365日映画:裸足の１５００マイル

2011年05月20日

裸足の１５００マイル

２００２年のオーストラリアの映画です。
監督、製作は、オーストラリア出身、ハリウッドでも活躍するフィリップ・ノイス。
原作は、ドリス・ピルキングトン。
脚本は、クリスティーン・オルセン。
撮影は、「恋する惑星」のクリストファー・ドイル。
音楽は、「バーディ」のピーター・ガブリエル。
主演は、エヴァーリン・サンピ、ローラ・モナガン、ティアナ・サンズベリー。
共演は、王立演技学校を主席で卒業、イギリス映画界の大俳優、ケネス・ブラナー。

　　　ハリウッドで成功したオーストラリア人映画監督フィリップ・ノイスが、
　　　撮影、「恋する惑星」のクリストファー・ドイル。
　　　音楽、「バーディ」のピーター・ガブリエル。
　　　脇役に、イギリス映画界の大俳優、ケネス・ブラナーを配して描く、“　アボリジニ　”

1931年、西オーストラリア。アボリジニ保護局の局長ネビル(ケネス・ブラナー)は、
混血アボリジニの子供を家族から引き離し、白人に同化させる政策を進めていた。
オーストラリア西部を南北に２本になって横切る5000マイルもの長大な
“　ウサギよけフェンス　”を作りに来た白人男性が、現地のアボリジニ女性に
生ませた混血児が大量に存在したことから、この計画は始まった。
混血児に教育を与え文明化し、無知な原住民を救うのというのが「アボリジニ保護」の名目だった。

アボリジニは狩りをしながら大陸を放浪する民──。
ギブソン砂漠の端、ジガロングに白人が配給所を作って以来、
砂糖や食料を配給してもらう配給日が近づくと、付近のアボリジニは野宿して待つ。
14蔵の少女モリー(エヴァーリン・サンピ)が空をいく鳥を見ていた。
「精霊の鳥だよ。どこにいてもお前を見守ってくれる」と母が教える。

が、モリー、その妹で８歳のデイジー(ティアナ・サンズベリー)、
従妹の10歳のグレイシー(ローラ・モナガン)の三人の混血少女は連れ去られてしまう。
「逃げたら母親を逮捕する」とモリー達を脅し、泣いてすがる母を後にして、ジープは南へ。
檻に入れられての汽車の旅、さらにトラックの荷台での長旅の果てにモリーたちが辿り着いたのは、
西オーストラリア最大の都市パースの北にあるムーアリバー収容所だった。

大部屋にベットが並べられ、用を足すのは隅のバケツ、英語以外は禁止で、
食事の前はキリスト教のお祈りを強要される寄宿舎生活。絶えず監視される監獄のような生活。
そこでは、ネビル局長お気に入りの「スワニー川」を合唱もさせられた。

「帰るわ」
「どうやって？」
「歩くの」
「遠すぎる」
雨の日に三人は、収容所を脱走。遠く、長い家路が始まることになる──。

３人の少女たちの無防備な家路。
モリーたちは嫌だから出ていく、母親の元へ帰るという。女性の感性そのままです。
が、幼すぎるのか、放浪の民の血か、後先のことをまったく考えていません。

モリーたちは、おなかがすくと農家に行き、作物を勝手に食べます。
その様子を見た農家の主婦は、狐のように持って行くわけでもなく、
猫のように今食べるだけ食べるので、怒る気もなれず服までくれたりします。

が、３人の少女たちの前に立ちはだかるのは、広陵たる荒野。
が、幼すぎるのか、放浪の民の血か、大人ならば金で食糧を買い込み、
荷物を持って渡るであろう荒野を、モリーたちは、なにも持たず、ただそのままに歩いていきます。
“　ああ、荒野！”

いい映画です。