2017年11月10日

研究業務のアウトソーシングとノット・インベント・ヒア

研究を進めるには、一人では難しくて、コラボが欠かせません。

では、研究業務のアウトソーシングはどうでしょうか?

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IoT時代への新しい知財・標準化戦略とは?




●研究開発、技術開発は自分で頭を使って、汗を流して行うもの、インベント・ヒア


東大知的資産新ビジネス塾「知財戦略はめまぐるしく進化する」




かつての知財戦略と言えば、競合他社よりも先んじて技術開発し、それを特許出願し、権利化し、権利を防衛すると共に、ライセンス収入を得る、というものでしたが、オープン・イノベーション、国際標準化の流れの中で、あえてリスクの高い新規技術開発を自ら行うことなく、技術、知財ごと買収する、というのが現在のトレンドでしょうか?


と書きました。

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新規技術の開発には、大学とのコラボレーションの開始、試験設備の導入、研究者の雇用、育成などに、多額の資金、費用だけでなく、少なくとも3〜5年程度の時間がかかります。

ところが、スピードが速い社会では、3〜5年程度の時間を費やしていたのでは、事業の機会を逸してしまいます。

そこで、あえてリスクの高い新規技術開発を自ら行うことなく、技術、知財ごと買収する、というのが現在のトレンド、です。

ところが、新規技術の開発を行う担当者は、以前、研究者だった人が数多くいます。

すると、上記のように、研究開発、技術開発は自分で頭を使って、汗を流して行うもの、他人が行った研究開発、技術開発を、金で買うなんて、とんでもない、という意識の人が少なくありません。

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産学連携、シーズとニーズのマッチングからオープン・イノベーションへ




日本企業はNIH(ノット・インベント・ヒア)自社開発主義が強すぎる。世界的には、技術の知財ごと買収が一般的に。


と書いたとおりです。

もっとも、NIH(ノット・インベント・ヒア)という英語にあるように、日本だけでなく、研究者を経験したことがある人には、受け入れがたいことなのかもしれません。

スピードが速い社会では、技術をビジネスにするには、自分のコア技術は大切ですが、一から研究開発するのではなく、有望な技術を知財ごと買収する、スピード感、スケール感が大切です。



と書きました。

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スピードが速い社会では、研究業務のアウトソーシングも必要かもしれません。

では、研究業務のどの分野をアウトソーシングして、どの分野を自分でやる、のでしょうか?

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実験系の研究業務を例に考えてみます。

実験系の研究業務とは、

・実験の構想、計画

・実験機器、材料、計測装置の選定、調達

・ゲージ貼付、機器のキャリブレーションなど、実験準備

・実験の計測業務

・実験データの分析、解析

・研究論文の作成

などなど

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「研究論文の作成」がアウトソーシング?と思いますが、上記のほとんどすべてがアウトソーシングできます。

「実験の計測業務」「実験データの分析、解析」などは、コンピューターで自動で行うのだから、そもそもアウトソーシングする必要すら、ないのでは?

という声も聞こえてきそうですが、実際にやってみると、データの修正、選別など、手作業が多く、結構、時間、労力がかかります。

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実は、「実験データの分析、解析」を独創的なプロセスではなく、単なるルーティン作業の数的処理、と考え、アウトソーシングする研究者が数多くいます。

科学の進歩をもたらすのは、全くの偶然か、あるいは知的な計画か?




科学と技術における飛躍的進歩とは、ひとつは、あらかじめ立てられた計画に基づいて研究を進めたときに起きます。

もうひとつは、セレンディピティ(=偶然に巡り会えた素晴らしいもの)によるもので、全く予期しない発見によって起きます。

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ある仮説を構築し、その仮説を検証する実験、測定を行うのが、一般的な手法です。

ただ、計画を着実に実行するだけでは想定内の結果しか得られないことがほとんどです。

そこに、偶然の要素が加わると歴史的な発見、開発につながることがあります。

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「ニュートリノ天文学」の幕開けとなった「カミオカンデ」は当初、陽子崩壊観測のために建設されましたが、建設後わずか数か月で、大マゼラン星雲でおきた超新星爆発からのニュートリノを偶発的に観測しました。

準備をしておくからこそ、「偶然」も起きます。実は「偶然」に見えて「必然」だったりするのですが。

準備をしないところには、「偶然」も起きようがありません。何もせずに、「偶然」を待っていてもナンセンスです。


と書きました。


スーパーカミオカンで見られた、μニュートリノがτニュートリノに変換する現象は多くの研究者が観測していたのでしょう。

ただ、ほとんどの研究者は観測ミス、計測ミスと捉えたようです。

取りあえず、この現象を論文にしておいた梶田先生が、後にノーベル物理学賞を受賞することになりました。

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実験データの分析、解析をアウトソーシングしてしまうと、想定内の結果しか得られないことがほとんどです。

提出された解析結果を鵜呑みにするほかありません。予期せぬ発見は起こりません。

ということで、時間、労力がかかっても、実験データの分析、解析は、自分でプログラムを作って、自分の手で行うと、思わぬ発見があるかもしれません。

「TAK」さんは、「実験データの分析、解析」「研究論文の作成」は、どんなに立て込んでいても、自分でやることにしています。




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