2019年04月

2019年04月30日

当事者の情熱と、研究対象としての俯瞰のバランス

東京大学・共生のための国際哲学研究センター(UTCP)2019年度キックオフシンポジウム「Ties of Reciprocity 共生の軌跡」

という案内が来ました。

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「障害と共生プロジェクト・こまば当事者カレッジ」「日本近世の思想世界」という一見カオスなセッションが楽しかったりします。

シンポジウムの内容ではなく、研究と「当事者」ということについて考えてみます。

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研究とは、困ったこと、解明したいことなど、に対する、強い「情熱」が発端であることが多かったりします。

一方で、情熱のもととなる、体験が強烈過ぎると、その体験に引きずられ、冷静な判断、分析ができなかったりします。

自分を研究対象とするには、自分を離れた場所から見る、もうひとりの自分が必要だったりします。

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コミュニティーにおける個人の人格の形成、エスノグラフィーによる観察

エスノグラフィーはイノベーションを起こす手法としても有効


「エスノグラフィー」は、参加観察を主とするフィールドワークを通じて、研究者(自己)が研究対象となる人々や集団(他者)と出会い、自己を模索する作業を繰り返すことによって構築されます。

つまり、研究者と研究の対象の関係性とそれに関わるコンテクストを常に意識しながら、研究のテーマとなる事象や問題にアプローチする手法です。

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観察者は宣教者になってはいけません。ただ、コミュニティーを外から観察するのでもありません。

コミュニティーの中に入り、ただ、中心ではなく、周辺に立ち、あくまで観察します。なるべく観察者が影響を与えないように。


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「プロジェクト・当事者カレッジ」の方々のお話では、

「これまで、私は〇〇の仕事をしていました。そこでは、これが当たり前でした。

でも、今のポジションに移ってみると、違う見方があることがわかりました。」

というものがありました。

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文化人類学は、専門ではないので、工学に移ります。

実は、工学でも、同じことがあります。

「自分たちは負けていない」という間違った現状認識によって、日本の電機産業は衰退した


変革を拒むのは、かつての王者、あの栄光をもう一度、は絶対にない

に書いたように、

最近、衰退産業、斜陽産業と言われる業界に伺うことがあります。

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世界的なシェアの減少、売上、利益の低下は明白なのですが、

なぜか、示されるのが、局地戦では勝利した事例です。

都合の悪い情報は棄却して、都合のよい情報のみ取り入れ、明らかに間違った判断をしています。

そして、「まだまだ、頑張れる」ということになり、精神論が幅を利かせ、「いつか必ずよみがえる」と言わなければ非国民とされるような、恐ろしい雰囲気があります。

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企業研究者が考える社会実装学




自明なことでも、研究開発者、技術者には、自分が携わる技術へのこだわりが強く、簡単には棄却したり、他の利用法を考える、ことができないようです。


「あの栄光をもう一度」が、新規分野への進出をかたくなに拒んでいます。これが衰退産業の特徴かもしれません。


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技術開発者の熱い情熱が、ユーザーにとっては、不要であったり、実用化を阻んでいることもあります。

それゆえ、時には、技術開発者の立場を離れ、俯瞰し、時には立場を変えてみると、新たな展開が生まれたりします。





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2019年04月24日

「一刻を争う理学」と「社会情勢を見極める工学」

世の中的には10連休ということですが、アカデミアの世界は、そうもいかないようです。

日本は連休でも、海外の研究機関、研究者、学会は通常通りに活動しており、連休明けにメールボックスを開けたのでは、「〆切を過ぎており」学会投稿に間に合わない、研究会に間に合わない、なんてことになります。

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そうは言いつつ、所属する大学、研究機関は10連休ではなくても、いくらかの連休はあり、まとまった時間が取りやすく、普段はできない、論文の執筆を行い、2,3報の論文の概略を書くぞ、と意気込んでいる方を見受けます。

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一口に理工系と言っても、「真理を探究する」理学、サイエンスと、「科学技術を社会に活用する」工学、エンジニアリングでは、だいぶスタンスが異なります。

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理学、サイエンスでは、探究した真理を、いち早く、インパクトファクターの高い、海外ジャーナルに発表することが大切です。

「共著の調整で、もたついている間に、海外のライバル機関に、先に出されてしまいました。失敗です。」

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工学、エンジニアリングは、少し様相が異なります。

「研究した成果をまとめて、投稿したのですが、不採択になってしまいました。

もう少し、最新の動向を見極め、それへの活用という形で書けば、採用されたのですが」

いち早く書く、というよりも、研究成果をどう活かす、が大切のようです。

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ということで、アカデミアにとっても、勝負の10連休になりそうです。







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2019年04月19日

情報の調査、収集、構成、記録、再構築について

「TAK」さんの関心範囲は、技術経営(MOT)だけにとどまらず、AI(人工知能)、ロボット、脳科学、再生可能エネルギー、理論物理、あるいはジェンダー論、場の論理、身体表現など、多岐に及びます。

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よく、「このテーマについてコンパクトにまとまった資料ありませんか」

と聞かれます。

答えは「ありません」とつれないものになります。

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情報を探し求めるのは、ある目的がある時で、それに合致するものを探しています。

さらに、その探す目的は、時間、状況と共に変わっていきます。

つまり、あなたが求める情報は、他の専門家などのアドバイスを聞きつつ、自分で、いろいろなところを調査し、その中から関連あるものを収集し、自分のコンテキストに合ったものを構成していくことになります。

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情報提供、情報交換で寄せられる「情報」は、あなたの目的を、必ずしも考慮したものではなく、役に立たないものがほとんどです。

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自分のコンテキストに照らして、調査、収集、構成した情報は、必ず記録しておきましょう。

違ったコンテキストでも、再構築すると、かなりの部分が使えます。







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文学世界と現実世界、タイタニック号の音楽

東大文学部渡辺裕先生最終講義「文学世界と現実世界 タイタニック号の音楽」

東大文化資源学研究室 木下直之先生、渡辺裕先生の最終対談を

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文化資源とは何だろう?「ふたりのなんだか気になる風景」

に書きましたが、渡辺裕先生については、最終対談だけでなく、最終講義もあります。

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人々に定着して、引き継がれている歴史と、歴史的な事実を実証されている事項があります。

両者は、往々にして同じではなかったりします。

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タイタニック号が沈んでいく時、バンドのメンバーが、最後まで音楽を演奏し、人々を勇気づけた。そして最後に讃美歌

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を演奏した、とされており、1996年のレオナルド・ディカプリオ主演のキャメロン監督の「タイタニック」でも、この曲「Nearer My God To Thee」が重要な役割を果たしています。

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しかし、実際に最後に演奏された曲は、Autumnという讃美歌だった、というのが歴史的事実のようです。

では、映画「タイタニック」の讃美歌「Nearer My God To Thee」はAutumnという讃美歌に直さなければならないか、というと、決してそうではありません。

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事実と検証されている歴史と、人々に定着して、引き継がれている歴史があり、それぞれに違いがあっても、融合し、両立していくこともできそうです。






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2019年04月15日

AI(人工知能)×脳科学でどんな展開が拓かれる?

知的財産マネジメント研究会(Smips)産学連携で未来を切り拓く〜AI x 脳科学によるマーケティングイノベーション

という案内が来ました。

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ヒューマンセンシングやデジタル技術が急発展する中、ニューロサイエンスもその要素の一つになってきています。

脳科学とAIを組合せた最先端技術を活用した成果と活用事例を紹介します。

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fMRI、脳波計により、脳がどういう反応をしているのか?が、計測できるようになりました。

人と人工物の新たな関係性を目指して、人工物はAR(拡張現実)




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ネイマール選手のプレー時の小脳の活動は、他の人々に比べて、はるかに小さい。

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新しい道具を使う、新しい使い方をする時には、小脳が活動する。学習するにつれて、小脳の活動は小さくなる。


と書いたような研究も進んでいます。

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その脳の計測と、AI(人工知能)が機械学習、強化学習を行えば、極めて強力なツールとなりそうです。

実は、AI(人工知能)自体の発達が、脳科学によるものが大きかったりします。

人工知能とロボットの目、手、足とセンサリング技術による知覚センサーが融合すると


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人工知能は、

・脳科学をベースに人間の脳を人工的に実現することと、

人工知能と脳科学、この密接な関係



従来の人工知能で採用されていたパターン認識では、人間の精度に勝てなかったのが、人間の脳についての知識を利用して階層的に認識を行うシステムである、ディープラーニングを採用したところ、人間の精度を超えました。

人工知能の開発には、脳科学の研究が欠かせません。


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・大量高速計算、検索、照合機能を活用して、人間はできないことを瞬時に行う

人の仕事が人工知能に置き換わる、よりは、人と人工知能のコラボにより、できることが急激に拡大する



コンピューターはデータをもとに、高速大量演算を行い、その結果を示します。


の2つの手法が主に行われていたが、これが統合されてきました。


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ディープラーニングの先のAI(人工知能)


現在深層学習(Deep Learning)がAIに革命をもたらしています.

深層学習は機械学習のための大変強力な道具ですが,それだけでAIシステムの全てが実現できるわけではありません.

ボトムアップの機械学習とトップダウンの推論システムの融合により強力なAIシステムが構築できると考えていますが,その具体的手段はまだ確立されていません.

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深層学習(Deep Learning)に加えて、機械学習、強化学習などを組み合わせたものが主流ですが、

ディープラーニングが、人間の脳の機能をベースに導入されたように、他にも人間の脳の機能を活用すると、新たな展開が期待できます。

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人間の脳の機能としては、

・人間の脳は、視覚、聴覚など外界から入力した情報と、脳自身が想起した情報を区別できない。

・脳は意識して考える場合と、無意識に考える場合があり、後者の方が圧倒的に多い。

・機械学習がボトムアップで認識するのに対し、人間はトップダウンで推論し、後付けで、その推論を裏付けるデータを探していく。


脳科学の計測システム、装置の進歩自体にAI(人工知能)が深くかかわるのですが、

計測された結果を、機械学習、強化学習により、取り入れることによる、さらなる展開が楽しみです。






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2019年04月12日

ブラックホール、 史上初の撮影に成功 

ブラックホール、 史上初の撮影に成功 

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ブラックホールの存在が予測されてから、約100年を経てその存在が視覚的に証明されました。

アインシュタインが一般相対性理論により、巨大な質量の周辺では、時空がゆがむことを予言したのが1916年のことです。

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アインシュタインの夢と超弦理論



1905年はアインシュタイン奇跡の年、と言われ、特殊相対性理論、光電効果、ブラウン運動の3つの後世に大きな影響を与える発表をしています。

アインシュタインと言えば、相対性理論というイメージがありますが、

・光電効果は、「光が粒子としての性質を持ち、光が物質に当って、電子が飛び出す現象」で後の量子力学へと発展します。

アインシュタインはこの研究でノーベル物理学賞を受賞しています。

・ブラウン運動は気体、液体中に浮遊する微粒子の不規則な運動ですが、アインシュタインがこれを理論的に説明し、後の統計力学へと発展します。

アインシュタインはその後1916年に一般相対性理論で、重力の源があると、周りの時空にゆがみが生じることを発表しました。

例えば、巨大な質量をもつ太陽のそばを通る光は屈折する訳です。これをアインシュタインは予言しました。

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実際に、1919年の日食において、実際に、星から来る光は、太陽のそばを通る時に屈折することが確認されました。

科学者は、起きた現象について、後から理屈をつけるのは得意ですが、これから起きる現象を予言することはあまりありません。

これで一般相対性理論がにわかに注目されることになりました。

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一般相対性理論により重力の起源が説明されましたが、残念ながら、一般相対性理論は、素粒子などミクロな世界では不整合が出てきます。

また、アインシュタインは晩年に重力と電磁力の統一を試みましたが、うまくいきませんでした。

3次元の空間に時間を加えた4次元ではなく、10次元時空での「超弦理論」による理論、衛星からの宇宙観測などの飛躍的発達による検証、により、未解明だったものがわかってきました。

21世紀中にアインシュタインの夢が実現できるか?楽しみです。


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アインシュタインの「最後の宿題」「重力波」観測が、ノーベル物理学賞



2017年10月3日、ノーベル物理学賞の受賞者が発表されました。受賞したのは、LIGO/VIRGO Collaborationのレイナー・ワイスさん、バリー・バリッシュさん、キップ・ソーンさんの3人で、2016年に発表された重力波を直接検出したという業績がたたえられたものです。

業績からノーベル賞受賞までこれほど短期間なのは例外的なことです。

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アインシュタインが100年前に予言した「重力波」を初めて直接観測することに、アメリカMITなどのチームが成功したことが話題になっています。

「重力波」とは、質量を持った物体が動いたとき、周囲の時空(時間と空間)にゆがみが生じ、そのゆがみが光速でさざ波のように宇宙空間に伝わる現象。

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重力波は、時間や空間がわずかに伸び縮みする「時空のひずみ」がさざ波のように伝わる現象。アインシュタインが1916年、一般相対性理論から予言していた。観測は「最後の宿題」とされ、物理学の長年の悲願だった。

物体が移動することで時空の歪みは変化して、その変化は光の速さで伝わっていきます。この変化の波のことを、重力波と呼びます。


ブラックホールは、非常に強い重力を持ち、光さえも抜け出せないことが観測により示されました。


理論的には存在するはず、ただ、計測技術、観測技術が未発達ゆえ、観測できなかったことが、またひとつ観測できるようになりました。

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こういった研究成果に冷淡な人もいます。

「あるものを、写真に撮っただけじゃないか」

航空写真、衛星写真が撮れるようになった時も、同様のことを言う人がいました。

しかし、その後、それらを利用して、新たな展開が多方面でありました。

今後の展開が楽しみです。




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2019年04月04日

研究結果を発表、公開する場としての科学誌

Nature創刊150周年 東京大学で記念シンポジウムを開催

日本の科学の未来― 持続可能な開発目標の達成に向けたビジョン ―

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基礎研究から市民社会へ:日本の科学の未来を考える

1869年11月4日に創刊した国際科学誌Nature は、今年で創刊150周年を迎えます。

これを記念して、2019年4月4日に東京大学で記念シンポジウムを開催します。

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という案内が来ました。


シンポジウムで話された内容よりも、Natureをはじめとする科学誌の役割について考えてみます。

研究成果については、ある程度まとまった段階で、発表し、得られた知見を公開することが大切です。

その場として、Natureをはじめとする科学誌が大きな役割を果たします。

どんな研究内容でも科学誌に掲載されるわけではなく、査読、ピアレビューという手続きを経て、新規性、進歩性など、掲載に足る内容と判断された研究結果が掲載されます。

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「TAK」さんも

US科学ジャーナルModern Environmental Science and Technology に掲載されました

に書いたように、海外科学ジャーナルに論文が掲載されたことがあります。

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研究内容を発表、公開、共有する場として科学誌の役割は大きく、研究だけでなく、科学、技術、社会を推進する役割を果たしてきました。

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最近では紙媒体ではなく、電子媒体で検索しやすくなっています。

ただし、大きな課題が持ち上がっています。

かなりの科学誌が無料ではなく、購読料を支払わないと購読できません。

ちなみに、上記の海外科学ジャーナルは、無料で閲覧、ダウンロードが可能です。

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科学、技術、研究を進めるには、閲覧、ダウンロードのオープン化、フリー化が大切です。

ただし、科学誌は購読料をビジネスの財源とする訳で、困った事態となっています。

閲覧、ダウンロードのオープン化、フリー化は時代に流れであり、必然ですが、それでは、科学誌は何を財源とし、どういうビジネスのなるのか?

Nature創刊150周年を迎えて、考えてみました。




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2019年04月02日

生物現象の普遍性があるから、生物の多様性がある

東京大学理学部公開講演会「生命の神秘を理学で解き明かす」

という案内が来ました。

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その中で、「生命現象の普遍性」という講演がありました。

多様で複雑な形や機能を持っている生命を、どのように理解すればよいでしょうか?

理解する一つの方法は、生命現象の普遍的原理を見つけ、その原理から演繹的に多くの現象を説明することです。


逆説的ですが、生物現象の普遍性があるから、生物の多様性があります。

普遍性がなければ、多様性というよりも、単なる無秩序、バラバラな状態になります。



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生命とは何かの普遍性に挑む、理論物理と構成的実験からのアプローチ


「普遍生物学:変化しやすさと安定性の状態論」

「生命とは何か」―量子力学の祖の一人、シュレーディンカーは、その著書で、情報を担う分子、DNAの性質を予言しました。

以降、生物内の個々の分子の性質は調べ挙けられてきました。

しかし、それら分子の集まった「生きている状態とは?」の答えには至っていません。

要素(分子や細胞)の間の関係に着目して、「多様な成分を維持し成長し、適応して進化する」生物の普遍法則を構成的実験と理論物理て゛解き明かそう としています。

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生物物理学は、生命の根元を理解しようとする学問です。生命は物質に担われています。

物質科学の原理から、どのように生命現象が引き起こされるのでしょうか。

また、生命には特徴的な階層構造が見られます。

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生命らしさが現れる最も小さい単位は、生体高分子です、生体高分子が自己組織化して超分子集合体が、さらにその有機的な集まりにより細胞が、 そして細胞の組織化により器官や個体が、出来上がります。

さらに、生態系が生命の階層構造の最上位に位置しています、生物物理学の目的は、これらの各階層における生命現象の物質科学的基礎を理解し、 その階層をつなぐ原理原則を見いだすことによって生命現象を解き明かすことです。


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生物多様性学の最前線


生物多様性の状態とは、生物と自然のフィードバックの状態を反映しています。

単純な生態系では、病害虫の発生により、大打撃がありますが、多様な生態系では、被害はある程度で食い止められるそうです。

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菌、微生物は、生態系にとっても重要な役割を果たしていることが、近年明らかになってきました。

陸上植物は真菌類と共生しています。菌、微生物が住む土壌の生態系は、未知の地下生態系と言われます。

それゆえ、土壌を劣化させた文明は、食料を生産できなくなり、崩壊します。

植物と真菌の関係は、真菌が植物に窒素、リンなどの肥料を提供し、植物が光合成により、糖を提供する、という関係です。

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さて、生態系の中で、多様な植物と真菌が複雑なネットワークを形成しているのですが、真菌の中に、「仲良しグループ」があり、さらには、「仲良しグループ」の中に、「まとめ役」がいるようなのです。

北海道、本州、沖縄の生態系では、そこにいる真菌類も異なるのですが、「まとめ役」の真菌類は、どこにでもいたりします。

また、「先住者効果」といって、先に入った菌が、後から入って来ようとする菌を阻む、こともあるそうです。

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今後も生命科学の進展が楽しみです。




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人と人工物の協調による社会、生活の進化

東大人工物研究センター発足記念シンポジウム−人工物工学の新たな挑戦と新しい展開−

という案内が来ました。(まだURLが更新されていないようです。)

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自動車、建築物、家電製品、バット、ラケットからPC、スマフォ、あるいはアプリ、ソフトウェア、サービスまで、人工物は幅広く、人々の生活に深くかかわります。

人間の生活の利便性に資するのが人工物ですが、一方で、人工物の仕様がひとたび決まると、人間の生活がその仕様に合わせて規定されてしまう一面もあります。

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人と人工物の新たな関係性を目指して、人工物はAR(拡張現実)



「雨が降るから、傘をさす」「寒いから暖房を入れる」

のように、人は人工物を利用しつつ、周囲の環境と共存しています。

自分の意志による、内発的な行動とは言っても、100%内発的ではなく、周囲環境とのかかわりに端を発するものが多いかと思います。


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人工物としてのワープロ、作家、研究者など小説、随筆、論文を書く人たちは、当初、ワープロを和文タイプライターの代わりくらいしか考えていませんでした。

紙とペンの時代は、書き直すたびに何度も清書が必要でした。

ワープロでは簡単に修正ができます。清書しなくても、印刷したものが清書になります。

以前書いた文章を引用する場合、新たに書き直さなくても、コピー、ペイストすれば済みます。

文書の記録、修正、保存が容易など、業務だけでなく、研究自体も変えていきました。

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人間は(人工)物にしたがって生活する


スーツケースを買うとします。

前のスーツケースのサイズ、それで足りない思いをどれだけしたから、一回り大きいサイズを買うべきか?

前のスーツケースのキャスター、取っ手で不便だった記憶から、どういうキャスター、取っ手がよいか?

など、に加えて、押入れに入るか?値段は?などを考えて、どれを買うべきか?検討します。

その結果、ある一つのスーツケースを購入します。

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すると、その時点から、あなたはそのスーツケースにしたがって行動することになります。

そのスーツケースは、押入れのスペースをその分だけ占拠します。

海外旅行、海外出張に持っていけるものは、最大でもそのスーツケースに入るだけ、です。

海外旅行先では、便利だろうが、不便だろうが、そのスーツケースのキャスター、取っ手を使わざるを得ません。

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つまり、(人工)物は所有した時点から、それにしたがって、生活することになります。

プラズマ・液晶テレビ、パソコンを買う時、こだわりたい機能、ポイントが必ず何点かあるでしょう。

でも、それ以外の機能は、別にどうでもよくて、あまりこだわらずに、買います。

ところが、買って使う時点から、その「別にどうでもよくて、あまりこだわら」なかった特性にも合わせた使い方をしなければなりません。


と、人間は(人工)物にしたがって生活する、ことになる訳です。


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人間とAI(人工知能)の協調で創造性が進化する


眼鏡、ランニングシューズなどは、既に装着して人間の機能とされています。

この、当然のことも、人間とテクノロジーを一体化させて人間の能力拡張と考えられます。

眼鏡が発明される前、視力が悪くて、敵の接近を発見できないことは、致命的な障害でした。

1964年の東京オリンピックでは、マラソンを裸足で走るアベベ選手が優勝しましたが、その後の、ランニングシューズの弾力性、反発性の技術は、アスリートの記録を大きく伸ばしました。


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こう考えると、人間は人工物の機能を、自らの能力に取り入れながら、進化していくことになりそうです。




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