2007年07月19日

難しいテーマ「企業と博士」

シンポジウム「企業と博士」が東京工業大学大岡山キャンパスで開催されました。

博士号を取得しながら、それにふさわしい職業に就けない、いわゆる「ポスドク」がふえています。

特に、企業は「学位は高いが、仕事には使い物にならない」と博士を敬遠します。


企業が「博士」に期待することは何か?

企業で働く上で「博士」であることは何を意味するのか?

企業で働きながら「博士」の学位を取得することの意義は?

大学が「博士」を企業に送り出す上で行うべきことは?

が、テーマです。


パネルディスカッションには「理系白書ブログ」の毎日新聞 元村 有希子さんも新潟中越沖地震の柏崎刈羽原発の取材から駆けつけ、参加されました。

はっきり言って、パネルディスカッションは大学関係者、企業関係者ら参加者の意見が、ブログにも書けないほど、紛糾して、まとまりませんでした。

課題が山積です。

まず、最近の状況が以前と異なる点が指摘されました。

・以前は、「このテーマを研究したい」という人が博士課程に進みました。今は、何となく」博士課程に進み、厳しいポスドクの現実に直面している人が相当います。

・以前は、学部、修士、博士、と進むにつれ、定員が絞られ、優秀な人が残っていきました。今では、定員は学部、修士、博士、と進むにつれ、緩やかになり、大学入試が一番難しくなっています。

それゆえ、「学歴ロンダリング」と呼ばれる、大学は二流だけれど、「大学院は東大、東工大」に入って、最終学歴をよくする、ことが現実化している。

 
これ以外にも、

・博士の学位を取るには、ピアレビュー論文を何本か書くことが必須、など、研究者の制度に組み込まれます。これはビジネスでは必ずしも評価されません。

・博士は大学教員、公的研究所の研究員を希望するが、ポストが少ない。

などなど


博士は「学部卒、修士卒よりも、給与、昇進などが優遇されるのが当然」と考えます。

博士は仮説を設定し、実験、解析などにより、論理的に、論文を構築していきます。この論理的なプロセスにより、成長していきます。

ポスドクは通常、30少し前、あるいは30代前半の年齢です。

一方、学部、修士を卒業したこの年代の民間企業の研究者は、

・大学、他研究機関との研究施設などコラボレーションの調整
・社内外からの必要な研究予算の調達
・研究チームに必要な人材の調達
・研究成果の事業化、実用化

など、高度なプレーヤーであるだけではなく、プレイングマネージャーをしています。

ポスドクにこの「プレイングマネージャーの活動ができますか?」と聞くと、「企業の経験がないのに、できる訳ありません」という答えが多く返ってきます。

これは、ポスドクは企業に勤務した場合、同年代の学部卒、修士卒よりも、業績、能力が低い、ことを自ら認めている、ことになります。

にもかかわらず、高い給与、昇進を希望するのでしょうか?


この問題がさらに難しいのが、一般論と個々人の事例、が全く異なる、という点です。

野球で言えば、松井、イチローに匹敵するような、最上位の博士には、いろいろな大学、公的研究所、企業から引く手あまた、で、また、実際にどんな仕事に就いてもすばらしい実績をあげる、

という事実があります。

このように「企業と博士」、「ポスドク」は本当に難しいテーマです。

ポスドクはプレイング・マネージャーを目指せ!

学歴難民クライシス

博士が派遣社員に??

もご覧ください!






stake2id at 22:24│Comments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加

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この記事へのコメント

1. Posted by NORi   2007年07月31日 23:21
民間企業で働いている博士号保有者です。これまでコンサルタントとして、そして現在の企画部門の担当者として働いています。
自分のことについて言えば、博士課程にいたときから既に働き始めていたことがプラスに働いていると思います。しかし、働きながら片手間に論文を書いていたので、研究者としては中途半端だった、あるいはマイナスに働いていたようにも感じています。
それに、サラリーマンも必ずしも身分保証があるわけでもなく、せっかく博士号もあるのに今後、自分はどういう方向に進んでいけばよいのか・・・・・、という迷いや不安がずーっとあります。
ただ、何かを研究しよう、向上しよう、という意気込みがあれば、その方向に道が開けてくるものじゃないかと思っています。
どちらにしても、「企業と博士」この問題は制度や仕組みの問題もあるとは思うのですが、最終的には「その人」にかかっているような気がします。
2. Posted by 「TAK」さん   2007年08月01日 23:38
>NORIさんへ

私も本文中に書きましたが、結局は本人の問題、に帰着する、と思います。

学位に処遇を期待する「学歴偏重」など、とっくに時代遅れ、その人の能力につきるのでは?と思います。

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