2018年12月12日

世界のイノベーションの先端、シリコンバレーの今

シリコンバレー視察報告会「参加学生から見たシリコンバレー」@3×3labo

という案内が来ました。

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「アメリカの産学連携と大学教育」と言うと、スタンフォード大学とシリコンバレーのモデルがあげられ、産業、アカデミア、資本家を巻き込んだ、最新のイノベーションを起こし続ける「場」であり、また、ベンチャー企業を中心に取り入れられている「デザイン思考」の発祥、中心地でもあります。

などと言うと、

「シリコンバレーなんて、もう古い。時代は、もう深センだよ」

などという人もいます。

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ところが、こんなことをいう人に限って、シリコンバレーにも、深センにも行ったことはなく、ネットでかじった情報だったりします。

「TAK」さんが、スタンフォード大学のあるシリコンバレーによく行ったのは、10年以上前のこと

今は、どう変化していったのか、参加した学生さんのお話を伺うことにします。

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シリコンバレーは、その昔は、その名の通り、半導体をベースに産学ベンチャーキャピタルが集まる先端拠点でした。

半導体からクリーンテクノロジー、バイオ、ロボット、人工知能と対象が変わっても、世界の先端拠点をキープしています。

それを支えるのが、大企業、大学、ベンチャー企業、弁護士、弁理士などの専門家集団などのイノベーション・エコシステムです。

これにより、技術、知財、人材、資金が動きます。

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日本企業の中にも、シリコンバレーに拠点を出す動きがあります。

ところが、コワーキングスペースの日本企業ブースは、誰もいなくて、閑散としているそうです。

上に書いた、イノベーション・エコシステムに入り込めなければ、情報収集も活動もできません。

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シリコンバレーにはグーグル、インテルなど、世界のトップ企業が集まり、もちろん社員は超高給取りです。そして、最近はサンフランシスコまで無料の送迎シャトルバスが出ています。

そのため、サンフランシスコに住む社員が増え、家賃をはじめとする物価が急騰し、平均家賃は30万円を超え、昔からの住民が退去を余儀なくされています。

いいことずくめではなく、いろいろな問題が生まれます。

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さて、この報告会がよいのは、参加した学生さんからのフレッシュな報告が主体であることしょうか。

「TAK」さんも、シリコンバレーに何人か友人がいますので、上の書いたような情報はいつも入ります。

同じ事柄でも、学生さんの視点はフレッシュで、必ず参考になることがあります。

逆に、シリコンバレーをかじった経験がある大人のお話は、自慢話が多くて、長くなり、もう聞いたことがある内容で退屈です。

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「イノベーション・エコシステム」「デザイン思考」について、これまで考えたことがあります。

アメリカの産学連携と大学教育



アメリカの産学連携は、古くは軍事産業など歴史がありますが、本格化したのは、1980年にバイドール法が成立し、
国の資金による研究であっても、大学が特許を取得できる、資産化できるようになってからです。

それ以前は大企業には中央研究所があり、中には、本業とは関係のない分野で、ノーベル賞級の研究をしていました。

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これについては、渦中にいる時は、

わからない 歴史の重要性

に書いたのですが、


1980年代に、大企業で中央研究所が様々な研究を行っていました。

その象徴的なものが、アメリカのAT&Tのベル研究所でしょうか?

直接、本来の通信業務とは関係ない分野で、ノーベル賞クラスの研究成果がいくつも出ていました。

ところが、その後、株主に対して、予算の執行とそれに対する成果の明示、説明が求められるようになり、このような「おおらかな研究環境」は姿を消します。

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そして、技術開発の中心が、大企業の中央研究所から、シリコンバレーのベンチャーへと移っていきます。

この波は、日本へも伝わり、日本企業も中央研究所では基礎研究を自ら行うのではなく、大学との委託研究に切り替えていきます。

これが、「中央研究所の終焉」でしょうか?


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この「中央研究所の終焉」の際に、多くの企業研究者が大学に移って研究活動を続ける、という、人材の流動がありました。

この人材の移動が「イノベーション・エコシステム」を形成することになりました。

これについては、

企業家精神(アントレプレナーシップ)を発揮するにはイノベーション・エコシステムが大切




企業家精神(アントレプレナーシップ)を発揮するには、大企業、大学、ベンチャー企業、弁護士、弁理士などの専門家集団などのイノベーション・エコシステムにより、技術、知財、人材、資金が動くことが大切です

大企業、大学、ベンチャー企業、弁護士、弁理士などの専門家集団などのイノベーション・エコシステムは、ポジティブな関係だけではなく、

・大企業をレイオフされた人々が、新しい産業を創る

・大企業をスピンアウトしたベンチャー企業を、数年後にその大企業がM&Aで吸収

のように、かなりドロドロしたものも含みます。これらを含めたエコシステムの中で企業家精神(アントレプレナーシップ)は活かされる、ようです


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「米国におけるクリーンテックベンチャーの動向と今後の課題」に参加しました




ベンチャーが活躍する分野としては、クリーンテック、ライフサイエンス、ITが主流ですが、それぞれで全く様相が異なること、

アメリカでもベンチャーを育てる生態系があるのは、シリコンバレー(スタンフォード)、ボストン(MIT)、ニューヨーク。投資家、ベンチャー経験者、(レイオフされた有能な)技術者、弁護士がいて、世界中から人材が集まる


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オープンイノベーションとアントレプレナーシップ(企業家精神)




オープンイノベーションとアントレプレナーシップ(企業家精神)を取り巻く環境について、簡単にまとめてみました

オープンイノベーションとアントレプレナーシップ(企業家精神)については、企業体質、個人の資質として、議論されることが多いのですが、

むしろ、ここに書いたように、

・グローバル競争の激化、株主への説明責任の増大に伴う、大企業の中央研究所の終焉

・大企業の基礎研究からの撤退に伴う、産学連携、ベンチャー企業への移行

・単独企業内でのイノベーションから、産業クラスターでのオープンイノベーション

という時代、社会の大きな流れの中で考えた方がよさそうです


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デザイン思考、シリコンバレーIDEOの事例より

欧米を中心に新たな価値、体験を生み出すためのデザインがより重要になってきています。

変化が激しい時代におけるデザインの役割、「技術イノベーションをいかに人間的にするかの方法」、「デザインとビジネス戦略を繋げる」、「インタラクティブなコミュニケーションや商品をデザインするためのメソッド」「デザインとビジネスを融合する」「ユーザー価値と経済価値を繋げる」などなど、

技術、イノベーション、ビジネス、コミュニケーションなど、いろいろな分野、あるいは分野融合を起こす方法として、デザインに対する期待は高まっています。

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デザイン思考については、

デザイン・スクールとしては、スタンフォード大学のd.school(Institute of Design at Stanford)

が有名です。


d.schoolでは、デザイン思考はどんな仕事・プロジェクトにおいても重要だという思想のもと、経営、情報技術、法律など多様な学科の学生が履修します。

問題解決のためのデザイン思考における5 つのプロセス」が重要だということ。

empathy:課題の対象に感情移入する

define:問題を定義する

ideate:アイデアをたくさん出す

prototype:プロトタイプを作る

test:試験し、フィードバックを得る

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このプロセスは、モノづくりだけでなくあらゆる問題解決の過程で応用できます。そして、d.schoolではこのプロセスを実際にクラスを通して経験していくことができます。



スタンフォード大学ビジネススクールにいると、在学中に起業する


・スタンフォード大学ではグループワークで考え付いたビジネスプランを実行して、年商数億のビジネスになる、事例もある。

・スタンフォード大学ビジネススクールにいると、当初は特に起業するつもりはなくても、結局、起業している人が多い。

・起業の目的は、お金儲けよりも、むしろ、あたらしいモノ、サービス、会社をつくる、価値観、チームをつくる、チャレンジングなことをする


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ハーバードとスタンフォードのギャップ




世界中の優秀な人たちが集まり、卒業後のネットワークが役に立つ、という点では同じですが、

・国際機関、グローバル企業のエグゼクティブ向きのハーバード

・ビジネスのネタを見つけ、起業家向けのスタンフォード

のような、おおまかな違いはあるようです

公共政策大学院からビジネススクールに移って、そのカルチャーギャップに苦しんでいた私は、公共性と利益追求の狭間で将来の進路に悩んでいた。

課題で見ると、ケネディで議論されている内容のほうに、より共感できる。世界で起こる紛争や、国づくりの難しさや、世界に電気や水を届けるほうが、次のiPhoneアプリを作るよりも大事な気がする。

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一方で、アプローチはというと、スタンフォードで会う人たちのほうが、わくわくさせられる。

あの学校に出入りする起業家やベンチャーキャピタリストたちのクールなこと。話し方もアイディアもまとっている空気も、実にかっこよすぎて、一生かなわないよ、と思わせられる。でも、そんな人たちの才能は、「このビジネス、当たるか当たらないか?」というところにすべて割かれている。
ううむ。


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学生さんのシリコンバレー視察報告会から、いろいろ考えてみました。



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