2013年07月17日
トランジション(変遷)・マネジメントはイノベーションを超えるか?
トランジションマネジメント:持続可能な移行に向けた科学、ガバナンス、アントレプレナーシップ
という案内が来ました。
案内文によると、
>
トランジション・マネジメントは、ビジネス、科学、政策、市民社会を統合して持続可能な社会に向けた大規模なシステム変革を誘導し加速させるためのガバナンスに着目した方法論です。
トランジション・マネジメントの思想に基づけば、技術開発、トップダウンの政策、自由市場に依存したイノベーションだけでは、持続可能な社会にいま必要とされる課題には、ほとんど対応できないとみられます。
むしろ、エネルギー、食品、医療、教育、福祉といった、組織化・制度化された社会システムを根本的に変えるトランジションが必要なのです。
グローバル化への対応とイノベーションの現場の狭間で、持続可能な未来に向けて、社会全体の文化、構造、行動様式をシフトさせることがいま我々が直面している課題なのです。
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とあります。
トランジションにうまく対応する日本語が見つかりません。
あえて訳せば、変遷、遷移、移り変わり、変転などとなります。
例えば、水は氷(固体)、水(液体)、水蒸気(気体)の3つの状態があり、気温、圧力などにより、それぞれの状態に移り変わります。
実は、氷(固体)、水(液体)、水蒸気(気体)の3つの状態が共存しうる三重点(0.01℃、0.06気圧)があるのですが、大気圧である1気圧では、0℃で氷と水、100℃で水と水蒸気、が共存します。
氷と水、水と水蒸気、が共存している状態では、熱が加わったり、奪われたりしても、0℃、100℃のままで、氷(固体)、水(液体)、水蒸気(気体)のそれぞれの状態の移行に熱が使われます。
そして、共存状態から氷(固体)、水(液体)、水蒸気(気体)の、どれか一つの状態に移行すると、熱が温度変化に使われます。
社会現象にこれを応用すると、組織化・制度化された社会システムも、ある時を契機に急激に、非線形に変化することがあります。
これを社会システムのトランジションと考えます。
詳しくは、英語サイトですが、
Transitions
をご参照ください。
つまり、社会が変革するには、イノベーションが不可欠ですが、そのイノベーションだけに着目するのではなく、
もっと社会システム全体の構造的変化を見るのが、トランジションです。
一般的には、
(1)社会システムに問題があることが認識されていた。しかし、一部の認識にとどまり、社会的なムーブメントにはなっていなかった。
(2)インパクトがある大きな事件が勃発
(3)それを契機に大きなムーブメントが起こり、社会システム全体が変化する
となるでしょうか。
(2)のインパクトのある事件としては、
・明治維新における黒船来航
・第1次世界大戦前の、セルビア人学生によるオーストリア皇太子殺害事件
・アメリカ人種差別撤廃運動における、黒人女性のバスでの白人乗客への座席譲り拒否事件
・エネルギー問題における、東日本大震災での福島原発事故
などがあげられます。
問題が認識され、ムーブメントにならないまでも、ある程度の人々の意識が高まっているので、事件がきっかけ、となります。
それがなければ、「黒人女性のバスでの白人乗客への座席譲り拒否事件」は単なるトラブルで、マルティン・ルター・キング牧師が率いる全米に広がった社会現象にはならず、また、「セルビア人学生によるオーストリア皇太子殺害事件」も単なるオーストリアとセルビアの外交事件で、全ヨーロッパだけでなく、アメリカ、日本まで巻き込む戦争にはなり得なかったはずです。
これらの事象において、
・大きな事件をある方向へ誘導しようと、意図的に利用する場合
・否応なしにある方向へ動く場合
があります。
例えば、東日本大震災での福島原発事故については、日本だけでなく、世界中で議論が巻き起こりました。
・日本では、温暖化防止の観点から、むしろ原発推進の流れだったのが、一気に反原発の流れに
・ドイツでは、もともたった反原発の動きが加速され
・アメリカでは、原発建設の計画があったが、シェールガスに一気に傾く
・オランダでは、原発建設の計画について、オランダでは巨大津波が起こりえないから、と予定通り、建設の流れ
のように、それぞれの国で、事件の影響は、違います。
つまり、それぞれのコンテキストに応じて、使い分けられている、印象があります。
さて、このような大きなムーブメントを巻き起こす、社会システム全体の構造的変化は、後から振り返っての分析、評価はできても、マネジメント、コントロールは難しい、と考えられています。
トランジション(変遷)・マネジメントにより、今後、何ができるようになるのか?楽しみです。
という案内が来ました。
案内文によると、
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トランジション・マネジメントは、ビジネス、科学、政策、市民社会を統合して持続可能な社会に向けた大規模なシステム変革を誘導し加速させるためのガバナンスに着目した方法論です。
トランジション・マネジメントの思想に基づけば、技術開発、トップダウンの政策、自由市場に依存したイノベーションだけでは、持続可能な社会にいま必要とされる課題には、ほとんど対応できないとみられます。
むしろ、エネルギー、食品、医療、教育、福祉といった、組織化・制度化された社会システムを根本的に変えるトランジションが必要なのです。
グローバル化への対応とイノベーションの現場の狭間で、持続可能な未来に向けて、社会全体の文化、構造、行動様式をシフトさせることがいま我々が直面している課題なのです。
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とあります。
トランジションにうまく対応する日本語が見つかりません。
あえて訳せば、変遷、遷移、移り変わり、変転などとなります。
例えば、水は氷(固体)、水(液体)、水蒸気(気体)の3つの状態があり、気温、圧力などにより、それぞれの状態に移り変わります。
実は、氷(固体)、水(液体)、水蒸気(気体)の3つの状態が共存しうる三重点(0.01℃、0.06気圧)があるのですが、大気圧である1気圧では、0℃で氷と水、100℃で水と水蒸気、が共存します。
氷と水、水と水蒸気、が共存している状態では、熱が加わったり、奪われたりしても、0℃、100℃のままで、氷(固体)、水(液体)、水蒸気(気体)のそれぞれの状態の移行に熱が使われます。
そして、共存状態から氷(固体)、水(液体)、水蒸気(気体)の、どれか一つの状態に移行すると、熱が温度変化に使われます。
社会現象にこれを応用すると、組織化・制度化された社会システムも、ある時を契機に急激に、非線形に変化することがあります。
これを社会システムのトランジションと考えます。
詳しくは、英語サイトですが、
Transitions
をご参照ください。
つまり、社会が変革するには、イノベーションが不可欠ですが、そのイノベーションだけに着目するのではなく、
もっと社会システム全体の構造的変化を見るのが、トランジションです。
一般的には、
(1)社会システムに問題があることが認識されていた。しかし、一部の認識にとどまり、社会的なムーブメントにはなっていなかった。
(2)インパクトがある大きな事件が勃発
(3)それを契機に大きなムーブメントが起こり、社会システム全体が変化する
となるでしょうか。
(2)のインパクトのある事件としては、
・明治維新における黒船来航
・第1次世界大戦前の、セルビア人学生によるオーストリア皇太子殺害事件
・アメリカ人種差別撤廃運動における、黒人女性のバスでの白人乗客への座席譲り拒否事件
・エネルギー問題における、東日本大震災での福島原発事故
などがあげられます。
問題が認識され、ムーブメントにならないまでも、ある程度の人々の意識が高まっているので、事件がきっかけ、となります。
それがなければ、「黒人女性のバスでの白人乗客への座席譲り拒否事件」は単なるトラブルで、マルティン・ルター・キング牧師が率いる全米に広がった社会現象にはならず、また、「セルビア人学生によるオーストリア皇太子殺害事件」も単なるオーストリアとセルビアの外交事件で、全ヨーロッパだけでなく、アメリカ、日本まで巻き込む戦争にはなり得なかったはずです。
これらの事象において、
・大きな事件をある方向へ誘導しようと、意図的に利用する場合
・否応なしにある方向へ動く場合
があります。
例えば、東日本大震災での福島原発事故については、日本だけでなく、世界中で議論が巻き起こりました。
・日本では、温暖化防止の観点から、むしろ原発推進の流れだったのが、一気に反原発の流れに
・ドイツでは、もともたった反原発の動きが加速され
・アメリカでは、原発建設の計画があったが、シェールガスに一気に傾く
・オランダでは、原発建設の計画について、オランダでは巨大津波が起こりえないから、と予定通り、建設の流れ
のように、それぞれの国で、事件の影響は、違います。
つまり、それぞれのコンテキストに応じて、使い分けられている、印象があります。
さて、このような大きなムーブメントを巻き起こす、社会システム全体の構造的変化は、後から振り返っての分析、評価はできても、マネジメント、コントロールは難しい、と考えられています。
トランジション(変遷)・マネジメントにより、今後、何ができるようになるのか?楽しみです。