2013年10月09日

物質に質量をもたらす「ヒッグス粒子」とは?

2013年度のノーベル物理学賞は、物質に質量をもたらす「ヒッグス粒子」の存在を理論的に予言した英エディンバラ大名誉教授のピーター・ヒッグス氏と、ブリュッセル自由大名誉教授のフランソワ・アングレール氏が受賞しました。

131009素粒子


ヒッグス粒子は全部で17種類ある素粒子のうち唯一、未発見だった最後の粒子。1964年、ヒッグス氏はこの粒子の存在を予言し、アングレール氏は物質に質量が生じる仕組みを説明する理論を発表。極微の世界の基本法則である素粒子の標準理論を完成に導きました。

理工系出身でも「ヒッグス粒子とは?」にしっかり答えられる人って少ないのでは?と思います。

「アインシュタインの夢ー究極の素粒子理論」工学系必読

に書きましたが、


理工系の大学関係者でも、理学系の物理系でないと、素粒子理論、超弦理論などの最新研究へのキャッチアップは難しくなります

大学受験、大学教養課程で、量子力学と相対性理論が両立しない、ことなどは学びつつも、専攻が物理系でないと、素粒子理論、超弦理論などから遠ざかり、最近、話題のヒッグス粒子、と言われても、よくわからなかったりします

131009原子核


原子核の周りを電子が回っていますが、大昔の物理(湯川秀樹氏が中間子理論でノーベル物理学賞を受賞した頃)では、電子と原子核を構成する陽子、中性子も「素粒子」でした

その後、陽子、中性子がさらに、「クォーク」と呼ばれる、粒子で構成されることがわかり、クォークが「素粒子」とされました

131009クォーク


現時点の素粒子の標準模型は、

・クォーク(陽子や中性子を構成する粒子)

・レプトン(電子やニュートリノの仲間)

・ゲージボソン(力を媒介する粒子)

・ヒッグス(対称性の破れや質量の起源に関係する粒子)

・重力子(未発見)

とされています

一方、物質の相互作用は4つの力、電磁相互作用、強い相互作用、弱い相互作用、重力相互作用とされています

131009力


アインシュタインは一般相対性理論(1915年)で「重力は時空のゆがみによって生じる」を示し、「統一場理論、重力も電磁気力も幾何学的に表現したい」とし、後世はこの研究に力を注ぎましたが、残念ながら、うまくできませんでした

そこで、「統一場理論、重力も電磁気力も幾何学的に表現したい」が、アインシュタインの夢、と言われます

その後、1926年に量子力学が発表され、粒子性と波動性をもつ量子の運動など、ニュートン力学ではうまく説明できなかった、量子レベルの現象の説明ができるようになりました。

しかし、量子力学と一般相対性理論は相性がよくなく、単純に一緒にすると、答えが無限大になってしまいます。

場の量子論でも無限大は出るが、これは朝永振一郎博士の「くりこみ理論」で解決します

特殊相対性理論(1905年)と量子力学(1926年)より「場の量子論」ができました。「標準理論」(電磁相互作用、強い相互作用、弱い相互作用)と「重力」4つの相互作用の統一が現代版アインシュタインの夢でしょうか


ピーター・ヒッグスらが、1964年に素粒子に質量を与える理論「ヒッグス機構」を提唱しまし、質量を持つ素粒子があると予言しました。これが「ヒッグス粒子」です。

材料の原子は、原子核の周りを電子が回っています。もしヒッグス場がなかったら、電子が質量を持たないので、光の速さでどこか遠くに飛んでいってしまいます。

そして、2012年。スイス・ジュネーブにある欧州合同原子核研究機関(CERN)で稼働している大型ハドロンコライダー(LHC)を使って実験をしているATLAS(アトラス)グループとCMS(シーエムエス)グループが、それぞれにヒッグス粒子らしき新粒子を発見したと報告しました。

現在も、この新粒子がヒッ グス粒子としての性質を満たしているかを検証すべく、実験データの収集と解析とが続けられています。

新しい結果は、CERNで発見された粒子がヒッグス粒子であることを示唆

「場の量子論」から「ヒッグス粒子」までを、だいぶ、端折りました。

これをずっと書いていると数冊の本になってしまいますから。

131009ヒッグス


ノーベル物理学賞でたどる標準理論100年の歴史


を参考に、簡単にまとめると以下の通りになります。

(1)物質の最小構成要素である素粒子は、強い力を感じるクォークと強い力を感じないレプトンにまとめられる。電子やニュートリノはレプトンの仲間。それらは、固有の角運動量としてのスピン1/2を持つフェルミオンで、現在それぞれ6種類がある。

(2)素粒子の間に働く力としては、強い力、弱い力、電磁気力を扱う。

(3)これら3つの力のそれぞれに力を伝える素粒子が存在し、強い力を伝えるグルーオン、電磁気力を伝える光子、弱い力を伝えるW+粒子、W-粒子、Z0粒子があり、いずれもスピンは1で、ボソンである。これらの力を伝える粒子は、ゲージ原理と呼ばれる原理により、その力の働き方が規定されている。

(4)電磁気力と弱い力は統一されていて、電弱力と呼ばれる。

(5)クォーク、レプトンや力を伝える素粒子の質量は、もともとはゼロであるが、「自発的対称性の破れ」という仕組みにより、ゼロでない質量を持つ。ただし、光子とグルーオンの質量はゼロである。

(6)この仕組みの証拠として、スピンが0のヒッグス粒子が存在すると予測される。

さらに詳しくは、

2013年度ノーベル物理学賞「存在が予想された基本粒子(ヒッグス粒子)の発見によって確認された素粒子の質量の起源に関するメカニズム理論」


をご覧ください。

東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構(カブリIPMU)の村山斉機構長が、

「ヒッグス粒子仲間の中に、暗黒物質があるかもしれない!ヒッグス粒子の発見は終わりではなく始まりだ」と締めくくっています。

ニューヨーク・タイムスのヒッグス粒子の理論を説明したスライド「物質はいかに質量を獲得したか」


が凄くわかりやすい、です。



stake2id at 22:33│Comments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
livedoor プロフィール

「TAK」さん

最新記事
Archives