2005年07月
2005年07月30日
自作の前で語る
７／２９
・「アーティスト・トーク 石内都」 千代田区北の丸公園 東京国立近代美術館
写真家の石内都が、美術館内に展示している自作「SCAR」の前で、自作についていろいろ話すという。おもしろそうなので行ってみた。私ファンなんです。お客さん70〜80人。まず活動履歴の紹介で、現在ヴェネチアビエンナーレに出品中の、母の下着等の遺品を撮影した「MOTHER」ほか過去の自作をヴィデオで撮影した映画を上映しつつ解説した。粒子の荒れた白黒写真で焼き込みに執着した衝撃のデビュー作「横須賀ストーリー」から、遊郭の建物を撮った「連夜の街」（私はこのへんから知ったんだとおもう）、アパートを撮った「互楽荘」、自身＆同年齢の女性の手足指を接写した「1・9・4・7」、老いた母の身体を接写した「1899」、舞踏家大野一雄の身体を撮影した「1904」、身体に刻印されている傷＝時間が保存されいる跡に逢着した「SCAR」、そして現在製作中の女性の身体を撮った「INNOCENCE」まで。若い頃に嫌悪していた故郷の基地の街・住んでいた貧乏アパートのような環境・外部から、1990年代にナマの人間の身体の部分・様態にオドロキ着目するようになった変化がスゴイと思う。個々の逸話、写真は記録ではなくすべて自身の創作だという話、35mmカメラ・白黒写真・粒子への執着、撮影よりも暗室作業にずっと凝る（版画家に似ている）という話や、最近やっと本当に写真家になったような気がするとの述懐、誰のためでもない写真ための写真・・。アタマで考えるよりはるかに先行・潜行する身体を正直に認識して反応し続けたところがスバラシイ、ためらいのなさ、結果的にまったく他人、特に男性がまねのできないような（誰もしようともおもわなかった）視覚の表現に到達した。苦しみ・差別あるいは身体に傷を持ったニンゲン、同胞の女性たちに有形無形の共感があって、あまり良い言い方じゃないかもしれないが、すべてが「愛の表現」というか、世界に対するいとおしさがうつくしく溢れて結晶しているんだとおもった。
・「アーティスト・トーク 石内都」 千代田区北の丸公園 東京国立近代美術館
写真家の石内都が、美術館内に展示している自作「SCAR」の前で、自作についていろいろ話すという。おもしろそうなので行ってみた。私ファンなんです。お客さん70〜80人。まず活動履歴の紹介で、現在ヴェネチアビエンナーレに出品中の、母の下着等の遺品を撮影した「MOTHER」ほか過去の自作をヴィデオで撮影した映画を上映しつつ解説した。粒子の荒れた白黒写真で焼き込みに執着した衝撃のデビュー作「横須賀ストーリー」から、遊郭の建物を撮った「連夜の街」（私はこのへんから知ったんだとおもう）、アパートを撮った「互楽荘」、自身＆同年齢の女性の手足指を接写した「1・9・4・7」、老いた母の身体を接写した「1899」、舞踏家大野一雄の身体を撮影した「1904」、身体に刻印されている傷＝時間が保存されいる跡に逢着した「SCAR」、そして現在製作中の女性の身体を撮った「INNOCENCE」まで。若い頃に嫌悪していた故郷の基地の街・住んでいた貧乏アパートのような環境・外部から、1990年代にナマの人間の身体の部分・様態にオドロキ着目するようになった変化がスゴイと思う。個々の逸話、写真は記録ではなくすべて自身の創作だという話、35mmカメラ・白黒写真・粒子への執着、撮影よりも暗室作業にずっと凝る（版画家に似ている）という話や、最近やっと本当に写真家になったような気がするとの述懐、誰のためでもない写真ための写真・・。アタマで考えるよりはるかに先行・潜行する身体を正直に認識して反応し続けたところがスバラシイ、ためらいのなさ、結果的にまったく他人、特に男性がまねのできないような（誰もしようともおもわなかった）視覚の表現に到達した。苦しみ・差別あるいは身体に傷を持ったニンゲン、同胞の女性たちに有形無形の共感があって、あまり良い言い方じゃないかもしれないが、すべてが「愛の表現」というか、世界に対するいとおしさがうつくしく溢れて結晶しているんだとおもった。
2005年07月28日
2005年07月27日
こどものまつり祭
７／２６
・「第七回全国こども民俗芸能大会」 新宿区霞ヶ丘 日本青年館
能や歌舞伎の子方のように古典芸能のみならず、民俗芸能でもコドモの役割というのは意外に大きい。それと別方向で、学校教育のなかでその地域の民俗芸能をやってみるというのが最近けっこうあるらしい。五線譜で西洋クラシック音楽を教えるよりはずーっとずっと意義深いとおもう。その土地のオトナと一緒にやるわけだし。今日はそうした各地の発表会だったんだけど、じつに多彩で楽しく、オトナ顔負けで迫力たっぷりなのもあった。
*黒川能：「謡祭」「嵐山」（山形県櫛引町、櫛引町立櫛引東小学校）「謡祭（うたいまつり）」とは場の浄めで塩を撒いて三拝する。四拍子はオトナがやったけど地謡はコドモ三十人？くらい（合唱みたいだった）が登場して「嵐山」の中入りの後からで、装束はつけない舞囃子だけど、小学生くらいのかわいい女の子が序の舞で天女、蔵王権現を舞うのもいい見物だった。ほとんどわけがわからなくて演じていてもコドモだと神事＝能になるのね。
*与板民謡：「与板おけさ」ほか（新潟県与板町、与板民謡たちばな会）地震の被害を受けた地区からで三味線と歌、太鼓をすべてコドモたちがやる。たどたどしいコドモの演奏だのにその土地の香りがちゃんとした。
*広大寺：創作劇と芸能（新潟県栃尾市、栃尾市立中野俣小学校）これがいちばん研究会っぽく、地元の「広大寺」という芸能（踊りとうた）の来歴（元禄時代の十日町で起きた最上屋事件でのお坊さんへの悪口歌が発祥で、それが瞽女によって広まり・・）をコドモたちが自主的に劇化したのと、その芸能自体をリンクさせた、なかなか見事な「総合的な学習の時間」。
*有田神楽：「八岐大蛇」（広島県北広島町、有田こども神楽団）これはもう大人の神楽とくらべても遜色がないほど迫力があって見事な神楽。大蛇二匹がとぐろを巻くのを退治する素戔嗚尊の立ち回り。ヒローのアクション＋カタルシスなので十代の男の子に神楽はぴったりだ。
*唐人踊り：（三重県津市、子ども唐人・唐人踊りを継ぐ会）これはおもしろいフシギな芸能。江戸時代の外交使節「朝鮮通信使」を模倣した芸能だそうだがなぜか「唐人」で、縁がピンとした唐子の衣装。それにいろんな表情の朝鮮半島っぽいナマナマしい楽しいお面がエキゾチック。なぜか越天楽の音楽で、プルプル震えるような細かい動きの舞楽？っぽい所作がユニークだった。
*釜ケ原神楽：「大江山」（山口県美和町、北門こども神楽）これも有田神楽同様、ほとんど大人顔負けの迫力で、この地方独特のギンギラ衣装で、酒天童子ほか鬼三匹を退治する源頼光と坂田金時のスペクタクルは、太刀潜りに似た立ち回りや、蜘蛛の糸が飛び交って、それに絡んでダイナミックに進行した。
*滑石（なめし）龍踊：（長崎県長崎市、滑石竜踊保存会こども竜踊）いやーこれはマイッタ。もうほとんど世界中のチャイナタウンでやっている100%中国の芸能だった。長崎市滑石は唐人屋敷の隣町だったそうで、明治10年頃に中国人から習いおぼえて以来続けているらしい。全体ひじょうに大人数で、龍はかなり長大で重く、頭から尾まで十数人で息を合わせて動く。疲れるせいか二つのグループで交互に龍を持った。打楽器、ラッパ（ほんとトランペット）、銅鑼、シンバル・・の女性たちは全員チャイナドレスで、一人がバトントワリングのように指揮をするのがおもしろい。爆発と迫力。玉持ちが龍を先導して上下したり廻ったり・・頭を持ってくるくる回したりしてるのを見ていると、意外と日本の纏持ちに動きが似ているような気もした。
・「第七回全国こども民俗芸能大会」 新宿区霞ヶ丘 日本青年館
能や歌舞伎の子方のように古典芸能のみならず、民俗芸能でもコドモの役割というのは意外に大きい。それと別方向で、学校教育のなかでその地域の民俗芸能をやってみるというのが最近けっこうあるらしい。五線譜で西洋クラシック音楽を教えるよりはずーっとずっと意義深いとおもう。その土地のオトナと一緒にやるわけだし。今日はそうした各地の発表会だったんだけど、じつに多彩で楽しく、オトナ顔負けで迫力たっぷりなのもあった。
*黒川能：「謡祭」「嵐山」（山形県櫛引町、櫛引町立櫛引東小学校）「謡祭（うたいまつり）」とは場の浄めで塩を撒いて三拝する。四拍子はオトナがやったけど地謡はコドモ三十人？くらい（合唱みたいだった）が登場して「嵐山」の中入りの後からで、装束はつけない舞囃子だけど、小学生くらいのかわいい女の子が序の舞で天女、蔵王権現を舞うのもいい見物だった。ほとんどわけがわからなくて演じていてもコドモだと神事＝能になるのね。
*与板民謡：「与板おけさ」ほか（新潟県与板町、与板民謡たちばな会）地震の被害を受けた地区からで三味線と歌、太鼓をすべてコドモたちがやる。たどたどしいコドモの演奏だのにその土地の香りがちゃんとした。
*広大寺：創作劇と芸能（新潟県栃尾市、栃尾市立中野俣小学校）これがいちばん研究会っぽく、地元の「広大寺」という芸能（踊りとうた）の来歴（元禄時代の十日町で起きた最上屋事件でのお坊さんへの悪口歌が発祥で、それが瞽女によって広まり・・）をコドモたちが自主的に劇化したのと、その芸能自体をリンクさせた、なかなか見事な「総合的な学習の時間」。
*有田神楽：「八岐大蛇」（広島県北広島町、有田こども神楽団）これはもう大人の神楽とくらべても遜色がないほど迫力があって見事な神楽。大蛇二匹がとぐろを巻くのを退治する素戔嗚尊の立ち回り。ヒローのアクション＋カタルシスなので十代の男の子に神楽はぴったりだ。
*唐人踊り：（三重県津市、子ども唐人・唐人踊りを継ぐ会）これはおもしろいフシギな芸能。江戸時代の外交使節「朝鮮通信使」を模倣した芸能だそうだがなぜか「唐人」で、縁がピンとした唐子の衣装。それにいろんな表情の朝鮮半島っぽいナマナマしい楽しいお面がエキゾチック。なぜか越天楽の音楽で、プルプル震えるような細かい動きの舞楽？っぽい所作がユニークだった。
*釜ケ原神楽：「大江山」（山口県美和町、北門こども神楽）これも有田神楽同様、ほとんど大人顔負けの迫力で、この地方独特のギンギラ衣装で、酒天童子ほか鬼三匹を退治する源頼光と坂田金時のスペクタクルは、太刀潜りに似た立ち回りや、蜘蛛の糸が飛び交って、それに絡んでダイナミックに進行した。
*滑石（なめし）龍踊：（長崎県長崎市、滑石竜踊保存会こども竜踊）いやーこれはマイッタ。もうほとんど世界中のチャイナタウンでやっている100%中国の芸能だった。長崎市滑石は唐人屋敷の隣町だったそうで、明治10年頃に中国人から習いおぼえて以来続けているらしい。全体ひじょうに大人数で、龍はかなり長大で重く、頭から尾まで十数人で息を合わせて動く。疲れるせいか二つのグループで交互に龍を持った。打楽器、ラッパ（ほんとトランペット）、銅鑼、シンバル・・の女性たちは全員チャイナドレスで、一人がバトントワリングのように指揮をするのがおもしろい。爆発と迫力。玉持ちが龍を先導して上下したり廻ったり・・頭を持ってくるくる回したりしてるのを見ていると、意外と日本の纏持ちに動きが似ているような気もした。
2005年07月26日
蓮と豊志賀
７／２５
休みだったので歩いて上野へ。だいたい本郷東大構内をゆるゆると通り抜ける。並木を歩くと、蝉時雨が頭上から降るようで、なんだか身体自体がズブズブ沈んでゆく錯覚にとらわれる。時折、蝉が歩道の上にひっくりかえっているので死んでいるのか？と靴先で触ってみたら「ジッ！」と鳴いて飛んだ。成虫は短い寿命。不忍池に下りると今時期は大きな蓮の葉がみわたすかぎり波打っており水面がまったく見えない。大きな蕾はいっぱい見えるのだが残念ながら蓮の花は朝方しか開かないのだ。水上音楽堂のあたりに今年はじめて＜蓮見茶屋＞というのができた。
・「７月下席・夜の部」 台東区上野 鈴本演芸場
柳家一九「権兵衛狸」、古今亭菊丸「祇園会」、漫才の大空遊平・かほり、柳家権太楼「子ほめ」、柳家小満ん「悋気の火の玉」、橘家圓太郎「あくび指南」、粋曲の柳家小菊、主任は柳家さん生の三遊亭圓朝作の怪談「真景累ケ淵（しんけいかさねがふち）」から豊志賀のくだり。
寄席が終わってから上野から常磐線で南千住へ。いつものガード下の居酒屋へ入ろうとあるいたらものすごい雨になった。ほうほうのていで店に入るとＴＶではサッカー中継をやっており、なんとＦＣ東京がレアル・マドリードに勝つところだった。選手たちもズブ濡れ。となりのおじさんがサッカーを知らないというので「世界でいちばん有名な選手たちですよ」と説明すると「そうかねー」と言う。山谷〜三ノ輪近辺をぶらぶらして、三ノ輪橋から都電荒川線に乗って庚申塚で下りて、巣鴨とげ抜き地蔵ワキを通って帰った。
休みだったので歩いて上野へ。だいたい本郷東大構内をゆるゆると通り抜ける。並木を歩くと、蝉時雨が頭上から降るようで、なんだか身体自体がズブズブ沈んでゆく錯覚にとらわれる。時折、蝉が歩道の上にひっくりかえっているので死んでいるのか？と靴先で触ってみたら「ジッ！」と鳴いて飛んだ。成虫は短い寿命。不忍池に下りると今時期は大きな蓮の葉がみわたすかぎり波打っており水面がまったく見えない。大きな蕾はいっぱい見えるのだが残念ながら蓮の花は朝方しか開かないのだ。水上音楽堂のあたりに今年はじめて＜蓮見茶屋＞というのができた。
・「７月下席・夜の部」 台東区上野 鈴本演芸場
柳家一九「権兵衛狸」、古今亭菊丸「祇園会」、漫才の大空遊平・かほり、柳家権太楼「子ほめ」、柳家小満ん「悋気の火の玉」、橘家圓太郎「あくび指南」、粋曲の柳家小菊、主任は柳家さん生の三遊亭圓朝作の怪談「真景累ケ淵（しんけいかさねがふち）」から豊志賀のくだり。
寄席が終わってから上野から常磐線で南千住へ。いつものガード下の居酒屋へ入ろうとあるいたらものすごい雨になった。ほうほうのていで店に入るとＴＶではサッカー中継をやっており、なんとＦＣ東京がレアル・マドリードに勝つところだった。選手たちもズブ濡れ。となりのおじさんがサッカーを知らないというので「世界でいちばん有名な選手たちですよ」と説明すると「そうかねー」と言う。山谷〜三ノ輪近辺をぶらぶらして、三ノ輪橋から都電荒川線に乗って庚申塚で下りて、巣鴨とげ抜き地蔵ワキを通って帰った。
2005年07月25日
世界の鏡
７／２３
・「ドレスデン国立美術館展-世界の鏡」 台東区上野公園 国立西洋美術館
今年は日本におけるドイツ年。ドレスデンというと１．カート・ヴォネガットＪｒ．の小説で読んだ、先の大戦での爆撃で街全体が壊滅・炎上＝焼け野原というイメージと、２．旧東ドイツというイメージと、３．ここで見られるような絢爛豪華な宮殿・宝物といったくらいのイメージしかなくて、それらがどうも上手く繋がらないがこれはこれなりでおもしろかった、笑えたというか・・。「ドレスデンはザクセン公国の栄光を今に伝える芸術都市で、ドイツ・ロマン主義誕生の地」なんだそうで、ザクセン選帝公が1560年に創設した「美術収集室」に始まりいろんな分野のコレクションがあってこの展示はその一部。ドイツの近代ってものの根幹がちょっとだけ窺えた？まず科学技術にかんする測定器や地球儀や図や道具や・・この時代は科学技術と芸術が同じもんだったのがよくわかる。宝物は魔法に通じる。渾天儀なんか小さかったけど中国の明代のにそっくりだな。しかし「胡椒挽き仕込み棍棒」とはいったい何だ？次にトルコ趣味で、軍隊の行進とか服装とかメダルとか・・オスマン帝国への恐怖綯い交ぜの憧れ？、次にイタリア趣味でティツアーノの絵画を先頭に・・。次にフランス宮廷文化への憧れで豪華ダイアモンドや・・しかし「アンタは外国指向ばっかしでいったい主体性ってもんがあるのか？」ってツッコミたくなるけど、でもドイツばかりじゃなくてロシア・日本を含めて世界中の王室ってもんは近世以降はほとんど、こんなもんだろう。外国宝物指向。なかでも次の日本と中国の陶器コレクションは、憧れが高じてそれを完全コピーしたマイセン陶器（よく作ったよ）と並べた展示等々・・を見てゆくと、静謐な展示室内なので抑えてはいるけど、思わずギャハハと笑い出したくなるほど可笑しいのよ。この頃は著作権なんて考えはないしね。その俗っぽさ・面妖さの次には、オランダ絵画コレクションでそのトップがフェルメールなんだからなあ・・。たぶんこの「窓辺で手紙を読む若い女」一点でこの展覧会の意義があったちゅうくらい良かったですね。レンブラントの童子ケツ見せ「ガニュメデスの誘拐」も。で、最後のコーナーで明らかになるが、１９世紀くらいのドイツの絵画を見ていると、けっきょく、ドイツロマン主義的世界観ってのは、古代ローマ帝国の正当な継承者＝ヨ−ロッパ文化のみならず、世界中の良き物を集大成して、それらを統合・代表しつつもそこから脱皮して近代国家なり近代の個人って基底をつくったっていう自負なんであって、それはたぶんこれらのいささか秘教めいた絵画に帰結したり、あるいはナチス＝ヒットラーの野望の原点でもあったんだろうっていう恐ろしさもありますね。DRESDEN-Spiegel der Welt.Die Staatlichen Kunstsammlungen Dresden in Japan
・「ドレスデン国立美術館展-世界の鏡」 台東区上野公園 国立西洋美術館
今年は日本におけるドイツ年。ドレスデンというと１．カート・ヴォネガットＪｒ．の小説で読んだ、先の大戦での爆撃で街全体が壊滅・炎上＝焼け野原というイメージと、２．旧東ドイツというイメージと、３．ここで見られるような絢爛豪華な宮殿・宝物といったくらいのイメージしかなくて、それらがどうも上手く繋がらないがこれはこれなりでおもしろかった、笑えたというか・・。「ドレスデンはザクセン公国の栄光を今に伝える芸術都市で、ドイツ・ロマン主義誕生の地」なんだそうで、ザクセン選帝公が1560年に創設した「美術収集室」に始まりいろんな分野のコレクションがあってこの展示はその一部。ドイツの近代ってものの根幹がちょっとだけ窺えた？まず科学技術にかんする測定器や地球儀や図や道具や・・この時代は科学技術と芸術が同じもんだったのがよくわかる。宝物は魔法に通じる。渾天儀なんか小さかったけど中国の明代のにそっくりだな。しかし「胡椒挽き仕込み棍棒」とはいったい何だ？次にトルコ趣味で、軍隊の行進とか服装とかメダルとか・・オスマン帝国への恐怖綯い交ぜの憧れ？、次にイタリア趣味でティツアーノの絵画を先頭に・・。次にフランス宮廷文化への憧れで豪華ダイアモンドや・・しかし「アンタは外国指向ばっかしでいったい主体性ってもんがあるのか？」ってツッコミたくなるけど、でもドイツばかりじゃなくてロシア・日本を含めて世界中の王室ってもんは近世以降はほとんど、こんなもんだろう。外国宝物指向。なかでも次の日本と中国の陶器コレクションは、憧れが高じてそれを完全コピーしたマイセン陶器（よく作ったよ）と並べた展示等々・・を見てゆくと、静謐な展示室内なので抑えてはいるけど、思わずギャハハと笑い出したくなるほど可笑しいのよ。この頃は著作権なんて考えはないしね。その俗っぽさ・面妖さの次には、オランダ絵画コレクションでそのトップがフェルメールなんだからなあ・・。たぶんこの「窓辺で手紙を読む若い女」一点でこの展覧会の意義があったちゅうくらい良かったですね。レンブラントの童子ケツ見せ「ガニュメデスの誘拐」も。で、最後のコーナーで明らかになるが、１９世紀くらいのドイツの絵画を見ていると、けっきょく、ドイツロマン主義的世界観ってのは、古代ローマ帝国の正当な継承者＝ヨ−ロッパ文化のみならず、世界中の良き物を集大成して、それらを統合・代表しつつもそこから脱皮して近代国家なり近代の個人って基底をつくったっていう自負なんであって、それはたぶんこれらのいささか秘教めいた絵画に帰結したり、あるいはナチス＝ヒットラーの野望の原点でもあったんだろうっていう恐ろしさもありますね。DRESDEN-Spiegel der Welt.Die Staatlichen Kunstsammlungen Dresden in Japan
2005年07月24日
江戸人の西洋画
地震けっこう揺れましたね（東京震度４）、こわかったですねー。
７／２２
・「五百城文哉（いおきぶんさい）展 蘇る明治の洋画家 咲き競う百花百草」 千代田区丸の内 東京ステーションギャラリー
今年の春頃、目黒区美術館で＜「川村清雄」を知っていますか？＞って展覧会を見た。これとタッチはまったく違うけれでも、やはり＜江戸人の西洋画＞って感じでとてもオモシロカッタ。透視図法etc・・西洋画のテクニックに通暁して自在に描写できるけれども、そのヒトの感性自体はほとんど100%江戸人のまま＝その文化衝突のフシギなおもしろさが現在見るとやたら新鮮だったりする。芸術家ってよりはある種の職人めいた気質を感じる。五百城文哉(1863〜1906、享年42歳!)は文久三年水戸藩士の子として生まれ高橋由一の弟子で洋画を学んだが、官とは決別して漂白の生活だったらしい。日光に住み、東照宮陽明門の水彩は、外国人ミヤゲ用に得意だったのか、やたらとたくさん描いているが（ヨーロッパで彼の水彩は有名だったらしい）、詳細な描写かつ均整のとれたダイナミズム・拡がりに感嘆する。第二室の明るいひろがりのある海浜展望、蓑をしょった地方名士の矜持ある肖像画がすばらしい。が、展示の半分以上はじつは植物画、それも高山植物なのだ。好きだったのねー。エビネとかコマクサとか・・細密な植物自体の描写のみならず、想像して描いたとおもわれる、霧深くも切り立った高峰の岩山を背景として、リアルかつナントモ幻想的な植物画が新鮮だった。現実を模した夢のようだ。圧巻は現実の植物群を障壁画に結集させた「晃嶺群芳之図」「百花屏風」で、ひじょうに奇妙な楽園みたいだなあ・・。もう死んで百年近くもたった画家なのに、こうして回顧展がひらかれてその生涯・存在が類推できるのはありがたいことだ。
７／２２
・「五百城文哉（いおきぶんさい）展 蘇る明治の洋画家 咲き競う百花百草」 千代田区丸の内 東京ステーションギャラリー
今年の春頃、目黒区美術館で＜「川村清雄」を知っていますか？＞って展覧会を見た。これとタッチはまったく違うけれでも、やはり＜江戸人の西洋画＞って感じでとてもオモシロカッタ。透視図法etc・・西洋画のテクニックに通暁して自在に描写できるけれども、そのヒトの感性自体はほとんど100%江戸人のまま＝その文化衝突のフシギなおもしろさが現在見るとやたら新鮮だったりする。芸術家ってよりはある種の職人めいた気質を感じる。五百城文哉(1863〜1906、享年42歳!)は文久三年水戸藩士の子として生まれ高橋由一の弟子で洋画を学んだが、官とは決別して漂白の生活だったらしい。日光に住み、東照宮陽明門の水彩は、外国人ミヤゲ用に得意だったのか、やたらとたくさん描いているが（ヨーロッパで彼の水彩は有名だったらしい）、詳細な描写かつ均整のとれたダイナミズム・拡がりに感嘆する。第二室の明るいひろがりのある海浜展望、蓑をしょった地方名士の矜持ある肖像画がすばらしい。が、展示の半分以上はじつは植物画、それも高山植物なのだ。好きだったのねー。エビネとかコマクサとか・・細密な植物自体の描写のみならず、想像して描いたとおもわれる、霧深くも切り立った高峰の岩山を背景として、リアルかつナントモ幻想的な植物画が新鮮だった。現実を模した夢のようだ。圧巻は現実の植物群を障壁画に結集させた「晃嶺群芳之図」「百花屏風」で、ひじょうに奇妙な楽園みたいだなあ・・。もう死んで百年近くもたった画家なのに、こうして回顧展がひらかれてその生涯・存在が類推できるのはありがたいことだ。
2005年07月22日
「個」の死
エイズと認知症・アルツハイマーはよく似ている。内部外部を区別して先天的な「個」を保証する免疫的な全体性が壊れてゆく（内部と外部が同じになる）のと、「人格」を成り立たせている後天的な「個」の記憶（多くの場合、周囲のニンゲン・家族等と共有している関係の記憶だが）その他もろもろすべてが失われてゆくのと。生物的にはいちおう生きたままでありながらも、決定的な「個」の死をむかえることになる。その過程をじっと自ら味わうor見守るのは恐ろしく悲しいことであろう。
宗教的な覚醒、あるいは修行・断食等によるある種の境地、あるいは昔ながらの共同体における成人儀礼＝イニシエーションは、人為的に、それまであった人格の「死」と「再生」を制度化したようにもおもわれる。仕組み＝没我、憑依、修行、トランス状態、脱魂、入魂・・なども同様。「個」「共同体」を一度を超越して「種」の根源に立ち帰ってまた戻ってくるための試み。
われわれ哺乳類は、昆虫や爬虫類と違って、蛹になって羽化したり、脱皮したりできないから、生における様相の変化が外見からは見えにくいってコトだろう。だから場合によってはアタマを剃ったり服や化粧〜外見を変えたりしなければならない。
宗教的な覚醒、あるいは修行・断食等によるある種の境地、あるいは昔ながらの共同体における成人儀礼＝イニシエーションは、人為的に、それまであった人格の「死」と「再生」を制度化したようにもおもわれる。仕組み＝没我、憑依、修行、トランス状態、脱魂、入魂・・なども同様。「個」「共同体」を一度を超越して「種」の根源に立ち帰ってまた戻ってくるための試み。
われわれ哺乳類は、昆虫や爬虫類と違って、蛹になって羽化したり、脱皮したりできないから、生における様相の変化が外見からは見えにくいってコトだろう。だから場合によってはアタマを剃ったり服や化粧〜外見を変えたりしなければならない。
2005年07月21日
2005年07月19日
大銀座落語会2005
今日は一日中、落語漬け。今年の大銀座落語会は＜上方落語がやってきた！＞特集で、大阪から大挙して噺家等が来襲した。他にもおもしろい企画満載で凄かったナー。
７／１８
・「立川談笑の危険な独演会」 中央区銀座 JUJIYAホール
ゲームっぽくまたサイバーっぽい噺の最右翼で、もうすぐ真打の立川談笑特集。あまりにもあーぶないので内容はインターネットには書かないで！と言っていた。以前にも聴いたことがあるスペイン語版「蟇の油」プラス、サイバー版「片棒＝赤西やケチ兵衛」、もっともきたなーい＜あくび指南＞ならぬ「ゲロ指南」で満員の会場大笑いだった。
・「NHK演芸コンクール東京版優秀賞受賞者による落語会」 中央区銀座 JUJIYAホール
古今亭菊之丞「町内の若い衆」、桂平治「源平盛衰記」、春風亭正朝「祇園会」、桂ひな太郎「締め込み」、瀧川鯉昇「粗忽の釘」。とうぜん皆、上手なんだけど、菊之丞の端正さ、平治の余裕、正朝の学究・芸達者、ひな太郎の女形、鯉昇の陰惨さがそれぞれきわだつ。
・「お楽しみ企画Ｅ」 中央区銀座 ヤマハホール
*第一部＜旬のお笑い大集合！＞：女の子たちに人気の若手たちが登場で客席はキャーキャー。あまりおもしろくなくても皆、笑うのね。それとなんかアート指向っぽいとこあるのね。シュールで端正な２人コントのキング・オブ・コメディ、恰好は派手な２人組だけどスタイルは地味な漫才の東京ダイナマイト、デニーロ真似のテル（どーよ）、巨漢＋スキンヘッドの女声＋男の異形の３人組の安田大サーカス、二人組で「田中さん」が天才のスピードワゴン。
*第二部＜上方の人気者勢揃い！＞：桂小枝、桂きん枝「親子酒」だが大阪では前段でうどんを食うのがおもしろい、桂文福は和歌山出身の巨漢でいい声で河内音頭〜相撲甚句、庄屋の死体が右往左往して死体を踊らせたりする月亭八方「算段の平兵衛」は奇怪かつ大坂落語の独特な味わいが興味深かった。
７／１８
・「立川談笑の危険な独演会」 中央区銀座 JUJIYAホール
ゲームっぽくまたサイバーっぽい噺の最右翼で、もうすぐ真打の立川談笑特集。あまりにもあーぶないので内容はインターネットには書かないで！と言っていた。以前にも聴いたことがあるスペイン語版「蟇の油」プラス、サイバー版「片棒＝赤西やケチ兵衛」、もっともきたなーい＜あくび指南＞ならぬ「ゲロ指南」で満員の会場大笑いだった。
・「NHK演芸コンクール東京版優秀賞受賞者による落語会」 中央区銀座 JUJIYAホール
古今亭菊之丞「町内の若い衆」、桂平治「源平盛衰記」、春風亭正朝「祇園会」、桂ひな太郎「締め込み」、瀧川鯉昇「粗忽の釘」。とうぜん皆、上手なんだけど、菊之丞の端正さ、平治の余裕、正朝の学究・芸達者、ひな太郎の女形、鯉昇の陰惨さがそれぞれきわだつ。
・「お楽しみ企画Ｅ」 中央区銀座 ヤマハホール
*第一部＜旬のお笑い大集合！＞：女の子たちに人気の若手たちが登場で客席はキャーキャー。あまりおもしろくなくても皆、笑うのね。それとなんかアート指向っぽいとこあるのね。シュールで端正な２人コントのキング・オブ・コメディ、恰好は派手な２人組だけどスタイルは地味な漫才の東京ダイナマイト、デニーロ真似のテル（どーよ）、巨漢＋スキンヘッドの女声＋男の異形の３人組の安田大サーカス、二人組で「田中さん」が天才のスピードワゴン。
*第二部＜上方の人気者勢揃い！＞：桂小枝、桂きん枝「親子酒」だが大阪では前段でうどんを食うのがおもしろい、桂文福は和歌山出身の巨漢でいい声で河内音頭〜相撲甚句、庄屋の死体が右往左往して死体を踊らせたりする月亭八方「算段の平兵衛」は奇怪かつ大坂落語の独特な味わいが興味深かった。
ケンちゃんの贈りもの
花畑から帰って自宅でちょっと午睡して夕方また出かけた。
７／１７のつづき
・「ケンちゃんの贈りもの」 目黒区駒場 こまばアゴラ劇場
弘前劇場の東京公演、畑澤聖悟作・演出。何もかも忘れてしまえるのは幸せなことだと思っていた。老父の傘寿のお祝いに義理の息子の贈りものとは？互いに意向が食い違って、これは「楢山節考」みたいになるかのなーとおもったら違った。老いとニンゲンの記憶。悲劇の上塗りで。そういえば認知症・あるいはアルツハイマーで、やったコトをすぐ忘れてしまうので体中にあらゆるコトを書き込む映画があったな。いつも弘前劇場の舞台は日常の延長のようにたんたんとしており、何も起こらないようでいてひっかかりがあり、決定的に残酷な瞬間を経て、もう元へはけっして戻れなくなるのが、やっぱり日常のようで恐ろしい劇的たくらみ。今回も寿司のヤケ食いで終わるのが「あー」と思った。畑澤の抑制した作、周到で緻密な演出とすべりこませたギャグといつもの本格津軽弁（速くてよくわからない）or津軽訛り標準語。主演の福士賢治の演技（一度だけ爆発する）と年配俳優二人の宮越昭司、長谷川等の軽妙さ、女優の森内美由紀など。
７／１７のつづき
・「ケンちゃんの贈りもの」 目黒区駒場 こまばアゴラ劇場
弘前劇場の東京公演、畑澤聖悟作・演出。何もかも忘れてしまえるのは幸せなことだと思っていた。老父の傘寿のお祝いに義理の息子の贈りものとは？互いに意向が食い違って、これは「楢山節考」みたいになるかのなーとおもったら違った。老いとニンゲンの記憶。悲劇の上塗りで。そういえば認知症・あるいはアルツハイマーで、やったコトをすぐ忘れてしまうので体中にあらゆるコトを書き込む映画があったな。いつも弘前劇場の舞台は日常の延長のようにたんたんとしており、何も起こらないようでいてひっかかりがあり、決定的に残酷な瞬間を経て、もう元へはけっして戻れなくなるのが、やっぱり日常のようで恐ろしい劇的たくらみ。今回も寿司のヤケ食いで終わるのが「あー」と思った。畑澤の抑制した作、周到で緻密な演出とすべりこませたギャグといつもの本格津軽弁（速くてよくわからない）or津軽訛り標準語。主演の福士賢治の演技（一度だけ爆発する）と年配俳優二人の宮越昭司、長谷川等の軽妙さ、女優の森内美由紀など。
足立区花畑大鷲神社の獅子舞
北千住から東武伊勢崎線で竹ノ塚へ。足立区。ここで下りたのは初めて。暑い暑い暑い。東武バスで花畑（はなはた）団地行き終点で降りてから、炎天下テクテク細長い牧草地みたいな緑地＝花畑北中学校のヨコをあるいてゆくと、だんだん笛・太鼓の音が風に乗って聞こえ始めた。獅子舞の行列がワキのお寺＝福寿院に来ていたのだ。その行列にくっついて・・。
７／１７
・「花畑大鷲神社（はなはたおおとりじんじゃ）の獅子舞」 足立区花畑
行列は先頭の旗持ち２人、御幣持ち（御幣や弓などを持つ）１人、花笠４人（１０歳前後の私服の女の子で、花笠の頂に太陽・月・花など、ヨコにつけた菖蒲花弁？が涼やか）、獅子は３人＝三匹でそれぞれ鼓の太鼓を腹に付けてアタマ後部〜は軍鶏の羽根で飾っており、歩くときは獅子頭をかくしているが親子という設定らしい、最後は笛が十数人吹きながら続く。やがて百メートルくらいあるいて花畑大鷲神社に帰着。このへんは真っ平らな土地で周囲は団地が多い。この神社は例の「酉の市」の発祥の地でもある。さて本殿前に帰ってきた獅子たち一行は「岡崎の舞」という一頭づつのソロの舞を始めた。母獅子、次男獅子、長男獅子の順で、天下太平・五穀豊穣・悪疫退散のための舞いだという。じっさい本当の親子の舞い手だった。日中であまりに暑いので手伝いのおばさん方が獅子たちを団扇であおいでやっている。私も売ってた氷を食べながら見た。ここの獅子舞は見に来てよかった。「天下一角兵衛流」だという。パフォーマンスに獣性が濃いというか、ホントに動物に成りきったような境地があってパワーがあった。花笠や御幣に突っかかってゆく。ニンゲンにとって芸能とは獣性を遺憾なく発揮できるまたとない機会なのかしれん。獅子頭も古くてそれぞれ迫力があってすばらしく、まだ本気でやっている神事という雰囲気がひしひしとつたわる。「岡崎の舞」の後、しばらく休んで、本殿下の結界で、今度は女性たち３人の獅子による「幣掛の舞」。これも緊密な連携が見事で本気でやってるのがわかる。すぐワキで見ていたのだが、獅子の口から、没入して恍惚状態で舞っている女性の顔がチラリとのぞいた、ほおー。午前中はこれで終わりだったので帰ることにしたが、午後から「綱渡り」「橋渡り」「花隠し」の舞いがあったらしい。今度見てみよう。週一回練習しているらしいが、ここの保存会はなかなかだった。
で、神社の境内をちょっと離れて見回してもこの周辺には店とか食堂とかがぜんぜんないのだった。バスで帰ろうと、同じスタイルのアパート建築がズラリと並んでいる公団花畑団地内を歩いていると、街路はぜんぜん人気がなく黙りこくってちょっと気持ちわるいくらい静か。「ペット禁止！」と大きなカンバンがあった。地図を見てみると数百メーターあるいて橋を渡ると、もう埼玉県（草加市）なんですね。いちおう都内なのにまるで外国に来たかのような気分だった。そういえばこないだ獅子舞を見に行った六郷も東京の端だったな。
７／１７
・「花畑大鷲神社（はなはたおおとりじんじゃ）の獅子舞」 足立区花畑
行列は先頭の旗持ち２人、御幣持ち（御幣や弓などを持つ）１人、花笠４人（１０歳前後の私服の女の子で、花笠の頂に太陽・月・花など、ヨコにつけた菖蒲花弁？が涼やか）、獅子は３人＝三匹でそれぞれ鼓の太鼓を腹に付けてアタマ後部〜は軍鶏の羽根で飾っており、歩くときは獅子頭をかくしているが親子という設定らしい、最後は笛が十数人吹きながら続く。やがて百メートルくらいあるいて花畑大鷲神社に帰着。このへんは真っ平らな土地で周囲は団地が多い。この神社は例の「酉の市」の発祥の地でもある。さて本殿前に帰ってきた獅子たち一行は「岡崎の舞」という一頭づつのソロの舞を始めた。母獅子、次男獅子、長男獅子の順で、天下太平・五穀豊穣・悪疫退散のための舞いだという。じっさい本当の親子の舞い手だった。日中であまりに暑いので手伝いのおばさん方が獅子たちを団扇であおいでやっている。私も売ってた氷を食べながら見た。ここの獅子舞は見に来てよかった。「天下一角兵衛流」だという。パフォーマンスに獣性が濃いというか、ホントに動物に成りきったような境地があってパワーがあった。花笠や御幣に突っかかってゆく。ニンゲンにとって芸能とは獣性を遺憾なく発揮できるまたとない機会なのかしれん。獅子頭も古くてそれぞれ迫力があってすばらしく、まだ本気でやっている神事という雰囲気がひしひしとつたわる。「岡崎の舞」の後、しばらく休んで、本殿下の結界で、今度は女性たち３人の獅子による「幣掛の舞」。これも緊密な連携が見事で本気でやってるのがわかる。すぐワキで見ていたのだが、獅子の口から、没入して恍惚状態で舞っている女性の顔がチラリとのぞいた、ほおー。午前中はこれで終わりだったので帰ることにしたが、午後から「綱渡り」「橋渡り」「花隠し」の舞いがあったらしい。今度見てみよう。週一回練習しているらしいが、ここの保存会はなかなかだった。
で、神社の境内をちょっと離れて見回してもこの周辺には店とか食堂とかがぜんぜんないのだった。バスで帰ろうと、同じスタイルのアパート建築がズラリと並んでいる公団花畑団地内を歩いていると、街路はぜんぜん人気がなく黙りこくってちょっと気持ちわるいくらい静か。「ペット禁止！」と大きなカンバンがあった。地図を見てみると数百メーターあるいて橋を渡ると、もう埼玉県（草加市）なんですね。いちおう都内なのにまるで外国に来たかのような気分だった。そういえばこないだ獅子舞を見に行った六郷も東京の端だったな。
2005年07月18日
江戸三味線音楽の歴史
７／１６
・「＜江戸三味線音楽の歴史＞ 第五回 変わりゆく社会 天保の改革〜幕末」 千代田区隼町 国立劇場小劇場
毎年、このシリーズは竹内道敬先生のご案内で、以前は演芸場でやってたのを数回見たが、会場を小劇場に移しての第五回目。私にとって貴重な勉強の機会で楽しみ。本来、このシリーズは今年が最終回のはずだったが、来年も＜増補明治期＞をやるとのこと。こんな風に編年順にいろんな三味線音楽を並べて聴く機会はじつはとても少ない。三味線音楽って日本近世芸能の華だけれども、それぞれ芸態が違うのでその実質を一堂で比較検討するチャンスがあまりないのだ。現在、江戸趣味とかなんとかいってるのは、だいたいがこの１９世紀中〜後期くらいにできたものがほとんど。この時代は、天保の改革(1841)で芸能・風俗の取り締まり〜黒船来航＝大変動がおしよせつつあり、細かい美的耽溺・デカダンスの脳天気のなかに底知れぬ不安が渦巻いてたってのは現代に通じるかも。
*長唄「秋色種（あきのいろぐさ）」：（今藤長一郎ほか／今藤長瀧郎ほか）弘化二年(1845)大名の奥さんが作詞して新築祝いで初演されたってことで、えらく上品な名曲。若手の演奏家で気持ちよく眠った。
*義太夫節「新版歌祭文 野崎村の段」：（竹本駒之助／鶴澤津賀寿ほか）近松半二作で安永九年(1780)初演。義太夫でいちばん有名な部分。天保の改革で女浄瑠璃が禁止されたってことで、今日は人間国宝の女流義太夫の太夫による語り。三味線の津賀寿さんは十数年前に一緒のイベントに出てもらったことあるんだけど、もうすっかり重鎮だね。十数年ぶりに見たかな。お弟子さんがたくさんツレ弾きで、有名なところをそろって弾いた。
*小唄「めぐる日」「とめても帰る」「梅雨の晴れ間」「夕立や田を」「一声を花」「三つの車」「逢うて別れて」「晩に忍ばば」「上汐」：（春日とよ栄之／春日とよ喜扇）天保の改革の職業人以外三味線禁止で、伴奏楽器のない短いきれはしの歌＝端唄がたくさんできた。端唄→うた沢→小唄ときて明治期以降に作られたものも含む。三味線を爪弾きで音量小さく、いかにも禁制のなかで生まれたどんずまりの究極座敷室内楽って感じ。関西の地唄・上方歌を比較するとその感覚の違いが興味深い。
*常磐津節「三世錦繍文章（さんぜそうにしきぶんしょう） 三社祭礼の段」：（常磐津和佐太夫／常磐津文字蔵ほか、囃子連中も）安政五年(1855)初演。この時代、常磐津がいちばん元気だったらしく、連獅子の鳴き交わし、木遣り・物売りの声も含めて、にぎにぎしく楽しい演奏でよかった。ちょっと眠った。
よく思うのは、もしこのへんの時代に日本にギターが入って三味線の並んで広く使われていたらどうなってたかなってこと。三味線弾きがギター弾いたり、混在したらおもしろかったのに。ハワイアンやインドネシアのクロンチョンなんかに並ぶような東アジア圏独特のポピュラーソングができていたかも？それにしても現在は、ギタリストだけじゃなくて日本のポピュラー音楽のミュージシャンのほとんどは、長唄も常磐津も義太夫も小唄も三味線音楽ぜんたいな〜んにも知らなかったりする。
・「＜江戸三味線音楽の歴史＞ 第五回 変わりゆく社会 天保の改革〜幕末」 千代田区隼町 国立劇場小劇場
毎年、このシリーズは竹内道敬先生のご案内で、以前は演芸場でやってたのを数回見たが、会場を小劇場に移しての第五回目。私にとって貴重な勉強の機会で楽しみ。本来、このシリーズは今年が最終回のはずだったが、来年も＜増補明治期＞をやるとのこと。こんな風に編年順にいろんな三味線音楽を並べて聴く機会はじつはとても少ない。三味線音楽って日本近世芸能の華だけれども、それぞれ芸態が違うのでその実質を一堂で比較検討するチャンスがあまりないのだ。現在、江戸趣味とかなんとかいってるのは、だいたいがこの１９世紀中〜後期くらいにできたものがほとんど。この時代は、天保の改革(1841)で芸能・風俗の取り締まり〜黒船来航＝大変動がおしよせつつあり、細かい美的耽溺・デカダンスの脳天気のなかに底知れぬ不安が渦巻いてたってのは現代に通じるかも。
*長唄「秋色種（あきのいろぐさ）」：（今藤長一郎ほか／今藤長瀧郎ほか）弘化二年(1845)大名の奥さんが作詞して新築祝いで初演されたってことで、えらく上品な名曲。若手の演奏家で気持ちよく眠った。
*義太夫節「新版歌祭文 野崎村の段」：（竹本駒之助／鶴澤津賀寿ほか）近松半二作で安永九年(1780)初演。義太夫でいちばん有名な部分。天保の改革で女浄瑠璃が禁止されたってことで、今日は人間国宝の女流義太夫の太夫による語り。三味線の津賀寿さんは十数年前に一緒のイベントに出てもらったことあるんだけど、もうすっかり重鎮だね。十数年ぶりに見たかな。お弟子さんがたくさんツレ弾きで、有名なところをそろって弾いた。
*小唄「めぐる日」「とめても帰る」「梅雨の晴れ間」「夕立や田を」「一声を花」「三つの車」「逢うて別れて」「晩に忍ばば」「上汐」：（春日とよ栄之／春日とよ喜扇）天保の改革の職業人以外三味線禁止で、伴奏楽器のない短いきれはしの歌＝端唄がたくさんできた。端唄→うた沢→小唄ときて明治期以降に作られたものも含む。三味線を爪弾きで音量小さく、いかにも禁制のなかで生まれたどんずまりの究極座敷室内楽って感じ。関西の地唄・上方歌を比較するとその感覚の違いが興味深い。
*常磐津節「三世錦繍文章（さんぜそうにしきぶんしょう） 三社祭礼の段」：（常磐津和佐太夫／常磐津文字蔵ほか、囃子連中も）安政五年(1855)初演。この時代、常磐津がいちばん元気だったらしく、連獅子の鳴き交わし、木遣り・物売りの声も含めて、にぎにぎしく楽しい演奏でよかった。ちょっと眠った。
よく思うのは、もしこのへんの時代に日本にギターが入って三味線の並んで広く使われていたらどうなってたかなってこと。三味線弾きがギター弾いたり、混在したらおもしろかったのに。ハワイアンやインドネシアのクロンチョンなんかに並ぶような東アジア圏独特のポピュラーソングができていたかも？それにしても現在は、ギタリストだけじゃなくて日本のポピュラー音楽のミュージシャンのほとんどは、長唄も常磐津も義太夫も小唄も三味線音楽ぜんたいな〜んにも知らなかったりする。
2005年07月17日
このまま舟で行く
７／１５
・「TASKEプレゼンツ東西合併企画」 新宿区百人町 HOTSHOT
カシオトーンを弾き歌う身障者？シンガーソングライターのTASKEくんがプロデュースするイベントに２５２５稼業（平山亜佐子vo、廣川沙羅vo）＋須藤かよ（ピアニカ、大正琴）・高橋裕(g)で参加した。「このまま舟で行く」んだそうで、アラビヤの歌、深川くずし、ソーラン節、砂山、舟唄、ブリヤートの歌、ツカナ、定点観測、しゃくだ（須藤さんの）、ピアニカ吹いて、メダンの月、旅芸人の記録、を演奏した。ほとんど私の曲なんだけれども、私は徹夜明けで体調が良くなくてちょっと弾き損なったりした。ソーラン節、砂山は私のアレンジでの演奏は世界初演かも＝メデタイ。須藤さんのピアニカは稜線が鋭かった。他のもいろんなヒトが出たが、以前にもここでご一緒した西山正規さんというブギーの達人の一人ロックが穿ってワイルドでシブかったし、一年に一回くらいはTASKEくんの世界に対峙するのもいい経験だ。彼はＭＣが長いのでほとんど語り芸といっていいくらいだが、なんとなく大道芸人というか、馬券の予想屋みたいだなあと思った。「題して〜」と曲を始めたり、ライヴの終わりを三本締めにしたりするのは常識人だってことか。全体に音楽のアウトサイダーアートの展覧会といった按配だったが、各々の純真な取り組みは意外にマトモで叙情的な詩の世界だったりして味わい深い。比較すると私の音楽はなんて常識的でスレッカラシなんだろうと思っちゃったが、ま、これはこれなりだ。
これでとうぶんライヴがないので（８月下旬まで）ホッとしている。そろそろ秋〜冬の準備を・・。
・「TASKEプレゼンツ東西合併企画」 新宿区百人町 HOTSHOT
カシオトーンを弾き歌う身障者？シンガーソングライターのTASKEくんがプロデュースするイベントに２５２５稼業（平山亜佐子vo、廣川沙羅vo）＋須藤かよ（ピアニカ、大正琴）・高橋裕(g)で参加した。「このまま舟で行く」んだそうで、アラビヤの歌、深川くずし、ソーラン節、砂山、舟唄、ブリヤートの歌、ツカナ、定点観測、しゃくだ（須藤さんの）、ピアニカ吹いて、メダンの月、旅芸人の記録、を演奏した。ほとんど私の曲なんだけれども、私は徹夜明けで体調が良くなくてちょっと弾き損なったりした。ソーラン節、砂山は私のアレンジでの演奏は世界初演かも＝メデタイ。須藤さんのピアニカは稜線が鋭かった。他のもいろんなヒトが出たが、以前にもここでご一緒した西山正規さんというブギーの達人の一人ロックが穿ってワイルドでシブかったし、一年に一回くらいはTASKEくんの世界に対峙するのもいい経験だ。彼はＭＣが長いのでほとんど語り芸といっていいくらいだが、なんとなく大道芸人というか、馬券の予想屋みたいだなあと思った。「題して〜」と曲を始めたり、ライヴの終わりを三本締めにしたりするのは常識人だってことか。全体に音楽のアウトサイダーアートの展覧会といった按配だったが、各々の純真な取り組みは意外にマトモで叙情的な詩の世界だったりして味わい深い。比較すると私の音楽はなんて常識的でスレッカラシなんだろうと思っちゃったが、ま、これはこれなりだ。
これでとうぶんライヴがないので（８月下旬まで）ホッとしている。そろそろ秋〜冬の準備を・・。
2005年07月14日
佃の盆踊り
７／１３
・「佃の盆踊り」 中央区佃
有楽町線月島駅で馬頭琴の横田さんと待ち合わせて、まず今年も月島の西仲通商店街の「草市」の露店をぶらぶらする。高層マンションがたくさんできたせいか、コドモたちがやたら多い。この少子化ニッポンでは珍しく、何となくウレシイような。ちょっと歩いてから佃へ。今年は３年に一度の大祭(8/5〜8/8)なので、佃小橋のたもとでは巨大な幟を上げるために木の礎がつくられたり、獅子頭の飾る屋台が作られており、なんだか街中ワクワクモードだ。橋を渡ると提灯が見えてだんだん櫓の太鼓の音が聞こえてくる。まず正面の無縁仏の仏壇に手を合わせる。これがいちばん重要。８時まではコドモの盆踊りなんだけど、上記の通りコドモがいーっぱいで、毎年、だんだん増えてるのではないか。「ステージ・ママ」みたいな母親もいたりして、旧渡船場跡はヒトでいっぱい。大祭にあわせてなのか櫓が新しくピカピカになった。子供盆踊りが終わって「お菓子券」(\120)が配られた。展望台から隅田川の流れを見る。８時から飯田常男さんが櫓に上ってナマで太鼓を叩き歌い始めてオトナの踊る時間。ちょっと踊った。いわゆる「ナンバ」の動き。現在は外部から踊りに来たヒトのほうが多いんだろう。昨年ご案内した知久さん、りえさん、渡瀬さんも友人たちと来ていて、会えてウレシかった。老若男女区別なくゆ〜ったり踊って死者の供養をする＜念仏踊り＞が残っているのは、東京ではここだけで、ホント貴重な芸能だ。墓参りなどしない私にとっては、死者を想って祈る貴重な機会でもある。終わってから、横田さんと別れて、知久さんたちと昨年に続きまた月島へ「もんじゃ焼き」を食べに行った。だんだん「もんじゃ」がわかってきてこれなりにおもしろいものだとわかった。形態がはっきりしない食物なんですね。「サード・クラス」というバンドの方、「イデビアン・クルー」のダンサーの方など、いろいろお話ができて楽しかった。
・「佃の盆踊り」 中央区佃
有楽町線月島駅で馬頭琴の横田さんと待ち合わせて、まず今年も月島の西仲通商店街の「草市」の露店をぶらぶらする。高層マンションがたくさんできたせいか、コドモたちがやたら多い。この少子化ニッポンでは珍しく、何となくウレシイような。ちょっと歩いてから佃へ。今年は３年に一度の大祭(8/5〜8/8)なので、佃小橋のたもとでは巨大な幟を上げるために木の礎がつくられたり、獅子頭の飾る屋台が作られており、なんだか街中ワクワクモードだ。橋を渡ると提灯が見えてだんだん櫓の太鼓の音が聞こえてくる。まず正面の無縁仏の仏壇に手を合わせる。これがいちばん重要。８時まではコドモの盆踊りなんだけど、上記の通りコドモがいーっぱいで、毎年、だんだん増えてるのではないか。「ステージ・ママ」みたいな母親もいたりして、旧渡船場跡はヒトでいっぱい。大祭にあわせてなのか櫓が新しくピカピカになった。子供盆踊りが終わって「お菓子券」(\120)が配られた。展望台から隅田川の流れを見る。８時から飯田常男さんが櫓に上ってナマで太鼓を叩き歌い始めてオトナの踊る時間。ちょっと踊った。いわゆる「ナンバ」の動き。現在は外部から踊りに来たヒトのほうが多いんだろう。昨年ご案内した知久さん、りえさん、渡瀬さんも友人たちと来ていて、会えてウレシかった。老若男女区別なくゆ〜ったり踊って死者の供養をする＜念仏踊り＞が残っているのは、東京ではここだけで、ホント貴重な芸能だ。墓参りなどしない私にとっては、死者を想って祈る貴重な機会でもある。終わってから、横田さんと別れて、知久さんたちと昨年に続きまた月島へ「もんじゃ焼き」を食べに行った。だんだん「もんじゃ」がわかってきてこれなりにおもしろいものだとわかった。形態がはっきりしない食物なんですね。「サード・クラス」というバンドの方、「イデビアン・クルー」のダンサーの方など、いろいろお話ができて楽しかった。
2005年07月12日
オシロイバナ、トケイソウ
７／１１
今日も暑い暑い。ギターかかえて夕方家を出る。今年も駒込大観音のほおずき市には来られなかったナ。一昨日お会いした沼田さんに偶然出会ってびっくり。森鴎外図書館に本をボックスへ返却してから団子坂を下る。不忍通りの古書「ほうろう」さんにちょっと寄り、谷中ぎんざをゆるゆる歩いて、夕方の買い物客で混み合う店々を冷やかしつつ、夕焼けだんだんのぼる。西日暮里の平山さん宅で廣川さん、須藤さんと「２５２５稼業」の練習。ライヴは７／１５に大久保ホットショットです。途中、諏訪台通りの街路で満開のオシロイバナ、そして壁に這っているトケイソウのたくさんの花を見る。涼しげな風鈴にように三つの金属筒が鳴っていた。盛夏。
今日も暑い暑い。ギターかかえて夕方家を出る。今年も駒込大観音のほおずき市には来られなかったナ。一昨日お会いした沼田さんに偶然出会ってびっくり。森鴎外図書館に本をボックスへ返却してから団子坂を下る。不忍通りの古書「ほうろう」さんにちょっと寄り、谷中ぎんざをゆるゆる歩いて、夕方の買い物客で混み合う店々を冷やかしつつ、夕焼けだんだんのぼる。西日暮里の平山さん宅で廣川さん、須藤さんと「２５２５稼業」の練習。ライヴは７／１５に大久保ホットショットです。途中、諏訪台通りの街路で満開のオシロイバナ、そして壁に這っているトケイソウのたくさんの花を見る。涼しげな風鈴にように三つの金属筒が鳴っていた。盛夏。
2005年07月11日
暑い日
７／１１
昼頃、ギターかかえて東高円寺へ。セシオン杉並で大川さん、畠中さん、ミヨシさんと練習。終わってから夕方、原宿の喫茶店で中川さんと打ち合わせをした。日曜日の表参道はたいへんな賑わい。
TVはあまり見ないんだけど、昨日NHK・TVでスーダンのダルフール地方で続いている民族浄化＝ジェノサイドを特集していた。スーダンはここ数十年ずっと内戦状態で、現在も止まらず進行している虐殺の実態。その国際的なネグレクトの実相がある程度わかった。米、中国の石油利権があって国連安全保障理事会が作動していなかったのね。スーダン国軍もかかわっているアラブ人のジャンジャウィードと呼ばれる民兵による、非アラブ系人の大規模な殺戮で、OA＝アフリカ機構軍の監視だけではまったく防ぐことができない悲惨。こないだ「世界報道写真展2005」で見たジェイムズ・ナクトウェイ他の写真がずっと気になっていたのだ。
今日NHKアーカイブスの「広島原爆資料館」をすこし見た。黒い雨の実態、黒い爪がまだ伸びる衝撃・戦慄。日本が世界でもっともユニークだとしたらそれは唯一の被爆国なことだろう。他の国で兵器として＝殺戮目的で核兵器が使われたことが一度もないからだ。今後、永遠に絶対に核兵器が使用されないと誰も確言できないから、ある意味、人類がたどり着く最後、未来の墓場・廃墟の可能性のひとつを指し示しているだろう。人類すべて、生物すべて、地球全体が亡くなる可能性。
日本テレビ「ドキュメント05」のネット心中等の自殺特集。擬似的な家族を作るとか、ニンゲン・世界との関係の仕方の可能性がもっともっとあってもいいのに、ギヴアップして降りてしまう。あるいは自傷、オーヴァードウズ。世の中の不寛容さに過剰対応して「消えたい」となる。私も前のＨＰ始めた６年前は、けっこうそれに近い精神状態だった。ある種の対人能力を欠いているように自分で思いこむと、日本の社会はひじょうに酷いところがある。同質性が強いから。純粋指向はあぶないよ。引き裂かれるように同時にいろんなことやってないと何故か生きてる感じがしないのは困ったことだ。音楽やっててよく思うんだけど、皆それぞれにほとんど自滅スレスレまで行ったor行っているのだなあと思えるフシがある。狂信的にならないと生きていけない？その大きな原因のひとつは社会制度、家族、特に父母との関係にあるような気もする。ずーっと恨んでいるヒトも多いんだよね。確かに幸せ・成長・円熟には危機が必要だが、乗り越える方策が豊かにあってそれを探す指針がそれぞれ見つけられるべきだ。そのためにインターネットがあるんじゃないか？
おもえばインターネット（ＨＰ）をやりだして以来（７年くらいか？）、いわゆるハンドルネームを使ってやりとりをしたことが一度もなかった。多重人格能力を欠いているのかもしれないが、本名以外で書き込みとかメールのやりとりとする必要性がなかったのだ。だから仲間がほとんどできなかったがそれはそれでいいのかもしれない。
そうえいばこの新しいブログに自己紹介＝プロフィールのページをまだ作っていなかった。一見の方には書いているのが誰かわからないかもしれない。近々つくります。
昼頃、ギターかかえて東高円寺へ。セシオン杉並で大川さん、畠中さん、ミヨシさんと練習。終わってから夕方、原宿の喫茶店で中川さんと打ち合わせをした。日曜日の表参道はたいへんな賑わい。
TVはあまり見ないんだけど、昨日NHK・TVでスーダンのダルフール地方で続いている民族浄化＝ジェノサイドを特集していた。スーダンはここ数十年ずっと内戦状態で、現在も止まらず進行している虐殺の実態。その国際的なネグレクトの実相がある程度わかった。米、中国の石油利権があって国連安全保障理事会が作動していなかったのね。スーダン国軍もかかわっているアラブ人のジャンジャウィードと呼ばれる民兵による、非アラブ系人の大規模な殺戮で、OA＝アフリカ機構軍の監視だけではまったく防ぐことができない悲惨。こないだ「世界報道写真展2005」で見たジェイムズ・ナクトウェイ他の写真がずっと気になっていたのだ。
今日NHKアーカイブスの「広島原爆資料館」をすこし見た。黒い雨の実態、黒い爪がまだ伸びる衝撃・戦慄。日本が世界でもっともユニークだとしたらそれは唯一の被爆国なことだろう。他の国で兵器として＝殺戮目的で核兵器が使われたことが一度もないからだ。今後、永遠に絶対に核兵器が使用されないと誰も確言できないから、ある意味、人類がたどり着く最後、未来の墓場・廃墟の可能性のひとつを指し示しているだろう。人類すべて、生物すべて、地球全体が亡くなる可能性。
日本テレビ「ドキュメント05」のネット心中等の自殺特集。擬似的な家族を作るとか、ニンゲン・世界との関係の仕方の可能性がもっともっとあってもいいのに、ギヴアップして降りてしまう。あるいは自傷、オーヴァードウズ。世の中の不寛容さに過剰対応して「消えたい」となる。私も前のＨＰ始めた６年前は、けっこうそれに近い精神状態だった。ある種の対人能力を欠いているように自分で思いこむと、日本の社会はひじょうに酷いところがある。同質性が強いから。純粋指向はあぶないよ。引き裂かれるように同時にいろんなことやってないと何故か生きてる感じがしないのは困ったことだ。音楽やっててよく思うんだけど、皆それぞれにほとんど自滅スレスレまで行ったor行っているのだなあと思えるフシがある。狂信的にならないと生きていけない？その大きな原因のひとつは社会制度、家族、特に父母との関係にあるような気もする。ずーっと恨んでいるヒトも多いんだよね。確かに幸せ・成長・円熟には危機が必要だが、乗り越える方策が豊かにあってそれを探す指針がそれぞれ見つけられるべきだ。そのためにインターネットがあるんじゃないか？
おもえばインターネット（ＨＰ）をやりだして以来（７年くらいか？）、いわゆるハンドルネームを使ってやりとりをしたことが一度もなかった。多重人格能力を欠いているのかもしれないが、本名以外で書き込みとかメールのやりとりとする必要性がなかったのだ。だから仲間がほとんどできなかったがそれはそれでいいのかもしれない。
そうえいばこの新しいブログに自己紹介＝プロフィールのページをまだ作っていなかった。一見の方には書いているのが誰かわからないかもしれない。近々つくります。
2005年07月10日
人力車から蒸気機関車から宇宙船へ
７／９
・「JAZZ映画館LIVE 東京の音景色はノイズに溢れている」 文京区白山 JAZZ映画館
わが家から歩いて６分くらいの場所にある古いジャズ喫茶「JAZZ映画館」で、ノイズ合唱団のウィリアムさん主催のライヴに出演させてもらった。店内は真空管オーディオ機器、ＬＰレコード、そして映画関係の本や物体がところせましと並んで、なんというか、７０年代＝古色蒼然というか私にはとても懐かしい雰囲気。猫がいるのね。後ろにチャーリー・パーカー、右にはジョン・コルトレインの肖像、そして左には吉永小百合のサインに囲まれて一人でギター弾き歌いすることになろうとは！最初は私(g・vo)で、日本堤、東京、南冥行、蘭の舟、ケシの花、中国民謡メドレー（馬車夫の恋、お姫さま、ふらり、春きませり）、ガブリエルのラッパ、チベットワルツ、夢の秘密、雲南の風、トラジ、ケンチャナヨ、ゴルゴダの丘、ツカナ、オマツリ、定点観測、イカロスの墜落、ホッチャレ、見返り柳、かわいがらんせ、ぐるりよざ、梅は咲いたか、甲州民謡メドレー（縁故節、甲州盆唄、富士川音頭）、水、動物が逃げた（ノイズ合唱団参加）、地獄巡り、と３１曲ほとんどノンストップでがんがん歌いましたよ。「＜ついのすみか＞追憶」→「最近の曲特集」→「日本音楽へのアプローチ」→「器楽曲（ボカリーズ）」（一曲だけ）。お客さんは半ばアキレ顔。でもだいたい短めにやったから４０分くらいだったかなー。二番目はノイズ合唱団（徳久ウィリアム幸太郎ほか６人）で時間割をつくり時計で時間を管理しながら展開させたが、無駄がなく執心・怨念が取れて純心が表れたようでなんだかココロ洗われた。機械っぽい声喉ノイズはかえって人間ぽいのか？謡曲「高砂」のキリなども。最後はクリストフ・シャルルのコンピューター音楽で、指先一つで膨大でクリアな音源たちが頭上を超高速で通過してゆくようで、「こういうものなんだなー」と思いつつもコワイような憧れるような・・なんだか巨大な宇宙船が頭上を航行してるみたいだった。そう思うと、ノイズ合唱団はまるで互いに石炭を入れながら集団で走っている蒸気機関車みたいだったし、私はといえばそれらを横目・上目で見ながら一人で人力車引いてトコトコ走っているみたいだなーと・・リキシャマンか。横田さん、小林さん・・ご来場いただいたお客様、店主の吉田さんご夫婦・・皆様ありがとうございました。終わってから、doubt musicの沼田さん他の方々といろいろお話しできて楽しかった。夜、帰るころには雨になった。
・「JAZZ映画館LIVE 東京の音景色はノイズに溢れている」 文京区白山 JAZZ映画館
わが家から歩いて６分くらいの場所にある古いジャズ喫茶「JAZZ映画館」で、ノイズ合唱団のウィリアムさん主催のライヴに出演させてもらった。店内は真空管オーディオ機器、ＬＰレコード、そして映画関係の本や物体がところせましと並んで、なんというか、７０年代＝古色蒼然というか私にはとても懐かしい雰囲気。猫がいるのね。後ろにチャーリー・パーカー、右にはジョン・コルトレインの肖像、そして左には吉永小百合のサインに囲まれて一人でギター弾き歌いすることになろうとは！最初は私(g・vo)で、日本堤、東京、南冥行、蘭の舟、ケシの花、中国民謡メドレー（馬車夫の恋、お姫さま、ふらり、春きませり）、ガブリエルのラッパ、チベットワルツ、夢の秘密、雲南の風、トラジ、ケンチャナヨ、ゴルゴダの丘、ツカナ、オマツリ、定点観測、イカロスの墜落、ホッチャレ、見返り柳、かわいがらんせ、ぐるりよざ、梅は咲いたか、甲州民謡メドレー（縁故節、甲州盆唄、富士川音頭）、水、動物が逃げた（ノイズ合唱団参加）、地獄巡り、と３１曲ほとんどノンストップでがんがん歌いましたよ。「＜ついのすみか＞追憶」→「最近の曲特集」→「日本音楽へのアプローチ」→「器楽曲（ボカリーズ）」（一曲だけ）。お客さんは半ばアキレ顔。でもだいたい短めにやったから４０分くらいだったかなー。二番目はノイズ合唱団（徳久ウィリアム幸太郎ほか６人）で時間割をつくり時計で時間を管理しながら展開させたが、無駄がなく執心・怨念が取れて純心が表れたようでなんだかココロ洗われた。機械っぽい声喉ノイズはかえって人間ぽいのか？謡曲「高砂」のキリなども。最後はクリストフ・シャルルのコンピューター音楽で、指先一つで膨大でクリアな音源たちが頭上を超高速で通過してゆくようで、「こういうものなんだなー」と思いつつもコワイような憧れるような・・なんだか巨大な宇宙船が頭上を航行してるみたいだった。そう思うと、ノイズ合唱団はまるで互いに石炭を入れながら集団で走っている蒸気機関車みたいだったし、私はといえばそれらを横目・上目で見ながら一人で人力車引いてトコトコ走っているみたいだなーと・・リキシャマンか。横田さん、小林さん・・ご来場いただいたお客様、店主の吉田さんご夫婦・・皆様ありがとうございました。終わってから、doubt musicの沼田さん他の方々といろいろお話しできて楽しかった。夜、帰るころには雨になった。
2005年07月09日
昆虫館、プーヤ・・
今日はライヴ。うまく歌えればいいのだが・・。
地域雑誌「谷中・根津・千駄木」によると、奥本大三郎さんの私邸（千駄木）が＜ファーブル昆虫館＞となって冬頃にオープンするらしいので楽しみ。
福音館「たくさんのふしぎ」８月号の「プーヤ・ライモンディ」（野村哲也文・写真）が爽やかだった。プーヤ〜とはアンデス山中で１００年に一回だけ咲く背の高い塔のような花。地元のコドモとの交歓なども。ヒマラヤだかアフリカだったかやっぱり高山で咲く丈の高〜い花があったな。
例の図書新聞の連載は、けっきょくずーっと唱歌・童謡のことをかんがえ続けて止まらなくなっている。まだ書けない。モンダイが近代国家の成立まで広がって・・しかし学校教育で教わった「音楽」「歌」とはいったい何だったのだ？（膨大な無駄？そうでもないか、それで根源的な喜びを知った方もあろうし）そもそも「コドモ」とは？ふたたび柄谷行人の著作（「日本近代文学の起源」etc・・）などを棚からひっぱりだしたり、いちおう教育の分野だが立川市のフリースクール＜賢治の学校＞（以前に阿波連本恵さんのライヴをやった）をやっている鳥山俊子さん関連の著作（かなり過激というか根源的で驚く）を読んだり、鳥山さんと対談している上田紀行の「スリランカの悪魔祓い」、最近出た「生きる意味」（岩波新書）などがおもしろかった。
私は音楽とか歌とかって、本来教えられない、教えるまでもないと思っている。そのヒト本人のモンダイだからだ。教わる前にできちゃってるはずなんだから。だから弟子をとったり、授業料取って教えたりはぜったいしない。そんなことはできない。私は自分で作った歌の伴奏でギターを弾いているだけなんです。演奏技術とか理論とか知識とかは教えられるけど、それは音楽や歌の悦び愉しみ・・重要なコトとはじっさいはあまりカンケーない場合が多い。だから意外に内弟子制度ってよかったのかもね。おそらく学校教育で画一的に教えられて成績がつけられ評価されたりすることで、内部的な率直な声が無視され阻害されて、歌うべき歌を見失っちゃったからこそ、その反動でみんなこんなに熱心にカラオケをやるのかもしれない。
倉橋由美子、塚本邦雄・・を追悼しようと本を棚からひっぱりだして読み始めたら、こんどは永島慎二が逝去した知らせ。まだあの頃はマンガ読んでたんだな。
地域雑誌「谷中・根津・千駄木」によると、奥本大三郎さんの私邸（千駄木）が＜ファーブル昆虫館＞となって冬頃にオープンするらしいので楽しみ。
福音館「たくさんのふしぎ」８月号の「プーヤ・ライモンディ」（野村哲也文・写真）が爽やかだった。プーヤ〜とはアンデス山中で１００年に一回だけ咲く背の高い塔のような花。地元のコドモとの交歓なども。ヒマラヤだかアフリカだったかやっぱり高山で咲く丈の高〜い花があったな。
例の図書新聞の連載は、けっきょくずーっと唱歌・童謡のことをかんがえ続けて止まらなくなっている。まだ書けない。モンダイが近代国家の成立まで広がって・・しかし学校教育で教わった「音楽」「歌」とはいったい何だったのだ？（膨大な無駄？そうでもないか、それで根源的な喜びを知った方もあろうし）そもそも「コドモ」とは？ふたたび柄谷行人の著作（「日本近代文学の起源」etc・・）などを棚からひっぱりだしたり、いちおう教育の分野だが立川市のフリースクール＜賢治の学校＞（以前に阿波連本恵さんのライヴをやった）をやっている鳥山俊子さん関連の著作（かなり過激というか根源的で驚く）を読んだり、鳥山さんと対談している上田紀行の「スリランカの悪魔祓い」、最近出た「生きる意味」（岩波新書）などがおもしろかった。
私は音楽とか歌とかって、本来教えられない、教えるまでもないと思っている。そのヒト本人のモンダイだからだ。教わる前にできちゃってるはずなんだから。だから弟子をとったり、授業料取って教えたりはぜったいしない。そんなことはできない。私は自分で作った歌の伴奏でギターを弾いているだけなんです。演奏技術とか理論とか知識とかは教えられるけど、それは音楽や歌の悦び愉しみ・・重要なコトとはじっさいはあまりカンケーない場合が多い。だから意外に内弟子制度ってよかったのかもね。おそらく学校教育で画一的に教えられて成績がつけられ評価されたりすることで、内部的な率直な声が無視され阻害されて、歌うべき歌を見失っちゃったからこそ、その反動でみんなこんなに熱心にカラオケをやるのかもしれない。
倉橋由美子、塚本邦雄・・を追悼しようと本を棚からひっぱりだして読み始めたら、こんどは永島慎二が逝去した知らせ。まだあの頃はマンガ読んでたんだな。
2005年07月08日
テロ、寄席・落語の効用
ロンドンで起きた同時多発テロは一般市民を無差別に巻き込んだ、許すべからざる憎むべき恐ろしいできごとだった。オリンピック開催地決定＋サミットのジャストなタイミング。が、「テロをいつかやるだろう」って、ある程度予測されていたので、じつは誰もあまり驚いてないはずだ。つまり明日、我々が東京でテロに巻き込まれてもそう不思議じゃないのだ。なぜなら世界はあいかわらずあまりに偏っていて、その構造が是正される見込みすら見つからないからだ。憎しみ。正義を振りかざす一方で絶望の淵に沈んでいる人々がいる。たとえば「サミット」＝超大国などたった数カ国の思惑で世界の行方が決められるのは不遜だっていう警告か。
寄席の楽しみをおぼえて以来、ああーこれでもう音楽のＣＤなど買うことはなくなるなーと思った。どっちも値段的には一緒で\2000くらいだけど、モノから時間へ愉しみが変化したのだ。買って所有して一人で聴いて楽しむモノから、自分の身をそこまで運んで入れ替わり立ち替わり出てくる芸人たちの前にボーッとしてる時間へ。時間を買うのはいいね、後に何も残らないから。前座が最初に出て（誰も笑わない）、座布団・メクリひっくりかえして、二ツ目、真打ちになったばかり〜ベテランに、色物の方々・・と人生のひとときを芸人と共有するんです。一人あたり、ま、十数分だけどね。
落語の効用のひとつに、ぜったい洗脳されなくなるってことがある。うまい話なんかあるわけないよ。登場人物がすべて愚かしかったり、知ったかぶりだったり・・・そういうニンゲンの展覧会なんだもの。「業」ちゅうものが間近に見られるってことだね。
寄席の楽しみをおぼえて以来、ああーこれでもう音楽のＣＤなど買うことはなくなるなーと思った。どっちも値段的には一緒で\2000くらいだけど、モノから時間へ愉しみが変化したのだ。買って所有して一人で聴いて楽しむモノから、自分の身をそこまで運んで入れ替わり立ち替わり出てくる芸人たちの前にボーッとしてる時間へ。時間を買うのはいいね、後に何も残らないから。前座が最初に出て（誰も笑わない）、座布団・メクリひっくりかえして、二ツ目、真打ちになったばかり〜ベテランに、色物の方々・・と人生のひとときを芸人と共有するんです。一人あたり、ま、十数分だけどね。
落語の効用のひとつに、ぜったい洗脳されなくなるってことがある。うまい話なんかあるわけないよ。登場人物がすべて愚かしかったり、知ったかぶりだったり・・・そういうニンゲンの展覧会なんだもの。「業」ちゅうものが間近に見られるってことだね。
2005年07月07日
ギボウシなど
七夕ですね。東京は蒸し暑い梅雨時期の真っ最中。ギボウシの花が咲き始めた。ユリ科。観葉植物のせいなのか慎ましやかで清楚にみえる花がよい。
ここ数日、街路でアオスジアゲハの群舞が目立っている。
７／９映画館ライヴで一人で20〜30曲弾き歌いをするために（そういえば、だいたい一年に一回くらい、一人で弾き歌いやってますね）、曲目を選定したので今日明日何度かさらってみよう。こやまさんの時のSACRAで一度、ノンストップで３０曲くらい演奏したことがあったんだけど（一時間半くらいかかった）、お客さんは窒息寸前という感じだったな。うんと短縮版でつなげてみよう。新しい曲できればやってみたい。
オリンピック開催地はたいして興味なかったけど次回はロンドンなんですね。今朝のニュース番組で見たけど、プロモーション映画が他とぜんぜん違ってたんだよね。スラムのような街角でアフリカ系の少年がＴＶ画面を見上げると・・。しかし街のようすが、一見したところとてもロンドンには見えなかった（行ったことないけど）。黒人ばかりで・・ヨハネスブルグかラゴスかと思った＝ロンドンの東地区でこれを機に再開発するのだとか。ところでアフリカ、南アメリカではオリンピックはいつになったら開催されるだろう？
ここ数日、街路でアオスジアゲハの群舞が目立っている。
７／９映画館ライヴで一人で20〜30曲弾き歌いをするために（そういえば、だいたい一年に一回くらい、一人で弾き歌いやってますね）、曲目を選定したので今日明日何度かさらってみよう。こやまさんの時のSACRAで一度、ノンストップで３０曲くらい演奏したことがあったんだけど（一時間半くらいかかった）、お客さんは窒息寸前という感じだったな。うんと短縮版でつなげてみよう。新しい曲できればやってみたい。
オリンピック開催地はたいして興味なかったけど次回はロンドンなんですね。今朝のニュース番組で見たけど、プロモーション映画が他とぜんぜん違ってたんだよね。スラムのような街角でアフリカ系の少年がＴＶ画面を見上げると・・。しかし街のようすが、一見したところとてもロンドンには見えなかった（行ったことないけど）。黒人ばかりで・・ヨハネスブルグかラゴスかと思った＝ロンドンの東地区でこれを機に再開発するのだとか。ところでアフリカ、南アメリカではオリンピックはいつになったら開催されるだろう？
2005年07月06日
虐殺者たち
７／５
・「Ｓ２１ クメール・ルージュの虐殺者たち」 千代田区駿河台 アテネフランセ
ニンゲンが他の動物といちばん違うのは、同族たちを膨大に計画的に虐殺できるところだ。見終わったらショックでちょっとすぐには立ち上がれないドキュメンタリー（というか一部演技もさせてるけど）映画。1970年代後半（私は下記のようにテックスメックス等を脳天気に聴いてたんだナア）、カンボジアではポルポト時代の大量虐殺で200万人ものヒト（ほとんどが無睾のヒトたち）が殺されていたのだ。ナチスのユダヤ人虐殺に並ぶ、気が遠くなるほど徹底的で膨大な殺戮。しかも同民族どうし＝隣人も家族もカンケーなくだ。どうしてそんなことができた？「Ｓ２１」とは政治犯の収容所で、収容された１万７千人の政治犯は３名をのぞいて全員殺されたという。その僅かな生き残りの画家が、その収容所のじっさいの建物（現在は虐殺記念の博物館になっているらしい）のじっさいの部屋で、当時、虐殺を実行した看守ら（当時コドモ〜若者だった５人ほど）を集めて、彼らの暴虐のじっさいを描いた自らの絵の前で「我々のことをいったいどう思っていたのだ？」と問いつめる。彼らは「殺さなければ自分が殺された」と答えるが・・。あるいは元看守たちに、当時していたであろう看守の動き＝仕事ぶりを再現させたり（！）する。これらはあまりにすごくて、まるで映画みたいだが（映画なのだが）じっさいに行われていた現実そのものなのだ。それもつい二十年ほど前に＝凍りつくような恐怖。実行した当事者に迫って、そのやったことを徹底して問いつめてゆくのは原一男「ゆきゆきて、神軍」（奥崎さん亡くなりましたね）、クロード・ランズマン「ショアー」を思い起こす。暴力・恐怖が支配した時間のじっさいを、虐殺された側と、虐殺を実行した側がナマナマしくその場で語るほど衝撃的なことはない。つまりは無実のニンゲンを逮捕し拘禁し拷問し自白をデッチアゲて最終的に殺したってことだ。疑心暗鬼の極限状態。看守たちは死臭が日常になり、それに慣れた（！）という。逮捕したニンゲンに拷問でデッチアゲの自白をさせ、架空の反動的な組織・構成員をむりやり数十人づつつくらせて口述させ、また彼らを逮捕して・・数年もたつと、ついには誰も街からいなくなった、というのはＳＦのようだが、現実だった。S21,The Khmer Rouge Killing Machine/2002/リティー・パニュ監督
とはいえ、誕生日だったので夜に妻と駒込の焼酎／関西オデンの店へ行った。
・「Ｓ２１ クメール・ルージュの虐殺者たち」 千代田区駿河台 アテネフランセ
ニンゲンが他の動物といちばん違うのは、同族たちを膨大に計画的に虐殺できるところだ。見終わったらショックでちょっとすぐには立ち上がれないドキュメンタリー（というか一部演技もさせてるけど）映画。1970年代後半（私は下記のようにテックスメックス等を脳天気に聴いてたんだナア）、カンボジアではポルポト時代の大量虐殺で200万人ものヒト（ほとんどが無睾のヒトたち）が殺されていたのだ。ナチスのユダヤ人虐殺に並ぶ、気が遠くなるほど徹底的で膨大な殺戮。しかも同民族どうし＝隣人も家族もカンケーなくだ。どうしてそんなことができた？「Ｓ２１」とは政治犯の収容所で、収容された１万７千人の政治犯は３名をのぞいて全員殺されたという。その僅かな生き残りの画家が、その収容所のじっさいの建物（現在は虐殺記念の博物館になっているらしい）のじっさいの部屋で、当時、虐殺を実行した看守ら（当時コドモ〜若者だった５人ほど）を集めて、彼らの暴虐のじっさいを描いた自らの絵の前で「我々のことをいったいどう思っていたのだ？」と問いつめる。彼らは「殺さなければ自分が殺された」と答えるが・・。あるいは元看守たちに、当時していたであろう看守の動き＝仕事ぶりを再現させたり（！）する。これらはあまりにすごくて、まるで映画みたいだが（映画なのだが）じっさいに行われていた現実そのものなのだ。それもつい二十年ほど前に＝凍りつくような恐怖。実行した当事者に迫って、そのやったことを徹底して問いつめてゆくのは原一男「ゆきゆきて、神軍」（奥崎さん亡くなりましたね）、クロード・ランズマン「ショアー」を思い起こす。暴力・恐怖が支配した時間のじっさいを、虐殺された側と、虐殺を実行した側がナマナマしくその場で語るほど衝撃的なことはない。つまりは無実のニンゲンを逮捕し拘禁し拷問し自白をデッチアゲて最終的に殺したってことだ。疑心暗鬼の極限状態。看守たちは死臭が日常になり、それに慣れた（！）という。逮捕したニンゲンに拷問でデッチアゲの自白をさせ、架空の反動的な組織・構成員をむりやり数十人づつつくらせて口述させ、また彼らを逮捕して・・数年もたつと、ついには誰も街からいなくなった、というのはＳＦのようだが、現実だった。S21,The Khmer Rouge Killing Machine/2002/リティー・パニュ監督
とはいえ、誕生日だったので夜に妻と駒込の焼酎／関西オデンの店へ行った。
2005年07月05日
カラスウリと訂正と・・
神田駿河台の女坂のワキ（猿楽町）はマンションになっちゃったけど、そのヨコの斜面にカラスウリの花がいっぱい咲いているのを見つけた。まるで夜に開くレースのように美しいんです。
下記＜７月のライヴ＞のお知らせで、７／１５大久保ホットショットでの「２５２５稼業」ライヴでは、須藤かよさんはアコーディオンではなく、ピアニカで参加の予定ですので訂正します。
尊敬している友人の詩人、片岡さんが劇／ダンス評を連載してるので、雑誌「現代詩手帖」はパラパラ見たりするんだけど、その５月号「ボーダー文学最前線＜チカーノ／チカーナ詩、そして＞」がおもしろかった。重く鋭く熱くのしかかられて引き裂かれて。チカーノCHICANOとはメキシコ系アメリカ人のこと。さても「コリード」（物語の歌の形式）などは懐かしい・・というのは、ライ・クーダーがハワイアンと並んでテックス・メックス風のことをやっていた頃（1970年代後半だったか？）に、私も興味を持って国境地帯のポピュラー音楽のいろんなＬＰ買って聴いてたりしていたのだ。この頃、私もまだアメリカの音楽にカブれてたのね。当時、FEN（今はAFNか）のラテンの時間（まだある？）は、英語とスペイン語のチャンポンで、かける音楽もサルサとメキシコが半々だった。「アーフーリーArhoolie」というブルース等のレーベルをやっていたクリス・ストラックウィッツの「TEXAS-MEXICAN BORDER MUSIC VOL.1」(Folklyric)とか、映画「CHULAS FRONTERAS」（見てないですけど日本で上映しましたか？）のサントラＬＰは、今にして思えばひじょうに重要なものだった。リヂャ・メンドーサ、ロス・アレグレス・デ・テラン・・・ひさしぶりで聴き返してみたら泣けて・・。ブラジルにもセルタネージャってのがあってほとんど同じ感じ。ところで日本でも、ロカビリー〜ＧＳ以前には、ラテン・アメリカの音楽はダンス音楽などとしてひじょうに流行っていて、なかでもムード歌謡というかある種の演歌にはメキシコのポピュラー音楽（ギター・トリオみたいな）の影響がずいぶんあった。レキント・ギターとかね。
下記＜７月のライヴ＞のお知らせで、７／１５大久保ホットショットでの「２５２５稼業」ライヴでは、須藤かよさんはアコーディオンではなく、ピアニカで参加の予定ですので訂正します。
尊敬している友人の詩人、片岡さんが劇／ダンス評を連載してるので、雑誌「現代詩手帖」はパラパラ見たりするんだけど、その５月号「ボーダー文学最前線＜チカーノ／チカーナ詩、そして＞」がおもしろかった。重く鋭く熱くのしかかられて引き裂かれて。チカーノCHICANOとはメキシコ系アメリカ人のこと。さても「コリード」（物語の歌の形式）などは懐かしい・・というのは、ライ・クーダーがハワイアンと並んでテックス・メックス風のことをやっていた頃（1970年代後半だったか？）に、私も興味を持って国境地帯のポピュラー音楽のいろんなＬＰ買って聴いてたりしていたのだ。この頃、私もまだアメリカの音楽にカブれてたのね。当時、FEN（今はAFNか）のラテンの時間（まだある？）は、英語とスペイン語のチャンポンで、かける音楽もサルサとメキシコが半々だった。「アーフーリーArhoolie」というブルース等のレーベルをやっていたクリス・ストラックウィッツの「TEXAS-MEXICAN BORDER MUSIC VOL.1」(Folklyric)とか、映画「CHULAS FRONTERAS」（見てないですけど日本で上映しましたか？）のサントラＬＰは、今にして思えばひじょうに重要なものだった。リヂャ・メンドーサ、ロス・アレグレス・デ・テラン・・・ひさしぶりで聴き返してみたら泣けて・・。ブラジルにもセルタネージャってのがあってほとんど同じ感じ。ところで日本でも、ロカビリー〜ＧＳ以前には、ラテン・アメリカの音楽はダンス音楽などとしてひじょうに流行っていて、なかでもムード歌謡というかある種の演歌にはメキシコのポピュラー音楽（ギター・トリオみたいな）の影響がずいぶんあった。レキント・ギターとかね。
2005年07月04日
都議選
なかなかすぐには世の中は変わらない。自民党一位はゆるがなかった。私は必ず投票には行きますよ。でも今回は全体の投票率43.99%だからヤッパリ半分以上が棄権しているんだネ。ま、希望を持てないってのはよくわかる。開票速報を眺めていると東京各区、地域ごとで様相がずいぶん異なっているのが興味深い。女性の当選者の多いところ、少ないところとか。公明党強いなー、ってのは創価学会が多いってよりは、みんなマジメに投票に行くからだろう。私の住んでいる文京区（２人区）は、他と違って変わっていて、今回は自民党現職と鳩山の息子が落ちちゃって、共産党の女性（元議員）が一位で返り咲き（オドロイタ）、もう一人は民主党だった。露骨に反・石原都政だね。外国人排斥発言はヒドイですよね。。かねがね思うのはこれだけ外国人が増えたんだから、ある程度・ある期間のあいだ税金を納めている外国人たちにも、地方選挙に関しては選挙権があったらいいなってこと。だっていちばん過酷に生活の苦しみ・現世の格差を味わってるのに、現実の政治に訴える手段がなにもないでしょ？
じつは私はまだポルトガル語の勉強を個人的には継続していて、「インターナショナルプレス」って日本に住むブラジル人向けの新聞を時々買って読むんだけど、こないだ(6/25号)一面は「日本のブラジル人社会は4.3%増加した」だった＝今や日本にはブラジル人が28万人以上もいる（名古屋周辺〜静岡が多い）。ちなみに韓国人60万人、中国人48万人に次いで多い。こういう人たちは長年or日夜働いて日本の社会に多大な貢献をしているのだけど、存在的にはいないのも同じ。今年、浜松に行ってあまりにブラジル人が多いのでオドロイタんだけど、もっとオドロイタのは、浜松市内にポルトガル語の案内表記とかぜんぜんないのね。地元の日本人ともぜんぜんうち解けてないみたいだし。国際化ったって足許はこんなもんなのね。ブラジル人って文化的にはインディオ＋アフリカ＋ヨーロッパの混血性が濃くて、日本人と対照的です〜ごくおもしろいのに知り合う地盤がぜんぜんない。ブラジル人って皆、サンバ踊るように思われるかもしれないけど、よく見るのは「フォッホーForror」か「アシェーAxe」って踊りのお知らせ。ブラジル日系人の女の子ってすっごくカワイイので誰かアイドルになったらいいなーと思うんだけどねー。
じつは私はまだポルトガル語の勉強を個人的には継続していて、「インターナショナルプレス」って日本に住むブラジル人向けの新聞を時々買って読むんだけど、こないだ(6/25号)一面は「日本のブラジル人社会は4.3%増加した」だった＝今や日本にはブラジル人が28万人以上もいる（名古屋周辺〜静岡が多い）。ちなみに韓国人60万人、中国人48万人に次いで多い。こういう人たちは長年or日夜働いて日本の社会に多大な貢献をしているのだけど、存在的にはいないのも同じ。今年、浜松に行ってあまりにブラジル人が多いのでオドロイタんだけど、もっとオドロイタのは、浜松市内にポルトガル語の案内表記とかぜんぜんないのね。地元の日本人ともぜんぜんうち解けてないみたいだし。国際化ったって足許はこんなもんなのね。ブラジル人って文化的にはインディオ＋アフリカ＋ヨーロッパの混血性が濃くて、日本人と対照的です〜ごくおもしろいのに知り合う地盤がぜんぜんない。ブラジル人って皆、サンバ踊るように思われるかもしれないけど、よく見るのは「フォッホーForror」か「アシェーAxe」って踊りのお知らせ。ブラジル日系人の女の子ってすっごくカワイイので誰かアイドルになったらいいなーと思うんだけどねー。
2005年07月03日
講演会と映画
７／２
・「日本文化を考える」 千代田区有楽町 有楽町朝日ホール
＜にちぶんけん＞京都にある国際日本文化研究センターの東京講演会で、最初はオクスフォード大のイアン・ジェームズ・マクマレンの「徳川時代の孔子祭」というおもしろそうな講演だったが、自宅で午睡してたら寝過ごして遅れてしまい最後の５分くらいしか聞けずに残念。二番目に研究センター所長の片倉もとこが「多文化国家ニッポン-文化移動の時代に-」と題した講演。彼女はイスラームの専門家なので、どういう話になるかとおもったら、ごく気楽な概論だったんだが、後半のスライドで最近の日本のイスラム事情がちょっとわかって興味深かった。日本にはモスクがもう数百もあって日本人のイスラム教徒もちょっとづつ増えているらしい。現代ニッポンは１年に自殺者が３万人もでる時代になっちゃったが、ひょっとしたら現代ニッポン人が人生でどうしようもなくなったらイスラム教徒になる選択もいいんじゃないか？なにしろ神の前で一切が平等なのがいっとう徹底しているので、貧富とか階級とか勝ち組負け組etc・・のつまらない差異でクヨクヨ悩む必要がなくなる＝安心。オセロゲームみたいに一発逆転の人生になっちゃう？それなりに問題はあるが・・。さいきんアラビア語講座もやるようになったしな。
・「ＤＶII-ドメスティック・バイオレンスII」 千代田区駿河台 アテネフランセ
フロリダ州の家庭裁判所で、えんえんやってくるＤＶ＝家庭内暴力の訴訟を判事が裁くのをえんえと撮影しているドキュメンタリー映画。ありふれているようで普遍的でもあるが、宣誓して証言する当事者たちの顔つきをじーっと見ているだけでもじつに驚くべき映画だ。ニンゲンの家族ではじつは、かなりの割合で暴力がいつでもどこでもはびこっており、アメリカのようにニンゲンが砂のようにバラされて高度に集約された資本主義国家では、いちどこの基本単位が崩れるともはやとめどがないので、現在は当事者たちの発言を待つまでもなく、傷跡・痕跡で判断して、逮捕するかあるいは隔離する（150m以内近づかないとか）判断が迅速に下される。ほとんどは夫が妻を加害する事件。意外に、被害妻が暴力夫を訴えても、いざ法廷となると訴訟を撤回する（偽証で今度は自分が罪に問われるのだが）例も多い。フレデリック・ワイズマンは驚くべきドキュメンタリー映画作家だ。どの作品でもいいから機会があったら一度見てみてください。Domestic Violence II/2003/フレデリック・ワイズマン監督
・「日本文化を考える」 千代田区有楽町 有楽町朝日ホール
＜にちぶんけん＞京都にある国際日本文化研究センターの東京講演会で、最初はオクスフォード大のイアン・ジェームズ・マクマレンの「徳川時代の孔子祭」というおもしろそうな講演だったが、自宅で午睡してたら寝過ごして遅れてしまい最後の５分くらいしか聞けずに残念。二番目に研究センター所長の片倉もとこが「多文化国家ニッポン-文化移動の時代に-」と題した講演。彼女はイスラームの専門家なので、どういう話になるかとおもったら、ごく気楽な概論だったんだが、後半のスライドで最近の日本のイスラム事情がちょっとわかって興味深かった。日本にはモスクがもう数百もあって日本人のイスラム教徒もちょっとづつ増えているらしい。現代ニッポンは１年に自殺者が３万人もでる時代になっちゃったが、ひょっとしたら現代ニッポン人が人生でどうしようもなくなったらイスラム教徒になる選択もいいんじゃないか？なにしろ神の前で一切が平等なのがいっとう徹底しているので、貧富とか階級とか勝ち組負け組etc・・のつまらない差異でクヨクヨ悩む必要がなくなる＝安心。オセロゲームみたいに一発逆転の人生になっちゃう？それなりに問題はあるが・・。さいきんアラビア語講座もやるようになったしな。
・「ＤＶII-ドメスティック・バイオレンスII」 千代田区駿河台 アテネフランセ
フロリダ州の家庭裁判所で、えんえんやってくるＤＶ＝家庭内暴力の訴訟を判事が裁くのをえんえと撮影しているドキュメンタリー映画。ありふれているようで普遍的でもあるが、宣誓して証言する当事者たちの顔つきをじーっと見ているだけでもじつに驚くべき映画だ。ニンゲンの家族ではじつは、かなりの割合で暴力がいつでもどこでもはびこっており、アメリカのようにニンゲンが砂のようにバラされて高度に集約された資本主義国家では、いちどこの基本単位が崩れるともはやとめどがないので、現在は当事者たちの発言を待つまでもなく、傷跡・痕跡で判断して、逮捕するかあるいは隔離する（150m以内近づかないとか）判断が迅速に下される。ほとんどは夫が妻を加害する事件。意外に、被害妻が暴力夫を訴えても、いざ法廷となると訴訟を撤回する（偽証で今度は自分が罪に問われるのだが）例も多い。フレデリック・ワイズマンは驚くべきドキュメンタリー映画作家だ。どの作品でもいいから機会があったら一度見てみてください。Domestic Violence II/2003/フレデリック・ワイズマン監督
2005年07月02日
７月のライヴ
７月に２回ライヴがあります。
・７／９（土）15:30〜「JAZZ映画館LIVE 東京の音景色はノイズに溢れている」
\2000＋ドリンク、JAZZ映画館（文京区白山5-33-19、03-3811-8932）＝http://www6.ocn.ne.jp/~eigakan/、出演：ノイズ合唱団（徳久ウィリアム幸太郎ほかで、いろいろな声や口や喉による音の交錯）、チャーリー高橋（vo、ｇ）、クリストフ・シャルル（Christophe Charles、コンピューター音楽らしい。武蔵野美術大学映像学科助教授）。自宅から歩いて１０分くらいのジャズ喫茶でライヴをすることになるとは・・私は最初の順番で、一人で自作曲を20〜30曲ズラリとうたう予定。
・７／１５（金）18:30〜「TASKEプレゼンツ東西合併企画」
TASKEくんという現代の琵琶法師みたいな身障者？シンガーソングライターの企画に、また「２５２５稼業」（私の曲をメインに歌ってくれている女性二人）が参加します。他にユニークな方々も共演。\1800＋ドリンク、大久保ホットショット（新宿区百人町1-17-7 丸山ビル地下1階 ＝http://homepage2.nifty.com/hotshot/）出演：TASKEwith弁慶、ワルソウパクト（福岡）、東高校電気研究部、西山正規、はらいそ、おっぽこちー。私は「２５２５稼業」（平山亜佐子vo、廣川沙羅vo）＋須藤かよ（アコーディオンほか）・高橋裕（ｇ）で、21:00くらいに出演予定＝http://nikkoniko.exblog.jp/。
どちらかでお会いできましたらば幸いです。
・７／９（土）15:30〜「JAZZ映画館LIVE 東京の音景色はノイズに溢れている」
\2000＋ドリンク、JAZZ映画館（文京区白山5-33-19、03-3811-8932）＝http://www6.ocn.ne.jp/~eigakan/、出演：ノイズ合唱団（徳久ウィリアム幸太郎ほかで、いろいろな声や口や喉による音の交錯）、チャーリー高橋（vo、ｇ）、クリストフ・シャルル（Christophe Charles、コンピューター音楽らしい。武蔵野美術大学映像学科助教授）。自宅から歩いて１０分くらいのジャズ喫茶でライヴをすることになるとは・・私は最初の順番で、一人で自作曲を20〜30曲ズラリとうたう予定。
・７／１５（金）18:30〜「TASKEプレゼンツ東西合併企画」
TASKEくんという現代の琵琶法師みたいな身障者？シンガーソングライターの企画に、また「２５２５稼業」（私の曲をメインに歌ってくれている女性二人）が参加します。他にユニークな方々も共演。\1800＋ドリンク、大久保ホットショット（新宿区百人町1-17-7 丸山ビル地下1階 ＝http://homepage2.nifty.com/hotshot/）出演：TASKEwith弁慶、ワルソウパクト（福岡）、東高校電気研究部、西山正規、はらいそ、おっぽこちー。私は「２５２５稼業」（平山亜佐子vo、廣川沙羅vo）＋須藤かよ（アコーディオンほか）・高橋裕（ｇ）で、21:00くらいに出演予定＝http://nikkoniko.exblog.jp/。
どちらかでお会いできましたらば幸いです。
2005年07月01日
オデンの串
アガパンサスが咲き始めると盛夏。青紫の花はなんと涼やかなのだろう。
音楽についていつもかんがえているのは三つの時間がオデンみたいに串刺しになっていることだ。地球上に生物が現れてそれが進化して陸に上りやがて耳ができて空気中の音をはじめて聴いた瞬間、ヒトが言語や思考や自我なんかわさわさ発展する過程で咀嚼・反芻した声・音のあんばいちゅうか自分に喃語をつぶやきながらニンゲンになっちゃった過程と夢、それと今現在＝現代の日本人っていったい何？と果てしなくも３６０度首を回しながら過去を時間を群盲が象を触るがごとくに不思議がりつつほっつきあるいて嘔吐したり小便をしたり音にまみれて寝ころぶていたらくを呪詛するも株価は上がらない、ってことだ。
音楽と美術っていうけど、振動数というか波長の違い。音の振動数を上げるとニンゲンには聞こえなくなりやがて電波になって飛び出して可視光線へ連なる。外界の変化の様相をどの領域で知覚して理解してカラダをどっちへ動かすかってことだろう。あるいはそれらを自ら放出するわけだ。だからニンゲンはスズムシやホタルが好き。生物は皆、基本的に管状の構造になっているのと深く関係するのかも。
音楽についていつもかんがえているのは三つの時間がオデンみたいに串刺しになっていることだ。地球上に生物が現れてそれが進化して陸に上りやがて耳ができて空気中の音をはじめて聴いた瞬間、ヒトが言語や思考や自我なんかわさわさ発展する過程で咀嚼・反芻した声・音のあんばいちゅうか自分に喃語をつぶやきながらニンゲンになっちゃった過程と夢、それと今現在＝現代の日本人っていったい何？と果てしなくも３６０度首を回しながら過去を時間を群盲が象を触るがごとくに不思議がりつつほっつきあるいて嘔吐したり小便をしたり音にまみれて寝ころぶていたらくを呪詛するも株価は上がらない、ってことだ。
音楽と美術っていうけど、振動数というか波長の違い。音の振動数を上げるとニンゲンには聞こえなくなりやがて電波になって飛び出して可視光線へ連なる。外界の変化の様相をどの領域で知覚して理解してカラダをどっちへ動かすかってことだろう。あるいはそれらを自ら放出するわけだ。だからニンゲンはスズムシやホタルが好き。生物は皆、基本的に管状の構造になっているのと深く関係するのかも。
