インディアン・ランナーファンダンゴ

2007年11月28日

ギルバート・グレイプ

スウェーデン出身の名監督、ラッセ・ハルストレムの作品です。
主演は、ジョニー・デップ。
共演は、ジュリエット・ルイス、レオナルド・ディカプリオ。





「ここは、エンドーラ。僕たちの暮らす町だ
 音楽なしのダンスみたいな町
 これといったことはなにも起こらず、永遠に変わらない 
 
 僕が働いているラムソンさんの店
 だが国道沿いに巨大スーパー、フードランドができて、
 皆そちらに行ってしまった 」


現代の田舎町を描いたすばらしい映画です。

田舎と云うところは、昔には意味があったものです。
田舎に住む人間の9割が農民で、土地を耕し生活していた時代は。

祖父、祖母、父親や母親には農業の経験があっても、自分には農業のかけらもない。
現代の田舎は9割が農業以外の仕事に従事し、自然、過疎になり寂れゆきます。



「生きていてほしいと思う日があれば、そうでない日もある」
弟のアーニー(レオナルド・ディカプリオ)は、知的障害で、
もう18歳なのに頭の中身が6歳のままです。
勝手に走り回り、木の上にのぼり、大きな声で罪なくわめき散らします。

父親は亡くなり、兄は家を出て行ってしまっています。
姉は母親代わり、妹は高校生になったばかり。
そして母親は、17年前の父親の死のショックで引きこもりになり、
食べ続け、食べ続け、ここ7年間、家の外に出ず、醜く太っています。

「僕はギルバート、ギルバート・グレイプ(ジョニー・デップ)」

ギルバートは、ラムソンの食料品店で働いています。
「なんにしましょう?」店主ラムソンが丁寧に挨拶します。
「いやいいの」客は丁寧になにも買わず出て行きます。
「ギルバート、フードランドでなにかやっているのか?」店主ラムソンが言います。
「さあ、あそこへは行ったことがないから、死んでも行きません」
「知ってるわ、客寄せにまたなにかやっているのよ」ラムソンの奥さんが言います。
「たぶん例のロブスターだな、
 生きたロブスターを水槽に入れて、そうだろ?」店主ラムソンが言います。
「心配することありませんよ、一時のことです、お客は必ず戻ってきます」
「そう思うか?」店主ラムソンが言います。
「ええ、必ず、大丈夫です」
「その喋り方、死んだ親父さんにそっくりだよ」店主ラムソンは優しく言います。


田舎というところも確かに昔は、趣や仕組みがあり、
町には、本屋は1件しかなく文房具屋は、小学校の前に1軒、高校の前に1軒。
中学校の前にないのは、中学校の場所が山の入り口にあり、
“ 田舎でも、もっと田舎 ”の場所にあるため。

しかし、現代の田舎はさま変わりし、
近くに有名企業の工場があり、雇用が確保され、人口が減らない種類の田舎でも変化があります。

国道沿いのコンビニ、巨大駐車場の巨大スーパー、ヤマダ電機などの家電量販店。
巨大駐車場のレンタルビデオ店、これがTUTAYAではないことが多いです。
こうした、マーケティングに基づいた巨大流通が、
田舎にも存在する、愛想のいい店主がいる古き良き小さなお店を消し去ります。

あと、どういう訳か、ファミリーレストラン・チェーン店だけは、田舎にはできません。
できてもすぐつぶれます。田舎ものにはそれは当然とわかる理由により。



ギルバートの友人は、腕のたつ大工です。
古くなったギルバートの家を色々と診てくれます。
角材を持って来てくれギルバートの家の補修をしてくれます。
しかし、ギルバートの友人のもっかの夢はハンバーガーチェーンの店長に採用されたこと。
「俺の人生これからだ」


大工の腕を持っていても田舎では仕事がなく、
もう30の手前なのにハンバーガーチェーンの店長にすらも憧れる。



ギルバートは相手もいないので、年増の既婚女性と不倫をする閉塞の毎日。

そこに、キャンピング・カーで祖母と旅を続けるベッキー(ジュリエット・ルイス)と知り合います。
キャンプ場で洗濯物を干していたベッキーは、
「見て、ほらここ、カマキリよ」とギルバートに話しかけます。
すぐにギルバートとベッキーの仲は深まります。

弟のアーニーの知的障害はまったくよくなりません。
常に監視していないとすぐに町の給水塔に登るなど大騒ぎを起こします。
ある時、ギルバートがベッキーと会話し、楽しく過ごしているとき、
またまた町の給水塔に登り、保安官に逮捕されます。
保安官も内情は知っていますが、「今回は逮捕する」と言います。

逮捕され、釈放されてもアーニーは、変わらず子供のまま、
暴れて、自分の誕生日用のケーキを壊してしまいます。
ギルバートは、どうしようもなく巨大スーパー、フードランドに行き、ケーキを買います。
ケーキを持って、フードランドから出てくるギルバート。
偶然にもラムソンと会ってしまい、静かなる崩壊を味わいます。
“ 静かなる崩壊 ”この映画最大の名シーンです。

度重なるアーニーの問題に、ギルバートはいらつきから、本気でアーニーを殴ります。
ギルバートは、ベッキーのところへ行き、
「アーニーを殴るなんて」と後悔し、ベッキーになぐさめてもらいます。

「どこへも行けないんだ」
「お袋を食わせる為に働いたんだ」



映画は、「どこへも行ける」と爽快な終わり方をするものの、
それは、偶然がもたらした死により作用されたもの、死が訪れなければ、変化のない閉塞の毎日。

それはどこの田舎でも同じだろう?、
監督のラッセ・ハルストレムは、普遍で閉塞した物語を爽快に気分よく描きます。




いい映画です。







収録時間:117分
レンタル開始日:2002-01-25

Story
アメリカ中西部の田舎町を舞台に、よろずやの店員がトレーラーハウスで祖母と旅を続ける少女と出会い、自己の生活を見つめ直していく姿を描く。白痴少年役をディカプリオが名演、心打たれる感動作に仕上がっている。(詳細こちら


stainbeck at 20:16│Comments(1)TrackBack(0) アメリカ ハリウッド映画 | 1990年代

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この記事へのコメント

1. Posted by ホーギー   2008年03月09日 19:13
この映画は、ジョニー・デップの素晴らしさとディカプリオの19歳にして見事な演技を披露した名作だと思います。
私にとって、彼らの出演した映画の中で、ベスト3には入る作品だと思います。
こういう映画最近ないですよね。ぜひ、多くの人に観てもらいたい映画ですよね。
ということで、また、遊びに来ます。
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