている人間が、皆、この映画を評価しました。


「踊る大捜査線 THE MOVIE」は、とにかく巧い映画です。
映画の内容には、91年「羊たちの沈黙」、93年「逃亡者」、
95年「セブン」、そして黒澤明監督作「天国と地獄」と、
非常に直近のヒット映画、有名作品からアイディアを拝借するという
めちゃくちゃさですが、そのアイディアを3つの事件に分散させることにより、
模倣から新たなオリジナルへの変貌を見事成し遂げています。




湾岸署と勝どき署の中間の河川で水死体が発見されます。司法解剖の結果、
水死体の胃の中から熊のぬいぐるみが発見され、和久刑事は事件の異常性を感じ取ります。

刑事ではあっても、警察組織の一員である青島刑事(織田裕二)は、
接待ゴルフから戻り、署長のブービー賞のスモークボールを和久に手渡し、軽口を言います。
が、その時、今日、接待したばかりの警視庁副総監が、自宅前で拉致される事件が起こり、
湾岸署に捜査本部が設置され、本庁より捜査官が到着します。

捜査本部が設置されたことにより、
電話、FAX、LANケーブルなどの通信設備の緊急配備、
捜査会議の為のテーブル設営、就寝場所の設営が行われ、署内は忙しく混乱します。
その中で、“ 警視庁副総監拉致事件 ”という派手な事件には、
加えてもらいない湾岸署所轄の青島刑事たちの身に、
領収書や時計やカップラーメンが盗まれるというどうでもいい事件も発生します。

警視庁刑事部参事官、室井が捜査を指揮する、警視庁副総監拉致事件。
青島刑事たちが捜査する異常殺人事件。
ここでは、93年「逃亡者」のアイディアが使用され、二つの事件が絡みます。

そして、突如現れるサイコパス。
ここでは、95年「セブン」のアイディアが使用されます。

警視庁副総監拉致事件捜査は手詰まりになり、
青島刑事は、犯行のすべてをサイコパスに伝え、サイコパスに犯人を推理させます。
これは、91年「羊たちの沈黙」のアイディアの使用です。

犯人の見当がつき始めた時、青島刑事は、なにかを見つけ、走り出します。
青島刑事は湾岸署の屋上で周囲を見渡します。シーンは、カラーから画面が白黒になり、
煙突から、ピンク色の煙を見つけ出し、青島刑事は「天国と地獄」と呟きます。
これは、黒澤明監督作「天国と地獄」のアイディアの使用です。


1963年、白黒映画の時代にフィルムに直接色を塗り、
ピンク色の煙を作り出した「天国と地獄」。
この1回だけであるが斬新なアイディアを、「踊る大捜査線 THE MOVIE」では、
重要部分に“ このアイディアで驚かす ”のではなく、
犯人は誰だか予想がつき、あとはどの場所にいるのかを特定するときに、
“ このアイディアにて強調する ”と使用され、物語を巧く醸しています。


映画のラスト・シーン。
犯人逮捕のすぐ直前の時に、警察組織上層部が手柄の奪い合いを始め、
湾岸署所轄の青島刑事に現場で待機するよう命じます。
ここで青島刑事が口にするのが、
「事件は会議室で起きているんじゃない!、現場で起きているんだ!」

“ 上が下を守る ”という、現代の醜い年寄りが完全に失った美学。
まだ若い青島刑事は、この場面で、かすかな期待を警視庁刑事部参事官、室井にぶつけます。


そして、犯人逮捕の瞬間。
どこの家庭にもよくある、“ 子供に部屋に入らないよう言われ、本当にそれを守り続ける母親 ”
子供を思う母親の深い愛情が歪んだ形で展開され、
“ あまりにもよくある盲目な母親の愛情 ”が、映画を観る人間を否応にも納得させられます。




巧い映画です。素晴らしい映画です。










監督:本広克行
収録時間:119分
レンタル開始日:2004-05-19

Story
織田裕二主演の大ヒット刑事ドラマの映画版第1弾。湾岸署管轄内で水死体が発見され、青島刑事らは捜査を開始。そして、同時期に警視庁副総監誘拐事件、署内での盗難事件も発生する。そんな中、誘拐事件の指揮を執る(詳細こちら


stainbeck at 19:53│Comments(0)TrackBack(0) 日本映画 | SELECTION A 20世紀

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