2007年10月

2007年10月31日

人材ビジネス研究シンポジウム「人と仕事・人と人とのマッチング」で伺ったお話は、とても書き切れないので、法政大学キャリアデザイン学部 武石恵美子教授、株式会社スタッフサービス永井幸子さん(ゼネラルマネージャー補佐)、株式会社リクルートエージェント綿貫陽子さん(キャリアアドバイザー)、から伺ったお話をまとめて書きます。


せっかく就職したのに、3年以内に辞めてしまう若者が増えています。

就職活動で、事前にその会社について、十分な調査を行い、また、見学、面接などで、その会社に何度か足を運んだのに、このような結果になってしまいます。

辞めた人の話を聞くと、どうも仕事の内容が合わなかった、というよりも、職場の風土、人間関係、環境が問題、のようです。


では、就職活動が無駄か?というと、そうでもないようです。

通常、大学3年生で就職活動を始めますが、当初は、ベスト何位の上位企業、マスコミなど、外部情報をもとに会社訪問します。

ただ、何社か、まわるうちに、自分の個性、価値と企業のマッチングを次第に見出していきます。

実際に働いた経験のない学生さんが、自分が働く企業を見つけるは難しいこと、なのです。


人材派遣でも、同様のことが見られます。

企業側と応募する人の条件が、ぴったり合っているのに、うまくいかないことのある一方、条件には不一致があっても、実際に働いてみるとうまくいく場合もあるそうです。

実のところ、企業側と応募する人のマッチングは、実際に働いてみないとわからない、そうです。

但し、絶対に外せないのが、「働く期間」と「働く時間」だそうです。

「いつから、何をする」というスケジュール、「何時まで働ける」ということ、は決まっています。これは絶対外さないことです。

応募する人にいろいろ条件がありますが、絶対に譲れないこと、と、本当はどうでもいいこと、が混在している場合が多いそうです。

一度、書き出して整理するとよいでしょう。自分が何が譲れないのか?はっきりします。


そして、パネリストの皆さんが、口をそろえておっしゃったことがあります。

学生、仕事を探すクライアントとの活動が、やがて、一段落します。その時、感謝の言葉をいただきます。

「いい就職先を探してくれてありがとう」よりも「一緒に支えてくれて、ありがとう」

だそうです。









2007年10月30日

東京大学情報学環 林香里 准教授から「現代社会の専門家」というテーマで伺ったお話です。

以前はある専門家になるには、目指す目標、あるいは、解決する問題、課題が明確で、比較的固定していて、目標の設定、必要な技術の取得などは、合理的に決定できました。

それゆえ、明確な目標を持って、それを目指して、進んでいけばよかった、訳です。


現代社会では、それぞれの職業の機能が分化、深化しています。

それぞれをつなぐコンサルタントのような職業が発生します。

それに加えて、目指す目標、目標達成のために解決する問題、課題が、かなり流動的で、急激に変化、変質することが、よくあります。また、突然、新しい課題が発生したり、課題同士が複雑に交錯することもあります。

ある目標のために蓄積していた技術が、突然、陳腐化し、不要になることも珍しくありません。


それゆえ、目標は社会、環境に合わせて、柔軟に変更しなければなりません。

それに応じて、目標達成のために解決する問題、課題も変更していかなければ、なりません。

「これだ!これしかない!」とあまりにも目標を決め付けると、柔軟性がなくなります。


こう書いていると、「計画された偶発性」を思い出しました。



スタンフォード大学のジョン・クランボルツ教授が提唱する「計画された偶発
性」(Planned Happenstance Theory)

・予期せぬ出来事が個人のキャリアを左右する

・予期せぬ出来事を避けるのではなく、起きたことを最大限に活用する

・偶然を積極的につくりだし、キャリア形成の力にすることが重要

好奇心:新しい学習機会の模索

持続性:めげない努力

楽観性:新しい機会を「実現可能」と捉える

柔軟性:信念、概念、態度、行動を変える

リスク・テイキング:結果が不確実でも行動に移す

をあらためて、実感しました。






2007年10月29日

週末の達人の小石雄一さんからメールをいただきました。

仕事とは、問題解決です。毎日の仕事の多くは交渉です。

仕事上で交渉ごとが少ない方もいるでしょう。

しかし、一旦家に帰れば、家族との交渉、隣近所との交渉の毎日なのではないでしょうか。

お店での値引き交渉などもあると思います。

家電販売店に勤務しているなら、お客様相手の交渉が仕事です。


相手の心理状態を少し理解し、どのような交渉トークで立ち向かえばいいのか?
少し考えてみませんか?

人間関係のトラブルのかなりの部分は、この交渉トークのもつれです。

自分の立場を良く理解し、相手の心理状態を読み、その場の空気を感じることができれば、交渉を有利に進めることができるのではないでしょうか。あるいは、相手も自分も納得のゆく結論が得られるはずです。

相手をだますのではなく、双方が納得するような結論を導きだす、そんな交渉トークを身につけたいと思います。




2007年10月28日

英会話のNOVAが会社更生法申請、全校休業と、すごいことになっています。

詳細はよく知りませんが、こういう結果になった以上、経営が失敗したのは間違いありません。

ただ、NOVAが採用した「駅前留学」「外国人講師による少人数クラス」というアイデアまでが否定されるものではありません。

通学に時間がかかると、クラスから足が遠のきます。「駅前留学」はそれを防ぐ、いい方法です。

人数が多いと、ほとんどが生徒の日本人の英語を聞くばかりで、自分は話すチャンスも少なく、成果が上がりません。

「外国人講師による少人数クラス」はネイティブ・イングリッシュに慣れるいい方法です。

これらのアイデアはすばらしいものでした。

ただ、アイデアがよい、ということと、そのアイデアを経営ベースで実行できる、ということは違います。

経営者は当初はいい心掛けであっても、次第に利益優先、などに性格が変わっていきます。

いいアイデアであっても、うまく機能しない兆候が見えれば、計画の見直し、対策が必要であったのでしょう。

本当に残念な結果です。






2007年10月27日

キャリアデザイン、ワークバランスなどのセミナーで

「おもしろそう!参加しようかな?」

と思っていると、

「このイベントは女性のキャリアデザインのためのもので、参加者は女性限定です」

とあって、がっかりすることがよくあります。


独立行政法人経済産業研究所の女性職員の方から、海外の女性フォーラムについ
て、メールが来ました。


フランスのドーヴィルで開催されたWomen's Forumに参加しました。

Building trust in our societiesをテーマとして、女性の教育や健康、雇用における男女平等についてだけでなく、グローバリゼーション、高齢化社会、地球温暖化、科学技術の進歩への対応等について幅広く論じられました。

このフォーラムが他の女性フォーラムと異なるひとつの点は、世界各国の政界、学界、ビジネス界、メディア業界のリーダーが男女共にスピーカーとして招かれ、参加者にも男性が多かったことです。

これは、女性の能力を最大限に活用できるように社会経済を変えていくことが重要であり、そのためには男性の参加が欠かせない、と認知されてきたからではないかと思います

個人の参加費は5,000ユーロ、ただし開発途上国、中小企業、NGOからの参加および男性は半額です。



参加費が半額でなくてもいいから、男性も参加できる女性フォーラムが増えるといいな、と思います。







2007年10月26日

人材ビジネス研究シンポジウム「人と仕事・人と人とのマッチング」で日本青年館結婚相談所所長の板本洋子さんから伺った話です。

板本さんは1980年に日本青年館が結婚相談所事業をスタートさせたと同時に担当になり、その後、数多くの「人と人とのマッチング」をされてきました。

最近、日本青年館結婚相談所を訪れる人々は男性は40才前後、女性は35才が中心で、男女とも50才以上が1割を占めるそうです。

ここでも、着実に高齢化が進んでいます。

結婚を希望する理由もあまり明確ではありません。

「親がうるさいから」「周りがみんな結婚したから」

さて、気になる成婚率ですが、8〜9%だそうです。

これを高い、と考えますか?それとも、低い、と考えますか?

ただ、何もしなければ、確率はほとんどゼロです。

とにかく、「日本青年館結婚相談所を訪れる」という行動を取った結果、「8〜9%」という結果が生まれます。

「人と人とのマッチング」には「はずみ」と「誤解」が欠かせません。

ところが、年齢を重ねるにつれて、人間は慎重になっていきます。「はずみ」と「誤解」は起こりにくくなります。

板本さんは言っています。

「経験もせずに、ネットでデータベースだけ眺めて、考えていても、何も生まれません。

とにかく、まず、やってみることです」

実際にやってみると、なかなか自分の思い通り、理想通りにはいかないこと、だらけです。

ここで大切なのが、「折り合いをつける」ことです。

「折り合いをつける」のは「あきらめる」こととは違います。


さて、「8〜9%」の成功率ですから、マッチングできずに去っていく人の方がずっと多いのです。

でも、マッチングはできませんでしたが、コミュニケーション技術を身につけ、ライフキャリアを考えるきかけになった、と、満足して去っていく人が多いそうです。






2007年10月25日

人材ビジネス研究シンポジウム「人と仕事・人と人とのマッチング」で、立教大学大学院ビジネスデザイン研究科 小島貴子准教授から伺った話です。

小島貴子准教授は都市銀行、埼玉県庁職業訓練指導員を経て、現職に就かれています。3月までは朝日新聞の夕刊で若者の就職相談の回答者をなさっていました。

そばにいるだけで、パワーが伝わってくる女性です。

キャリアカウンセラーの勉強をされたのですが、クライアントの話を聞いているうちに、自分で「こうだ!そうだ!」と考えてしまうそうです。

そんな訳で、先生から「あなたはカウンセラーに向いていない」と言われたそうです。


職業訓練指導員として、若年者、女性、高齢者とあらゆる年代の就職支援をしてきましたが、せっかく就職が決まったのに、すぐに辞めてしまう人が絶えない、そうです。

ある企業について、外側から見える姿と、実際の内側の実態と自分の個性、価値
のミスマッチ、に加え、キャリアといっても「職業キャリア」と「ライフキャリア」があって、そのミスマッチもあるのでは、と言われています。


「何がやりたいか?わからない」「やりたいことが見つからない」学生が増えています。(実は学生だけでなく、社会人にも多いようです)

このような場合、「キャリア意識を持て!」「明確な目的を持て!」と言っても、追い込むだけです。

また、本人が「やりたい!」と言っていることも、本人の内在的なものと違う場合も珍しくありません。

このような時に相談に乗っても、相談者は話しやすいこと、話せること、しか話しません。隠している、あるいは本人も気付いていない(本人以外は皆、わかっているのに!)がいっぱいあります。

小島貴子さんのおすすめは、

1.まず「書くこと」それから「話す」「聴く」

書く場合も、書きやすいことから書きます。

書きづらいところ、自分に内在していることは、書く作業が進まなくなります。

でも、自分の課題、問題ははっきりしてきます。


それから、「話す」「聴く」です。

もし、グループワークをやるのなら、なるべく、「よく知らない人」がいいです。

他者の力を借りて、自分ではわからない、自分の中に隠れているもの、を引き出します。


2.捜すこと、行動すること

「やりたいことが見つからない」人が見ているところは、とても狭いです。

捜しましょう!行動しましょう!

ネットで調べた情報と現実の違いもわかります。

どうしても「やりたいことが見つからない」なら、「絶対にやりたくないこと」を挙げていきましょう。これならできますよね。

「捜す力、行動する力」がキャリアをつくっていきます。


最後に小島さんが言っていました。

「3年後に自分が何をしているか?書き出して、描きました。その結果、今の自分がいます」




2007年10月24日

人材という最大の財産をどう活かすか?キャリア・デザインだけでなく、社会にとっても、個人にとっても最大の問題です。

「人と仕事」、「人と人」をマッチングさせる人材ビジネスも盛んです。

でも、キャリア・デザイン、「人と仕事・人と人とのマッチング」は最大の問題なのに、学問としても、研究テーマとしても十分には取り扱われてはいません。

社会科学では、ようやく研究課題として取り上げられていますが、理工系人材などは、まだまだ、検討対象にも取り上げられていません。


人と仕事、人と人をどうマッチングさせるか?

楽しくもあり、また、難しい問題でもあります。

就職、転職、人材派遣に加え、結婚にもあてはまります。

また、一般論をいくら議論されても、「自分」に適用できなければ、何にもなりません。


そこで、東京大学社会科学研究所 人材ビジネスシンポジウム「人と仕事・人と人とのマッチング:楽しさと難しさ−職業紹介、人材派遣、結婚紹介、大学の現場から−」に行って来ました。

会場の東京大学本郷キャンパス内理学部1号館2階 小柴ホールは満席です。

パネリスト    
 板本洋子(日本青年館結婚相談所所長)
 小島貴子(立教大学大学院ビジネスデザイン研究科准教授)
 武石恵美子(法政大学キャリアデザイン学部教授)
 永井幸子(株式会社スタッフサービス営業統括本部
         コーディネート部ゼネラルマネージャー補佐)
 綿貫陽子(株式会社リクルートエージェントキャリアアドバイザー)

コーディネーター 
 佐藤博樹(東京大学社会科学研究所教授)


見るからに豪華なメンバーです。5人の女性に囲まれて「白一点」の佐藤教授がうらやましい限りです。

小島貴子准教授は都市銀行、埼玉県庁職業訓練指導員、武石恵美子教授は労働省、ニッセイ基礎研究所の経歴があり、5人のパネリスト全員が豊富な現場の実地体験を持っています。

シンポジウムの内容は、とても1回では書き切れませんから、今後何回かに分けて紹介します。




2007年10月23日

昨日に続いて、大学院生B君からの質問です。

B君は、工学系大学院で電子デバイス回路の研究をしています。


先生から、

「正直言って、研究者、技術者のままでは、企業ではあまりえらくなれない。

技術系でえらくなっている人は、途中で、技術経営などにキャリアチェンジしている。

そもそも、文系の方が理系より、出世する。」

というお話を伺いました。これって、本当ですか?


昨日からB君は難しい質問をします。

「TAK」さんは、B君の先生をよく知っています。

「自分の研究テーマを掘り下げるだけでなく、全体を俯瞰することが大切。

ある技術を事業化するには、研究開発だけでなく、マーケティング、資金調達なども必要。」

という先生の全体のお話の中で、上の部分だけが、ひっかかたのだと思います。

「しっかり研究をしていれば、明るい未来が待っている」

のような「根拠が薄い慰め」ではなく、しっかりした現実を話してくれる、率直な先生です。


B君の説明に答えるならば、「一般的にはその通り」です。

企業で役員などの経営幹部になるのであれば、技術担当であっても、マーケティング、ファイナンス、営業、コスト分析、人事など、経営能力が大切です。

「私は研究開発だけをずっとやってきました。研究開発は得意ですが、それ以外はどうも苦手です」と言う人が経営陣には入らないでしょう。

いくつかのコア技術について深い知識・経験に加え、全体を俯瞰し、プロジェクトをまとめたり、上記のような、マーケティング、ファイナンス、営業、コスト分析、人事など、経営能力が必要でしょう。


B君が国内外の大学、研究機関に進んで研究者になったとしても、経営能力は必要です。

研究費を獲得したり、優秀な研究スタッフを集めたり、他の研究機関、企業と連携を図ったり、

研究だけしていればよい、訳ではありません。


今度は「TAK」さんからB君に質問です。

B君は、何の目的で、大学院に進学したのですか?

電子デバイス回路について、深く研究をしたいから、ですか?

修士、博士という高学歴を得たいからですか?

それとも、ただ何となく、成り行きで?


今日の「TAK」さんの答えはちょっと厳しいかもしれません。でも、何がしたいのか?自分の目的をもう一度見直してください。







2007年10月22日

工学系大学院生のB君から質問を受けました。


・これからの技術者にはMOT(技術経営)が重要

・異分野の融合により、イノベーションが産まれる

・文理が融合した学際的な研究が大切

と言われます。

「TAK」さんのような「産学官プロデューサー」が現れたり、科学技術を伝える科学技術コミュニケーションなど、いろいろな分野を横断する活動が注目されています。

でも、研究って、あるテーマについて、専門的に掘り下げていくものではないですか?

それをしないと、科学技術力はどんどん低下していきます。


これには、かなりの説明が必要です。

以前は、「ある科学技術を事業化する」、「産学官連携のプロジェクト・スキームを作る」、「研究成果のプレゼンテーション」などは、そもそも、課題、テーマ、とされていませんでした。

とっても重要なことなのに、

・そんなことは研究者、技術者がすることではない。事務屋に任せておけばよい。

・そんなことは、社会で自然に身に着けていくことだ

と長い間放置されていました。


ようやく、皆が重要性に気付いて、注目を集め始めたところです。

「いろいろな分野を横断的に」と「専門的にテーマを深化」は、どちらが大切、ではなく、どちらも欠かせないのです。


もうひとつ大切なポイントがあります。

誰にでも、好き嫌い、向き不向き、があります。

「いろいろな分野を横断的に」が向いている人もいれば、「専門的にテーマを深化」が向いている人もいます。

職業を選ぶ時には、自分がどちらが向いているのか?じっくり考えた方がいいでしょう。

実は、「TAK」さんも以前は研究者をやっていましたが、向いていないことを実感し、今は「産学官プロデューサー」をやっております。







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