2014年06月

2014年06月30日

都議会セクハラ野次事件対応に見る社会の変化




東京都議会の本会議での塩村文夏議員への野次問題の対応を見ると、社会の変化がうかがえます。


と書きましたが、この事件、対応から、学ぶべき、教訓がいろいろあります。

それについて、まとめてみます。

140630塩村

●言われない、理不尽な攻撃を受けた時の、とっさの対応

上記に、


女性が社会進出を始めた頃は、男性の心無い野次、発言を受けることは当然で、それを巧みに切り返す女性が賢い女性、とされ、そのような巧みな切り替し術が、女性が男性社会を生き抜くための必要能力とされていました。

この問題を社会全体が、セクハラ問題と捉えたことに日本社会の大きな進歩を感じます。

この野次は、塩村文夏議員だけに向けられたものではなく、女性全体に向けられたもの、と受け取られました。


と書きました。

これと矛盾するようですが、塩村文夏議員は「一般女性」ではなく、都議会議員という極めて高度な立場です。

であるならば、野次を浴びた時のとっさの対応もあったのでは、と考えます。

例えば、困ったような笑顔で、質問を続けるのではなく、毅然として、

「ご静粛に!」

「心無い野次はやめてください!」

と言っていたら、どうでしょうか?

もちろん、野次は続いたかもしれません。ただ、塩村文夏議員への印象は「単なるセクハラ被害者」ではなく、「聡明な女性だ」となっていたのではないでしょうか?

その場でカッとして、売り言葉に買い言葉で、余計なことを言ってしまうのは、よくありません。

ただ、言われない、理不尽な攻撃を受けた時には、そのままにしておくのではなく、最低限の対応をして置かないと、相手は攻撃を続けます。

日本人の神秘的な微笑とは何なのか?


コミュニケーションの破綻があったり、明らかな敵意に対して徹底して戦わなければならない時に、とっさに「関係性の改善」をしようと微笑んでしまうのは、自分の方の失点にしかならない


「ほんの一瞬の間を置けば、より的確な決断を下せるようになる」(コロンビア大学グリンバンド准教授)

140630橋本

以前、成人式が荒れたときに、

・クラッカーを浴びせられているにもかかわらず、祝辞を読み続けるしかなかった、高松市長と

・騒いでいる集団に対して「静かにしろ、お前たちは出ていけ」と一喝した高知県橋本知事

の違いが浮き彫りになったことがあります。

さて、今回の対応ですが、上記のように、都議会議員という極めて高度な立場であれば、違った対応が求められた気がします。


●究極の目的は犯人探しではなく、より良い社会

野次を飛ばしたのは、自民党の鈴木章浩議員だけではなく、録音を分析した結果、複数いるようです。

セクハラ野次を飛ばした議員に対して処分を行うのは、当然ですが、究極の目的は、このようなセクハラをなくす社会を創っていくことです。

それゆえ、今回の事件を契機に、そういったムーブメントを創っていくことが大切です。

140630特派員

フィフィが塩村都議を批判「議員失格」

にあるのですが、日本外国特派員協会で「日本はセクハラの国」のような会見をして世界に発信したこと、は、いかがなものか、と考えます。


●選挙のガール、チルドレンについて

選挙では、○○ガール、チルドレンと呼ばれる候補者が立候補します。その中には、タレント活動をしている「きれいなお姉さん」がいます。

彼女らに期待されているのは、政策立案能力、政治活動よりも、むしろ、そのルックスを利用した集票能力です。

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としたら、これこそが「セクハラ」なのでは、ないでしょうか?

ネット選挙活動が解禁になり、ネットでの政策発表ができるようになりました。

ガール、チルドレンの集票能力に頼ることなく、政策本位の選挙への転換点かもしれません。




2014年06月27日

夢ビジョン2020オープンセッション『人口減少時代を希望に変える鬼(地域性)と金棒(創造性)』

という通知が来ました。

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「東京オリンピック」- 世界中から来る人たちに日本の地域も訪れてもらいたい。

これは地域の切実な思いであると同時に、東京そして日本全体にとって大事なテーマ。

誰も経験したことのない未曾有の人口減少、超高齢化社会時代に日本は既に突入しています。

東京オリンピックが開催される2020年には、東京の人口も減少に転じ、全国の高齢化率は29%に達すると予測されています。

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今も人口は都市部へ流入し続けていますが、地方からの人口供給が止まれば、都市部も危機に瀕するでしょう。

グローバリズム、自由市場主義が目指してきた「豊かさ」だけでなく、多様な他の道を探り、社会や経済システムをドラスティックに変えていく必要に迫られています。

この窮地を好機に変える鍵を握るのは、「創造性」と「地域性」ではないでしょうか?

地域に残る豊かな資源や知恵、技。それらをどう現代の社会に活かし、受け継いでゆけるか。

私たちの創造性が問われています。これらを活かした、私たちの社会の未来の様々な可能性を思い描いてみたいと思います。


夢ビジョン2020オープンセッションは今日が第2回目

第1回目の様子は

夢ビジョン2020オープンセッション「工芸、文化、産業、テクノロジー そしてこれからのものづくりとは」

に書いてあります。

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2020年「オリンピック・パラリンピック」東京開催、これは、決してトップアスリートのための2週間のイベントではなく、新しい日本をみんなで創り上げていく契機になります。

かつ、開催地の東京だけではなく、日本全体で盛り上げていきます。

では、日本の各地域はどういう取り組みをしていくのか?


早速出たお話をまとめます。

・地方は、閉塞感を打ち破るために、クリエーターに過剰に期待している感がある。

・地方はクリエーターに引っ越してきてほしい。仕事は用意する。クリエーターが来ると、人的ネットワーク、仕事のネットワークがついてくる。

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・地方は商店街は6時には閉まってしまう。夜あいているのは、量販店、コンビニだけ。

・イオン、コンビニは地方の生活には欠かせない。地域商店街を敵対するものではなく、活性化するものにならないか?

・東京には、各町に商店街が残っていて、文化になっている面もある。下北沢、吉祥寺など、地道に街づくりをしてきた。 

・都市社会、地域コミュニティーで対応していたことを、お金によるサービスで対応してもらう社会。

・これまで、社会は効率、便利さ、安さを求めてきたが、転換点に来ている。

・故郷に対する憧れ。何もなくても故郷がほしい。

・つながりを求める風潮

・地方の伝統職人、いいものを作っているのだが、対象顧客が不明確で、売れない。8000円のiphoneケースは売れない。

・プロモーション・ビデオは制作関係者だけで終わってしまうが、短編映画にすると多くの人を巻き込んで、長続き、波及効果

・映画のロケは地方の人を巻き込む効果。旅館、商店、飲み屋がロケ隊が来ると遅くまで営業。ノーギャラでも参加したい人もたくさん。

・前例の効果が明らかであれば、多くの人がまねようとする。

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・地域の中で閉じてしまうサイクルではなく、外とつながるサイクルで、拡大スパイラルで活性化する。

・地方から東京に出てくると、地方のよさを再確認する。

・核となる人が、バイタリティーがあり、広いネットワークを持っていると、多くの人を巻き込むことができる。

・小中高校で、もっと経済、金融について教えるべき。

・地方の中心街からデパートが撤退。放っておくと、周辺商店街が衰退。商店街が跡地に入り、デパートの機能を引き継いだ。

・1軒のカフェが地道に周りを変えていくことがある。

・やりたいことが東京以外でもできる日本に。

・ムラ、企業城下町のように、閉ざされたコミュニティーではなく、出入り自由な、開かれたコミュニティーに。

・一人でもいいから、伝統をアレンジして新しくしつつ、伝えていく。

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地域から発信するイノベーションの挑戦




一極集中し、人、モノ、文化を引き付ける東京の多様性が生み出すイノベーションだけでなく、
ネット、SNSの時代には地方発のイノベーションも発信可能になっています。

以前は、地方には人、モノ、カネが集まらず、文化発信は難しかったのですが、
地方独特の文化、名産をベースに、ネット、SNSにより、特徴あふれる文化が世界に向けて発信され、東京をバイパスし、世界中から集客する取り組みも出てくるようになりました。

かえって、地方の方が小回りが利いて、機動性もあったりします。


今後の取り組みが楽しみです



2014年06月23日

東京都議会の本会議での塩村文夏議員への野次問題の対応を見ると、社会の変化がうかがえます。

時系列の動きを見ながら、これについて考えてみます。

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2014年6月18日に東京都議会の本会議でみんなの党会派の塩村文夏議員女性の妊娠・出産を巡る都の支援体制について一般質問の際に、男性の声で「早く結婚しろよ」「子供もいないのに」などのヤジが飛びました。

都議会自民党の吉原修幹事長は「どういう状況だったのかよく分からないが、誰が言ったのか特定することは難しい。」

2014年6月20日に都議会は「被処分者の氏名が把握されていない」として書類を返還。

塩村文夏議員のタレント時代の活動、『恋のから騒ぎ』

都議会自民党の鈴木章浩議員が23日午後、自身が「早く結婚した方がいい」と発言したことを認めた。塩村議員らに謝罪

自民党の石破茂幹事長は23日、同党の鈴木章浩都議のセクハラやじについて、党本部で記者団に「党の責任者としておわびする」




●セクハラの対する意識の急激な高まり

女性が社会進出を始めた頃は、男性の心無い野次、発言を受けることは当然で、それを巧みに切り返す女性が賢い女性、とされ、そのような巧みな切り替し術が、女性が男性社会を生き抜くための必要能力とされていました。

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この問題を社会全体が、セクハラ問題と捉えたことに日本社会の大きな進歩を感じます。

この野次は、塩村文夏議員だけに向けられたものではなく、女性全体に向けられたもの、と受け取られました。

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●うやむやに済ますことはできない、記録が残っている

都議会自民党の吉原修幹事長は「どういう状況だったのかよく分からないが、誰が言ったのか特定することは難しい。」

都議会は「被処分者の氏名が把握されていない」として書類を返還。

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これらの対応は、この件をうやむやに済まそうとした、と受け取れます。

ところが、今は録画、録音の記録が至る所で行われています。記録をトレースすれば、かなりのことがわかります。

これは、都議会に限ったことではなく、スマフォ、ipodで録画、録音は簡単です。

記録が残っている以上、うやむやに済ますことは難しい、と考えた方がよいでしょう。



●ソーシャルメディアがマスメディア、社会を動かす

この件がFacebook、Twitterで物凄い反響を生んだのですが、6/18深夜から始まり、6/19には大騒ぎになりました。

マスメディアが取り上げたのが6/20です。

この件だけでなく、例えば、ワールドカップのコートジボアール戦の敗戦後にゴミを拾う日本人サポーターもソーシャルメディアで話題になり、1日後にマスメディアが取り上げました。

サポーター

ソーシャルメディアがマスメディア、社会を動かす構図が出来上がってきました。

ソーシャル・メディアでの動きが海外のメディアにも取り上げられることになりました。


●被害者の過去も探られる

塩村文夏議員は以前タレント時代の活動をしており、『恋のから騒ぎ』にも出演し、「今まで付き合った人は慰謝料くれたから、男とはタダでは別れない。一番多い慰謝料は【1500万円】だった!」

などの発言もしています。

140623恋から1

もちろん、これは、今回のセクハラ野次とは別の話であり、過去にこういう活動があったから、セクハラ野次が許されるものではありません。



おそらく、この件は都議会自民党の鈴木章浩議員が発言を認める、謝罪だけで幕引き、にはならない、と考えます。

録音、録画を聞くと複数の野次が聞こえます。

140623鈴木1

日本社会の意識の大きな変化を感じさせる事件でもありました。





2014年06月22日

期待学研究会「経営デザインと期待」という通知が来ました。

140622期待学

期待学について、

期待学研究会「カタチと期待」

次なる期待を予測するー期待学

期待学:多方向の、「期待」の醸成、「期待と現実のギャップのフィードバック」により社会は動く

顧客の「期待」を先読みすると、やりたいことができる

に書いてきましたが、今回は「経営デザインと期待」がテーマです。

最近はMOT(技術経営)を考える際に、デザイン思考が欠かせなくなっています。

140521design

これについては、

体系的に学ぶには歴史をたどることが不可欠、MOT(技術経営)の歴史とは?




マネジメントという概念、考え方が生まれてきたのは、産業革命以降、これまで手工業だった工場、生産現場が機械化され、大量生産が実現するようになったころでしょうか?

フォード社が、規格化によって部品互換性を確保することにより、1908年にT型フォードの大量生産に成功し、これが大量生産技術の始まりとなりました。

「経営学の父」と呼ばれたフレデリック・テイラーが、1911年に科学的管理法を提唱し、「作業管理」「作業の標準化」「作業管理のために最適な組織形態」などが取り扱われるようになりました。

この科学的管理法が可能になるためには、数量的に「計測できること」「記録できること」が基本で、統計の基本が欠かせません。

このように生産工程の機械化、数量的管理により、当初、マネジメントは生産性向上のため、が主体でした。

例えば、機械化を導入したのに、思惑通りに、生産性が向上しない、生産工程をチャート化したところ、思わぬところに、ネックがあった、などという手法、線形計画法などの開発も進みました。

当初は生産性向上に利用されていた、マネジメントは、組織、経営、財務、人材にもその考え方が適用されるようになりました。

このように、これまで勘、経験、運で行われていた、経営の世界に科学的手法が導入されるようになりました。

圧倒的な生産力を誇っていたアメリカが日本にキャッチアップされ、Japan as No.1などと言われるようになりました。

この頃、アメリカは日本製品の高品質に着目し、TQC(Total Quality Control)などを生み出しました。

140622MOT

同じ頃、研究開発を大企業が自社内で行う、から、共同研究あるいは会社ごと技術、それに伴う特許など知的財産を買収するようになりました。

この頃の、キーワードが、オープン・イノベーション、企業買収・企業価値の評価、でしょうか。

最近ではスタンフォード大学のd.schoolなどに端を発した「デザイン思考」が大きなトレンドになっています。

つまり、モノでもサービスでも組織でも、デザインが目的、状況に適するように行われていれば、マネジメントは最小で済むのかもしれません。

あるいは、「デザイン・マネジメント」というメタ概念が必要かもしれません。

あと、最近のキーワードとしてあるのが、「ビッグデータ」「サービス・イノベーション」でしょうか?


デザイン思考の考え方は以前からありましたが、生産性向上よりも、むしろ、新しい市場の創出が課題の時代になって、クローズアップされてきました。

講師の中西元男さんは、多くの企業ロゴを手掛けて、その多くの企業が新しい分野に大きく生まれ変わっています。

140622ロゴ

では、早速出た話をまとめます。

・新規の記憶、「新しい刺激」で記憶する。新たな記憶として取り組む、ボトムアップ型。トップダウン型は、これまでの記憶から引き出す。 

・平均と個性、ニュートラルゾーンからの逸脱と誇張による。

・短期記憶に転送する際には、ある程度の刺激をひとまとまり(チャンク)に形成して、転送する。特定の刺激群をチャンク化して知覚する。 

・ショートタームメモリーの限界、7±2

・記憶ノイズ、記憶表現における、ゆらぎや分散。気になる部位が多いほど、記憶は困難。 

・複雑による忘失。短期記憶の受容量を超える刺激は忘失される。

・浅い、物理的分析による記憶から、深い、抽象、意味づけによる記憶へ。

・短期記憶に入らないものは長期記憶に入らない。 

・個別の刺激をグループ化できた時に快感を感じる。

・コントラスト、より誇張された特徴を好む。 

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・偶然の一致を嫌い、蓋然性の高い解釈を求める。

・秩序性、受容した刺激から、次の刺激を予測する。

・対称性、対称であることは生物学的にも状態が良好。 

・快感を最大にする複雑さ、単純過ぎても、複雑過ぎてもダメ 

・メタファー、自分なりの解釈ができることに快感。 

・近代デザインは産業革命から生まれた。ロンドン万博が大きな役割。 

・優れた時代には、常に美意識の高い文化。美術と生活と労働の再統一(ジョン・ラフキン) 

・デザイン教育が美術教育の延長線上だけにおかれたのが間違い 

・デザインはあらゆる分野の共通公分母である。(グロピウス)

・デザインとは人に花を贈るようなものである。必ず相手のことを考える。相手がいる。コミュニケーションがいる。(ソトサス)

・デザインの役割の広がり、作品から事業・企業さらには生活・社会

・デザイナーはプロダクトのデザイン教育しか受けていない。デザイナーは自分の作品の説明しかできない。 

140622価値

・デザイナーからデザイニストへ

・デザイニストが創出する知的美的経営の時代

・グーテンベルグの活版印刷、やがて宗教改革、産業革命につながった。

・デザインは人の気持ちを動かす力を持つ。

・デザインは分野を超えて誰にも関心を持たれる。

・イメージが一歩、半歩先を進み、実体を引っ張る。

・工業化社会(ピラミッド)→情報化社会(ネットワーク)→高度情報通信社会(クラウド)

・人・モノ・金・情報(体力)+創造力・洞察力・開発力(知力)+表現力・演出力・伝達力(魅力)

・企業の存在価値:時代と共にある→時代の先を見通す→次代の価値を創りだす




2014年06月19日

以前、「桜蔭生と結婚したほうが良い理由」共働きが前提の社会への変貌

を書いたのですが、

上野千鶴子先生、東大女子は幸せですか? 力尽きるまで、働くしかできない女たち

という記事を見つけました。


1990年代の初めごろまでは、東大女子の悩みは『働くべきか、働かざるべきか』だった。でも、2000年代に入ってから、その問いは完全に姿を消して、『いかなる働き方をするべきか?』に変わった」と。つまり、東大女子に働かないという選択はなくなったのです。

東大女子の進路は90年代前半までは、実は、専業主婦になる確率が高かったのです。

偏差値エリートの女子学生は、同じく偏差値エリートの男子学生と結婚する確率が高いからです。すると、経済的に共働きする必要性がないのですね。

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こうした現象を、社会学では、「ダグラス=有沢の法則」と呼んでいます。妻が働くか働かないかは、資格や能力、生きがいややりがいでは決まらない、夫の経済力で決まる、と。身もフタもない法則ですね。

「東大女子には、総合職か一般職かの選択の自由などありません」と。総合職か、さもなくば採用されないか

東大女子って、努力家で頑張り屋の能力主義者が多いから、体や心を壊すまで働いてしまいがちです。そこまでしてやるほどの仕事かって思うんだけど、とにかく総合職の女性は、ボロボロになるまで働かされる。それで、力尽きて、辞めてしまう人も多い。


「桜蔭生と結婚したほうが良い理由」共働きが前提の社会への変貌



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男性だけが大黒柱として働いて、女性は専業主婦、というスタイルから夫婦共働きスタイルへの変化

が明白に読み取れます。

出産、子育ての問題はあるのですが、収入、リスクという点では、

収入は2倍になり、また転職を考える際にも、他方の配偶者の収入が確保される、というリスク分散があります。


これについて、少し考えてみます。


●炊飯器、冷蔵庫、洗濯機、掃除機など住宅家電製品の普及および少子化による家事労働負担の軽減

140619少子化

少子化が叫ばれて久しいですが、昭和20年代前半のベビーブームの頃は、一人の女性が産む子供の平均が

4人を超えていました。

現在、4人以上子供がいる家庭は極めて珍しいですが、この頃は平均で4人を超えていました。

その後、減少傾向で、昭和50年に2人を割ります。

140619生活家電

この間に、炊飯器、冷蔵庫、洗濯機、掃除機など住宅家電製品が日本の家庭に普及していきます。

主婦の家事負担は、大きく軽減されるようになりました。


●男女雇用均等法制定、女子総合職の一般化、育児休暇制度の普及による、女性の結婚、出産後の勤務継続の一般化

140619均等法

1985年に男女雇用均等法が制定され、女子総合職が一般化し、また、育児休暇制度も次第に普及し、

それまでは、女性は結婚、出産で退社とされていたのが、いろいろな問題は残ったものの、結婚、出産も勤務を続ける女性が増えました。


●右肩上がり経済の終焉、年収減少時代における男性の意識の変化

140619年収

年収の推移をみると、平成9年(1997年)をピークに減少に転じています。

上記の「ダグラス=有沢の法則」と呼んでいます。妻が働くか働かないかは、資格や能力、生きがいややりがいでは決まらない、夫の経済力で決まる、

とするならば、右肩上がりの経済時代には、妻が働くことは、夫にとって、自分の年収が少ないことを意味し、体裁がよくないものでしたが、

年収減少時代には、収入は2倍になり、また転職を考える際にも、他方の配偶者の収入が確保される、というリスク分散効果があり、

むしろ、夫が妻に望むものになりました。

140619共働き

このプロセスの間に、

・夫は外で収入を稼ぎ、妻は専業主婦で、子育て、家事をする

という「大黒柱、専業主婦」スタイルから

・夫婦で、共に働き、共に収入を得て、家事、子育ても共同で行う

という「協働パートナー」へと、夫婦の役割が大きく変貌しました。

140619イメージ

年収の高い共働き女性は「働くのが当たり前」「自分の能力を社会に活かしたい」

に大和ハウス総合技術研究所による調査結果を掲載したのですが、


・年収の高い共働き女性は「働くのが当たり前」「自分の能力を社会に活かしたい」気持ちで仕事をしています。

・妻の年収が高まるほど、夫自身は「生活資金や学資のため」だけではなく、「自分の能力を活かし」、「社会とつながりたい」から働く、という気持ちが強まります。夫自身の仕事に対する意識は、配偶者(妻)の年収によって異なる。

・世帯収入が、低収入では、生活費を稼ぐために働くが、高収入になると、「自分の能力を活かし」、「社会とつながりたい」から働く

・世帯収入が高収入であるためには、妻の正社員フルタイム勤務が寄与する


つまり、生活費を稼ぐための生活に追われることなく、「自分の能力を活かし」、「社会とつながりたい」生活をするには、夫婦共に正社員フルタイム勤務で高収入が望まれる、という興味深い示唆が導かれそうです


140619M字

ただし、まだまだ積み残しの問題があります。

結婚・博士号取得・出産・子連れでのハーバード大学大学院留学

に書いたように、


女性は出産という大役があり、しかも出産には年齢による生物学的制約が伴います。

32歳を超えると出産する能力は低下していくそうです。


出産、育児をする時期の働く女性のサポートは未整備で、ここが大きな問題になっています。

このテーマはいずれ、もう少し掘り下げたい、と思います。




2014年06月18日

東大新図書館トークイベント「戦争と平和の条件〜いま、大学の知と教育にできること」

という案内が来ました。


無用な戦争を回避し、平和を維持するためには、社会ができる限り正確に現実を認識しながら、論理的な判断をおこなうことが重要です。

混迷が増す国際情勢、メディア環境の激変の中で、このことが今ほど切実な課題となっている時代はありません。

社会が、戦争と平和を「思考する」能力を獲得する条件について、藤原帰一教授とともに考えます。


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戦争を回避したくても、

ウクライナ紛争に加えて、イラクもアルカイダ勢力が盛り返し、政府軍と激しい戦いを行っています。

日本は、戦力、戦争を放棄する憲法9条の解釈、特に集団的自衛権をどう解釈するか?が議論されています。


日本国憲法 第二章 戦争の放棄

第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

第二項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。


しかし、憲法で戦争、戦力を放棄しているからと言って、戦争に巻き込まれないことにはなりません。

実際に、他国が攻め込んで来たら、これに対して、自衛せざるを得ません。

「国の交戦権は、これを認めない。」と言っても、交戦せざるを得ません。

条文を尊重しつつ、どう解釈するか、は時代、社会情勢により、変化します。

「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」とありますが、最新鋭の戦闘機、イージス艦を有する自衛隊が「陸海空軍その他の戦力」と考えるのが相当です。

また、上記に書いたように、日本に他国が現実に攻め込んで来たら、あるいは、攻め込んで来ようとしたら、

日本単独ではなく、日米安保条約に基づき、アメリカなど、同盟国との連携が欠かせない、と考えられます。

そんな時に、「集団的自衛権をどう解釈するか?」等と言っている場合でもないでしょう。

平和な現時点で、基本的な解釈の検討をしておくのはいいこと、と考えます。



さて、藤原帰一先生のお話は以前にも伺ったことがあり、その様子は、

外交と世論、この複雑なバランス

に書いてあります。

ところが、残念ながら、今日のトークイベントには都合がつかず、参加できません。

でも、

東京大学新図書館計画

に出たお話が記述されていますので、それを追記してみます。

外交

・現在の世界は戦争が大変起こりやすく、エスカレートしやすい。その理由を考えるうえで、三つのテーマ、原型のお話、冷戦の終結、その後の変化に分けてお話したい

・政策の手段として戦争を扱う、ということは戦争は人為的な行為であり、自然発生的な現象とは異なってくる。

・世界戦争がおこったために戦争への疑いが生まれてきて、政策の手段として戦争を扱うという考え方と異なる考え方が出てくるという歴史を何度か繰り返している。

・国家が一番大きな権力と考えると、国家同士の関係を調整する術がない、つまり国際関係が無政府状態となる

・2つの均衡状態。1つは力の均衡状態。ヨーロッパの外交においてもっとも重要な概念。均衡を回復するために戦争することを含んだ概念。

・三つの要因によって戦争を防ぐことができる。政治的リベラリズム:国民の政治への参加により、国民に平和の責任を求めるあり方。経済的リベラリズム:貿易の拡大によって、戦争が防がれる。法制度のリベラリズム:一番古い。各国の合意によって戦争を抑えられる。

・ヨーロッパにとって第二次世界大戦はナチスドイツを倒すための聖戦。ホロコーストを防ぐには戦争に訴える必要があったと考えられた。日本とは全く違う語られ方をしている。 この考え方が第二次大戦後、東西冷戦に大きな影響を与えた。

・冷戦が終結してどうなったか。欧米では非常に大きな転換点と考えられた。民主主義と資本主義の勝利であり、以後はそれを広める時代とされた。ソ連崩壊によって議会制民主主義が東欧をはじめとする国々に広まっていった。

・力の均衡に頼るのではなく、地域紛争に対する警察的介入が可能になったのだ、という考え。米軍は、米国の国民の判断には従うが、他国の国民の判断には従わない。米国を世界の公共財のようにみなす考え方には限界がある。

・各国が平和を保つ方法として、1.それぞれの民主化レベルの促進。2.貿易の拡大による地域の経済統合。3.国際制度による各国の協力。

・東西冷戦の終結は地域内政の不安定をもたらした。というよりもともとあった不安定さを顕在化させた。

・現在は、強い攻撃意志を持った国家や、国内統治がされていない国家、さらにテロ組織など国家以外の団体によって戦争が起こる。

・現地に安定した権力がないのなら、外から介入して権力を作る(=暫定的領域支配)。そういうフィクションが作られた。

・権力移行:新たな国が台頭して、それまでの大国の地位が相対的に下がること

・中国では、台頭するほど国際協調を重視しなくなってきた。これはヨーロッパ・日本で起こったことと同じである。

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・ユーラシア共同体は幻想である。東欧・中欧は権力を譲り渡すことはない。

・ウクライナ危機は、ロシアから見た場合と西側から見た場合とでは、まったく異なる物語。2003年以降の世界は、一言で言えば、ナショナリズムと自由主義の競合する世界。

・戦争をしないアメリカが、軍事介入がないという前提による地域覇権の競合を拡大している。

・これからは新しい戦争の時代であり、これまでの教訓は役立つとは限らない。この問題がみなさんの国際政治へのお誘いとなればと思う。

・世界的に国際ニュースが減っている。新聞では海外ニュースを多く扱っているが、日本のテレビやウェブではその量は全体の10%に満たない。

・日本では、ほぼ限られた国についてしか報道されていない。北米、西欧、アジアが中心。国際ニュースとはいえ、自国に近い国のニュースが主になる。

・国際ニュースの量と国際政治の知識には、ある程度相関が認められる。

・軍隊が脅しても戦争は収まらない。軍事力の合理性を過信することは、軍事力の完全な排除と同じくらい現実離れしている。

・国際報道が大きく取り上げられることが極端に減っている。アメリカ、中国、北朝鮮以外の国のことがテレビで取り上げられることはほとんどない。

・積極的に行動を起こさなければ、知識を得る機会すら奪われていく。

・国民世論(≠国際世論)との関わりはメディアは自覚している。外国のことに興味を持つ人は常にある一定程度存在する。東大の学生にも多い。恐らく好奇心。そういう人は国際世論に敏感

・NATOの役割、冷戦では出番がなかった。戦うためにつくられた同盟。ただ、指揮命令系統は非常に脆弱。イラク・アフガニスタン戦争で機能しなかったのは、アメリカの指揮命令系統が使えないから。ヨーロッパの外で活動するには限界がある。このような軍事機構は東アジアにはない。

・尖閣諸島の領有権についてどう考えるかと尖閣諸島の危機についてどう考えるかは別の問題。現在は、実効支配している国の主張が認められる可能性が高い。

・ウクライナについては現地の情報について解釈がバラバラ。信頼できる人の情報や、現地に行った人の話を参考にする。

・メディアはもともと国家権力の監視のために発達してきた。機能としては国際化のためではない。しかし、ジャーナリズムの良心は世界的に存在するし、ネットワークの発達により現場からの報道も可能になってきたので、現状は好転してきたという面がある。

・集団的自衛権、日本政府からすれば軍国主義の始まりだとかいうかもしれないが、新しい事件が起こったとは思っていなくて、国際的には織り込み済みだと思う


国連


軍事力だけでなく、貿易などの経済力、他国との連携などの外交力などが、戦争抑止力には大切なのはいう間でもありません。


外交とは可能性の芸術である。状況が激しくうねる中で、一瞬のチャンスを捉えて可能性を追求する

で、


昭和初期の日本は軍部主導で、日米開戦のまっしぐらのような印象がありますが、実は日米開戦前夜まで、日米双方で開戦回避の努力もされていました

第1次世界大戦では、セルビア人学生によるオーストリア皇太子暗殺事件が引き金となり、複雑な各国の同盟関係により、ヨーロッパ各国は戦争回避へと懸命の努力をしたのにもかかわらず、ヨーロッパを戦場をする大きな戦争になってしまいました

その教訓は十分に承知しながらも、必ずしも望まない当事者同士が戦争せざるを得ない状況に追い込まれる。これは今も当てはまる教訓です


「外交とは可能性の芸術である。状況が激しくうねる中で、一瞬のチャンスを捉えて可能性を追求する」という言葉で締めくくります



2014年06月10日

イノベーションの重要性が叫ばれていますが、大企業は、決断に時間がかかり、しかも、前例主義、現状維持で、新規事業を起こそうとしても、消極的で、つぶす力が働き、難しい

イノベーションを起こすのは、決断がスピーディーで、小回りが利く、ベンチャー企業


という声をよく聞きます。

140610イノベーション


ただ、歴史を振り返ると、1980年頃までは、AT&Tのベル研究所、ゼロックスのパルアルト研究所など、大企業の中央研究所で、本業とは関係のない研究で、ノーベル賞級の成果がたくさんでていました。


つまり、大企業からイノベーションが生まれていた時代もあり、大企業だからイノベーションが生まれない、と言うことではなさそうです。


アメリカの産学連携と大学教育


アメリカの産学連携と大学教育」と言うと、スタンフォード大学とシリコンバレーのモデルがあげられ、日本にも導入したい、と考える人が多いのですが、その社会的背景を知っていた方がよさそうです。

140610スタンフォード

アメリカの産学連携は、古くは軍事産業など歴史がありますが、本格化したのは、1980年にバイドール法が成立し、国の資金による研究であっても、大学が特許を取得できる、資産化できるようになってからです。

それ以前は大企業には中央研究所があり、中には、本業とは関係のない分野で、ノーベル賞級の研究をしていました。

これについては、渦中にいる時は、わからない歴史の重要性

に書いたのですが、


1980年代に、大企業で中央研究所が様々な研究を行っていました。

その象徴的なものが、アメリカのAT&Tのベル研究所でしょうか?

直接、本来の通信業務とは関係ない分野で、ノーベル賞クラスの研究成果がいくつも出ていました。

140610パルアルト

ところが、その後、株主に対して、予算の執行とそれに対する成果の明示、説明が求められるようになり、このような「おおらかな研究環境」は姿を消します。

そして、技術開発の中心が、大企業の中央研究所から、シリコンバレーのベンチャーへと移っていきます。

この波は、日本へも伝わり、日本企業も中央研究所では基礎研究を自ら行うのではなく、大学との委託研究に切り替えていきます。

これが、「中央研究所の終焉」でしょうか?


この「中央研究所の終焉」の際に、多くの企業研究者が大学に移って研究活動を続ける、という、人材の流動がありました。

この人材の移動が「イノベーション・エコシステム」を形成することになりました。

これについては、

企業家精神(アントレプレナーシップ)を発揮するにはイノベーション・エコシステムが大切




企業家精神(アントレプレナーシップ)を発揮するには、大企業、大学、ベンチャー企業、弁護士、弁理士などの専門家集団などのイノベーション・エコシステムにより、技術、知財、人材、資金が動くことが大切です

大企業、大学、ベンチャー企業、弁護士、弁理士などの専門家集団などのイノベーション・エコシステムは、ポジティブな関係だけではなく、

・大企業をレイオフされた人々が、新しい産業を創る

・大企業をスピンアウトしたベンチャー企業を、数年後にその大企業がM&Aで吸収

のように、かなりドロドロしたものも含みます。これらを含めたエコシステムの中で企業家精神(アントレプレナーシップ)は活かされる、ようです


140610エコシステム

「米国におけるクリーンテックベンチャーの動向と今後の課題」に参加しました




ベンチャーが活躍する分野としては、クリーンテック、ライフサイエンス、ITが主流ですが、それぞれで全く様相が異なること、

アメリカでもベンチャーを育てる生態系があるのは、シリコンバレー(スタンフォード)、ボストン(MIT)、ニューヨーク。投資家、ベンチャー経験者、(レイオフされた有能な)技術者、弁護士がいて、世界中から人材が集まる


オープンイノベーションとアントレプレナーシップ(企業家精神)




オープンイノベーションとアントレプレナーシップ(企業家精神)については、企業体質、個人の資質として、議論されることが多いのですが、

むしろ、

・グローバル競争の激化、株主への説明責任の増大に伴う、大企業の中央研究所の終焉

・大企業の基礎研究からの撤退に伴う、産学連携、ベンチャー企業への移行

・単独企業内でのイノベーションから、産業クラスターでのオープンイノベーション

という時代、社会の大きな流れの中で考えた方がよさそうです


140610シリコンバレー

では、イノベーションはどうすれば、起こせるのか?

これも、逆説的ですが、「こうすればイノベーションが起こる」というよりも、振り返ると、「結果として、イノベーションが起きていた」ということのようです。


イノベーションを実現するためには、バイアスを壊す


「人間中心イノベーション」は、イノベーションを技術革新と捉えず、人間の知覚・習慣・価値観の根本的な変化を伴う現象と位置づけます。

これらの変化は結果として現れるものであって、はじめから「狙って」アプローチすることは難しいものです。

しかし、人間は往々にして、イノベーションを確実に得られるものとして、求めようとします

イノベーションは、問題解決のプロセスではなく、破壊のプロセスです

このような「イノベーション思考」は、再現可能なものでしょうか。

難しいでしょう、だって、「イノベーション思考」が再現可能ならば、これさえマスターすれば、誰でもイノベーションが得られます

でも、メソッドではなく、方法論「メソドロジー」として扱うことができるかもしれません

140610open_innovation

スタンフォード大学d.schoolのMichael Shanks教授からは、

・イノベーションは効率、機能とは結びつかないことが多い

・特定のフィールドではなく、フィールド同士の結びつきを見る

・MBA(Master of business administaration)よりも MFA(Master of fine arts)が重要になる

というお話がありました

「人間中心イノベーション」は結果として現れるもの






2014年06月09日

変化が激しく、不確定な時代であり、これから何が起こるのか?誰もよくわかりません。

こういう時代にだからこそ、教育も大きな変化を求められています。

教育の変化についてのキーワードとして、

1.教育そのものの質的変化(先生が教えるだけでなく、主体的な課題探究能力の育成、複雑で困難な現実課題、参加型プロジェクト学習など)

2.ICTを利用した教育の導入(MOOC(大規模公開オンライン講座)、反転授業など)

3.グローバル社会に対応した、英語学習の導入など

があげられます。

140609MOOC

これらは、それぞれが独立ではなく、例えば、ハーバード、MITなどの英語による大規模公開オンライン講座の活用、など、それぞれが相互に関連しあう事項であり、課題が複雑になります。

それぞれについて、状況を整理してみます。

変化の激しい時代、将来を見通した教育とは?

急激に変化している社会に対応して、学生の将来のキャリア、生活に対応して、教育内容、手法も柔軟に変化させなければなりません。

教育とは、自分の将来への投資

に書いたのですが、

一言でいえば、「教育」とは、「将来の自分」のための、基盤づくり、投資、とも言えるでしょうか?

社会とつながる学びとキャリア形成とは?




以前は官僚、医者、教員、法律家など、職業が比較的固定化されていて、医者になりたいのなら医学部、裁判官、弁護士、官僚になりたいのなら法学部、教員になりたいのなら教育学部のように、将来の職業と大学の専攻が結び付きやすかったのですが、

ソーシャルラーニングとこれからの人材育成


・小学生の65%は、今はない職業に就く

・高校生、大学生が将来就くキャリアについて、全く知らない段階で学ぶのは難しい


と書いたように、社会の変化が急激で、グーグルなど、IT関連では急成長する産業も多く、大学入試時点で将来の職業を描くのは難しいのかもしれません。

計画された偶然


「あなたは18歳の時に、今の職業はわかっていましたか?もし、わかっていたとして、計画的に歩んできましたか?」

 スタンフォード大学 クルンボルツ教授によると、「キャリアの80%は予期しない偶然の出来事によって形成される」ということです。

 人生に起こる様々な出来事「偶然」は、本人の意識では、あくまでも「偶然」。

 だが、その「偶然」が起こるための仕組みを本人が気付かずに行なっている、ということです。


そうは言いながらも、工学、理学系の学生が、金融、保険、など「文系就職」する事例が数多くありますが、そうであるならば、学部の3、4年次に土木、建築、化学、機械工学などの、学部学科に合わせた専門学科を時間を費やして勉強するよりも、就職する職業に応じた経済、法律などを勉強した方が有効では、と考えることもあります。



社会の流れが急速で、将来が決して、安定したものではなく、変動する不確定な時代に、「教育」はどうあるべきか?とテーマを再設定するとわかりやすそうです。

さらに、「投資」ということを考えると、

最も有利な投資は「学位」 OECD調査


今の時代、教育ほど有利な投資先はない。価値があるのは学位そのものではなく、学位を取得する過程で習得した市場性のあるスキルだとし、重要なのは自分の進路や目標を明確にした上で、それを達成するために必要な学位を選択すること。



「教わる」と「学ぶ」をつなげる大切な「調べる」




小中高校までの教育は、「教わる」と「学ぶ」に大別され、これまでの日本の学校教育は「教わる」に重きが置かれていて、もっと自分で「考える、学ぶ」ことが求められる、と言われています。

もっとも、自分で考える、学ぶ、前提として、「教わる」ことが大切で、例えば、物理学の場合、偉大な先人の業績を教わることなく、自分一人で学ぶとしたら、ほとんどの人が、ニュートン、アインシュタインどころか、アルキメデスの成果を超えることなく生涯を終えます。


「古典として蓄積されている、先人の偉大な業績を教える」については間違いないのですが、「将来の社会から逆算して、今、何を教育しなければならないか?」については、誰も正解はわかりません。

140609cousera

オンラインによる「新しい学び」のこれから

紙の教科書、ノートからタブレット、教える授業から、事前に予習して議論する反転授業、無料の大規模オンライン講義、などが始まりつつある現在、教育が今後何を目指し、どう変わっていくのか?実は誰もわかっていない、のではないか、と思います。


BEAT公開研究会「変革期を迎えた学習プラットフォーム」に参加しました


ICTを利用した教育、いわゆるe-ラーニングは、インターネットの開始と同時に始まりました。

当初は、テキストは紙媒体の従来の書籍を使いつつ、参加者がメーリングリスト、電子掲示板などにポストする、というものでした。

今から見ると、随分、初歩的なインターネットの利用ですが、当時、カリフォルニア大学バークレー校などが、e-ラーニングを行い、1コース数万円とかなり高額で、かつ、修了証が出るだけにもかかわらず、世界中から参加者が集まりました。

「TAK」さんも、こういったe-ラーニングに参加しましたが、国内にいながら、自分が都合の良い時間に、ケースを行い、掲示板にポストし、世界中の参加者とメーリングリスト上で、英語で議論するのは、まるで「プチ留学」経験で、新鮮なものでした。

この時代は回線はISDNで端末はデスクトップでしたが、その後、光回線による大容量化、タブレット端末の普及によるモバイル化が進み、オンライン学習は量、質、内容、方法が大幅に進化しました。

テキストは電子書籍、講義は動画配信、メールなど使わなくても、ウェブ上ですべてが可能です。

140609反転

ISDNの時代に比べ、リアルタイムの双方向性が格段に向上し、提供者側は学習者の学習態度、履歴をリアルタイムで把握できます。積極的にアクセスしてくるのか?ほとんど利用しないのか?ページは開いているものの、アクセスがほとんどないのか?リアルタイムでわかります。

最近では、MOOCs(ムークス:Massive(ly) Open Online Courses大規模公開オンライン講座)

と言われる、数週間単位の学習コースを世界中の誰でも無料で受講できるオンライン講座を、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学、スタンフォード大学など世界トップレベルの大学が開設しています。


公開研究会「MOOC(大規模公開オンライン講座)と反転授業で変わる21世紀の教育」に参加しました


MOOCsに世界のトップ大学が無料でオンライン講座を提供する、とは、「プラットフォーム・ビジネス」です。

各大学から提供されるオンライン講座は形式がバラバラではなく、MOOCsという「プラットフォーム」に適合するように「モジュール化」されます。

各教科、テーマについて、世界のトップ大学が無料で質が高いコンテンツを提供するため、「国際標準化」が起きます。

ネットビジネスとリアルビジネスの棲み分けが進みます。

・プラットフォーム・ビジネス

・国際標準化

・ネットビジネスとリアルビジネスの棲み分け

について考えてみます。

既にいろいろなプラットフォーム・ビジネスがあります。

インターネット(アマゾン)、人々(Facebook)、タブレット端末(アップル)、情報検索(グーグル)、モバイル(コンピューター)

MOOCsは教育のプラットフォームになりつつあります。

これから研究が進む新分野は、いろいろなテキストが乱立しそうですが、数学、物理、経済など、古典的な学問については、MOOCsに世界のトップ大学が提供する内容が、デファクト・スタンダードになりそうです。

なお、学ぶ言語は英語になります。


変化が激しく、不確定な時代に対応すべく、教育も変わろうとしています。

ただ、はっきりした目標を目指す、というよりは、手探りで模索していく、ことになりそうです。




2014年06月05日

東大、早稲田、慶応などの大学院で、経済、金融、企業戦略などを教えている宿輪純一先生の勉強会

宿輪ゼミ「国際経済・金融情勢」

に参加しました。

140604宿輪

さて、前回の参加は

宿輪ゼミ「アメリカの量的緩和縮小は?日本の消費増税?クリミア情勢は?最近の国際経済・金融は?」

4月上旬、消費税増税直後の参加です。

140605税

消費税増税(5%→8%)については、

消費税増税によせて、日本の財政を考える

日本経済の現代史を振り返り、財政再建の道を探る

に詳しく書きましたので、こちらを参照してください。

140605ウクライナ

国際情勢としては、ウクライナ情勢が、まだ、もめていますが、これについては、

クリミア、ウクライナを巡るロシアと欧米の駆け引き

クリミア、ウクライナ情勢、ロシアの視点からの考察

を読んでいただければ、と思います。

アメリカの金融量的緩和の縮小が取りざたされ、新興国から資金が流出し、その結果、インフレを招いています。

また、これまで世界の景気をけん引してきた中国景気に減速が見られます。

この間までは貿易黒字国だった日本ですが、今は貿易収支は赤字です。

アベノミクスによる円安で輸出が好調なはずなのですが、原発トラブルにより、増加した燃料費など、輸入品の円安による高騰が、これを上回っています。

140605量的緩和

まず、量的金融緩和策についての復習から始めます。

経済の教科書では、市場に流通する通貨の量を調整するのが、政策金利(昔の公定歩合)であり、好景気の時にはインフレ防止で金利を上げ、逆に、不況時には、デフレ対策で、金利を下げる、というものでした。

ところが、政策金利がほぼセロに近いゼロ金利状態では、これが機能しないため、ゼロ金利の状態で、市場にさらに資金を供給するという政策がとられます。

これが量的金融緩和策です。


久しぶりの宿輪ゼミ「剥げ落ちたアベノミクスの期待/米国の量的緩和解除に注目」

にも


・金融の量的緩和とは?本来は金利の上げ下げで、市場に出回るお金の量をコントロールするのだが、金利がほぼゼロに近いため、量でコントロールせざるを得ない 

・アメリカの金融の量的緩和、余ったお金が株式市場に流れている。緩和が解除されると、金融が引き締まり、株価が下がる 


と書きました。

しかし、「紙幣」を大量に市場に供給するのであれば、「紙幣」の価値が急落するのでは、と考えるのが自然です。

金本位制の時代には、紙幣は金と交換されることで、その価値を担保していました。

紙幣が金と交換されない現在は、紙幣が大量に出回れば、ハイパーインフレで、文字通り、紙屑同然になってしまうリスクも、ないわけではありません。

140605雇用統計

なお、重要な経済指標として、アメリカの雇用統計が挙げられますが、

アメリカ「雇用統計」

アメリカ労働省が毎月第一金曜日に発表する雇用に関する統計で、アメリカ経済の状態を知る上で、極めて重要な指標です。

失業率、非農業就業者数を中心として、製造業就業者数、小売業就業者数、週労働時間、賃金インフレの状態を示す平均時給など10数項目が同時に発表されますが、特に重要なのは、失業率、非農業就業者数です。失業率は経済の状態の反映に少し遅れがありますが、、非農業就業者数は遅れがなく、すぐに反映され、よりタイムリーな指標と言えます。

さて、前置きが長くなりましたが、国際経済、国際金融について、検討する時は、このくらいの前提はしっかり整理してからでないと、表層だけなぞって、本質は理解できないことになってしまいます。

140605宿輪1

上記事項を踏まえて、出た話をまとめます。

・6/4,5、ソチで開催される予定だったG8がG7でブリュッセルで開催される。ロシアへの制裁が協議される

・6/6ノルマンディー上陸記念式典、連合軍がナチへ反撃、西欧諸国のほか、ロシア、ウクライナの代表が参加

・フレンチポテト、という言葉があるが、フランスではあまりポテトは食べない。ベルギーが主流。ノルマンディーに上陸したアメリカ軍がそう名付けた

・6/5欧州中央銀行定例理事会が開催される、金融緩和が継続され、金利が下がる予定で、それを織り込んで、ユーロ安、そうでない場合は、反転する

・6/6、世界の最重要経済指標である、アメリカの雇用統計が発表になる、失業率と雇用者の増加、前者はタイムラグがあるが、後者はリアルタイム、で後者の方が重要。15万人で現状維持、20万人で景気上向き、今回は21万人と予想されており、これを超えるとアメリカ買いでドルが上がる

・アメリカの金融緩和により、アメリカ国債が買われている。国債が買われると、価格は上昇し、金利が下がる。

・日本は既に多くの生産拠点が海外に進出しており、輸出促進に円安は有効ではない。一方、燃料などの購入費が上昇し、経常収支が悪化する。

・相場に左右される目標は設定すべきではない。

・日本の株価、全体では上がらない。個別株が、配当金が高いものが買われている。

・6月に成長戦略が出てくる。サプライズはなさそうだが、隠し玉の可能性も

・中国が不動産の値段を引き締め、バブル防止

・中国の低成長が、資源国である、新興国を直撃

・ブラジル、ワールドカップ、オリンピックへの過剰投資の反動

・通貨のファンダメンタル、経常収支、金利・インフレ率(国債)、経済成長率(株)、財政赤字(国債)、相場への期待(全般)

・日本は、物価を人為的に上げて、金利を金融緩和により、下げる、異常な状態

・金本位制、金の量により、通貨発行量を決めるため、均衡が図れる

・計画的偶発性理論、成功する人たちの行動特性は、好奇心、持続性、柔軟性、、冒険心、楽観性






2014年06月03日

慶應SDM公開講座「トップアスリートに学ぶストレスをやる気に変える技術」田中ウルヴェ京氏(ソウル五輪シンクロ・デュエット銅メダリスト)講演会

という通知が来ました。

140603田中

田中ウルヴェ京さんは、以前「アスリートのためのキャリア・トランジション勉強会」を主催されていて、「TAK」さんはよく参加しました。

参加記は、

メダリストのキャリアデザインとトランジション

銅メダリストたちのの本音トーク

人生は「意義」と「楽しみ」がある仕事をしている時、幸せ!

自分が諦めたら、終ってしまう

頂上(ピーク)はとっても気持ちがいいけれど、いつまでもいることはできない?

キャリアトランジション勉強会 憧れの職業も順風満帆とはいかない

などに書いています。

140603京

「アスリートのためのキャリア・トランジション勉強会」は、田中ウルヴェ京さんはホストで、ゲストのアスリートから話を引き出す役でしたが、今日は田中ウルヴェ京さんがゲスト・スピーカーです。

どんなお話が伺えるのか楽しみです。


では、早速出た話をまとめます。

・ストレスは自己調整をすれば、自分特有のやる気のエネルギーにすら変えられる

・失敗経験、裏付け理論で確認すると、よくわかる。

・アスリートは早い人は20代前半で競技を引退し、その時に自分を再構築せざるを得ない。一度「死ぬ」感覚。死生学に通づるものがある。

140603キャリア

・心のリラックス、身体のストレスをリリースすると、骨盤、背骨から余計な力が取り除かれ、心もリラックスすることができる。

・トランジション(人生の節目)を乗り越えるためのスキル。完全燃焼してからのトランジション、突然、戦力外通告されて、やむを得ずのトランジション、などがある。

・自分としての人間の過去の整理、セルフ・アウェアネス、何ができて、何ができていなかったか。

・新しい自分を創る、といっても、これまでの自分との連続

・過度の緊張はよくないが、リラックスのし過ぎも力が入らない。適度な緊張感が交感神経と副交感神経のいいバランスを生む。

・「なぜ、やるのか?」を明確にし、乗り越える。他人の発言、所属する組織の文化により、自分の本音が惑わされてしまうことがよくある。

・自信・セルフイメージ→感情→態度→期待→行動→パフォーマンス→自信・セルフイメージ。感情は自身の基礎となるセルフイメージに影響する。最初に抱くイメージが大切。本当の自分を信じることができるか。建設的な心を持っていると、自分に自信を持つことができる。

・生産性と感情の関係。逆U字仮説。実力を発揮できる、適度な心理状態がある。

・ラジオは声を張っていないと、聴取者に、つまらなさそうに、聞こえる。

・コーピング力とは、自分を知って、感情をコントロールする技術。理想の心理状態にするためには、まず、「自分」を知ること。

・話をしているうちに、自分の中で、整理されていく。

・自分のストレスの状況が客観視できるだけで、ストレスが軽減する。

・言語化できると、傾向が見えてくる。傾向がわかると、事前の予防ができる。

・ストレスのコントロールには、まずは深呼吸。イライラしている時は、長い時間をかけて吐く、やる気がわかない時は、短く吐く。

・刺激に対して、自分がどうとらえるか?で反応が決まる。

140603ストレス

・ストレス発生のプロセスがわかるだけで、ストレスが軽減する。

・「直す」のではなく、「気づく」ことが大切。

・つながった時、信頼ができた時、チームができた時、「強い」

・自分の思考、感情、評価のパターンを知る。 

・身体と心はつながっているので、姿勢と笑顔が大切。例えば、肩を後ろに廻す運動をすると、骨盤、背骨のバランスが取れ、血流がよくなる。

・自分の能力が落ちてきた時には、「失敗してもいいじゃないか」 

・他人のことは言っても仕方がない。

・環境、特に失敗と逆境は「ありがたい」

・「やりたいことが見つからない」、本当は「やりたいこと」があるのだが、自分で発見できていない。

・自分に「欠けた」感が出てこないと、目標は見つからない。



トップアスリートに限らず、ここ一番の大事な舞台で、緊張によるストレスのため、思うような実力が発揮できなかった、という経験は、誰もがするもの、です。

でも、ストレスは自己調整をすれば、自分特有のやる気のエネルギーにすら変えられます。





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