2013年10月

2013年10月31日

為末大「努力すれば成功する、は間違っている」 「正論」なのに「炎上」してしまうのはなぜ

というサイトを見ました。

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為末大さんは、男子400mハードルの日本記録保持者であり、世界大会で銅メダルを2度獲得しています。

もともとは100m走の選手でしたが、ハードルに転向しています。

マラソンのような長距離では日本人選手のメダル獲得も珍しくありませんが、短距離、中距離では黒人選手が圧倒的に有利とされ、日本人選手のメダル獲得は画期的でした。

為末さんは、現在はアスリートのセカンドキャリア支援や執筆等されており、

為末ブログ

Twitter

にいろいろな記事を書かれています。


事の発端は、13年10月21日のTwitterのつぶやき

「成功者が語る事は、結果を出した事に理由付けしているというのが半分ぐらいだと思う。アスリートもまずその体に生まれるかどうかが99%。そして選ばれた人たちが努力を語る。やればできると成功者は言うけれど、できる体に生まれる事が大前提」



「指導者の立場として『努力は報われる』と励ますべきだろ!」

「志そうとする気持ちがないと、才能が合っても開花しないわけだし 努力することが無駄っていうのは言い方としてダメじゃないかな」

「みんなイチローや中田である必要はないし、やる事に意義はある」

「為末さんは、本当の事を言いさえすれば、成功者としての義務を果たせるもんだと思っている」

などの反論、批判が続出したというもの、です。

為末大さんのお話は、

トップアスリートの挑戦 為末大氏「走りながら考える」

で伺ったりしたのですが、この時は、

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トップアスリートの戦いとは、決してスマートで華やかなものではなく、ドロドロとした、血なまぐさいものであったりします。

また、キャリア・トランジション、アスリートからの引退を考える、きっかけ、タイミングも人によって、全く異なります。

為末さんが今後どういう方向に進むのか?文字通り、「走りながら考えている」気がしました。


という感想を持ちました。

また、為末さんは、東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム(EMP)にも参加されています。

東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム(EMP)とは、

東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム(EMP)説明会に行ってきました


東大EMPは、将来の組織の幹部、特にトップになる可能性のある40代の優秀な人材を主たる対象にして、これまでどこの教育機関も提供していない高いレベルの、全人格的な総合能力を形成させるような「場」を提供することを目的とする。

東大EMPでは、課題解決に導く幅広い教養と深い智慧の修養と、多面的に展開している戦略的マネジメント分野における最新の知識習得を基本としながらも、それを越えて、課題設定能力涵養という目的に沿った議論の展開を重視する。そのためには、それぞれの最先端分野においての未解決課題や今後出現するべき課題、加えて、分野の縦割り状況にとらわれない新たな課題等の議論が活発に行われることに注力する。

年2回(秋期、春期)実施し、それぞれ10月と4月に開講する

金・土曜日の週2日間(終日)開催され、夏休み、冬休みを除く20週のプログラムである

社会人向けの学位を提供しないプログラムで、一定の条件をクリアした修了者には東京大学総長から修了証書が授与される

受講料:600万円(税込み)

エグゼクティブ向けのプログラムは欧米だけでなく、日本でも珍しくはありませんが、600万円という受講料が日本では破格で注目をあつめています

参加者は会社負担なのでしょうか?私費負担の人もいるのでしょうか?

年収300万円時代と言われる現代、ざっと2年分の生活費に相当します。

それだけのものを払ってまでの成果とは、いったい何なのでしょうか?


東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム(EMP)シンポジウム「時代の本質を掴むリーダーシップを求めて」


東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム(東大EMP)は受講料が600万円かかり、ほとんどの参加者が会社負担だが、数名自費参加者がいる



為末さんが、600万円という受講料をどのように支払ったのかは知りませんが、こういったプログラムを活用し、ネットワークを形成し、元トップアスリートから新たな展開を考えていらっしゃるようです。


さて、努力と成果について、アスリートを例に考えてみます。3つのステップが必要です。

(1)努力した結果、技術、成績が向上する。

(2)向上した技術、成績の結果、代表選手に選ばれる。

(3)代表選手に選ばれたオリンピックなどの大会で、好成績を上げる。

(3)まで含めると難しいので、(2)までを考えます。

まず(1)です。

技術、成績を向上させるには努力しなければ、なりません。

しかし、努力したからと言って、必ず技術、成績が向上するとは限りません。

また、技術、成績が向上したとしても、望むレベルまで向上するとは限りません。向上はしたが、望むレベルには達しなかった、ということはあります。

なお、ライバルも努力しています。自分より努力が少なく見えるライバルが、自分よりも技術、成績が向上するは、珍しくありません。

(2)は、もっと複雑で不合理、理不尽ですらあります。

例えば、オリンピックの代表選考会で、負けた選手が、過去の実績を考慮して、代表選手に選ばれ、勝った方の選手が選ばれないことだってあります。

「半沢直樹」に見る、人事異動のメカニズムとは?




順当に選ばれた選手、予想外に選ばれた選手、選ばれなかった選手が出ることになります。

全体数に比べて、極めて少ない定員数しかなく、それを入試のような、公正な高得点順ではなく、組織の長が、自分が組織を運営しやすいように選考するプロセスですから、大多数から見れば、不合理であり、そこに「公平性」を求めること自体、ナンセンスかもしれません。


と書いたとおりです。


「努力をすれば必ず報われる」とは、幻想にすぎません。厳然たる事実と向き合うことも大切です。

つまり、為末さんの「つぶやき」は、論理的にも至極当然のことです。

ただし、至極当然のことであっても、発言の場所、タイミング、対象が大切です。

例えば、強化選手の合宿での発言であれば、上記のように至極当然です。

ただ、為末さんは一般の人々が見るTwitterで発信しています。


私たちは、オリンピックのメダリストに、暗黙の裡に、夢と希望を与えてくれるミッションを期待します。

幻想だとはわかっていても、「努力をすれば、オリンピック選手になれるかもしれない。金メダルが取れるかもしれない。だから、努力することが大切。」

と言ってほしいのです。

それなのに、「努力をしても才能がないとダメ」と言ってしまいました。

「努力をすれば必ず報われる」とは、幻想にすぎないけれど、その幻想があるから、努力できるのです。


結果として、多くの人々の夢と希望を踏みにじり、期待に背いた結果になってしまいました。

オリンピックのメダリストという自分の立場、情報発信するメディアを考えるべきだったのでは、と思います。


渥美清演じるフーーテンの寅さんの「それを言っちゃ、終わりだよ」を思い出します。




2013年10月30日

「現代ビジネス特別セミナー」南場智子さん・村口和孝さん・藤野英人さんトークセッション『起業家への道案内』

という案内が来ました。

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錚々たるスピーカーですが、中でもDeNA南場智子さんのお話を伺うのは、

成長するためには次々にビジネスを出す モバゲーだけじゃない DeNA社長南場智子さん

以来です。

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この時は、


正しい選択肢を選ぶことは大切だが、もっと大切なのは、選んだ選択肢を正しくすること


という言葉が印象に残ったのですが、今日はどんなお話が聞けるかしら?

今日は「起業」ということがポイントの講演です。

早速出た話をまとめます。


・すべての人が「起業家」である。サラリーマンでも、役人でも、人生を生きていくのは、ある意味「起業」である。

・学生時代でも、社会人になってからでも、仲間と一緒に、何かを頑張った記憶が「起業」に相通じるものがある。 

・コンサルタントとして会社を見ていると、アドバイスしたくなる。熱く語るならば、自分でやればよい。

・起業をすると、自分のモノという意識が一気に出てきて、ケチになる。事務用具、交通費、交際費などのコストで会社にぶらさがり、多くの業務をアシスタントに任せていたことを実感する。

・一度、会社組織に入って、ある期間いると、その会社組織固有の考えから、なかなか抜け出せない。サラリーマンを辞めて起業するとは、会社組織の凝り固まった状態から「素の状態」に変わること。 

・起業すると、総務、経理に仕事を処理しないと、本業に入れない。

・2000年当時は、日本ではベンチャーのビジネスを見るよりも、大企業からの出資、新聞記事で出資を決める、ベンチャー・キャピタルが多かった。 

・経営にとって大切なことは、日々変化していく状況に応じて、業務をチューニング・アップしていくこと。「必敗するアクション・プラン」を愚直にやっている時間はない。

・VC(ベンチャー・キャピタル)は親会社の方針が変わると、ガラッと変わってしまう。VCは機関系よりも信頼できる個人系がよいかもしれない。 

・事業家として投資するのは、自社とコラボ、シナジー効果があるビジネス。投資家として投資するのは、ハンズオフで面白そうなところ。 

・大企業とベンチャー、スピード感が全く違う。大企業はベンチャーへの回答に時間を食うことは、ベンチャーの体力を消耗すること、と理解すること。

・起業家は採用において、人材の質に執着する。自分より優秀な人、この人でなければ、という人を連れてくる。

・「この人は」という人材に来てもらう時は、「ここ、いいですよ」ではなく、「助けてください」という感じ。「見栄」はとっくになくなっている。 

・「たどり着きたいゴール」のイメージが明確で、そのゴールにたどり着くためにすべきことを、ブレークダウンして、日々の業務にする。

・難題を避け始めると、分析する時から「難題を避ける」分析になってしまい、他人のせいにしたりして、結局ゴールにたどり着けない。

・時代は加速度的に変わっている。変化する局面は必ずある。これを傍観するのではなく、捉えて、関わる。

・事業はコンサルタントの延長上にはない。むしろ対極にある。

・MBAで学ぶことは起業の基本だが、これだけでは難しい。

・事業家は失敗する確率がサラリーマンより、ずっと高い。

・起業家、コンサルタント、サラリーマンのどれが向いているか、は、その人による。

・シリコンバレー型のポートフォリオ投資は9割失敗するが、当たると数千倍になるので、トータルで利益が上がる。 

・事実を事実として受け止めず、ごまかすのが失敗への第一歩。ごまかし始めると、ごまかすことにエネルギーを費やし、失敗が加速される。

・上場、資本市場から資金を調達できるようになる。顧客から注目されるようになる。従業員の士気が上がり、採用がしやすくなる。 

・上場すると採用しやすくなるが、それまではハングリーな人が応募していたのが、普通の人が応募するようになり、採用に時間がかかるようになる。

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アントレプレナーシップ「業を起こす者よりも、むしろ業を企てる者」

に書きましたが、


アントレプレナーは必ずしもベンチャー企業を起す者ではなく、業を企てる(くわだてる)者、Passion(志)とIntelligence(知性)を併せ持つ者、と考えると、しっくり来そうです



企業家精神(アントレプレナーシップ)を発揮するにはイノベーション・エコシステムが大切




オースティンに限らず、シリコンバレー、ボストンでも同様と言うことですが、企業家精神(アントレプレナーシップ)を発揮するには、大企業、大学、ベンチャー企業、弁護士、弁理士などの専門家集団などのイノベーション・エコシステムにより、技術、知財、人材、資金が動くことが大切です

大企業、大学、ベンチャー企業、弁護士、弁理士などの専門家集団などのイノベーション・エコシステムは、ポジティブな関係だけではなく、

・大企業をレイオフされた人々が、新しい産業を創る

・大企業をスピンアウトしたベンチャー企業を、数年後にその大企業がM&Aで吸収

のように、かなりドロドロしたものも含みます。これらを含めたエコシステムの中で企業家精神(アントレプレナーシップ)は活かされる、ようです


と書きました。

アントレプレナーシップについては、まだ、もやもやしてまとめきれないので、もう少し考えてみます。





2013年10月29日

桜蔭生と結婚したほうが良い5つの理由

というブログ記事が評判になっています。

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バリバリ働く男子の間では、結婚に対するネガティブな意見もよく聞く。

大体が、 固定費が膨らむことによる収益モデルの悪化を問題視するものか、

排他的独占契約を結ばされることによる訴訟リスク発生などを嫌気するものである。

彼らいわく、コストは2倍、リスクも2倍、と。

しかし、その者たちは気づいていない。

相手を桜蔭生にするだけで、収益2倍 、リスクは半分になるということを。

金は男が稼ぐもの、男のほうが稼げるものだと、とんでもない思い上がりと、勘違いをしていないか。

むしろ、自分の金銭的豊かさだけで女性を口説こうとしているから、そういう発想になるのではないか?

自分の魅力をカネ以外に求めれば、相手にも稼いでもらって良いのではないか?

そんなプロフィット奥さんの中でも、特に、今日紹介する桜蔭生がオススメなのだ。

桜蔭中学校・高等学校は、4人に1人が東京大学に合格している、東京の私立進学校である。


という社会背景が前提となり、「桜蔭生と結婚したほうが良い5つの理由」として、

・物事の理解力が高い

・男らしい思考回路

・一度はカラを破っている

・負けず嫌い

・実家が都内近郊、

・仕事が安定している

と、5つと言いながら、6つの理由が挙げられています。

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「TAK」さんの出身校の開成は昔から桜蔭と仲が良く、また東大でも桜蔭出身の女子学生を知っておりますが、

ここでは桜蔭生の特徴ではなく、ライフスタイルの変化をテーマにしたい、と思います。

上でも、


相手を桜蔭生にするだけで、収益2倍 、リスクは半分になるということを。


と書かれているように、

・男性だけが大黒柱として働いて、女性は専業主婦、というスタイルから夫婦共働きスタイルへの変化

が明白に読み取れます。

出産、子育ての問題はあるのですが、収入、リスクという点では、

収入は2倍になり、また転職を考える際にも、他方の配偶者の収入が確保される、というリスク分散があります。


年収の高い共働き女性は「働くのが当たり前」「自分の能力を社会に活かしたい」

に大和ハウス総合技術研究所による調査結果を掲載したのですが、


・年収の高い共働き女性は「働くのが当たり前」「自分の能力を社会に活かしたい」気持ちで仕事をしています。

・妻の年収が高まるほど、夫自身は「生活資金や学資のため」だけではなく、「自分の能力を活かし」、「社会とつながりたい」から働く、という気持ちが強まります。夫自身の仕事に対する意識は、配偶者(妻)の年収によって異なる。

・世帯収入が、低収入では、生活費を稼ぐために働くが、高収入になると、「自分の能力を活かし」、「社会とつながりたい」から働く

・世帯収入が高収入であるためには、妻の正社員フルタイム勤務が寄与する


つまり、生活費を稼ぐための生活に追われることなく、「自分の能力を活かし」、「社会とつながりたい」生活をするには、夫婦共に正社員フルタイム勤務で高収入が望まれる、という興味深い示唆が導かれそうです


キャリアと年収(4)(結婚と年収)


年収と結婚率でみるとこの理由がはっきりわかります。

30代前半の男性で年収150万円未満では一人も結婚しておらず、 300万円未満で8%、500万円未満で33%、700万円未満で約80%、そして、1000万円以上だと全員が結婚しているという結果が出ているのです。

30代前半の男性で500万円以上の年収を稼げる方はそれほど多くないわけですが、女性が結婚相手に求める年収としては、600万円以上との回答が64%を占めています。


こうした状況が、二極化をさらに進めます。

結婚できる「中」以上の人たちは、結婚し、共働きすると「上」に入れる人たちも出てきます。

ところが、未婚の「下」の人たちは、結婚もできずに、「下」を続けるしかなくなります。


フリーター、ニートは若い一時期の問題ではなく、結婚、キャリアに大きな影響を及ぼすようです。


ということで、いいことづくめなのですが、桜蔭生が文系はともかく、東大理系に進むと、

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東大理系の恋愛はどうすればよいのか?

に書いたように


圧倒的な男女比により、相当数の女子が男子に取り囲まれる厚遇、「東大」「理系」による「美人の二階級特進」ファッション、メイクをクリアすると「可愛い子」になれ、女王様化する東大理系女子学生


東京大学五月祭イベント「東大で理系の恋愛を語ろう」に参加しました


東大理系の場合、1:9、ずっと以前は1:99(東大理一1100名中女子10人なんて時代がありました)等という比率が男女ともにひずみをもたらしているようです。

しかも、東大理系男子は中高一貫男子校の出身が多く、自力で解決することは難しく、問題を複雑にしています。

そんな東大理系男子ですが、社会に出ると急激に需要が出てきます。


のように、女子学生は在学中は女王様化、一方、男子学生も社会に出ると急激に需要が出る、など、

価値の変動が大きいようなので、タイミングを見計らうことが大切なようです。




2013年10月28日

自然科学教育シンポジウム「教養としての生命科学」

という案内が来ました。

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生命科学は以前は生物学と呼ばれていました。

理科の中では、生物学は物理学、化学に押されて、ちょっとマイナーな存在でした。

医学部に進学を予定する高校生でも、生物学よりも物理学、化学を選択することを進められていました。

「医学部に進むと必ず生物は学ぶことになる。

むしろ、物理学、化学を学んでおかないと、実験の原理、実験装置の仕組み、データの分析がわからなくて困る。」

などと言われたものです。

さて、生物学は、その後、物理学、工学、統計学など、他分野学問が入り込んで大きく進展します。

生物学(バイオロジー)だけでなく、バイオテクノロジー、バイオケミストリーなども含んだ「生命科学」に進展し、理系の基礎学問ではなく、文系にも不可欠な学問分野になりました。

東大の理系では、以前は「生物学」は選択でしたが、現在、「生命科学」は必修で、文系学生にも受講者が多いようです。

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今日のシンポジウムは「教養としての生命科学」というタイトルにあるように、専門的な内容ではなく、生命科学の基本、周辺技術などが話されました。

では、早速出た話をまとめます。


・生物は、特徴を引き継いで、増殖していく。

・生物は、恒常性を保ちつつ、環境の変化に応答する。

・生物はエネルギー物質を取り入れて、代謝する。

・生物は細胞膜で囲まれた細胞からできている。(膜構造) 

・すべての生物は共通祖先から生じた。ヒトは特別な生物ではない。

・生物はお互いにかかわりあっている。生態系における炭素、窒素、リンの循環が、その例。 

・生物は常に外部と物質やエネルギーの出し入れを行っている開放系である。すべての生物はつながり、かかわりあっている。

・動的平衡:見かけはかわらないが、ミクロレベルでは置き換わっている。

・核酸=塩基+糖+リン酸。DNAは安定:遺伝情報を子孫に伝える。RNAは不安定:時々刻々変化する要素を伝える。

・私たちは天然の遺伝組替生物。IPS細胞は遺伝子組替体。

・研究と表現。研究データをコンピューターで可視化できる人材、研究のわかりやすい挿絵、イラストを描ける人材、学問と映像に精通した人材が少ない。 

・科学技術コミュニケーション:科学技術と社会の中間に立って双方間のコミュニケーションを活性化。ただ、教育プログラムでは理論は学ぶが、コンテンツ作成など表現はあまりやらない。

・サイエンスに藝術要素を取り入れる。サイエンスを題材とした藝術ではない。わかっている人が描くからこそ出来る。演出(映像、音楽、ナレーション)が必要。

・アメリカ、カナダには医学イラストレーションの大学院があり、医学部生と全く同じコースを医学生と学ぶ。企業、研究所、政府機関、病院から求人。

・サイエンスを正しく、楽しく 

・医学とコンピューター・グラフィクス(CG)、組み合わせると、とても便利で、医学が進展するのに、他分野のCG利用に比べ、驚くほど進んでいない。

・医学のCG利用、この分野は正解共通。英訳や英語版を作れば、国際的に受け入れられる。

・医工連携は重要だが、医学の先生は工学の論文、工学の先生は医学の論文、など読まない。ニュース、雑誌、新聞などへの掲載がきっかけになる。 

・自然科学は、自然の見方、技術の基礎。 

・文科:価値・目的への問い。理科:真理・メカニズムへの問い。

・物理の特徴は普遍性。生物の特徴は多様性。生物においては、固有の時間(寿命、心拍数など)も多様。

・物理の時間は直線的で戻らない。生物の時間は繰り返す(心拍、呼吸、世代交代)

・記憶することよりも、考えることが大切、と言うが、考えるためには、「記憶した基礎事項」がなければできない。 

・アカデミアは論理至上主義だが、コンピューター・グラフィック(CG)、映像、音楽などの要素が入ってきて、変わりつつある。

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医療は他分野とのコラボで大きく展開する

と書きましたが、医療の基礎となる生命科学では、それが既に大きく進展しているのを感じました。




2013年10月24日

公開研究会「MOOC(大規模公開オンライン講座)と反転授業で変わる21世紀の教育」

という案内が来ました。

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案内文によると、


MOOC(Massive Open Online Course)は、大学の講義をビデオ教材としてオンラインで無料提供し、宿題の提示や採点といった教授活動や掲示板など学習者同士のコミュニケーションを支援する機能が備わった大規模公開オンライン講座ウェブサイトの総称です。

2012年に米国でCourseraやedXなどのMOOCプラットフォームが開発、公開され、現在は他の大学も続々と参入し拡大しています。

従来の講義を教室外で受けられるようになった今、学習者が事前に講義ビデオを視聴し、対面で講師による個別指導や学習者同士の議論など、人的、時間的に困難だったより柔軟でインタラクティブな教授、学習活動が可能になります。

このようなオンライン+対面のセットで授業を行うアプローチを反転授業(Flipped Classroom)と呼び、近年、教育関係者の注目を集めています。


「MOOC(大規模公開オンライン講座)と反転授業」は黎明期、萌芽期から、成長期に移行しつつある段階と言えるでしょうか?

インターネットを利用した学習自体、いわゆるeラーニングはインターネット草創期の1990年代後半からありました。


BEAT公開研究会「変革期を迎えた学習プラットフォーム」に参加しました

に書いたように、


ICTを利用した教育、いわゆるe-ラーニングは、インターネットの開始と同時に始まりました。

当初は、テキストは紙媒体の従来の書籍を使いつつ、参加者がメーリングリスト、電子掲示板などにポストする、というものでした。

今から見ると、随分、初歩的なインターネットの利用ですが、当時、カリフォルニア大学バークレー校などが、e-ラーニングを行い、1コース数万円とかなり高額で、かつ、修了証が出るだけにもかかわらず、世界中から参加者が集まりました。

「TAK」さんも、こういったe-ラーニングに参加しましたが、国内にいながら、自分が都合の良い時間に、ケースを行い、掲示板にポストし、世界中の参加者とメーリングリスト上で、英語で議論するのは、まるで「プチ留学」経験で、新鮮なものでした。

この時代は回線はISDNで端末はデスクトップでしたが、その後、光回線による大容量化、タブレット端末の普及によるモバイル化が進み、オンライン学習は量、質、内容、方法が大幅に進化しました。

テキストは電子書籍、講義は動画配信、メールなど使わなくても、ウェブ上ですべてが可能です。

最近では、MOOCs(ムークス:Massive(ly) Open Online Courses大規模公開オンライン講座)

と言われる、数週間単位の学習コースを世界中の誰でも無料で受講できるオンライン講座を、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学、スタンフォード大学など世界トップレベルの大学が開設しています。


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研究会の内容は、

BEAT公開研究会「変革期を迎えた学習プラットフォーム」に参加しました

から大きな変化はなかったので、そちらを見ていただくとして、この流れをビジネスの観点から見てみます。


MOOCsに世界のトップ大学が無料でオンライン講座を提供する、とは、「プラットフォーム・ビジネス」です。

各大学から提供されるオンライン講座は形式がバラバラではなく、MOOCsという「プラットフォーム」に適合するように「モジュール化」されます。

各教科、テーマについて、世界のトップ大学が無料で質が高いコンテンツを提供するため、「国際標準化」が起きます。

ネットビジネスとリアルビジネスの棲み分けが進みます。

・プラットフォーム・ビジネス

・国際標準化

・ネットビジネスとリアルビジネスの棲み分け

について考えてみます。

プラットフォーム戦略論とは?


プラットフォーム戦略とは、

製品やサービスの土台となる「プラットフォーム」の上に、それを補完する製品やサービスを構築して、より高い「価値」を顧客に提供しようとするもの。

例えば、ソフトウェア業界では、マイクロソフトがWindowsというOSでプラットフォームリーダーの立場を築いているが、Windowsが高い訴求力を備えているのも、その上で稼働する各種のアプリケーションを補完業者が提供するという「エコシステム」をうまく成立させているからと言える。

プラットフォーム戦略を上手に展開できれば、単一企業のリソースだけでは困難な事業展開を実現できる可能性を秘めている。


既にいろいろなプラットフォーム・ビジネスがあります。

インターネット(アマゾン)、人々(Facebook)、タブレット端末(アップル)、情報検索(グーグル)、モバイル(コンピューター)

MOOCsは教育のプラットフォームになりつつあります。



グローバル社会の中での国際標準化


技術、製品が国境を越えて取引されるのですから、製品の品質、性能、安全性、寸法、試験方法などに関する国際的な取極め、国際標準(Global standard)が必要です。

国際標準化は、18世紀に電報が各国間で通じるように、ヨーロッパ22カ国で開催されたのが始まりです。

つまり、標準化とは、国境を越えて、どの国でも使えるために、必要に迫られて作られたものです。

この会議は、なんと、ナポレオンが召集したそうです。

その後、万国電信会議で電話のプロトコルを決めて、各国間で電話がつながる、などへ発展していきました。

標準には、

・デファクトスタンダード (de facto standard) 「事実上の標準」:自然に成り行きで決まったもの。

・デジュールスタンダード (de jure standard):何らかの協議で決めたもの

の他、

・強制規格

・任意規格

例えば、電波は条約で決めた強制規格、電話は任意規格

世界標準、地域標準、国内標準などがあります。

例えば、紙の大きさは何でもいいのですが、A4、B5など、サイズが統一されていた方が便利な訳です。

昔、DVDではなく、ビデオテープが使われていた頃、一時期、VHS方式とベータ方式の2つの方式が競い合い、2種類のビデオデッキを持つ人もいました。

結局、VHS方式が標準となりました。


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これから研究が進む新分野は、いろいろなテキストが乱立しそうですが、数学、物理、経済など、古典的な学問については、MOOCsに世界のトップ大学が提供する内容が、デファクト・スタンダードになりそうです。

なお、学ぶ言語は英語になります。


「ネットビジネスとリアルビジネスの棲み分け」ですが、アマゾン、楽天などのネット通販が普及してきて、リアル店舗は少なからぬ影響を受けています。

どんな大型店でも、品揃えはアマゾン、楽天などのネット通販にはかないません。

リアル店舗はネット通販で発注する品物の実物をチェックする場になってしまっています。

ただ、ネット通販では、最近は当日発送もでてきましたが、その場では買えません。

日用品だけではなく、ちょっとしたラグジュアリーも、ターミナル駅の駅中が販売するようになっています。わざわざ買い物に行く、時間のロスがないため、人気です。

また、Facebook、Lineなどネットを利用した人のつながりの時代だからこそ、実際に会うオフ会の重要性が増しています。


MOOC(大規模公開オンライン講座)と反転授業で、どのように教育が変わっていくのか?楽しみです。  




2013年10月21日

10/19(土)東大ホームカミングデー

に行ってきました。

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卒業生は大学にとって重要な資産です。

それゆえ、大学を卒業したら、それっきり、ではなく、ゆるやかでいいから、でも、しっかりと大学と結びついていてほしいものです。

でも、なぜか卒業して、月日が経つと、足が遠のいてしまうもの。

ホームカミングデーとは、そんな卒業生に年に1度、懐かしいキャンパスに戻ってきてもらうためのイベント。


2013年のホームカミングデイは、メインプログラム「特別フォーラム」に加え、各種講演会、年次卒業生が集まる6つの周年学年会、親子で参加できるイベント、模擬店など、終日ご家族で楽しめる企画が満載です。秋の1日、母校キャンパスでお会いしましょう! お待ちしています。

「特別フォーラム 未知の領域に挑む」

世界的な最先端技術分野で活躍する生命科学者と物理学者が、自らの研究の成果を含め、研究を進める上で何を考え、どのような気持ちで臨んでいるのかを率直に語っていただきます。


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「TAK」さんはここ3年、毎年東大ホームカミングデーに来ています。

3年間の移り変わりを振り返りつつ、今年の東大ホームカミングデー、今後の展望をします。


2010年度

東大ホームカミング・デイに行ってきました「東大がベンチャーでなければならない!」


「TAK」さんは週に3回は東大に行きますので、わざわざホームカミングデイに卒業生として東大に行く、なんてありませんでした

でも、たまには「卒業生」として、東大に行くのもいいかもしれません

土曜日の午後の東大本郷キャンパスは、ホームカミング・デイと言っても、特にいつもと変わりはありません

キャンパスが混んでいるわけでもありません。普段通りの土曜日の午後の、少しゆったりした感じです

ただ、50代後半を過ぎたOBの方々が、夫婦で来られて、記念撮影をしている風景が見られます

質の高いイベントが数多く開催されていました

土曜日の午後だけで、これらをハシゴできるのは、幸せでした

「来年もホームカミング・デイに来ようっと!」

そう思ったイベントでありました


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2011年度

世代を超えて集まろうじゃないか!東大卒業生 東大ホームカミングデー


産学官プロデューサーとして、現在は週に2回は出身の東大に行く「TAK」さんですが、卒業してからしばらくは足が遠のきました

卒業してから東大を訪問する窓口は、出身研究室、所属サークル、同窓会などに限られます

卒業してすぐの頃は、知り合いも多くて、訪問機会も多いのですが、時が経過するにつれて、知っている人も減り、参加しても疎外感が感じられ、参加しないようになります

卒業生は、大学の教育、研究成果を社会に反映する上で、重要な資産、パイプ役です。徹底的に活用しましょう

そのためには、卒業生に大学に来てもらう、また大学とのつながりを感じてもらわなければなりません

また、卒業生側も、異なる卒業世代との交流には、とても意義があります

この1日のホームカミングデーで、これらすべてができるわけではありません

でも、何かのきっかけにしてほしい、そんな思いが伝わってきます

年に1回の非日常的なイベントから、日常につながる何かが出てこないか?


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2012年度

大学はふらっと立ち寄るプラットフォーム、東大ホームカミングデイに寄せて


今年のホームカミングデイの印象ですが昨年、一昨年に比べ、少し「寂しくなった」印象でしょうか

安田講堂の特別フォーラムは、それなりに満員で、参加者自体は減っていないようなのですが、

・各学部、学科が本腰を入れ出し、同じ時間帯のイベントが乱立

・同じく自主イベントと学部、学科イベントが乱立

のため、個々のイベントの参加者が減ってしまった感があります

また、皮肉なもので、学部、学科イベントは学部、学科の「同窓会」になってしまい、学部を超えてつながる機会を減らしてしまいます

やはり年に1回のお祭りのような、非日常的なイベントだけではつながるのは難しい

日常につながる何かが必要かしら?

そんな感じがしたイベントでした



さて、今年のホームカミングデーですが、これまでは中高年のOBが夫婦で来ている姿が目立ったのですが、若い世代のOBが来ている姿が目立つようになりました。

・各学部、学科が本腰を入れ出し、同じ時間帯のイベントが乱立

・同じく自主イベントと学部、学科イベントが乱立

は、今年も一層進み、学部、学科イベントは学部、学科の「同窓会」になってしまい、学部を超えてつながる機会を減らしてしまう感はあるのですが、

一方、

・東大ワールドカフェ・スペシャル

・インターナショナル・アラムナイ・フォーラム

など、世代、学部を超えてつながる仕組みを持った横断的なイベントも行われました。

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卒業生もそれぞれ楽しみ方、参加の目的が異なります。

質の高い講演をハシゴしたい人、出身の学部、学科を訪問したい人、世代、学部を超えてつながりたい人、

それぞれが目的に応じて楽しめる1日だった、と思います。


ただ、冒頭に書いたように、まだまだホームカミングデーの認知度は卒業生の間で低いようです。

質の高い講演、世代、学部を超えてつながる仕組み、をもっと積極的に利用しては、と感じました。





2013年10月18日

読み応えがある、というよりも、内容の豊富さに圧倒される記事がアップされました。

在米ジャーナリスト菅谷明子さんによる

“日本の大学”が消滅する未来?知的創造の場を目指して

菅谷明子さんの記事を最初に紹介したのは、

知のシャワーを浴び、脳がダンスしているような、興奮を覚える大学院の日々

で、

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ハーバード大学に身を置くことは、毎日、知のシャワーを浴び、脳がダンスしているような、興奮を覚える日々である。

授業といっても、学生はすでに指定された本、論文、記事などを読み込んだ上で参加する。だから、先生の講義を聴くというよりも、各自が持ち寄る知見をさらに次の次元へと積み上げる場が授業であり、先生は補足を入れ、議論を深めるための促進役である。

また、キャンパスでは、連日、数百にもおよぶ、講演会、セミナーなどが開かれ、学者や研究者はもとより、政府・政策関係者、世界の国家元首やリーダー、また、今まさに社会を動かしている旬の人物をはじめ、ありとあらゆる人たちが、彼らの経験や知識をシェアし、対話の機会を与えてくれる。


でした。

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今回は、ご自身のハーバード、MITでの体験より、いくつかの事項を紹介してます。ピックアップすると、


・アメリカの大学教員の環境

アメリカの大学では教員が研究に没頭できるように、時間的余裕を持つことも奨励しています。研究時間だけでなく、直接自分の研究とは関わりのないことに時間を使うことが許されているケースもあります。

研究を深めたり、創造的な仕事をするためには、あえて別のことをする重要性が認識されているからです。

大学や学部にもよりますが、教授職に就きながら、起業し会社を経営しているケースなども、珍しくないと思います。

ただし、こうした「ゆとり」がある一方で、教授としての、生き残りの競争は日本とは比べ物にならないくらい厳しいです。


・健全な議論と評価で自分をアップグレードし続ける。

日本では先生が一方的に話す講義形式が主流ですが、確かに、アメリカにも大教室での講義型授業もありますが、その場合、少数のグループによるディスカッションの授業がセットになっていることも多いです。

先生による講義だけではなく、ディスカッションが繰り返されることで、1つのテーマを、多角的に見られるような工夫がされているからです。


・フェアな評価によって自国の中にグローバルな世界を築く。

日本では、グローバルな環境で学ぼうとすると、「世界」に出て行く必要がありますが、アメリカの場合は、自国のなかに「グローバル」な世界を築いているという強みがあります。

今更ですが、アメリカの大学でまず驚くのは、まさに世界中から様々な人が集まっているということです。

国籍はもちろん、バックグラウンドもキャリアも多様。また、途上国出身者になればなるほど、その国を動かす、リーダー的存在が多いと思います。


・キャンパス内でグラスを傾け、知的交流できる場を作る。

アメリカの大学、学びが多角的に捉えられていて、多様な他者との出会いの場や機会を提供している。

授業はたたき台で、それを発展させての学び。キャンパスには、世界のリーダー、ビジネスマン、起業家などと、対話する機会を与えてくれます。 


・オンラインが起こす大学のイノベーション。

高水準の教育を誰もが無料で受けられる

ハーバード・ビジネススクールにとって、今後、脅威になるのは、オンライン大学

「イノベーションのジレンマ」ではないですが、大学が今後も安定した地位にあると思って安住していると、思わぬところから、「敵」がやってきて、破壊に追い込まれてしまうかもしれません。

トップ大学である、MITやハーバードのようなところでさえ、すでに、その危機意識を持ち、攻めの姿勢に出ていることは、大学として生き残るだけでなく、世界の大学界におけるリーダーとして存在すべきだという、覚悟が表れている


・グローバル時代こそ「日本の大学」を否定し、「我が大学」の魅力を高める。

日本の大学がグローバルな大学を目指すのであれば、「日本の大学」という枠組みを捨て、単体としての魅力をとことん突き詰めていくこと


かなり抜粋して紹介したのですが、伝えくれません。

是非、一読をお勧めします。




2013年10月15日

MBA起業サミット

という案内が来ました。

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「MBA起業サミット」は、主に国内のビジネススクールの現役生や卒業生のうちで起業を目指す者、またすでに起業している者が集い、情報交換・人材交流・業務連携など、様々な活動を通して起業への後押しや設立された企業が持続発展していくことを目的として設立されました。

このイベントを通してMBAホルダーの起業家がより多く輩出されること、また、その教育機関としてのビジネススクールの存在をアピールし、政府・行政関係者と連携することにより、起業家の意見が政策に反映されることも期待するものです。


MBAはマーケティング、ファイナンス、組織・人材マネジメントなどビジネスに関することを効率的に学べるので、
起業する人、キャリアアップを目指す人にとって便利です。

さらに参加者同士のネットワークが卒業後のビジネス活動に有効なことも知られています。

ただ、MBAを取得したからビジネスを起業する、というものではなく、ビジネススクールによって特徴があり、スタンフォード大学では起業する人が多いが、ハーバード大学では国際機関、コンサルタント、金融に進む人が多い、ことが知られています。

日本国内MBA修了者は、修了後に会社に戻ってキャリアアップを目指す、コンサルタントになる事例が多く、起業する人は少ないようです。

「MBAで何を学び、何を得るのか?仕事・キャリアでのMBAの活かし方」というテーマ、何をいまさら、と言われそうですが、実は結構難しいテーマです。

このブログでもこのテーマを扱ってきましたので、紹介すると、

MBA、MOTを取得したら、飛び出さないと グロービスGSC & Japan MBA Forum 共同企画に参加して


「会社が終ってから、私費でMBAプログラムに参加して、帰宅後、グループワーク、レポートを深夜、明け方までやります。

正直言って、きついです。

でも、こんなに頑張ったのに、会社ではMBA取得を全く評価されないのです。

昇進、昇格どころか、全くの横滑り、却って、閑職に廻されてしまった感じです

ハーバード、スタンフォードでMBAを取得したのなら、こんなことはないでしょう

国内のMBAは日本では評価されないのでしょうか?」



新鮮な経験を活かすには、元の鞘ではなく、新たな環境を切り拓いて


ローソンの新浪剛史社長のように、三菱商事から留学し、戻って活躍された例もあります。

でも、ほとんどは、元の組織に戻ると、ハーバード、スタンフォードのMBAプログラムでの新鮮な経験は色あせて、結局、日本の組織の中で小さくまとまってしまいます。

そして、「日本の組織ではMBAは評価されない、活かせない。」とぼやいています。

せっかく勉強したこと、素晴らしい環境での経験も、元の鞘に収まると、活かせないようです。


東工大MOT(技術経営)同窓会フォーラム


大企業から参加した方々は、MOT(技術経営)修了後に、起業するわけでも、転職するわけでもなく、ほとんどが、もとの大企業に戻っていきます

そこで、MOT(技術経営)での勉強はどのように活きているのか?定かではありません。

聞くと、皆、口をそろえて「役に立っています」というのですが、どのように役立っているのか?よくわかりません。

もしかしたら、せっかく受けたMOT(技術経営)での勉強も、しばらくすると、埋もれてしまうのかもしれません


と書いてきました。


理系MBA、MOTからみた仕事人に求められるプロファイル


キャリアアップを目指す社会人がMBA、MOTを目指す

向学心が高く、モティベーションもある彼ら、彼女らは首尾よく、MBA、MOTに入学し、それらのコースで一生懸命勉強する

ところが、MBA、MOTを取得した後のキャリア形成については、あまり考えていない

取りあえず、MBA、MOTを取ろうと考える。もちろん、彼ら、彼女らはMBA、MOTを取れば何とかなる、というような甘い考えではありません

さりとて、「MBA、MOTを取得して、これをやる!」というほど、明確な目標がある訳でもありません

ほとんどの社会人が所属している大企業に、取りあえず戻ります

そこに満足できないから、MBA、MOTを目指したはずです

ただ、安定した収入と職はあります

せっかく受けたMBA、MOTでの勉強も、埋もれてしまうのかもしれません


どういう起業をするのか?誰かパートナーを見つけて共同事業を起こすのか?元の会社に帰ってキャリアパスが拓けるのか?もっといい転職をするのか?

「MBA、MOTを取得した後のキャリア形成」をもっとしっかり考えることが大切ではないでしょうか?

これについて、あまり考える場、話し合う場がありませんでした

これは一人で悩むより、同じ悩みを持つ、多方面のいろいろな分野の人の知恵を持ち寄った方がよさそうです


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いささか前置が長くなりましたが、早速出た話をまとめます。

・日本のサッカー、Jリーグ以前はワールドカップに出場できるレベルではなかった。Jリーグ以降、海外でも通用する選手が出てきた。「場」ができ、すそ野が広がると、レベルアップし、いただきも高くなる、相乗効果。

・国内MBA、起業を目指すよりも社内キャリアアップを目指す人が多い。ただ、社内に戻ると、MBAで身につけた知識、スキル、ネットワークは、あまり活用できずに終わってしまうことが多い。

・日本で起業が少ないのは、起業家、起業エコシステムが少ないから。

・日本でこれからのビジネスを考える場合、少子高齢化、人口減少で、伸びない市場を前提とするが、今後急速に伸びるアジア市場を対象とすればよい。 

・新規技術を開発するだけでなく、既存技術に改善を加え、市場で展開する方法もある。

・日本は経済的に豊かになったので、チャレンジして海外に展開する必要がなくなった。大昔は満州、ブラジルへ移民、高度経済成長時代は商品を売りに世界に展開した。実はグローバルは昔からやっていた。

・起業に大切なポイント:伸びる市場、競合に勝てる力、技術、自分の思い入れがそこにあるか(これがないと続かない)、社会性があるか(これがあると協力する人が出てくる) 

・少子高齢化の日本、移民とロボットの活用が不可欠。

・大学発ベンチャー、トータルとして失敗のように言われるが、数少ないが成功事例もある、失敗例が蓄積され、知見となっている。

・起業は「ひとり」ではできない、パートナーが必要。パートナーとの結びつきは、ほとんどが「熱い思い」による。

・自分を知る、自分の中の基準から社会を見た時の「ずれ」が「思い」につながる。

・0→1、1→10、10→100にする能力。MBAに向いているのは最後のパターン。MBAはコンサルタントには必須だが、アントレプレナーには向かないかもしれない。0→1はミラクル、ビジョン、人を巻き込む力。

・起業に必要なのは、情熱とロジック。後者がないと、同じ失敗を繰り返す。 

・欧米のMBAプログラム、ビジネスマンだけでなく、医者、弁護士、研究者など、多様な人が集まる。

・アジア諸国では日本の評価は高い。にもかかわらず、進出が少ないのはもったいない。 

・シリコンバレーの強さは、起業とそれを支えるエコシステム(技術者、キャピタル、弁護士など) 

・「熱い人」が何人か集まるところから何かが生まれる。

・大企業、官庁にいる、優秀な人が組織内に閉じこもって、能力が活かされていない。不満を言いつつも、大企業、官庁は安全が保障された「快適」な場で、抜け出せない。

・明治開国時には、多くの政策に外国人が参画した。今はほとんどなく内向きになってしまった。日本はかつてはグローバルだった。


今日のような議論をするには、MBA、MOT取得者が終了後に、どのような道を進んだのか?統計データがあるとわかりやすい、と考えます。

実際のところ、国内MBA、MOT取得者および日本に帰国した海外MBA、MOT取得者のその後の追跡調査やりたい、です。

転職、起業したのか?会社内にとどまったのか?キャリア、収入、スキルへの影響、それ以外のネットワークなどへの影響など。

効果はあったのか、なかったのか、却ってマイナスだったのか?

アンケートでは正直に答えてもらえないかもしれないけど。

どのビジネススクールにヒアリングしても成功事例だけ、示されます。


ただ、一橋大学大学教育研究開発センター二宮祐研究室

によると、


「社会人」大学院生は自らのキャリアについて切実な課題を抱える

「社会人」大学院生のうち半数強が再び職業生活に戻ることになったが、研究した内容を活かせる職業に就くことは稀で、職が見つかったとしても前職よりも待遇が悪くなる



企業における国内MBAの評価とその課題

によると、


100年という長い歴史の中で育まれてきた米国MBAに比べて、日本のMBAは、まだ始まったばかり、MBAホルダーは、修得したスキルを実践で活用する工夫、また継続的な学習という自助努力、そこから自らが結果を出すことが必要。

国内MBAの最大の弱点は語学力、特に英語力が育たない点にある。


短期的、直接的な視野でみると、ここで書いたように、社会人大学院生が国内MBA・MOTを取得したからと言って、すぐに社内、社外のキャリアアップにつながる訳ではない、ということになるでしょうか


もちろん、

社会人大学院生、ネットワークが、「点・線」から「面的・立体的」に展開

に書いた


「私は社内だけでなく、社外の方々との仕事も多く、また、社外の委員会にもいくつか参加していて、社外のネットワークも強さには、結構、自信がありました。

ところが、大学院に通うようになってから、それまでの私のネットワークはアカデミック、行政関係の含めて、業界関係のものだけだったことに気が付いて愕然としました

いまでは、全く違う様々な業界の方々との研究会、異分野の先生の自主ゼミ、学生主体のイベントなど、社会、ネットワークが、「点・線」から「面的・立体的」に大きく、広く展開しました。

業務に直接結びつくものは、ないのですが、業務周辺での充実が楽しいです」


というように、社会人大学院生は、直接的なキャリアアップを狙うだけでなく、ネットワークを「点・線」から「面的・立体的」に展開させて、それを活用する、ことを考えるのもいいのかもしれません




2013年10月09日

イノベーション創出のエコシステム勉強会「社会システムのデザイン」

という案内が来ました。

131009社会デザイン

デザインとビジネス戦略の融合「なぜ、いま、「デザイン」なのか?」

に書いたのですが、


欧米を中心に新たな価値、体験を生み出すためのデザインがより重要になってきています。

変化が激しい時代におけるデザインの役割、「技術イノベーションをいかに人間的にするかの方法」、「デザインとビジネス戦略を繋げる」、「インタラクティブなコミュニケーションや商品をデザインするためのメソッド」「デザインとビジネスを融合する」「ユーザー価値と経済価値を繋げる」などなど、

技術、イノベーション、ビジネス、コミュニケーションなど、いろいろな分野、あるいは分野融合を起こす方法として、デザインに対する期待は高まっています。

デザイン・スクールとしては、スタンフォード大学のd.school(Institute of Design at Stanford)

が有名です。

東大ischool innotalk「Design thinking」ドイツの事例より

に書いたとおり、


d.schoolでは、デザイン思考はどんな仕事・プロジェクトにおいても重要だという思想のもと、経営、情報技術、法律など多様な学科の学生が履修します。

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「問題解決のためのデザイン思考における5 つのプロセス」が重要だということ。

empathy:課題の対象に感情移入する

define:問題を定義する

ideate:アイデアをたくさん出す

prototype:プロトタイプを作る

test:試験し、フィードバックを得る

このプロセスは、モノづくりだけでなくあらゆる問題解決の過程で応用できます。そして、d.schoolではこのプロセスを実際にクラスを通して経験していくことができます。


この勉強会では、イノベーション、サービス、マネジメント、デザイン教育を提供している大学の先生方より、

イノベーションを起こす上で重要な活動であるデザインに注目し、お話をいただきます。

講師の先生方は、

慶応義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 前野 隆司教授

千葉工業大学 デザイン科学科 山崎 和彦教授

慶応義塾大学 経済学部 武山 政直教授

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では、早速出たお話をまとめます。

・問題をシステムとして俯瞰的視点から捉え、全体として整合性のある解をリデザインする。個別の問題にフォーカスして解決しても、他の問題が生まれ、全体としては解決しない。

・単に「複雑に絡み合った問題」だけでなく、枠組み、仕組み、構造そのものが変化していく問題を解決する。

・専門家が領域毎に分担して解決する方式から多様な人々が創発しつつ協創する方式へ。既存のアイデアからのブレークスルーは、専門家の分業よりも多様な人々の協創から生まれる。

・チームの集合知により、知的パフォーマンスが向上する。チーム内の女性の数と新規性は正の相関がある。

・システム思考 × デザイン思考 = イノベーション

・デザイン思考:デザイナーのような自由な心で対象を観察。集合知に基づく協創。チームの発想。設計の妥当性確認のためではなく、チーム、市民と共感するための大量のプロトタイプ。

・デザイン思考:日本人はもともと行っていたのだが、分業、効率化の過程で脱落。真似した欧米が先行する結果となってしまった。

・競争相手はとっくに日本人ではなくなっている。オリンピック、ノーベル賞だけでなく。

・デザインを、デザイナーだけのブラックボックスにしておくのではなく、多様な人々に開放する。 

・ユーザーの要求を直接的に解決するだけでなく、潜在的な原因、ニーズを探究して、抜本的に解決する。

・「やり方」を学ぶのは得意だが、「やり方」を作るのは苦手な人が多い。

・一人で妄想しても誰も相手にしてくれないが、チームで妄想すると面白い。 

・「リフレーム(壊して再構築する)と体験」しないと、一度染み付いた思考は変わらない。 

・顧客の価値創造:交換価値から使用価値へ、所有から使用へのシフト。「モノを販売する」だけでなく、「使用時のサービス」を販売する。

・モノ・人・場所がバラバラではなく、横断して俯瞰するシステムに。

・山を登る効率を上げるだけでなく、登る山を替えることも考える。

・産学連携、「学」の中に「産」の要素、「産」の中に「学」の要素が入り、創発するとうまくいく。



経験、勘、運で語られていたビジネスに、背景にある理論をベースに分析的手法を持ち込んだのがMBA、

それに技術を結びつけたのがMOT(技術経営)、

さらにはデザイン、あるいはアートを融合する、

いろいろヒントになりそうです。




2013年10月02日

アントレプレナー・クロストーク・ライブ「突破する力とは」世界を舞台に、強いビジョンで社会にインパクトある事業を起こす。ゲストスピーカー、太田英基さん、鮫島弘子さん

という案内が来ました。

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どうにかしたい…!という問題や課題に出会った時、こうしたらいいかも…!という可能性に出会った時、

どんな物事においても、行動を起こすことで初めて、未来は大きく動いていくものです。
 
今回のクロストークライブは、可能性を「日本」から「世界」に広げ、行動し続けることで、

世の中にはない事業を創りだしてこられた2人の起業家の方をお招きし、ブレークスルーを生み出す力についてお話いただきます。

ブレークスルーを生み出す力の根源とはいったい・・・?

そしてまさに今、現在進行形で取り組んでいる挑戦とは・・・?


さて、ゲストスピカーの太田英基さん、鮫島弘子さんですが、お二人とも起業されていますが、

太田さんは学生時代から、世界を広げるために、世界一周を経験して二度目の企業、鮫島さんは外資系大企業を辞めて、青年海外協力隊を経て、起業をサポートした後に、自らサポート

と、随分経歴が違う、のが、このトークライブの特徴でしょうか?

それゆえ、スピーカーごとに出た話をまとめていきます。

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(鮫島さんの話)
・日本はモノがあふれている。既に10個の化粧品を持っている人に、ニューモデルが出ると捨てられる、11個目の化粧品を売ることにどんな意義があるか?

・エチオピアのヒツジの皮の質は高く、ベンツの最高級車のシートに使われるほどだが、工業力が低いため、価値が低い「原料」として輸出され、海外で価値が付加される。

・日本、大量生産、消費の行き詰まり、モノの価値の低下。

・それ単体では捨てられて、ゴミとなる、端切れ、食肉の副産物の皮を、取っ手などに使うことにより、環境に配慮。

・付加価値の低い「原料」で、ではなく、付加価値の高い「最終加工品」で輸出する。

・付加価値の高い産業を創出すると、雇用は、それに伴う形で創出される。

・「いいモノを作れば売れる」時代ではない。質の高い製品を、価値を評価する人に、適正な価格で買ってもらう。 
・やって失敗することよりも、やりたいことをやらずに後悔することの方が怖い。

・「チャンス」と「リスク」は表裏となって、やってくる。 

・「リスク」と「難しい」とは、全く違う。

・価値観、宗教、文化が違う人と一緒に仕事することは想像以上に難しい。


(太田さんの話)

・「受験は大変だけど、大学へ入れば、やりたいことが見つかる」という「都市伝説」は連休前に崩壊した。

・自分が知っている狭い世界をできる限り広げて、広い世界でやりたいことを見つける。

・起業に必要なもの、情熱、覚悟、ビジョン、これが基本。ただし、これだけではない。

・仲間との信頼、ビジネスの進め方で激論しても、、信頼しあえる関係。 

・語学力、世界に友人、世界を知る(MUST)、世界旅行(WANT)、MUST+WANT=BEST

・無意識にも「日本」の制約を受け、「グローバル」に行けない。

・日本はモノ(サービス、プロダクト)よりもヒト(営業、マーケティング)で負ける。

・21世紀は活動領域を限定しない。 

・日本でも勉強できるが、どうせ勉強するならば、海外の最先端で。 

・英語は世界を舞台とするためのパスポート。

・起業、立ち上げ期は、情熱、思いがある。ひとまず落ち着いて、新しいメンバーが入る頃が「最初の危機」


鮫島さんの最貧国エチオピアでの、付加価値の高い加工産業の定着、というと、一見、社会起業とも取れます。

社会起業については、

社会起業は社会のニーズが出発点。自分がやりたいことが出発点ではない




社会貢献をベースにWin-Winによる利益、あるいは、それを超えて、社会貢献をすることが、ボランティアではなく、ビジネスとなるシステムの構築が試されています

社会起業家たちは、社会貢献を行ないつつ、営利をあげることを、堂々と宣言できるようになった。

さらには、すべての企業は、社会問題を解決することを通じて、存在価値を持つ、社会起業である、とも言われるようになってきた。

これまで社会貢献はボランティア、寄付という形で行われていましたが、この形では継続性がありませんでした。

また、寄付などを受ける方が、受けるだけになってしまい、援助が自立を阻害することも、指摘されていました。

そこで、自立かつ持続可能なビジネスが導入されるようになってきました

まず、目を引いたのが、タイトルに書いた、

「社会起業は社会のニーズが出発点。自分がやりたいことが出発点ではない」

でしょうか?

社会起業をやりたい、と言う人の中に、「自分がやりたいこと」をしたいからと言う人を散見しますが、社会起業は社会のニーズが出発点です。


鮫島さんの場合は、外資系大企業での職がありながら、

「日本はモノがあふれている。既に10個の化粧品を持っている人に、ニューモデルが出ると捨てられる、11個目の化粧品を売ることにどんな意義があるか?」

と違和感を感じ、社会のニーズにあてはめていきます。

いわば、「自分がやりたいこと」と「社会のニーズ」の重なる領域を見つけていった、と言えるでしょうか。

さて、二人に共通しているのは、

・行動を起こすことで未来は大きく動いていく

ということでしょうか。

いろいろ参考になるトークライブでした。



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