2019年03月

2019年03月29日

人間とAI(人工知能)の協調で創造性が進化する

ヒューマンオーグメンテーション学シンポジウム「Augmenting Creativity: AI×人間時代の創造性」

という案内が来ました。

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ヒューマンオーグメンテーションは、人間とテクノロジーを一体化させて人間の能力拡張を行うことを意味します。

具体的には、知覚の拡張、身体能力の拡張、認知能力の拡張、存在の拡張など幅広い能力拡張を目指し、それぞれに関わるAR・VR、ロボティクス、人工知能やヒューマンインターフェースといった分野を研究していきます。

ヒューマンオーグメンテーションの考え方ではこうした学問分野を能力拡張のための技術として捉え直し、IoA(Internet of Abilities・能力のインターネット)を中心に据えた社会構築を目指していきます。

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このシンポジウムには、これまでも

「自分の身体」という暗黙の周囲、世界を評価する基準が変化すると、どうなる?

「理屈じゃなくて、身体で覚えろ」では、「局所最適」止まり、緊張すると失敗するのはフィードバックが機能しないから?

に参加しています。

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「創造性」人間だけに固有に備わっているものに聞こえるかもしれません。

歴史を振り返ると、絵の具や写真のような道具、技術によって、人間の創造性が刺激され、今までにない作品が生まれる、ということが繰り返されてきました。

つまり、創造性とは、人間が固有に持っているものを引き出す、というよりも、周囲、環境とのインタラクションにより、作り出されていくようです。

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人間の仕事、あるいは、人間自体が、AI(人工知能)に置き換わられてしまう、という恐怖が蔓延しています。

実際には人間とAI(人工知能)のインタラクション、協調が、新たな創造をもたらすことになりそうです。

将棋、碁などAIが名人に勝った事例のみが紹介されますが、人間がAIを活用すると、AI単独、人間単独に勝つ事例が報告されています。

人工知能と人間が一体化した「AIx人間」の未来の創造性はどうなるのでしょうか?

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創造性とは、自分の評価軸の外側からやって来ます。

AI(人工知能)を活用する場合、自分の思考パターンを提供してもらうのではなく、あえて、適度に「ずらした」パターンの提供が望まれます。

ある活動を継続するには、緊張状態とリラックス状態の適度なバランスの継続が大切です。

また、人間とAI(人工知能)が協調するには、完全にAI(人工知能)がやってしまうと飽きてしまいます。

それよりも、自分の活動、動きにより、目的とされる自動車などが、ある程度、コントロールできることも大切です。

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眼鏡、ランニングシューズなどは、既に装着して人間の機能とされています。

この、当然のことも、人間とテクノロジーを一体化させて人間の能力拡張と考えられます。

眼鏡が発明される前、視力が悪くて、敵の接近を発見できないことは、致命的な障害でした。

1964年の東京オリンピックでは、マラソンを裸足で走るアベベ選手が優勝しましたが、その後の、ランニングシューズの弾力性、反発性の技術は、アスリートの記録を大きく伸ばしました。

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それぞれの人に適したAI(人工知能)を装着し、一体化させて人間の能力とする時代は、もうそこまで来ています。

あるいは、ある活動に必要な機能をAI(人工知能)を活用してダウンロードする未来も決して遠くはない、かもしれません。

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親から言葉を学ぶ、まねるプロセスをAIが代行し、外国語をマスターする技術は既に実用化されています。





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2019年03月20日

学問が技術を進化させるとともに、技術が学問を進化させる

退官される先生方の最終講義の季節は、毎日、美味しく、貴重な知識、知恵の豪華ディナーを食べているようなぜいたくな気分です。

食べるだけでなく、得た栄養をしっかり使いたいです。

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今日は、

システム創成学専攻粟飯原周二 教授最終講義「破壊力学の研究動向と将来展望」


に参加します。

粟飯原先生は博士課程修了後、大学に残られたのではなく、長らく新日鉄に勤務しておられました。

学生時代に機械工学材料力学を専攻していた「TAK」さんは学会の研究会で何度か、お世話になりました。

そして13年ほど前に東大に移られました。

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今の時代、専門は一つではなく、いくつか持ち、また、移っていきます。

「TAK」さんの場合、材料力学、耐震工学、エネルギー工学、技術経営、と移ってきました。

一度、専攻した分野は、それなりに専門であった自負もあり、十分な知識がある、と思っています。

ところが、それが「落とし穴」技術の進歩が速い現代では、昔の知識は、あっという間に陳腐化します。

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工学の基本、材料力学の進化、鋼構造から軽量材料へ


機械工学では、科学をモノづくりに活用する基本として、材料力学、流体力学、機械力学、熱力学を学びます。

工学の自然科学化から社会科学化、そして人間科学へ


建築物、船などは、昔からありましたが、その設計、建造に、科学的知見が取り入れられるようになったのは、日本では明治以降、世界でもニュートン、ベルヌーイ、ライプニッツらの自然科学的知見が出てくる近代になってからで、それまでは大工、職人の経験、勘によるものでした。

産業革命以降、蒸気機関による鉄道、船、飛行機あるいは鉄、コンクリートによる建築物ができると、飛行機の空気による揚力、抵抗、船と波の相互作用、建築物の耐震、耐風など、これまでは考える必要のなかった、新しい自然と人工物の関係が生まれてきました。

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この、新しい自然と人工物の関係は、理学ではなく、主として、これら鉄道、船、飛行機、建築物、をつくった工学が担当することとなりました。

そこで、流体力学、材料力学などの学問が生まれました。

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鉄道、船、飛行機、建築物をつくる、工、技術に対して、新しい自然と人工物の関係の評価は、工、技術よりも、むしろ観察に近い自然科学的手法が取られます。

これは、自然科学の知見を取り入れて、モノ、技術を創りだす、という方向から、創り出したモノ、技術を自然科学的手法で評価する、という、一種のパラダイムシフトを生むことになります。

この自然科学から技術へ、技術を自然科学で評価、という両方向を使いつつ、技術は進歩していくことになります。


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理工系、理学と工学の間をさまよい、揺れ動く


「自然科学の知見を取り入れて、モノ、技術を創りだす、という方向から、創り出したモノ、技術を自然科学的手法で評価する、という、一種のパラダイムシフト」は大変興味深いもので、これがあるからこそ、工学研究者は新しい真理を自ら見つけつつ、技術を進歩させていくのかもしれません。


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理工系、理学と工学の間をさまよい、揺れ動く


「理工系、と一口で言うけれど、理学と工学では、研究に対する考え方、姿勢、ビジョン、哲学が随分異なる。

真理を探究する理学と、その探求した真理を社会に適用する工学。

宝探しをする理学と、見つけた宝を社会に役立つように磨く工学。

理学、工学に特化した研究者もいる一方、両者の間を彷徨い、揺れ動く研究者も多い」

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文系と理系、目的論とメカニズム、融合ではなく、両方必要?


工学部、理学部では、自然現象、あるいは、それらを模した実験を観察します。

そして、その観察から導き出されるファクト、メカニズムを得ようとします。

理学では、自然の真理を探究することが主目的ですが、工学では、その導き出されたファクト、メカニズム、を活用して、よりよい社会つくりをしていくことになります。



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「鉄道、船、飛行機、建築物をつくる、工、技術」において材料力学が基本となる訳ですが、材料としては軟鋼を主体に、材料力学は記述され、学ばれていました。

鉄道、船、飛行機、建築物の材料の基本は、軟鋼であり、それをベースに、弾塑性解析、応力、ひずみの計測、解析が行われていました。

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ところが、燃料コスト削減などの社会的要請から、飛行機、自動車などの軽量化が進み、これらの材料が軟鋼から、高強度の軽量鋼、高強度プラスチック、グラファイト、チタンなどの複合材料に代わってきました。

軟鋼は「軟らかく」て、変位を大きく取って、荷重を吸収してきましたが、高強度の軽量鋼では、小さな変位しか許容できません。

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軟鋼と高強度の軽量鋼、高強度プラスチックでは、弾塑性解析の基本となる、応力とひずみの特性などが大きく異なります。

年配のエンジニアが昔の教科書を取り出してきても、時代遅れだったりします。


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材料の強度についての学問が材料力学ですが、材料にき裂が入った場合には、材料力学の中の専門分野の破壊力学が使われます。

材料力学では、断面に荷重が均等に負荷されるのが原則ですが、き裂が入った材料では、負荷は均等ではなく、き裂先端に応力が集中し、き裂が進展していきます。

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こういった現象を説明するのに、応力拡大係数Kという係数が導入されましたが、(応力)×(長さ)1/2という、説明しづらい次元です。

破壊力学はアメリカ海軍研究試験所のIrwinがタンカー、スケネクタディー号の事故より1950年代に導入した学問体系ですが、

上記のように、(応力)×(長さ)1/2という、説明しづらい次元がある、経験則に基づくところもあり、材料が軟鋼が主体の時には、有効性を発揮しましたが、1980年代後半に、軟鋼以外の材料が、船舶以外に海洋構造物など、それまでと異なる環境で使用されると、必ずしも成立しない事例が見られるようになります。

これが線形破壊力学の破たんです。

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学問体系の破たんは珍しいことではなく、

一般相対性理論は、量子力学の世界では、成り立ちませんでしたが、朝永振一郎先生の繰り込み理論により、成立するようになりました。

また、梶田先生のニュートリノ振動、ニュートリノにも、わずかながら質量がある、という発見は、素粒子標準理論の破たんを示すものです。

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そもそも材料力学はマクロの学問であり、結晶、分子構造のミクロ構造から導かれる力学とは、整合しないことが指摘されていました。

破たんしたので、おしまい、ではなく、ミクロとマクロの融合が試みられ、材料力学、破壊力学は新たな進化を遂げていきます。

一般に学問の進化が技術を進化させる、と考えられますが、このように、技術の進歩が学問の進化をもたらし、共に進化していく事例もたくさんあります。

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人工知能、ロボットなどの最先端工学だけでなく、材料力学のような基本工学も、決して不変ではなく、従来の学問体系では対応できず、技術に進歩に応じて進化していることを感じました。

また粟飯原周二先生のように、企業の最前線と学問体系を併せ持つと本当に強いことも感じました。








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2019年03月16日

排熱、廃熱を電力で回収する熱電変換技術

アンビエントロニクス研究所第1回シンポジウム

という案内が来ました。

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アンビエントロニクス

とは、

生活環境には、未利用のまま捨てられている微弱なエネルギーがあちこちにあります。

その微弱なエネルギーを採取して電気に変換する技術を「エネルギー・ハーベスティング」と呼びます。

これが実現されれば、小さな電力で動作するセンサなどを、半永久的に、無給電で動作することができます。

あらゆるモノがワイヤレス通信でつながるInternet of Things(IoT)社会を実現するための、カギとなるテクノロジーです。

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IoTを進めるためには、センサーに電源ケーブルを配線するのは現実的ではありません。

そのため、周囲環境の熱、振動などからエネルギーを取得し、電源とするエネルギー・ハーベスティング技術が進んでいます。

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熱を電気に変換するゼーベック効果は大昔に発見されていますが、効率が低いため、あまり実用化されていませんでした。

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近年、ナノ材料の利用などにより、効率が向上し、上記のマイクロサイズだけでなく、もっと大きな設備にも検討が進んでいます。

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排熱回収は、コジェネレーションなど、給湯、暖房で回収する技術は実用化されていますが、熱需要は大きなものではなく、多くの排熱が無駄に捨てられていました。

これが電力として回収できると、ぐっと省エネが進みます。

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これについて、

熱電変換技術で廃熱を電気に変えてリサイクル

に書いているので、再掲します。

熱電効果については、

熱電効果について

熱から電気を発電

にもあるように、1821年にトーマス・ゼーベックにより「ゼーベック効果」

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物質の一端を暖め、 もう一端を冷やして温度差をつけると、両端に電圧が生じ、電流が発生する

が発見されました。

逆に、電流を流した時に、接触面で熱量の発熱または吸熱が起きる現象、ペルチェ効果も1834年に発見されています。

このように現象自体はずっと前から発見されていましたが、変換効率は10%以下と低く、産業、生活に利用されることは、あまりありませんでした。

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コプロダクションという考え方




コジェネレーションは燃料電池、エンジンなどで発電をしながら、排出される熱を捨てることなくお湯に変えて、効率的に利用するシステムです。

工場、ビルの他、最近では住宅でも利用されるようになってきています。

コプロダクションは、電力と排熱だけではなく、電力などのエネルギーとともに水素などの物質を併産する、新しいシステムの考え方です。

例えば、製鉄所では鋼材を圧延するプロセスで、大量の熱を放出し、冷却するのに大量のエネルギーを使います。

一方、原油から石油を精製するには大量の燃料による熱を必要とします。

であれば、製鉄所と石油精製工場を隣接して作れば、製鉄所の排熱を石油精製工場の燃料にすれば、効率的です。


と書きました。

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熱が、排熱として捨てられてしまう、のは、もったいないので、再利用しよう、という考えも早くからありましたが、

ただ、熱を電気に変換するよりも、熱を熱のまま、利用する方が、はるかに効率が良いので、上記のように、

燃料電池、エンジンなどで発電をしながら、排出される熱を捨てることなくお湯に変えて、効率的に利用するコジェネレーション・システムは、

工場、ビルの他、最近では住宅でも利用されるようになってきています。

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このコジェネレーション・システムは、発電と熱の総合効率が80%を超える高効率なものですが、

発電と共にお湯、暖房の需要がなければ利用できない、

一般に、電力需要の方がお湯、暖房の需要よりも大きく、コジェネレーション・システムを利用しても、排熱として捨てられてしまう熱が相当ある

こともわかってきました。

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最近になって、ナノテクノロジーの発達により、

電気は通しやすく、熱は通しにくい

熱電変換効率が従来よりも高い材料ができるようになりました。

また、せっかく熱を電気に変換してもためておくことが難しかったのですが、蓄電池が急速に発達したおかげで、これも難しいことではなくなりました。

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このように、技術の社会への適用は、

単独の技術ではなく、複数の技術の組み合わせ、周辺技術の発達により、起きることがよくあります。

技術、学問、社会は絡み合いつつ、一体となって進むから、面白い!




今後、技術、学問、社会は絡み合いつつ、どのように進んでいくのか?楽しみです。


と書いたとおり、実用価値がないとされていた技術が、上記のように、

複数の技術の組み合わせ、周辺技術の発達により、急激に活用されるようになるのが面白いところです。

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この熱電変換により、自然環境からエネルギーを取り込んで、電気に変換して機器、装置が動く、世界が既に実用化しています

例えば、体温により充電する腕時計、スマートフォーンが実用化段階です。

究極の"自家発電"は"自己発電"だった!? 腕時計やスマホの充電池など実用化も進む

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また熱電変換の高効率化も進んでいます。

変換効率11 %の熱電変換モジュールを開発


今後の展開が楽しみです。



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2019年03月10日

人間と技術の融合による、人間の能力の拡張について

暦本研究室(東京大学大学院情報学環)のオープンハウス

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人間や人工物がそれぞれの能力を時間・空間の制約を超えて活用する、

Human AugmentationやInternet of Abilities(IoA)という概念を提唱し、様々な研究を展開しています。

オープンハウスでは、この考えに基づいた研究成果を中心に、各種研究を展示いたします。

という案内が来ました。

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このオープンハウスには以前にも参加したことがあり、その様子は、

人間と技術の融合による、人間の能力の拡張

に書いてあります。

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バーチャルリアリティとは、コンピュータの作り出した空間の中に入り込み、そこでいろいろな体験をしようという技術のことです。

また,複合現実感技術は、現実空間にコンピュータによる情報を重ねたり,コンピュータに現実空間の情報を取り込む技術で,HMD等を用いることで現実空間で現実以上の体験を実現することができます。

これらの技術では、コンピュータと現実、コンピュータと人間のより密接な関係を実現する様々な技術が 研究されています。


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「理屈じゃなくて、身体で覚えろ」では、「局所最適」止まり、緊張すると失敗するのはフィードバックが機能しないから?


ヒューマンオーグメンテーションは、人間とテクノロジーを一体化させて人間の能力拡張を行うことを意味します。

具体的には、知覚の拡張、身体能力の拡張、認知能力の拡張、存在の拡張など幅広い能力拡張を目指し、それぞれに関わるAR・VR、ロボティクス、人工知能やヒューマンインターフェースといった分野を研究していきます。

ヒューマンオーグメンテーションの考え方ではこうした学問分野を能力拡張のための技術として捉え直し、IoA(Internet of Abilities・能力のインターネット)を中心に据えた社会構築を目指していきます。


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究極のテクノロジーは、人間と相対するものではなく、人間そのものと一体化し、人間を拡張していくもの。

既にAR(拡張現実)は、人間の一部になり、人間ができることを飛躍的に拡大している

そんな感じがした研究室公開でした




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2019年03月07日

人工知能、深層学習についての整理

「深層学習の先にあるもの ? 記号推論との融合を目指して(2)」公開シンポジウム

という案内が来ました。

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このシンポジウムは昨年も開催され、その様子は

ディープラーニングの先のAI(人工知能)

に書いてあります。

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人工知能という言葉が生まれたのは、実はかなり昔の1956年のダートマス会議でのことです。

その後何度かブームがあり、今は3回目のブームです。

高速大量のパターン認識だけでなく、脳科学から深層学習を取り入れ、以前はコンピューターになじまなかった暗黙知を取り込み、自己学習もできるようになりました。

さらに、ロボットとの結びつきも開発を促進させています。

「人工知能に仕事を奪われる」と恐れるよりも、できることを、どんどん行い、やれることを広げていく方がよさそうです。

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進捗が著しい分野なので、簡単に整理してみます。

コンピュータと「巨大頭脳」


1940〜50年代にリレー式、真空管式など大型コンピューターが出現し、人が行っていた大量の計算を瞬時で行うようになりました。

これまで、大勢の人が数か月かかっていた複雑な計算を瞬時に行ってしまうこと自体、当時劇的だったのですが、コンピューターは情報を処理し、計算し、結論を出し、選択することができるのだから、自ら考えることができる、という考えが出てきて、1956年には人工知能という言葉が生まれます。

計算機と脳の類比は、計算機に関わる研究者のあいだで1940年代から1950年代にとくに流行しました。

『巨大頭脳』の著者であるエドモンド・バークリーは、デジタル計算機の持つ「推論をする能力」に着目し、計算機と論理の関係性、また計算機の社会的意義に関する啓蒙活動を行いました。

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最近、話題の人工知能ですが、生まれは1956年のダートマス会議で、とかなり古いものです。


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現在深層学習(Deep Learning)がAIに革命をもたらしています.

深層学習は機械学習のための大変強力な道具ですが,それだけでAIシステムの全てが実現できるわけではありません.

ボトムアップの機械学習とトップダウンの推論システムの融合により強力なAIシステムが構築できると考えていますが,その具体的手段はまだ確立されていません.

現在,その融合に関心を持つ研究者たちによるワークショップ形式の議論を公開で行うことにより,日本のAI研究の未来像を示したいと考えています.

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ディープラーニングについて、復習すると、

人々が住み、働く場こそ、人工知能、IoTの活用を

「茶わんの湯」から“予測する科学”「人工知能の予測と予期〜予測する科学と予期する工学」



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人工知能の歴史

1.物理記号:知能の本質は記号処理。(→言語化、記号化できない暗黙知は扱えない)

2.パターン認識(画像認識、ニューラル・ネットワーク、ディープ・ラーニングなど)

3.環境との相互作用

超多層の学習であるディープ・ラーニングは、コンピューターの高速化により可能になった。(以前のコンピューターではリアルタイムは不可能で、数年かかった)

以前の知能システムは、認識→推論→行動、の順番で行っていたが、今は、認識、推論、行動のそれぞれを、パラレルで行い、相互にフィードバックする。

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ディープラーニングは、2012年、コンピューターによる物体認識の精度を競う国際コンテスト「ImageNet Large Scale Visual Recognition Challenge(ILSVRC) 2012」で、トロント大学のSuperVisionチームが採用した、もので、ディープラーニングのシステムは、人間の脳についての知識を利用して階層的に認識を行うシステムです。

従来の人工知能で採用されていたパターン認識では、人間の精度に勝てなかったのが、ディープラーニングは人間の精度を超えました。


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カンブリア紀を迎えた人工知能


従来の画像パターン認識では、人工知能は人間の目にに勝てませんでした。

つまり、コンピューターによる画像認識よりも、人間の目視の方が確実でした。


2012年に人工知能にディープラーニングというシステムが誕生しました。

ディープラーニングのシステムは、人間の脳についての知識を利用して階層的に認識を行うシステムです。

2015年2月に、なんとディープラーニングは、画像パターン認識において人間の精度を超えました。

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人工知能が人間の目の精度を上回る「目」を持った、と言えます。

これは地球の歴史45億年、生物の歴史40億年における、5億4000年前のカンブリア爆発、史上初めて、目を持った生物、三葉虫が誕生し、進化が急速に進んだ、になぞらえたりしてます。


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人工知能とロボットの目、手、足とセンサリング技術による知覚センサーが融合すると



人工知能は、目だけではなく、ロボットと融合することにより、手、足を手に入れ、センサリング技術の進化により、知覚センサーも手に入れました。

人工知能はチェス、将棋、囲碁では、既に人間の名人、チャンピオンを上回るようになっています。

ネットと実社会は既に融合しています。融合だけでなく、人工知能が目、足、手、知覚センサーを手に入れたことにより、ネット上で出来ることを、実社会へ展開するステージに来ています。


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人工知能は、

・脳科学をベースに人間の脳を人工的に実現することと、

人工知能と脳科学、この密接な関係


従来の人工知能で採用されていたパターン認識では、人間の精度に勝てなかったのが、人間の脳についての知識を利用して階層的に認識を行うシステムである、ディープラーニングを採用したところ、人間の精度を超えました。

人工知能の開発には、脳科学の研究が欠かせません。


・大量高速計算、検索、照合機能を活用して、人間はできないことを瞬時に行う


人の仕事が人工知能に置き換わる、よりは、人と人工知能のコラボにより、できることが急激に拡大する


コンピューターはデータをもとに、高速大量演算を行い、その結果を示します。


の2つの手法が主に行われていたが、これが統合されてつつあります。

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深層学習(Deep Learning)に加えて、機械学習、強化学習などを組み合わせたものが主流ですが、

ディープラーニングが、人間の脳の機能をベースに導入されたように、他にも人間の脳の機能を活用すると、新たな展開が期待できます。

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人間の脳の機能としては、

・人間の脳は、視覚、聴覚など外界から入力した情報と、脳自身が想起した情報を区別できない。

・脳は意識して考える場合と、無意識に考える場合があり、後者の方が圧倒的に多い。

・機械学習がボトムアップで認識するのに対し、人間はトップダウンで推論し、後付けで、その推論を裏付けるデータを探していく。

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今後の、AI(人工知能)の展開は楽しみですが、どう展開していくのか、予想もつきません。



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2019年03月06日

建築物・住宅のIoTは家電から、センサーは内蔵ではなく、人体ウェラブルで

東大「ワークショップ:次世代ヘルスケア」

という案内が来ました。

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「生活をつなぐIoT技術の研究と応用」「医療・介護の社会システム化」「バイオ電子フォトニクスによる生体情報非侵襲センシングに関する研究」

などのテーマです。

これについては、これまでも考えてきました。

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IoT・AI最新テクノロジーで変わる未来の暮らし、暮らしの豊かさとは

ユビキタス社会は既に到来、IoT、IoSの社会へ


すべてのモノがインターネットにつながる、のではなく、インターネットのように、すべてのモノ、サービスがつながる。

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建築的思考を演劇、アート、ファッションに展開する



建築は、人が居住する建物、場、の設計、製作であり、工学的な構造計算、人の居住に適した冷暖房、照明、給湯などの設備設計、意匠など、デザインを総合的に行うものです。

理論、原理に従い、精密な計算を行いつつ、それを、人の居住という視点から、設計、建設していきます。

まさに、人間とエンジニアリングが出会う場所です。


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人々が住み、働く場こそ、人工知能、IoTの活用を



人が住み、働くのは、住居、オフィスなどの建築物です。

その建築物は、耐震、耐風、防火などの安全性に加えて、暖冷房、換気、照明、給湯、冷蔵など、様々な機能が働いています。

それらの機能は独立ではなく、複雑に関連しています。

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IoT、人工知能が注目される今、人が住み、働く、住居、オフィスなどの建築物において、暖冷房、換気、照明、給湯、冷蔵の制御を人間がそれぞれ個別に手動で行うのは、もはや時代遅れ


建築技術については、藁葺き、茅葺きの家(実はこれは換気、通風性能に優れ、暑さ対策がなされていました)から耐震、防火、断熱機密性能が急激に向上し、木だけでなく、鉄、コンクリートなどの材料も利用されるようになってから、久しいです。

間取りについては、土間、縁側がなくなり、2LDK、3LDKなどになってから久しいでしょうか?

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むしろ、人々の生活を変えたのは、エアコン、冷蔵庫、テレビ、洗濯機、などの設備でしょうか。

冷蔵庫の出現により、食糧の買い置きが可能になり、テレビにより、自宅にいながら、世界中のニュース、エンターテイメントが楽しめるようになり、エアコンにより、夏の暑さ、冬の寒さをしのげるようになりました。

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例えば、トイレは排泄物の除去が主目的ですが、センサリング機能を付加することにより、健康状態のモニタリングに利用できます。

また、冷蔵庫の保存状況により、生鮮食料品の配達もできそうです。

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IoT、人工知能を活用して病気になりにくい、健康生活を



ウェアラブル・センサーで身体のデータを365日24時間常時モニタリングし、人工知能が健康状態を判断し、

自覚症状が出る前に、必要なアクションを起こす、適切な投薬を行い、病気を未然に防ぐ

急速に進化しているセンサリング技術、Iot、人工知能は、まず健康生活を守るために活用できそうです。


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1.早過ぎる製品化は失敗する。

世界中どこでも通話できる携帯電話「イリジウム」今では当たり前だが、モバイル通信網が未発達で、衛星に頼ったために、コストがかかり過ぎて失敗。

年に1回の検査ではなく、毎回、尿、便が検査できるインテリジェント・トイレもとん挫。簡易検査手法の開発を待てば、普及が期待される。

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同じ発想で、建築物・住宅のIoTは、エアコン、冷蔵庫など、まず家電製品から、着手する。完全を期して、ドア、カーテン、窓、天井なども含めようとすると、現時点ではアクチュエーターなど、ハードルが高く、とん挫するリスク。

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2.センサーは家電製品内蔵ではなく、人体ウェラブルで

建築物・住宅のIoT、次世代ヘルスケアは、人々の健康、快適が目的です。それゆえ、これらは人間中心が大切です。

家電製品をコントロールするセンサーは、センサーは家電製品内蔵ではなく、人体ウェラブルで。

ウェアラブル・センサーで身体のデータを365日24時間常時モニタリングし、人工知能が健康状態を判断し、

自覚症状が出る前に、必要なアクションを起こす、適切な投薬を行い、病気を未然に防ぐ

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4.入力は可能な限り自動入力。手入力が多いと使われない。

すべてのシステムについて言えることだが、特に医療システムでは、脈拍、血圧、血糖値などのデータを計測と同時に自動入力するシステムに。手入力だと、面倒で使われなくなる。

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5.検査は可能な限り非侵襲

人体に被害があるX線、皮膚に針を刺す、侵襲型ではなく、人体に無被害の波長、皮膚への接触など、可能な限り、人体に被害が少ない検査を。




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2019年03月03日

実験・計測データからモデル化、理論化、シミュレーション、を考える

日本ソーシャル・データ・サイエンス学会「データ解析がもたらすもの」

という案内が来ました。

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ネット、スマフォは普及し、膨大なデータが取得されるようになり、ビッグデータという言葉が使われるようになって久しいのですが、

適切なデータが取得されているのか、どういう条件下で得られたデータか、どう分析すればよいか、がポイントになります。

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ビッグデータからパーソナルデータへ

意図しなかったビッグデータから、プロセス、結果を織り込んだデータへ


・意図しなかったビッグデータから、プロセス、結果を織り込んだデータへ

ビッグデータという言葉が最近よく使われます。

ビッグデータとは、記録の、自動化、大量化による、「意図しない」データであり、これら「眠っているデータ」を発掘すれば、もの凄い「宝の山」が埋もれているのではないか?と思われていました。

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しかし、結果として得られた「結果データ」と、その結果が得られたプロセスでの「プロセスデータ」がセットになるように、データ取得がデザインされていないと、せっかくのビッグデータも活用できないことが指摘されるようになってきました。

どの「結果データ」がほしくて、その「結果データ」に影響を及ぼす「プロセスデータ」は何なのか?何の可能性があるのか?

ストーリーを構築し、結果とプロセスを織り込むようにデザインする、ことが大切になってきました。

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そろそろ、「意図せずに、大量にとれていたデータの発掘」から、「計画的に、プロセス、結果を織り込んだデータの取得」に向かう時では、と考えます。


実験とは未知の事象を解明、検証すること、得られた知見は記録し、発表する


既に得られている知見をもとに、未知の事象を解明するために行うのが実験の役割。

意図している実験を、正しく再現するよう、制御できるか、計測できるか

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すべての状況を実験で行うのは難しいので、シミュレーションも併用するのですが、重要なポイントは実験で検証しておくことが大切です。

実験は意図したとおりの結果が得られなかったとしても、その「ずれ」「違い」に新たなヒントがあったりします。

すなわち、上記のように、実験とは未知の事象を解明、検証するための重要な手段です。


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このように工学、自然科学の実験も難しいのですが、社会科学では、さらに実規模での実験が難しくなります。

それゆえ、この政策を取らなかったら、どうなったか、など、別条件であればどうであったか?を理論、シミュレーションで埋めていくことになります。

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この時のデータの分析、解析を行う際には、AI(人工知能)が有効になります。

熟練医師、カリスマ医師の手術の「神の手」をロボットが学習


人工知能では、ミスは繰り返さないよう、機械学習、強化学習することができます。

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この場合の、人工知能はあまり高度なもので、内容がブラックボックスになってしまうものではなく、人がトレース、修正できる程度のものがいいそうです。




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2019年03月01日

研究者、技術者は「無謀な夢」を実現していく

東大工学部・堂免一茂先生最終講義「触媒と光触媒」

という案内が来ました。

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光触媒により、太陽光より水素を発生させ、燃料電池で発電という、夢の再生可能エネルギー利用システムの実用化が、もうそこまで来ています。

まだまだ、太陽光から水素への変換効率は2%以下、低い感がしますが、ここ30年で急速に効率が上がってきました。10%を超えると実用段階でしょうか?

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太陽光発電の余剰電力により、水を電気分解する手法もありますが、光触媒で実現すれば、太陽光発電装置、水の電気分解装置が不要です。

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太陽光発電、蓄電池、燃料電池など、再生可能エネルギーの主役は、当初は「理論上は可能だけど、実用化は困難」と言われていました。

太陽光発電は1970年代のサンシャイン計画の頃は、火力発電の20倍のコストがかかり、オイルショックが一段落すると、中断。

蓄電池は、蓄電容量、出力も小さく、非常用だけの用途。

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しかし、太陽光パネルがアモルファスからシリコン、蓄電池がニッケルカドミウムからリチウムイオンが主原料になると、一気に実用化が進み、コストも急速に低減してきました。

当初は研究者、技術者の「無謀な夢」が、やがては現実になりました。

これに水素が加わると、再生可能エネルギーの利用は、格段に層が厚くなります。

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堂免先生は定年退職ですが、優秀な後継者がたくさんいるので、すぐに実現化するかもしれない。

当初は研究者、技術者の「無謀な夢」が、やがては現実になりました。光触媒の実用化が楽しみです。





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