2016年11月13日

生命科学、バイオテクノロジーを駆使する農学の今後の展望

東大農学部公開セミナー「農学における芸」

という案内がきました。

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かつて農学は工学、理学、医学に比べて脇役だった感がありますが、生命科学、バイオテクノロジーを駆使し、医療、食料、環境など人々の生活全般を急速に進化させる学問に変貌しつつあります。

自然の摂理をより正しく理解し、人類により有効に活用できるように、自然と人間のインターフェースを務める学問と考えられます。

その、自然と人間のインターフェースの役割が当初は食料が中心だったのですが、その範囲が上記のように、医療、環境など急速に広がっています。

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太古の昔から食料の安定供給は人々の切なる願いでした。

この辺の事情は、

高度食料生産業への農業イノベーションは生産だけでなく、流通、消費も巻き込み多彩

「農業」は「高度食料生産業」に急速に移行中


弥生時代に大陸から稲作が導入されて以来、米作が日本の産業の基幹でした。

これにより、水田をつくり、定住が可能になり、毎年の収穫高の予測が可能になり、計画経済社会へ移行します。

ただ、この農業従事者を苦しめたのが、ひでり、大雨、冷夏などの異常気象です。

異常気象と言うと、地球温暖化の影響のように言われますが、実は大昔からあって、その頃の方がずっと深刻でした。

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コメの収穫が少ないと、当然、価格が上昇し、米騒動、打ち壊し、などの社会不安もありました。

江戸時代には、青木昆陽が琉球、長崎を経て伝わった甘藷(サツマイモ)の試作に成功して、飢饉にあえいでいた農民を救ったり、明治以降も、主に東北地方の稲の冷害対策として、陸羽132号、藤坂5号など、冷害に強い稲が開発されました。



医食農イノベーション、植物工場、機能性食材ビジネスなどの可能性


農業のこれまでの取り組みは、日照り、大雨、冷夏などの気象条件との戦いでした。

オランダは九州ほどの面積しかないのですが、アメリカに次ぐ農産物生産量を誇っています。

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気温、降水量、日照時間など自然条件に左右される、これまでの農業から、味がよく、生産量が高い条件を人工的に再現して制御することにより、安定的に、質が良い、農産物を、大量に収穫することができるようになります。

さて、「食」は生活の重要な基本でありながら、イノベーションは、ゆるやかにしか進んできませんでした。ただ、逆に今後大きな可能性がある、ということでもあります。

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人々は早い時期から「火」を使って、煮る、焼く、炊く、などの調理行為を行ってきました。

ただ、肉、魚、などの生鮮食料品を家庭で保存できるようになったのは、昭和30年代の冷蔵庫の普及からです。

それまでは、肉、魚、などを長期に保存するには、煮干し、鰹節など、乾燥させていました。

家庭で、冷蔵、解凍できるようになってから、生産、流通にも劇的な変化が起こっています。


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米、太古よりずっと耕作地が足りず、開拓、干拓などにより、耕作地を増やしてきたが、1970年代以降は、耕作、生産技術の進歩により、生産量が増加し、仮に全農家が米を作ると、膨大な生産過剰になり、価格が崩壊するので、減反(一方で、税金による所得補償)による価格維持、対海外では700%の関税による流入防止、など産業としては矛盾をはらんでいる

20世紀後半から食料は生産力が過剰、余っているのではない、生産調整。


食料の安定供給という、人類の長年の悲願は、20世紀後半に取りあえず達成されましたが、

その頃には人類の課題は、食料だけでなく、医療、環境など多様化していました。

その多様化した、人類の課題に、農学が中心に培ってきた、生命科学、バイオテクノロジーが極めて有効なことがわかってきました。

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過去の東大農学部公開セミナー(全50回 第28回から要旨集ダウンロード可能)

を見ると、 「バイオサイエンスの世界は広がる」「エコサイエンスの世界は拓く」「ケミカルコミュニケーション‐ふしぎな生物通信の世界‐」「微生物の大きな働き‐バイオテクノロジーの基盤‐」のように

そのテーマは人類の生活環境全般の多岐にわたっていることがわかります。

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今日は個別のテーマについては、踏み込みませんが、生命科学、バイオテクノロジーを駆使する農学の今後の展望について、考えてみました。








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