2014年05月16日

効率化とイノベーションのトレードオフ

イノベーションは効率化からは生まれない。

これは、よく聞く言葉です。

イノベーションは、意図的に、起こそうとして起きた、よりも、振り返ってみると、結果として起きていた、ことが多いのではないでしょうか?

140516イノベーション


人生に大切なエッセンスを組み合わせて実行していく


で書いた、スティーブ・ジョブスのスタンフォード大学卒業式でのスピーチ


点と点をつなげる、ということです。

将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできません。できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。


に似ています。

効率化、ムダを省いで、全速力で進む、よりも、少しスピードを落として、寄り道して、道草を食って、出逢った人とおしゃべりしていたら、そしたら、意外なところに、宝物が見つかった、

なんてかんじでしょうか。

140516ジャンプ


デザイン思考、シリコンバレーIDEOの事例より

に書いた


先のニーズがわからない時にデザイン思考が有効。リニアに進むのではなく、行ったり、戻ったりしたり、わき道にそれたりする。


人間社会のシステム破綻の連鎖反応の必然的帰結:その機先を制するには




Efficient(効率的な)社会、とResilient(粘り強い)社会のトレードオフ、バランスが大きなポイント

効率性を追及していくと、無駄、重複、発生頻度が低いもの、採算が合わないもの、よくないものは省く、ことになります

すると、社会はちょっとしたトラブル、アクシデント対する復原力、バランスを失って、不安定になります


140516寄り道


異分野融合から生まれる独創 ノーベル化学賞 田中耕一さん


2002年に小柴昌俊さんがノーベル物理学賞、田中耕一さんがノーベル化学賞を受賞されました。

田中耕一さんは1983年に東北大学電気工学科を卒業され、島津製作所に入社。

レーザーを使った質量分析装置開発プロジェクトで、生体高分子をイオン化する方法の開発を担当されました。

入社2年後の85年に開発に成功、87年に論文発表し、これが15年後にノーベル化学賞を受賞することになりました。

電気工学を専攻されたのに、なぜ化学賞なのでしょうか?

田中耕一さんのエピソードとしては、「試料を間違って混ぜてしまった。それをもったいないから捨てなかった。これがノーベル賞につながった。」という話が有名です。

分子のように小さいものの質量を量るには、分子をイオン化して、イオンを電磁的に分離、検出して測定します。

田中耕一さんは、このうち分子のイオン化を担当されていました。

田中耕一さんは、卒論でビルによる電波の乱反射を防ぐために、電波を吸収する研究をしていましたが、入社されたからは、分子のイオン化のために、レーザーを吸収する研究をしました。

異分野の電気工学と高分子化学に意外な共通点があった訳です。


と書いたとおりです。

140516寄り道2


目的を明確化する、目的に集中する、のは、いいけれど、「明確化する」「集中する」とは、あったかもしれない可能性を失うこと、でもあります。


なんて、思い悩んでいたら、

寺田寅彦「科学者とあたま」

というサイトを見つけました。

寺田寅彦は、東京帝国大学の物理学者ですが、随筆家としても有名で、「天災は忘れた頃に来る」という言葉で有名です。

また夏目漱石と親交があり、夏目漱石の小説「吾輩は猫である」は、夏目漱石と寺田寅彦の会話が「もと」になっています。

140516寺田寅彦


抜粋して、紹介します。


頭のいい人は、足の早い旅人のようなものである。人より先に人のまだ行かない所へ行き着くこともできる代わりに、途中の道ばたにある肝心なものを見落とす。のろい人があとからおくれて来て、そのだいじな宝物を拾って行く。

頭のよい人は、頭の力を過信する。自然がわれわれに表示する現象が自分の頭で考えたことと一致しない場合に、「自然のほうが間違っている」かのように考える。

頭のいい人には恋ができない。恋は盲目である。科学者になるには自然を恋人としなければならない。自然はやはりその恋人にのみ真心を打ち明けるものである。

科学の歴史はある意味では錯覚と失策の歴史である。偉大なる迂愚者の頭の悪い能率の悪い仕事の歴史である。

頭のいい人は批評家に適するが行為の人にはなりにくい。すべての行為には危険が伴なうからである。失敗をこわがる人は科学者にはなれない。

人間の頭の力の限界を自覚して大自然の前に愚かな赤裸の自分を投げ出し、大自然の直接の教えにのみ傾聴する覚悟があって、初めて科学者にはなれる。それだけではなく、もちろん、観察と分析と推理の正確周到を必要とする




stake2id at 22:49│Comments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加

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