2018年03月

2018年03月27日

サイエンスの学びから将来の夢へ

リケジョ-未来シンポジウム・サイエンスの学びから将来の夢へ

という案内が来ました。

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「TAK」さんは、「理系女子」という言葉が嫌いです。

どのような職業でもコンピューターは駆使し、法律、経済は必須で、物理、化学、生物の法則にしたがい、生きていくには哲学が必要、である以上、文系、理系という区分けが時代遅れで、融合、再統合が必須です。

今でも、理工系に進学する女子学生は少ないのですが、人工知能、ロボットを志す女子は増えてくるでしょう。

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主催者の機構長の挨拶にも


私が高校生のときに理系に進学することを決めました。

すると、周囲のオトナたちはびっくりしました。なぜならば、当時、女性は文系に進学するのがあたりまえ、理系は男性が進学する領域という社会の通念が存在していたからです。

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しかし、時代は変わり、かつては少数派であった理系女性が増加し、さまざまな場面で輝きながら活躍する時代となりました。

しかし、社会はこれまで以上に多くの理系女性を必要としています。


とあります。

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理系女性シンポジウム「女子生徒にとっての物理・数学」




女子生徒本人よりも、親御さん、先生たちの周囲、あるいは社会全般にいまだに

「女子は理工系へ行くものではない」「女の子なのだから東大へ行くことない」

という根強い思い込みがあり、これが女子学生の理工系進出を阻んでいるのではないか

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ICT、人工知能、バイオ技術など、これから進展していく分野に、大いに女性にも進出してほしいものです。


と書いたように、女子生徒本人よりも、親御さん、先生たちの周囲、あるいは社会全般が、いまだに古い概念にとらわれているようです。

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人々の想いと現実社会のギャップ

経済成長からキャリアを考えるとわかりやすい

キャリア構想と社会の進展のギャップ




人々は技術の進展、社会の変革は十分に認識しつつも、一方では、キャリア構想は「高度経済成長期」から、それほど進歩がない。官庁、大企業に就職し、組織内で出世して、高いポジションを得ること、と考えている。


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と書いたのですが、ICT、人工知能、バイオ技術など、科学技術の進展がすさまじい世の中にいながら、理工系とはモノづくり、

少子化、女子の高学歴化を反映して、共働き世帯が、専業主婦世帯を大きく上回っているのに、女子は結婚、出産と共に家庭へ

という、時代い遅れの古い意識が広くはびこっているようです。

このような事態を少しでも打開するには、女子生徒本人よりも、親御さん、先生たちへの啓発が欠かせないのですが、

このシンポジウムでは、それを反映して、親御さん、先生たちの参加がかなりの率を占めます。

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理系女性シンポジウム「女子生徒にとっての物理・数学」

に書いたように


社会の変化が急激で、グーグルなど、IT関連では急成長する産業も多く、大学入試時点で将来の職業を描くのは難しいのかもしれません。


親御さん、先生たちだけでなく、少し上のお兄さん、お姉さんの経験、意見をたくさん聞いて参考にするといいかもしれません。







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2018年03月26日

不確かな時代に生きるとは、大量生産、輸送からカスタマイズへ

情報学環・福武ホール10周年記念シンポジウム「不確かな時代に生きる:これから10年を導くキーワード」

という案内が来ました。

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「これから10年のキーワード」ということで、林千晶さん、日比野克彦さん、ドミニクチェンさん、水越伸さんの各パネリストの方からお話がありました。

水越先生がおっしゃっていましたが「今後10年を導くキーワード」など、誰もわかりません。ただ、10年前を振り返ることはできます。

2008年、アメリカに遅れること1年、iphoneが日本に入って来ました。

当初は「日本では携帯電話が既に普及しているので、これは日本では普及しない」と言われていました。

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しかし、結果として、若年層だけでなく、ビジネスマン、さらには高齢層まで普及して、ライフスタイルを一変させることになりました。

新しい技術が普及、定着すると、その前に、何をしていたのか、わからなくなります。

働き方革命、意識せずに2度の革命を経験している?




さて、振り返ってみると、実は、40歳を超える中高年の人々は、2度の働き方革命を乗り越えていることに気づきます。

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1度目は1980年代後半の、紙からPC、への革命。

2度目は1990年代後半から2000年代前半の、ネット革命。

面白いことに、1度目の「紙からPC、への革命」に、乗れない中高年が多かったのですが、

2度目のネット革命により、乗れない中高年も乗り越えてしまいました。


と書いたとおりです。

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それはそうとして、パネリストの方々のお話が興味深いので、紹介します。


日比野克彦さん、ドミニクチェンさん、水越伸さんからは何度かお話を伺ったことがあり、

日比野克彦さん

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修了後の学びの継続と、学んだことの社会実装


ドミニクチェンさん

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人文知がデジタル・メディアを装備すると


水越伸さん

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地域社会から世界へ:20世紀のメディアとコミュニティー

21世紀メディア論:メディアとコミュニティー

に書いてあります。

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林千晶さん「土の香り」

やわらかい、土の香り、をとどめた言葉

知識、情報による仮説検証は人工知能でもできる。

一見、関係がなさそうに見えるモノ、事がら同士が結びつくことによる価値創造

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日比野克彦さん「ひとりひとり」

アートは、ひとりひとりの個性、価値を認める

アートが社会の中で機能する

土地、地域に縛られない、あるのは、ひとりひとりの存在

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ドミニクチェンさん「発酵」

情報技術を身体に取り戻す

身体の認知機能を用いた現実拡張

自律的に移動して、適した環境を探索する

生原稿、タイピングのプロセス、気配、息遣い、心の状態が再現される

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水越伸さん「Lunch」

当たり前を当たり前と思わない想像力

協同組合、現在の人類の数だけでなく、これまでの累積の積み重ね

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ビッグデータからパーソナルデータへ




社会の動向をビッグデータから読み解き、これまで誰も気づかなかったポイントを見出す、のもよいもですが、

個々人にとって、もっと重要なのが、自分の行動履歴、パターンだったりします。

PC、スマフォの閲覧箇所、滞在時間、GPSによる行動履歴などを確認すると、自分も気づかなかった自分の活動、行動パターンが浮かび上がってきます。

記憶は、いい加減なのですが、記録は間違いありません。

と書きましたが、製品の大量生産、新幹線、高速道路の大量輸送のような代表値、平均値から、

ひとりひとりにカスタマイズへの推移を感じました。

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これからの10年、どうなるのか?予想もつきません。






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2018年03月21日

工学の基本、材料力学の進化、鋼構造から軽量材料へ

退官される先生方の最終講義の季節は、毎日、美味しく、貴重な知識、知恵の豪華ディナーを食べているようなぜいたくな気分です。

食べるだけでなく、得た栄養をしっかり使いたいです。

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今日は、

東大人工物工学研究部門栗山幸久教授最終講義「40年の研究を振り返って」

です。

「TAK」さんは、もともと機械工学出身ですが、機械工学では、科学をモノづくりに活用する基本として、材料力学、流体力学、機械力学、熱力学を学びます。

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工学の自然科学化から社会科学化、そして人間科学へ


建築物、船などは、昔からありましたが、その設計、建造に、科学的知見が取り入れられるようになったのは、日本では明治以降、世界でもニュートン、ベルヌーイ、ライプニッツらの自然科学的知見が出てくる近代になってからで、それまでは大工、職人の経験、勘によるものでした。

産業革命以降、蒸気機関による鉄道、船、飛行機あるいは鉄、コンクリートによる建築物ができると、飛行機の空気による揚力、抵抗、船と波の相互作用、建築物の耐震、耐風など、これまでは考える必要のなかった、新しい自然と人工物の関係が生まれてきました。

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この、新しい自然と人工物の関係は、理学ではなく、主として、これら鉄道、船、飛行機、建築物、をつくった工学が担当することとなりました。

そこで、流体力学、材料力学などの学問が生まれました。

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鉄道、船、飛行機、建築物をつくる、工、技術に対して、新しい自然と人工物の関係の評価は、工、技術よりも、むしろ観察に近い自然科学的手法が取られます。

これは、自然科学の知見を取り入れて、モノ、技術を創りだす、という方向から、創り出したモノ、技術を自然科学的手法で評価する、という、一種のパラダイムシフトを生むことになります。

この自然科学から技術へ、技術を自然科学で評価、という両方向を使いつつ、技術は進歩していくことになります。


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理工系、理学と工学の間をさまよい、揺れ動く


「自然科学の知見を取り入れて、モノ、技術を創りだす、という方向から、創り出したモノ、技術を自然科学的手法で評価する、という、一種のパラダイムシフト」は大変興味深いもので、これがあるからこそ、工学研究者は新しい真理を自ら見つけつつ、技術を進歩させていくのかもしれません。


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理工系、理学と工学の間をさまよい、揺れ動く


「理工系、と一口で言うけれど、理学と工学では、研究に対する考え方、姿勢、ビジョン、哲学が随分異なる。

真理を探究する理学と、その探求した真理を社会に適用する工学。

宝探しをする理学と、見つけた宝を社会に役立つように磨く工学。

理学、工学に特化した研究者もいる一方、両者の間を彷徨い、揺れ動く研究者も多い」

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文系と理系、目的論とメカニズム、融合ではなく、両方必要?


工学部、理学部では、自然現象、あるいは、それらを模した実験を観察します。

そして、その観察から導き出されるファクト、メカニズムを得ようとします。

理学では、自然の真理を探究することが主目的ですが、工学では、その導き出されたファクト、メカニズム、を活用して、よりよい社会つくりをしていくことになります。




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「鉄道、船、飛行機、建築物をつくる、工、技術」において材料力学が基本となる訳ですが、材料としては軟鋼を主体に、材料力学は記述され、学ばれていました。

鉄道、船、飛行機、建築物の材料の基本は、軟鋼であり、それをベースに、弾塑性解析、応力、ひずみの計測、解析が行われていました。

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ところが、燃料コスト削減などの社会的要請から、飛行機、自動車などの軽量化が進み、これらの材料が軟鋼から、高強度の軽量鋼、高強度プラスチック、グラファイト、チタンなどの複合材料に代わってきました。

軟鋼は「軟らかく」て、変位を大きく取って、荷重を吸収してきましたが、高強度の軽量鋼では、小さな変位しか許容できません。

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軟鋼と高強度の軽量鋼、高強度プラスチックでは、弾塑性解析の基本となる、応力とひずみの特性などが大きく異なります。

年配のエンジニアが昔の教科書を取り出してきても、時代遅れだったりします。

人工知能、ロボットなどの最先端工学だけでなく、材料力学のような基本工学も、決して不変ではなく、技術に進歩に応じて進化していることを感じました。

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また、材料力学、流体力学、機械力学では有限要素法(FEM)というコンピューター解析が広く使われています。

「FEMは自分が作成したモデル以上の答えは出てこない」

というお話しも、コンピューター解析を行う上で興味深いものです。







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2018年03月20日

イノベーションは製品、サービスから組織、社会へ

東大i.school/JSICシンポジウム〜みんなで考える、日本企業におけるイノベーションの方法論〜

という案内が来ました。

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東大i.schoolの人間中心イノベーションのお話は、

東大ischool、イノベーションを起こし、実践するパスとは?

人間中心イノベーションは、意図的に起こすよりも、結果として起きている

などに書いてあります。

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さて、イノベーションの必要性が叫ばれて久しいのですが、その必要性が製品、サービスから組織、社会へ移行してきました。

破壊的イノベーション、新たな成長事業をどのように生み出すのか




イノベーションのジレンマ、破壊的なイノベーションの指摘は、世界中に大きな影響を及ぼしました。

ただ、そうである一方、世界中の大企業が、それにうまく対応できていないのも現実です。

さて、伺ったお話のベースは上記のとおりですが、今日いただいたポイントは、

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・R&Dは主に技術開発にフォーカスし、マネジメントにはフォーカスしない。イノベーションのカギはマネジメントにある。

・理論は実用的でない、と言われるが、原因と結果を結びつけるもの、マネジメントには有効。

・イノベーションには3種類ある。1.破壊的イノベーション、2.成長的イノベーション、3.競争イノベーション。経済的効率は3>2>1の順であるため、破壊的イノベーションを起こすのが難しい


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スプツニ子!さん×落合陽一さん×池内与志穂さん、価値創造デザインが拓く未来とは?




「自動運転×建築」がテーマになりました。

「建築物」は固定され、人々がそこへ訪ねていく、と考えられています。

でも、「建築物」が移動して、人々のところに来て、そのサービスを提供してくれたほうが便利な場合も多そうです。


「人々はスクリュー・ドライバーが欲しいのではなく、壁に穴があけたい、のである。」

のように既成概念を外して、ユーザーのニーズを満たすことに注目すると、異なる形のサービスが生まれます。

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このように、製品、サービスのイノベーションは始まり、ある程度ですが普及し、事例も積み重ねられてきていますが、組織、社会のイノベーションとなると、まだまだの感があります。


東大i.schoolのような、デザイン志向型のプログラムに参加する、企業派遣、私費の社会人も増えてきました。

プログラムにおいて、大きな啓発を受けるのですが、企業、特に大企業に戻ると、そのイノベーションを実行しようとしても、うまくいかず、

元のさやに納まってしまう、という例が多い感がします。

トップダウンとボトムアップ、さらにはミドルを加えた試みが始まっており、今後の展開が楽しみなところです。

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いくつか、組織、社会のイノベーションにつながりそうな事例としては、

東大ischool発プロジェクトMaru「スケールアウトイノベーション・セミナー」仲間でやると質の向上が速い


東大ischool発のプロジェクトMaru「スケールアウトイノベーション・セミナー」に参加しました

で紹介した「スケールアウト」

人手、資金が十分ではない状況で、小さなプロジェクトが同時並列的に進むと大きなイノベーションが起こる可能性がある

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トランジション(変遷)・マネジメントはイノベーションを超えるか?


社会が変革するには、イノベーションが不可欠ですが、そのイノベーションだけに着目するのではなく、
もっと社会システム全体の構造的変化を見るのが、トランジションです。

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一般的には、

(1)社会システムに問題があることが認識されていた。しかし、一部の認識にとどまり、社会的なムーブメントにはなっていなかった。

(2)インパクトがある大きな事件が勃発

(3)それを契機に大きなムーブメントが起こり、社会システム全体が変化する

となるでしょうか。


もう少し、見守ることとします。






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2018年03月16日

素粒子物理学、実は社会に大いに役立っている

東大理学部駒宮幸男教授「素粒子物理学の大展開〜11月革命からリニアコライダー建設へ〜」

という案内が来ました。

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素粒子物理学については、以前書いたものから抜粋します。

先端技術を駆使して宇宙の謎を探る


現在、世界の研究者が協力して、国際リニアコライダー(International Linear Collider=ILC) 計画が進められています。

ILCとは、全長20キロメートルから50キロメートルに及ぶ直線型加速器で、先端的な加速器研究の粋を集めた究極的な装置です。

現在達成しうる最高エネルギーで電子と陽電子を衝突させ、宇宙の始まりであるビッグバンを再現し、宇宙創世の謎に迫ります。


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宇宙の起源、生命の起源、とは?起源への問い




宇宙の起源とは?生命の起源とは?そもそも「起源とは何か?」起源の直前と直後で何が、どう違うのでしょうか?

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例えば、宇宙の起源について考えます。

夜空の無数の星は、太古の昔から多くの人が見てきました。

その中から、水星、金星、火星、木星、土星の5つの星だけ、他の星と動きが異なることを見つけたことは凄い、と思います。

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肉眼で見るしかなかった星などの天体ですが、400年前のガリレオ・ガリレイが望遠鏡を発明し、本格的な宇宙、天体の観測が始まります。

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さらに、300年後、1917年のアインシュタインによる一般相対性理論により、宇宙、天体の理論的検討が可能になりました。

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1929年にはハッブル天文台により、これまで「無限で不変」と考えられていた宇宙が膨張していることが発見されました。

これにより、宇宙の起源「ビッグバン」が検討されるようになります。

科学により、自然法則が解明され、真理が明らかになっていくはずが、「ダーク・マター」「反物質」など、未知のことがどんどん出てきます。

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さらに、よくわからないのが、宇宙の起源「ビッグバン」が138億年前にあったとするならば、では、それより前はどうだったのか?


現在の最新鋭の望遠鏡では、138億光年先、つまり、宇宙の起源「ビッグバン」の表面までは見えるそうです。

「ビッグバン」の、その先、あるいは1兆、1億分の1秒後、どうだったか、再現するのが加速器による研究です。

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1980年代以降、高エネルギー加速装置が開発され、それまでは電子、陽子、中性子で構成されるとされていた原子について、

クォーク、ヒッグス粒子などが発見されました。

これについては、

物質に質量をもたらす「ヒッグス粒子」とは?

素粒子標準理論とは?

「アインシュタインの夢ー究極の素粒子理論」工学系必読




2013年度のノーベル物理学賞は、物質に質量をもたらす「ヒッグス粒子」の存在を理論的に予言した英エディンバラ大名誉教授のピーター・ヒッグス氏と、ブリュッセル自由大名誉教授のフランソワ・アングレール氏が受賞しました。

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ヒッグス粒子は全部で17種類ある素粒子のうち唯一、未発見だった最後の粒子。1964年、ヒッグス氏はこの粒子の存在を予言し、アングレール氏は物質に質量が生じる仕組みを説明する理論を発表。極微の世界の基本法則である素粒子の標準理論を完成に導きました。

理工系出身でも「ヒッグス粒子とは?」にしっかり答えられる人って少ないのでは?と思います。

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理工系の大学関係者でも、理学系の物理系でないと、素粒子理論、超弦理論などの最新研究へのキャッチアップは難しくなります

大学受験、大学教養課程で、量子力学と相対性理論が両立しない、ことなどは学びつつも、専攻が物理系でないと、素粒子理論、超弦理論などから遠ざかり、最近、話題のヒッグス粒子、と言われても、よくわからなかったりします

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原子核の周りを電子が回っていますが、大昔の物理(湯川秀樹氏が中間子理論でノーベル物理学賞を受賞した頃)では、電子と原子核を構成する陽子、中性子も「素粒子」でした

その後、陽子、中性子がさらに、「クォーク」と呼ばれる、粒子で構成されることがわかり、クォークが「素粒子」とされました

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現時点の素粒子の標準模型は、

・クォーク(陽子や中性子を構成する粒子)

・レプトン(電子やニュートリノの仲間)

・ゲージボソン(力を媒介する粒子)

・ヒッグス(対称性の破れや質量の起源に関係する粒子)

・重力子(未発見)

とされています

一方、物質の相互作用は4つの力、電磁相互作用、強い相互作用、弱い相互作用、重力相互作用とされています

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アインシュタインは一般相対性理論(1915年)で「重力は時空のゆがみによって生じる」を示し、「統一場理論、重力も電磁気力も幾何学的に表現したい」とし、後世はこの研究に力を注ぎましたが、残念ながら、うまくできませんでした

そこで、「統一場理論、重力も電磁気力も幾何学的に表現したい」が、アインシュタインの夢、と言われます

その後、1926年に量子力学が発表され、粒子性と波動性をもつ量子の運動など、ニュートン力学ではうまく説明できなかった、量子レベルの現象の説明ができるようになりました。

しかし、量子力学と一般相対性理論は相性がよくなく、単純に一緒にすると、答えが無限大になってしまいます。

場の量子論でも無限大は出るが、これは朝永振一郎博士の「くりこみ理論」で解決します

特殊相対性理論(1905年)と量子力学(1926年)より「場の量子論」ができました。「標準理論」(電磁相互作用、強い相互作用、弱い相互作用)と「重力」4つの相互作用の統一が現代版アインシュタインの夢でしょうか

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ピーター・ヒッグスらが、1964年に素粒子に質量を与える理論「ヒッグス機構」を提唱しまし、質量を持つ素粒子があると予言しました。これが「ヒッグス粒子」です。

材料の原子は、原子核の周りを電子が回っています。もしヒッグス場がなかったら、電子が質量を持たないので、光の速さでどこか遠くに飛んでいってしまいます。

そして、2012年。スイス・ジュネーブにある欧州合同原子核研究機関(CERN)で稼働している大型ハドロンコライダー(LHC)を使って実験をしているATLAS(アトラス)グループとCMS(シーエムエス)グループが、それぞれにヒッグス粒子らしき新粒子を発見したと報告しました。

現在も、この新粒子がヒッ グス粒子としての性質を満たしているかを検証すべく、実験データの収集と解析とが続けられています。


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太陽系は銀河系の周辺になります。そのため、銀河系の中心の周りを公転します。

ところが、この公転の方程式を解こうとすると、中心部の質量が足りません。それゆえ、遠心力で飛んで行ってしまうことになってしまいます。

そこで、存在が提唱されたのが、暗黒エネルギー、暗黒物質などの存在です。

つまり、宇宙、銀河、星の挙動は、この暗黒エネルギー、暗黒物質などの存在なしには説明がつきません。

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科学により、自然法則が解明され、真理が明らかになっていくはずが、「ダーク・マター」「反物質」など、未知のことがどんどん出てきます。


さて、素粒子物理学は社会の役に立たない、福祉、医療の方が大切、と予算が削られます。実は両方とも大切なのに。

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駒宮先生から素粒子物理学が結果として、社会の役に立っている事例が示されました。

・スマフォなどに広く使われているGPS

アインシュタインの一般相対性理論を検証するために、厳密に計測できる原子時計をつくったことが、現在のGPSにつながっています。

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・重粒子によるがん治療

加速器で光速に並ぶ速度まで加速し、がん病巣に集中して照射できることから、進行していない限局したがんの治療に適しています。また、がんの周りに重要な臓器や放射線に弱い組織のある場合に、それへの照射を避けることのできる強力な治療法と考えられています。

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・インターネット

スイス・ジュネーブにある欧州合同原子核研究機関(CERN)の研究データを世界中の研究者が高速大量で送り、共有するための通信回線が、後にインターネットになりました。

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全く専門外の素粒子物理学の勉強になりました。






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工学の複合、輻輳、融合と研究成果の実装

退官される先生方の最終講義の季節は、毎日、美味しく、貴重な知識、知恵の豪華ディナーを食べているようなぜいたくな気分です。

食べるだけでなく、得た栄養をしっかり使いたいです。

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さて、今日は東大技術戦略学専攻影山和郎先生の

私が関わった八つの数式と技術開発学

に伺います。

実は影山先生と「TAK」さんは「すれ違い」です。

大学院生時代に破壊力学を専攻していた「TAK」さんは、FRP複合材料の研究をされていた

旧3号館の竹鼻先生、金原先生の研究室に、よく伺いました。

その後、竹鼻先生が退官され、複合材料の研究をされていた影山先生が着任され、「TAK」さんも大学院を修了しました。

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退官後、金沢工業大学の副学長に就任された金原先生の

「東大は、ひとりひとり見ると、たいしたことないが、集まって東大になると、かなわない」

というお話もおもしろかったのですが。

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「TAK」さんが大学院を修了する頃の、工学部は、土木、建築、化学、電気、機械のように縦割りで、工学部が主として対応する製造業関係のメーカーも同様の枠組みで、業界内のニーズ、技術シーズはメーカーと大学間で共有され、大学の研究は業界に反映される形でした。

システムが複雑になり、相互に関連し合う、システム創成原論




工業化による大量生産、高度経済成長時代までは、社会の仕組みは単純でした。

品質がよくて、安い製品を大量に生産して、消費者に届ける。

生活は豊かになり、会社は儲かり、大きくなる。

実は、この頃から工場による大気汚染、水質汚濁、交通増による渋滞など、問題も顕在化してきました。

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さらに、社会が進むと、複雑になるだけでなく、それぞれが相互に関連し合うようになりました。

仕組みが単純な時代は、正解が明確で、予測もしやすいものでした。

問題の原因も、物事を細分化していけば、特定できるものでした。

ところが、複雑化し、相互に関連する社会では、正解がない、予測できない、原因も不明になりました。


と書いたように、社会が複雑になり、相互に関連しあうようになると、工学系学科とメーカーの対応も複合、輻輳化するようになりました。

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影山先生は、東大の船舶海洋工学科に着任され、着任された研究室は、強化プラスティックによる小型船舶を対象としていたのですが、先生の複合材料の研究は、強度を保ちつつ、軽量化を図る航空機、あるいはゴルフ、テニスなどのスポーツ器具にも活用されるようになりました。

この頃から、縦割りでは、社会のニーズの把握、研究成果の反映が難しいことから、工学部の学科の再編成が行われ、システム創成、技術戦略学など、学科横断型になり、

企業と大学の産学連携も、このような社会状況を踏まえ、教員が個別に行うスタイルから、大学に産学連携本部などが設置され、影山先生は産学連携本部長を務められていたこともありました。

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「社会に役に立つことを研究する・学ぶ」と「研究成果を社会に活かす」の違い




研究、学びを大学の中で完結させることなく、その成果を社会に適用し、実装し、さらには他へも水平展開を図る

「研究成果を社会に活かす」と似た言葉に、「社会に役に立つことを研究する・学ぶ」があります。

「社会に役に立つことを研究する・学ぶ」は既に、社会で顕在化しているニーズについて、研究する、学ぶ、こと

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一方、「研究成果を社会に活かす」は、その研究成果について、社会で顕在化しているニーズは、特にはなく、研究者と社会の人々がコラボしつつ、その研究成果の活用について、探り、新たな可能性を見出していく、ことになります。

多くの人が顕在化していない、潜在的なニーズの開拓、は苦手なのですが、ここからイノベーションが生まれ、新たな価値、分野が展開していく可能性があります。


と書きました。

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まだ、多くの先生が、

「アカデミアの役割は、質の高い研究をおこなうこと。質の高い研究を行えば、自然と成果は社会に反映される。」

と考えておられます。

スタンフォード大学ビジネススクールにいると、在学中に起業する




出口戦略をもっとビジネスを始める。これがないと、具体的な事業戦略が立てられない


と書きましたが、真理を解明する理学と異なり、工学の研究では、研究の出口戦略が大切です。

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複合材料の専門をベースに技術経営の道を拓いていかれた影山和郎先生の最終講義から考えてみました。




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2018年03月09日

VRは仮想現実から実質現実へ、開発だけでなく、実装段階へ

東大情報理工R2Pシンポジウム「情報理工学系研究の最新動向」

という案内が来ました。

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AI(人工知能)、VR(仮想現実)、ロボット、ビッグデータなど、急速な進歩を遂げ、それぞれが関連し合う分野の研究状況を伺うのは、

興味深いのですが、進捗、融合が速すぎて、キャッチアップ、アップデートするのが大変です。

このシンポジウムは毎年この季節にあり、

人工知能への情報理工学の取り組み

人工知能に大学、産業、ビジネスはどう対応する?

と、ここ2年はディープ・ラーニング(深層学習)、機械学習、強化学習などが研究開発が進む人工知能がメインテーマでした。

今回も人工知能がメインテーマであることに変わりないのですが、

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・ビッグデータだけでなく、ウェラブル・センサーにより、個々人の自分の行動履歴、パーソナルデータの活用に大きなポテンシャル。

・AI(人工知能)は人間に寄り添う形で開発していく。

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・脳は現実に起きたことと、VR(仮想現実)により、再現されたことを区別しない。それゆえ、仮想現実ではなく、現実の一部を形成している。

・VR(仮想現実)を開発するよりも、VR(仮想現実)を生活に取り込んでいく。

などをお話しします。

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と言いつつ、上記のテーマをすべて書くと、とても長くなるので、ここでは、「VRは仮想現実から実質現実へ、開発だけでなく、実装段階へ」について書きます。

その他のテーマは、あらためて書きます。


東京大学制作展 “WYSIWYG?”に行ってきました


視覚、聴覚、触覚あるいは記憶について、

目で見る、耳で聞く、手、身体で触れる、脳で記憶する、だけでなく、

人間のあらゆる感覚に、コンピューターが深くかかわるようになりました。

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コンピューターは人間のツール、道具ではなく、既に、拡張された人間の機能の一部となっています。

そして、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)で体験したこと、と、実際の生活で体験したことの「境界」はあいまいになり、すでに、その区別はつかなくなりつつ、あります。


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一人称になるとインタラクションが始まる




VRは「一人称」の映像。「仮想現実」と訳されていますが、「実質再現」という方がしっくりきます。

VRの本質は「限りなく現実のものと区別がつかない状態に置き換えること」

VRのあの「没入感」は、ものすごい技術革新です。

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「一人称」のあなたになり切ってしまうのが、VR(仮想現実というよりも実質再現)

「三人称」では、「面白かったです。」「興味深かったです。」と鑑賞、感想になります。

ところが、「一人称」は自分自身、自分事で、周囲とのインタラクションが始まります。


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VR(仮想現実)、筋電センサーによるメンタル克服はできないかしら?

VR(仮想現実)によりプロの身体観を獲得する


アスリートの方の中には、

「練習ではうまくいくのに、試合になると実力を発揮できない」

という人が少なからずいます。

無意識に思っていることは身体に反映されてしまいます。

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この方々の動きをモーションキャプチャー、筋電センサーで記録します。

すると、全く別の動きをしている場合が少なくありません。

であれば、VR(仮想現実)で試合の状況を再現し練習を行い、試合の時に、VR(仮想現実)機器の装着はできないでしょうから、練習環境を再現してみます。


また、「練習ではうまくいくのに、試合になると実力を発揮できない」人は、「失敗するのではないか?」という思いが頭に中にあり、

その思いが、身体に反映され、頭が身体に「失敗しろ」という指令を出している、ということでしょうか?

一方、メンタル・トレーニングは、頭の中に成功のイメージをつくって、それを身体に反映する、というプロセスでしょうか?

これでは、頭の中で葛藤がありそうです。

それでは、頭はスルーして身体に直接働きかけてはどうでしょうか?

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VRとは「仮想現実」よりも「実質再現」限りなく現実のものと区別がつかない状態に置き換えること

VR(仮想現実)によりプロの身体観を獲得する


「トップアスリートのプレーを見て、脳裏に焼き付ける」イメージ・トレーニングは、かなり前から行われており、効果も認められています。


ただ、「トップアスリートのプレー」は、どれだけ脳裏に焼き付けても、あくまでも「トップアスリート」のもので、「あなた」ではありません。

テニスであれば、ジョコビッチ、フェデラー、錦織選手であって、「あなた」ではありません。

ところが、「一人称」のあなたになり切ってしまうのが、VR(仮想現実というよりも実質再現)です。

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トップアスリートの動きをモーションキャプチャーで記録し、また、筋電センサーを貼付させていただき、筋肉の動き、力の大きさを記録します。

この記録をアマチュアの方々にヘッドフォーン、振動モーターにより、信号で与えます。

「考えるな、身体で覚えろ」を地で行きます。

すると全員ではありませんが、かなりの方々がトップアスリートに近い動きができるようになりました。


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ディープラーニングの先のAI(人工知能)


人間の脳は、視覚、聴覚など外界から入力した情報と、脳自身が想起した情報を区別できない。


無意識、反射的をどうやって言語化、再現するか?



目、鼻、皮膚などが知覚センサーとして捕らえた、視覚、嗅覚、触覚は脳で他情報、これまでの経験と整合させるため、錯覚が起こることも多い

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脳は目から入った情報だけで判断するのではなく、目から入った情報をこれまで自分が蓄えてきた知識と照らし合わせて判断します。

目で見て、耳で聴く、のが基本ですが、実はそれだけでなく、全身の感覚を駆使して、これまで自分が蓄えてきた知識と照らし合わせて、状況を知覚、認識し、判断して行動しているようです。


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実は現在の最新のコンピューター技術を駆使しても、完璧に忠実に、コンピューター上で現実のことを再現するのは、難しかったりします。

ただ、人間の脳は、目、耳、鼻、皮膚などの知覚センサーが捉えた情報を、これまで自分が蓄えた情報と整合を取ろうとします。つまり、辻褄を合わせようとします。

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この、脳の辻褄を合わせようとする働きにより、コンピューター技術は、相当の省略が可能になり、現時点のコンピューター技術でも十分に対応が可能になります。

これまでは、VRは視覚、聴覚が中心でしたが、触覚、嗅覚、味覚なども、超音波などを利用して再現できるようになりつつあります。

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さて、VRではヘッド・マウンテン・ギアを装着しますが、30年前、NASAが初めて開発した時は、数千万円しました。今では、10万円程度でしょうか?

これは、大型コンピューターからパーソナルコンピューターへの普及のプロセスに似ており、専門家だけでなく、一般の人々でも利用が可能になります。

また、このヘッド・マウンテン・ギアを装着しなくても、スクリーン上でVRが再現できる技術開発も進んでいます。

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また、いわゆるVR技術ではありませんが、ドローンを活用し、空中から撮影した映像も活用すると、アスリートに有効であることも示されました。

アスリートと同じ高さでの撮影は古くから活用されていますが、上からの撮影はほとんど活用されておらず、例えば、ハンマー投げなどのアスリートの技術向上に極めて有効なことが示されています。

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また、これもいわゆるVR技術ではありませんが、人間はある行動をする時、必ず固有の予備動作をします。

例えば、じゃんけんのグー、チョキ、パーを出す際には、その人毎の固有の予備動作がありますので、AIを搭載したロボットには勝てません。

人間が、右にジャンプする、しゃがむ、ボールを投げる、などの動作をする時にも、必ず予備動作をします。

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つまり、アスリートだけでなく、すべての人について、これからどう行動するか、直前の予備動作から予測が可能になります。

VRはこれから、ますます開発が進みますが、このように、既に可能な技術を適用するだけで、人々の生活は大きく変わりそうです。







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人工知能は人に寄り添い、進んでいく

東大情報理工R2Pシンポジウム「情報理工学系研究の最新動向」

という案内が来ました。

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AI(人工知能)、VR(仮想現実)、ロボット、ビッグデータなど、急速な進歩を遂げ、それぞれが関連し合う分野の研究状況を伺うのは、

興味深いのですが、進捗、融合が速すぎて、キャッチアップ、アップデートするのが大変です。

このシンポジウムは毎年この季節にあり、

人工知能への情報理工学の取り組み

人工知能に大学、産業、ビジネスはどう対応する?

と、ここ2年はディープ・ラーニング(深層学習)、機械学習、強化学習などが研究開発が進む人工知能がメインテーマでした。

今回も人工知能がメインテーマであることに変わりないのですが、

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・ビッグデータだけでなく、ウェラブル・センサーにより、個々人の自分の行動履歴、パーソナルデータの活用に大きなポテンシャル。

・AI(人工知能)は人間に寄り添う形で開発していく。

・脳は現実に起きたことと、VR(仮想現実)により、再現されたことを区別しない。それゆえ、仮想現実ではなく、現実の一部を形成している。

・VR(仮想現実)を開発するよりも、VR(仮想現実)を生活に取り込んでいく。

などをお話しします。

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と言いつつ、上記のテーマをすべて書くと、とても長くなるので、ここでは、「人工知能は人に寄り添い、進んでいく」について書きます。

その他のテーマは、あらためて書きます。

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人工知能については、

ディープラーニングの先のAI(人工知能)

に書いたことを復習すると、

現在深層学習(Deep Learning)がAIに革命をもたらしています.

深層学習は機械学習のための大変強力な道具ですが,それだけでAIシステムの全てが実現できるわけではありません.

ボトムアップの機械学習とトップダウンの推論システムの融合により強力なAIシステムが構築できると考えていますが,その具体的手段はまだ確立されていません.

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ディープラーニングについては、

人々が住み、働く場こそ、人工知能、IoTの活用を

「茶わんの湯」から“予測する科学”「人工知能の予測と予期〜予測する科学と予期する工学」




人工知能の歴史

1.物理記号:知能の本質は記号処理。(→言語化、記号化できない暗黙知は扱えない)

2.パターン認識(画像認識、ニューラル・ネットワーク、ディープ・ラーニングなど)

3.環境との相互作用

超多層の学習であるディープ・ラーニングは、コンピューターの高速化により可能になった。(以前のコンピューターではリアルタイムは不可能で、数年かかった)

以前の知能システムは、認識→推論→行動、の順番で行っていたが、今は、認識、推論、行動のそれぞれを、パラレルで行い、相互にフィードバックする。

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ディープラーニングは、2012年、コンピューターによる物体認識の精度を競う国際コンテスト「ImageNet Large Scale Visual Recognition Challenge(ILSVRC) 2012」で、トロント大学のSuperVisionチームが採用した、もので、ディープラーニングのシステムは、人間の脳についての知識を利用して階層的に認識を行うシステムです。

従来の人工知能で採用されていたパターン認識では、人間の精度に勝てなかったのが、ディープラーニングは人間の精度を超えました。


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カンブリア紀を迎えた人工知能


従来の画像パターン認識では、人工知能は人間の目にに勝てませんでした。

つまり、コンピューターによる画像認識よりも、人間の目視の方が確実でした。


2012年に人工知能にディープラーニングというシステムが誕生しました。

ディープラーニングのシステムは、人間の脳についての知識を利用して階層的に認識を行うシステムです。

2015年2月に、なんとディープラーニングは、画像パターン認識において人間の精度を超えました。

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人工知能が人間の目の精度を上回る「目」を持った、と言えます。

これは地球の歴史45億年、生物の歴史40億年における、5億4000年前のカンブリア爆発、史上初めて、目を持った生物、三葉虫が誕生し、進化が急速に進んだ、になぞらえたりしてます。


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人工知能とロボットの目、手、足とセンサリング技術による知覚センサーが融合すると


人工知能は、目だけではなく、ロボットと融合することにより、手、足を手に入れ、センサリング技術の進化により、知覚センサーも手に入れました。

人工知能はチェス、将棋、囲碁では、既に人間の名人、チャンピオンを上回るようになっています。

ネットと実社会は既に融合しています。融合だけでなく、人工知能が目、足、手、知覚センサーを手に入れたことにより、ネット上で出来ることを、実社会へ展開するステージに来ています。


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人工知能は、

・脳科学をベースに人間の脳を人工的に実現することと、

人工知能と脳科学、この密接な関係


従来の人工知能で採用されていたパターン認識では、人間の精度に勝てなかったのが、人間の脳についての知識を利用して階層的に認識を行うシステムである、ディープラーニングを採用したところ、人間の精度を超えました。

人工知能の開発には、脳科学の研究が欠かせません。


・大量高速計算、検索、照合機能を活用して、人間はできないことを瞬時に行う


人の仕事が人工知能に置き換わる、よりは、人と人工知能のコラボにより、できることが急激に拡大する


コンピューターはデータをもとに、高速大量演算を行い、その結果を示します。


の2つの手法が主に行われていたが、これが統合されてつつあります。

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深層学習(Deep Learning)に加えて、機械学習、強化学習などを組み合わせたものが主流ですが、

ディープラーニングが、人間の脳の機能をベースに導入されたように、他にも人間の脳の機能を活用すると、新たな展開が期待できます。


人間の脳の機能としては、

・人間の脳は、視覚、聴覚など外界から入力した情報と、脳自身が想起した情報を区別できない。

・脳は意識して考える場合と、無意識に考える場合があり、後者の方が圧倒的に多い。

・機械学習がボトムアップで認識するのに対し、人間はトップダウンで推論し、後付けで、その推論を裏付けるデータを探していく。


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熟練医師、カリスマ医師の手術の「神の手」をロボットが学習


熟練、カリスマ医師の操作、プロセス、判断、動きをモーション・キャプチャーなどで記録して、ロボットに学習させます。

熟練、カリスマ医師とて、ミスはあります。人工知能では、ミスは繰り返さないよう、機械学習、強化学習することができます。

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この場合の、人工知能はあまり高度なもので、内容がブラックボックスになってしまうものではなく、人がトレース、修正できる程度のものがいいそうです。


人間と人工知能の競争?協奏?協創?


「人間が人工知能に取って代わられて、やることがなくなる」「人間が人工知能と競争する」よりも、

人間は人工知能が得意なことを利用、活用して、「人間が人工知能と協奏する、協創する」時代が訪れる


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人工知能はチェス、将棋、囲碁では、既に人間の名人、チャンピオンを上回るようになっていますが、

人工知能と人間の名人、チャンピオンの闘い、と違って、人工知能同士の闘い、は、人間にとって、あまり意味がないもの、と言えます。

人工知能が音楽の作曲、アート作品の制作も行うようになりましたが、人が共感、感動しない作品では、あまり意味がなさそうです。

ということで、人工知能は、人工知能同士の進歩だけでなく、人に寄り添いながらの進歩が大切なようです。

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人工知能はチェス、将棋、囲碁では、人々がこれまで知恵の蓄積としてきた定石ではありえない手を打ってくることが知られています。

人々の知恵の蓄積自体は貴重なものですが、中には、思い込みであったり、単なる慣習に過ぎなかった、ものもあるかもしれません。

人工知能が人間が自ら課していた枠組みを外してくれたのかもしれません。




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ビッグデータからパーソナルデータへ

東大情報理工R2Pシンポジウム「情報理工学系研究の最新動向」

という案内が来ました。

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AI(人工知能)、VR(仮想現実)、ロボット、ビッグデータなど、急速な進歩を遂げ、それぞれが関連し合う分野の研究状況を伺うのは、

興味深いのですが、進捗、融合が速すぎて、キャッチアップ、アップデートするのが大変です。

このシンポジウムは毎年この季節にあり、

人工知能への情報理工学の取り組み

人工知能に大学、産業、ビジネスはどう対応する?

と、ここ2年はディープ・ラーニング(深層学習)、機械学習、強化学習などが研究開発が進む人工知能がメインテーマでした。

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今回も人工知能がメインテーマであることに変わりないのですが、


・ビッグデータだけでなく、ウェラブル・センサーにより、個々人の自分の行動履歴、パーソナルデータの活用に大きなポテンシャル。

・AI(人工知能)は人間に寄り添う形で開発していく。

・脳は現実に起きたことと、VR(仮想現実)により、再現されたことを区別しない。それゆえ、仮想現実ではなく、現実の一部を形成している。

・VR(仮想現実)を開発するよりも、VR(仮想現実)を生活に取り込んでいく。

などをお話しします。

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と言いつつ、上記のテーマをすべて書くと、とても長くなるので、ここでは、「ビッグデータからパーソナルデータへ」について書きます。

その他のテーマは、あらためて書きます。


データサイエンスが先導するマーケティングイノベーション・クラウドのビッグデータを価値に変える

ビッグデータの最近の潮流としては、

意図しなかったビッグデータから、プロセス、結果を織り込んだデータへ


・意図しなかったビッグデータから、プロセス、結果を織り込んだデータへ

ビッグデータという言葉が最近よく使われます。

ビッグデータとは、記録の、自動化、大量化による、「意図しない」データであり、これら「眠っているデータ」を発掘すれば、もの凄い「宝の山」が埋もれているのではないか?と思われていました。

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しかし、結果として得られた「結果データ」と、その結果が得られたプロセスでの「プロセスデータ」がセットになるように、データ取得がデザインされていないと、せっかくのビッグデータも活用できないことが指摘されるようになってきました。

どの「結果データ」がほしくて、その「結果データ」に影響を及ぼす「プロセスデータ」は何なのか?何の可能性があるのか?

ストーリーを構築し、結果とプロセスを織り込むようにデザインする、ことが大切になってきました。

そろそろ、「意図せずに、大量にとれていたデータの発掘」から、「計画的に、プロセス、結果を織り込んだデータの取得」に向かう時では、と考えます。


・そうは言いつつも、意図せずに、記録の、自動化、大量化により、いろいろなところに残され、埋め込まれた大量データを分析すると、思わぬ「宝物」が発掘される。

その量は膨大で、人間の予想をはるかに超えるもので、分析すると、何がわかるか?計り知れない。

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ウェラブル・コンピューター、自分のライフログ(生存・生活記録)が可能に?

高齢化時代のヒューマンインタフェース技術


ウェラブル・コンピューターと言って、腕時計、メガネなどに装着する形で、コンピューターを人間に取り付けることができます。それゆえ、24時間365日人体の記録(血圧、体温、血流量、脈拍、歩行量、など)を測定できるようになります。

これまでは、仮に測定できても、そのような莫大な容量の記録データは保存しようがありませんでした。

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情報技術では、

ムーアの法則:計算機素子の能力は18ヶ月で2倍になる

ギルダーの法則:通信回線の速度は9ヶ月で2倍になる

と言われています。

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例えば、昔のスーパーコンピューターのハードディスクの容量が、今ではすっぽりとノートパソコンに入ります。

それゆえ、24時間365日人体の記録(血圧、体温、血流量、脈拍、歩行量、など)データが保存可能になります。

すると、人間は病院に行かなくとも、主治医がデータを見て、病気の診断、薬の処方、をすることができるようになります。

なお、人間に24時間365日装着されるコンピューター(ウェラブル・コンピューター)は、医療以外にもマーケティング調査(店舗での人々の消費行動)、快適感調査(住宅内での生活者の行動)など、応用範囲はかなり多い、と考えられます。


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人間・テクノロジーの未来「インタラクションからインテグレーションへ」


Google検索、世界の事はわかるが、自分のことは検索できない。「昨日何を食べた?」「1週間前に会ったあの人の名前は?」など。これが自動的に記録され、必要な時に引き出せると、人間の機能が驚異的に向上する

カメラ付きのメガネで視線が追ったもの、食べたものをを自動的に記録する、簡単なイア・センサーで聞いた音、話したことを録音する、など、

人間の行動が自動的に記録され、かつ、検索できる


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人と人工物の新たな関係性を目指して、人工物はAR(拡張現実)


スマフォなどの人工物は、各自により、状況により、使い方のパターンがある。すると、その使い方のパターンにより、各自の状況(好調か、不調か)などがわかる。


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社会の動向をビッグデータから読み解き、これまで誰も気づかなかったポイントを見出す、のもよいもですが、

個々人にとって、もっと重要なのが、自分の行動履歴、パターンだったりします。

PC、スマフォの閲覧箇所、滞在時間、GPSによる行動履歴などを確認すると、自分も気づかなかった自分の活動、行動パターンが浮かび上がってきます。

記憶は、いい加減なのですが、記録は間違いありません。

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ウェラブル・センサーが安価で、エネルギー・ハーベストなどにより、給電、配線が不要になり、取得したデータは、スマフォまで送り、Blutoothで外部サーバーへ送れば、大量データも扱えるようになりました。

すると、PC、スマフォの閲覧、GPSによる行動、人体の記録(血圧、体温、血流量、脈拍、歩行量、加速度など)を重ね合わせることができるようになりました。

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すると、例えば、実は忙しいのに、無駄な空き時間があり、買い物、電車に乗る時刻を少し変えると、スムーズ

電車の乗り換え時間が短く、走らざるを得ず、加速度、血圧、脈拍が急激に上昇している

食事の時間、ジムに行く日、入浴の時間を組み替えると、便利

などなど、いろいろなことがわかってきます。

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いずれ、この編集、組み換え作業も人工知能がやってくれるかもしれません。

自分の活動、行動パターンは、わかっているようで、実は気づいていないことがかなりあります。

取得、活用できるパーソナルデータが増えると面白いことになりそうです。



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2018年03月04日

システムが複雑になり、相互に関連し合う、システム創成原論

東京大学大橋弘忠教授「システム創成学原論」

という案内が来ました。

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工業化による大量生産、高度経済成長時代までは、社会の仕組みは単純でした。

品質がよくて、安い製品を大量に生産して、消費者に届ける。

生活は豊かになり、会社は儲かり、大きくなる。

実は、この頃から工場による大気汚染、水質汚濁、交通増による渋滞など、問題も顕在化してきました。

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さらに、社会が進むと、複雑になるだけでなく、それぞれが相互に関連し合うようになりました。

仕組みが単純な時代は、正解が明確で、予測もしやすいものでした。

問題の原因も、物事を細分化していけば、特定できるものでした。

ところが、複雑化し、相互に関連する社会では、正解がない、予測できない、原因も不明になりました。

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これについては、以前にも考えました。

システム・イノベーション、独立したシステムがゆるやかにつながると

システム理論、システム思考、そしてシステム科学


工学は自然法則を活用し、主にものづくりを行っていました。

ところが、産業革命により、モノの生産性が大幅に向上し、

交通、物流も大量、高速になりました。

すると、人、モノの流れ、動きが劇的に変化し、これまでの配置、ストックでは対応できなくなりました。

そこで、線形計画法、オペレーションズ・リサーチなど計画、オペレーション、システムを扱う必要が出てきました。


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体系的に学ぶには歴史をたどることが不可欠、MOT(技術経営)の歴史とは?


マネジメントという概念、考え方が生まれてきたのは、産業革命以降、これまで手工業だった工場、生産現場が機械化され、大量生産が実現するようになったころでしょうか?

フォード社が、規格化によって部品互換性を確保することにより、1908年にT型フォードの大量生産に成功し、これが大量生産技術の始まりとなりました。

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「経営学の父」と呼ばれたフレデリック・テイラーが、1911年に科学的管理法を提唱し、「作業管理」「作業の標準化」「作業管理のために最適な組織形態」などが取り扱われるようになりました。

この科学的管理法が可能になるためには、数量的に「計測できること」「記録できること」が基本で、統計の基本が欠かせません。

生産工程の機械化、数量的管理により、当初、マネジメントは生産性向上のため、が主体でした。

例えば、機械化を導入したのに、思惑通りに、生産性が向上しない、生産工程をチャート化したところ、思わぬところに、ネックがあった、などという手法、線形計画法などの開発も進みました。

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当初は生産性向上に利用されていた、マネジメントは、組織、経営、財務、人材にもその考え方が適用されるようになりました。

このように、これまで勘、経験、運で行われていた、経営の世界に科学的手法が導入されるようになりました。


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それぞれの、システムは生産、流通、経理、管理など基本的に業務ごとに独立して使われていました。

社会、時代が高度に発達し、複雑になってくると、それぞれの業務が「独立」ではなく、相互に、かつ、包括的に関連しあうようになりました。

それに伴い、それぞれの業務ごとのシステムも、「独立」ではなく、相互に連携が取れた方が便利になります。

アナログ、バッチ処理の時代は、システム間の連携は、非常に難しかったのですが、デジタル化、ネット化などにより、可能になりました。

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ユビキタス社会は既に到来、IoT、IoSの社会へ


すべてのモノがインターネットにつながる、のではなく、インターネットのように、すべてのモノ、サービスがつながる。

坂村先生が提唱されていたユビキタス・コンピューティングの世界が、IoT(Internet of Things)、IoS(Internet of Services)の形で実現しつつあります。

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坂村 健 東大教授「イノベーション基盤としてのユビキタス・ネットワーク」


共通のインフラ(例えば、インターネット)上では、インフラ上の異なる内容が組み合わされる「マッシュアップ」という現象が起きます。

すると、当初は想定もできなかった「化学反応」が起きて、社会全体が急激に変わります。

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ユビキタス・ネットワークは、インターネットをはるかに超える「インフラ型イノベーション」です。

食品、衣服、雑貨、家電などすべての物に、世界でひとつしかないチップが装着され、チップとサーバーがリアルタイムで情報を更新し、すべての物の現在の状況が自動的に認識されます。

これらが、経済システム、医療・福祉システム、交通システム、教育システム、行政システムなどの社会インフラとして定着すれば、インターネットによるネットワークをはるかに超える大きな社会変動をもたらす可能性があります。



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さて、では、出たお話をまとめます。

・制約により、新たな可能性が生まれる。

・生物は機能できないモノは滅亡する

・ときどきの悪い結果は、より悪い結果を防ぐ

・ストレスが蓄積することにより、脆弱性が潜在するようになる

・トラブルは脆弱性をあぶりだす好機

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・システムが複雑になるだけでなく、お互いに相互作用すると、どうすれば最適化できるか不明

・知識よりも、知識の活用

・正解がない、原因もはっきりしない、予測できない状況では、新しいものを探索しながら、同様な状況でうまくいった経験を活用する

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・膨大、複雑な全体のコントロール、マネジメントは困難

・すべての情報を知ることはできず、不確定、不確実なものがある。

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・完全な目標を目指すのが難しい場合は、手近なもので何とかする。

・変えられるものを見つけ、よりよい方向へ踏み出す。よければ進み、よくなければ戻る。

・経路依存性が大きい。たまたま起きたことが影響する。




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2018年03月01日

理工系、コンピューター、センサリング技術の進歩の取り入れとの闘い

今年度で退職なさる先生方の最終講義の季節です。

最終講義は、その先生の研究の重要なエッセンス、研究の展開の歴史、科学・技術の発達と専攻分野の研究の連携、がうかがえて、とても有益です。

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東大工学部化学システム工学専攻山下晃一教授「エネルギー変換の理論・計算化学」

に伺います。

理工系の先生方、すべてに言えることですが、コンピューター、センサリング技術が急速に進歩してきた時代でした。

紙と鉛筆の時代から、いち早く、これらを取り入れることが大切でした。

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つまり、本来の専攻の研究だけでなく、コンピューター、センサリング技術をどうやって専攻の研究に活かすかを実践することが不可欠でした。

1980年代前半までは、理学も工学も、世の中の現象は、すべてについて、簡単な方程式であらわすことができる、という幻想がありました。

アカデミアは、理論的に、その方程式を求めることが大切で、計算とは、その方程式に数値を代入すれば求まる、単純作業というイメージだったでしょうか?

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工学研究は、人との出会いによる他分野、新技術、コンピューターの進歩の取り入れ




素晴らしい工学の研究者とお会いして、伺うことが、

(1)人との出会いによる他分野、新技術の進歩の取り入れ

(2)コンピューターの進歩の取り入れ(研究本体の解析の進化、に加えて、自動計測、データの可視化など研究周辺分野の充実)

でしょうか。

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工学の自然科学化から社会科学化、そして人間科学へ


産業革命以降、蒸気機関による鉄道、船、飛行機あるいは鉄、コンクリートによる建築物ができると、飛行機の空気による揚力、抵抗、船と波の相互作用、建築物の耐震、耐風など、これまでは考える必要のなかった、新しい自然と人工物の関係が生まれてきました。


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数学は理性の音楽、数楽しましょう


19世紀まで数学と物理に明確に区別はなかった。当時の数学は紙と鉛筆でする学問。20世紀初め、非線形問題などについて、ポアンカレですら、人力による定量的追求を放棄し、数学は定性的、理論的な研究が指向される。


産業革命以降、取り扱う問題が、膨大、複雑になり、まだコンピューターがない当時の、紙と鉛筆では対応しきれなくなり、定量的追求を放棄し、上記のように、数学は定性的、理論的な研究が指向されるようになります。

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数学は理性の音楽、数楽しましょう


20世紀後半、コンピューターの発達により、定量的追求だけでなく、これまで見えなかった時空間が可視化され、人々が容易にイメージできるようになり、応用する道具としての数学だけでなく、研究対象としての数学も急速に進むことになった。


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コンピュータと「巨大頭脳」


産業革命以降、蒸気機関による鉄道、船、あるいは飛行機が発明、開発されていくのですが、人間が計算を行う限界をはるかに超えるようになりました。

1940〜50年代にリレー式、真空管式など大型コンピューターが出現し、人が行っていた大量の計算を瞬時で行うようになりました。

これまで、大勢の人が数か月かかっていた複雑な計算を瞬時に行ってしまうこと自体、当時劇的だったのですが、コンピューターは情報を処理し、計算し、結論を出し、選択することができるのだから、自ら考えることができる、という考えが出てきて、1956年には人工知能という言葉が生まれます。

最近、話題の人工知能ですが、生まれは1956年とかなり古いものです。


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多分野の研究が生み出す、応用と相乗作用


「TAK」さんが学生だった1980年代、科学技術の計算には、大型計算機が利用され、工学部の学生はプログラム言語としてFORTRANが必修でした。今から考えれば、「過去の遺物」なのですが。

パソコンは工学部には普及を始めていましたが、インターネットはまだなく、また、パソコンもメーカーが違うと、例えば、NECのパソコンのデータは富士通のパソコンでは使えない、つまり互換性がない、という、今では信じられない時代でした。

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実験データを手入力して、グラフ化するなどの作業をパソコンで行っていました。

機械、建築系の学生は「製図」が必修でしたが、CADがようやく始まった段階で、なんと鉛筆、あるいは烏口と呼ばれる道具を使って墨で描く、作業でした。

つまり、構造、耐震、流体などの個別の計算を大型計算機で行い、この結果を手作業で「製図」に落とし込む、

という、極めて非効率な作業を、当たり前のように、行っていました。

一連の作業はやがて、パソコンにより、自動化、システム化する設計に急速に変貌します。


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ひとくちに理工系と言っても、理学と工学、工学と言っても、土木、建築、機械、電気、化学など様々な分野で、

それぞれのコンピューター、センサリング技術の進歩の取り入れとの闘いがあったこと、これからも続いていくこと、が伺われます。





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理工系、理論と実験の間を彷徨い歩く

今年度で退職なさる先生方の最終講義の季節です。

最終講義は、その先生の研究の重要なエッセンス、研究の展開の歴史、科学・技術の発達と専攻分野の研究の連携、がうかがえて、とても有益です。

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東大工学部化学システム工学専攻山下晃一教授「エネルギー変換の理論・計算化学」

に伺います。

先生はフロンティア電子でノーベル化学賞を受賞された京都大学福井謙一先生の研究室の出身です。

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理工系研究では、理論と実験が両輪となり、進んでいき、そのバランスが大切ですが、実際にはバランスは難しく、理論が先行したり、実験が先行したりします。

化学工学の分野は、主として、実験が重視される研究分野です。

その中で、先生は理論の大切さをお話しされました。

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実験とは未知の事象を解明、検証すること、得られた知見は記録し、発表する




「TAK」さんは、理工系ですが、小中高校、大学を通じて実験が嫌いでした。

なぜかというと、物理、化学などで、決まりきった条件で、決まりきった結果を再現するのが実験。

ただ、本で学ぶだけでなく、自分で再現し、確認することに意義がある。

「TAK」さんが小中高校、大学の頃の、実験とは、そんな感じだったでしょうか。

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大学院に進むと、様相がガラッと変わります。

既に得られている知見をもとに、未知の事象を解明するために行うのが実験の役割。

意図している実験を、正しく再現するよう、制御できるか、計測できるか

すべての状況を実験で行うのは難しいので、シミュレーションも併用するのですが、重要なポイントは実験で検証しておくことが大切です。

実験は意図したとおりの結果が得られなかったとしても、その「ずれ」「違い」に新たなヒントがあったりします。

すなわち、上記のように、実験とは未知の事象を解明、検証するための重要な手段です。


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「理論を現象で検証する」から「現象から理論を導き出す」へ




100年前のアインシュタインは、一般相対性理論を構築し、重力の源があると、周りの時空にゆがみが生じることを発表し、3年後の日食で、実際に、星から来る光は、太陽のそばを通る時に屈折すること検証しました。

一方、梶田先生は、スーパーカミオカンデでの観測結果より、ニュートリノ振動、つまり、小さいながらもニュートリノに質量があること、を発見しました。

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拡張現実と予感のセンシング、インターネットからセンサーネットの時代へ




仮説を構築し、検証する枠組みが成り立たなくなっている。それよりも、大量高速で、試しにやってみて、うまくいったポイントを数値的に記録しておき、まず成立させた上で、なぜ成立するのか?論理的に考察していく方が手っ取り早い。


と書きました。

科学の世界でも、「仮説を構築し、検証する」スタイルから、「現象から論理的に考察」に移行していることを感じた講演会でした。


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ここでは、

・得られている知見をもとに、未知の事象を解明するために行う実験の重要性

・変化が速い時代には、仮説を構築して検証するよりも、大量高速に実験

と。主として実験の重要性について書きました。

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理論と実験については、両方を備えつつ、両輪のように展開していくのが望ましいのですが、実際には、理論系、実験系に分かれてしまうのが、専門が分化した時代の悲しいさがでしょうか?

理論系の研究者は理論で、実験系の研究者は実験で、推し進めようとします。

企業研究者が考える社会実装学




簡単な計算により、優劣は自明なのですが、研究開発者には、自分が携わる技術へのこだわりが強く、簡単には棄却したり、他の利用法を考える、ことができないようです。


と書きました。

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理論効率が低い分野に、実験の労力、資材を投入するよりも、理論効率が高い分野、かつ、現在は、まだそのレベルを達成しておらず、可能性が大きい分野の方が有効です。

すなわち、理論を検討することにより、無駄な実験を省いて、有効な実験に集中することができます。

簡単なことなのですが、上記のように、「研究開発者には、自分が携わる技術へのこだわりが強く、簡単には棄却したり、他の利用法を考える、ことができないようです。」

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理論と実験の間を彷徨いつつ、バランスをとることの大切さを考えた最終講義でした。





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