2009年08月12日

心の旅

「卒業」のマイク・ニコルズ監督作品です。
主演は、現代ハリウッドのトップスター、ハリソン・フォード。
共演は、アネット・ベニング。





「卒業」にて、若くしてアメリカン・ニューシネマの名作を発表したものの、
その後は、ごく普通の映画監督になってしまったマイク・ニコルズの佳作映画です。

主演は、ハリソン・フォード。「君の顔は普通すぎる」と言われ、
30歳を過ぎても下積みで、ほんとうに大工として生活してた経験のある
アクション映画スター、ハリソン・フォードの非アクション映画作品のひとつです。

辣腕の弁護士が、ある日、事故で大ケガをし、
意識は取り戻したものの記憶の大部分を失ってしまうという物語です。


ターナー(ハリソン・フォード)は、病院でリハビリを開始します。
しかし、心を開かず、なにも喋らないターナーに
看護師のブラッドレー(ビル・ナン)は、明るく楽しく接します。

「無口なんだな、ま、楽しくやろうや」

ブラッドレーは、ターナーの車椅子を押し、廊下を歩いているときにも
看護婦さんに軽口を聞き、それがきれいな女性ならば、

「いい女だねー、寝たくなる女だ」とターナーに言います。

ある日、食事のとき、ブラッドレーは、「俺が取ってやろう」と言い出し、
オムレツに嫌がらせのようにベシャベシャとケチャップをかけ、
「ブラッドレー・スペシャルだ!」と言い、ターナーに食べさせます。

オムレツには、大量のタバスコが入っており、
「うっ」と吐きそうになるターナー。
「おい、今、ウッといったな?、喋れるんだな?、
 なんだ?、なんか言ってみろ!、なんでも持ってきてやるぜ!、
 さあ、なんだ?、キャビアか、キャビアが欲しいのか?
 言うんだ!、持ってきてやる!」とブラッドレーは怒鳴り言います。

「RITZ」と言うターナー。

ターナーは、「RITZ」の絵を描くほどまでになり、
リハビリが順調になった頃、ターナーの家では家計に混乱が生じ始めます。

ターナーは、辣腕の弁護士で、ハリウッドスターのような豪華マンションに住んでいます。
ターナーは月々の収入は高給でしたが、高給ゆえに金遣いが荒く、借金はなかったのですが、
貯金もなく、ターナーの妻と娘は、豪華マンションでの生活は続けられなくなり、
ターナーの収入がなくなれば先行きも不明になります。


やがて、ターナーは退院。
娘、レイチェルの名前すらもよくは覚えていないような状態でしたが、
会話もでき、普通の生活もできるまでには回復しました。

妻(アネット・ベニング)と娘は、買い物に出かけます。
お手伝いさんはターナーと二人きりになり、
お手伝いさんは「襲われたりされませんかね」と言います。

病院から「RITZ」の絵が届き、運び入れようとするお手伝いさん、
その隙に、ターナーは、ふらふらと町へ出て行ってしまいます。

ホットドッグを買い食いし、アイスクリームを食べ、映画館で映画を観るターナー。

戻った妻と娘は、心配し、妻は捜しに行くと言い出かけます。
「わたし待ってる」と言うレイチェル。

そこへターナーが帰ってき、
ほんとうに心配した妻は「どこに行ってたの?」と心配から聞きます。

「犬を買ってた」とターナーはなにごともなく言います。

「かわいい!」とレイチェルは言い、
「友達の買っている犬と一緒だわ!、でもこのこの子の方がかわいいわ!、
 ね、バディって名前にしない?」とレイチェルは大喜びで、
「ね、バディ、こっちおいで」とすぐお気に入りになります。


映画の演出が巧いと言えば巧いのですが、
それが気にならないと言うより、見事としか言いようがないです。
とくに映画が始まったときから、
仕事人間のターナーに、娘、レイチェルは24時間反抗期の様相で、
気分悪いほどに娘、レイチェルは不機嫌な少女です。

それが、この犬を買ってきたときのレイチェルの喜びようは、
観ていてとても感動的でこの部分には、マイク・ニコルズの冴えが見て取れます。


やがて、弁護士という職業。
ターナーは、だんだんと過去の自分になじめない自分を悟ります。

大事な証拠というものを隠したり、盗んだりしたなど卑怯をした訳ではなく、
ただ無視しただけという、ただの大人の打算もターナーは受け入れられなくなります。

傷ついてから心の大切さに気づく、よくある物語ではなく、
冷え切った夫婦関係、冷え切った親子を経験し、
お金がなくなっていくみじめさも理解した中から、夫婦はあえてお金ではない生活を選択します。


映画のラスト・シーン。
全寮制の名門の学業学校に入学し、楽しくない学校生活を送っている。
娘、レイチェルを夫婦は迎えに行きます。

学校では授業中で、学校の先生は授業をしています。
「あなたがたは、自分に問うことがあるでしょう
 なぜ、こんなに勉強しなければならないのか?
 授業に遅れずについていくことがなぜ、必要なのか?」
「見まわして御覧なさい、いるのはみんな競争相手です」
「負けられません」
「みんな眼を閉じましょう、黙ったまま心の中で繰り返しましょう“ もっと熱心に勉強しよう ”」

そこへ、犬のバディが、レイチェルの足元をなめます。
「バディ!」と嬉しがるレイチェル。

「今は授業中ですよ」と諭す先生に、
ターナーは、ゆっくりと歩み寄り、
「11年も娘に寂しい思いをさせました、その時間をとりもどしたいのです」と言います。

学校の先生は少し笑い、
「いいことに気づかれましたね、ターナーさん」と言い、ターナーの手を取ります。



「卒業」にて、感性により内面の心情を説明少なく描き出したマイク・ニコルズが、
「心の旅」では、巧みな演出により、内面の心情を表現します。

成熟したマイク・ニコルズの手腕が冴えわたる映画です。




いい映画です。







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心の旅 (1991)

監督 マイク・ニコルズ
製作 マイク・ニコルズ、スコット・ルーディン
製作総指揮
    ロバート・グリーンハット
脚本 ジェフリー・エイブラムス
撮影 ジュゼッペ・ロトゥンノ
音楽 ハンス・ジマー

出演 ハリソン・フォード
    アネット・ベニング
    ビル・ナン
    ミッキー・アレン
    ドナルド・モファット
    ナンシー・マーチャンド
    レベッカ・ミラー
    ジェームズ・レブホーン

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物語


冬のニューヨーク。その日、患者に告訴された大病院の失態を救った弁護士、
へンリー(ハリソン・フォード)は、煙草を買いにストアに入ったところ、
たまたま遭遇した強盗に狙撃され、重傷を負い、記憶喪失になってしまう。

妻子のことさえ思い出さず、リハビリ・センターで心を閉ざし続けていたヘンリーだが、
トレーナーのブラッドレー(ビル・ナン)の明るい看護により、無事退院するに至った。
彼を待つ家族、妻のサラ(アネット・ベニング)と娘のレイチェル(ミッキー・アレン)は、
自分たちのことを思い出せないヘンリーを悲しみつつも、以前とは違う優しさ溢れる姿に
喜びを感じはじめる。もう以前のような有能な弁護士ではなく、裕福にはなりえない家族の生活。
しかし、心は満たされはじめてきた。サラの浮気が発覚したが、それも以前の仕事一筋の
ヘンリーのせいであり、2人は和解する。

かつての不正弁護を恥じ、弁護士を辞め、真相の証拠を原告の患者サイドに届けた彼は、
サラと共に寄宿学校に入れたレイチェルを引きとりに行き、家族3人で生きていこうと誓うのであった。

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収録時間:107分
レンタル開始日:2004-02-06

Story
『卒業』のマイク・ニコルズ監督、『K-19』のハリソン・フォード主演で、愛を求めてさまよう人の心を鮮やかに描いたヒューマンドラマ。有能な弁護士であるヘンリーはコンビニ強盗に銃で撃たれたショックで、家族の顔(詳細こちら


stainbeck at 10:00│Comments(0)TrackBack(1)アメリカ ハリウッド映画 | 1990年代

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