2015年04月

2015年04月28日

「理学の秩序」環境に適合するだけでは不十分?個体と組織の関係(自己組織化)

東大理学部公開講演会「理学の秩序」混沌の中から秩序を見出す

で、

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物理学は物質と時空の成り立ちを明らかにするため、極小や極大の世界を探求してきました。

しかし、それだけでは我々を取り巻く複雑な世界や我々自身を理解することはできません。

例えば、流れの中にひとりでに現れる風紋や渦の列、精細でひとつとして同じもののない雪の結晶、そして生まれては逝く生きものたち、世界はさまざまの秩序と乱れに満ちています。

これらの現象は、エネルギーや物質の流れがある非平衡の世界で生じる自己組織現象と呼ばれます。

一見、熱力学の法則に反する自己組織化はなぜ、どのように生じるのか、また、最近明らかになってきた非平衡のゆらぎと構造がもつ普遍的な性質についてお話ししたいと思います。


と書きましたが、カオス理論、バタフライ効果について書いたので、ここでは自己組織化について書きます。

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「自己組織化」とは、

環境に適合するだけでは不十分?自己組織化の話


自己組織化とは、多くの要素間の相互関係のみに基づいて、システム全体のパターンが創発するプロセスです。相互関係のルールは全体パターンを参照すること無しに、局所的な情報のみで実行されます


五月祭特別講演「ロマンティック理数」に参加しました


ジグソーパズルはお互い同士がぴったりはまる状態で完成します

少しでも、バランスが崩れると全体が崩壊します

お互い同士がついたり、離れたり、しながらを繰り返し、局所的にも全体的にも一番収まりがよい状態で安定する

これが細胞などの生命体であれば、「そうかな」という気もしますが、全く意思を持つはずがない化学物質で同様のことが起きていることには驚きを禁じ得ません

DNAでも、ひとつひとつの水素と酸素の結合は弱くて、すぐに切れてしまうけれど、複数まとまってうまく結合している、というのは、組織体と個人の関係にも適用できそうです


この自己組織化は、上記のように、化学物質、細胞、生物、人間社会など、いろいろな場面で見られますので、それぞれについて書いてみます。

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アメーバ細胞から探る、個体と組織の関係(自己組織化)


細胞性粘菌という不思議なアメーバがいます。通常は単細胞の生物として土壌中の細菌などを餌として増殖しますが、栄養が乏しくなると分裂を停止し、仲間と協力して集合し、多細胞体をつくります。

細胞の行動が比較的単純な規則にしたがっているだけでも、その集団は一見、とても複雑な、けれども秩序だった振る舞いを示すことがあります。

これは細胞と多細胞に限ったことでなく、アリと群れのような個体と個体群の間、分子と分子集合体との間でもなりたつ「自己組織化」と呼ばれる現象で、私達人間社会の営みとも決して無縁ではありません。

つまり、アメーバ細胞は通常は個々の細胞が自由にふるまっているが、飢餓状態になると、集団行動モードに移行する、というものです

この現象をサッカースタジアムのウェーブになぞらえています



粘菌のふるまいに見る自己組織化の始まり(アメーバ社会のオーケストラ)


サッカースタジアムの応援席でのウェーブを思い浮かべてほしい。これは、おそらく一人で始めることは難しいだろう。何人かが意図をもって、もしくはたまたま同時に立ちあがり、それに周りの観客が共感して席を立つのがきっかけとなる。その後は、さらに隣の観客が動きを予測しながら絶妙のタイミングで立ち上がることが途切れることなく伝播していくのである。このような同調的なふるまいが、粘菌の細胞集団で出現する。

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個々の細胞がごくまれに発火して放出した誘引物質が、他の細胞の発火を誘起し、細胞がある濃度以上になり、この連鎖が一定以上になったとき、集団内で全細胞での一斉発火が生じる

始めはでたらめに波が始まり、競合しあうと考えられる。より短い周期で発生する場所から伝わってきた波に細胞が応答するようになり、最初に波の周期が最短になるような状況に到達した場所が波の中心、つまり自己組織化の中心となる。

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予め指揮者はいないものの、細胞同士の相互作用の中から生じる動的な構造が指揮者となる。細胞集団による誘引物質の発火は、一細胞の閾値的なふるまいに単純に還元できない協同的な現象なのである。

一つ一つの細胞は比較的単純なふるまいしか示さないにも関わらず、集団になると高次の機能をもつ。

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粘菌のアメーバ細胞は、一見主体性がなくバラバラに活動しているようだが、その中から共感し合えるものが出てきて、それが揃った結果、集団的な振動と波ができる。環境が自分たちをつくり、自分たちがさらに環境をつくる。


通常は、個々が自由にふるまっているが、ある時から、集団行動という事例をアメーバ細胞から見ましたが、自己組織化とは、シロアリのような生命体、あるいは意思を持つとは考えられない化学物質にも見られる現象です


環境に適合するだけでは不十分?自己組織化の話



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●シロアリ

・シロアリは個体そのものはひ弱な存在だが、大集団となり、巨大な巣を建設し、行列をなして遠距離に採餌する。この集団行動にはリーダーがいる訳ではなく、単純なルールからなる集団レベルでの自己組織化

・シロアリは巧みに巨大な巣を作るが、微小な脳しかない個々のシロアリは建築物の全体像を知っていることはない

・シロアリの建築物は、人間の建築物のように、予め設計図が描かれ、リーダーの指示により、トップダウン式に施行されるのではない。個々のワーカーは単純なルールに従っているだけで、群れレベルでの自己組織化による大規模な共同作品 

・シロアリの何万匹による採餌行動は、行き先が決まっている訳ではなく、それぞれの個体が他者の後をぴたり追随し、先陣は逐次交代する、枝分かれした場合は、少ない方が多い方に戻る、という単純なルールで全体としては整然と行われる 

・シロアリの個体は集団から離れることは直ちに「死」を意味する。各個体は集団の存続を第一義とした完全な利他行動を取る

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●人間社会

・繁栄する社会には秩序が必要。安定社会には活力が必要

・社会が変化する時代は不確実性耐えなければならない

・システムの都合の大量生産から、それぞれの人に応じたモノの生産へ 

・社会は成熟したら、衰退するのではなく持続する。持続とは変化のない定常状態ではない。内側から破壊し、再構築する自己組織化が大切。環境変化に適応するだけでなく、自己組織化が持続社会には不可欠

・持続とは変化することである。自らに対して差異を生み出しつつ、自らを変えることにより、自己組織化(ベルグソン)ダーウィンの進化論が環境適応により、自己外の要因との差異を扱うのに対し、ベルグソンは自己に対する差異を問題とする 

・環境適応型の変化では、変化は強いられる、余儀なくされる、という受身の発想だが、自己差異化は自らによるもの

・成熟社会では生産性や効率が優先するのではなく、エンパワーメントが大切。エンパワーメントは、知識や技術を獲得することで、自己の能力を強化し、自力で問題解決する能力を身につけること

・能力を与え、精神を解放するパワーは、管理したり、制限したりするパワーより常に偉大である。与えられた課題を効率よく処理するだけでは付加価値の創造は保証されない

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・自己組織化とは、環境との相互作用を営みつつ、自らの手で自らの構造を作り変えていくこと。そのメカニズムが働かない組織は外圧による変化しか行えず、進化論的に淘汰される

・変えるためには、その前に破壊がある。自らが自らを変える組織は、自らの手で自らを壊すことができなければならない

・自己組織化には「ゆらぎ」が必要。異質なものを取り込み、多様性を維持する。安定時には異質なものは排除されるが、激動時には異質が必要になる

・自己組織化を促し、創発が生まれやすい仕組みにするには、1.創造的な個の営みを優先させ、2.ゆらぎを秩序の源泉とし、3.混沌を排除せず、4.コントロール。センターを設けない 

・組織のゆらぎは逸脱行為として、社会の存在を脅かすものとされ、統制すべき、とされていたが、社会の多様性の源泉でもある

・従来は安定な均衡が望まれたが、最近は混沌(カオス)の積極活用が考えられている。カオスは、現状が正しく認識できたとしても、その先どうなるかは予測不可能

・混沌(カオス)では、初期条件のわずかな差が結果に驚くほど大きな違いをもたらす

・自己組織化にはトップダウンの管理を強化しないこと。カオスの放置はまずいが、存在は認めること。ひとりひとりの自発的な活動の結晶として組織は変わり、活力が生まれる。一人ひとりの活動から全体へと向かうシナジーをもたらす風土の醸成が大切

・活力ある安定とは、社会が安定・停滞する状況の中で、各個人が様々な試みを行い、アイデアを生み出し、新たな秩序つくりを行う


カオス理論、バタフライ効果、自己組織化の研究が進むと、物理学、生物学だけでなく、数学の発展が経済学に大きな影響を与えたように、

社会学に大きな影響が出てくるのでは、と考えます。




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2015年04月27日

東大理学部公開講演会「理学の秩序」混沌の中から秩序を見出す

東大理学部公開講演会「理学の秩序」混沌の中から秩序を見出す

という案内が来ました。

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「理学の秩序」をテーマに、

・植物細胞の分化運命を決める遺伝子発現調節

・火山の気吹(いぶき)をはかる

・ゆらぎと構造から見る非平衡の世界

と3つのお話がありましたが、最後のテーマだけ、参加したので、これについて考えてみます。

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案内文によると、


物理学は物質と時空の成り立ちを明らかにするため、極小や極大の世界を探求してきました。

しかし、それだけでは我々を取り巻く複雑な世界や我々自身を理解することはできません。

例えば、流れの中にひとりでに現れる風紋や渦の列、精細でひとつとして同じもののない雪の結晶、そして生まれては逝く生きものたち、世界はさまざまの秩序と乱れに満ちています。

これらの現象は、エネルギーや物質の流れがある非平衡の世界で生じる自己組織現象と呼ばれます。

一見、熱力学の法則に反する自己組織化はなぜ、どのように生じるのか、また、最近明らかになってきた非平衡のゆらぎと構造がもつ普遍的な性質についてお話ししたいと思います。


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ここで出てくる「自己組織化」とは、

環境に適合するだけでは不十分?自己組織化の話


自己組織化とは、多くの要素間の相互関係のみに基づいて、システム全体のパターンが創発するプロセスです。相互関係のルールは全体パターンを参照すること無しに、局所的な情報のみで実行されます


五月祭特別講演「ロマンティック理数」に参加しました


ジグソーパズルはお互い同士がぴったりはまる状態で完成します

少しでも、バランスが崩れると全体が崩壊します

お互い同士がついたり、離れたり、しながらを繰り返し、局所的にも全体的にも一番収まりがよい状態で安定する

これが細胞などの生命体であれば、「そうかな」という気もしますが、全く意思を持つはずがない化学物質で同様のことが起きていることには驚きを禁じ得ません

DNAでも、ひとつひとつの水素と酸素の結合は弱くて、すぐに切れてしまうけれど、複数まとまってうまく結合している、というのは、組織体と個人の関係にも適用できそうです


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動的平衡については、

壊すことが新たな創造へとつながる


動的平衡とは、このように生命を構成している要素は絶え間なく変化しているにもかかわらず、全体としては平衡を保っている、ことを言うのだそうです

生命は、ある部分が全体を俯瞰している訳ではない。かと言って、個の最大化を図っている訳でもない。

細胞は分散的、ローカルに、自分の周囲のことしか関知しないが、周囲と双補完的に機能し、成り立っている


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繊細だが、しなやかに移りゆくアートを言葉で表現すると


動的平衡、止まっているのではなく、絶えず移り変わり、動いており、宇安定な状態でありながら、全体として安定している


など書いてあります。

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さて、ニュートン力学で表現できることは解明済み、と考えがちですが、カオス理論で扱う力学系の状態のわずかな変化がその後の系の状態が大きく異なってしまうというバタフライ効果、流れの中にひとりでに現れる風紋や渦の列、精細でひとつとして同じもののない雪の結晶、など、実は秩序と乱れに満ちています。

自己組織化する自然、秩序(構造)と乱れ(ゆらぎ)

平衡「流れも変化もない「静かな世界」現代物質科学の基盤」、非平衡「流れや変化が本質となる「動く世界」自己組織化、カオスなど多彩な世界」

エネルギーを保存する系と保存しない系

保存系では、振動振幅は初期条件で決まるが、非保存系では、振動振幅は初期条件では決まらない

二重振り子、振動する要素が2つになっただけで、不規則な運動になる。回転振り子の頂点付近での、わずかな違いが大きく増幅

わずかな初期値の差が、将来の大きな差を生む(初期値に関する敏感性)

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これらについては、

東京大学公開講座「想像力ー想像から創造へ、混沌と構造化」に参加しました

にも


・カオス:数学的に振舞っているけれど、状態が混沌としている。背後には無限の秩序構造がある

・バタフライ効果:わずかの初期値の違いが、指数関数的に拡大していく現象

・単振り子の動きは周期的だが、振り子の先に、もうひとつ振り子をつけた二重振り子の動きは非周期的で、実現象のカオスの典型例


と書いています。

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バタフライ効果

とは、

力学系の状態にわずかな変化を与えると、そのわずかな変化が無かった場合とは、その後の系の状態が大きく異なってしまうという現象。

カオス理論で扱うカオス運動の予測困難性、初期値鋭敏性を意味する標語的、寓意的な表現である。

カオス(1):蝶は今どこを飛ぶか(ver.1.0)

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カオス理論とバタフライ効果がよくわかるシンプルgifアニメと解説


カオス理論は数学において大変に重要な領域で、現実世界で見えるものの多くを説明してくれます。

一つの塊がついた振り子を数学的に説明するのは比較的簡単で、その動きは規則正しいものです。

しかし、もう一つの塊を加えると、途端にその動きは混沌としたものになります。

つまり、理論的に言えば、スタートする位置をほんのわずかでも変えると、その直後のシステムの状態は抜本的に変化します。

天気もまたカオスであり、今日の小さな測定誤差は数日・数週間以内における雨が降るか降らないかの違いになりえます。

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Things of interest in Maths & Science

上の画像の2つの振り子は、ほとんど同じ設定から始まるにもかかわらず、瞬く間に異なる展開を見せ始めます。

上の動画の2つの振り子は開始地点が微妙に異なるのが分かりますでしょうか。

途中までそっくりな経路を辿るものの、ある時点以降は全く異なる動きになります。

ある場所での蝶の羽ばたきが、そこから離れた場所の将来の天候に影響を及ぼすということで、比喩的にバタフライ効果と呼ばれることもあります。


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カオス7:奇妙なアトラクタ、バタフライ効果


ほとんど同じ大気の状態を考えると,それらは非常に近くにある2つの球体の中心で表されるが,時間変化とともにすぐに2つの点は遠くに離れてしまう:2つの大気の状態は全く異なるものになってしまう.ローレンツは彼のモデルが,初期条件に鋭敏に依存すること,つまりカオスを示すことを見出した.

しかしもっと面白いことがある.様々な仮想的な大気状態から出発すると,少しめちゃくちゃな感じで,予測していくのは困難であるが,軌道は蝶の形をした図形に集まっていく,ローレンツ・アトラクタとして有名になった非常に奇妙なアトラクタに集まっていくのである.


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物理学と言うと、

物質に質量をもたらす「ヒッグス粒子」とは?

に書いた、CERNの大型試験装置を使った「ヒッグス粒子」の発見などに目が行きがちですが、

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科学技術史のすすめ、科学技術は振り返って見ても、面白い

に書いた、ニュートン、ガリレオ、ベルヌイ一族、オイラー、ダランベール、ラグランジュなどのテーマにも実は未解明なことが多かったりします。

カオス理論で扱うカオス運動の予測困難性、わずかな初期値の差が、将来の大きな差を生む(初期値に関する敏感性)などは人間、社会現象にも適用できそうです。



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2015年04月24日

ブレークスルーはベンチャーと大企業のパートナーシップ

ワークショップ「社会を変えるモノづくりMade in Japan」@経団連会館

というう案内が来ました。

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ミドリムシのユーグレナ出雲さんとクモの糸のスパイバー関山さんのお話を伺うことができる、凄いワークショップです。

お二人の詳しいお話は

なぜミドリムシをあきらめなかったか

未来を開く人工のクモの糸─日本の新興企業スパイバーの取り組み

を参考にしていただくとして、

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金儲けのためよりも、物凄いことをして、社会を変えようとする若年の起業のお話は面白いものでした。

ただ、資金、人材などのリソースが少ないベンチャーが成功するには、大企業とのパートナーシップが欠かせません。

「他社の採用実績がないから、やらない」ではなく、「実績がないからチャンス」という大企業が少数だけどあり、それがブレークスルーになった話が興味深いものでした。

いつもは出たお話を、まず、紹介するのですが、今日はずいぶん長くなるので、その中のポイントを紹介してから、出たお話を紹介します。

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・ミドリムシの企画を500社に持って行って、すべて断られた。「採用実績、主要取引先がないため」501社目の伊藤忠商事が採用。「聞いたことないからリスク」と「聞いたことないからチャンス」の違い。伊藤忠商事が販売すると、飛ぶように売れるようになった。日立、電通、全日空、いすずなどが参入。オープンイノベーションが急激に進んだ。

・パートナーシップに大切なのは信頼。これがないと、大切な情報は提供できない

・オープンイノベーションのためには信頼関係が不可欠。最新の技術を取ってやろう、では、成り立たない

・大学では数百〜千万の研究費、ベンチャーにすれば数億〜十億円の投資の可能性

・アイデアをアイデアで終わらせず、実現する

・中高年のモティベーション、貧しかった、から、自動車、高級なモノがほしい。若年者のモティベーション、ほしいものは特にない。儲かるからやる、というよりも、世の中にインパクトを与えたいからやる。

・ベンチャーだけでは難しく、途中で大企業とのパートナーシップが欠かせない

でしょうか。

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それでは、出た話をまとめます。

世界最貧国のバングラデシュ、食料は取りあえず足りている。しかし、米、豆以外の、特に動物性たんぱく質は不足している。栄養バランスが崩れ、栄養失調。世界中で10億人以上の人が栄養失調。

ミドリムシ、植物だが動いている。光合成をし、動物性たんぱく質を含んでいる。

多くの人が、ミドリムシと青虫、毛虫を混同する。

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ミドリムシは栄養が高いため、プランクトン、バクテリアが食べるため、培養が難しい。無菌のクリーンルームでないと培養できなかった。高コスト。

何とか、安く大量に培養できないか?ミドリムシ以外は死んでしまう培養液を開発。

栄養素を10億人の栄養失調の人々に食物で提供することはできないが、ミドリムシならばできる。

トウモロコシによるバイオ燃料は食物資源とトレードオフになってしまう。農地でバイオ燃料をつくってはいけない。耕作放棄地など農地以外でつくる。

ミドリムシの企画を500社に持って行って、すべて断られた。「採用実績、主要取引先がないため」501社目の伊藤忠商事が採用。「聞いたことないからリスク」と「聞いたことないからチャンス」の違い。

伊藤忠商事が販売すると、飛ぶように売れるようになった。日立、電通、全日空、いすずなどが参入。オープンイノベーションが急激に進んだ。

オープンイノベーション、大学にネタはたくさんある。大企業に進めるカルチャーが不足。

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クモの糸は、単位重量あたりの強度では鋼鉄、アラミド繊維よりもずっと強い。

微生物を使って、クモの糸をつくる。

試験的にできる状況から、工業的に生産できる状況になると、次元が変わる。

大企業だと30年かかることがベンチャーでは10年でできた。

繊維だけでなく、クモの糸は、ポリマー、スポンジなどにも応用可能。世界の高分子の20%を置き換える。市場規模は20兆円。

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素材イノベーション:土器→金属→プラスティック→タンパク質素材、グリーンイノベーション、ライフイノベーションに利用

資金、リソースがあるところから、改良、改善は生まれるが、イノベーションは生まれない。

リソースがあると、これまでの延長、連続になってしまう。革新的な変化に対して、強みは弱みになってしまう。

「リソースがない」とは「失うものがない」こと。「リソース、失うもの」があるとチャンレンジは難しい。

好きなことなので、長時間労働という意識がない。

出産、育児のサポートをしないと優秀な人材を保てない

大学では数百〜千万の研究費、ベンチャーにすれば数億〜十億円の投資の可能性

アイデアをアイデアで終わらせず、実現する

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中高年のモティベーション、貧しかった、から、自動車、高級なモノがほしい。若年者のモティベーション、ほしいものは特にない。儲かるからやる、というよりも、世の中にインパクトを与えたいからやる。

ベンチャーだけでは難しく、途中で大企業とのパートナーシップが欠かせない

自社主義よりもコラボの方がイノベーションが起こる。

工場をベンチャーが持つことは難しい

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パートナーシップに大切なのは信頼。これがないと、大切な情報は提供できない

オープンイノベーションのためには信頼関係が不可欠。最新の技術を取ってやろう、では、成り立たない

ベンチャーは資金、人材が不足。時間が限られている。立場が弱い。大企業にとっては、ワン・オブ・ゼム、ベンチャーにとってはオンリー・ワン

発酵の技術、微生物の利用は日本の技術が優れている。大豆と納豆の文化的背景

地域創生、その地域だけでなく、他と結びつくことで達成できる

ゼロからやることは難しい。ポテンシャルを持つパートナーと組む。

ポテンシャルがないことを、ゆとりができたからと言って、自分でやろうとすると、うまくいかない。強さからはみ出さない。

困っている時に手を差し伸べてくれた会社は忘れない。うまくいってから、2倍払う会社が出てきても乗り換えない

うまくいった事例を発信することで、大企業のマインドセットが変わる






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2015年04月21日

生体情報センシングによる健康管理、予防医療の展望

ウェアラブルヘルスケアシステムのための生体情報センシング

という案内が来ました。

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案内文によると、


スマートフォンを始めとして,腕時計型やメガネ型に代表されるウェアラブル機器にセンサを内蔵して体に装着し健康管理に役立てる「ウェアラブルヘルスケア」が話題となっています.

今回は,これらの先にある生体情報センシング技術の研究を紹介します.

血圧センシング,食習慣センシング,感情センシング,ストレスセンシングを例にそれぞれのセンシング原理を解説します.


最近はセンシング技術がキーワードになっていて、これらについては、

拡張現実と予感のセンシング、インターネットからセンサーネットの時代へ

センサリング技術を活用して、意図しなかったビッグデータから、プロセス、結果を織り込んだデータへ「植物との対話」から

に書いてきましたが、健康管理、予防医療への利用は、これまでの医療を劇的に変える可能性があります。

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記憶はアクセスされる毎に書き換えられる

に書いたように、


人による目視、触覚、自覚症状など、主観、感覚によるセンシングに加えて、科学的原理によるセンシングを加えて判断を高度化していく。

さらに、見えない所、感情など、ブラックボックスを可視化し、アルゴリズムにより、判断できる材料とする。

リスクファクターをセンシングしていると、余計な心配をせずに済む。


自覚症状が出てから、病院に行ったけれど、手遅れ、なんてことにならないように、血液、尿、血圧などを定期的に測定して、異常値が出ていれば、自覚症状はなくても、すぐに病院に行けば、早い段階で治療ができます

つまり、自分の感覚だけに頼るのではなく、科学的原理によるセンシングを加えることによって、判断を高度化することができます。

同様に、記憶はあやふやっだったりしますが、言語、映像、音などの記録により、補正することができます

記録と予測、記憶と期待、前者が客観的で後者が主観的なものでしょうか

ただ、あくまでも、記録と予測を活用しつつ、人が行うのは記憶と期待です


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MOT(技術経営)この1年を振り返る2014


意図しなかったビッグデータから、プロセス、結果を織り込んだデータへ


ビッグデータという言葉が最近よく使われます。

ビッグデータとは、記録の、自動化、大量化による、「意図しない」データであり、これら「眠っているデータ」を発掘すれば、もの凄い「宝の山」が埋もれているのではないか?と思われていました。

しかし、結果として得られた「結果データ」と、その結果が得られたプロセスでの「プロセスデータ」がセットになるように、データ取得がデザインされていないと、せっかくのビッグデータも活用できないことが指摘されるようになってきました。

これは、非常に重要な、認識の転換点と考え、あらためて考えてみます。

ワインの場合でも、ワインの味わい、質(結果データ)だけでなく、気温、降水量など、ぶどう栽培、収穫時の気象条件(プロセスデータ)をセットにして取得することが大切です。

どの「結果データ」がほしくて、その「結果データ」に影響を及ぼす「プロセスデータ」は何なのか?何の可能性があるのか?

ストーリーを構築し、結果とプロセスを織り込むようにデザインする、ことが大切になってきました。


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自分の脳波を常に計測、可視化できたら?




脳波の測定は可能です。ただ、計測器の重量が重くて、価格が高価な、いわゆる「ヘッドギア」タイプの装置を、装着します。

そのため、測定作業自体がストレスで、通常の生活行為での脳波は計測できません。

この計測器を大幅に軽量化してヘアバンドに、制御部を携帯電話、iPod、ヘッドホンに組み込むことができれば、通常の生活での脳波の状態が計測、記録できます。

すると、自分がイライラしているのか?ゆったりしているのか?自分の脳波を見て、確認することができます。


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「政治学と脳認知科学の融合のフロンティア」に参加しました




MRI(Magnetic Resonance Imaging)による脳の機能計測技術が急速に進んだおかげで、脳の活動の活発なところに、血流が多く流れて、酸素化ヘモグロビンが増えているところを見つければ、脳は部位毎に視覚、聴覚などの機能に対応しているので、どの機能が働いているのか?わかる


と書きました


直感、勘、感覚など、これまで「計測できない」「ブラックボックス」とされていたモノが計測できる、そしてコントロールできるようになれば、人間の生活、行動が大きく変わってくる、と考えられます。

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複合現実感技術、リアル世界とバーチャル世界の融合




・Google検索、世界の事はわかるが、自分のことは検索できない。「昨日何を食べた?」「1週間前に会ったあの人の名前は?」など。これが自動的に記録され、必要な時に引き出せると、人間の機能が驚異的に向上する

にあるように、カメラ付きのメガネで視線が追ったもの、食べたものをを自動的に記録する、簡単なイア・センサーで聞いた音、話したことを録音する、など、

人間の行動が自動的に記録され、かつ、検索できる、可能性ではないか?と思います

さらには、思ったこと、考えたこと、感じたこと、などが、自動的に、記録され、検索が可能になれば、人間の行動、生活は劇的に変化する、と思われます

SFの世界ですら、起こり得なかったことが、現実化しつつある


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いろいろと書いてきましたが、人間行動のセンシングと拡張現実が組み合わさると何が起こるのでしょうか?早速出たお話をまとめます。


・センサ+センシングが既存事業を再構築し、変革する

・ウェラブルセンサー、装着していると、数値と体感の関係がわかる

・センシング:自然現象や人工物の機械的、電磁気的、熱的情報を科学的原理を応用して、人間や機械が扱いやすい情報に変換する

・見えないことを「見える化」

・起こっていることをアルゴリズムで分析、評価

・人間が本来有する生物感覚の枠組みを拡張する

・私を感じる。私が周囲の環境を感じる。周囲の環境が私を感じる。

・農業にICTを利用。温度、湿度、雨量などの環境データだけでなく、人間が施した農作業をモニタリング、記録する

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・健康管理、予防医療、まず現状把握、個人の生活習慣にあった対策、効果検証。自分が健康だと思っているとセンシングしない。

・センサーの小型化、軽量化により、ウェラブルセンサーにより拘束感のないモニタリング

・複数のセンサーにより、行動、体調、心理、感情の情報を抽出、分析

・自由行動下で連続的な血圧測定。これまでは静止して、圧力を加えて、計測。連続測定はできなかった

・起立時低血圧、食後低血圧、運動、ストレス時昇圧など、通念として知られていたことが、計測データで確認された

・通信コミュニケーションでは、対面コミュニケーションに比べ、背景情報が少ない

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・「人が発生する情報」と「周囲の環境情報」の2つからなる雰囲気情報、コミュニケーションの円滑化に有効

・帰ってきた時の足音、食事の準備の包丁の音、ドアの開閉の音などで調子、感情を判断する。障子越しのコミュニケーション

・センシング技術は「取る技術」「貯める技術」「見せる技術」

・加速度センサ、圧力センサ、急激に伸びた。ただ、まだ測れるものは少ない。

・日本はまずモノがないと、意見が出ない。欧米では考えの枠組みの中にモノを入れ、当てはめていく。

・センサ、論文はたくさん書けるが、実用化は難しい。技術的には可能だが、人への実用が難しい。まだ、重い、大きい、行動が制限される。

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・予防だけでなく、一度発症した症状を再発させないことも大切

・ウェラブルセンサーは複数設置するよりも、ひとつにまとめたい

・言葉にしたことを絵に描くと問題点がわかる

・PCからインターネット、スマートフォーン、ウェラブル、技術の進展で、「当り前」になると、急速に展開がある

・手段、方法がたくさんありそうで、実は制約されている。通信手段はLINEだけ?

・Googleで調べてわかることは自分で調べる文化。

・「モノ側から見る」と「人側から見る」の交流

・予測できると経験値の中に入るので対応が楽

・喜怒哀楽のデータを取得するのは大変

・過去のうれしかったこと、悲しかったことを思い出して書き出してもらうと、泣き出すなど、感情を著しく乱して、実験を中断せざるを得なくなることも多い

・過去の記憶を引き出すと、併せてその時の感情も引き出される




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2015年04月19日

東大ワールドカフェ「超小型衛星が拓く未来」に参加しました

東大ワールドカフェ「超小型衛星が拓く未来」

という案内が来ました。

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キーノート・スピーカーは東京大学工学系研究科航空宇宙工学専攻教授の中須賀真一氏です。 

案内文によると、


超小型人工衛星「ほどよし」は、ヘリコプター1機分の低コストで保有することが可能であることが、2014年10月に東大で開催された科学技術交流フォーラムで紹介されました。

これまで数百億円かかる高性能人工衛星を、目的に合った機能にシンプル化することで50分の1程度のコストと高い信頼性を確保することができたのです。

更に、これらの超小型衛星をネットワーク化することで高次の機能も発揮できるのが特徴です。

これは、メインフレーム・コンピューターから、低コストのパーソナル・コンピューターに変換し、ネットワーク化していくのと同様です。

このように一つの衛星をシンプル化して「ほどほどがよい」機能にしながら、多様な組み合わせも可能になってきたことで、柔軟な活用が可能となります。

携帯データと衛星観測による地理情報や気象情報、衛星通信と地上波通信を組み合わせるなど、その利活用のアイディア次第で、防災やスマートシティの実現に必要な様々な価値を創造して行ける可能性を秘めています。


とあります。

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東大ワールドカフェについては、

東大ワールドカフェ、卒業生ネットワークは学部・世代を超えた「ナナメのつながり」さらには大学の枠も超えて

を読んでいただくとして、ここでは「超小型衛星が拓く未来」について考えてみます。

山崎直子さん「宇宙飛行士という人生〜宇宙に出るまで、帰って来てから」

によると、


宇宙開発は、ソ連(今のロシア)、アメリカを中心に進んできました。

人類で初めて地球を衛星で周回したソ連のガガーリン、アメリカのアポロ計画など

宇宙飛行士になるには、アメリカかソ連に生まれるしかありませんでした。

1984年に、アメリカのレーガン大統領が国際宇宙ステーション計画を発表し、日本も参加することになりました。 


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人工衛星は宇宙開発だけでなく、気象観測衛星「ひまわり」、通信衛星など、日々の生活に不可欠なものになっています。

ただ、人工衛星プロジェクトは上記のように数百億円もかかるため、国家、国際プロジェクトで対応することになります。

すると、衛星でやりたいことがあって、公募されることはあっても、採択されることは、極めてまれ、になります。

ところが、シンプル化することで50分の1程度のコストになると、ぐっとハードルが下がります。

上記のように、コンピューターも1980年代前半までは、科学技術、銀行、証券、放送など、高度なビジネスにのみ、利用されていましたが、

その後、低コストのパーソナル・コンピューターが使われ始め、インターネットの時代になり、コンピューターの利用が草の根レベルまで普及し、利用法も当初予想もされなかったほど多様化することになりました。

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現時点での衛星利用は既に利用されている気象、通信、上空からの撮影、などが主体ですが、

衛星プロジェクトがクラウドファンディングなどで、個人レベルで行われるようになれば、

現時点では予想もできない利用法が開発され、スマートフォーンなどと結びついて、

個人が衛星を利用する時代がもうそこまで来ているかもしれない、

そんな予感がしました。




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2015年04月14日

時間とは何だろう?絶対的時間と圧縮される時間、空間

東京大学公開講座「高校生のための金曜特別講座」時間とは何だろう:ゾウの時間 ネズミの時間

という案内が来ました。

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案内文によると、

ネズミの心臓は早く、ゾウのものはゆっくりと打つ。ネズミは短期間で成熟して子を生み、寿命は短い。ゾウはその逆。

ネズミは生活のペースが早く、ゾウはすべてにおいてゆっくりとしているのである。

生活のペースを動物の時間と考えれば、ネズミの時間とゾウの時間は異なること言っていいだろう。

体重当たりのエネルギー消費率を比べると、ネズミの方が格段に大きい。

じつはエネルギー消費率と動物の時間の進む早さは比例するという経験則がある。

なぜこのような経験則が成り立つのかを考えたい。

また、この経験則は、社会生活の時間にも当てはまりそうなのだ。現代社会は、車やコンピュータや携帯電話などという機器を、エネルギーを使用して動かし、結局は時間を早めているのではないだろうか。

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まず、出た話をまとめます。

人間として生きていく上で、学問は役に立つ

身体はどうやって時間を知るのか?時間を感じる感覚器官はない。

見る「目」、聞く「耳」、時間を感じる「心」がある。モモ・ミヒャエル・エンデ

時間を感じるのは心(アリストテレス)

時間とは、前と後に関しての運動の数、心がなければ、時間はあり得ない。(自然学)

動物の時間は体重の1/4乗に比例する。心臓の心拍だけでなく、呼吸、成長、寿命も体重の1/4乗に比例する。

小さい動物は何でも早い、大きい動物はゆっくり。呼吸、成長、寿命を心臓時間で表わすと、哺乳類なら皆同じ

体重当たりのエネルギー消費量は体重の-1/4乗に比例する。

時間とエネルギー消費量は反比例。一生の間にする仕事量は同じ。

エネルギーを使うと時間が速く進む。冬眠するものは長生き

生物は時間を操作している

生物は生きる時間をエネルギーを使って創り出している

物理に時間は直線的で戻らない。生物の時間は回路、サイクルで回る繰り返し

直線は終わってしまうが、回路、サイクルならば永続する

環境が変われば、同じままでは生きられない。子供が親とは少し違うのはそのため

時間が違えば、世界が違う、生き方が違う、価値観が違う

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社会の時間もエネルギーを使えば速くなる

機械、エネルギーを使って、時間を速める。20世紀は時空短縮の世紀

技術はより速くを目指す。ビジネス、時は金なり。

社会の時間が縄文人の30倍速い。消費とは時間、エネルギーを買っている。

しかし、身体の時間は昔とそれほど変わらない。身体の時間が社会の時間に追いつけない。ストレスの原因

時間とは、その中で私たちが生きていく環境、時間環境を適切にコントロールできればよい

現代人はエネルギーを使って時間を生み出している

2つの時間の生み出し方。便利な機械を使って、早くできることにより、余暇が生まれる。それに加えて、寿命が長くなる。

一人当たりのGDPと寿命の長さは相関がある

「私」の範囲が時空共に狭まった。子供、孫、近所は「私」ではなくなった

「永遠」がなくなった。永遠が満足されなければ、安心できない

死なないのではなく、死んで蘇る

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絶対時間の進捗は太古の昔から変化はありません。

「機械、エネルギーを使って、時間を速める。20世紀は時空短縮の世紀。技術はより速くを目指す。ビジネス、時は金なり。」

という話が出ました。

産業革命による交通革命、インターネットによる通信革命などにより、時間のスピードは劇的に速くなっている。人間の身体のリズムと社会のリズムを調和させるのは大変です。

時空の短縮、圧縮が最も顕著なのが、通信でしょうか。

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古代アテネでは、戦争に勝ったことを人が街まで走って帰って伝えました。これがマラソンの起源です。

19世紀中頃に電信が実用化し、瞬時に情報を遠方に送信できるようになりましたが、発信、受信できるのは、設備があるところ、送受信できる情報量も限られました。

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1905年の日露戦争の時、日本近海を航行するバルチック艦隊を目撃した宮古島の久松五勇士は、通信設備がある石垣島まで15時間、170キロの距離を必死に漕ぎ、さらに30キロの山道を歩き、15時間かけて、八重山郵便局から那覇の郵便局本局、沖縄県庁を経由して東京の大本営へ伝えられました。

1970年代前半までは、家庭の電話がまだ普及しておらず、郵便局から電信を発信してもらい、最寄りの郵便局から配達してもらう、電報が一般に使われていました。

携帯電話普及初期には通話可能域は限られ、通信できる内容も通話、メールくらいでしたが、衛星、光回線など、通信インフラが飛躍的に向上し、今ではスマートフォーンにより、個人が世界中どこにいても、どこへでも通話だけでなく、映像、動画の送受信が可能です。

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交通でも、東京〜福岡間は、江戸時代は徒歩で数か月、昭和30年代には特急で18時間半、飛行機ができると2時間になりました。

昭和30年代には最低でも1週間の出張だったのが、日帰り圏になっています。

また、昭和30年代に「三種の神器」と言われる、テレビ、洗濯機、冷蔵庫が開発、普及し、主婦の家事が軽減し、食品の長期保存が可能になり、また、映像が日本中同時に見れるようになりました。

技術の進歩により、単に時間が短縮されるだけではなく、到底不可能なことが可能になりました。

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これは、時間が短縮されている、というよりも、時空が圧縮されている、という感じでしょうか。

ただ、時空が圧縮された結果、人々にゆとりが生まれたか、と言うと、逆で、情報があふれ、やれることが増え過ぎた結果、

人々の生活、価値観の変化も急激で、生物的な時空サイクルがついていけずに、疲弊しているのが現状でしょうか?

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技術の進歩による時間、空間の圧縮は留まるところを知らず、どんどん進むでしょう。

時空の圧縮に振り回されるのではなく、しっかりコントロールして、活用したいものです。




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2015年04月12日

情報があふれ、変化が激しい時代の「最適な行動」とは?

社会学者の宮台真司氏のブログ

最適という孤独を離れ、満足の共同性へ

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情報があふれた流動的な社会では、「最適な選択」なるものは単なる幻想。

どんなに「最適な選択」をしたつもりでも、少し時間が経てば状況が変わり、「あれば間違いだったのではないか」と思い返することになり、不安に襲われます。

「自分で何もかもしなくては?」と過剰に思い込む人は、〈最適化〉原理に駆られがちになって不安や抑うつ感から逃れられなくなります。

現にそういう人ばかりでしょう。 


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不安定な「知」を楽しむ




全てを読んで読み切って、それに合わせて行動することが知的なことだというのはものすごく知の一部分しか見ていなくて、向こう側に闇のようなカオスというか暗闇があってそれと対峙しているという感覚。

それに対して自分の内的社会をどういうふうに動かせばいいかと考えるのが知的作業。

知というのは不安定に流されてただよっているもの。


とあります。

変化が激しい時代では、状況が刻々と変化し、判断すべき情報があふれています。

ある時点では「最適」であった選択が、状況が推移すると、よくないもの、になってしまい、ずっと「劣る」と考え、棄却した選択の方がよくなってしまうことも少なくありません。

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では、情報があふれ、変化が激しい時代には、どういう選択をすればよいのか?

と言うと、

最適な行動と実際の行動のギャップ

に書いた


興味深かったのは、ゲームの理論を実際に被験者に試してみると、ゲームの理論から導かれる最大値、最適理論とは、異なる戦略を人々が選択していることがわかった、ということです

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感情に流されて不合理な行動をするのではなく、理論的に考察して、合理的な、最適理論に基づく行動をとることで、例えば、経済的な損失は防げるのではないか?

何が起こるか、予測がつかない中、事前に、理論的に考察して、合理的な、最適理論を導き出して行動することなど、実際には不可能です。

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・人間は理論的な最適経路よりも、自分がわかりやすい、近く見える経路、あるいは直感的に近いと考える経路を選ぶ。

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・パターンの固定化、直面する問題に対する解を考える、よりも、むしろ、過去にうまくいったパターン、自分が知っているパターンで解こうとする。そのプロセスで、正しいゴールを見失っている。

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・直感で判断、とは、これまで自分が蓄積した知識、経験に照らして、合理的に判断、というよりは、表面に見える情報をもとに、過去にうまくいったパターン、自分が知っているパターンで解こうとする。

・ゴールへの道筋がわかると、感情に動き(うれしい)があり、行動が早くなる。

・被験者の動きを、第三者的立場で観察すると、本来のゴールから、かけ離れたところで、悩み、決断していることがよくわかる

これまで自分が蓄積した知識、経験に照らして、合理的に判断、という「直感」よりは、表面に見える情報をもとに、過去にうまくいったパターン、自分が知っているパターンで解こうとする「直感」、になってしまい、金槌でボルトを抜こう、とするように、正しいゴールを見失っていることがあります。

電車を乗り継いで、どこかへ行く場合、予め、乗り換えのプランはありますが、スマートフォーンの路線検索を念のため調べると、思いもかけなかった、ずっとよい乗り換えプランが提供されて、びっくりすることがあります。


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人間と人工知能の競争?協奏?協創?


人間が設定したルールを、1秒間に数万回、演算、検索すると、人間にはもやは予測不能な結果がもたらされます。

加えて、上記のように、人間は試行錯誤、表面に見える情報をもとに、過去にうまくいったパターン、自分が知っているパターン、「直感」で解こうとしますが、

コンピューターは、瞬時にすべてのパターンを検索します。

「人間が人工知能に取って代わられて、やることがなくなる」「人間が人工知能と競争する」よりも、人間は人工知能が得意なことを利用、活用して、「人間が人工知能と協奏する、協創する」時代が訪れる、と考えています。

どんな時代が来るか?予測するよりも、時代を協奏、協創していくことになりそうです。


人間が、目に見える表面的な情報により、過去にうまくいったパターンに基づいて、判断するよりも、コンピューターの記録、検索能力、人工知能を駆使した判断が求められます。

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さて、「選択」とは、いつまでも、ぐずぐずしていてよいものではなく、必ずしも十分な情報がそろわない状況で、しかも、状況が推移する中での決断が求められます。

「最高の選択をする」よりも「選んだ選択、起こった出来事を最高にする」

成長するためには次々にビジネスを出す モバゲーだけじゃない DeNA社長南場智子さん




●選んだ選択肢を正しくする

正しい選択肢を選ぶことは大切だが、もっと大切なのは、選んだ選択肢を正しくすること


と書きました。

「選択」をしたならば、その「選択」が正しかったか?くよくよ悩むよりも、選んだ選択肢を正しくすることが大切です。




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2015年04月08日

南洋諸島パラオにみる、国際紛争、国際情勢への対応の難しさ

戦後70年にあたり、天皇・皇后両陛下が戦没者の慰霊のため、8日からパラオを訪問

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天皇・皇后両陛下が太平洋戦争の激戦地パラオ諸島を訪問されるとのことで、パラオなど南洋諸島が注目を集めています。

そこで、歴史的視点から見てみることにします。

誤解しやすいのですが、パラオなど南洋諸島は太平洋戦争初期の真珠湾攻撃以降の日本海軍快進撃時に占領したのではなく、ドイツ領だったのが、第1次世界大戦で日本が英仏など連合国軍側で参戦した結果、占領し、当時の国際連盟の委託のもと、統治していた、ということです。

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それゆえ、振り返るには第1次世界大戦前まで、さかのぼることになります。

グローバル社会の基本は植民地政策に?


日本と日英同盟を締結することにより、日露戦争(1904〜1905年)の日本の勝利につながります。

ここで、アジアにおけるロシアの脅威がなくなると、中東におけるドイツの進出を、ロシアと協力して食い止めるべく、英露協商を1907年に締結します

1882年にドイツ・オーストリア・イタリアが3国同盟を締結にしていたのに、対抗する形で、1904年にロシアとフランスは露仏協商を結んでいたので、イギリス・フランス・ロシアがお互いにブリッジする形で3国協商が出来上がりました。

ただ、この3国同盟と3国協商が、1914年に第1次世界大戦を引き起こす、引き金にもなってしまうのですが。


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外交とは可能性の芸術である。状況が激しくうねる中で、一瞬のチャンスを捉えて可能性を追求する


第1次世界大戦では、セルビア人学生によるオーストリア皇太子暗殺事件が引き金となり、複雑な各国の同盟関係により、ヨーロッパ各国は戦争回避へと懸命の努力をしたのにもかかわらず、ヨーロッパを戦場をする大きな戦争になってしまいました


終戦の日を迎えて グローバル社会とパートナーシップ


「日英同盟」は、ロシア・バルチック艦隊が極東に向かう際に、イギリス巡洋艦が追尾し、途中寄港地での中立国の燃料、食料の中立違反諜報など、日露戦争における日本の勝利に大きく貢献しましたが、日露戦争における日本の勝利の結果、日英同盟の意味自体も薄れました

ただ、イギリスにとっても、ロシア太平洋艦隊消滅後、アジア地区を日本艦隊が受け持つことにより、自国艦隊をアジアから欧州に回すことにより、海軍経費を削減する、日本にとってもヨーロッパ列強との同盟ということで、第1次大戦まで継続されました

第1次大戦では、日本は駆逐艦を地中海戦線まで派遣するなど、貢献し、また、ドイツ植民地だった南洋諸島を得たり、中国山東省の権益を得る、その結果、日本は国際連盟の常任理事国となる、など、世界の一等国となり、フィリピンに植民地を持つアメリカと利害が対立するようになり、アメリカは日英同盟を妨害するようになります。

アメリカの思惑通りに1921年にアメリカ、イギリス、フランス、日本による「四カ国条約」が締結され、この条約の締結により日英同盟は「発展的解消」され、日本は国際的に孤立し、12年後の1933年には国際連盟を脱退し、後の日米対立、日英対立と太平洋戦争への布石となっていきます


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ここで第1次世界大戦に対する日本とアメリカの対応を振り返ります。

第一高等学校資料にみる日独交流史

に書いたように、

日本は、明治憲法をプロセイン憲法を手本とする、留学生を送り、法律、文学、科学、医学、技術などをドイツから学んできましたが、

日清戦争後の遼東半島の割譲をめぐる、フランス、ロシア、ドイツの三国干渉などにより、この時期にドイツの対する感情は、よいものではなく、

日英同盟によるイギリスの要請により、ヨーロッパ戦線への陸軍の派兵は固辞したものの、海軍は地中海に駆逐艦を派遣し、ドイツ潜水艦の掃海活動を行うとともに、

ドイツが保持していた山東省の租借地に派兵して、青島(チンタオ)を攻略、ドイツ領南洋諸島も海軍が制圧します。

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南洋群島

にあるように、ドイツ領南洋諸島では、到着した日本海軍の巡洋艦に対して、島の責任者が、戦争状態であることを知らずに、表敬訪問するなど、のんびりした対応で、戦闘もほとんどなく、占領します。

欧州戦線で手いっぱいのドイツが、中国、南洋諸島に援軍を派遣する余裕などあるはずもなく、日本は大きな犠牲を強いられることもなく、南洋諸島については、国際連盟の委託の下、統治することになります。

また、日本は国際連盟の常任理事国にもなり、一等国の仲間入りをします。

ただし、第一次世界大戦前後の流れ

によると、ヨーロッパ戦線への陸軍の派兵は固辞したため、戦車・機関銃・航空機・毒ガス等の新兵器を駆使し、特に、飛行機が縦横無尽に活躍し、全くそれまでの戦争方式を一変させていた近代戦争の最新方式から取り残されることにもなりました。

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一方、アメリカは当初、第1次世界大戦については、中立の立場をとっていました。

当時、ドイツは無制限潜水艦作戦という作戦をとっていました。これは、ドイツが認定する戦闘海域を船が通ったら中立国の船であろうが無警告で攻撃する、という作戦で、イギリス客船ルシタニア号が攻撃を受け、乗客であった128名のアメリカ人が犠牲になります。

第一次世界大戦 アメリカ参戦

その結果、ついにアメリカが英仏など連合国側で参戦することになり、膠着状態であった戦局は一気に動き出し、連合国側の勝利となります。

アメリカの大統領ウィルソンは、この第1次世界大戦のような悲劇を再び起こさないように、国際連携の設立を提唱するのですが、議会の承認が得られず、アメリカは国際連盟へ不参加、となります。

上記のように、日本は、南洋諸島については、国際連盟の委託の下、統治することになりましたが、ハワイを領土とし、フィリピンを植民地とするアメリカと、次第に利害が対立するようになります。

アメリカにしてみれば、国際連盟には参加していないので、これは承服しかねるものであったかもしれません。

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上記のように、アメリカの思惑通りに1921年にアメリカ、イギリス、フランス、日本による「四カ国条約」が締結され、この条約の締結により日英同盟は「発展的解消」され、日本は国際的に孤立し、12年後の1933年には国際連盟を脱退し、後の日米対立、日英対立と太平洋戦争への布石となっていきます。

世界的な大戦という状況の中で、アメリカという超大国が「中立」を維持する難しさ、「中立」が必ずしも自国の安全を保障するものではないこと、国際連盟という世界的な枠組みへのアメリカという超大国の不参加が国際的な利益を生み出すものではないこと、を示すものになっているのではないか、と考えます。

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南洋諸島パラオというと、今では有数のダイビングスポットで、太平洋戦争の激戦地であったことは多少知られていますが、

近現代史的にはこのように大きな流れ、背景があったことを知っておきたいものです。




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2015年04月06日

東大の入学式によせて

東京大学大学院入学式

という通知にあわせて、いつもこの季節に思う雑感を、繰り返しになりますが、掲載します。

東大の入学式によせて

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東大の入学式は安田講堂では?と思うかもしれませんが、日本武道館で行います。

安田講堂は最大でも1000人くらいしか入れません。もっとも今年は耐震改修のため、中に入れず、卒業式も安田講堂ではなく、有明コロシアムでおこなったのですが。

新入生は3000人いて、家族も参加しますから、とても入れません。

さて、東大の入学式は毎年家族からの出席希望が多く、大学側は会場の広さから新入生1人に対し関係者は2人までに制限している、そうです。

祝辞に立った建築家で特別栄誉教授の安藤忠雄さんが、新入生の人数を大幅に上回る父母らで埋まった客席を前に、「親離れをしてほしい」と新入生、父母双方に自立を促す一幕があった、そうです。

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数年(数十年?)に「TAK」さんが東大の入学式に出席した時、「TAK」さんの両親も来ました。

「TAK」さんは「小学校の入学式じゃ、あるまいし、来ないでくれ!」と言ったのですが、両親は「どうしても行く!」と譲りませんでした。

会場では、新入生の席と家族の席は分かれています。

「TAK」さんと両親は、結局、別々に日本武道館行き、会場で会うことも、写真を撮ることもなく、また、別々に帰ってきました。

でも、今から振り返ると、両親の東大の入学式への出席は、人生で何度も経験することが出来ない大きな「親孝行」だった、ことがわかりました。

親は、東大に合格した我が子の入学式に、一緒に行きたいんですよね。

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東大には、堅いことは言わず、参加したい親には、いつまでも参加させてほしいものです。

東大の入学式に両親の出席を断っている新入東大生は、できれば、両親に来てもらってください

今はわからなくても、後で振り返ると、じ〜んとくることが必ずあります

東大合格から、入学式、連休明け、くらいまでは、これもまた、人生で何度もない大きな頂上(ピーク)です。

じっくり味わってください!と言っても、あっという間に過ぎてしまうでしょうけれども。

履修科目、ゼミの決定、提出、サークルの新歓合宿など、スタートダッシュに乗り遅れないように。

タイミングを逸すると、ちょっとリカバーが大変です




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2015年04月01日

アーティストの表現と受け手の共感、想像

生物学史研究会「記憶の消去と再生の倫理――現代日本のポピュラーカルチャーをめぐって」

がありました。

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ここで参加者と興味深いやり取りがありました。


映像文化が普及してから、表現が豊かになった半面、言葉の表現がもたらす、想像は薄くなってしまった感がある。

記憶はアクセスされるたびに、書き換えられるが、人々の記憶の中で、どういう文化が形成されていくか?興味深い。

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人々が行う表現としては、小説、随筆など言語による表現、映画、ドラマなど映像、演劇による表現、音楽、美術など、様々な表現法があります。

すべてにおいて、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚などの五感に訴えるものです。

近代から現代にかけて、映画からテレビ、インターネットの普及につれて、映像技術が急激に進展、普及し、必ずしも専門家でなくても一般市民でも写真、動画などの映像を発信できるようになりました。

映像による描写は、わかりやすいのですが、反面、これまで、言葉の表現が、受け手にもたらしていた想像を薄くしてしまった感もあります。

一方で、言語だけでは伝わりづらかったものを、映像によって、ぐっと伝わりやすくなり、受け手に新たな想像をもたらすこともあります。

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楽しい読書、から、ゾクゾクする、人生に食い込む読書へ




小説には映像、音声がない分、それぞれの読者が独自のイメージを描いて、手触り、触感がある世界を生み出すことができます。

太宰治の小説に、自分の人生を掛け合わせたり、谷崎潤一郎の倒錯のエロスの世界に入り込む人も少なくない、と思います。


と書きました。

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谷崎潤一郎の「痴人の愛」、太宰治の「人間失格」などは、何度か映画化されましたが、小説の境地を見いだせることはなかった感があります。

谷崎潤一郎の「痴人の愛」では、それぞれの読者が抱く「ナオミ」のイメージと、実際に「ナオミ」を演じる女優が設定された段階で、違和感を感じてしまうことになったのでは、と思います。

庄司薫「赤頭巾ちゃん、気を付けて」、柴田翔「されど、われらが日々」など、自分の人生を掛け合わせて、共感しつつ読む小説では映画化がなじまなかったりします。

一方で、川端康成の「伊豆の踊子」は映画化された主演の吉永小百合、山口百恵、あるいは「さよならも言えず、泣いている」の三浦洸一の「踊子」の歌と共に楽しまれ、人々の記憶に残っています。

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アートとしてのセクシャリティーあるいはエロス





アダルトビデオ、セクシーグラビアを見るのは、「疑似セックス」です。

その女優、モデルを対象に、想像上のセックスをしています。

セックスをする時の興奮、その後の脱力感、ちょっとした倦怠感をもたらすことができてこそ、最高のアーティストかもしれません。


と書きました。

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自分と共感できるポイントを持ちつつ、そこから、新たな想像をもたらし、「別の自分」を体現できる、小説、映画、が求められている、そんなことを感じました。




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