2010年05月12日
ゲーマー
２００９年のアメリカ、ハリウッド映画です。
監督、脚本は、「アドレナリン」のネヴェルダイン、ブライアン・テイラー。
主演は、ジェラルド・バトラー。
共演は、マイケル・Ｃ・ホール、アンバー・ヴァレッタ、ローガン・ラーマン、テリー・クルーズ。
“ この映画にて、ジョージ・ルーカスとＳ・スピルバーグは過去の人となる ”
“ ２１世紀の「バトルランナー」 ”
すぐ近くの未来──。
インターネットの中ではなく、現実の世界に存在する“ 新社会 ”。
そこでは、人々が派手な服を着、悦楽の限りを尽くす世界だった。
“ 女優 ”と呼ばれる本物の人間が、報酬と引き換えに意識を遮断し、
実社会の人間がインターネットを通してその女優の意識そのものを支配する。
アメーバ・ピグのような仮想世界の２次元の画像による分身ではなく、
新世界の“ 女優 ”本物の人間を、実社会の本物の人間が支配し、快楽を味わう。
この“ 新世界 ”を創造したのが、ビル・ゲイツより大富豪のケン・キャッスル。
さらにこのケン・キャッスルが、次に始めた新事業が“ スレイヤーズ ”。
刑務所の犯罪者の頭にマイクロチップを埋め込み、ある場所に隔離する。
その犯罪者たちを、コンピューターゲームのプレイヤーとして使い、
世間にその戦いのシーンを見せて、人々に殺戮ショーを提供する。
犯罪者たちは、自分が操られていることを知らないが、
プレーヤーが30回の戦闘場面をクリアすると自由の身になる。
以前までは、そんな猛者はいなかったが、17歳のゲームの天才、サイモンが27回クリアした。
彼に操られていたのがケイボ。が、ケイボ（Ｊ・バトラー）は無実の罪で刑務所に収監されていた。
果たして、不条理に刑務所に収監されたケイボが、自由になることがあるだろうか──。
“ 新世代の映画監督による、新しい映像 ”
わたしはよく、ＣＧ（コンピューター・グラフィック）技術が発達しすぎて、
「マトリックス」のようなゴミ映画が増えすぎ、
ＣＧの使用を抑えるような映画こそがいいと持論をよく書いていましたが、
この「ゲーマー」で見方が変わりました。
例えば「マトリックス」では“ 表現不可能な映像をＣＧで創り出す ”ことに焦点がありますが、
この「ゲーマー」では、“ 撮影不可能な映像をＣＧで表現する ”となってあります。
かつて、「ダイ・ハード 」「氷の微笑」の撮影を担当し、
世界最高と評されたハリウッドで活躍するオランダ人、ヤン・デ・ボン。
ヤン・デ・ボンが「ツイスター」のオープニングシーンを撮影した際は、
映像がぶれない特殊カメラをラジコンヘリに搭載し、１００キロで走る車を、
１０キロ先からラジコンヘリを飛ばし、
“ １００キロで疾走する車に空から接近していく映像 ”を撮影しました。
「ゲーマー」では、それをＣＧで使用し、本来では撮影不可能な“ 角度 ”や
撮影不可能な“ 速さ ”の映像が見事に演出されています。
──ある実在のゲーマー（仮定）の話
その有名ゲーマーには、ゲームが上手いので、いろんな人がチャット機能を使い、
その人に賞賛を送ります。そして女性たちが群がります。
「Ａさん、もっと話を聞かせて！」「Ａさんともっとお話がしたい！」
「わたしのハンドルネームをクリックして、直接メールください、一生のお願い！」
そしてあるゲーマーと女の人たちがゲームを離れた、世間話を始めたりもします。
「俺は映画も好きだな」
「わたしも映画大好き！」「Ａさんはどんな映画がすきなの？」
「俺は『パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち』が好きだ」
「わたしもパイレーツ大好き！」「Ａさんって趣味がいい！」
「Ａさん、「ギルバート・グレイプ」観たことある？」
「ああ、「ギルバート・グレイプ」も観たことあるよ、あれもいいよ」
「さすがＡさん！、わたし昔っから「ギルバート・グレイプ」好きなんだ、
でも知ってる人少なくて、Ａさんってホントにセンスいい！」
こうした会話の前後から、ある程度のことがわかる。
「ギルバート・グレイプ」は、ジョニー・デップが注目された２００３年に、
陽の目を見ただけでなく、「タイタニック」が公開された１９９７年にも陽の目を見たことがあります。
そうすると、ここに群がっている女性はある程度の分別のつく年齢に達していることが推量できます。
Ａさんと女性たちの会話は続き、次は身の上話に進展します。
すると誰も聞かないのに、ある女性は、自分が２度出産に失敗したことを話し始めます。
またある女性は、自分が水商売をしていたが今は結婚し、普通の生活をしていると話し始めます。
Ａさんは、まだ２４歳なので、だんだんあたり障りのない話し方で話すようになります。
ある日、Ａさんはゲームで負けてしまいました。
その瞬間から人は消えて行きました。インターネットの中だけの関係でしたからそれはさっさと。
物語は、ゲームの中で理不尽にも支配される人間と、ゲームに興じる人間を描き、
その中で、本当にこのゲームを支配している人間は、“ 誰か ”“ それは誰もが ”とも描かれます。
そして映画は、ドラマの面で「セブン」には及ばないまでも、
斬新なる映像表現が駆使され、その最後は「真昼の決闘」の如く爽快に完結する娯楽映画。
おもしろい映画です。
監督、脚本は、「アドレナリン」のネヴェルダイン、ブライアン・テイラー。
主演は、ジェラルド・バトラー。
共演は、マイケル・Ｃ・ホール、アンバー・ヴァレッタ、ローガン・ラーマン、テリー・クルーズ。
“ この映画にて、ジョージ・ルーカスとＳ・スピルバーグは過去の人となる ”
“ ２１世紀の「バトルランナー」 ”
すぐ近くの未来──。
インターネットの中ではなく、現実の世界に存在する“ 新社会 ”。
そこでは、人々が派手な服を着、悦楽の限りを尽くす世界だった。
“ 女優 ”と呼ばれる本物の人間が、報酬と引き換えに意識を遮断し、
実社会の人間がインターネットを通してその女優の意識そのものを支配する。
アメーバ・ピグのような仮想世界の２次元の画像による分身ではなく、
新世界の“ 女優 ”本物の人間を、実社会の本物の人間が支配し、快楽を味わう。
この“ 新世界 ”を創造したのが、ビル・ゲイツより大富豪のケン・キャッスル。
さらにこのケン・キャッスルが、次に始めた新事業が“ スレイヤーズ ”。
刑務所の犯罪者の頭にマイクロチップを埋め込み、ある場所に隔離する。
その犯罪者たちを、コンピューターゲームのプレイヤーとして使い、
世間にその戦いのシーンを見せて、人々に殺戮ショーを提供する。
犯罪者たちは、自分が操られていることを知らないが、
プレーヤーが30回の戦闘場面をクリアすると自由の身になる。
以前までは、そんな猛者はいなかったが、17歳のゲームの天才、サイモンが27回クリアした。
彼に操られていたのがケイボ。が、ケイボ（Ｊ・バトラー）は無実の罪で刑務所に収監されていた。
果たして、不条理に刑務所に収監されたケイボが、自由になることがあるだろうか──。
“ 新世代の映画監督による、新しい映像 ”
わたしはよく、ＣＧ（コンピューター・グラフィック）技術が発達しすぎて、
「マトリックス」のようなゴミ映画が増えすぎ、
ＣＧの使用を抑えるような映画こそがいいと持論をよく書いていましたが、
この「ゲーマー」で見方が変わりました。
例えば「マトリックス」では“ 表現不可能な映像をＣＧで創り出す ”ことに焦点がありますが、
この「ゲーマー」では、“ 撮影不可能な映像をＣＧで表現する ”となってあります。
かつて、「ダイ・ハード 」「氷の微笑」の撮影を担当し、
世界最高と評されたハリウッドで活躍するオランダ人、ヤン・デ・ボン。
ヤン・デ・ボンが「ツイスター」のオープニングシーンを撮影した際は、
映像がぶれない特殊カメラをラジコンヘリに搭載し、１００キロで走る車を、
１０キロ先からラジコンヘリを飛ばし、
“ １００キロで疾走する車に空から接近していく映像 ”を撮影しました。
「ゲーマー」では、それをＣＧで使用し、本来では撮影不可能な“ 角度 ”や
撮影不可能な“ 速さ ”の映像が見事に演出されています。
──ある実在のゲーマー（仮定）の話
その有名ゲーマーには、ゲームが上手いので、いろんな人がチャット機能を使い、
その人に賞賛を送ります。そして女性たちが群がります。
「Ａさん、もっと話を聞かせて！」「Ａさんともっとお話がしたい！」
「わたしのハンドルネームをクリックして、直接メールください、一生のお願い！」
そしてあるゲーマーと女の人たちがゲームを離れた、世間話を始めたりもします。
「俺は映画も好きだな」
「わたしも映画大好き！」「Ａさんはどんな映画がすきなの？」
「俺は『パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち』が好きだ」
「わたしもパイレーツ大好き！」「Ａさんって趣味がいい！」
「Ａさん、「ギルバート・グレイプ」観たことある？」
「ああ、「ギルバート・グレイプ」も観たことあるよ、あれもいいよ」
「さすがＡさん！、わたし昔っから「ギルバート・グレイプ」好きなんだ、
でも知ってる人少なくて、Ａさんってホントにセンスいい！」
こうした会話の前後から、ある程度のことがわかる。
「ギルバート・グレイプ」は、ジョニー・デップが注目された２００３年に、
陽の目を見ただけでなく、「タイタニック」が公開された１９９７年にも陽の目を見たことがあります。
そうすると、ここに群がっている女性はある程度の分別のつく年齢に達していることが推量できます。
Ａさんと女性たちの会話は続き、次は身の上話に進展します。
すると誰も聞かないのに、ある女性は、自分が２度出産に失敗したことを話し始めます。
またある女性は、自分が水商売をしていたが今は結婚し、普通の生活をしていると話し始めます。
Ａさんは、まだ２４歳なので、だんだんあたり障りのない話し方で話すようになります。
ある日、Ａさんはゲームで負けてしまいました。
その瞬間から人は消えて行きました。インターネットの中だけの関係でしたからそれはさっさと。
物語は、ゲームの中で理不尽にも支配される人間と、ゲームに興じる人間を描き、
その中で、本当にこのゲームを支配している人間は、“ 誰か ”“ それは誰もが ”とも描かれます。
そして映画は、ドラマの面で「セブン」には及ばないまでも、
斬新なる映像表現が駆使され、その最後は「真昼の決闘」の如く爽快に完結する娯楽映画。
おもしろい映画です。
