2016年11月

2016年11月27日

東大駒場祭2016に行ってきました

毎年11月は学園祭のシーズンです。

学園祭は、サークルの模擬店、ミス・ミスターコンテスト、バンド・コーラスなどのミニコンサート、演劇、著名人の講演、など、盛りだくさんです。

特に、最近では著名人の講演が充実して、単独も有料で聴衆が集まる講演が、目白押しであったりします。

さて、東大では5月に本郷キャンパスで五月祭、11月に駒場キャンパスで駒場祭があります。

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駒場祭は毎年訪れていて、その様子は、

東大駒場祭に行ってきました

東大駒場祭2014に行ってきました

東大駒場祭2015に行ってきました

に書いてあります。

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五月祭と駒場祭、雰囲気は似ているのですが、違いをあげれば、五月祭はアカデミックな講演が多く、駒場祭は1、2年生が多いせいか、ミニコンサート、演劇など、若い1、2年生の活動が盛ん、という感じでしょうか。

講演が充実しているのもよいのですが、一つの講演に1時間から1時間半を費やすため、せっかくの学園祭の雰囲気を味わえなかったりします。

学園祭の醍醐味とは、参加している大学生の頃は、にぎやかな雰囲気の中で、サークルの友達と祭りの準備から、運営を行い、一体感を味わうこと、さらには、オープンな場ですから、他大学の女子学生と友達になる場、だったりします。

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教養学部の駒場から本郷キャンパスへ、移ると駒場祭から足が遠のいたりします。特に大学院に進むと、つながりのあるサークルがある場合を除いて、行かなくなります。

「もう、そんな子供じみたこと、やってられるか」と言いながら、キラキラした1、2年生が羨ましかったりします。

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五月祭では講演をハシゴしましたが、駒場祭ではイベントを中心に回ります。

物凄い混雑の駒場東大駅をぬけて東大駒場キャンパスへ

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若い学生さんだけではなく、親の世代も目立ちます。

実はここ数年、親の世代、あるいはもう少し若い30、40代の参加者が増えてきました。

「親の世代」の方々のお話を聞くと、「子供が出店しているので、来てみました」

ということですが、子供は「だし」「言い訳」ではないか、と

実は、大人にとっては、学園祭は遠いあの日の自分を、若い学生さんたちに姿を通して、見つけたいイベントなのかもしれません。

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一昨年、駒場祭の【東大娘。'14】から、いただいたメッセージが好きなので、再掲します。


三つ編みをほどいて、メイクを落として、もう火金の朝にKOMCEE行っても誰もいないんだと思うと寂しくなりました。

いちょうステージでの最後の公演が終わりました

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来て下さった方も,行けないけど頑張ってねって言ってくれた方,ダンスも歌も初心者のわたしと一緒にやってくれて色々教えてくれたメンバーや支えてくれたスタッフのみんなありがとう(^^)

みんな羨ましいぐらい可愛くてかっこよかった!

もっと上手くなりたいって気持ちもあるけど,とりあえずラストティーンのうちに,ステージに立つという夢が叶ってよかった

ずーっとこれがやりたいって恥ずかしがらずに言い続けて,その時々にできることを地道にやってれば、応援してくれる人や協力してくれる人に出会えることもあるのかな





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2016年11月25日

生物多様性学の最前線

国際生物学賞記念シンポジウム「生物多様性学の最前線」

という案内が来ました。

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生命科学は大型・高速コンピューターにより、ゲノム解析が可能になってから、その進歩が著しく、最近でも

生命科学、バイオテクノロジーを駆使する農学の今後の展望

生命とは何かの普遍性に挑む、理論物理と構成的実験からのアプローチ

地球と生命の謎 〜生命の起源はどこまでわかったのか?

などに書いてきました。

今日は、このシンポジウムの中で、興味深かった

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「生き物たちの細やかな適応と種多様性維持の切っても切れない関係」

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「菌類・微生物の「超」多様性をひも解き、地球の未来を考える」

を中心にまとめていきたいと思います。

ただ、「TAK」さんの専門外に加えて、配布資料がなかったので、上記の講師の先生方のサイトを参照しつつ、書いていきます。

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「生き物たちの細やかな適応と種多様性維持の切っても切れない関係」

人工物のデザインを生命の進化から学ぶ




進化論はダーウィンが『種の起源』(1859年)で、「生き物は変化していく」と書きました。

その変化は「生存競争」と「自然淘汰」の中で徐々に起こります。

さて、「生存競争」「自然淘汰」は「適者生存」と、しばしば混同されます。

「適者生存」とはイギリスの哲学者ハーバート・スペンサーが著書『社会進化論』のなかで使った言葉です。

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ダーウィン進化論に生じる誤解


スペンサーの適者生存は先ほどの資本主義の話と同じで、梯子のてっぺんを目指していくための勝ち残り競争が前提となっています。

対してダーウィンが唱えた「自然淘汰」は、環境に適応しているか否かが生存と繁殖にかかわるということです。


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当初は、標本などの似た部位を分類することにより、進化の系図をつくっていましたが、最近ではDNA分析により、進化の系図を進めます。

すると、以前考えられていた進化とは、異なる進化であることがわかったりしています。


ダーウィンの進化論は150年前に提唱されたものですが、上記のように、社会科学にも適用されるうちに、意味が変容、曲解されたり、あるいは、その後の研究で、当初はよくわからなかったことが明らかになってきたりしました。

当初の説では、自然の環境変化に対して、生物種は適応努力をするけれど、それは限定的で、結局は、自然の変化に対応できる生物種だけが淘汰されていく、という考え方でした。

生物種は環境変化に対する適応を、世代をまたいで数千年、数万年の時間をかけて行う、というものでしょうか。

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ところが、最近の研究では、同じ遺伝子のセットでも、環境が異なると、異なる生体発達をし、進化は数世代にわたり、数千、数万年かかるものだけでなく、一つの世代、個体で数週間、数年で行われるものもある、ことがわかってきました。

環境が変化すると、細やかな対応ができるのが生物の特徴です。

生物が環境にどのように働きかけるのか?相手がどのように対応するのか?

生物多様性の状態とは、生物と自然のフィードバックの状態を反映しています。

単純な生態系では、病害虫の発生により、大打撃がありますが、多様な生態系では、被害はある程度で食い止められるそうです。


「菌類・微生物の「超」多様性をひも解き、地球の未来を考える」

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医学上の大発見が、

抗生物質の発見

でしょうか。

ペニシリン、ストレプトマイシン、カナマイシンなどの抗生物質は、人類にとって強大な脅威だった感染症──コレラ、赤痢、破傷風、結核、食中毒など──に優れた効果を示しました。

この菌、微生物は、生態系にとっても重要な役割を果たしていることが、近年明らかになってきました。

陸上植物は真菌類と共生しています。菌、微生物が住む土壌の生態系は、未知の地下生態系と言われます。

それゆえ、土壌を劣化させた文明は、食料を生産できなくなり、崩壊します。

植物と真菌の関係は、真菌が植物に窒素、リンなどの肥料を提供し、植物が光合成により、糖を提供する、という関係です。

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さて、生態系の中で、多様な植物と真菌が複雑なネットワークを形成しているのですが、真菌の中に、「仲良しグループ」があり、さらには、「仲良しグループ」の中に、「まとめ役」がいるようなのです。

北海道、本州、沖縄の生態系では、そこにいる真菌類も異なるのですが、「まとめ役」の真菌類は、どこにでもいたりします。

また、「先住者効果」といって、先に入った菌が、後から入って来ようとする菌を阻む、こともあるそうです。


今後も生命科学の進展が楽しみです。





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2016年11月22日

専門家の哲学と街の哲学

宇宙と思想をデザインする

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専門家の哲学と街の哲学

という話が出ました。

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専門を深化する工学と俯瞰し、つなげる人文・社会科学




工学が、個々の専門の技術を深化させる

その進化した個々の技術を、

社会的なニーズに基づいてつなげるのが、経済、社会、法学などの社会科学

自分の中で、ある考えに基づいて、再構築するのが哲学などの人文科学


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「科学と哲学と社会」をめぐる哲学対話




デザインはモノ、形、人工物から、サービス、計画など、人間中心に価値を生み出すものへと、「デザインの哲学」は大きく広がっていきました。

では、「哲学のデザイン」は言うと、深く進展はしているが、狭い領域にとどまっている感がします。

あらゆる物事のおおもとに哲学を適用していくと、面白い展開がありそうです。

これは哲学の専門家よりも、他分野の人々が哲学を学んで普及していきそうな予感がしました。


と書きました。

学問をするにも、ビジネスを行うにも哲学が必要です。つまり、哲学は専門家だけが行うものではなく、すべての人に不可欠なものです。

工学、技術経営(MOT)が専門の「TAK」さんは哲学の専門家とお話しする機会は、それほど多くありませんが、それでも少しあります。

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哲学の専門家の方から

「工学って、いいですよね。社会に直接働きかけて、変革することもできて」

「工学の底流にあるのは哲学、多くの物事のおおもとは哲学だ、ということはわかるんです。でも、社会への直接の働きかけが難しくて、歯がゆいんです。」

などと伺ったこともあります。

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ただ、専門外の「TAK」さんがお話ししていると違和感を感じることがあります。

哲学の専門家は、あるテーマについて、「自分はどう考える」ということが大切、と考えます。

複数の方々が、「これについては、こう考えられる」「すなわち、こういうことである」「したがって、こうである」のように、自分の考えに従って話されます。

理工系であれば、実際の現象、科学的データ、など、エビデンスをベースに、自分の考えを展開します。

法学であれば法的根拠、経済、社会でも実際の経済、社会現象など、同様に、エビデンスをベースに、自分の考えを展開します。

ところが、哲学、芸術など人文科学の方々の議論の展開には、このエビデンスがなくて、あくまでも自分の考えをベースに展開される方が多いように感じます。

例えば、人工知能などに話が及ぶ場合、現在の人工知能と、哲学者の方の人工知能についての考えに乖離がある場合があります。

すると、その乖離がチェックされずに、議論が展開されてしまいます。

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「科学と哲学と社会」をめぐる哲学対話




かつては、科学と哲学は、一体となって明確な区別はありませんでした。

近代になって、装置の発達などにより、科学においては観察的手法が主流となり、哲学から分離していき、現在では、むしろ対極にあるような印象を受けます。

これは、日本の哲学事情に問題がある気もします。

日本の哲学は、哲学自体を扱うよりも、むしろ、ソクラテス、プラトン、アリストテレス、ヘーゲル、カントなど、

古代から中世、近世の西洋哲学を紹介する段階にとどまり、それらを踏まえた、独自の哲学的思考の展開は、いまひとつ、の感があります。

実は哲学は科学を進める基本であり、原動力でもあるのではないでしょうか?


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「デザインの哲学」と「哲学のデザイン」深めて、広めるコラボ


・人文科学の源泉としての哲学を、紙面上で言語で表現される思考ではなく、身体を媒介して現場に適用できるものに。人文科学とはカッコつきの「教養」ではなく、学問、研究を深い次元で結びつけるもの。学問は人と人の付き合いだから長く継続する。組織同士の付き合いだと変化で消滅する。

・哲学は現場には役に立たない、紙面上の観念的なものだけではない。高度な思考は紙面上でなければ展開できないが。コンセプトだけではなく、現場に結びつくもの、身体を媒介して実行する。

・思考が育つ場所、哲学は自分一人だけでなく、他者と対話して築いていく。他者の存在が不可欠。

・相手の言うことを単に認めるのではなく、批判するのでもなく、対話により、思いがけない価値を築いていく。

・組織に頼らない、人と人とのつながりで始まる。組織の付き合いは変化で消滅するが、人と人の付き合いは、1回こっきりではなく、長続きする。 

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・人文科学を「」付きの「勉強」「教養」にしてしまってはいけない。現場から遊離してしまっては、意味がない。

・異なる言語間でどれだけ対話が成立し得るか?文化的背景をどれだけ踏まえることができるか?

・学問は自由に行うだけではなく、時として、望まないものを強制的に学ぶことから、あたらしいものが生まれる。「自分の専門ではないから」と枠の中に閉じこもっていては、勉強にならない。

・身体のリズムがコミュニケーションの源泉、教育は場、身体、リズムが作る。

・人はどう生きるべきか?倫理は問い続けなければならない。

・「現場へ行く」という言い方。「現場」は自分とは離れた場所、通常関わることはないが、ある時だけ関わるというニュアンス。実際には、自分がいつも関わっている「現場」がある。

・ビジネス最前線の「現場」とアカデミアの「大学」の「ずれ」(視点、立場)が有効だったりする。

・学問、ビジネス、生活はお互いの境界を侵さないように行われてきた。今後は、境界を超えていくことにより、あたらしい価値を創っていく。ただし、衝突は避けられない。

・現場が「対象」で、研究者が表現するのではなく、現場の当事者が自ら表現する場をつくる 

・哲学は哲学者ごとに異なる。正解は全くない。 

・「場」は自然にはできない。意識しなければ作れないし、維持するにはパワー、労力が必要 


と書きました。

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科学は真理はひとつで、誰かひとりが発見すればよかったりします。他の人々は、その真理を活用できます。

一方で、哲学は各自がそれぞれで理解、納得して、それぞれの手法で活用することになります。

「TAK」さんは、専門家の哲学はわかりませんが、エビデンスをベースに展開する、街の哲学、は結構いいものではないか、と考えます。




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2016年11月20日

慶應義塾大学SFCオープン・リサーチ・フォーラム2016に行ってきました

慶應義塾大学SFCオープン・リサーチ・フォーラム2016

という案内が来ました。

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社会で生まれる問題にたいして、SFCでは常に新たな知が孵っています。

その知を社会へ還し、知の力が社会を変えることで、そこにまた新たな問題が生まれ、次の新たな知が孵る。

この切れ目ない創発の力を持続するために、SFC自体も常に変化しています。社会とキャンパスの共進化を皆様にご覧いただき、より高いレベルの「かえる」を実現します。

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ここ2年ほどこのオープン・リサーチ・フォーラムには、参加しており、その様子は、

慶應義塾大学SFCオープン・リサーチ・フォーラム2015に行ってきました

慶應義塾大学SFCオープン・リサーチ・フォーラムに行ってきました

に書いています。

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(1)大学のキャンパスではなく、東京ミッドタウンのオープンホールで開催

慶應義塾大学SFCがある湘南藤沢キャンパスまで行くのは遠いのですが、六本木の東京ミッドタウンで開催します。

また、大学での開催では、基本的に研究室ごとに行うので、参加者は各研究室に入っていくことになるのですが、

ここではオープンホールに各研究室のブースがオープンな形で設置されます。研究室の入っていくのではなく、各研究室がオープンにさらされます。

各研究室にこもってしまうのではなく、オープンな場に研究ブース、説明員を配置する、という、場のデザインは、この場には適しています。

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(2)テーマが人文・社会科学から工学、医学まで幅広い

テーマが専門的なものばかりで、自分がなじみのないものが並ぶと、なかなか入っていけません。

でも、このオープン・リサーチ・フォーラムでは、テーマが人文・社会科学から工学、医学まで幅広く、

かつ、専門的に掘り下げるだけでなく、社会に適用するものが多いので、関心を持つテーマが必ずいくつかあります。

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(3)講演もあるのだけれど、研究ブースを回る方が面白い

このオープン・リサーチ・フォーラムでは、竹中平蔵先生らの講演、パネルディスカッションがあります。

以前は、

キャリア支援の現場から「40歳定年」を考える

など講演に参加して、有意義なお話を伺いました。

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ただ、このオープン・リサーチ・フォーラムでは、上に書いたように、各ブースを回って学生さんたちの説明を伺うことができます。

若い研究者と直接対話しながら、いろいろな最先端のテーマを見る方がずっと楽しそうです

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さて、最初にこのオープン・リサーチ・フォーラムに参加したのが6年前の2008年です。

その時の参加記

異分野の融合ではなく衝突?


私たちは、「極端なるもの(エクストリーム)」を目指すことを宣言した。

私たちは、「極端なるもの」がぶつかり合うことによって、何が生まれるか…という実験を試みたい。

異分野同志は通常は交わり合うこともないのかもしれない。

もし、交わり合うことがあるとして、いきなり融合するのではなく、まずは激しく「衝突」するのではないか?

激しく衝突して、砕け散り、一部は消え去り、一部は再度衝突して、ある部分で融合が起きるかもしれない。

衝突によって、消えゆくものは何か。残るものは何か。衝突という創造行為をつうじて、私たちは、「破片」と「部品」を見極めるのだ。

この実験で、私たちは、いま一度、みずからの能力や可能性を知ることになる。変化の激しい時代を生き抜くための、逞しさと繊細さを獲得するために、これは、避けることのできない衝突である

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この文章を読みながら、考えました。

私たちは知らず知らずに「衝突」を避けてきたし、避けているのかもしれません。

無用な衝突はエネルギーのムダ、養老猛氏の「バカの壁」ではないけれど、言ってもわからない人間に言っても仕方ない、と。

これは、おおむね当たっているのでは、と思います。

世の中には二人として同じ人間はいないのだから、考えは人毎に異なります。

その異なる部分について、いちいち衝突していたら、とても生活していけません。

むしろ、その中から、わかりあえる部分、共通している部分を見つけていく、作業をしているのでしょう。

でも、時として、思いっきり衝突したって、いいんではないか?

衝突から、新しい何かが、生み出されるかもしれない?


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この頃の異分野が激しく「衝突」するフェーズは過ぎて、「融合」から新しい価値を生み出し、それを社会に実装し、さらにフィードバックをもらうフェーズに推移してきたのかもしれません。

「最先端の研究」と書きましたが、「技術的に最先端の尖った研究」というよりも、「研究を社会に実装する最先端」という感がしました。

衝突によるエネルギーのロスは少なくなるけれど、予定調和で小さくまとまってしまうリスクもあります。

これを打開しようとしたのが、従来型の「見る」「聞く」から、身体を介在させた「創る」「体験する」への発展かもしれません。

今後の展開が楽しみです。




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2016年11月19日

東京大学制作展「FAKE FUTURE」ありえない未来を考えることで本質を見出す

東京大学制作展「FAKE FUTURE」

という案内が来ました。

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我々の創造/想像する未来は、ありうるのかありえないのかという問いかけです。

学生ひとりひとりが限界まで考え抜いて表現した「ありえない未来」が皆さんをお待ちしています。みなさま是非お楽しみに。


東大生が「ありえない未来」を発想する「制作展」


最先端の技術はものすごいスピードで進んでいる。

「それらの技術や概念が、ものすごい極端に進歩した未来はこう変わる」という「スペキュラティブな世界観」を提示するのが今回の制作展のコンセプトである「FAKE FUTURE」なんですね。

一見ありえない未来だけど、そのありえない未来にこそ、本質が見えてくるんじゃないか。

「ありえない未来を考えることで本質を見出す」


インターネット、スマートフォーンなど、今では当たり前の技術も、1990年代前半には思いもつかなかった世界です。

今は、まだ先端技術である人工知能、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)が、生活の一部になる時代も、もうそこまで来ている、かもしれません。

「ありえない未来」にこそ、未来の本質のヒントが隠れているのかもしれません。

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東京大学制作展の様子は、

東京大学制作展「補序線」に行ってきました

東京大学制作展「わたしエクステンション」に行ってきました

に書いたのですが、

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石器からiPhoneにいたるまで、古今東西の技術は、「わたし」を拡張してきました。

時代が進むにつれて、わたしにできることはどんどん広がっていきます。

今や、電話やネットのおかげで遠くの人にもわたしの声や思いは届き、Googleマップによってわたしの土地勘は世界の隅々にまで及びます。

技術に媒介されることで、わたしや社会そのものがますます便利に、自由に、広がっていくのです。

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一方で、拡大とともにその境界は曖昧になっています。

「ネットの声」と紹介された「わたし」のつぶやき、Amazonに薦められて買った「わたしの欲しいもの」、「わたし」の代わりに会議に「出席」してくれるロボット…。

一体、どこまでを「わたし」と認めればよいのでしょうか。

「自分」という言葉があります。 自らを分けると書いて、自分。

制作展では「わたしエクステンション」というテーマを通じて、「自分」つまり、わたしと社会とそれらを拡張させていくさまざまな技術との境界について問うてみたいと思います。


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「映像の世紀」から「魔法の世紀」へ

にも書いたのですが、

視覚、聴覚、触覚あるいは記憶について、

目で見る、耳で聞く、手、身体で触れる、脳で記憶する、だけでなく、

人間のあらゆる感覚に、コンピューターが深くかかわるようになりました。

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目に止まらぬ、瞬時の動きを、スローモーションで観察する、3次元の映像を体験する、ノイズを除去し、リミックスした音楽を聴く、

参加したイベントについて、Instagram、Facebookに掲載された写真をもとに、記憶を修正しながら、再構築していく、などなど

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すると、コンピューターは人間のツール、道具ではなく、

既に、拡張された人間の機能の一部となっている。

そして、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)で体験したこと、と、実際の生活で体験したことの「境界」はあいまいになり、

すでに、その区別はつかなくなりつつ、あるのかもしれません。


今回展示された「あり得ない未来」は今後どうなるのか?楽しみです。



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2016年11月15日

人工知能「東ロボくん」、東大合格を断念、に寄せて

「東ロボくん」、東大合格を断念 苦手科目を克服できず

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今年は昨年に引き続き、ベネッセコーポレーションの「進研模試」を受験。5教科8科目の合計得点は525点で、偏差値57・1。昨年に比べ、得点は微増したが、偏差値は0・7下がり、東大合格レベルには達しなかった。

科目別の偏差値をみると、世界史Bが66・3、物理が59と比較的、好成績だった。それに対し、英語(リスニング)が36・2、国語(現代文+古文)が49・7と伸び悩んだ。

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AIが東大に入る日が来たら 「東ロボくん」挑戦の意味

東ロボくんは今年ついに、関東ならばMARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)、関西ならば関関同立(関西、関西学院、同志社、立命館)と呼ばれる難関私大に合格可能性80%以上という成績を達成した。だが、東京大学には遠く及ばなかった。

深層学習を含む現状の技術の延長線上では、AIが東京大学に合格する日は永遠に来ないだろう。

AIには弱点がある。それは彼らが「まるで意味がわかっていない」ということだ。

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「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトでぶつかった「ある疑問」

東ロボは、問題を解き、正解も出すが、読んで理解しているわけではない。

現段階のAIにとって、文章の意味を理解することは、不可能に近い。

AIが不得意なのは「推論」「イメージ」「具体例」の3分野。

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これについて考えると、

人工知能開発の課題が明確になったことに加え、

MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)、関関同立(関西、関西学院、同志社、立命館)などの入試が知識検索型の人工知能が代替可能なものであるのに対し、

東大入試は、問題の背景、意味を俯瞰しなければ対応ができない、ことも示す結果となりました。

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人工頭脳プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」

の進捗状況については、

人の仕事が人工知能に置き換わる、よりは、人と人工知能のコラボにより、できることが急激に拡大する




数理的な分析や最適化技術をはじめ、数学の様々な問題を正確に解くために必要となる計算技術を深化させ、現実世界の問題解決のために求められる高度な数理解析が自動化されることを目指し、文系理系とも受験者中、偏差値約60まで進んでいたりします

人工知能:気象予報など、データのパターンからの予測は得意。人間の行動、感情が入らない自然現象は比較的予測が簡単。

機械学習、データを制したものが勝つ、グーグルなどが圧倒的に優位

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人工知能が克服すべきこと

・分野横断による総合的知的タスク挑戦(シングルタスクではなく、多様な統合的知的タスクをターゲットにする)

・ロジックと統計手法の現代的ハイブリッド(ビッグデータが集まり得ない分野がたくさんある。分類問題では説明できない課題はたくさんある。これらの分野に機械学習は手も足も出ない)

人工知能により、ホワイトカラーの仕事は変わらざるを得ない。人の仕事がロボットに置き換わる、というよりは、人とロボットのコラボにより、できることが急激に拡大する。

2011年、IBMの人工知能ワトソン、Wikipedia等を使用することが前提、固有名詞しかこと得られない、シングルタスク、その固有名詞も人工知能にとっては、意味をなさない、単なる記号列、しかも正答率は100%ではなく69%

人工知能にとって、数学を解くソフトウェアは意味がない、問題を機械が理解できるランゲージに翻訳できるか?がポイント

総合的知的タスク、例えば、人工知能が要旨要約をどれくらいできるか?


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人工知能のこれからについては、

人工知能への情報理工学の取り組み

シンギュラリティー・人工知能から超知能へ




ロボット、人工知能は、大きな出力、繰り返し作業は得意だが、

・「巧みの細かい作業はできない」とされていましたが、今では3Dプリンターで製作

・「1か所の判断はできても、複数、大局の判断ができないので、将棋、チェスは初級レベル」だったはずが、名人、世界チャンピオンを破る

・「瞬時、とっさの判断は難しいので、自動車の運転アドはできない」とされていましたが、自動運転は実用段階

と、人間しかできない、人間の方が得意、とされていた分野で人工知能が上回っています。


人が判断するのではなく、コンピューターが判断する社会は間違いなく、進んでいきます。

人は、どうしても、表面に見える情報をもとに、過去にうまくいったパターン、自分が知っているパターン、「直感」で解こうとします。

一方、コンピューターはデータをもとに、高速大量演算を行い、その結果を示します。

「そもそもソフトウェアは人間が作成したものなのだから、人間の知恵を超えるものではない」と思われるのですが、

人間が設定したルールを、1秒間に数万回、演算、検索すると、人間にはもやは予測不能な結果がもたらされます。

加えて、上記のように、人間は試行錯誤、表面に見える情報をもとに、過去にうまくいったパターン、自分が知っているパターン、「直感」で解こうとしますが、

コンピューターは、瞬時にすべてのパターンを検索します。

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人工知能、ロボット、コンピューターは人間の感情、感覚などは、これまで「扱うことができない」「計測できない」「ブラックボックス」とされていました。

ところが、人間の感情、感覚が計測できる、そしてコントロールできるようになれば、大きく、深く、人間に踏み込んできて、人間の生活、行動が大きく変わってくる、ことになりそうです。

カメラ付きのメガネで視線が追ったもの、食べたものをを自動的に記録する、簡単なイア・センサーで聞いた音、話したことを録音する、など、センサーデータをリアルタイムで処理しながらのSFのような生活がすぐそこまで来ています。

「人間が人工知能に取って代わられて、やることがなくなる」「人間が人工知能と競争する」よりも、人間は人工知能が得意なことを利用、活用して、「人間が人工知能と協奏する、協創する」時代が訪れる、と考えています。

どんな時代が来るか?予測するよりも、時代を協奏、協創していくことになりそうです。


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コンピュータと「巨大頭脳」


1940〜50年代にリレー式、真空管式など大型コンピューターが出現し、人が行っていた大量の計算を瞬時で行うようになりました。

これまで、大勢の人が数か月かかっていた複雑な計算を瞬時に行ってしまうこと自体、当時劇的だったのですが、コンピューターは情報を処理し、計算し、結論を出し、選択することができるのだから、自ら考えることができる、という考えが出てきて、1956年には人工知能という言葉が生まれます。

最近、話題の人工知能ですが、生まれは1956年とかなり古いものです。


当初は、コンピューターは人間が作ったプログラムで、与えたデータを大量高速に処理するだけ、という見方が大勢でしたが、「論理的仕事」「知的労働」はコンピューターに向いているのでは、という考えもありました。

「人工知能」は、人の職業を奪うのでは、と言われますが、実際に、そろばん、計算尺で仕事をしていた大量の人々は、その職を失い、コンピューターに置き換わりました。

しかし、コンピューターを恨む声はあまり聞こえません。

それよりも、コンピューターのおかげで、上記の大量高速計算のように、これまで人間では、とてもできなかったことが可能になり、その結果、人間ができることが飛躍的に大きく広がりました。


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社会、時代の流れ、コンピューター、ICTの進歩と学問の手法の進化


20世紀後半のコンピューターの発達により、大量の計算が瞬時に行えるようになり、演繹的な「一般原理による個別問題の解法」が爆発的に進んだのですが、

インターネットの時代になり、データベースも充実し、大量高速に検索、照合し、間違いを学習するようになると、「一般原理による個別問題の解法」よりも、

大量の事例データを検索、照合し、法則・結論を導き出す帰納的手法に移ってきた感がします。


コンピューターは、大量高速に検索、照合し、間違いを学習するが、「まるで意味がわかっていない」ことが示されました。

問題の俯瞰、ストーリー、意味づけが得意な人間と、大量高速に検索、照合することが得意なコンピューターのコラボレーションの道筋が見えてきました。



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2016年11月13日

生命科学、バイオテクノロジーを駆使する農学の今後の展望

東大農学部公開セミナー「農学における芸」

という案内がきました。

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かつて農学は工学、理学、医学に比べて脇役だった感がありますが、生命科学、バイオテクノロジーを駆使し、医療、食料、環境など人々の生活全般を急速に進化させる学問に変貌しつつあります。

自然の摂理をより正しく理解し、人類により有効に活用できるように、自然と人間のインターフェースを務める学問と考えられます。

その、自然と人間のインターフェースの役割が当初は食料が中心だったのですが、その範囲が上記のように、医療、環境など急速に広がっています。

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太古の昔から食料の安定供給は人々の切なる願いでした。

この辺の事情は、

高度食料生産業への農業イノベーションは生産だけでなく、流通、消費も巻き込み多彩

「農業」は「高度食料生産業」に急速に移行中


弥生時代に大陸から稲作が導入されて以来、米作が日本の産業の基幹でした。

これにより、水田をつくり、定住が可能になり、毎年の収穫高の予測が可能になり、計画経済社会へ移行します。

ただ、この農業従事者を苦しめたのが、ひでり、大雨、冷夏などの異常気象です。

異常気象と言うと、地球温暖化の影響のように言われますが、実は大昔からあって、その頃の方がずっと深刻でした。

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コメの収穫が少ないと、当然、価格が上昇し、米騒動、打ち壊し、などの社会不安もありました。

江戸時代には、青木昆陽が琉球、長崎を経て伝わった甘藷(サツマイモ)の試作に成功して、飢饉にあえいでいた農民を救ったり、明治以降も、主に東北地方の稲の冷害対策として、陸羽132号、藤坂5号など、冷害に強い稲が開発されました。



医食農イノベーション、植物工場、機能性食材ビジネスなどの可能性


農業のこれまでの取り組みは、日照り、大雨、冷夏などの気象条件との戦いでした。

オランダは九州ほどの面積しかないのですが、アメリカに次ぐ農産物生産量を誇っています。

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気温、降水量、日照時間など自然条件に左右される、これまでの農業から、味がよく、生産量が高い条件を人工的に再現して制御することにより、安定的に、質が良い、農産物を、大量に収穫することができるようになります。

さて、「食」は生活の重要な基本でありながら、イノベーションは、ゆるやかにしか進んできませんでした。ただ、逆に今後大きな可能性がある、ということでもあります。

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人々は早い時期から「火」を使って、煮る、焼く、炊く、などの調理行為を行ってきました。

ただ、肉、魚、などの生鮮食料品を家庭で保存できるようになったのは、昭和30年代の冷蔵庫の普及からです。

それまでは、肉、魚、などを長期に保存するには、煮干し、鰹節など、乾燥させていました。

家庭で、冷蔵、解凍できるようになってから、生産、流通にも劇的な変化が起こっています。


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米、太古よりずっと耕作地が足りず、開拓、干拓などにより、耕作地を増やしてきたが、1970年代以降は、耕作、生産技術の進歩により、生産量が増加し、仮に全農家が米を作ると、膨大な生産過剰になり、価格が崩壊するので、減反(一方で、税金による所得補償)による価格維持、対海外では700%の関税による流入防止、など産業としては矛盾をはらんでいる

20世紀後半から食料は生産力が過剰、余っているのではない、生産調整。


食料の安定供給という、人類の長年の悲願は、20世紀後半に取りあえず達成されましたが、

その頃には人類の課題は、食料だけでなく、医療、環境など多様化していました。

その多様化した、人類の課題に、農学が中心に培ってきた、生命科学、バイオテクノロジーが極めて有効なことがわかってきました。

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過去の東大農学部公開セミナー(全50回 第28回から要旨集ダウンロード可能)

を見ると、 「バイオサイエンスの世界は広がる」「エコサイエンスの世界は拓く」「ケミカルコミュニケーション‐ふしぎな生物通信の世界‐」「微生物の大きな働き‐バイオテクノロジーの基盤‐」のように

そのテーマは人類の生活環境全般の多岐にわたっていることがわかります。

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今日は個別のテーマについては、踏み込みませんが、生命科学、バイオテクノロジーを駆使する農学の今後の展望について、考えてみました。








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2016年11月10日

博多駅前の大規模道路陥没について

博多駅前の道路陥没

福岡市博多区のJR博多駅前の道路が縦横およそ30メートルにわたって陥没し、付近の3つのビルに避難勧告が出ているほか、一部で断水などの影響が続いています。

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軟弱な地層、市の対策甘く 博多陥没、過去2度同様事故

福岡市の地下鉄工事現場で発生した陥没事故、同じ地下鉄工事で過去にも2度、同様の事故が起きており、市は再発防止を誓っていた。

専門家からは、軟弱な地層への対策の甘さを指摘する声があがっている。

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トンネルの掘削法には主に、周囲を補強しながら硬い岩盤を掘り進む「ナトム工法」、軟らかい地層に円筒形の掘削機を押し込んで壁面を固めながら掘り進む「シールド工法」、地表から直接掘り進める「開削工法」がある。

ナトム工法の費用はシールド工法の半分以下とされる。現場では深さ約25メートルの岩盤層をナトム工法で掘り進んでいた。

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都市の地下空間は、地下鉄、地下街などが巡らされています。

浅い地下であれば、開削工法が取られますが、利用する地下空間が密集し、深くなっていくため、「シールド工法」「ナトム工法」が採用されることになります。

なんらかの原因で、トンネルに穴が開くと、周囲の土砂が流入し、その量が多くなると、今回のように陥没するおそれがあります。

今回の事故原因はまだ不明ですが、「TAK」さんの推測では、上記の通り、「なんらかの原因で、トンネルに穴が開き、周囲の土砂が流入した」と考えます。

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周辺のビルは、支持杭がむき出しになっていますが、地盤による支持が一時的にせよなくなったので、何らかの影響が避けられないのでは、と考えます。

これだけ大規模な陥没にもかかわらず、被害がほとんど出なかったのは、迅速な対応が指摘されています。

賞賛の声が続々。「博多陥没」の舞台ウラがスゴかった

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さて、工事中ならば、何らかの注意もするのですが、上記のように都市の地下空間は、地下鉄、地下街などが巡らされています。

地下の中は、どうなっているのか?知ることは難しいのですが、

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モノの内部を探査し、可視化する技術

に書いた


人だけでなく、モノ、景色、地中など、直接見ることができない内部を見たいのですが、最も重要でニーズが高いものが、人体であり、医療機器から開発が始まります。

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CT、MRIなども、当初は人間の脳を対象にした、高価な装置だったものが、技術の発達、普及により、価格が低下し、人間の脳以外にも対象が広がり、また、固定式ではなく、ポータブルで持ち運びが可能な装置が開発され、さらに用途が広がり、その結果、さらに価格が低下し、用途が広がる、という現象が起きています。

分解能、移動性、軽量化など、センシング技術の進歩により、かつては検知、計測できなかったものが、可能になっています。

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上に書いたように、最も重要性が高い人体で利用された非接触、非掘削、非侵略の内部探査技術が、他の分野、領域でも活用されるようになっていきます。

建造物の不同沈下について

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に書いた、地中に埋め込まれた杭、


熊本地震について、元・耐震技術者の視点から

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に書いた活断層

など、内部探査技術が、まだまだ不十分な領域にも、やがて活用される時代が来ることを期待します。











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2016年11月08日

社会と大学との協創によるオープンイノベーション

社会と大学との協創によるオープンイノベーション

という案内が来ました。

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「TAK」さんは産学官プロデューサーであり、ブログでも産学連携、オープンイノベーションをテーマに書いてきていたのですが、

これらの考え方が既に社会に定着し、最近は少し遠ざかっていたのですが、これまでの歩みをまとめてみます。

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オープン・イノベーション時代における産学連携


これまでの産学連携は

・企業が広範囲な研究を行う中央研究所を廃止し、自社製品に特化した研究開発を行うようになった

・社会の変化が急激で一社単独では研究開発のカバーが難しくなった

などの事情を背景に、大学の研究シーズと企業の商品ニーズをマッチングさせる、のが基本でした。

大学の研究シーズは、利用されぬまま、埋もれているものが多く、一方、企業側のニーズは比較的明確で、

産学連携とは研究成果を実用化するための「手段」でした

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ところが、ここ数年で産学連携の様相が変わってきました

「製品をデザインするのはとても難しい。多くの場合、人は形にして見せてもらうまで,自分は何が欲しいのかわからないものだ」

というスティーブ・ジョブスの言葉が示す通り、消費者自身が自らのニーズがよくわからない時代であり、企業もニーズが何なのか、よくわからなくなっています

イノベーションを起こしたくても、思考回路が凝り固まった自社企業内では、従来の発想領域を超えようがありません

オープン・イノベーションの時代においては、産学連携は単なる「研究成果を実用化するための手段」ではなく、

ニーズ探索、発想のオープン化も含めて、もっと幅広いものになってきました


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アメリカの産学連携と大学教育


アメリカの産学連携と大学教育」と言うと、スタンフォード大学とシリコンバレーのモデルがあげられ、日本にも導入したい、と考える人が多いのですが、その社会的背景を知っていた方がよさそうです。

アメリカの産学連携は、古くは軍事産業など歴史がありますが、本格化したのは、1980年にバイドール法が成立し、国の資金による研究であっても、大学が特許を取得できる、資産化できるようになってからです。

それ以前は大企業には中央研究所があり、中には、本業とは関係のない分野で、ノーベル賞級の研究をしていました。

これについては、渦中にいる時は、わからない歴史の重要性

に書いたのですが、

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1980年代に、大企業で中央研究所が様々な研究を行っていました。

その象徴的なものが、アメリカのAT&Tのベル研究所でしょうか?

直接、本来の通信業務とは関係ない分野で、ノーベル賞クラスの研究成果がいくつも出ていました。

ところが、その後、株主に対して、予算の執行とそれに対する成果の明示、説明が求められるようになり、このような「おおらかな研究環境」は姿を消します。

そして、技術開発の中心が、大企業の中央研究所から、シリコンバレーのベンチャーへと移っていきます。

この波は、日本へも伝わり、日本企業も中央研究所では基礎研究を自ら行うのではなく、大学との委託研究に切り替えていきます。

これが、「中央研究所の終焉」でしょうか?


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この「中央研究所の終焉」の際に、多くの企業研究者が大学に移って研究活動を続ける、という、人材の流動がありました。

この人材の移動が「イノベーション・エコシステム」を形成することになりました。

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これについては、

企業家精神(アントレプレナーシップ)を発揮するにはイノベーション・エコシステムが大切




企業家精神(アントレプレナーシップ)を発揮するには、大企業、大学、ベンチャー企業、弁護士、弁理士などの専門家集団などのイノベーション・エコシステムにより、技術、知財、人材、資金が動くことが大切です

大企業、大学、ベンチャー企業、弁護士、弁理士などの専門家集団などのイノベーション・エコシステムは、ポジティブな関係だけではなく、

・大企業をレイオフされた人々が、新しい産業を創る

・大企業をスピンアウトしたベンチャー企業を、数年後にその大企業がM&Aで吸収

のように、かなりドロドロしたものも含みます。これらを含めたエコシステムの中で企業家精神(アントレプレナーシップ)は活かされる、ようです


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「米国におけるクリーンテックベンチャーの動向と今後の課題」に参加しました




ベンチャーが活躍する分野としては、クリーンテック、ライフサイエンス、ITが主流ですが、それぞれで全く様相が異なること、

アメリカでもベンチャーを育てる生態系があるのは、シリコンバレー(スタンフォード)、ボストン(MIT)、ニューヨーク。投資家、ベンチャー経験者、(レイオフされた有能な)技術者、弁護士がいて、世界中から人材が集まる



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オープンイノベーションとアントレプレナーシップ(企業家精神)




オープンイノベーションとアントレプレナーシップ(企業家精神)を取り巻く環境について、簡単にまとめてみました

オープンイノベーションとアントレプレナーシップ(企業家精神)については、企業体質、個人の資質として、議論されることが多いのですが、

むしろ、ここに書いたように、

・グローバル競争の激化、株主への説明責任の増大に伴う、大企業の中央研究所の終焉

・大企業の基礎研究からの撤退に伴う、産学連携、ベンチャー企業への移行

・単独企業内でのイノベーションから、産業クラスターでのオープンイノベーション

という時代、社会の大きな流れの中で考えた方がよさそうです



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「社会に役に立つことを研究する・学ぶ」と「研究成果を社会に活かす」の違い

東大プラチナ社会、アイデアはシステム思考を科学しつつ社会実装する




この講座の目玉は、「社会実装のシステム思考を科学」して、アイデアを生み出すだけでなく、実際に各地域で適用し、関係者を巻き込みつつ、さらにその地域だけでなく、他地域への適用を水平思考すること、でしょうか?

「学んだことは大変有意義だったけれど、それを活用できているか?」と悩んでいるのではなく、

とにかく、何らかのプロジェクトが進行中、もちろん、うまくいかないこともあるけれど、フィードバックして、修正しながら進行中

ということで、社会への波及も含めたプログラムになっている、ということでしょうか?

大学はアイデアを生み出すだけでなく、社会への適用も同時並行的に行う場になりつつあります。


と、研究、学びを大学の中で完結させることなく、その成果を社会に適用し、実装し、

さらには他へも水平展開を図る、ことについて書きました。

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「研究成果を社会に活かす」と似た言葉に、「社会に役に立つことを研究する・学ぶ」があります。

「社会に役に立つことを研究する・学ぶ」は既に、社会で顕在化しているニーズについて、研究する、学ぶ、こと

一方、「研究成果を社会に活かす」は、その研究成果について、社会で顕在化しているニーズは、特にはなく、

研究者と社会の人々がコラボしつつ、その研究成果の活用について、探り、新たな可能性を見出していく、ことになります。

多くの人が顕在化していない、潜在的なニーズの開拓、は苦手なのですが、

ここからイノベーションが生まれ、新たな価値、分野が展開していく可能性があります。


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今回のシンポジウムでも上に書いた流れが確認された感があります。

企業の商品化ニーズを大学の技術シーズで実現する、従来型の産学連携から、

企業の中長期的な人材、研究テーマの育成のための交流の場の意味合いが増しています。

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従来型の産学連携では、1企業と1教員という1対1の関係が主でした。

ところが、オープンイノベーション型の最近の産学連携では、それぞれ分野が異なる企業と、

大学側も機械、電機、化学あるいは工学と社会科学など、分野横断型のコラボで行われるようになりました。

すると、大学の教員、学生にとって、他分野の大学スタッフ、企業との交流が、研究室を離れて、研究テーマを広げる、新たなテーマを発掘する機会となっており、

企業側にとっても、人材を日常業務だけでなく、俯瞰的な視点から見直す、人材育成、あるいは事業再構築、新規事業発掘の場となっています。

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すなわち、「企業の商品化ニーズを大学の技術シーズで実現する」モノ、技術のフェーズから、

連携のプロセスによる、双方の人材の育成のフェーズ、あるいは事業再構築、新規事業発掘のフェーズに移行してしている、

そんな感がしました。

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この分野については、短期的な成果を求めるのではなく、中長期的な視点を行ってほしい、と考えます。




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2016年11月06日

生命とは何かの普遍性に挑む、理論物理と構成的実験からのアプローチ

生命とは何かの普遍性に挑む、理論物理と構成的実験からのアプローチ

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という案内が来ました。

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「普遍生物学:変化しやすさと安定性の状態論」

「生命とは何か」―量子力学の祖の一人、シュレーディンカーは、その著書で、情報を担う分子、DNAの性質を予言しました。

以降、生物内の個々の分子の性質は調べ挙けられてきました。

しかし、それら分子の集まった「生きている状態とは?」の答えには至っていません。

要素(分子や細胞)の間の関係に着目して、「多様な成分を維持し成長し、適応して進化する」生物の普遍法則を構成的実験と理論物理て゛解き明かそう としています。

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「人工細胞テハイスはイノヘーションをもたらすか?」

人工細胞関係の研究者の好奇心に基つく成果を伸はしつつ、その技術を社会実装するための取り組みとしてのフロクラムを行っている。

また始まったはかりたけと、そのきっかけになったエヒソートなとをかいつまんて紹介しなから基礎と実用は意外と近いことを話したい。

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主催は日本生物物理学会

ですが、生物物理、とは、ちょっと耳慣れない言葉です。


生物物理学は、生命の根元を理解しようとする学問です。生命は物質に担われています。

物質科学の原理から、どのように生命現象が引き起こされるのでしょうか。

また、生命には特徴的な階層構造が見られます。

生命らしさが現れる最も小さい単位は、生体高分子です、生体高分子が自己組織化して超分子集合体が、さらにその有機的な集まりにより細胞が、 そして細胞の組織化により器官や個体が、出来上がります。

さらに、生態系が生命の階層構造の最上位に位置しています、生物物理学の目的は、これらの各階層における生命現象の物質科学的基礎を理解し、 その階層をつなぐ原理原則を見いだすことによって生命現象を解き明かすことです。

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生物学というと、従来、観察、実験が主体でした。

しかし、これだけでは限界があります。

それだけではなく、理論物理によるアプローチ、熱力学、統計力学の手法の適用も盛んです。

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大学のイノべーションとシンギュラリティ




ガリレオ、コペルニクスが提唱した地動説「地球が太陽の周りを回っている」を、理科教育の早い時期に習います。

「地球が太陽の周りを回っている」とは、日常経験していることとは、相容れないことです。

地動説「地球が太陽の周りを回っている」を、単なる「教わった知識」ではなく、自分で実感して納得するには、相当大変な作業が必要です。

さらには、身の回りをどれだけ、観察しても得られることは、正しい真理とは限らない、ということです。


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マクロ経済学は他学問、とりわけ統計物理学を取り入れて変わっていく




マクロ経済を理解するには、ミクロの行動を追うよりも、統計物理学的な手法の方が有効。

ケインズの「有効需要の原理」「総需要」は物理学における温度Tの役割、労働生産性とエネルギー準位

経済物理学、進化経済学、ネットワーク科学などの新しいマクロ経済学が進化してきている。


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今後のこの分野の進展が楽しみです。




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2016年11月01日

高速で論文がバリバリ読める落合陽一先生のフォーマット

高速で論文がバリバリ読める落合先生のフォーマットがいい感じだったのでメモ

というサイトがあり、大変興味深かったので、掲載します。

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メディアアーティストで、筑波大学助教でもある落合陽一さんは、最近いたるところで、ひっぱりだこ、大活躍で、

「映像の世紀」から「魔法の世紀」へ

で、インターネットが加速的に進展することが予想されるこれからの時代の科学技術、アートについて書きましたが、超多忙なスケジュールの中でも、大量の論文を読んで、書いています。

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その秘訣が、論文を読むだけでなく、読みながら、フォーマットに以下のポイントについて整理していきます。

1. どんなもの?

2. 先行研究と比べてどこがすごい?

3. 技術や手法のキモはどこ?

4. どうやって有効だと検証した?

5. 議論はある?

6. 次に読むべき論文は?

先行研究、参考論文を読むことが、新たな研究を始めるスタート地点で、とにかく大量の論文を読むことが必要ですが、漫然と読んでも、漠然と内容を把握するだけだったりします。

自分なりに、上記フォーマットを整理することで、当該論文の自分バージョン要旨が出来上がります。

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このフォーマットは、大量に論文を読むときだけでなく、書く時にも利用できそうです。

まず、このフォーマットを完成させてから、個々のパートを書いていくとよさそうです。


さらに加えて、この文献調査、体系化を効率化するサポートシステムも同時並行で進んでいます。

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知識コンテンツの分析の展望〜文献調査・体系化を劇的に変える可能性


研究を始める時、あるいは、これまでの自分の専攻とは違う、新しい分野の研究を行う時、

必ず行うのが、先行研究文献調査です。

その研究分野のこれまでの進展、今後の方向を知るために、その分野で、バイブルとなっているような主要研究論文、それをもとに進展した研究論文を調査します。

何がどこまで研究されているのか?何が、まだ不明で、何を研究すれば価値があるのか?

先行研究文献をベースに調査します。

ここがずれてしまうと、研究自体がずれてしまいます。

それゆえ、研究前段階の重要なところで、最低でも1か月、長い場合は、半年程度の時間をここにかけます。

インターネット以前は、参考文献リストを作成し、それぞれの文献がある図書館を探して、実際に図書館を訪れ、コピーを取る、という気の遠くなるような作業でした。

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インターネットの時代になり、論文などの文献は電子化され、PCがあれば、実際に図書館に行かなくても、ダウンロードできるようになりました。

文献検索は、主に著者名、タイトル、キーワードをもとにダウンロードします。

しかし、実際には、少し読むと、自分の研究には、役に立たないことがわかり、新たな論文を読む。

また、少し読むと、自分の研究には、役に立たないことがわかる、という、時間と労力がかかる作業になります。

インターネットで大量の文献を入手できる分、この作業にも多くの時間と労力を割きます。

インターネットで「文献」という単位を検索するだけでなく、文献の中まで検索できれば、

例えば、キーワード、キーワード同士の関連、概念などが検索できて、さらに同じ、キーワード、概念を使っている他の文献を示してもらえれば、

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すると、その分野で、バイブルとなっている主要研究論文を入れると、

著者、キーワード、概念から、

・そのバイブルとなっている主要研究論文が書かれるまでに利用された論文

・そのバイブルとなっている主要研究論文が書かれてから、派生した研究論文

が、極めて短時間でわかるようになる。

現在、多くの研究者が、長時間かけている、文献調査、体系化を効率化するサポートシステムは、もうすぐできるかもしれません。

実は、これは研究活動を劇的に変える可能性があります。


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研究活動を劇的に変える?学術・産業技術俯瞰システム


上記のように、先行研究調査、キーとなる論文、研究者について、システムが調査してくれれば、研究準備作業が劇的に効率化されます。


さて、その分野の研究について、最近どの方向で発達してきて、今後どの方向に伸びそうか?どの研究分野と結びつきそうか?

これを見極めて、今後伸びそうな分野に研究対象を定め、研究を行います。

これについても、システムがサポートしてくれれば、研究領域の設定の見定めを誤って、時間、労力をムダにしてしまう、おそれが大幅に減ります。これも研究活動の劇的な進化です。

このような研究活動の劇的進化をもたらす可能性があるのが、この「学術・産業技術俯瞰システム」です。





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