2014年12月

2014年12月29日

フィギュアスケートに見る、コミュニティーの急激な再編

今年は冬季のオリンピックイヤーだったため、

トップ選手の引退など、選手の入れ替わりが、急激です。

男子では、長い間、リードしてきた高橋大輔選手、織田信成選手の引退、

女子では鈴木明子選手の引退、何といっても、長い間、日本中を魅了してきた浅田真央選手の長期休養

価値観の再定義と新たな価値の創造




チーム、メンバーが1人替わっただけで、ガラッと雰囲気が変わることがある。 


と書きましたが、フィギュアスケートも、大きくコミュニティーの急激な再編がありました。

また、シーズン初めには、羽生結弦選手の公式練習中の事故もありました。

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全日本選手権結果

が出ていますが、

世界選手権代表選手

は、

男子シングル 羽生結弦、小塚崇彦、無良崇人(町田樹選手が最初選ばれたが、全日本選手権で引退をすることを発表し世界選手権出場を辞退)

女子シングル 宮原知子、本郷理華、村上佳菜子

となりました。

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今回の選考方法は知りませんが、ソチオリンピックの代表選考方法

ですが、


(1)1人目は全日本選手権優勝者を選考する。

(2)2人目は、全日本2位、3位の選手とグランプリ・ファイナルの日本人表彰台最上位者(男子は羽生結弦、女子は浅田真央)の中から選考を行う。

(3)3人目は、(2)の選考から漏れた選手と、全日本選手権終了時点でのワールド・ランキング日本人上位3名、ISUシーズンベストスコアの日本人上位3名選手の中から選考を行う。


となっています。

さて、昨年の全日本選手権直後の結果と比べると、興味深いので、昨年の状況を再掲します。

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フィギュアスケートに見る、ライバル同士の競争と協働


フィギュアスケートのソチオリンピックの代表選手は、

男子シングルは、全日本選手権で優勝した羽生結弦選手、2位の町田樹選手、全日本選手権は5位ながらも世界ランキング3位の高橋大輔選手

女子シングルは、全日本選手権で優勝した鈴木明子選手、グランプリファイナルで優勝し全日本選手権3位の浅田真央選手、全日本選手権で2位に入った村上佳菜子選手

が選ばれました。

代表選考会を兼ねた全日本選手権は最高視聴率37.9%を記録しました。

女子では出産を終えて、競技に復帰した安藤美姫選手のオリンピック出場なるか?

男子では、小塚崇彦選手、織田信成選手を含めて、誰が選出されるか?

熱いドラマが繰り広げられました。

安藤美姫選手については、出産後、よくここまで復帰した、という感はありますが、

素人の「TAK」さんが見ても、4位の宮原知子選手、5位今井遥選手、6位の本郷理華選手の迫力には遠く及ばず、「7位だな」と感じました。

男子も半年ほど前までは、高橋大輔選手に圧倒的な存在感があったのですが、羽生結弦選手、町田樹選手の短期間での急成長には驚くばかりです。

特に町田樹選手は、少し前までは、一般にはそれほど知られた存在ではなく、厚い選手層に食い込んでのオリンピック出場には感心します。


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女子は宮原知子選手、本郷理華選手、ジュニアの樋口新葉選手が、村上佳菜子選手を一気に抜いてしまった、という感じでしょうか?

素人の「TAK」さんが見ている限り、村上佳菜子選手の演技は、決してよくないものではなく、若い選手が、ジャンプなど、各パート、パートを、こなすのが精一杯、という状況の中で、演技全体をつなげるストーリーがあり、美しいものでした。

ショートプログラムの演技の後には、満面の笑顔を見せていたのですが、スピンの回転不足を取られて、ショートプログラムは9位、フリーで5位まで挽回しました。

解説の荒川静香さん、鈴木明子さんが、言っていたのが印象的です。

「今日は回転のジャッジが厳しいですね。4分の1回転の幅を認めていないですね」

国際大会のジャッジが厳しくなる傾向ならば、それにならって、国内大会も厳しい方がいいでしょう。

そのハードルを超えないと、国際大会では戦えないのですから。

村上佳菜子選手は、ベテランの雰囲気がありますが、実はまだ20歳です。今後の巻き返しを期待します。

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男子は、羽生結弦選手が、シーズン初めに、突然の事故があったにもかかわらず、しっかり結果を残した、という感じでしょうか。

言い方は悪いですが、無良崇人選手、村上大介選手は、「降ってわいたチャンス」を活かせなかった、というところでしょうか。

あえてひどい言い方をすれば、「実力が伴わないと、運も活かせない」ことを実感しました。

小塚崇彦選手はソチオリンピックに出場できず、悔しかったでしょうが、しっかり戻ってきました。

ジュニアの宇野昌磨選手の今後の活躍も楽しみです。

町田樹選手の突然の引退については、後に書きます。


フィギュアスケートに見る、ライバル同士の競争と協働

に書いたことを再掲します。

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Twittwerで

鈴木明子選手が言ってた。日本のフィギュアが何故強くなったか?それは、みんなが仲良しだったから。仲間の失敗を願ったりしない。仲間が失敗する必要はない。自分が最高の演技をすれば得点が入るのだから。みんなで一緒に成長していこうという空気があった。その雰囲気が日本のフィギュアを強くしたと

というツイートが流れ、多くの共感を呼びました。


冬季オリンピック 歴代日本代表選手

を見ると、初のメダリストは1992年アルベールビル大会の伊藤みどり選手の銀メダル、その後、2006年トリノ大会の荒川静香選手の金メダル、2010年バンクーバー大会の浅田真央選手の銀メダル、高橋大輔選手の銅メダルですが、出場枠が多く、たくさんの選手が出場している時に、結果もよく、出場選手が少ない時には、あまり結果もよくないことがわかります。

1972年札幌大会では、女子フィギュアでは銅メダルのジャネット・リン選手が笑顔がかわいくて、また転倒した姿が愛らしく、「札幌の恋人」と言われました。

この時には、女子フィギュアは「外国人のスポーツ」で、日本人選手はあまり注目されていませんでした。

そこから、伊藤みどり選手が日本中のメダルへの期待を一身に集める状況、さらには男女6人みんなで支えあう状況、へと進んできたのかもしれません。


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町田樹「引退のご挨拶」


スポーツ選手のセカンドキャリア問題が社会問題となるに至っており、私も、自分自身の選手引退後のキャリアデザインに苦労した一人です。


町田樹選手は現在24歳、次のオリンピックを目指すか?(羽生選手、宇野選手が確実視される中、大変な道!)、いい状態の時に、惜しまれながら、セカンドキャリアに転向するのか?

悩んだ結果かと思います。

「TAK」さんも、スポーツ選手のセカンドキャリアについては、いろいろな研究会に参加してきました。

価値観の再定義と新たな価値の創造


元日本代表で、オリンピック、ワールドカップに出場した実績をもとに、いろいろなところから仕事のお声がかかる訳でもなく、やがて誰も相手にしてくれなくなります。

引退後のスポーツ選手が、大学院に進学する事例を多数見かけます。

スポーツを科学的に研究し、高めていきたい、という面もあるでしょうが、JOCなどのスポーツ協会委員、大学などの研究者、キャスターなどの引退後のキャリアに有利、という面もあるでしょう。


人生は「意義」と「楽しみ」がある仕事をしている時、幸せ!


日本ではメダルは最後のゴールと考えられますが、世界では、メダルはキャリアの最初の一歩、と位置づけられます。

それゆえ、選手は現役時代から、メダルを取って引退後の自分のキャリアを描きます。

メダルをゴールと位置づけ、その先のことを考えないのか?キャリアの最初の一歩、と考えるのか?大きな差が出そうです。


サービスイノベーション〜サービスとモノづくりをデータとコンテンツでつなぐ




・ランニング・シューズ、ラケットなど、1万円以上で、1年以内に消耗する製品にはセンサーが組み込まれる可能性。

・ランニング・シューズ:走った距離、時間、加わった力など、プロセスデータと結果データの両方が得られる。 


と書きましたが、スポーツを根性、勘、直感だけでなく、科学的に分析する学問の環境も整備されてきました。

トップレベルのアスリートが研究に参加すると、一気にブレークスルーがあるかもしれません。



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2014年12月27日

TIPS・3×3Labo忘年会&交流会に行ってきました

TIPS・3×3Labo忘年会&交流会

という案内が来ました。

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ソーシャルメディア全盛の時代だからこそ、リアルで会う場の大切さ

で、「一度この場はなくなってしまう」で書いた、3×3LABOが、

中小企業機構が運営する「TIPS」と併設する形で、新たにオープンしました。

3×3LABOは、

「富士ビル」は、丸の内再構築プロジェクトの一環として建替えが予定されています。その3F(約1100 屐砲旅大なスペースを活用し、

会社でも自宅でもない第3の場所「サードプレイス」として業界業種の垣根を越えた交流・活動拠点として機能する場所

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TIPSは、

いろいろな想い・・・

 ●自分の好きなこと、得意なことをいかして起業したい

 ●新しい事業のアイディアをふくらませたい

 ●今以上にいきいきとした会社にしたい

 ●悩み・問題を解決して次のステップに進みたい

そんな「いろいろな想いをカタチにする」学びの場

ということで、3×3LABOとTIPSとでは、それぞれのスタンスが少しずつ違います。

昨年の今頃は、なくなってしまった3×3LABOができる前で、いくつかの企業が集まる企業間フューチャーセンターという形で、

「感謝の夕べ」がありました。

その様子は、

家庭でもない、職場でもない、「第3の場 サードプレイス」のデザイン

に書いてあります。

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さて、忘年会とは、職場でも、サークルでも、何らかのコミュニティーで、集まって、リラックスした雰囲気で、

1年の労をねぎらう会でしょうか。

忘年会に集まる人々は、コミュニティーの性質にもよりますが、通常は、ほとんどが知りあいです。

つまり、忘年会とは、

家庭でもない、職場でもない、「第3の場 サードプレイス」とは?

に書いた「居心地の良い居場所」があることが前提です。

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さて、TIPS・3×3Labo オープニングシンポジウムに行ってきました

に書いたように、この場はオープニングシンポジウムが10月の終わりにあったばかりで、「場」が生まれてから、まだ2か月と新しく、「場」のエコシステム、生態系が、まだ出来上がっていません。

以前の企業間フューチャーセンター、3×3LABOでは、「常連」だった人々も、新しい「場」では、まだ「常連」の雰囲気を醸し出していません。

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それゆえ、集まる人々も初対面の人が多く、「リラックスした雰囲気で、1年の労をねぎらう」

と言うよりも、

越境のポイントは「ひとりで行く」のだが、越境先に「友達」がいるとよい

に書いた、


ひとりで越境し、越境先の主催者、コアメンバーに「友達」がいると、

その「友達」に、そのお友達を紹介してもらうと、共通のテーマがあって、また関心が重なっていたりして、お話がずっと深まります。


という雰囲気です。

初対面が多く、ちょっと雰囲気が堅かった参加者同士もすぐに打ち解け、会話が始まり、知り合いを通じて、新たなつながりができる、という楽しい雰囲気になりました。

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主催者の方々が、アトラクション・タイムを設けているのですが、参加者の方々は、「交流」に夢中、という感じです。

イベントレポート用に、いつも写真を撮っておく「TAK」さんも、「では、写真でも撮りましょうか」という雰囲気にもならなかったため、

1枚も写真を撮っていなかったことに気づきました。

いつも交流会で書くことですが、お話した方、全員とお友達になる訳ではありません

ただ、以前の交流会で、お知り合いになって、お友達づきあいを続けている方々もたくさんいます

この「場」から、どんなつながりが生まれるのか、楽しみです。





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2014年12月21日

東大i.school studioオープニング・パーティーに参加しました

東大i.school studioオープニング・パーティー

という案内が来ました。

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2009年秋からスタートしたi.schoolも7年目を間近に控え、現役生はもちろん、出身者も気兼ねなく集まれる定常的なワークショップ・スペースである「i.school studio」をオープンする運びとなりました。

さて、東京大学i.schoolは、



i.schoolが目指すのは、これまで世界に存在せず、誰も生み出しえなかった、新しい答えを創り出す人材の育成です。

分野・領域の枠を越えて、横断的・統合的な視野を持つ。論理的な思考の先に、クリエイティビティを羽ばたかせ、いままでにない発想を産み出す。

人間中心に考え、人間の幸福を見据えて行動する。

イノベーション ?-画期的な価値の創出につながる新しい変化 ?-を創り出す人間こそ、 21世紀の行政・産業・学術をリードする人間になる。

i.schoolはそう考えています。


という考えのもとに運営されています

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東京大学i.schoolのシンポジウム、イベントは、

東大イノベーション・サマープログラム五月祭企画に行ってきました

「人間中心イノベーション」は結果として現れるもの

東大i.schoolセミナー「理解を価値に変える」

東大ischool冬のシンポジウム「新興国からはじまるグローバルイノベーション」に行ってきました

東大i-school 春のシンポジウム「イノベーションは学びのプロセス」に参加しました

「ビジネスデザイナーの時代?デザイン思考をどう実践するか」に参加しました

東大ischool innotalk「Design thinking」ドイツの事例より

のように参加しています。

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パーティーの参加記って、書くのが大変です。

講演、シンポジウムの参加記であれば、話された内容、テーマに上がったこと、を粛々と書けば、とにかく伝わります。

でも、パーティーの参加記とは、

・参加した他の人々との感想の共有

・参加できなかった人、できなかった人への雰囲気の伝達

だったりして、感じたことを伝えるのが難しかったりします。

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パーティーも何回か開催され、その様子は、

東大iclubプロジェクトが同時並列的に進行中、どんなイノベーションが生まれるのか?

プロジェクトが同時並列的に進むと大きなイノベーションが起こる:Dry Food Cafeオープニングパーティに参加しました

Oops!(おっと、しまった!そんなはずじゃ)オープニング・パーティーに参加しました

東大iclub経過報告会&試食会「新しいなまり節、いまどうなってる?」に参加しました


に書いたのですが、

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「イノベーションの学校」東京大学i.school関連の活動で、いつも感心するのが、

・MOT(技術経営)、デザイン思考などは、通常、工学系の学生、社会人が中心だが、東京大学i.schoolでは、工学系だけでなく、法、文、医学系学生、さらに美大、他大学学生など多彩な人々を巻き込んでいる

・アイデアだけでなく、ビジネスプランを実行するところまで持って行ってしまう

・活動が東大内で完結することなく、どこかで根を下ろした活動が始まる

・複数の団体とのコラボレーションが同時並行的に起きている

ことでしょうか?

学校では先生、専門家、経営者などから知識、経験を学んだり、参加者同士のグループワークにより、調査、話し合い、プランの作成、プレゼンテーションなどを行います。

それぞれが大変有意義なのですが、そのほとんどが「大変ためになった」と学校内で完結してしまいます。

ビジネスに活かすために参加している社会人学生も、決して例外ではなく、せっかくの学びが学校内で完結してしまっています。

スタンフォード大学ではグループワークで考え付いたビジネスプランを実行して、年商数億のビジネスになる、ということもあるようですが、日本ではあまり聞きません。

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学校内で完結させずに、どこかで活動を行うためには、誰か、とのコラボが必要になります。

それも「足し算」ではなく、「掛け算」であることが大切です。

これが新しい教育、学習のモデルになるかもしれない、そんな予感がしたオープニング・パーティーでした。



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2014年12月17日

「日本再発見」活かしてきた、強みが失われる時、どうするか?

記録映画上映『「日本再発見」――岩手県』

という案内が来ました。

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昭和36年から翌年に亘り、各都道府県を紹介する教育番組「日本発見」シリーズが日本教育テレビで放送されました。当時の名監督が各都道府県の紹介映画を担当し、社会学的観点から高度成長期の日本を紹介しています。

詩的なナレーション、当時の映画におけるフレーミングや編集と一部共通する実験が見られるほか、写されている日本の姿が非常に興味深いものとなっています。各地域を特徴づける風土をはじめ、グローバル化以前の「日本人の顔」、そして工業化の最中の「日本の風景」が見事にとどめられていると言えるでしょう。

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「映像の考古学」上映会の第一シリーズを成す一連のフィルムは、映像における「日本再発見」にほかならない記録映画です。

岩手県の経済史を辿ると、鉱山と水上の物流が中心的な要素となります。自然の障壁により、岩手は「辺鄙」と見なされてきた一方、山は資源を供給し、川と海はその唯一の輸出手段でありました。本上映会では人間が活用してきた「鉄」を中心に、岩手県における工業と伝統工芸を取り上げます。



さて、昭和36年と言えば、日本はオリンピックを迎える直前で、鉄道、ビルの建設が進む、高度経済成長時代ですが、

経済成長からキャリアを考えるとわかりやすい




GDPが伸びている時は、市場が伸びているため、工場などの生産設備を増強し、会社の組織も大きくなっていきます。

雇用は安定した「終身雇用」で、役職、収入も年齢と共に上がっていきます。

工場はたくさんの労働者を必要とし、家族も含めると数万人の規模に達し、「企業城下町」と言われるようになりました。

製鉄の釜石、北九州、室蘭、石炭の夕張、いわき、造船の播磨、長崎、下関などでしょうか。

市場が伸びて、会社の組織も大きくなっているので、とにかく、いろいろな仕事があります。

その仕事をこなしていくことが、会社の利益、みんなのため、になりますので、「やりがい」なんて、特に考える必要もありません。

高速で回転している物体が、多少の外乱があっても、安定して回転し続けるように、このように「うまく回っている」時は、多少のトラブルがあっても、うまくいってしまいます。


と書きました。

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高度成長時代には、「多少の外乱があっても、うまくいってしまいます。」なのですが、実は、この時期に、課題が見え始めるのですが、人々の努力、創意工夫により、さらには伸びているGDPにより、課題は「解決されている」か、に見えます。

ただ、このGDPの伸びがゆるやかになる、停滞する、と、課題、問題が顕在化します。


岩手県の記録映画では、

・最盛期の釜石製鉄所

・南部馬から小岩井農場

にそれを見ることができました。


北上地方の豊富な砂鉄をもとに、古くは奥州藤原氏、南部藩主らが京都から職人を呼び寄せ、鉄びんなど鉄製品の製造が盛んでした。

ただ、たたら製鉄と呼ばれる、この手法では、建造物、船などに使う、強度に優れた鋼鉄を大量に製造することは難しく、1857(安政4)年に 大島高任が西洋式の高炉を用いた近代製鉄を導入します。

詳しくは、

近代製鉄業発祥の地

反射炉建造

を参照ください。

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高炉を用いた近代製鉄には、大量の鉄鉱石と石炭が必要です。

そこで、鉄鉱石の産地の釜石、筑豊炭田をかかえる八幡に官営製鉄所ができ、その後、釜石、八幡は製鉄の町として栄えます。

ただ、釜石、八幡がその後、順調な歩みだったかと言うと、釜石は何度か三陸地震津波の被害があり、戦時中には釜石も八幡も、アメリカ軍から激しい攻撃を受けます。

実は、昭和36年の、この記録映画において、既に釜石の港には、オーストラリアなど海外産の鉄鉱石が輸入されていることが映されています。

釜石鉱山の坑道掘りよりも、大規模なオーストラリアの露天掘りで取れる鉄鉱石を輸入する方がコストが安いのです。

筑豊炭田をかかえる八幡の同様で、炭鉱は次第に深くまで掘らなければ石炭が取れなくなり、落盤事故もあり、露天掘りの海外産の石炭を輸入する方がコストが安くなりました。

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つまり、釜石、八幡の製鉄所は立地上の優位を失い、海外産の鉄鉱石、石炭を入手できるところに、最新鋭の製鉄所を作る方が、いいことになります。

釜石製鉄所の富士製鉄と、八幡製鉄所の八幡製鉄は、合併して新日鉄となり、世界最大の製鉄会社となり、東京湾岸の君津に最新鋭の工場を建設します。

八幡製鉄所は、その後、アジアに近い立地条件から、増大してきたアジア向けに製造を続けていますが、釜石製鉄所は1989(平成元)年 高炉・転炉を休止し, 100年以上続いた製鉄産業が釜石から消えました。

新日鉄も2001年までは世界一の製鉄会社でしたが、その後、アルセロール・ミッタルなどに抜かれ、2012年に住友金属を合併し、現在世界5位の粗鋼生産量です。


製鉄の話が長くなりましたので、南部馬の話はちょっとだけにします。

岩手県は北上山地により、米作ができる水田が少ないため、牧畜が盛んでした。

馬だけでなく、南部牛追い歌にあるように牛も扱っていたのですが、陸軍が軍馬として、優秀な南部馬を買い上げたため、馬を多く養っていました。

ところが、戦後になって、軍馬の需要はなくなりました。

そして、西洋化し、牛乳、バター、チーズなどの需要が増えてきた日本人の食生活に合わせて、ヨーロッパ式の酪農を導入した小岩井農場ができました。

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「強み」とは、他者と比べた場合の、相対的な価値です。自らの能力は、何ら低下しなくても、それを上回る競合が現れれば、「強み」は失われます。

上の釜石の例では、まだ、鉄鉱石は取れます。ただ、海外産の鉄鉱石に対して、全くコストが見合いません。

八幡も筑豊炭田をかかえる利点はなくなり、代わりとして、増大してきたアジア市場に近いことがメリットとなっています。


「強み」は何か?他から脅かされる恐れはないか?その「強み」を失った場合の、代わりとなる「強み」は?


いろいろ考えさせられた事例でした。








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2014年12月15日

知識連携から見えてきた地球環境と生命の進化

地球システム変動研究の新戦略-知識連携から見えてきた地球環境と生命の進化-

という通知が来ました。

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東大地球表層変動研究センターが行うサイエンスカフェには、何度か参加し、

その様子は、

東大地球表層変動研究センター・サイエンスカフェに参加しました

東大地球表層変動研究センター・サイエンスカフェ「地球温暖化と台風」に参加しました

東大地球表層変動研究センター・サイエンスカフェ「遺伝子解析技術の最前線と展望」に参加しました

サイエンティストとエンジニアの視点の違い

「朝2時起きで、なんでもできる!」枝廣淳子さん

に書いています。

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地球システムについて、温暖化と氷河期、地球温暖化と台風、南極の氷床、など、いろいろな切り口から研究が行われていますが、これらに「横串」を刺してみると、また新しい視点からの発見があったりします。


例えば、地球温暖化現象も産業革命以降の200年のスパンではなく、氷河期、間氷期の10万年のスパンで見ると、違う風景も見えてきます。

南極の氷床に記録された気温、CO2濃度の時系列など、先人が紙と数式で解いた現象をスーパーコンピューター読み解くと、いろいろな景色が見えてきます。


今回発表があったテーマについて、すべて書くと長くなりますので、これまでの上記参加記を参考にしつつ、

エッセンスをまとめていきます。

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(氷河期と気候変動)

最近はCO2増加による地球温暖化に注目が集まっています。最近、数十年については、確かにそうです

しかし、20世紀前半の気候には、太陽の活動、火山活動の方が大きな影響を持っていた、ということです

数十万年という長い時間スケールでは、地球気候は氷河期と間氷期を繰り返しており、現在の気候と全く違った横顔を見せます。

地球の太陽周回上の軌道、太陽の活動、火山活動、および雪氷量による地殻の変動などが影響します。

この時間スケールでは、太陽の活動が20%程度、変動するそうです

20世紀後半は、太陽の活動は、むしろ沈静化しているのに、CO2増加のため、その影響の方が大きく、地球温暖化している、ということでした。

エンジニアの視点では、太陽からのエネルギー供給は一定量という、「暗黙の前提」のもと、太陽光発電のエネルギー、人間が排出するCO2などを算定します。

太陽からのエネルギー供給自体が、変動する、とは、通常考えません。一定である、というのが、上記の通り、「暗黙の前提」です。

ところが、サイエンティストにとっては、太陽からのエネルギー供給は一定量などでは全然なくて、その変動が研究の対象になっています。

当たり前と言えば、当たり前なのですが、この「サイエンティストとエンジニアの視点の違い」は新たな気づき、でした。

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(地球温暖化と台風)

台風の発生、進路を予測できるようになったのは、数値モデルとそれを計算するスーパーコンピュー タの発達によるものが大きいようです。

雲には、熱を閉じ込め、太陽光を反射する、などの効果がありますが、この「雲」をシミュレーション上で再現できることが台風予測のポイントです。

地球は1周約40000劼△蠅泙后これをメッシュに切って、数値モデルを組み立てるのですが、

100卍度の粗いメッシュでは「雲」をシミュレーション上で再現することはできなかったのが、1卍度の細かいメッシュでは再現できるようになったそうです。

もちろん、計算は飛躍的に増えますが、スーパーコンピュー タの開発が、この計算を可能にしました。

日本は、この数値モデルを作ることでは優れており、研究者の数だけ、数値モデルがあるそうです。

優れたものであっても他者のモデルを使うより、自分のモデルで再現しないと気が済まないようです。

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さて、地球温暖化ですが、最近は止まっている、とのことです。

これはリーマンショックによる、世界大不況がもたらした、経済活動の停滞による影響もありますが、熱が海中に蓄えられている影響もあるようです。

台風の発達は海面温度が大きく影響します。台風は海水をかき混ぜるのですが、その結果、下から出てくる海水の温度が高いと、発達します。

昨年フィリピンに被害をもたらした台風30号は、猛烈に強い台風でしたが、必ずしも史上最強、ではありませんでした。

ただ、強く発達した状態で、フィリピンを襲いました。

気圧895hPa、風速90m/s以上ということですが、実は計測器が壊れてしまっていて、正確な値は計測できていない、ようです。

衛星からの雲の状態などから推測するようです。

さて、シミュレーションでは実測値との比較を必ず行います。

シミュレーションの初期の段階では、実測値からパラメーターを算出して、実測値に合わせるような「操作」を行うことも、しばしばあります。

現在のモデルでは、このような実測値に合わせる「操作」を特段行わなくても、観測とよく合致する状況が導かれるそうです。

すなわち、シミュレーションにより予測が行える状況です。

ただ、シミュレーションができるのだけれど、理論的な背景、導出が未整備な状況、とのことです。


さて、地球温暖化により、台風はどうなるか?ですが、

・台風の発生数は減る

・台風は強くなる

・発生場所が、中緯度に移行する

ことが予想されるそうです。

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(遺伝子解析技術)

メンデルが遺伝の法則を発表したのが1865年ですが、急速に進歩し、また、今後予測できないほど、進歩している領域であることは、間違いありません。

(1)遺伝子解析により、今後なりやすい病気は、かなり知ることができる。

これまでは、親、親せき、兄弟の病歴からの類推が主だったが、類推ではなく、解析で知ることができる。

ただし、食事など、生活環境も影響も非常に大きい。

例えば、長寿で知られていた沖縄に、高脂肪、高カロリーの食事習慣が広まったところ、早期に亡くなる人が激増した。

(2)解析のサンプルは現時点では、白人中心。

遺伝子解析のサンプルは、現時点では、白人中心です。中国を中心にアジア人のサンプルも増えているそうです。

人種による違いも大きいので、今後の進展を待つところが大きいようです。

(3)解析技術の進展が研究そのものの在り方を変えつつある

コンピューター技術、インターネット技術の進展が研究、産業の在り方そのものを変えてしまう例は枚挙にいとまがなく、遺伝子研究もご多分に漏れません。

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・遺伝子はデータに過ぎない。「知ってしまう」ことを怖れるのではなく、それを予め知ることにより、前もって適切な対応を取ったり、計画することができる。 

・地球に届く星の光を分析すると、行くことができない星のことがわかる。遺伝子を分析すると、生物の45億年の歩みを知ることができる。

・遺伝子解析により、疾患リスクがわかる。ただし、現時点では白人のゲノム事例が多く、人種の違いの影響を否めない。アジアのゲノム事例も急速に増えてはいる。

・遺伝子解析により、祖先の推定ができる。ただし、実は親子でなかった、などの事項もわかってしまう。

・遺伝子医療革命、薬が何をターゲットにすればよいか、わかる。 

・生物の進化を語る上で、大切なのは多様性。DNAの試行錯誤は人類だけでなく、あらゆる動植物の試行錯誤。

・地球環境の変化により、主流だった生物が衰退し、マイナーだった生物が繁栄することがある。環境と進化は不可分。

・遺伝子解析技術は最近10年間でムーアの法則をはるかに超える進歩。大量高速解析により、今後何ができるようになるか、想像もつかない。

・違う分野がくっついて新しい分野ができていく。

・遺伝子解析、ピンポイントでデータ解析し、仮説を構築する研究手法から、本人だけでなく、家族、親戚など、丸ごとデータを取得し、解析して、究明していく研究手法に変わってきた。 


大変興味深い分野ですが、現在急速に進行中なので、もう少し見極めたい、と思います。

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(表層環境システムのことよりも、むしろ、この一連のサイエンスカフェに参加して感じたこと)

●研究が劇的に進むのは、他分野の研究成果による

今回の表層環境システムだけでなく、地球温暖化と台風、遺伝子解析でもそうなのですが、

研究が劇的に進むのは、自分野の研究開発よりも、計測技術、センシング技術、分析技術、通信の進歩、

さらには、他分野の研究成果により、研究が大きく進むことが多いようです

●異なる分野から来た研究者が新しいものを創り出す

その分野の主流、王道を進む研究者よりも、他分野から来た研究者が新しいものを創り出す、ようです


●コラボ、リフレーミングの大切さ

研究者は自分が設定した仮設、自分が着目するパラメーター、メカニズムだけで説明しようとするが、実際には複数のメカニズムが絡み合っています

研究の仮説の枠組みを変えてみる、これは、自分だけでは難しいものです

他の研究者とコラボして、枠組みを変えてみると、思いがけない発見があったりします

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●その場での立食パーティーの大切さ

講演には懇親会がついていることがよくあります。

ただ、講演だけで懇親会はパス、という人がよくいます。

さらに、場所を変えて、3000〜5000円で、しかも、20時以降のスタートだと、敬遠する人が多くなります。

このサイエンスカフェでは、講演終了後、立食で簡単な軽食とアルコールのパーティーが1000円でついています。

実は、この講演には多様な参加者がいて、パーティーでの出会いが、とても大切だったりします。

以前の講演者は「私の講演内容はみんな、すっかり忘れているのに、人の人との分野を超えた、ネットワークはしっかり構築されている」

と驚いていました。




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2014年12月12日

6大学卒業生(慶応・上智・東大・東工大・一橋・早稲田)合同クリスマスパーティー@東大に参加しました

6大学卒業生(慶応・上智・東大・東工大・一橋・早稲田)合同クリスマスパーティー

という案内が来ました。

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数年前より上智大学同窓会と早稲田大学ファイナンス稲門会が士業・金融関係者を中心としたビジネス交流会を開催していました。

又上智大学同窓会は一橋大学同窓会如水会の若手メンバーとの交流を合同クリスマス会などを通じて開催していました。

その後上記3大学で交流会を開催し、順次東京工業大学、東京大学をご招待し前回は5大学で交流会を開催しました。

2014年3月 5大学交流会 

2013年2月 3大学ビジネス交流会

年1回の交流会だけでなく、カジュアルなイベントを通じての交流継続のご希望を多数頂いたことや、ゲストより次回は慶応大学同窓会三田会の方々にもご参加いただきたいというお声がけがあり、満を持して慶応・上智・東大・東工大・一橋・早大卒業生による交流会を開催する運びとなりました。

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上記のように3月、9月にも同様の会があり、その時に参加記は、

上智大学、東京大学、東京工業大学、一橋大学、早稲田大学、「5大学合同交流会」に参加しました

大学合同交流会にも「二枚目の名刺」の流れ

6大学卒業生(慶応・上智・東大・東工大・一橋・早稲田)合同ビアガーデン交流会@如水会館に参加しました

に書いたとおりです。

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今回のクリスマスパーティーは、上記の6大学に必ずしも限定せずに、「参加したい」お友達がいれば、誘ってきましょう、という感じです。

それうえ、上記大学以外の方の、たくさん参加されています。

この、オープンとクローズドの使い分けは、

東大ホームカミングデー、年に1度、懐かしいキャンパスへ




卒業生限定のクローズドのイベントだけだと、どうしても規模が縮小していきます。

いつも同じメンバーでは、最初は懐かしくても、そのうち「飽き」「マンネリ」も出てきます。

「今年はパスしようか」

なんてことになり、だんだん参加者も少なくなったり、幹事もやる気がしなくなり、やがては行われなくなってしまいます。

ところが、有名卒業生の講演などで、卒業生に限らず、誰でも参加できるイベントが含まれていれば、いろんな人を巻き込むことができます。

すると、閉じた内輪、ではなく、大きなスパイラルになっていきます。


と書いたとおりです。

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実際に今回は、女優およびキャスターの石井苗子さん(上智大学および東京大学卒業生)の

東日本大震災被災住民支援プロジェクト「きぼうときずな」

の紹介、

行列が出来る法律相談に出演していた住田裕子弁護士さんらが加わり

上記の6大学に限定した「閉じた会」ではなく、オープンでカオスな会でした。


知り合い同士で来ている人もいますが、ほとんどは初対面。

参加者のネットワーキング能力、コミュニケーション能力が試されます。


この辺の事情は

ネットワークのポイントは「友達の友達」


誰も知らない時期に、懇親会に参加するのは、ちょっときついものです。

また、せっかくお話しても、それほど深いものにはなりません。

ところが、少しお友達がいると、懇親会はずっと楽しくなります。

お友達に、そのお友達を紹介してもらうと、共通のテーマがあって、また関心が重なっていたりして、お話がずっと深まります。

それゆえ、単なる名刺交換ではなく、しっかりした人的ネットワークになります。



「TEDxUTokyo学生スピーカー・コンペティション」に参加しました


懇親会に「ひとり」で参加するのって、結構勇気がいります。会場に誰も知っている人がいないと、話す相手もなく、「壁の花」になってしまいます。


と書いたとおりです。

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初参加の方々から、「みなさん、よく、こういう会をされるのですか?」

という質問をたくさん受けましたが、上に書いたとおり、年に3回程度です。

実際に会うのは年に1〜3回、ただ、日ごろの活動はソーシャル・メディアで何となく、知っている、という状況でしょうか。

ソーシャルメディアの時代と言われますが、実は、この「年に1〜3回、実際に会う」のが大きかったりします。

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さて、この会は東大で開催、と書きましたが、生協の食堂ではありません。

医学部教育研究棟にある、Capo PELLICANOというイタリアンレストランです。

それゆえ、料理はピザ、パスタ、カルパッチョなどの本格イタリアン料理です。

実は東大構内にはこの他にも日比谷松本楼など、本格レストランが数軒入ってます。

こういう、食べて飲みながらの「場」が、大学での研究活動にも大切だったりします。

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前々回は立食パーティー、前回はビアガーデン、今回は立食のクリスマスパーティーです

初対面が多く、ちょっと雰囲気が堅かった参加者同士もすぐに打ち解け、会話が始まり、知り合いを通じて、新たなつながりができる、という楽しい雰囲気になりました。

さて、こういった交流会で、お話した方、全員とお友達になる訳ではありません

ただ、前回の交流会で、お知り合いになって、お友達づきあいを続けている方々もたくさんいます

この会は、大学、業界の枠を超えたつながりができるきっかけ、であることは間違いなさそうです




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2014年12月07日

「学びのイノベーション」が、いろいろな所で進行中

学びのイノベーションフォーラム

という案内が来ました。

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先生から教わるだけでなく、教わったことを、ネット技術を駆使して、さらに深く、広く調べ、自ら学んだことを、他の人々と共有して、他者からの価値を付加して、さらに実際に活用していく、新しい学びについて、いろいろな所でチャレンジが進んでいる。

ということなのですが、これを分解すると、

(1)インターネットを利用した大規模オンライン授業、紙媒体の教科書、ノートだけではなくタブレット端末を活用した授業

(2)インターネットを利用して、教わったことを「調べる」ことが大切に

(3)一人で勉強するだけではなく、グループでシェアし、創り上げていく

(4)学ぶだけでなく、学んだことを実際に活用する

という感じでしょうか。これらが同時に進行中です。

それぞれについて、かなり長くなりますが整理します。

「新しい学び」はリアルタイムで進行中

オンラインによる「新しい学び」のこれから


紙の教科書、ノートからタブレット、教える授業から、事前に予習して議論する反転授業、無料の大規模オンライン講義、などが始まりつつある現在、教育が今後何を目指し、どう変わっていくのか?実は誰もわかっていない、のではないか、と思います。

とにかく、リアルタイムで起きていること、そのフィードバックの紹介、収集からヒントを得ることが大切です。

取りあえず、これまでの取り組みを整理すると、

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BEAT公開研究会「変革期を迎えた学習プラットフォーム」に参加しました


ICTを利用した教育、いわゆるe-ラーニングは、インターネットの開始と同時に始まりました。

当初は、テキストは紙媒体の従来の書籍を使いつつ、参加者がメーリングリスト、電子掲示板などにポストする、というものでした。

今から見ると、随分、初歩的なインターネットの利用ですが、当時、カリフォルニア大学バークレー校などが、e-ラーニングを行い、1コース数万円とかなり高額で、かつ、修了証が出るだけにもかかわらず、世界中から参加者が集まりました。

「TAK」さんも、こういったe-ラーニングに参加しましたが、国内にいながら、自分が都合の良い時間に、ケースを行い、掲示板にポストし、世界中の参加者とメーリングリスト上で、英語で議論するのは、まるで「プチ留学」経験で、新鮮なものでした。

この時代は回線はISDNで端末はデスクトップでしたが、その後、光回線による大容量化、タブレット端末の普及によるモバイル化が進み、オンライン学習は量、質、内容、方法が大幅に進化しました。

テキストは電子書籍、講義は動画配信、メールなど使わなくても、ウェブ上ですべてが可能です。

ISDNの時代に比べ、リアルタイムの双方向性が格段に向上し、提供者側は学習者の学習態度、履歴をリアルタイムで把握できます。積極的にアクセスしてくるのか?ほとんど利用しないのか?ページは開いているものの、アクセスがほとんどないのか?リアルタイムでわかります。

最近では、MOOCs(ムークス:Massive(ly) Open Online Courses大規模公開オンライン講座)

と言われる、数週間単位の学習コースを世界中の誰でも無料で受講できるオンライン講座を、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学、スタンフォード大学など世界トップレベルの大学が開設しています。


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公開研究会「MOOC(大規模公開オンライン講座)と反転授業で変わる21世紀の教育」に参加しました


MOOCsに世界のトップ大学が無料でオンライン講座を提供する、とは、「プラットフォーム・ビジネス」です。

各大学から提供されるオンライン講座は形式がバラバラではなく、MOOCsという「プラットフォーム」に適合するように「モジュール化」されます。

各教科、テーマについて、世界のトップ大学が無料で質が高いコンテンツを提供するため、「国際標準化」が起きます。

ネットビジネスとリアルビジネスの棲み分けが進みます。

・プラットフォーム・ビジネス

・国際標準化

・ネットビジネスとリアルビジネスの棲み分け

について考えてみます。

既にいろいろなプラットフォーム・ビジネスがあります。

インターネット(アマゾン)、人々(Facebook)、タブレット端末(アップル)、情報検索(グーグル)、モバイル(コンピューター)

MOOCsは教育のプラットフォームになりつつあります。

これから研究が進む新分野は、いろいろなテキストが乱立しそうですが、数学、物理、経済など、古典的な学問については、MOOCsに世界のトップ大学が提供する内容が、デファクト・スタンダードになりそうです。

なお、学ぶ言語は英語になります。



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「教わる」と「学ぶ」をつなげる大切な「調べる」


、小中高校までの教育は、「教わる」と「学ぶ」に大別され、これまでの日本の学校教育は「教わる」に重きが置かれていて、もっと自分で「考える、学ぶ」ことが求められる、と言われています。

もっとも、自分で考える、学ぶ、前提として、「教わる」ことが大切で、例えば、物理学の場合、偉大な先人の業績を教わることなく、自分一人で学ぶとしたら、ほとんどの人が、ニュートン、アインシュタインどころか、アルキメデスの成果を超えることなく生涯を終えます。

さて、この「教わる」と「学ぶ」、あるいは大学のミッションの「教育」と「研究」と考えたときに、何か座りが悪い感じがしました。何かが足りない。

「教わる」と「学ぶ」の間に「調べる」、「教育」と「研究」の間に「調査」があると、しっくりいきます。

「調べる」とは、

・わからない、知らない言葉を辞書で調べる

・授業でよくわからなかったことを参考書で調べる

・先生から教わったことに興味を持ったので、関連事項をインターネットで調べる

のように、かなり早い時期から行います。

自分で調べたことは身につくのですが、結構時間がかかり、効率がよくなかったり、内容がわからなくても、丸暗記した方が試験の点はよかったり、調査にのめりこんでしまうと却って勉強がおろそかになったりして、あまり成果としてとらえられません。

「調べる」ことはよいのだが、あくまでも「勉強」が主体で、「調べる」のは必要最小限、効率的に、というかんじでしょうか。

ただ、上に書いたように、試験の点には反映されにくいですが、自分で「調べる」ことは「学び」を深める意味で重要です。

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大学、大学院に進むと、この「調査」は小中高に比べ、ずっと重要性を増してきます。

・レポートを書くのに、参考文献を調べる

・研究テーマを決めるのに、先行研究を調査する

なんて感じでしょうか。

質、量共に十分な調査を行うことによって、レポート、研究の奥行き、深さが決まってきます。

ただし、ここでも「調査」だけではダメです。

レポートでは、調査した内容をもとに、自分としてのストーリー、主張を構築し、

研究では先行調査の内容から、研究すべき対象を定め、仮説を構築し、検証することになります。

調査内容をまとめただけでは、レポートはともかく、研究にはなりません。

「調査」は研究内容を決める、重要な準備作業である。ただ、「調査」だけでは意味がない、時間はあまりかけたくなく、効率的にという感じでしょうか。

研究だけでなく、ビジネスでも効率的な調査が、成功の決め手となります。


「教わる」と「学ぶ」の間に「調べる」、「教育」と「研究」の間に「調査」という重要なプロセスであるのに、「調べる」「調査」は、あまり「教えて」もらうことなく、先輩、周りに人の「見よう見まね」だったりします。

大学、大学院になってから、ようやく「リサーチ・リテラシー」の授業があったりします。

また、インターネットの普及で最も変わったのが、この「調査」で、百科事典、図書館での調査から、インターネット利用による、大量高速にいつでもできる調査に大きく変わっています。


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「情報があふれかえる社会」から「表現が編みあがる社会」へ


ワークショップで、異分野の少人数がコラボをし、一緒に手を動かす。

このプロセスの中で、信頼関係が生まれる。

そして、それぞれが持ち寄った知恵、スキルをバラして、組み替える、違った視点から同じ表現を見る

何かが集まった混沌としたものの中から結晶化し、何かの表現にする。

さらには、それらの表現を流動化させ、混沌とした状態にする。

このサイクルを繰り返す。

個人の表現と共同作業としての集合表現を往復する。

その中で、表現が編みあがってくる。

参加者は「情報の消費者」から、「情報の表現者」へと変わっていきます。


インタラクションとは、衝突か?創発か?融合か?


MBA、MOTの大学院では、ある経営課題に関して、グループで議論をし、結論を導き、プレゼンテーションする、という方式が数多く用いられます。

大学院レベルですから、グループの運営には、先生はあまり関与せず、グループが自主的に、メンバーの分担、期限を決めて進めます。

このプロセスが、


ある時には、ゆったりした対話、ある時には徹底した討論、などのやり取りがあります。

双方向というよりも、いろいろな方向へお互いに飛びあう、という感じでしょうか?

このインタラクションの中で、自分ひとりでは知りえなかった、わかり得なかった、他の人々の考えを吸収します。

インタラクションですから、自分が吸収するだけではなく、他の人々にも伝わります。

このプロセスの中で、化学変化が起きています。


というものです。

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もちろん、いいプロセスだけではありません。

・命令口調で若い学生に威張り散らす社会人大学院生

・社会人大学院生が「仕事」を理由に、学生が「就活」を理由に、手を抜こうとしたり

・つかみあい寸前になったり、口もきかなくなったり

こういう状態になった時にグループをどう立て直すか?、そもそもこのような状態へ陥るのを防ぐにはどうすればよかったか?自体が「課題」となります。

先生は手を差し伸べることなく、自主解決を促します。

これは、ある選抜を受けた上で、ゆるやかには同じ目的をもった大学院生同士だから、可能なのかもしれません。

インタラクションとは、生易しいものではなく、時にはこのように激しい衝突に傷つき、分裂するリスクをかかえつつ、なされます。

このプロセスが、ひとつではなく、複数を同時並行的に進みます。


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MOT(技術経営)、イノベーション教育は大学を超えて、活用しつつ


「学んだことは大変有意義だったけれど、それを活用できているか?」と悩んでいるのではなく、

とにかく、何らかのプロジェクトが進行中、もちろん、うまくいかないこともあるけれど、フィードバックして、修正しながら進行中

ということで、社会への波及も含めたプログラムになっている、ということでしょうか?

つまり、せっかく学んだことを実社会で活かせるか?悩んでいるよりも、大学を超えて、実社会で活かすことまでプログラムに組み込んでいます。

まとまりがありませんが、悩んでいるよりも、やってしまおう、というのがよさそうです。


いささか前置きが長くなりました。

前置きと言うよりも、現在進行中のこと、進行した上で、見えてきた課題を整理すると、こんな感じということでしょうか。

それでは、出た話をまとめます。

・生徒は地域に出ることで成長する

・将来の見通しを持っているか?見通しをどう、行動につなげるか?

・やりたいこと、すべきこと、できること、が重なり合う部分

・今の社会は高校生でもいろいろなことができる。社会が変化、クラウドファンディングなど。きっかけが大切

・ワクワク感、きっかけ、勉強をする意味、行動に移す意味、が、生徒の学びを促進

・「学び」にイノベーション、求められる人材が変わってきた

・「教えられたことを覚えている」よりも「教えられたことを使って問題を見つけ、解の候補を提案できる」人材

・みんなの意見が違うから、いい議論ができる

・新しい学び、他者と協働しながら創造、主体的に学ぶ、探究していく

・日々の経験から自分で考えて、学ぶ。新しい問題が起きると、自分で答えを出そうとする。

・自分が経験していないことについては、他の人の考えを取り込んで、試してやってみる

・「主体的な学び」は、もともとやっていたことであり、決して難しいことではない

・自分で考えて、自分が言いたいことを話す場を作る

・わかったことを使える力、伝えたいことを伝える力、対話すると、自分の考えが深くなる、インターネットを駆使して、自ら調査して学ぶ、違った意見を統合すると、答えが見えてくる

・一緒に解きたいことがある強み、社会性が取り込まれる

・人は生活の中で、経験から自分なりの見通しやこだわりを作っている

・「正解」がひとつでも、「正解」を納得できる表現はひとりひとり違う

・新しい道具、ICTを使いこなすことは、大切な能力

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「詰め込み」教育が批判され、「ゆとり教育」に移行したところ、生徒の学力が低下した

「ゆとり教育」の社会実践などは、教員の力量に大きく左右される、

など課題はたくさんあります。

進行しながら解決、さらに課題発見の繰り返しになりそうです。




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2014年12月04日

シェールオイル、原油価格決定がロシア、OPEC諸国からアメリカへ

アメリカ金融量的緩和終了、原油価格下落で独り勝ち、日本国債格付け引き下げ、で国際経済金融はどうなる?

に書いたとおり、

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1バーレル100ドル以上で高止まりしていた原油価格が60ドル台まで暴落しました。

エネルギーは国際政治、経済に大きな影響を及ぼします。

日本国内でも、2度のオイルショック、最近の原発問題だけでなく、古くは、日本への石油輸出禁止から太平洋戦争へ、北海道・九州・福島の炭鉱の盛衰、「黒部の太陽」の水力発電から火力発電へ、など、エネルギー問題は、国内の産業構造だけでなく、世界の産業、経済構造にも大きな影響を与えます。


さて、最近の原油価格の暴落は、これは主として、アメリカのシェールオイル、ガスが原因です。、

これまで原油価格を決定してきた資源国ロシア、OPEC諸国から、アメリカに価格決定が移ったことを意味します。

そこで、これまでの知見を整理してみることにします。

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まず、シェールガス・オイルについて、

エネルギー革命、シェールガスとは?

エネルギー価格と経済について、

経済、政策、国際社会の振り返りから見るアベノミクス


で復習します。


従来のガス田、油田に比べ、固い岩盤に閉じ込められていて、これまでは採掘不可能と考えられていた、ガス、石油が、採掘技術などの進歩により、採掘が可能になった、というものです。推定ではアメリカのシェールオイルの埋蔵量はサウジアラビアを上回るのでは、と言われています。

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北米を中心に開発が進むシェールガス・シェールオイルですが、世界の様々な地域に存在しています。

石油に比べれば世界中に遍在する天然ガスですが、主要産出国のロシアが価格交渉を巡り、ヨーロッパ向けのパイプラインを停止するなどの事態がありました。

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シェールガス・シェールオイルにより、世界の政治、経済、外交の勢力バランスも大きく変わることが予想されます。

このシェールガスは、もちろん天然ガスの可採年数も伸ばします。

これまで、天然ガスの可採年数は60年と言われてきましたが、上記の進歩した技術を適用すると、在来型の天然ガスがさらに60年分、シェールガスなど非在来型の天然ガスが40年分あり、合わせて天然ガスの可採年数は160年と、一気に伸びました。

今後、これら掘削技術に加え、需要側の省エネ技術、再生可能エネルギーの開発により、エネルギー問題が解決することが望まれます



第1次オイルショック(1973年)第4次中東戦争が勃発し、アラブ石油輸出国機構(OAPEC)諸国は原油公示価格を1バレル3.01ドルから5.12ドルへ70%引き上げ、その後、さらに5.12ドルから11.65ドルへ引き上げる、と決定しました。

さらに、アラブ石油輸出国機構(OAPEC)諸国はイスラエルが占領地から撤退するまでイスラエル支持国(アメリカ合衆国やオランダなど)への経済制裁(石油禁輸)を相次いで決定しました。

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1979年のイラン革命により、イランでの石油生産が中断したため、イランから大量の原油を購入していた日本は需給が逼迫した。また、1978年末にOPECが「翌1979年より原油価格を4段階に分けて計14.5%値上げする、ことを決定し、再び原油価格が上昇します。


日本は第2次オイルショック(1979年)を機に、「石油代替エネルギー法」「省エネ法」を制定し、エネルギーの石油依存体制からの脱却、消費エネルギーの削減を図ります。

その結果、石油依存から、他のエネルギー、石炭、天然ガス、原子力への転換が図られ、70%以上だった一次エネルギーの石油依存率が、2010年には40%台まで低下します。

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東大環境・エネルギー研究会「石油・ガス資源獲得競争の最前線とシェールガスの展望」に参加しました


・エネルギー問題は不可避的に国際地政学につながる

・第2次オイルショック後、OPEC諸国が石油産業を国営化し、メジャーはイージー・オイルを失った。そこで、資源国が単独では容易に扱えない天然ガス(液化が必要)、オイルサンド、シェールガスへと転換していった

・第2次オイルショック後、省エネルギー、石油代替エネルギーが浸透し、1986年〜1999年は石油1バーレル20ドル前後で、低位安定で、新たなエネルギーの開発意欲はわかない状態だった

・2000年以降、中国、インド等、新興国の需要の伸びにより、1バーレル20ドル前後から100ドルを超えるところまで上昇した

・2008年リーマンショックの際に1バーレル145ドルを記録した後、40ドル前後まで急落したが、その後、リバウンドし、1バーレル60〜80ドル前後に高止まりしている

・アジアの資源国は、自国のエネルギー需要の伸びにより、輸出国から輸入国になった

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・シェールガスは現在、アメリカ、カナダなど、北米が中心に開発が進められているが、中国、南米、北アフリカにも大きな埋蔵量が見込まれ、その量は在来型天然ガスと同程度

・北米のシェールガスを日本に持ってくるには、西海岸から東海岸に輸送し、液化プラントを作り、液化し、LNG船で輸送するため、相当付加コストがかからざるを得ない(3ドル→10数ドル)

・エネルギー価格を下げるには、国内の競争原理導入よりも、国内関係企業が協力する形で、量の拡大により交渉力を付ける方が有効

・アメリカ、カナダは安い価格でエネルギーを得ることができ、産業競争力は確実に増す

・ロシアはアメリカ向けの天然ガスの輸出が減り、ヨーロッパ諸国から影響力行使を嫌われており、中国、日本、韓国のアジア諸国へ、輸出先をシフトせざるを得ない

・北米のシェールガスにより、中東諸国、ロシアのエネルギーを背景とした、地政学上の優位は薄れる 


シェール革命:国際経済・社会システムはどう変わるのか?


このシェール革命は「ゲーム・チェンジャー」国際経済・社会のシステムを変える可能性がある、と言われています。

天然ガス、石油の供給可能量が増大したことは、わかるのですが、これにより、国際経済・社会のシステムはどう変わるのでしょうか?


既に起きていることと、これから起きると予想されていること、に分けて考えます。

(既に起きていること)

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●天然ガス価格と原油価格の連動が「密接」から「ゆるやか」に

天然ガス価格と原油価格は、価格の上昇、下落が密接に連動する、と考えられてきました。

ところが、シェール革命が始まってから、その連動が「密接」から「ゆるやか」に変わってきています。

火力発電、産業用、暖冷房などの用途では石油から天然ガスへの切り替えは比較的容易ですが、

自動車などの燃料は、まだまだガソリンなど石油が主力で、簡単には切り替えができません。

この影響が反映される結果になっています。

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●価格の地域間格差、アメリカは安くに入手できる一方、日本は高い天然ガスを買っている

シェール革命の他に、エネルギー情勢に影響を与えているのが、日本の震災以降の原発トラブルです。

原発停止のため、火力発電で代替するので、長期契約以外にスポット市場で天然ガスを買わざるを得ないため、高い価格になっています。

一方、アメリカはシェールガスを安く入手しています。


(これから起きると予想されていること)

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●中東諸国、ロシアなど産油国の地政学上の地位の低下

これまでは中東諸国を中心とするOPEC(石油輸出機構)が石油の産出量を決定し、中東諸国での紛争により、1973年、1979年の2度のオイルショックを経験しました。

また石油に比べれば世界中に遍在する天然ガスですが、主要産出国のロシアが価格交渉を巡り、ヨーロッパ向けのパイプラインを停止するなどの事態がありました。

シェールガス・シェールオイルにより、世界の政治、経済、外交の勢力バランスも大きく変わることが予想されます。

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●アメリカの産業競争力の復活

アメリカは低価格でエネルギーの調達が可能になるので、産業競争力が復活することが予想されます。

これまで、途上国に工場が移転していましたが、国内の工場立地も考えられるようになり、雇用は改善します。



「シェール革命」により、国際経済・社会システム既に変わりつつあり、さらに変わっていくことが予想されます。

シェールガス・オイルが、エネルギー需給問題にとどまらず、国際産業構造、安全保障にも、どういった影響を及ぼすのか?じっくり見ていきたいと思います。



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2014年12月01日

コミュニティーにおける個人の人格の形成、エスノグラフィーによる観察

現代人類学研究会「人格、物質、コード」特集

という案内が来ました。

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土着の概念(ネイティブコンセプト)から普遍的な(しばしば西洋的な)概念を相対化する営みは、文化人類学の核心のひとつであると同時に、数々の論争を引き起こしてきた。

個人や自己、人格にまつわる問題は、その最たるものだと言えるだろう。

本研究会では、「分割可能な人格(dividual)」の概念に焦点を当てる。

この概念は、アメリカの象徴人類学的な親族研究の枠組み、サブスタンスとコードを創造的に援用しながら、「南アジアの」人格を捉えるために発明された。

そこで描かれたのは、食物、性行為、儀礼、日々の会話など他者とのサブスタンス=コードのやり取りを通して流動する人格であった。


文化人類学が最近、脚光を浴びるようになったのは、エスノグラフィーと呼ばれる手法のためでしょうか?

参加観察を主とするフィールドワークを通じて、テーマとなる事象や問題にアプローチする手法で、文化人類学の調査手法でしたが、イノベーション、マーケティングの調査手法としても有効性が取り上げられ、広く応用されつつあります。

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エスノグラフィーはイノベーションを起こす手法としても有効




「エスノグラフィー」は、参加観察を主とするフィールドワークを通じて、研究者(自己)が研究対象となる人々や集団(他者)と出会い、自己を模索する作業を繰り返すことによって構築されます。

つまり、研究者と研究の対象の関係性とそれに関わるコンテクストを常に意識しながら、研究のテーマとなる事象や問題にアプローチする手法です。

統計資料や質問紙など量的データを利用する調査とは異なり、研究者自身が調査のツールであり、研究者が自分の感覚を頼りに観察を重ねます。

エスノグラフィーは、もともと、上記のように文化人類学の調査手法でしたが、イノベーション、マーケティングの調査手法としても有効性が取り上げられ、広く応用されつつあります。

エスノグラフィー、あるいは、広く文化人類学の手法は、未開の部族の調査だけでなく、むしろ、これからの社会の形成に応用していくと面白そうだったりします。

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・文化はコミュニケーションや行為を生む基になる様々な価値観が蓄積されることで形成する。

・エスノグラフィー、研究者は常に自覚的に自らが立つ位置を確認する。自らが立つ位置によって、観察対象の行動意識、感情が異なる。

・研究者と研究対象の関係は様々な要因によって変化する。それがエスノグラフィーの強みでもあり、弱みでもある。

・社会、コミュニティーの中に入っていかないと、マスメディアなどの表面的な報道からはわからいことが多い。


と書いたとおりです。

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未開の部族でのフィールド調査が行われるのは、マスメディア、インターネットなど外部社会からの情報が、あまり入ってこずに、

コミュニティーと個人の相互作用を観察しやすいからでしょうか?

観察者は宣教者になってはいけません。ただ、コミュニティーを外から観察するのでもありません。

コミュニティーの中に入り、ただ、中心ではなく、周辺に立ち、あくまで観察します。なるべく観察者が影響を与えないように。


さて、「TAK」さんは、文化人類学の各論ごとの、詳細なお話は分かりません。

むしろ、文化人類学のエスノグラフィーという手法を、いろいろな分野に応用することに関心があります。

出た文化人類学の各論ごとのお話をまとめるよりも、コミュニティーにおける個人の人格の形成に関する、雑感を書いてみます。

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個人の人格の形成は、所属するコミュニティーの文化、慣習に大きく影響を受けます。

部族、民族など、自分が選択することができないが、所属しているコミュニティーの文化、慣習を受けつつ、形成されます。

もちろん、これは双方向で、コミュニティーを形成する個々人のコミュニケーションや行為により、文化、慣習が形成されていきます。


コミュニティー、縁も「必修と選択」?




・ムラ共同体から選択縁の社会へ、包括帰属ではなく部分帰属

・選択縁とは知縁、情報縁、志縁、結縁、媒介縁など、加入、脱退が自由、強制力がなく、包括的コミットメントを要求しない。脱(地、血、社)縁の人間関係 

・マルチ帰属型アイデンティティー「人格」とは所属する中間集団における役割の総和。帰属集団の間のコンパートメンタリゼイション(隔離と操作)アイデンティティーのリスク管理「あっちがダメなら、こっちがある」これができない学校、ムラ社会でイジメが起こる

・居場所作り、コミュニティー・カフェ、街の縁側、集まってお茶を飲むだけ、参加者は資格、理由、口実が不要、共にいる=共食共同体(家族のミニマムの定義)

・人が集まる「空間」は必要、ただし、住居に近接する固定空間である必要はない。15分以内の移動圏内に複数の「空間」があればよい

・ネット上のコミュニティーは、リアルで会うことにより、維持、強化される。物理的、身体的接触は必要

・ある程度の距離の大切さ、あまり近過ぎると、すべての情報(恥ずかしい、隠したい情報も含めて)が筒抜けになるので、避けられる


と書きました。

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未開の部族と違って、現在都市社会では、生まれ育つコミュニティーは選択できずに、必修かもしれませんが、それ以外のコミュニティーは、リアルだけでなく、ネットの含めて、選択が可能です。

このような複数のコミュニティーを有する環境で、人格はどのように形成され、またコミュニティーに影響するのか?大変興味があります。

「エスノグラフィー」を使って、観察すると面白そうです。




stake2id at 20:19|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加
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