2014年02月

2014年02月25日

イノベーションを起こして、新たなビジネスモデルの構築

平野敦士カール先生講演会 「カール教授のビジネスモデル・イノベーション構築講演会」

という案内が来ました。

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いかにしてイノベーションは生まれるのか?

現場ではいかにして新しいイノベーションを生み出しているのか?

ということですが、平野さんは、もともとプラットフォーム戦略の専門です。

プラットフォーム戦略論とは?

に書いたとおり、


プラットフォーム戦略とは、


製品やサービスの土台となる「プラットフォーム」の上に、それを補完する製品やサービスを構築して、より高い「価値」を顧客に提供しようとするもの。

例えば、ソフトウェア業界では、マイクロソフトがWindowsというOSでプラットフォームリーダーの立場を築いているが、Windowsが高い訴求力を備えているのも、その上で稼働する各種のアプリケーションを補完業者が提供するという「エコシステム」をうまく成立させているからと言える。

プラットフォーム戦略を上手に展開できれば、単一企業のリソースだけでは困難な事業展開を実現できる可能性を秘めている。


と言われています。


ビジネスモデルについて、復習すると、

ビジネスモデル学会「価値創造型イノベーション」に行ってきました


・iPodよりも高いスニーカーがある(スティーブ・ジョブス)価値は顧客が決める

・高機能化がイノベーションではない。単なる高機能化は、誤ると、高コスト、低収益につながる

・売上成長 = シェアアップ + 新市場創造 + M&A(売上を買う)

・既存商品を高機能化し続けようとしても、どこかで不連続な変化に、置き換わられる。アナログカメラ→デジカメ、携帯電話→スマートフォン

・イノベーションのジレンマ、商品の機能を向上させても、顧客のニーズを超えてしまい、進化するローコスト商品に置き換わられてしまう

・顧客価値 = 体験価値(主観的価値:機能的(操作性、利便性)、感情的(クールなデザイン、良好なサービス))+提供価値(客観的価値(価格、品質、納期))片方だけではなく、両方のブレークスルーが望まれる 

・技術革新がないとイノベーションではない、と思いがちだが、iPhoneのように既存部品の組合せでもイノベーションは可能

・破壊的イノベーションの持続例:レコード→ラジカセ→ウォークマン→iPod→iPhone

・リーダーの役割:既成概念を打破し、新しい顧客価値基準を設定する

・イノベーションは研究開発費ではなく、人材をどう導くか?

・大事なことは、自分の直感と心を信じる勇気を持つこと(スティーブ・ジョブス)

・コンビニエンス・ストア:売れ筋以外の商品を置く、深夜営業をする、などは、一見すると採算を悪化させる。こういった発想は現場からは出てこない。トップダウンの発想

・アップル、スティーブ・ジョブスの天才、カリスマ性ばかりが目立つが、大種類の部品を低コストで調達するロジスティックに支えられている

・かつての自動車産業は系列、優秀なサプライチェーンに支えられる、裾野産業であったが、今は、グローバル市場からの調達がキーポイント

・マイクロソフト、デファクト・スタンダードの威力を示した。今でも個人ではMacを使っても、ビジネス文書はWindowsを使わざるを得ない

・貪欲であれ、教えを乞え、夢を追い続けよ(スティーブ・ジョブス)

・成功している時こそ、どこかで自己否定する勇気が必要。それがないと、過去の成功と共に埋没する

・音のディジタル化、圧縮。確実に音質が低下するので、技術者は避けようとしたが、電車の中で音楽を聴くユーザーには何の問題もなかった

・成功した大企業、事業部、部門は、ある種の利権団体になってしまい、既得権を守ろうとして保守的になり、新しいチャレンジはしにくくなる

・破壊的なイノベーションは、残念ながら、コツコツ改善の努力をする現場からは出てこない。現場から距離を置いて、全体を俯瞰する場所から生まれる

・破壊的なイノベーションは主流、利権団体ではなく、非主流から生まれる


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一橋フォーラム「三菱商事からレストラン事業で独立 クリエイト・レストランツ岡本晴彦社長」に参加しました


●スタートアップ・ビジネスについて

・リーダーシップがすべて(評論家は意味がない)

・(自分が出来ることよりも10%上を目指す)ストレッチ文化の大切さ(成長とともに風景が変わる)

・計画5%、実行95%(すぐにやる!)

・売り上げがなければ何もない

・現実は見通せない(想定外のことは必ず起こる)

・まず、やってすぐに修正する(石橋をたたいて渡る大企業は動きが鈍い)

・失敗を罰しない(チャレンジしなくなる)

・戦略(後発は他人と同じ事をやってはダメ)と科学(データをできる限り集める)

・成長のスパイラル(現状維持はない、成長か、衰退の二者択一)

・カリスマは滅びる。ブランドはそのままだと朽ちる。社内文化は積み上がる

・消費者ビジネスは、常に変化する、人間の脳の構造を解明する壮大なゲーム


「ビジネスモデルイノベーション勉強会@早稲田ファイナンシャル研究科」に参加しました


・大企業ではビジネスモデルを効率的・効果的に実行することが求められるが、スタートアップでは、実現可能なビジネスモデルの探索が大切

・ゼロから立ち上げる新規事業ではビジネスモデルとその構成要素は「仮説」にすぎない

・仮説を事実により、検証し、検証できなければ、軌道修正し、それを素早く繰り返して、ビジネスモデルを確立する

・仮説検証:最適な実験方法を検討する。リソースがかからない方法で行う

・スタートアップの失敗は、商品開発の失敗よりは商品が売れないことに起因することが多い

・商品・サービスの開発中から、小さな実験を素早く繰り返し、顧客を研究し、売れないリスクを低減する


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さて、前置きが長くなりましたが、出たお話をまとめます。

・ビジネスモデル・イノベーション、実績に基づく根拠ある理論、再現性があり、誰でもイノベーションが起こせるシステム

・ビジネスモデル・イノベーション、読むだけでなく、読んだ後に実践 

・企業は常にイノベーションを生み出し続けなければ、生き残れない。今、どの位置にいるかは問題ではない。(ジャック・ウェルチ)

・イノベーションの失敗は、創造性の欠如ではなく、訓練の欠如。

・イノベーションは、1.発明ではない。2.本当に新しい要素はほとんどない。3.財務的に継続可能なこと。

・イノベーションは製品に限定されない。持続的に価値を生み出すもの。

・イノベーションの実現、一番難しい問題に取り組む。誰もやっていないので、効果が大きい。

・市場に出て売り上げが出るまで価値がない。

・多くのイノベーション・タイプを結合すると、多くのリターンが得られる可能性がある。

・イノベーション・ランドスケープ、業界によって攻める分野が異なる。まだ、取り組まれていない分野を攻める。 

・3つのイノベーション・シフト。1.ビジネスモデル、2.プラットフォーム、3.顧客経験、どこでイノベーションが起こっていないか?

・イノベーションの規模、1.中核的、現状のものを変えたい。2.隣接的、境界を変えたい。(状況が変化して、不利になりつつある時)3.転換的、ゲームそのものを変えたい 

・イノベーションを起こすのに適している分野、重要だが、少し古くて、さえない分野


本日の講演は



の刊行を記念したもので、中を見ると、

●イノベーションの10タイプでブレークスルーする

イノベーションはそれぞれに特徴的な「10タイプ」に分類でき、ビジネスを変えるイノベーションを生み出すためには、その「10タイプ」を慎重に統合する必要がある。

「10タイプ」とはすなわち、利益モデル、ネットワーク、組織構造、プロセス、製品性能、製品システム、サービス、チャネル、ブランド、顧客エンゲージメントである。

イノベーションが創造性の欠如で失敗することはほとんどない、失敗するのはほぼ例外なくこの訓練が欠如しているからだ。成功するイノベーターは自分が属する業界のイノベーション・パターンを分析し、体系的に築き上げていくのである。

●100以上のイノベーション戦術を組み合わせる

「10タイプ」をイノベーションの構成要素に変える実践的なツールが「イノベーション戦術」だ。これらは決して新しいものではないが、それらを組み合わせることで大胆なブレークスルーを生み出すことができる。

複数の戦術を新しい形で組み合わせたら、まったく新しいビジネスモデルを生み出すことができるだろう。

成功しているイノベーションのほとんどは、まったく新しいイノベーションではなく、むしろあちこちから選んだ既知のアイデアを統合して作り出されているのである。

●イノベーションを視覚化する

イノベーション分析できわめて効果的なのが視覚解析。

何百もの企業や製品やサービスの独立した行動の累積的な経時変化を表示してくれる。

本書では「イノベーション・ランドスケープ」と呼び、峰の部分はイノベーション活動が集中している分野を表し、谷は投資がもっとも低調な分野を示している。

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イノベーションについては、このブログでも、随分書いてきましたが、本書の良いところは、

タイプの分類、戦術が予め用意されているので、それに基づき、分類、組み合わせを行えば、概略のビジネスプランが、それほど苦しむことなく、描ける、ということでしょうか。

ただ、ビジネスプランを描いただけでは不十分です。ビジネスプランがうまく機能するかどうか?は、実のところ、試してみないとわかりません。

デザイン思考、シリコンバレーIDEOの事例より

に書いたように、



早い段階で、コストをかけずに、プロトタイプを創り、市場に出して、フィードバックを得る。アイデアでは見えなかったことが、プロトタイプにすると見えてくる。 


が大切です。




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2014年02月24日

イノベーション、デザイン思考と知的資産の理論と実践

東京大学知的資産経営研究講座「デザインドリブンイノベーションの理論と実践」

という案内が来ました。

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このシリーズには何回か参加していて、過去の参加記は、

デザイン思考、シリコンバレーIDEOの事例より

東大知的資産新ビジネス塾「経営戦略としての知財活用」

東京大学知的資産経営研究講座「技術を活かすデザイン・ドリブン・イノベーション」に参加しました

東京大学知的資産経営研究講座「新ビジネス塾」に参加しました

東大知的資産新ビジネス塾「知財戦略はめまぐるしく進化する」

国際標準化と新興国とのコラボレーション

に書いてあります。

欧米を中心に新たな価値、体験を生み出すためのデザインがより重要になってきています。

変化が激しい時代におけるデザインの役割、「技術イノベーションをいかに人間的にするかの方法」、「デザインとビジネス戦略を繋げる」、「インタラクティブなコミュニケーションや商品をデザインするためのメソッド」「デザインとビジネスを融合する」「ユーザー価値と経済価値を繋げる」などなど、

技術、イノベーション、ビジネス、コミュニケーションなど、いろいろな分野、あるいは分野融合を起こす方法として、デザインに対する期待は高まっています。

ところが、イノベーションのためのデザイン思考が重視されるようになりながら、その場合の知的資産については、十分に考えられていません。

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かつての知財戦略と言えば、競合他社よりも先んじて技術開発し、それを特許出願し、権利化し、権利を防衛すると共に、ライセンス収入を得る、というものでしたが、オープン・イノベーション、国際標準化の流れの中で、あえてリスクの高い新規技術開発を自ら行うことなく、技術、知財ごと買収する、というのが現在のトレンドでしょうか?

また、日本の生産拠点が中国に移転して、日本国内が空洞化した、と言われて久しいですが、中国の経済発展により、賃金が上昇し、人々が中産階級化した結果、生産拠点が中国から東南アジア諸国に移転し、中国が空洞化、という現象も起きています。

「生産拠点が中国から東南アジア諸国に移転し、中国が空洞化」と書きましたが、この原因は生産コストですが、背景にはディジタル化、モジュール化により、生産コストの安い東南アジア諸国に技術移転が可能、ということがあります。


知的資産と言うと、個々の技術の特許、ライセンスが中心で、デザイン思考になじむ形には、まだなっていない感があります。

さて、今後どういう形に展開していくのか?

早速出た話をまとめてみます。

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・技術の実現は、もはや、ニーズとシーズのマッチングではない。アイデアに基づき、技術により、ニーズを創り出していく。

・いいヒントをくれるデザイン解釈者、よいのは、他社のマーケティング系など、比較的離れた立場の人、ダメなのは自社の上長の立場の人

・よい解釈者となるのは、不確実性、変化を楽しむ、新しい世界に踏み出せる、他人に感心を持つ、利他的な人。

・過去のデータの蓄積ではなく、未来から現在を見る、自分で創るしかない、という覚悟

・デザイン・イノベーション、既存の技術を組み合わせて、新しい市場を切り拓く。既に大きなシェアを持つ、大企業にはやりにくい。

・グローバル市場に、技術モジュールがたくさんある時代。これを組み合わせれば、新しい市場が創り出せる。デザイン・イノベーションが注目される。

・早く、たくさんプロトタイプを市場に出して、市場からフィードバックをもらい、いい反応のものを本格化する。

・新しい価値を「付加」するのではなく、既存のものを「置き換える」 

・仮説検証、実証型は測定しやすいもので行うので、そうでないものにはなじみにくい。探索学習型が向いている。

・スピーディーな意思決定ができないことが大企業の問題。組織改革で対応するしかないのだが。

・アップルと日本の企業の違い。社内の機動的なファイナンス部門のスピード感。年度予算計画に計上してあるか、などの制約を受けない。

・「部」「室」などの組織にすると、必ず形骸化する。大企業は組織よりもプロセスで行う。

・「ムダを許容する」をシステムに入れ込む。

・サービス、イノベーションに知財はどう対応していくか。




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2014年02月17日

「病院」がトヨタを超える日、大変革を迎えつつある医療

『「病院」がトヨタを超える日』著者 北原茂実氏講演会〜正しく思い、正しく考え、そして想いを形にすること〜

という案内が来ました。

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医療が大変革を迎えつつある、のは、間違いありません。

2048年の医療「医療を変えることは未来を変えることである」

に書いたように、


ゲノム以降の生命科学、(見つける、測る わかる生物学、システム生物学)、(操る、創る 創る生物学、合成生物学)

・医療の進歩、ゲノム等のバイオ技術だけでなく、光学、情報通信、ディジタル化など、「医療の可視化」によるものが大きい

・高解像度カメラにより、今まで見えなかったものが見えるようになった

・高解像度カメラなど光学、情報通信、ディジタル化技術の進歩により、患者の患部を直接見る以上に、治療箇所が的確に見えるようになった

・電子カルテ、医療情報データベースによる、情報共有は個人情報の問題は大きいものの、間違いなく全体のレベルアップにつながる

・医療にビジネスと言うと、人が困っていることで金儲け、と悪く思う人も多いが、ビジネス化は公的資金に頼らず、物事を動かすメカニズム

・インターネットのように「これがなかった時代など想像できない」という医療イノベーションは何になるか?現時点ではわからない

・病気になる前に健康を気づかせることは難しい。自覚できない

・ゲノムにより、自分に将来起こりうる病気をある程度、予測することができるが、外的条件も相当大きい

・健診は「わかって対処できること」にメリットがある。わかっても対処できないことは健診すべきか?

・医療は非日常ではなく、日常の延長

・マイクロチップを人体に貼付することにより、血圧、脳波などを24時間モニタリングする

・医師が症例データベースにより、患者の症状をその医師の経験の範囲内でなく、広く照合し、診察する

などは既に行われつつあります。

これまでは「患者の自覚症状により、通院する」というパターンでしたが「計測データから未然に対策」が現実のものになりつつあります。

光学、情報通信、ディジタル化などにより「医療が可視化」され、3Dプリンターにより、「可触化」されつつあります。

光学、情報通信、ディジタル化などによる「可視化」、3Dプリンターによる「可触化」など、医療だけでなく、社会全般で起こりつつある技術の進化が医療の進歩にも大きくかかわりそうです。


もう既に、

Googleがスマート コンタクトレンズを開発、血糖センサと無線内蔵の医療用

涙に含まれるグルコースを監視することで、糖尿病患者に血液検査より楽な血糖値管理の方法を提供するとともに、今後はLEDを内蔵して、着用者に血糖レベルの急激な変動を警告する機能も検討しています。

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人間のすべての健康状態を計測してくれる世界最小最薄のスキンセンサー

イリノイ大学の研究者たちが、皮膚に直接接着できる世界最小最薄のセンサーの開発に成功した。このセンサーは体温はもちろんのこと、皮膚の乾燥状態、血流、筋肉の疲労具合など、様々な健康状態を測定・管理することが可能

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のように、ディジタル化、ネットワーク化により、「患者の自覚症状により、通院する」から「計測データから未然に対策」が現実のものになりつつあります。


一方で、

医療は他分野とのコラボで大きく展開する

に、


東大駒場シンポジウム「進路選択は先人の経験をつなぎあわせて、自分の中で再構築」




医学部、医者は、他業界と違って、つぶしがきかず、付き合いの幅も狭く、閉鎖的な社会である。同窓会が異様に強い。


と医学部の先生から、予め紹介がありました。

そんなためか、医療系学生が

医療学生ラウンジ

などを作って、


閉鎖的な医療系学生の大学生活にイノベーションを!

そしてその先に医療とヘルスケアにイノベーションを!

尖った人材の発掘と育成を通じて、医療をよりよいものに変えること。


などの活動をしています。


と書いたように、医療の世界は、まだまだ閉鎖的であることに加え、医療のビジネス化、産業化、などと言うと、弱者切り捨てか?のように、目くじらを立てる人がいます。

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食料でも、家電製品でも、交通でも、社会保障ではなく、ビジネス、産業として行われていますが、いわゆる「弱者」であっても、これらのサービスを享受できています。

むしろ、多数の「弱者」を顧客とできないようでは、ビジネスとして成立しないでしょう。

社会保障制度としての医療が、崩壊しつつある今こそ、医療の産業化が求められます。

また、グローバル化が急速ですが、医療についても同様で、優れた日本の医療を海外に展開する、

看護師などの不足は、海外の優れた人材に来てもらう、など、が必要です。



さて、いささか前置きが長くなりました。早速出たお話をまとめます。

・社会の固定概念は変わる。スキージャンプ、以前はスキーをそろえ、両手を身体にぴったりつけた。今はV字ジャンプ。

・社会を支える柱、1.農業を中心とする第1次産業、2.教育、3.医療・社会保障、4.司法。農業、教育が成立していないと、医療・社会保障は成立しない。

・医療とは、いかにして人が良く生き、良く死ぬか、そのすべてをプロジュースする総合生活産業。医療は病院の中だけでなく、社会の中で行う。

・保険は、人口ピラミッド、右肩上がりの経済、ほとんどの人が大丈夫、という条件で成立する。今の健康保険は、保険ではなく、収入に左右される目的税。

・結果、成績を公表したら、No.1の病院に患者が殺到してしまう。 

・医療の産業化、すべての市民が顧客であることを考えれば、ビジネスは成立する。ただし、現時点ではマネジメントの視点が欠けている。

・医療を考える上で重要な視点。1.マクロ経済についての理解、2.テクノロジーの未来を見通す力、3.モラル感覚 

・施しでは人も社会も救えない。 

・起こったことに対する後始末だけではなく、そもそも、そのようなことが起こってしまうシステムを変える。

・需要者と供給者が一体化すると、協力関係が生まれ、少なくとも、不正はなくなる。

・コンピューター、ネットによる自動問診システム、これにより、初期診断、薬の処方ができれば、医療行為の8割が対応できる。つまり医者も大量に不要になる。

・正しく知ること、正しく想うこと、想いを形にする力を持つこと。 

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・コンピューター、ネットによる自動問診システム、これにより、初期診断、薬の処方ができれば、医療行為の8割が対応できる。つまり医者も大量に不要になる。

と書きましたが、さらに、

東大イノベーション政策研究会「サービス工学の概念と実践」に参加しました

に書いたように、


医師による診断はこれまでは、その医師のそれまでの経験の範囲内での診断でしたが、検査データを、大規模データベースと照合すれば、診断はずっと容易になります


医療が大変革を迎えつつあるのは間違いないのですが、

どう変革し、その後、どのような社会が訪れるのか?楽しみです。




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2014年02月14日

デザイン思考、シリコンバレーIDEOの事例より

東京大学知的資産経営研究講座「シリコンバレーIDEOの事例より」

という案内が来ました。

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欧米を中心に新たな価値、体験を生み出すためのデザインがより重要になってきています。

変化が激しい時代におけるデザインの役割、「技術イノベーションをいかに人間的にするかの方法」、「デザインとビジネス戦略を繋げる」、「インタラクティブなコミュニケーションや商品をデザインするためのメソッド」「デザインとビジネスを融合する」「ユーザー価値と経済価値を繋げる」などなど、

技術、イノベーション、ビジネス、コミュニケーションなど、いろいろな分野、あるいは分野融合を起こす方法として、デザインに対する期待は高まっています。

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デザイン思考については、

イノベーション創出エコシステム勉強会「社会システムのデザイン」に参加しました

デザインとビジネス戦略の融合「なぜ、いま、「デザイン」なのか?」

東大ischool innotalk「Design thinking」ドイツの事例より

に書いてきましたが、

デザイン・スクールとしては、スタンフォード大学のd.school(Institute of Design at Stanford)


が有名です。


d.schoolでは、デザイン思考はどんな仕事・プロジェクトにおいても重要だという思想のもと、経営、情報技術、法律など多様な学科の学生が履修します。

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問題解決のためのデザイン思考における5 つのプロセス」が重要だということ。

empathy:課題の対象に感情移入する

define:問題を定義する

ideate:アイデアをたくさん出す

prototype:プロトタイプを作る

test:試験し、フィードバックを得る

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このプロセスは、モノづくりだけでなくあらゆる問題解決の過程で応用できます。そして、d.schoolではこのプロセスを実際にクラスを通して経験していくことができます。



これまでのお話は、主にアカデミアの立場からでしたが、今日は現場のビジネス最前線からのお話です。

・デザイン、建築物、製品など物理的なものから、体験、サービス、ビジネスへと広がる。

・デザイン思考を通じて、アイデアをアイデアで終わらせずに、ビジネスにインパクトを与える。

・デザイン思考、人々を通じて、ビジネス、技術を創り上げていく。 

・日本の変化の触媒となる。実は、単なる触媒(自身は変化しない)ではなく、自身も学習し、変化していく。

・先のニーズがわからない時にデザイン思考が有効。リニアに進むのではなく、行ったり、戻ったりしたり、わき道にそれたりする。

・デザイン思考のステップ:1.デザイン・リサーチ(観察)2.統合(考察)3.ブレインストーミング、アイデア創造(創造)4.プロトタイプ、ストーリー(伝達)

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・コアユーザーの言うことは想像がつく。ヒントになるのは、周辺ユーザーの言うこと。 

・早い段階で、コストをかけずに、プロトタイプを創り、市場に出して、フィードバックを得る。アイデアでは見えなかったことが、プロトタイプにすると見えてくる。 

・モノだけでは商品は語れない。体験を商品に。 

・金融業、体験、デザインが、これまで、あまり検討されてこなかった。検討の余地がたくさんある。

・インタビュー、食事をしながらだと、本音を聞けることがよくある。 

・コラボレーション、多様な人が集まっただけでは、難しい。ファシリテーターの役割が大きい。場所と人。

・デザイナーがサプライチェーンにも提案。容易、安価に流通できるように。

・伝統的なマーケティング・リサーチとは仮説があって、それを検証する。デザイン・リサーチは、新しいものを見つける。

・顧客をセグメントに当てはめるのではなく、個々の顧客の行動、ニーズにフォーカスする。 

・インタビューで聞いた内容と実際のギャップ、行動を観察すると見えてくる。

・客観性よりも、共感性を大切に。

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・プロトタイプの価値はそれが招く対話とフィードバックを得るため。モノの美しさは問題ではない。ラフで、素早く、適切に。

・デザインもビジネスも、よいアイデアを形にするためにある。 

・ビジネスの「正解」はわからない。不透明な状況で意思決定せざるを得ない。新しいものを創るのも、不透明な状況の連続。方程式よりもマインドセット。

・クライアントからアイデアが出てこないと、コンサルタントも仕事にならない。

・「こんな事、人前で言ったら、どう思われるか?」「まだアイデアが練れていない」自分で自分にブレーキをかけている。

・ビジネスもデザインも一発で成功することはほとんどない。早く市場に出して、フィードバックを得る。

・「練れていないアイデア、プラン」は組織の決裁の中でつぶされていく。 

・ビジネス思考は諸刃の刃。アイデアを形にするよりも、制限、否定のために使われることがよくある。

・新規事業を既存事業と同じ評価軸で評価してはいけない。新規事業はしばらくは利益は出ないのは当然。

・3C、4P、マイケル・ポーターの5つの力、などのフレームワークは、考えや視点を整理するためのツールであって、意思決定するためのツールではない。フレームワークに無理やりあてはめようとせずに、自分のフレームワークを創る、持つ。 

・先に行き過ぎた時に、引き戻すことはできるが、行かないものを進めることはできない。

・批判するよりも他者に発想させる。

・早い段階でフィードバックを得て、方向修正する。

・「答え」ではなく、「問いかけ」を探す。

・デザイン・ドリブン・イノベーション、市場を奪い合うのではなく、新しい市場を創る。「新しい市場」を創り出そうとするよりも、結果として「新しい市場」が出来ている。

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・可視化、言語化、プロトタイプ、できていない分野に適用していく。

・仕事を通して、人、組織が変わっていく。ただ、戻ってしまうことも多い。 

・抽象概念を言語化することに価値がある。

・コンテンツ・コンサルタント(ビジネス戦略など、クライアントがすべきことを提案)とプロセス・コンサルタント(クライアントと一緒に何かを創る)の2種類がある。

・イノベーティブな国として、日本の評価は海外から高い。

・仮説検証から探索学習へ移行しつつある。 


実は、特に目新しいことはありません。既に上に挙げたデザイン思考の事例で、繰り返し述べられていることです。

ただ、

・早い段階で、コストをかけずに、プロトタイプを創り、市場に出して、フィードバックを得る。アイデアでは見えなかったことが、プロトタイプにすると見えてくる。 

など、実際にやれているか、どうか、がキーポイントです。

「やれない理由」をあげる前に、実際にやってみると、確実に何かが変わりそうです。






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2014年02月08日

データサイエンスが先導するマーケティングイノベーション・クラウドのビッグデータを価値に変える

「データサイエンスが先導するマーケティングイノベーション・クラウドのビッグデータを価値に変える」

という講演の案内がAICOS(アキバイノベーションカレッジ オープンセミナー)

から来ました。

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案内文によると、


ビッグデータの潮流とともに、次世代の情報活用の世界が開かれつつあります。
 
ポイントカードを通じた顧客属性・行動データや、M2Mやインターネットオブシングス等の機器ログ、さらにはソーシャルメディア、個々人のライフログ等々、いまやセンサーとコンピュータネットワークによって、地球上の全てがデータ化の記録範囲に入ってきました。
 
他方、クラウドコンピューティングの普及に伴い、どの企業体においても自社ビジネスのデータ資産を低コストで保有することが可能となり、データサイエンス・ビッグデータ解析はより身近なものになりつつあります。
 
両者の交わるところを起点として、マルチソースを対象としたより高度なデータ活用が期待され、特に現状最も活用の進んでいるマーケティング領域で、イノベーションが進展しつつあります。

また、国際的なオープンガバメント・オープンデータの流れから、公共データ・企業データ問わず世界に流通するデータ種・量ともに爆発的に増加していくことにより、今後どのような企業体もデータ活用なしに成長は無い状況になると予想されます。 


とあります。

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ビッグデータの最近の潮流としては、

意図しなかったビッグデータから、プロセス、結果を織り込んだデータへ


・意図しなかったビッグデータから、プロセス、結果を織り込んだデータへ

ビッグデータという言葉が最近よく使われます。

ビッグデータとは、記録の、自動化、大量化による、「意図しない」データであり、これら「眠っているデータ」を発掘すれば、もの凄い「宝の山」が埋もれているのではないか?と思われていました。

しかし、結果として得られた「結果データ」と、その結果が得られたプロセスでの「プロセスデータ」がセットになるように、データ取得がデザインされていないと、せっかくのビッグデータも活用できないことが指摘されるようになってきました。

どの「結果データ」がほしくて、その「結果データ」に影響を及ぼす「プロセスデータ」は何なのか?何の可能性があるのか?

ストーリーを構築し、結果とプロセスを織り込むようにデザインする、ことが大切になってきました。

そろそろ、「意図せずに、大量にとれていたデータの発掘」から、「計画的に、プロセス、結果を織り込んだデータの取得」に向かう時では、と考えます。


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・そうは言いつつも、意図せずに、記録の、自動化、大量化により、いろいろなところに残され、埋め込まれた大量データを分析すると、思わぬ「宝物」が発掘される。

その量は膨大で、人間の予想をはるかに超えるもので、分析すると、何がわかるか?計り知れない。


ウェラブル・コンピューター、自分のライフログ(生存・生活記録)が可能に?

高齢化時代のヒューマンインタフェース技術


ウェラブル・コンピューターと言って、腕時計、メガネなどに装着する形で、コンピューターを人間に取り付けることができます。それゆえ、24時間365日人体の記録(血圧、体温、血流量、脈拍、歩行量、など)を測定できるようになります。

これまでは、仮に測定できても、そのような莫大な容量の記録データは保存しようがありませんでした。

情報技術では、

ムーアの法則:計算機素子の能力は18ヶ月で2倍になる

ギルダーの法則:通信回線の速度は9ヶ月で2倍になる

と言われています。

例えば、昔のスーパーコンピューターのハードディスクの容量が、今ではすっぽりとノートパソコンに入ります。

それゆえ、24時間365日人体の記録(血圧、体温、血流量、脈拍、歩行量、など)データが保存可能になります。

すると、人間は病院に行かなくとも、主治医がデータを見て、病気の診断、薬の処方、をすることができるようになります。

なお、人間に24時間365日装着されるコンピューター(ウェラブル・コンピューター)は、医療以外にもマーケティング調査(店舗での人々の消費行動)、快適感調査(住宅内での生活者の行動)など、応用範囲はかなり多い、と考えられます。


人間・テクノロジーの未来「インタラクションからインテグレーションへ」


Google検索、世界の事はわかるが、自分のことは検索できない。「昨日何を食べた?」「1週間前に会ったあの人の名前は?」など。これが自動的に記録され、必要な時に引き出せると、人間の機能が驚異的に向上する

カメラ付きのメガネで視線が追ったもの、食べたものをを自動的に記録する、簡単なイア・センサーで聞いた音、話したことを録音する、など、

人間の行動が自動的に記録され、かつ、検索できる


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ビッグデータについては、

「実世界ログが巻き起こすイノベーション」に参加しました

ディジタル化、ネットワーク化により生活、仕事はどう変わる?

勘、経験からデータに基づくライフスタイルの時代へ

に書いてあります。

いわゆるビッグデータのほかに、行政などが公開しているデータも膨大です。

ただ、異なるフォーマットのデータを組み合わせることは、なかなか難しくて、せっかくのデータが十分に活用されていない、なんてこともありました。


これらを踏まえて、出た話をまとめます。

・データを分析し、活用するには、組織横断的な活動が不可欠。単独部署では無理。

・ビッグデータとは、Variety(多様性)、Velocity(リアルタイムで速い)、Volume(大量)ところで、ビッグデータで何ができるのか?

・データ分析による、個別業務の最適化、効率化も大切だが、新しいビジネスへのきっかけとしたい。

・ビッグデータを活用するには、複数のフォーマットが異なるデータの統合による価値創造が必要。

・課題解決のために必要な指標の設計、ツールの導入、など、知らないうちに取れてしまったデータの分析から、ストーリーをもったデータ分析へ

・行政が公開しているオープンデータから、例えば、農家向け収入保障保険(天候データ)、不動産評価(教育、犯罪、環境、日知日との収入)などができる。

・以前は、アイデアは隠して、利益化していたが、今は、オープンにし、外部のアイデアと組み合わせることで価値を生み出す。

・どれが当たるかはわからないので、アイデアを思いついたら、すぐに作って、市場に出してみる。

・人材の育成には、適切なタイミングに、適切な経験を積ませることが大切。

・トヨタとグーグルが競合、競合が同じ業界内ではなく、業界を超えて起こるようになった。

・データ分析のフロー:1.データ整備、2.探索的分析、3.問題定式化、4.モデリング、5.運用、2、3、4が不十分なままで5を行っている場合が多い。

・データ分析、本来、全体の最適のために行うのだが、実際には個別、局所、部分の効率化、最適化のためになってしまっている。

・目標設定、すり替わっていることがよくある、全体から局所、目的と手段のすり替わり。

・システム論、生命系と工学系で全く異なる。各要素が互いに関係する場合、全体を細分化していっても解けない。

・広告代理店、基本的に局所最適を売る。実は、問題が広告なのか?商品なのか?技術なのか?わからないのに、広告で問題を解決と規定してしまっている。 

・自分が持っているソリューションで問題を解決しようとしてしまう。問題から解決法を考えるのではなく、解決法から問題を規定してしまう。手段を自己目的化してしまっている。

・潔癖症ではなく、データを雑に見ることが大切。潔癖症だと無限ループに陥ってしまう。ノイズとシグナルを見分けられない。 

・無理にデータを類型化するのではなく、俯瞰して見る。ビッグデータ、データサイエンスを活用しつつも直感によるものも、依然として大きい。

・検索には心理行動が表われる。購買前に取った行動から心理を読む。

・広告、自分がターゲットとされていても、他社と比較することがあまりないので、わからない。

・データを持っているだけでは負債、活用できるようにマネタイズして資産になる。

・アメリカではデータの売買が行われている。データが知的資産化。 

・多くのデータは時と共に、陳腐化していくが、ある顧客にとっては、大きな価値になる場合がある。 

・バイオ、アルゴリズムを特許化すると、公開することになってしまうので、不利な場合もある。

・スピーディーに何度もトライして、失敗しないと成功しない。

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ネット通販では、購買履歴に加えて、

・購買前の検索履歴

・購買サイトに来たが、結局購買しなかった時の、事前検索履歴

が大切だったりします。

また、分析してわかった課題に対して、自分たちが持つ解決策だけで対応しようとするのではなく、
広汎な対応策を検討する、ことが大切そうです。

このテーマに関して、予測することは難しく、往々にして意味がないし、解決策も簡単には出てこないと思われますが、流れは追っていきたい、と思います。



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2014年02月04日

卒論・修論発表会は「公開」すると面白い

卒論・修論発表会のシーズンです。

徹夜で書き上げて、提出して、ホッとするのもつかの間で、発表用のスライドを作らなければなりません。

学科の先生方の顔が浮かんできます。

「意地悪な、答えられないような質問をされたら、どうしよう?」

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実は他者からの指摘は貴重なもので、研究している本人、指導教官など「内側」からは気づかないことを、「外側」から見て、わざわざ教えてくれる訳です。

そうは言いながら、発表する本人には、そんな余裕はなく、どうしても「守り」のモードに入ってしまいます。

さて、多くの卒論・修論発表会は建前上は「公開」なのですが、事実上「非公開」です。

学科の教職員・学生以外は、OBOGあるいは委託研究先の企業関係者くらいしか、参加しません。

そもそも周知しないことが多いし、仮に周知したとしても、どうせ誰も来ないだろう、ということでしょうか?

weakties


スタンフォード大学グラノヴェッター教授の"The strength of weak ties"という理論があります。

「weak tie」は「弱い絆」と訳されることが多いのですが、「ゆるやかなつながり」という方がしっくり来そうなので、以降、そのように書きます

「希望」は「ゆるやかなつながり」から



・転職がうまくいくのは、たまにしか会わない、信頼でつながっている人の紹介によるもの。有用な情報も「ゆるやかなつながり」からもたらされる

・日本は伝統的に「強固なつながり」の社会だが、仕事は組織ベースから、プロジェクトベースに移行し、「ゆるやかなつながり」の重要性が増す

・「強固なつながり」安心感、「ゆるやかなつながり」情報、気付き、ヒント をもたらす

・「ゆるやかなつながり」を持っている人ほど、復興が早い



コラボレーション:あなたが変えると、あなたも変わる?


・「弱いつながり」転職において親、兄弟、親戚などの「強いつながり」よりも、ちょっとした知り合いなど「弱いつながり」の有効性が示されたが、イノベーションの付加価値についても同様の傾向 

・プレゼンターが自分の考えをきっちり伝える時よりも、聴衆がプレゼンを聞きながら、あれこれ考え出す時に、創造的なプレゼンテーションになる



多様な「ゆるやかなつながり」の方々に来てもらって、発表を聞いて、コメントをもらうと、「内側」の人々には、思いもつかない、新たな発想、展開があって、発表者もさることながら、指導教官、研究室のスタッフにとって、新たな研究のネタ、展開が得られます。

でも、上に書いたように、仮に周知したとしても、誰も来てくれないのではないかしら?

今の時代、ホームページに加えて、Facebook、Twitterなどのソーシャル・メディアでイベントがたくさん周知されています。

同じノリで、できないかしら?なんて考えていたら、

エデュテイメントフェスタ2014

という案内が来ました。

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卒論・修論発表会を2年生・3年生が楽しい演出を交えながら進めます


とあります。

多様な「ゆるやかなつながり」の方々に来てもらうには、通常の卒論・修論発表会のような研究内容の発表、それに対する質疑応答、だけではなく、発表会自体をエンターテイメント・ショーに仕立てあげてしまう、とよかったりします。

すると、プレゼンターとスタッフ、参加者が一体の「場」になります。


先生によると、


この発表会自体を一つの実践として、3年生を中心に、2年生などが協力して演出させていただいています。今回は「ごくせん」風の演出をさせていただき、研究室のキャプテンが「ヤンクミ」として、教頭役とかけあいをしながら進行をさせていただきます。

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こうした演出は、紅白歌合戦のようにできるとよいと考えています。紅白歌合戦では、基本的に歌をしっかり聴かせますが、歌手のエピソードが紹介されたり、ゆかりのある人が応援に来たりすることも含め、司会者が歌への導入や歌のあとのフォローを行います。それで、全然知らない曲も多くの視聴者が楽しめるわけです。

卒論発表会でも、個々の発表者や個々のテーマには興味がないという方もおられると思いますが、司会者による導入によって少しでも興味をもっていただければ、と考えています。

この演出での課題は、演出のクオリティとリーダーシップ&フォロワーシップの2点です。

演出のクオリティというのは、発表会の空間を一つの整合性ある空間として楽しんでいただけるようにするということです。

空間としての会場の装飾や掲示や照明と、司会者や登壇者のパフォーマンスとの両方が重要です。

限られた時間で準備をするのですから、手間暇をかければよいというものではありません。

統一的なイメージを描いて、できるだけ少ない手間で最大の効果を上げるようにする必要があります。

会場までの案内をわかりやすく貼るとか、会場内の掲示物をちょっとおしゃれなセンスで作るとか、机の上がきれいに片付いているとか、さまざまな案内がさりげなくしかしわかりやすく掲示されているとか、そうしたことが大切です。

その上で、音楽や映像表示を効果的に使って、気持ちのよい演出ができればよいわけです。表現力、創造性といったものが発揮される場面です。

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こうしたクオリティを可能にするのがチームワークです。

リーダーは一人一人のスタッフに対して、役割を与えなければなりません。

そして、各スタッフは自分の役割だからこそ見えることをリーダーに伝え、全体の改善に寄与しなければなりません(これこそフォロワーシップでしょう)。

ということで、卒論等発表会をつくることは、学級経営や部活・委員会運営の力量に直結する実践的な活動です。


先生のご説明通り、ショー仕立てで、司会進行がなされ、まるでエンターテイメント・ショーのようです。

質疑応答を聞いていると、年配の方々が、必ずしも学科の先生ではなく、「ゆるやかなつながり」で集まった方だったりします。

さらに、質問が、通常の発表後の質問に加えて、ポスターセッション風に発表者に個別に質問する時間帯も設定されていて、

しつこい質問者が、あまり発表内容とは関係のない質問者で「場」を独占しないような、仕掛けになっています。

また、PCでパワーポイントのスライドを使って発表する場合、PCの交換、設定の場合、不調の時が、どうしてもあります。

この発表会でも、スクリーンにスライドが表示されないトラブルがあったのですが、

「ヤンクミ」と教頭役が、トラブル自体をショーの要素にして、発表者、スタッフ、参加者を緊張した状態にすることなく、

なごませていたのが、印象的でした。

「TAK」さん自身もいくつかの発表にヒントがあったので、発表者と有意義な議論をして、お知り合いになることができました。

卒論・修論発表会のシーズンの楽しい試みでした。




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2014年02月03日

複合現実感技術、リアル世界とバーチャル世界の融合

東大駒場・高校生のための金曜日特別講座「バーチャルリアリティと複合現実感技術」

という案内が来ました。

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案内文によると、


バーチャルリアリティとは、コンピュータの作り出した空間の中に入り込み、そこでいろいろな体験をしようという技術のことです。

また,複合現実感技術は、現実空間にコンピュータによる情報を重ねたり,コンピュータに現実空間の情報を取り込む技術で,HMD等を用いることで現実空間で現実以上の体験を実現することができます。

これらの技術では、コンピュータと現実、コンピュータと人間のより密接な関係を実現する様々な技術が 研究されています。

この講義では、視覚や聴覚だけではなく五感を扱うことで臨場感を高める技術、公共空間や屋外空間での実用を可能とする技術、心理学などを応用した認知や知覚特性を利用した技術等、バーチャルリアリティや複合現実感技術の可能性について議論します。


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2、3年前に頻繁に使われた拡張現実(Augmented Reality AR)という言葉がめっきり使われなくなりました。

一方で、Google グラス、スマートウォッチなどウェラブル・コンピューターを呼ばれる技術は急速に進歩し、
既に商用化されています。

バーチャルリアリティという言葉自体が既に使われなくなるほど、
既にリアル世界とバーチャル世界は融合、一体化してきたのかもしれません。

講座で出た話に入る前に、これについて、少し整理してみます。

人間・テクノロジーの未来「インタラクションからインテグレーションへ」


拡張現実(Augmented Reality)がITの世界を中心に進んでいます

Wikipedia

によると、


人が知覚する現実環境をコンピュータにより拡張する技術、およびコンピュータにより拡張された現実環境そのものを指す言葉

拡張現実はバーチャルリアリティ(VR)のバリエーションのひとつであり、その時周囲を取り巻く現実環境に情報を付加・削除・強調・減衰させ、文字通り人間から見た現実世界を拡張するものを指す。

VRが人工的に構築された現実感と現実を差し替えるのに対し、拡張現実は現実の一部を改変する技術である


・テクノロジーは人間の機能を強化、拡張する、あるいは再デザインする。知力の拡張、身体の拡張、身体システムの拡張

・人間とマシンがインターフェースを媒介してインインタラクションという形態から、人間とマシンの境界が消滅し、互いが融合し、機能しあう

・Google検索、世界の事はわかるが、自分のことは検索できない。「昨日何を食べた?」「1週間前に会ったあの人の名前は?」など。これが自動的に記録され、必要な時に引き出せると、人間の機能が驚異的に向上する

・拡張現実 Augmented reality、現実に情報を添付する、人間の知覚能力を増強する、視覚・知覚・記憶とコンピューターの結合、ネットワークで共有される体験

・「視点の拡張」自分の行動を、もう一人の客観的な自分、あるいは他者、第三者、相手の視点から見て、リアルタイムで行動にフィードバックする

・ユーザー・インターフェース、利便性、効率を追及したものから、ユーザーに価値ある行動を取らせる仕組みを組み入れたものにシフトしていく

・ディジタル社会、ライフログ(人生の記録)とセルフ・アウェアネス(自らの気付き)が大切

・従来の建築:固定的、外界との隔壁 → 未来の建築:再構成可能、環境に応じて変化、プログラム可能

・「楽しい」から「笑う」のではなく、「笑う」から「楽しい」(ウィリアム・ジェームス)

・「笑う」ことを続けていると、自然に「笑える」ようになる。強制的にでも「笑う」と、他者との関係、コミュニケーション、自分の人生、に変化が生まれる可能性

・透明性、開放性、を維持しつつ、隠したい部分だけ、状況に応じて、隠す。例えば、「夏のレストラン」外、太陽は見たいが、自分が居る場所は日陰にしたい

・農業→産業→情報の、これまでの流れだけでなく、ユビキタスコンピューティングの発達により、情報→産業、農業という逆の流れ、が起きつつある

拡張現実(Augmented Reality)は主にバーチャルの世界で、実際に建物、モノができると、どんなイメージか?とか、

創造するアーキテクチャ、アーキテクチャとしての恋愛

で、


AR拡張現実疲れが起き始めている。1,2年前は、イベント中のtwitterが盛んだったが、最近明らかに減っている。みんなでリアルタイムで実況するだけで面白かった時代は終りつつある。創造が生まれるにはリアルな場が必要になった


に書いたように、同じ場にはいなくても、リアルタイムで同じ事象を共有する、とかの意味で取られていました。


しかし、今回の暦本さんの講演で印象的だったことは、


・Google検索、世界の事はわかるが、自分のことは検索できない。「昨日何を食べた?」「1週間前に会ったあの人の名前は?」など。これが自動的に記録され、必要な時に引き出せると、人間の機能が驚異的に向上する


にあるように、カメラ付きのメガネで視線が追ったもの、食べたものをを自動的に記録する、簡単なイア・センサーで聞いた音、話したことを録音する、など、

人間の行動が自動的に記録され、かつ、検索できる、可能性ではないか?と思います

さらには、思ったこと、考えたこと、感じたこと、などが、自動的に、記録され、検索が可能になれば、人間の行動、生活は劇的に変化する、と思われます

SFの世界ですら、起こり得なかったことが、現実化しつつある、そんな気がした講演でした


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これらを踏まえた上で、出た話をまとめます。

・ムーアの法則:計算機素子の能力は18か月で2倍になる。ギルダーの法則:通信回線の速度は9か月で2倍になる。扱う対象が文字→写真→動画→空間と推移

・Wii、ボタンを押す、カーソルを動かすなど、実際の行動ではない、マシンとのインターフェースのための行動をなくして、実際の行動をすればよくなった。

・バーチャルリアリティーは可視化技術。本来は見えないもの、体験できないもの、を見えるように、体験できるようにする。 

・バーチャルリアリティー体験、実際には体験できない世界を知覚可能な世界に組み入れる、という意味で単なるシミュレーションを超える。

・これまでの情報通信技術は視覚、聴覚主体だったが、触覚、嗅覚などの感覚のインターフェースも開発する。

・百聞は一見にしかず。百見は一体験にしかず。(立花隆) 

・人間の嗅覚は50%くらいしか正確ではない。視覚で違うものを与えると、そちらに引かれる。 

・ジュース、内容物は同じでも色を変えると味が変わる。

・拡張されるリアリティー、例えば、記憶は、見たもの、聴いたものを記録することにより、トレース、追体験が可能になり、正確性は確実になる。

・モノの限界、モノが残せるのは形だけ。動きや働きは残せない。バーチャルリアリティーでこれらを再現することが可能になる。

・リアルをバーチャルに取り入れる、バーチャルをリアルに取り入れる、の双方向が可能である。 

・時間、空間を超えて、過去の世界を見に行ったり、これから行く海外旅行のリハーサルで行ってみたり、ということがすぐそこまで来ている。

・認知が先か?行動が先か?すべての行動が意識されて起こる訳ではない。反射、条件反射。認知される前に行動している事例。


ウェラブル・コンピューターにより、

・あいまいな記憶が記録で補強、確実になる。

・自分の体験の検索が可能になる。

・365日24時間のモニタリングにより、自覚症状が出る前に、データが正常値から外れそうになった時点で医者からの対応をいただく

などは、すでに語られていますが、

・雨で、テニスコートが使えない日はWiiを使って、離れた場所にいながら、みんなでテニス

・時間、空間を超えて、過去の世界を見に行ったり、これから行く海外旅行のリハーサルで行ってみたり

など、何が起こるのか?わかりません。楽しみです。




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2014年02月01日

小保方晴子さん「私たちも頑張らなくちゃ!」効果

「STAP(スタップ)細胞」IPS細胞、ES細胞とどこが違うか?

に今、話題の「STAP(スタップ)細胞」の原理、仕組み、メリット、IPS細胞、ES細胞との違い、について書きました。

研究者の小保方晴子さんについては、可能な限り触れずに、その学術的な意味、価値、効果について書きました。

メディアの報道を見ると、「30歳の女性リーダー」「リケジョ」「ワセジョ」「おばあさんの割烹着」「デートの時も研究のこと」

など、学術的な成果よりも、若い女性の研究者、という点が強調されて報道されており、行き過ぎでは、との意見もあります。

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小保方晴子さんってどんな人?「生物細胞学の歴史を愚弄」との酷評にめげずSTAP細胞を作成

酸浴による体細胞リプログラミング(1月30日Nature誌掲載論文)

「間違い」と言われ夜通し泣き、デート中も研究忘れず…常識破りの新型万能細胞を開発した小保方晴子さん

リケジョと割烹着:小保方さん報道に関連して(その2)

「デート」「ファッション好き」革命的研究者の紹介に見る根深い新聞のおっさん思考

メディアは研究業績をどう伝えるのか?STAP細胞 理化学研究所 小保方 晴子博士

今回のメディア報道をみながら、

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異分野融合から生まれる独創 ノーベル化学賞 田中耕一さん

で書いた、2002年のノーベル物理学賞小柴昌俊さん、化学賞田中耕一さんのダブル受賞の時を思い出しました。

日本人のノーベル賞受賞はうれしいものです。

小柴昌俊さんは東京大学名誉教授、ノーベル賞の受賞に順当な立場でしょうか。

一方の田中耕一さんは当時は島津製作所の「主任」でした。

マスメディアの報道は8割がた、田中さんに集中しました。

学術的な成果よりも、企業の「主任」でもノーベル賞が取れるんだ!という感じだったでしょうか?

今回も、例えば、IPS細胞の山中伸弥氏は、東大、慶大が主流の医学界では、やや亜流の神戸大卒、臨床医としてはうまくいかなかった、という経歴ですが、京都大学教授です。

一方、小保方晴子さんは、まだ30歳、東大、京大卒ではなく、早稲田大学大学院からハーバード大学医学部留学、というところが、若い世代から「私たちも頑張らなくちゃ!」という共感を呼んでいます。

メディア報道の「若い女性の研究者、という点が強調されて報道されており、行き過ぎ」は間違いないのですが、
一方で、若い世代へ夢と希望を与えた点も見逃せません。

これについては、議論が分かれるのが必然であり、まとまりませんが、最後に

小保方晴子が中学2年の時の読書感想文「ちいさな王様が教えてくれた 大人になるということ」

が当時の毎日新聞千葉県版紙面(1997/12/21)


に掲載されていました。

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<私は大人になりたくない>と書き、現実を知るほど自分の夢が小さくなっていくことが受け入れられなかったが、小さな王様に<夢があるから現実が見られるのだという事を教えられたような気がした>

で締めくくります。




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