2013年09月

2013年09月30日

「未来シナリオ」の作成、宣言、行動開始

未来インターンプロジェクト・最終プレゼンテーション発表会

という案内が来ました。


未来インターンプロジェクトは、女子大生が未来に起こる可能性のある具体的な事例や未来の兆しをもとに、30年後の未来を想定した「未来シナリオ」を作成し、その「未来シナリオ」を踏まえた上で、自らが希望する社会のあり方や自身の「生き方シナリオ(私ストーリー)」を考え発信するプロジェクトです。

最終プレゼンテーション発表会では2ヶ月に渡り、女子大生たちが検討してきた希望する社会、希望する生き方を実現するために、今の自分がやるべきことや社会に求めること、未来のパートナーに求めることを提言し、未来の自分にむけてこれからの自分の生き方を宣言する会です。


最近、学生さんのプレゼンを聞く機会が増えています。

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医療は他分野とのコラボで大きく展開する

学生のプレゼンは、社会人よりもずっと斬新

など、

上に書いたように、


社会人、特にプレゼンのプロである、コンサルタントの方だと、

・クライアントが興味を示す、採用してもらう

ことがポイントになります。

そこで、

・実現可能性

・収益性

をアピールし、それを裏付けるデータを集めて、見栄えの良いパワーポイントを作成します。

プレゼンの場は、クライアントの経営会議であったり、社内の重役会議であったりします。

こういった場では、新しいプロジェクトを提案すると、しばしば、

「こんなこと実際にやって意味があるのか?」

「収益性の分析が甘すぎないか?」

のように否定的な意見が会場を支配するのがほとんどで、「守りの姿勢」になってしまうのもやむを得ません。

一方、学生のプレゼンは、素朴な疑問、経験に基づいた切実なニーズに基づき、アイデアはずっと斬新です。


2020年の東京オリンピック招致が決定して、

「7年後の2020年って、何してる?じゃあ、今からこれをしなくちゃ、これを準備して」

と考えることが多くなっているようです。

学生さんたちの30年後って、どうやって未来を創造していけばよいのでしょうか?

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ゲストのNPO法人CANVAS理事長 石戸奈々子さんの講演が、そのヒントになるものでした。

・未来に投資する。未来を担う子供に投資するのも一つの方法。 

・未来を創ってきたのは、夢を描いて、追い続けた人々。

・多様なものを受け入れることによって、新しいものを生み出す。

・「学びの場」つくり。学校、家庭にまかせればよい、のではない。場、空間、拠点、まち、環境、未来づくり。

・ワークショップは、役割分担、リーダーシップを見出し、育む場。ただし、優れたファシリテーターが必要。

・「自分はどう生きていきたいか?」気づき、考える場が大切。

・自分一人でできないことも、他の人々と協働ならばできるかもしれない。ひとりでできないことは助けてもらう。

・道、電気、水道などのインフラがない所に、ネットにつながるPCを配布することが教育の普及の基盤となる。

・日本の大学工学部は研究・開発して、ものを作って終わりだが、アメリカは、それをどう使って、普及させるか、実用まで考える。 

・アイデアをアイデアで終わらせないためには、社会への出口を用意する。

・あるプロジェクトを普及させるには、いろいろな地域に自律分散的に根付かせる。

・未来を予測するだけではなく、未来を創造し、形にする。

・imagine & realize、想像するだけでなく、創造する。

・「覚悟」「提言」だけでは、形にならない。「覚悟」「提言」「実行」をセットにする。


これをもとに、学生と社会人のワークショップがありました。出た話は尽きないのですが、気になったところをメモすると、

・何をするにも「経済的基盤」が必要。これがないと何もできない。

・学生時代のサークル活動執行部は「諸刃の剣」社会人活動に大変有効な場合もあれば、「自分はリーダーシップがある」という慢心につながることもある。

・小さくてもよいから、「実績」をつくることが第一歩。それが、「次」につながる。


将来について考え、プレゼンし、「覚悟」「提言」「実行」をセットにする、流れが増えてくる予感がするイベントでした。




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2013年09月26日

「半沢直樹」に見る、人事異動のメカニズムとは?

ドラマ「半沢直樹」が「社会現象」とも言えるほどの反響をもたらし、終了しました。

「倍返し」は今年の流行語大賞候補間違いないでしょう。

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半沢直樹役の堺雅人さんは大河ドラマ新撰組の山南敬介役、大和田常務役の香川照之さんは、同じく大河ドラマ坂本竜馬の岩崎弥太郎役の好演で知られる実力派俳優で、起用が大成功でした。

原作者の池井戸潤さんは、『下町ロケット』で直木賞を受賞しています。

慶應義塾大学から三菱銀行(現在の三菱東京UFJ銀行)に入行し、7年間の勤務の上、退職しています。

さて、実は「TAK」さんは「半沢直樹」を1回も見ていません。チャンネル・サーフィン中に数分見たのが数回というレベルです。

それゆえ、反響をもとに推測しながら書きます。


人気ドラマ『半沢直樹』と同じ世界、現役銀行員匿名座談会本当はこんなに怖い「銀行員のお仕事」

『あまちゃん』『半沢直樹』大ヒットの秘密 世代を超えて親しまれる話題作が大きく伸びる  

「半沢直樹」に熱狂する、バブル世代の悲愁

サラリーマンの閉塞感を描いたリアリティと、それを突破する痛快さの両方がある

半沢直樹予想通りの結末

「上司は部下の手柄を自分のものにする」 「失敗は部下の責任」 「上司にタテつけば正しくても左遷」


「練習問題を数多く解くことによる、パターンマッチングの増大」からの脱却




若い人たちには、実は、受験の方法論しか、慣れた方法論がない

入試では、

・正解はひとつしかなく

・全国どこの大学も高得点者から順番に合格

というルールが決まっています

ところが、就職、結婚では、

・正解はおぼろがながらあるとしても、複数あり、しかもどれが適しているかは?相手により異なり、しかも、それが明示されていない

・必ずしも高得点から採用ではなく、採用はその時の相手の状況次第

です


と書きました。

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若い人たちは、選考プロセスというと、無条件に、入試のような、公正で、高得点者から選抜されていく、というプロセスを想定しがちです。

人事異動も上記と同様で、高得点者から順番に昇格、ポストに就く、訳ではなく、組織の責任者が、その時の状況に応じて、自分が組織を運営しやすいように、人材をポストにあてはめていきます。

会社組織では難しいので、オリンピック、ワールドカップなどのサッカー、バレーボールで監督が選手を選ぶプロセスを考えてみます。

監督は勝てるチームをつくる責任があります。

能力が高い選手が選考されるのはもちろんですが、サッカーにはフォワード、ミッドフィルダー、バレーボールにはアタッカー、セッターなどの役割があります。

それぞれの役割に適切な選手をあてはめてゆく訳ですが、全体人数の枠もあります。

最後のひとつ、ふたつの枠になると、それぞれのポジション人数と全体枠のせめぎあいになります。

その結果、順当に選ばれた選手、予想外に選ばれた選手、選ばれなかった選手が出ることになります。

かつてのエースで現在は準エース級の選手が代表チームに落選することがよくあります。

サッカーの三浦知良、中村俊介、バレーボールの栗原恵など

彼ら彼女らは、いまだに高い能力を持ちながらも、代表チームの機能、戦略を考えた場合、入るポジションがない、ということになるのでしょうか?

全体数に比べて、極めて少ない定員数しかなく、それを入試のような、公正な高得点順ではなく、組織の長が、自分が組織を運営しやすいように選考するプロセスですから、大多数から見れば、不合理であり、そこに「公平性」を求めること自体、ナンセンスかもしれません。


「TAK」さんは、今はやっていませんが、昔は自主ゼミをやっていました。

自主ゼミとしては、ゼミが多様な考えをぶつけ合い、活性化し、それぞれの能力を引き出す、ことを目指します。

応募者が定員を超えると選考することになります。

選考は、成績順ではありません。もちろん、成績は重要な要素ですが、あまり良くない人に、遠慮してもらう足切り基準の材料、としました。

男女比率、留学生の人数、学生・社会人比率などを考慮して決めます。

定員の関係で、残念ながら、落選の人が出るのですが、本人が悪いわけではなく、構成上仕方なかった、ということです。


「半沢直樹」は所属する組織内での浮き沈みに一喜一憂するサラリーマンの閉塞感を描いたものですが、人材の流動性があるといわれるアメリカも

企業家精神(アントレプレナーシップ)を発揮するにはイノベーション・エコシステムが大切




大企業、大学、ベンチャー企業、弁護士、弁理士などの専門家集団などのイノベーション・エコシステムは、ポジティブな関係だけではなく、

・大企業をレイオフされた人々が、新しい産業を創る

・大企業をスピンアウトしたベンチャー企業を、数年後にその大企業がM&Aで吸収

のように、かなりドロドロしたものも含みます。これらを含めたエコシステムの中で企業家精神(アントレプレナーシップ)は活かされる、ようです


に書いたようにサラサラとした流動性ではなく、ドロドロとした流動性のようです。

最後に、大企業の人事異動の事例を書いた

自分の人生は自分で!

で締めくくります。


大手商社でITコンテンツの版権開発を担当するNさん(42)は、ベンチャー企業からの転職組。普通は大企業から中小への転身が多いが、彼の場合は逆だった。

社員10人のイベント運営会社を振り出しに、制作会社を渡り歩き、去年から今の会社に。


初めての大企業はカルチャーショックの連続だった。特に人事異動が近づくにつれ、違和感は大きく膨らんだ。

2カ月も前から昼食や飲み会の席では、話題といえば人事のことばかり。誰もが社内人脈を駆使し、情報収集に躍起だった。

あからさまに上司にゴマをする者も現れた。派閥の力学なんてものが、大きな意味を持っていることも初めて知った。

しかも、事前にあれだけ大騒ぎしたくせに、ひとたび人事異動が発表されると、反旗を翻す者は皆無なのだ。

 
無名なベンチャー企業では、個人が目立たないと、次の仕事は取れなかった。

一方、大企業のサラリーマンは、もはや個人が目立つことは不必要どころか、上司の機嫌を損ねる危険な行為らしかった。それでは個人がすり減っていくばかりだ。


「自分の人生は自分で決めないと」

大企業も「終(つい)の棲家(すみか)」ではないと、Nさんは感じ始めている。



以上の話、本当だと思いますか?違う、と思いますか?

実は、かなりの官庁、大企業ではびっくりするほど「その通り」なのではないか?と感じます。

上司達はあなたのキャリアを勝手に、その時の都合で決めてしまうかもしれません。

但し、これは一般社員だけでなく、管理職、役員にも当てはまることです。役員人事も社長など上役の役員が決めてしまいます。

但し、決められたあなたのキャリアは、決めた上司達ではなく、あなたが責任を持たなければなりません。

上司は責任など取ってくれないし、いずれ人事異動で別の部署に行ってしまいます。


自分の人生は、他人に勝手に決められるより、自分で作っていきませんか?





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2013年09月25日

国際標準化と新興国とのコラボレーション

東大知的資産経営新ビジネス塾「国際競争下における中国の標準化戦略と「自主創新」」

という案内が来ました。

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一言でいうと、

中国は、安い労働コストを背景に世界の企業の生産拠点となっていた。

また、人口が多いことから、生産物の大きなマーケットでもあった。

製品の国際標準化が進む中、中国は自身の大きなマーケットを背景に、国際標準とは異なる独自標準を採用していた。

中国の経済力が上昇するにつれ、生産コストも上昇し、生産拠点は中国から東南アジア諸国へ移転しつつある。

そのような状況の中で、中国も国内マーケットだけでなく、海外マーケットを開拓するために国際標準づくりに参加

ということでしょうか

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東大知的資産新ビジネス塾「知財戦略はめまぐるしく進化する」

に書いた


日本の生産拠点が中国に移転して、日本国内が空洞化した、と言われて久しいですが、中国の経済発展により、賃金が上昇し、人々が中産階級化した結果、生産拠点が中国から東南アジア諸国に移転し、中国が空洞化、という現象も起きています。


が背景です。


それぞれを詳しく見ていきましょう。

国際標準化とは、

グローバル社会の中での国際標準化




技術、製品が国境を越えて取引されるのですから、製品の品質、性能、安全性、寸法、試験方法などに関する国際的な取極め、国際標準(Global standard)が必要です。

国際標準化は、18世紀に電報が各国間で通じるように、ヨーロッパ22カ国で開催されたのが始まりです。

つまり、標準化とは、国境を越えて、どの国でも使えるために、必要に迫られて作られたものです。

この会議は、なんと、ナポレオンが召集したそうです。

その後、万国電信会議で電話のプロトコルを決めて、各国間で電話がつながる、などへ発展していきました。

標準には、

・デファクトスタンダード (de facto standard) 「事実上の標準」:自然に成り行きで決まったもの。

・デジュールスタンダード (de jure standard):何らかの協議で決めたもの

の他、

・強制規格

・任意規格

例えば、電波は条約で決めた強制規格、電話は任意規格

世界標準、地域標準、国内標準などがあります。


さて、「生産拠点が中国から東南アジア諸国に移転し、中国が空洞化」と書きましたが、この原因は生産コストですが、背景にはディジタル化、モジュール化により、生産コストの安い東南アジア諸国に技術移転が可能、ということがあります。

モジュール化とは、

新興国ビジネス:モジュール化による国際水平分業化と品質重視へ

に書いたとおり、


モジュール化とは、1つの複雑なシステムを、相互依存の強い部品同士で構成するのではなく、交換可能な独立した機能を持つ部品どうしで構成しようとすること

例えば、パソコンのCPUやメモリーなどの内部構造は複雑で専門家でないと製作できませんが、それぞれのCPU、メモリーは機能が交換可能で、内部構造をしらない素人でも使用可能です。

つまり、複雑な製品でも、個々の部品をモジュール化してしまえば、素人でもプラモデルを組み立てるように簡単に作り上げることができます


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前置きが長くなりました。出た話をまとめます。


・中国は15年間の中長期科学技術計画で、低コスト主導から技術主導に移行することを明示。

・今後の製造業は、新興国とのコラボによる市場開拓がポイント。

・中国は他の新興国に対し、標準化設定で優位に立とうとしている。

・標準化によるプラットフォームづくりに加えて、他国とのパートナーシップづくりがグローバル化には不可欠。

・まず、コストで差別化し、その後、コストで差別化する。

・標準化は、イノベーション創出に重要な役割を果たし、幅広い参加をもたらし、知識の共有、グローバル化のドライビング要素となる。

・標準化は外部ネットワークの活用、マーケティング、技術の普及、など、いろいろな面で効果がある。

・国内規格と国際規格の確執は不可避、例えば、メートル法とヤードポンド法。

・基礎技術で追いつき、標準化活動と並行して、知財技術で追いつき、世界市場で追いつく。


GDPで日本を追い抜き、世界第2位の大国となった中国も、安閑としてその座を維持できるわけではなく、懸命の取り組みが見られます。

その中から、日本の「ものづくり」に参考になりそうなところが、かなりあります。

日本はかつて欧米の先進技術にキャッチアップして、低コストで世界の生産拠点、ものづくりの中心、となりました。

日本の「ものづくり」は、単に欧米技術のものまね、低コストだけではなく、高品質、低燃費、いわゆる省エネルギーの付加価値をつけました。

日本がジャパン・アズ・No.1とうかれている頃、欧米各国はシックス・シグマなど、これらを学び、追いつきました。

生産拠点が低コストにより、日本から中国に移転し、当初は「安かろう、悪かろう」で、低価格低品質だった中国製品ですが、技術の進歩、中産階級急増に伴い「低コスト低品質」から「品質・サービス重視」へ移行します。

リバース・イノベーションとは?

に書いたとおり、


最近、起こりつつあるのが、「リバース・イノベーション」と呼ばれるものです。

アジア諸国では、日本、欧米と同じ品質の製品は必ずしも必要とされません。

むしろ、多少、品質は落ちても、価格の安いものが好まれます。

もちろん、このアジアの安い製品を日本、欧米に持ち込んでも、売れませんでした。

ところが、このアジアの低コスト製品の品質が急激に上がってきました。

機能は、欧米のものに比べると、はるかに少ないのですが、多すぎる機能はそもそも使っていませんでした。

そこで、当初は欧米向け製品からスペックを落としたはずの低コストのアジア製品が、逆に欧米市場に入ってくるようになりました。

つまり、これまでは欧米の技術をアジアに導入していたのですが、逆にアジアの技術が欧米に導入されるようになりました。

これが、リバース・イノベーションでしょうか?


日本の「ものづくり」は高品質、省エネルギーのほかに「高機能」を付加したのですが、これは前者2つと違い、あまり評価されず、実際には不要なものが多い、ということで、シンプル化、機能は消費者が選択する動き、が進んでいます。

日本の「ものづくり」の最盛期の頃を思い出して、夢をもう一度、という人も少なからずいますが、これは無理です。

新興国との労働単価は比べれば、明らかなようにコストで、勝ち目がないのです。

それよりも、今後の「ものづくり」の中心となる、新興国と、どうコラボレーションしていくか?考えることが、これからの日本の製造業の課題、だと考えます。




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2013年09月24日

「農業」は「高度食料生産業」に急速に移行中

弥生時代に大陸から稲作が導入されて以来、米作が日本の産業の基幹でした。

これにより、水田をつくり、定住が可能になり、毎年の収穫高の予測が可能になり、計画経済社会へ移行します。

ただ、この農業従事者を苦しめたのが、ひでり、大雨、冷夏などの異常気象です。

異常気象と言うと、地球温暖化の影響のように言われますが、実は大昔からあって、その頃の方がずっと深刻でした。

コメの収穫が少ないと、当然、価格が上昇し、米騒動、打ち壊し、などの社会不安もありました。

江戸時代には、青木昆陽が琉球、長崎を経て伝わった甘藷(サツマイモ)の試作に成功して、飢饉にあえいでいた農民を救ったり、

明治以降も、主に東北地方の稲の冷害対策として、陸羽132号、藤坂5号など、冷害に強い稲が開発されました。

130924甘藷


東大知的資産新ビジネス塾「知財戦略はめまぐるしく進化する」




高度農業先進国オランダ、農業が工場で行われ、ソフト産業化


その数学は現場を超え、現場を動かす


年によって、ワインの味わい、質は大きく異なります。これは、ソムリエ、テイスターたちの領域とされてきました

ワインの味わい、質に影響をもたらすのは、気温、降水量など、ぶどう栽培、収穫時の気象条件でしょう

毎年の気温、降水量などの気象条件のデータと、その年のワインの味わい、質を分析すると、ある相関関係がでてきます

すると、気象データを分析することにより、まだソムリエがテイスティングすらしていないワインの質の予測が可能になります

現場の感覚だけでなく、データを記録、管理し、分析することにより、正確な予測が可能になります


「現場に足を運べ」「現場を見ろ」と言われます。これは、とても大切なことです。でも、それだけでは不十分です

データを計測可能にし、記録し、分析することにより、現場にいる人が気づいていなかったことが発見できたり、予測できたりします


と書きました。


つまり、豊作、美味しい味覚をもたらす気象条件を観測から入手し、それを人工的に再現すれば、

日照り、大雨、冷夏などの気象条件に左右されることなく、最高の条件で農業が行えるのではないか?

なんて考えていたら、

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山梨県のワインファームでセンサーを活用した農業支援を開始


ワインファームでセンサーを活用した農業、ブドウの最適な収穫時期や色素の度合いの見極めに活用

経緯を聞くと、ある山梨のワイナリーが「山梨がボルドーより凄いと証明して欲しい」ということがきっかけでした。

知ってのとおり、山梨のワインは葡萄出荷の残りからワインを作っていた歴史です。ワインの葡萄自体も海外からの輸入で作ったりしていました。

その後、気象状況を調べ、様々なセンサーと連動したぶどう畑を作りました。既にヨーロッパなどで受賞をしたりし始めています。やっていたのは、これだったか。と今になって判りました。

うん、ひょっとしたら富士通ワインは、ボルドーを抜くかも・・・


なんて記事がありました。

「農業」は間違いなく、データを駆使し、生産条件をコントロールし、品質管理を行う「高度食料生産業」に急速に移行中です。





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2013年09月18日

東大知的資産新ビジネス塾「知財戦略はめまぐるしく進化する」

東大知的資産新ビジネス塾

の案内が来ました。

このシリーズには何回か参加していて、過去の参加記は、

東京大学知的資産経営研究講座「技術を活かすデザイン・ドリブン・イノベーション」に参加しました

東京大学知的資産経営研究講座「新ビジネス塾」に参加しました

に書いてあります。

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かつての知財戦略と言えば、競合他社よりも先んじて技術開発し、それを特許出願し、権利化し、権利を防衛すると共に、ライセンス収入を得る、というものでしたが、オープン・イノベーション、国際標準化の流れの中で、あえてリスクの高い新規技術開発を自ら行うことなく、技術、知財ごと買収する、というのが現在のトレンドでしょうか?

また、日本の生産拠点が中国に移転して、日本国内が空洞化した、と言われて久しいですが、中国の経済発展により、賃金が上昇し、人々が中産階級化した結果、生産拠点が中国から東南アジア諸国に移転し、中国が空洞化、という現象も起きています。

これらを踏まえた上で、出た話をまとめます。


・モノとサービスの融合、モノのサービス武装化、サービスのモノ武装化。

・高度農業先進国オランダ、農業が工場で行われ、ソフト産業化。 

・「経営企画室」のような組織を作ると、安心してしまう。実際は、重役向け経営会議の資料作りのためだけの組織だったりする。

・異業種の創発には、コンセプト、ボキャブラリーの共有化が大切。これができると、次々に創発が出てくる。

・他業界の「定石」を学び、自業界の「定石」を再構築する。

・欧米諸国、1970年代にケインズ的政策が機能不全に。ベトナム戦争、2度のオイルショック。

・1980年代のアメリカ、技術の共同開発が「違法の原則」から「合理の原則」に転換。オープン標準化、オープン・イノベーションへの大潮流。

・1980年代のアメリカ、プロパテント政策による技術漏洩のコントロール、メインフレームコンピューター、マイクロプロセッサーなどで日本の躍進が止まる。

・1980年代までのアメリカの基礎研究の成果が、アメリカよりも日本の製造業を活性化させた。 

・1990年ごろのアメリカ、垂直統合型のビジネス組織が環境変化に適応が困難に。世界最高のR&D能力のIBMですら凋落。オープン型に移行。

・2003年施行の知財立国政策、知財創造、保護、活用の三位一体が謳われたが、関連予算のほとんどすべてが特許出願関連。出口側の保護、活用の予算は少ない。

・技術イノベーションで巨大需要を創出した日本企業が、大量普及ステージになると市場撤退。 

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・産業構造が変わり、競争ルールが変わった。モジュール化、オープン国際標準化。技術の伝搬が加速し、知財の機能、役割も変わった。 

・途上国の製造業、先進国から技術が伝搬してくることを前提にしている。エレクトロニクス、機能材料、石油化学。

・フロントランナーに立つ先進国、自国で人材を育成し、技術を開発し、失敗を繰り返しながら、製品を生み出さなければ、持続的な経済を維持できず、効率が悪い。

・キャッチアップ型の新興国は、自ら技術開発することなく、先進国の技術を輸入し、コピーし、ライセンスを受け、導入コストは先進国の1/3で済む。 

・技術開発が、企業内の内製から、オープン市場での調達にシフトした。技術、知財は買える。

・先進国の優位は、技術・関連情報の蓄積、高度技術を生み出す仕組みとこれを支える人材。これらが国境を超えて伝搬するのであれば、先進国では製造業が成り立たない。

・コア技術を守りながら、大量普及と高収益を同時に実現させるにはOpen&Closeの経営思想。

・知財を、自社のコア領域に集中させる、と同時に、コアと他者技術をつなぐ境界領域へ集中。

・コア領域から市場に向かう市場支配の仕組みを構築する。新興国の成長を自社の成長に取り込む。

・クローズ領域からオープン市場をコントロールする仕掛け、と、これを支える知財マネジメントを事前設計する。

・技術、知財、人、モノづくりが瞬時に国境を超えるグローバリゼイションを前提としたビジネスの再構築。

・同業他社のベンチマークのみでは、差別化戦略から脱却できない。


事業戦略、研究開発戦略、知財戦略の三位一体となった経営戦略と言われて久しいですが、すべてがめまぐるしく変わっている、そんな感じがしたビジネス塾でした。





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2013年09月16日

医療は他分野とのコラボで大きく展開する

東大駒場シンポジウム「進路選択は先人の経験をつなぎあわせて、自分の中で再構築」




医学部、医者は、他業界と違って、つぶしがきかず、付き合いの幅も狭く、閉鎖的な社会である。同窓会が異様に強い。


と医学部の先生から、予め紹介がありました。

そんなためか、医療系学生が

医療学生ラウンジ

などを作って、


閉鎖的な医療系学生の大学生活にイノベーションを!

そしてその先に医療とヘルスケアにイノベーションを!

尖った人材の発掘と育成を通じて、医療をよりよいものに変えること。


などの活動をしています。


2048年の医療「医療を変えることは未来を変えることである」

に最先端技術を武器に、医療現場に革命を起こしつつある方々からのお話を紹介したのですが、

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今日は、

「医療系学生×社会人交流会」

に参加します。

実は今日の東京は台風が接近中で、交通機関の乱れのおそれがあるのですが、なぜか晴れ間が見えます。

そのせいか、会場にはかなりの参加者がいます。

医療系ではない、社会人が多いようです。

医療業界と他業界がコラボすることにより、大きな可能性が示唆されているのでしょう。


これから出た話を紹介しますが、医療に限った話ではなく、広く他分野でも通用するお話が多かったようです。


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・現在やっていることの多くは、大学3年生時には予想外のこと。

・幸運の女神は準備した心のみに舞い降りる。好奇心、粘り強さ、対象を広く持つ。

・医療と教育にこそ、最高の科学技術を投入すべき。 

・運→縁→恩のサイクルを増やして、大きくしていく。

・医療系学生、自分で頑張らないと、医療系以外の活動機会をつくることができない。

・当たり前にあるものも、誰かがつくったもの。今ある幸せに満足しているだけではなく、「未来の当り前=文化」をつくる。

・紙の書籍と電子書籍の最大の違いのひとつは、ワンクリックでリンクに飛べること。

・紙とペンで書き続ける。自分に対して問い続ける。自分の長所と短所を知る。自分の物語を紡ぐ。

・業界の「壁」は二層構造、内側からの壁、外側からの壁。他業界の人と話ができない。自分の業界の現場も知らない。

・医療の問題を解決するには、医療の外側のリソースを活用すべき。

・好奇心、自分の気持ちに素直に、考える前に行動する。

・看護と社会は似ている。自分の態度や振る舞いが相手に影響する。相手のニーズを把握して、それを満たそうとする。対象を自分の延長として扱う。人の心に寄り添う。

・専門性を発揮できる体制や現場づくりが大切。システムデザイン。

・プロジェクト、「生の声」があると、仮説の検証、仮説の修正、再構築のフィードバックができる強み。 

・自分が発揮できるバリューの減少が予想される時は、他へ移ることを考えるフェーズ。

・チームになじむ。あわてずに、実務に少しでも戦力になる。地味なことから一つずつ。基本に忠実に、正確に速く。

・医療系と他業界のパートナーシップが今後不可欠なのだが、使用言語、考えか方のギャップが大きいので、相互の理解が大切。

・学生だけで盛り上がるだけでなく、社会人を巻き込むと社会が変わり始める。

・業界という縦軸と世代、性別という横軸のマトリクスで社会を考える。 

・ウェラブル・センサーで、当事者が意識して記録しなくても、医療データが蓄積されて、パーソナル健康情報が提供されるシステムができる可能性。

・「自己実現のための健康」であり、「健康のための自己実現」ではない。 

・自己実現には自己効力感が必要。管理しすぎるのではなく、当事者に任せることも大切。 


医療業界に限らず、いろいろな業界で「閉鎖性」はあります。

オープン・イノベーションの時代に、他業界とのコラボで医療は大きく展開する。

若い学生さんたちは、その活動を始めている。

新たな息吹を感じたイベントでした。




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2013年09月13日

表面上は気づかず、埋没してしまいがちな関係性の発掘、構築によるイノベーションの創出

東大イノベーション工学研究会セミナー「分析による革新的イノベーションの創出支援」「データマイニング技術によるつながりの発見と強化」

という案内が来ました。

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案内文によると、


科学技術イノベーションの重要性が広く認識されている一方、研究開発の結果として得られた個々の学術的な成果が、
社会的な課題の解決や経済的な価値に必ずしも結びついていないとの指摘がなされている。

また、従来の延長線上の研究開発が多く革新的なテーマの創出に乏しいことや、萌芽的・有望研究領域への選択的な投資がなされないこと、
などが課題として挙げられている。

本講演では、既存の「記述的」な方法とは異なり、データに基づく「探索的」なアプローチの有効性と必要性を論じる。

地域政策における課題の一つとして、どのように域内外の企業間の新たな連携・提携を支援するか、すなわち
「つながり力強化」があげられる。

本講演では、地域の企業間のつながり力強化を目的として、これまでイノベーション政策研究センターで研究開発を進めてきたデータマイニング・機械学習技術を用いた企業の新たな連携・提携先推薦に関する研究について紹介する。


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その数学は現場を超え、現場を動かす


超巨大データの多変量解析、データマイニングにより、直感ではわからなかった意外な事実が浮上してくる事例を示しています

例えば、年によって、ワインの味わい、質は大きく異なります。これは、ソムリエ、テイスターたちの領域とされてきました

ワインの味わい、質に影響をもたらすのは、気温、降水量など、ぶどう栽培、収穫時の気象条件でしょう

毎年の気温、降水量などの気象条件のデータと、その年のワインの味わい、質を分析すると、ある相関関係がでてきます

すると、気象データを分析することにより、まだソムリエがテイスティングすらしていないワインの質の予測が可能になります

現場の感覚だけでなく、データを記録、管理し、分析することにより、正確な予測が可能になります


「現場に足を運べ」「現場を見ろ」と言われます。これは、とても大切なことです。でも、それだけでは不十分です

データを計測可能にし、記録し、分析することにより、現場にいる人が気づいていなかったことが発見できたり、予測できたりします

これまで、このようなデータマイニング、分析を「現場を知らない数理屋の遊び」とさげすむ風潮がありました

もっと積極的に取り入れると、「その数学は現場を超え、現場を動かす」ことになるのではないか?


サイエンスマップによる科学研究の動的変化の観測




研究活動について、研究領域、研究者、研究成果、論文について、マッピングしてみると、面白い現象が見えてきます。

研究者にとって、研究テーマの設定は、最も重要なタスクの一つで、衰退していく分野よりも、今後伸びていく、影響力のある分野の研究を行いたいものです。

それゆえ、自分が主に研究したい分野について、時系列的に研究マップを見るのは、極めて重要です。


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もともとネットワーク分析とは、道路、鉄道、電力、ガス、水道などのインフラ整備に活用されてきました。

現状のネットワークで、どこがネックになっていて、どこに新しい設備をつくると、うまく機能するか?予測するツールでした。

データマイニングにネットワーク分析を組み合わせると、研究でも、ビジネスでも、

・現在存在しない、ここに関係性を構築すると、うまく機能する、新たな展開が生まれる

・この関係は、有効でないので、やめた方がよい

・この関係は、こちらに切り替えた方が有効

などが、わかりそうです。

すなわち、現状の分析だけでなく、将来の構築に活用できるのではないかしら?

そんなことを考えつつ、早速出た話をまとめます。


・産学連携、大学発ベンチャー創出促進に向けた様々な施策が実施されているものの、イノベーションには結びついていない。

・将来のイノベーションではなく、現在の技術に投資。従来の延長線上の研究が多く、挑戦的・革新的なテーマに乏しい。

・日本の大学の研究、日本企業が見向きもしない。海外企業とのライセンス契約の話が発表されると、あわててやってくる。 

・科学技術をめぐるグローバルな競争と情報量の爆発。新興国の躍進と競争の激化。

・科学技術情報の埋没現象(世界の動向や萌芽的な研究領域の見落とし)が起きている。 

・個々の技術・企業間の競争からエコシステム間の競争へ。技術的な実現可能性の追求に加え、研究開発の初期段階からの経済・社会・技術システムの中での実装可能性の検討が重要。

・技術開発を有効に活用するには、萌芽段階での抽出が大切。成長、成熟段階では遅すぎる。

・研究者の自発的な研究のための研究環境の確保が重要な一方、重要な研究開発領域ではデータや客観的な分析を踏まえた研究の展開が必要。 

・記述的分析(現在:データマイニング、テキストマイニング)から探索的分析(将来)へ。

・自分でデータを集めて、分析するのでは時間がかかり、「過去」を分析することになってしまう。既にあるデータを活用できるようにし、「予測」が大切。

・違う領域の人、テーマ、組織のつながりが、どう萌芽的領域のイノベーションにつながるのか?予測できるようにしたい。

・自分の周囲だけでなく、その外側で起きていることを把握しないと、判断を誤ることになりかねない。 

・企業間の大規模な取引情報を属性化し、機械学習により、取引をモデル化し、潜在的な取引を予測する。 

・「つながり」の予測を行うには、属性の適切な抽出がポイント。表面に表われる属性だけでなく、背後に隠れている属性。

・ネットワーク、全体としてのレジリエンスと局所的な特徴、コネクター・ハブ。

・ある時点のスナップショットの分析だけでなく、時系列の分析が大切。 



ディジタル化、ネットワーク化により生活、仕事はどう変わる?

「実世界ログが巻き起こすイノベーション」に参加しました




「個人の移動、購買、消費などの活動が、本人が意識する、しないにかかわらず、自動的に記録される」になり、しかも、その記録の相当部分がオープンになります。

過去の行動の再現、未来の簡易予測、それに基づく、行動の変更、などは、既にある程度実現しています

これを今後どう活用していくか?が、大きなポイントのようです


と書きましたが、ビッグデータ、データマイニングにネットワーク分析を組み合わせることにより、研究、ビジネスにおいて、

・現状分析による示唆

だけではなく、

・今後取るべき行動、関係性の構築

について、有効な示唆が得られるのでは、と考えたセミナーでした。




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2013年09月10日

世界の先進技術、情報を導入、活用するには

日本の科学、そして世界化について

というエッセイに興味深い記述がありました。


西洋文化である科学を日本はどう取り入れ、科学先進国になったのかということに興味を持ち、色々な文献を読んだ。

その中で一つ得た答えとしては、明治時代に科学を日本に取り入れる時の「専門用語の漢字語への翻訳過程」が非常に大事な段階だったということだった。

何かに新しく名前を付けるには、対象の特徴を理解し、それをもっともうまく表現できる字を深く考察する必要がある。

今存在する科学系の専門用語は明治時代の日本が作った漢字語である。

私はこの過程が日本の学者たちに科学を深く考えさせる哲学と文化を生み出したと思っている。

同じ漢字圏である韓国と中国は、科学を取り入れる時に日本が作った漢字語をそのまま取り入れたため、最初の考える段階が欠けてしまった。

そして当時の科学は強国になるための手段であったので、先進国の科学知識と技術を急いで追いかけるだけで精一杯だった。


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このプロセスについて考えてみます。

明治維新、文明開化の頃、西洋の先進科学、知識が、入手できるようになりました。

今のようにインターネットがあるわけではありませんので、書籍として入手できるようになりました。

当時の西洋の先進国はイギリス、フランス、ドイツですから、英語だけでなく、フランス語、ドイツ語などを扱うことになります。

さて、西洋の書籍を翻訳する訳ですが、ろくな英和、仏和、独和辞書など、この当時ありません。

また、仮にあったとしても、西洋の専門用語に対応する日本の用語が、そもそもありません。

このプロセスは「翻訳」というよりも「造語」であった、と考えられます。

それゆえ、まず原語の書籍を十分に理解した上で、それに対応する、日本語の用語を作成し、再構築していった、と考えられます。

例えば、「物理」「工学」「力学」「重力」「化学」「微分」「積分」などの用語を作った上で、日本版の学問を再構築していく。

これは、科学だけでなく、経済、哲学、なども同様のプロセスをたどります。

学ぶ立場からすると、数学、物理学など自然科学系の造語は、特に違和感はないのですが、哲学など人文科学系の造語については、「形而上学」「唯物論」など、わかりにくいものがあるのは、学問の性格上のものでしょうか。

さて、この大量の知識の導入ですが、西洋の学者たちが試行錯誤で獲得した知識を、効率的に獲得しました。

ただ、そのプロセスは、単なるコピー・アンド・ペースト、単語の翻訳、ではなく、十分な先生もいない中、ほぼ独学で内容を理解しなければならない、大変なものでした。

この明治の先人たちの努力が、その後の科学技術など学問の基盤、さらには優れた教材による大衆教育へとつながります。


このプロセスを振り返ると、世界の先進技術、情報を導入、活用するには、単なるコピー・アンド・ペースト、先人のマネ、ではなく、内容をしっかり理解した上で、再構築することが大切、と考えました。




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2013年09月09日

電力をインターネット化するデジタルグリッド、で生活はどう変わる?

「デジタルグリッド」総括寄付講座 設立記念シンポジウムー情報・電力・金融をデジタル技術で融合した「電力ネットワークイノベーション」

という案内が来ました。

案内文によると、


デジタルグリッドは、既存の電力系統のインフラを極力活用しつつ、家庭やビル、病院や商業施設など小規模なものから より大きなコミュニティ、市、県といった大規模なものまで、自立可能な単位に区分していき、災害に強く、安定で、強固な電力網に再構築しようとする構想です。

情報・電力・金融をデジタル技術で融合した「電力インターネット」ともいえる新しい電力流通網の学際研究を情報工学、電力工学、経営工学、経済学、社会学等の集合知により実施します。


これだけでは、よくわかりません。

通信、放送のデジタル化、情報、記録のデジタル化は、よく耳にするし、この激動の「デジタル化とネットワーク化」は、インターネットを中心に、電話からメール、カメラ、写真のデジタル化、それに伴う送受信が容易に、など、日々の生活でも実感されるものです。

ところが、「電力のデジタル化」とは、まだ耳慣れない言葉です。

総括寄付講座共同代表阿部力也特任教授の 

電力をインターネット化するデジタルグリッド

がちょっと長いですが、わかりやすいと思います。

かいつまんで言うと、

これまでの電力網では供給と需要の「同時同量」が原則であり、太陽光、風力など、天候により変動する自然エネルギーを受け入れるのは難しかった。

電力は火力、水力、原子力、再生可能エネルギーなどで、構成されていますが、これらがミックスされています。

上記のように、太陽光、風力などは天候により、変動するので、出力変動が比較的容易な火力で、供給と需要のバランスを図ります。

需要家は自分が使う電力は選べません。「原子力は嫌で、再生可能エネルギーを使いたい。」と言っても、すべてがミックスされた電力を使うしかありませんでした。

この辺の事情については、

再生可能エネルギー導入のための次世代グリッド技術と制度とは?

ヒト・もの・情報の融合によるエネルギー問題の解決

に書きましたので、詳しくはご参照ください。

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デジタルグリッドでは、そうした課題を解決するために、セル間で電力を融通し合うシステムを提案しています。

セルというのは、ある程度の大きさの蓄電池や、太陽電池パネルなどの分散電源を備えた最小の電力系統(グリッド)の単位で、この中だけで電圧や周波数を安定させた単独運転が可能です。これを自立運転といいます。

従来の電力網だと、上流にトラブルがあったら下流は全滅ですが、自立したセルであればそれ自体で生き延びることができます。

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蓄電池自体は鉛蓄電池など、昔からあったのですが、容量、エネルギー密度が小さく、価格も高価でした。

リチウムイオン電池などの急速な技術開発により、エネルギー密度が増加し、コストが軽減され、電力が余った時には貯蔵し、足りない時に、放出することが可能になり、供給と需要の「同時同量」が緩和されることになりました。

これは、少し前の通信も同じで、電話の時代には、送信者がかけた時に、受信者が受け取ることが原則で、双方の都合により、うまくいかないことが多かったものです。

ところが、インターネットと情報のメモリーによる蓄積により、メールで双方が都合の良い時間帯に、情報がやり取りできるようになりました。

これと同じことが電力にもできるようになるそうです。

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電力ルーターというものが、電力を宛先を指定して送り、電力がどうやってつくられたのか、どういう経路を通ってきたのかも、すべてデジタルグリッドルーター自身が動作した結果としてルーター内部に記録されていきます。

他の経路から来たものはその情報ごと記録されるので、電気が識別できることになります。発電から最終的な消費地まで、全部追跡できるということです。

この辺の事情は

阿部先生の資料「デジタルグリッド:スマートグリッドの未来」

を見ていただければ、と思います。

では、電力をデジタル化、インターネット化すると、何が起きて、どうなるのでしょうか?

これは、どんな未来が拓けるのか?未知なことだらけですが、出た話をまとめると、


・電話からインターネット、通信の即時性、同時性の制約から、メモリーを利用して、発信者、受信者の都合に応じた時間帯での通信が可能になった。 

・ディジタルグリッド、蓄電設備の発達により、発電・消費の同時同量制約から解放された。 

・再生可能エネルギーによる電力の活用、皮肉なことに、調整用の火力発電がないと受け入れ困難。

・アナログからディジタルは直接接続から間接接続。通信:交換式電話からインターネット、金融:現金書留から電信送金。限界ある市場から無限の市場へ。

・イノベーション:消費者がまだ知らない、認識していない価値を見出す、創り出すこと。

・少数の大型発電所から多数の分散型発電。スマートメーターが期待されているが、情報処理速度は電力変動を比較すると、スピードが遅過ぎる。

・ディジタルグリッド、電力系統を中小規模系統に分割し、自然エネルギーの変動を吸収する。セル非同期により、周波数、電圧、同時同量制約からの解放。

・ディジタルグリッド、パケット化した電力の送信が可能に、電力のインターネット化。

・電力エネルギーは交換可能な、基本財に。将来の需要を固定した「電力先物」などが出てくる。

・船の航行、天気予報を活用して、並みの高い航路を避けることにより、燃費が数割向上した。

・震災後、自主電源を有するビルが人気。逆に、それがないと時代遅れ。 

・東南アジアなどの新興国の停電頻発地域、家電機器が故障しやすい。短期間対応の非常用発電装置が有効。 

・南アフリカ、電力インフラの普及率は14%、一方、携帯電話の普及率は80%、人が充電ステーションにバッテリーを充電しにくる、人によるインフラ。


単なるエネルギー問題だけでなく、通信のインターネットが生活全般を激変させたような変化が起こる予感がします。




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2013年09月03日

デザインとビジネス戦略の融合「なぜ、いま、「デザイン」なのか?」

なぜ、いま、「デザイン」なのか? ( イリノイ工科大学Institute of Design主催)

という案内が来ました。

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欧米を中心に新たな価値、体験を生み出すためのデザインがより重要になってきています。

変化が激しい時代におけるデザインの役割、「技術イノベーションをいかに人間的にするかの方法」、「デザインとビジネス戦略を繋げる」、「インタラクティブなコミュニケーションや商品をデザインするためのメソッド」「デザインとビジネスを融合する」「ユーザー価値と経済価値を繋げる」などなど、

技術、イノベーション、ビジネス、コミュニケーションなど、いろいろな分野、あるいは分野融合を起こす方法として、デザインに対する期待は高まっています。

デザイン・スクールとしては、スタンフォード大学のd.school(Institute of Design at Stanford)

が有名です。

東大ischool innotalk「Design thinking」ドイツの事例より

に書いたとおり、


d.schoolでは、デザイン思考はどんな仕事・プロジェクトにおいても重要だという思想のもと、経営、情報技術、法律など多様な学科の学生が履修します。

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「問題解決のためのデザイン思考における5 つのプロセス」が重要だということ。

empathy:課題の対象に感情移入する

define:問題を定義する

ideate:アイデアをたくさん出す

prototype:プロトタイプを作る

test:試験し、フィードバックを得る

このプロセスは、モノづくりだけでなくあらゆる問題解決の過程で応用できます。そして、d.schoolではこのプロセスを実際にクラスを通して経験していくことができます。


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この講演では、ビールとサンドウィッチをつまみながら、とカジュアルな感じです。

では、早速出た話をまとめます。

・デザインは生産物だけでなく、組織、サービスにも適用できる。

・デザインは生産物をよくするだけでなく、物事を再構築することにも適用できる。

・自動車、カメラ、PCなど、選択肢が多過ぎて、混乱するだけ。個々の消費者のニーズに応じて選択できるデザインが必要。

・「考え方としてのデザイン」とは、本質的な新しさを創出するための手法。 

・チームで多様な考え方に触れつつ、一人で深く考える。

・クライアントのニーズに応じるだけでなく、顕在、潜在ニーズを発掘しつつ、機会を創出するデザイナーが求められている。

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・ビジョンを共有する率直さ、不確かさを恐れない強さ、仲間を持つ素晴らしさ、が「デザイン思考」の醍醐味。

・デザインに対する考え方の推移:かたち→課題解決→機会創出 

・デザイン思考とは、クリエイティブ思考×ビジネス思考。

・コンセプトが文字だけでなく、ビジュアルで表現される、ことが役にたつ。 

・デザインの背景:HOW(技術・製品)からWHAT(生活者)へ。

・デザイン思考:デザイン×ビジネス×エンジニアリング、理論+創造、社会の課題を想像力で解決する。

・デザイン思考:マインド×シンキング×プロセス、手を動かしながら考える。シンセサイズ:つなげ直し、モデル化し、物語る。クリエイティブ・コラボレーション:一緒に創造していく。

・ビジネスとデザインの交差点の価値、構想と実現、デザイン言語のビジネス言語への翻訳、コンセプト+ビジネスモデル・デザイン、ステークホルダー・ファシリテーション

・仮説をとりあえず実現し、どんどん進化させていく。

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経験、勘、運で語られていたビジネスに、背景にある理論をベースに分析的手法を持ち込んだのがMBA、

それに技術を結びつけたのがMOT(技術経営)、

さらにはデザイン、あるいはアートを融合する、

いろいろヒントになりそうです。




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2013年09月02日

科学史入門講座「新発見と再発見」

科学史入門講座「新発見と再発見」

という案内が来ました。

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案内文によると、


「科学史の研究」というのは,優れた科学者たちの創造的な研究(社会的・個人的な研究)を追求することが中心に行われてきました。

しかし,そういう科学者たちだって,先駆者たちの研究成果を学んで初めて,自分の〈新発見〉を科学史の上に積み上げることができたのです。

そういうことに注目すると,「科学史研究」と「科学者たちの受けてきた教育」とは不可分に結びついていることが明らかになります。

「後の世代の科学者たちにとっては,〈先行する科学者たちの研究成果〉をどのように学び知ったか」ということは,とても重要な意味をもっているのです。


科学技術史のすすめ、科学技術は振り返って見ても、面白い

に書いたとおり、


科学技術というと、最先端の分野で、未知の領域を研究・開発していく、というイメージですが、実はこれまでの歩みを振り返って見ると、社会環境に応じて、人々がどういう道をたどってきて、今後どういう道を歩むのか?わかったりします。

これは、歴史を振り返ると、政治・経済が見えてくるのに似てます。

例えば、第1次世界大戦(1914年)を振り返ると、

・ヨーロッパ諸国は同盟・協商関係により、意図しない、加わりたくない戦争に巻き込まれていった。同盟・協商関係は戦争防止だけでなく、戦争へ巻き込まれる危険もある。

・戦費が膨れ上がったため、通貨と金を交換する金本位制をやめざるを得ず、その以降、アメリカのニクソンショックで金本位制から離脱し、通貨乱高下が起こることとなった。

・戦時物資調達のため、戦場から離れたアメリカ、日本の産業が急速に伸びる結果となり、相対的なヨーロッパの地位低下を招いた。


科学技術はというと、例えば、天文学の将来は?

で書いたように、


天文学が最も重要だったのは、航海が発達した時代です。

レーダー、電波がない時代に、広い海の中で、自分の船の位置を確認し、正しく目的地に行くためには、星の位置から計測するのが一般的でした。

それゆえ、星の動きを観測する天文学は、海外との物資の流通、交通を行なうために欠かせない重要なものでした。

そもそも、夜空の無数の星の中から、水、金、火、木、土の5個の星の動きが他の星と違うことを17世紀までに発見したこと自体、すごい!と思いませんか?

ガリレオ、ケプラー、コペルニクスなどの偉大な天文学者も16、17世紀に活躍しました。

人類が人工衛星を打ち上げられるようになり、GPS(グローバリング・ポジショニング・システム)で位置を確認でき、地上にあるものは何でも撮影できる時代になりました。


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科学史とは、基本的に科学上の新発見の歴史です。

一見すると、科学とは、俗世間から離れた立場で、研究が行われているような感じがしますが、科学史を眺めてみると、社会の動きと密接にかかわっていることがよくわかります。

科学の発見の中には、「新発見」時には全く注目されなかったものが、社会の動きにより、注目を集め、「再発見」されるものも数多くあります。

上に書いたように、科学技術の研究も、最先端の分野で、未知の領域を研究・開発していく、ことに加え、偉大な先人たちが今までどのような道をたどってきたのか?振り返ると、自分たちが進むべき道も見えてきます。


科学史散歩から現在を見る


夢の中で運慶に「無造作にノミを使って、思うように眉や鼻が出来るものだな」と言うと「あの通りの眉や鼻が木の中に埋まっているのを彫り出すまでだ。土の中から石を掘り出すようなもので決して間違うはずがない」と運慶が答えた(夏目漱石)

自然科学においても真に創造的な理論は自然に無理なく構築されるのが理想の姿で、美しさが感じられるのはそのせい。建築物の美しさとも相通じるものがある。(福井謙一)

池田菊苗(グルタミン酸ナトリウムの発見者)は理学者だけれども、偉い哲学者であったのには驚いた(夏目漱石)池田は触媒の研究と共に、「科学とは何か?」という科学思想上の問題に思索を巡らし、マッハの実証主義的認識論に傾倒していた

自分は自然科学を育てる雰囲気のある国を後にして帰国する。自分の結論だけ持って帰るのではなく、将来発展すべき萌芽も持って帰る。しかし帰っていく故郷にはその萌芽を育てる雰囲気がない(ドイツから帰国する際の森鴎外)

日本の学会は、目先の成果ばかり気にとられて、「萌芽を育てる」基礎科学の研究を疎かにして、新しい学問を自らの手で開拓できない状態にある。しかし、日本で結んだ学術の果実をヨーロッパに輸出する時もいつか来るだろうと思っている(ドイツから帰国後の森鴎外)

17世紀中・後期の和算の発展期は、日本では西洋のように自然科学(物理学)と結びつく契機に恵まれず、租税の徴収、富裕者の道楽であった(立花太郎)

人間の不安は科学の発展から来る。進んで止まることを知らない科学は、我々に止まることを許してくれたことはない。どこまで行っても休ませてくれない。文明開化は生活を楽にするものとされていたが、実際には生存競争は激化して生活は苦しくなるばかり。(夏目漱石 文明開化のパラドクス)

西洋の文明開化は内より起こった内発的なものだが、日本の文明開化は西洋からもたらされた外発的なもの。我々は足元に埋もれている宝を忘れてはいけない(寺田寅彦)


ところで、一口に「科学技術」と言いますが、「科学」と「技術」は、本来は違うものではないでしょうか?

科学と技術の融合

に書いたことを再掲して締めくくります。


「科学技術」と言われる場合、自然科学において、科学的な発見、根拠があり、それをベースに、実社会に適用する技術に応用する、というのが一般的です。

ただ、人類の歴史において、「技術」は人間の生活と共に、科学的根拠など伴うことなく、ほとんど経験により、活用されてきました。

医術は人類と共に、発祥したのでしょう。

この当時のお医者さんは細胞試験、基礎実験など、行いません。実際の患者を扱う臨床の経験がベースです。

でも、紀元前の歯科技術は、現在と比べても、遜色ないことが発見されています。

農業が営まれると、水路をひく灌漑技術も発達しましたが、物理学の発見がベースではなく、これも経験によるものでしょう。

当然ながら、重力の法則も、作用・反作用の法則も発見されてはいませんでした。

測量技術により、直角を作るには、三角形の直角をはさむ二辺のそれぞれの平方の和と斜辺の和が等しい、ことを経験により知り、適用していました。

これを科学的、論理的に証明したのが、ピタゴラスです。

このように「技術」は人間の生活に密着したもので、生活を便利にするために、経験をベースに作られていきました。

つまり、「技術」は「役に立つ」ことが基本です。

「技術」は極めて閉鎖的で、親方から弟子へ、教わることもなく、見よう見まねで伝承されました。

「技術」は自分たちの存在価値、意義、飯のたね、ですから、他の人たちには教えません。

「技術」が書き物にされて、学校で広く教えられるようになったのは、近代に工科大学が設置されてからです。

一方、「科学」は、人間の生活とは、特に関係があった訳ではありません。

「同じ体積であれば、質量に関わらず、風呂からあふれる水の量は同じ」というアルキメデスの原理は、結果として、いろいろな技術のベースになりましたが、アルキメデスは人間の生活のために発見したのではないでしょう。

ニュートンの一連の法則、万有引力の法則、作用・反作用の法則、慣性の法則も同様です。

科学は、哲学、芸術、文学、などと同様、生活にゆとりがある人々の教養に基づく、知的欲求によるものです。

新しいことを知ることが楽しい、から行うのであって、特に、「人間のために役に立つ」ことを目的としたものではありませんでした。

「科学」は早くから大学で教えられてきました。もっとも、その当時は「科学」というよりも「哲学」であったかもしれません。

「科学者」は世の中から離れて、実生活とは関係のない、真理を追究する人たち、というイメージが最近までありました。


「科学」と「技術」が融合したのは、つい最近です。

「技術」が経験だけでなく、「科学」も根拠とするようになりました。

「科学」も何か「技術」に結びつかないか?検討し出しました。

そこで、「科学」が人間の生活に役に立つ、ようになりました。

「新しいことを知ることが楽しい」科学が「人間の生活に役に立つ」ようになりました。

こう考えると、科学はむやみに人間の生活に役に立つように、というよりも「新しいことを知ることが楽しい科学」と「人間の生活に役に立つ技術」がバランスを取って融合するのがいい、みたいです。




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