2014年11月17日

経済とは、人の行動を予測し、一歩先を行くこと

古典経済学では、人々は合理的な行動をとる、という前提のもとに構成されていますが、

実際の人々の行動は、経済的に合理的なもの、とは言えません。

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人間の行動は合理的?




従来は、「物価が高くなれば、消費を抑える。安くなれば、購買が増える」のように「人間は合理的に行動する」という前提で、システム、モデルが設計、構築されていました。

ただ、Herbert Simonが指摘したように、人間は必ずしも、理性により合理的に判断するのではなく、感情により、非合理的な行動をとることもよくあります。

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また、変化が少ない時代には、環境、状況を十分に判断できましたが、変化が激しい現代では、あふれる情報を十分には咀嚼できていない行動も少なくありません。

20世紀は「計画してから行動する」「考えてから歩く」時代であったが、21世紀は「行動しながら計画する」「歩きながら考える」時代になりました。

「歩きながら考える」のに、まず行動し、外界と対話するのが重要なのはもちろんですが、それにより、将来を予測する能力を向上させることが大切です。


経済学は、理工学などと異なり、実験環境を整備することが難しいために、実験は難しい、とされていましたが、

お金を使わない新しい経済学〜暮らしに役立つ「マッチングの仕組み〜




経済を論じる時、市場があることが前提で、市場での需要と供給のバランスで考えるのですが、多くの経済行動を含む社会活動が、市場以外のところで行われます。

例えば、企業、学校など組織内あるいは、組織間の活動も、必ずしも市場を介さないものが少なくありません

この市場を介さない活動を考える特に有効になるのが「ゲームの理論」です

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・フォン・ノイマン(1944)社会の問題を分析する「ゲームの理論」:社会現象をプレーヤー、戦略、利得で表現される「ゲーム」に定式化

・ジョン・ナッシュ(1950)ナッシュ均衡:誰も自分だけ行動を変えようとするインセンティブがない(参加者がお互いに最適化を行っている)一般的な条件化で解が存在する


に書いたように、「ゲームの理論」が提案されてから、実験経済学、行動経済学と呼ばれる学問が生まれました。


円安のマイナス効果、アメリカ景気回復で独り勝ちで、国際経済金融はどうなる?




・市場は「売り」と「買い」が交錯している時が山場。全員が買うと「終わり」

・実際の値、そのもの、よりも、実際の値と予想の差が大事。


と書きましたが、市場の動き、例えば、GDPの成長率、アメリカのダウ30、雇用統計などについて、

人々は予測を行い、その予測を経済活動に織り込みます。

すなわち、GDPの成長率、アメリカのダウ30、雇用統計が発表されるときには、その動き、上昇、下落などは

ある程度、織り込み済みの経済活動を行っています。

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しかし、実際には、予測と実際には「ずれ」があります。

それゆえ、経済指標値が発表された時には、予測と実際には「ずれ」により、人々は大きな経済の動きを行うことになります。

人々がどういう行動を取るか、予測し、その一歩先を読んだ行動を取ることができれば、

例えば、株価の上昇、下落、為替の円安、円高などを事前に予測し、値が動く前に、売買を行えば、利益を上げることができます。

もちろん、この「読み」が難しいのは、もちろんです。

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経済、政策、国際社会の振り返りから見るアベノミクス




先進5か国は、協調的なドル安を図ること、実質的に円高ドル安に誘導する内容で合意しました。これが『プラザ合意』(1985年)です。

1ドル230円程度であった、ドル円相場は、一気に1ドル120円まで円高が進み、製造業は大きな打撃を受けることになります。ただ、GDPの伸びの落ち込みは1986年だけで、すぐに回復し、当時の日本の製造業の強さを伺わせます。

当時は、日本とドイツで景気が過熱していました。おそらく両国とも金利を引き上げるのではないか。そうなれば、ニューヨーク株式市場から資金が逃げ出し、ドイツや日本に向かうのではないか。こう考えた投資家たちが、株価が下がる前に株を売却しようと考えます。そして、ついに1987年(昭和62年)10月、ニューヨーク株式市場で株価が暴落します。これは「ブラック・マンデー」と呼ばれます。

ここで、ドイツがさっさと政策金利を引き上げたのに対し、日本は政策金利を低金利のまま据え置き、これが「バブル経済」へとつながります。


と書いたように、実際には金利は動いていないのに、金利引き上げの予測で株が大量に売却され、「ブラック・マンデー」が起きました。

これに対して、適切な対応をしなかったことが「バブル経済」へとつながります。

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さて、行動経済学を考える上で、もうひとつ重要な要素が、現状維持(ステータス・クオ)バイアス、です。

日常生活の中の行動経済学、グローバル・ファイナンス




「代金は1週間前までに払う」と「代金は、カードから引き落とされ、1週間前までのキャンセルならば、代金を返却する」

は、全然異なります。

商品が気に入らなかったら、返品してください。代金はお返しします」という謳い文句があります。

返品はほとんどないそうです。

商品を買った状態が、現状になるため、それを崩そうとはしない、人々は結局、現状維持を選んでしまう

これを行動経済学で、現状維持(ステータス・クオ)バイアス、と言います。


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得るよりも失う方が悲しい だから現状維持?




「チェンジ」「変革」が最近キーワードになっています。

現在の状態から、別の状態に変わることによって、何がしかのコストがかかります。

どういうことかと言うと、あなたは今の状態がいいにせよ、よくないにせよ、今の状態に慣れています。

その慣れている状態から、別の慣れていない、新しい状態に移るには、コストがかかります。

また、あなたが新しい状態に移ると、何らかの変化が起きるでしょう。

いいにせよ、よくないにせよ、その変化は、あなたの責任です。現状のままでは、その変化は起きません。

「チェンジ」「変革」には得るもの、失うもの、がありますが、上に書いたように、得たうれしさ、よりも、失った悲しさ、の方がずっと大きいのです。

こうして、人々は結局、現状維持を選んでしまう。

転職に踏み切れない、異動希望を出せない、などなど


発散気味ですが、社会、人々の行動を先読みし、合理的な経済行動を行いたいものです。

経済変化が激しい時代、現状維持(ステータス・クオ)バイアスに囚われていると、大変なことになるかもしれません。





stake2id at 23:05│Comments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加

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