2015年01月

2015年01月30日

東大の教養教育について、

知をひらく、知をつなぐ。『知の技法』新たな普遍性をもとめて

に書いたばかりですが、

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東工大シンポジウム「進化する教養教育」

という案内が来ました。


東工大は2016年4月より、教育プログラムを大幅に変更し、「卓越した専門性に加えて、リーダーシップを備えた理工系人材の育成」を目指し、その一環として教養教育の充実を行う。


ということです。

同様のシンポジウムが以前にもあり、その様子は、

理工系大学こそ、リベラル・アーツが大切

に書きましたが、一部を再掲します。


東工大は理工系のトップクラスの大学ですが、人文、社会系の研究部門が少ないため、KJ法の川喜田二郎氏、江藤淳氏、橋爪大三郎氏ら著名な人文・社会の研究者を招へいしてきました。


日頃から、このテーマについては、いろいろ考えるところがありますので、シンポジウムの内容を書く前に、ポイントをあげると、

・高度に専門化し、専門ごとに分化しがちな理工系だからこそ、リベラル・アーツが大切

・リベラル・アーツは学んでいる時には、「実用的でない。役に立たない。それゆえ、学ぶこと自体が無駄」と感じる人も多いが、ある時を過ぎてから、アイデアの基盤となり、視野を広げ、俯瞰的な思考のベースとなる、大切なものであることに、振り返って気づくもの

会場の若い学部学生から、

「実用性を考えると、リベラルアーツ、教養って役に立つのですか?無駄じゃないですか?小説を読んだり、クラッシック音楽を聴くのって娯楽じゃないですか?」

という質問がありました。

この質問に対して、パネリストがどう答えるのか?楽しみだったのですが、残念ながら、あまり明快なものではありませんでした。

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この質問は、リベラルアーツ、教養がテーマである場合、かなりの頻度で出る質問です。

「TAK」さんの回答としては、

リベラルアーツ、教養って、若い、学んでいる時は「役に立たない」と思われることが多いが、ある時を過ぎてから、アイデアの基盤となり、視野を広げ、俯瞰的な思考のベースとなる、大切なものであることに、振り返って気づくものかもしれない。

というものです。

大切さを経験した人は、まだ経験していない人に対して、何とか伝えようとするのですが、残念ながら、うまく伝わらない。

そして、経験していない人が、ある時に「こういうことだったのか」と悔やむことになる。

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東大も駒場の人文・社会科学の幅広い、豊富な人材、講義が非常に素晴らしいのですが、

駒場の時はその良さをわからずに講義をさぼってしまい、

大学院、あるいは社会に出てから、必要性、重要性に気づいて、聴講に来ることがよくあります。


「高度に専門化し、専門ごとに分化しがちな理工系だからこそ、リベラル・アーツが大切」

についてですが、もちろん、数学、物理などの理工系は大切です。これがあることが前提です。

東工大の学生は、数学、物理などの理工系は、難関の入試を突破する以上、日本のトップクラスであることは間違いありません。

これが確保された前提で、最先端の研究活動を行うには、アイデアの基盤となり、視野を広げ、俯瞰的な思考のベースとなる、リベラル・アーツが大切、ということです。


さて、

東工大ホームカミングデー2014に行ってきました

にも書いたのですが、

法、経、工、理、医学部を持つ総合大学の東大の駒場の人文・社会科学の豊富さ、層の厚さに比べ、理工系大学の東工大の教養教育は、はるかに見劣りするのは、否めません。

もっとも、東工大は日本の理工系大学のトップとして、東大と向き合う立場が宿命ですから、その特徴を活かしてほしいところです。

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では、早速出たお話をまとめます。


理工系大学では、文系科目は「不要」と考えられ、何が学びたい、何が大切、よりも、楽に単位が取れる科目が選択されている。

リベラルアーツ、人間的に魅力がなければ、科学者、研究者、技術者としても厳しい。

科目にリベラルアーツを充実させても、学生が理工系だけで多様性が出るのか?文系学生との交流が必要では?

理工系大学トップとして東大と競い合う訳だが、東大駒場の人文・社会科学に比べ、明らかに層が薄いのでは?

東工大生、人間に興味がない、人間味がない、人間を論じるとき、ロボットを論じるかのように、システムとして論じ、当事者の人間としての視点がない

東工大生、話すのが苦手というよりも、話す内容がない、教養がない

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教養=知識ではない、自分ではない、他者、相手の立場に立ってみる。ユーザーの立場に立った研究開発

物理学は「なぜ?why」よりも「どうなっているのか?how」目的よりもメカニズムを追求

文科系は目的を追求し、理科系は目的よりもメカニズムを追求する。ここで、文科系と理科系が乖離する

製品は提供しているが、使い方はユーザー任せ

理系は研究開発に集中すると、「なぜ」「目的」を置き去りに

社会を知らないと技術を社会に適用できない。技術が技術のまま、終わってしまう。

20歳前に社会のことを知る、考えるのは難しい

自分の興味、関心、これらはくるくる変わっていくのだが、これらを追求していくと、社会につながる

東工大生、基礎能力は高い。難しい問いにも、投げ出さずに、何らかの答えが返ってくる

入学者が多様であるとしても、多様な教育を提供できるか

自分の好き嫌いによる選択メニュー、お気に入りの多様は、本当の多様ではない。

自分の嫌いなものと付き合うか?多様性を求めるために、チャレンジするとは、嫌いなもの、気の進まないもの、に踏み出せること。効率主義とは反する

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理系の前提、古典物理学、ユークリッド幾何学、などを成立するのが前提というブラックボックスではなく、なぜ成り立っているのか?理解することが理系にも大切

読書、読むべき本を推薦してくれるように頼まれることが多いが、このような効率主義ではなく、乱読し、ダメなものを読むから、いいものがわかる

「正解」が一つである前提で、効率的に求めるのが時代のトレンドになっている

教養は「メタ」自分の状況が「絶対」ではなく、他の状況とのかかわりの中で、俯瞰して位置づけられる。

普遍と個別のカオスの中で、どう自分を位置付けるか?

試験で高得点を取るための得意と、面白いか?楽しいか?は違う

3年生全員に文系卒論を課す。単位が取りやすい科目だけでは書けない。自分が興味、関心があり、ストーリーを紡ぐ

大学の講義にすべてを求めても無理、大学の講義で刺激を受けて、大学以外でも学ぶ

提供するプログラムに沿いつつも、寄り道したり、外れたりして、想定外のことを身に着ける

枠に当てはめても意味がない

東大に比べて、層は薄いが、コンパクトなことによる、機動力のよさ、フレキシビリティーを活かす

東工大生は、素直で先生の言うことをよく聞く。東大生は、もう少し斜に構えている


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シンポジウムを振り返りながら、考えてみました。

リベラルアーツ、教養の大切さをまだ理解できない、学生が教育の対象です。

上記のように、東工大生は、素直で先生の言うことをよく聞く。東大生は、もう少し斜に構えている

すると、東工大生は、最初は及び腰でも、一度、やる意義を理解すれば、一生懸命取り組みます。

つまり、教養の先生にとっては、「やりやすく、成果がすぐ見えるので、楽しい」学生だったりします。

上記のように、東工大は理工系のトップクラスの大学ですが、人文、社会系の研究部門でも、KJ法の川喜田二郎氏、江藤淳氏、橋爪大三郎氏ら、現在も池上彰氏がいます。

マイノリティーなのですが、他方、希少価値もあります

しかし、東工大は人文、社会系の研究を進めるのに適した研究環境とは言えず、新進気鋭の教員は他大学へ転出するのを、よく見かけます。

この先生たちをひきつけておく大学側の取り組みも課題です

「TAK」さんの見解としては、リベラルアーツ、教養、人文、社会系の教育について、東工大内でまかなおうとするよりも、

この分野に豊富なスタッフを有する、東大、慶応などと単位交換制度などを活用して、コラボ、交流する方がよいのでは、と考えるのですが、

「日本の理工系大学のトップ」としての「意地と面子」もあるようです。

「理工系のトップ」として、活躍、展開していくためには、リベラルアーツ、教養が大切、という、一見、逆説的な話でした。






2015年01月28日

毎年、夏の海外旅行の計画を立て始める時期なのですが、フランスのテロ事件、ISISの法人人質事件など、久し振りに世界的に危機的な状況であり、国際テロの危険が高まっており、海外へ行くことが懸念されます。

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日本人が利用価値大きい標的に…政府、警戒強化



日本は中東から遠く、軍事作戦にも加わっていないことから、これまでは比較的、過激派などの攻撃の対象にはなりにくいとされてきた。

しかし、今回の事件では、欧米や中東諸国の首脳級が相次いで遺憾の意を表明したほか、日本だけでなく、各国メディアでも大きく取り上げられるなど、国際的な関心事になった。

日本がイスラム国対策で多額の経済協力を行っていることや、日本人に危害を加えても軍事作戦などの報復を受ける恐れがないことも知れ渡った。

「在留邦人と在外公館の連携強化、日本人学校の警備強化などにより、海外に滞在する邦人の安全確保に万全を期していく」


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これまでは欧米人が狙われましたが、日本人が狙われたことは衝撃でした。

日本はアメリカの同盟国なので、当然の流れかもしれませんが、日本人と中国人、韓国人の区別をするのは、20年前ならばともかく、現在は大変難しいです。すると、中国人、韓国人も狙われる危険性が出てきました。

欧米諸国だけならばともかく、アジア諸国も敵とすることは得策とは考えられません。

日本への旅行客が増加していますが、、円安だけでなく、安全な国のせいかもしれません。

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さて、ISISの法人人質事件ですが、メディアでは連日報道されていますが、国内の世論は冷ややかで「自己責任」という言葉が出てきます。

トルコ、ヨルダンなどを旅行していた旅行客あるいは外交官、企業の海外派遣者が、拉致されて、シリア国内に連行されたのならばともかく民間軍事機関、軍事ジャーナリストが退避勧告を行なっているシリアに入国したのだから、「自己責任」という訳です。

この「自己責任」いう言葉が、叫ばれたのは、2004年にイラク武装勢力がイラクに入国している日本人を誘拐・拘束し、自衛隊の撤退を求める事件から、です。

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「自己責任」とは何か?『終わらぬイラク〜高遠菜穂子さんの6年〜』


「自己責任」という言葉が、これほど叫ばれた事件はありませんでした。

2004年にイラク武装勢力がイラクに入国している日本人を誘拐・拘束し、自衛隊の撤退を求める事件がありました。

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日本政府は当時イラクへの渡航自粛勧告とイラクからの退避勧告を行なっており、被害者らがそれを無視して渡航した、ことになります。

被害者家族が、政府関係者に対して、声高に自衛隊撤退を要求しました。

被害者が解放された後、被害者の女性が言った「またイラクに戻りたい」という言葉が日本中に批判の渦を巻き起こしました。

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当時の小泉純一郎首相は、「徹夜で対応した人たちのことを考えているのか?何考えているんだ」と激しい口調で非難しました。

邦人保護は国家の役目であるけれども、渡航自粛勧告、退避勧告を無視した人の救出に国費を使うべきか?

「自己責任」という言葉が、これほど叫ばれた事件はありませんでした。


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「TAK」さんは、この件については、現時点では特に語る考えはありません。

ただ、この頃から、こういう世論が形成されてきたな、と思い出しました。




2015年01月25日

UTCPシンポジウム「新たな普遍性をもとめて――小林康夫との対話」

という案内が来ました。

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案内文によると、


表面的で、ひどく偏った〈繁栄〉のもとで、人間の〈危機〉は深刻です。

それが果たして、単純に〈人間の危機〉であると言ってすますことができるかどうかすら疑わしいほどに、深刻です。

一方には、グローバリゼーションのもとでの、地球的規模での巨大な科学・技術・経済・政治・文化の——矛盾や対立、葛藤なしにではないダイナミズムがすさまじいもとで、〈人間〉はいったいどこに行ってしまったのか。

百数十年前にニーチェが厳かに〈神の死〉を確認したように、われわれは、早くも〈人間の死〉へと備えなければならないのでしょうか。

だが、〈人間〉とは、それがどのように考えられるのであれ、まずは、〈ともに生きる〉存在です。その〈ともに生きる〉の地平を、今日、どのように拓くのか、——それこそが、われわれの究極的な問いかけです。

この問いかけは、さまざまな異質な分野、異質な文化を横断して問われるべきものです。

つまり、根源的な対話へと開かれてあるべきです。


さて、このシンポジウムは小林康夫の最終講義でもあります。

小林康夫先生は、東大駒場の教養学部の「基礎演習」のサブテキスト『知の技法』をつくられた方です。

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これについては、

知をひらく、知をつなぐ。『知の技法』から20年




『知の技法』とは、東大駒場の教養学部の「基礎演習」のサブテキスト

東大駒場の教養学部のカリキュラムは、人文科学、社会科学、自然科学が幅広く、内容も豊富で、講師陣も多様です。

特に、人文科学、社会科学は優れたもので、これだけの陣容を誇るのは、東大ならでは、です。

ただ、20年前までは、ほとんどの授業は、「確立された知」を先生が、学生に教える、ものでした。

この『知の技法』は、学問のやり方、を教えるもので、「知」をもとに、考える、議論する、活用する、という、当時としては画期的なものでした。

学問のやり方、「知」をもとに、考える、議論する、活用する、ということは、それまでは、授業で教わるものではなく、先生、先輩から盗み見て、身に着けるものでした。

誤解の内容に言っておきますが、「確立された知」を教わることだって大切です。

ただ、教わった「確立された知」は蓄積するだけではなく、実際に活用することが大切です。

この頃から、大学にある「知」を社会に還元し、積極的に活用しよう、という動きが生まれ、大学で公開講座が行われるようになったり、社会人が大学、大学院に再入学し、学び直す、人たちも出てきました。

このような、学ぶ場をつくり、学ぶ機会をもうけることが、大学にある「知」を社会に還元する一助になっているのですが、それに加えて、同じテーマに集まる、関心がある人たちの間で、つながり、ネットワーク、新しいことを始める、などの動きが、Facebook、Twitterなど、ソーシャル・メディアの発達も合わせて、出てきました。

また、社会の変化が激しくなる中、人々の経験、勘だけでは対応できるものではなく、大学にある「知」の一層の還元、活用が求められています。

上に書いたように、大学には学ぶ場、学ぶ機会が多く設けられるようになりましたが、学部、有志が独立的に立ち上げるもので、一つの大学の中でも、有機的に関連した動きではなく、カオスの状態です。

また、大学の先生は、「学問のやり方、「知」をもとに、考える、議論する、活用する」ことを教えるよりも、「確立された知」を教えることに慣れており、『知の技法』の2版、3版の「知の論理」「知のモラル」は「基礎演習」のサブテキスト、というよりも著作で、販売数も減っていきました。

「確立された知」を教わるだけでなく、また、大学だけで閉ざされているのではなく、「知」をもとに、考える、議論し、社会を巻き込んで、活用する、動きは確実に増えてきました。

このシンポジウムで、今までの動きを振り返ると、面白そうです。


と書いたとおりです。

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なお、小林康夫先生については、

「確立された知」を教わるだけでなく、知をひらく、知をつなぐ

小林康夫先生には、科学技術インタープリター養成プログラムでもお話を伺い、その様子は、

知ること、考えること、説明すること

「自分さがし」か?「自分つくり」か?

「実際の事」と「想像上の事」の組み合わせ

読んでもらえるエッセイとは?

に書きました。

退官記念インタビュー(前編)

退官記念インタビュー(後編)

も興味深いです。

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さて、今日はどんなお話が伺えるのかしら。早速まとめてみます。

誰かと一緒にいたい、恋をしたり、誰かを好きになったり、愛し合ったりして生きている。

人生を生きるとは、傷を負い続けること。傷は本性ではなく運命

自分を傷つけることが記憶される

傷をいやすことを可能にしてくれる他者に出会う。すると、その他者と一緒にいることを望む

人間は自分を研究しながら、傷を和らげながら生きている

問いに対して、物語で答えるとイルーションに陥る

医学の現場で起きていることが哲学に大きな影響を与える

時間の猶予を与えないと、実存を狭める

問いには答えるだけでなく、問いを受け取ったという返事もある

身体は閉ざされているが、精神は開かれている

誰かと一緒でないと、実存を考えることはできない

自然科学が生まれた時の「自然」は「人工」であり、再現することはできない

現象の積み重ねは歴史であり、自然ではない

みんな人間でいたい

人間の生物的現象を考えないと哲学は意味がない

意味では処理できないものが神秘

横に並ぶ重要性、対面は他者

歩くことにより、新たな視界が開けてくる

視覚だけでなく、聴覚、触覚も動くことにより、新たに展開していく

知覚経験のほとんどは意識化されない

別の視点から眺めることで、別の側面が見えてくる

他者が「感じた」と「感じる」

場所を変えると思考も変わる

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教わるだけではなく、教わったことをもとに、考えて、活用する、文理融合「知の技法」を作成された小林康夫先生。同じく「知の技法」を作成された船曳建夫先生らも駆けつけ、あらためて駒場のリベラルアーツの層の厚さを感じます。

東大の強さは、この駒場の人文・社会・自然科学、文理融合俯瞰プログラムなど教養課程の充実にある、と考えます。

この駒場のリベラルアーツを築き上げた先生方は卒業されますが、多くの後進の方々を育てられてきました。

この先輩を引き継ぐ、若い方々の一層の活躍が楽しみです。




2015年01月22日

東大、早稲田、慶応などの大学院で、経済、金融、企業戦略などを教えている宿輪純一先生の勉強会

宿輪ゼミ「国際経済・金融情勢」

に参加しました。

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さて、前回の参加は

景気回復、金融量的緩和終了でアメリカ独り勝ち、原油だけでなく、鉄鉱石の価格も低下し、ロシアなど資源国は危機的状況、日本は長期金利が史上安、で国際経済はどうなる?

で1月上旬の参加でした。

この時のアメリカ金融量的緩和終了、原油価格下落で独り勝ち、原油だけでなく、鉄鉱石の価格も低下し、ロシアなど資源国は危機的状況、日本はつい以下金融緩和で長期金利が史上安

でしたが、この時からの大きな変化は、スイスの上限撤廃によるユーロ急落、スイスフラン急騰でしょうか。

おそらく金融の専門家も、この時はいったい何が起こったのか?わからなかった人だらけ、ではなかったでしょうか。

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スイスフラン急変動

スイスフランは通貨として強いイメージがあり、また事実強いものでした。

高級時計、ITなどの経済が堅調で、インフレにはしない金融政策。また政治的にも永世中立国で強い軍隊があり、地政学的に安定しています。

スイスはEU諸国の国々の中にあり、これらの国々と貿易を行い、また多くの観光客を受け入れています。

これまでは1ユーロ=1.2スイスフランの比率を堅持してきました。この比率を守るために、無制限の市場介入を行ってきました。

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スイスを旅行すると、多くのレストラン、商店でスイスフランだけでなく、ユーロも受け付けてくれます。

ただ、1ユーロ=1.2スイスフランの比率を堅持していますが、ユーロ安の時には、物価を引き上げて調整していたようです。

「TAK」さんはスイスが好きで5回ほど旅行しましたが、物価が高いのが悩みの種でした。

行くたびに物価が高くなり、4回目からはレストランでの食事をあきらめ、スーパーで食料を調達しました。

3年前に5回目にユングフラウの麓の町、グリンデルワルドに行った時、以前は登山客、観光客でにぎやかだった町がゴーストタウンのように静まり返っていました。スイスフラン高で観光客がいなくなってしまっていました。

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さて、1ユーロ=1.2スイスフランの比率を堅持してきましたが、ECBで金融量的緩和の可能性が高まってきました。

すると、ユーロによる外貨準備高がたまり過ぎているスイスは、今後価値が下がる通貨ユーロを大量に抱え込むのは、将来の損失につながるとして、設定していた上限を自ら撤廃しました。

このスイス中銀の上限撤廃でスイスフラン急騰、ユーロ急落。

なお、このタイミングはECB理事会、ギリシャの総選挙の前に行われました。

このスイスフラン急騰、ユーロ急落で最も損をしたのは、スイスフラン建てでFXをやっている人たちです。ただ日本にはあまりいなさそうですが。

スイスフランが急騰し、ユーロが急落しだした時、「どうせ1ユーロ=1.2スイスフランの比率を堅持するのだから戻ってくる。ユーロの買い時」と考えて

ユーロを買った人が多いのでは、と考えます。

ところが、上記のように、スイス中銀はこの比率の堅持をやめたので、価格は戻りません。顧客だけでなくFX会社も大損で、倒産した会社も出ています。



ユーロが下がって、安全な通貨とみなされている円が上がりましたが、これは、あくまでもスイスフランとユーロの問題なので、ドルと円の関係は変化がなさそうです。


ところで通貨を買い支える市場介入は、

・自国通貨が下がっている場合は、外貨準備を切り崩して行う。つまり外貨準備高が限度額。

・自国通貨が上がっている場合は、自国通貨を売る。これは無制限に行える。

つまり、上がっている場合の市場介入は楽だが、下がっている場合は限度があり、苦しい、ことになります。


さて、1/21の金融政策会合で、日銀黒田総裁は現状維持とし、追加緩和は行いませんでした。

一部には、原油価格の下落により、インフレターゲットの達成が難しくなったために、追加緩和を行うのでは、

という見方もありましたが、行われませんでした。

金融の量的緩和と株価、債券の動きは上記ブログに


金融の量的緩和、余ったお金が株式市場に流れる。緩和が解除されると、金融が引き締まり、株価が下がる 

景気が回復すると、「株が買われ、債権が売られる」量的緩和では「株が買われ、債権も買われる」

投資は株が高いところ、金利が高いところへ動く。


と書いたとおりです。

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1バーレル100ドル以上で高止まりしていた原油価格が40ドル台まで暴落しました。

これは主として、アメリカのシェールオイル、ガスが原因ですが、これまで原油価格を決定してきた資源国ロシア、OPEC諸国から、アメリカに価格決定が移ったことを意味します。

これについては、

景気回復、金融量的緩和終了でアメリカ独り勝ち、原油だけでなく、鉄鉱石の価格も低下し、ロシアなど資源国は危機的状況、日本は長期金利が史上安、で国際経済はどうなる?

シェールオイル、原油価格決定がロシア、OPEC諸国からアメリカへ

に詳しく書きましたので、そちらを参照願います。

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量的金融緩和策についての復習をすると、

経済の教科書では、市場に流通する通貨の量を調整するのが、政策金利(昔の公定歩合)であり、好景気の時にはインフレ防止で金利を上げ、逆に、不況時には、デフレ対策で、金利を下げる、というものでした。

ところが、政策金利がほぼセロに近いゼロ金利状態では、これが機能しないため、ゼロ金利の状態で、市場にさらに資金を供給するという政策がとられます。

これが量的金融緩和策です。

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久しぶりの宿輪ゼミ「剥げ落ちたアベノミクスの期待/米国の量的緩和解除に注目」

にも


・金融の量的緩和とは?本来は金利の上げ下げで、市場に出回るお金の量をコントロールするのだが、金利がほぼゼロに近いため、量でコントロールせざるを得ない 

・アメリカの金融の量的緩和、余ったお金が株式市場に流れている。緩和が解除されると、金融が引き締まり、株価が下がる 


と書きました。

しかし、「紙幣」を大量に市場に供給するのであれば、「紙幣」の価値が急落するのでは、と考えるのが自然です。

金本位制の時代には、紙幣は金と交換されることで、その価値を担保していました。

紙幣が金と交換されない現在は、紙幣が大量に出回れば、ハイパーインフレで、文字通り、紙屑同然になってしまうリスクも、ないわけではありません。

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なお、重要な経済指標として、アメリカの雇用統計が挙げられますが、

アメリカ「雇用統計」

アメリカ労働省が毎月第一金曜日に発表する雇用に関する統計で、アメリカ経済の状態を知る上で、極めて重要な指標です。

失業率、非農業就業者数を中心として、製造業就業者数、小売業就業者数、週労働時間、賃金インフレの状態を示す平均時給など10数項目が同時に発表されますが、特に重要なのは、失業率、非農業就業者数です。失業率は経済の状態の反映に少し遅れがありますが、、非農業就業者数は遅れがなく、すぐに反映され、よりタイムリーな指標と言えます。


ただ、アメリカFRB(連邦準備理事会)イエレン議長は失業率、雇用増加数よりも賃金増加で金利引き上げを判断するようです。

これは、どういうことかというと、金融機関のエグゼクティブがレイオフされてゴルフコースのキャディー、あるいはMBA取得者がマクドナルドでバイト、

などのアンダー・エンプロイメントと呼ばれる事態が発生していますが、これらは失業率、非農業就業者数には反映されません。

イエレン議長はこの雇用の適正化まで含めて、景気回復、金利引き上げの判断をするようです。


さて、前置きが長くなりましたが、国際経済、国際金融について、検討する時は、このくらいの前提はしっかり整理してからでないと、表層だけなぞって、本質は理解できないことになってしまいます。

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早速出たお話をまとめます。

原油

シェールオイルで推定埋蔵量が増えているのに、加えて、新興国が不況のため、石油使用量が減少して、

一時は1バーレル100ドル以上だったのが、今は40ドル台。

1970年代は石油生産量の5割を占めたOPECは現在は3割で、地位が低下。

ロシア、ベネズエラ、イランが苦しくなる。

ベネズエラは80ドルが採算ライン、ロシアはルーブルが急落するが、外貨準備がGDPの2割しかなく、買い支えられない。

石油市場はダウ市場の1/100の規模。少しのお金で大きく動く。


アメリカ

金融引き締め方向、金利引き上げは6月の予定。

景気が良くなれば、株が買われ、国債が売られる。金融緩和では、株も国債も買われる。

リスク回避の意味もかねて、世界中のお金がアメリカ国債を買うために、金利が下がっている。

リスク回避では金も買われる。

経済成長率は3%

イエレンは失業率、雇用増加数よりも賃金増加で金利引き上げを判断する。


日本

1/21の金融政策会合で、日銀黒田総裁は現状維持とし、追加緩和はなかった。

2015年度財政規模は96兆円、国債は37兆円で久しぶりに40兆円を割った。

日銀が国債を大量に買うために、長期金利が0.1%台。

大企業は業績回復、相撲の懸賞が回復傾向。

政治は利益と損失の再分配。

消費税1%で2兆円得て、法人税1%で5000億円失う。


ロシア

2月半ばに現在BBBの格付けの国債がBBに格下げされるおそれ。すると、投資不適格となり、売られてしまう。


新興国

石油を輸入している国が好調。インフレが収まる

インフレ、金利引き上げで抑えようとする

インドは金利が上がっているのに、通貨も上がっている。景気がいいため



金融市場

為替:アメリカ金利引き上げ予想でドル高円安、ユーロ不安で円高ユーロ安

株式:アメリカ株は買われる、日本はレンジ

国債は、アメリカは世界中が買い、日本は日銀が買うため、どちらも金利安

金はリスク回避で買われる




2015年01月14日

男子校出身だと未婚率が高く、短命な2つの理由

というネット上の記事が人気で、FacebookやTwitterでもシェアされています。

開成中学・高校、東大工学部・工学系大学院、東工大大学院という超男子校人生の「TAK」さんにとって切実な問題です。

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男子校出身だと未婚率が高く、短命な理由としては、

男子校という固定化されたコミュニティで育ってしまうと、コミュニケーション手段がワンパターンになり、卒業してそのあと大学生や社会人になってからの他者との「つながり」を作るのがとても不得手になるのです。「つながり」はその強さよりも、多様性が大切なのです。

男子校出身だと女性と出会う機会が少なく、未婚率が高いという点。結婚こそは「つながり」であり、健康の源なのです。

男子校だと数少ない女性を争ってストレスが増えるという点。人生の早い段階からストレスを受けることは、後々まで健康に悪い影響を与えます。

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ハーバード大学医学部の社会ネットワークの研究者であるニコラス・クリスタキス教授らの研究とされていますが、

英文の根拠論文の掲載はありません。

ニコラス・クリスタキス教授らの代表的な研究で関連しそうなものは、

The how of social capital

Preliminary Evidence Regarding the Hypothesis That the Sex Ratio at Sexual Maturity May Affect Longevity in Men

でしょうか?

さて、上にこの記事が人気で、FacebookやTwitterでもシェアされています、と書きましたが、開成、灘、筑波大駒場など男子校出身で東大出身者が多くシェアしています。

ただ、その人たちの多くは結婚している、あるいはパートナーがいて、また、凄く元気でエネルギッシュで、多方面に友人が多く、とても短命、とは思えません。

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今日はこれについて考えてみます。

東大生のための恋愛論




「TAK」さんの価値観では、大学生活で大切なことは、「勉学・研究」「友達作り」「恋愛」でしょうか?

このうち、先生が教えてくれるのは、「勉学・研究」だけ。

他の大切な、「友達作り」「恋愛」は、自分で方法を探さなければなりません。


さて、開成、灘、筑波大駒場など男子校は東大に入学するには、有利な環境です。

ただ、「友達作り」は、ともかく、「恋愛」には、全く向かない環境です。

いざ、東大に入学した、はよいものの、「恋愛」はどうしたらよいのか、途方に暮れる学生さんが多いようです。

恋愛、性は、当事者同士の内的なもの、ではなく、社会的な枠組みに従ったものにすぎない


恋愛、性は教えてくれたり、相談できる人はあまりいません。

先生、親には聞けませんから、友達、先輩に聞くことになりそうですが、そもそも相談しづらいし、相談された友達、先輩とて、十分な知識、経験がある訳ではありません。

それゆえ、個人の経験と、テレビドラマ、映画で見たこと、聞いたこと、インターネット、本、雑誌などからの情報で対応することになります。

そして、それぞれの経験は、ほとんどシェアされません。秘密にしておきたい、絶対に公開はしたくないことですから。


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東大理系の恋愛はどうすればよいのか?


男女比が9:1という、極端な男子余剰の、東大理系で起きている

・中高一貫の男子校を卒業し、東大に合格したはいいが、大学、大学院時代に彼女ができない、悲しき東大男子理系学生

・圧倒的な男女比により、相当数の女子が男子に取り囲まれる厚遇、「東大」「理系」による「美人の二階級特進」ファッション、メイクをクリアすると「可愛い子」になれ、女王様化する東大理系女子学生

を多少コミカルに書きました。

ただ、パネリストの内田麻理香さんが言っていましたが、ここに書いたことはコミックではなく、「現実」なのです。

この大学生活の「現実」が、彼ら彼女らの東大理系学生の学業、将来のキャリアにも、少なからぬ影響を及ぼすのです。

「TAK」さん自身、東大理一から工学部、工学系大学院に進んでいるので、この「現実」をよく知っています。

「TAK」さんの頃は、東大理一定員1090名中女子学生11名という時代でしたから、99:1という比率でした。

つまり、ここ数年(数十年?)で、99:1から9:1と10倍の改善が見られます。でも、このようなイベントが行われるように、事態はあまり進展していないようです。

東大理系の中は男女比が極端でも、それ以外の世界は男女は50:50なのですから、外の世界に飛び出していけばよいわけですが、そのような「甲斐性」がある、稀な東大男子理系学生は、そもそも苦労しません。

さて、男女の仲は50:50の比率でさえ、難しいものです。それが男女比が9:1という、極端な男子余剰の状態では、さらに難しくなります。

では、どうすればよいでしょうか?

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社会には男女比が0:10の大学が多く存在します。女子大です。

また、このイベントでも話題に上がりましたが、多くのカップルがサークルで誕生しています。

つまり、東大男子と女子大とのサークル、というのが、男女比の不均衡を解消し、カップルができやすい状況を生みます。

東京大学五月祭イベント「東大で理系の恋愛を語ろう」に参加しました

東大テニスサークルの東大女子問題、ほとんどが東大男子と他大女子。もっとも東大男子に対しても、厳しい選考がある

テニスは楽しい学生生活を送るための手段、だけではない?

運よくメジャー・インカレ・テニスサークルに入った体制側の学生たちは、可愛い女子学生をちゃっかり確保し、楽しいキャンパス生活を送り、入れなかった大多数の反体制側の学生は、完全に排斥され、彼らを羨望の目で眺めつつ、恵まれない学生生活を送る

ただ、テニスサークルとは、参入障壁が低くて、その気になれば、反体制側の学生は体制側に簡単に移行することが出来ます

テニスサークルとは、テニスコートを確保し、テニスをやりたい友達を集めれば、8割がた、準備が整います

ただし、これだけではメジャーサークルにはなれません。

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メジャー・サークルに移行するためには、「マドンナ」が欠かせません

美しく輝く、素敵な女子学生がプレーをしていると、男子学生だけでなく、女子学生も集まってきます。すると、あっという間にメジャー・サークルになります

反体制側の学生は、上記のように体制側の学生を羨望の目で眺めつつ、何の行動を起こすこともなく、恵まれない学生生活を送ることになりがちですが、

ちょっと知恵を働かせ、行動を起こせば、全く違う展開が開けてきます


さて、何が言いたかったかと言えば、最後の文に集約されているのですが、

不利な環境であるとして、それを嘆いていても、誰も何もしてくれないし、何ら解決することができません。

この環境を打破した東大出身者は、「ちょっと知恵を働かせて、行動を起こしています」

「TAK」さんは上に書いたように、テニスサークルという「場」をつくって、この状況を脱却しようとしました。

その結果、それがきっかけになって、男女だけではなく、学部、学年、大学を超えた、つながりの「場」ができました。

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この例であれば、自分と同様の不利な状況の東大生、あるいは、似た状況の女子大の学生、など、利害が共通する人って、結構います。

あなたのためには誰も何もやってくれないかもしれませんが、みんなでwin-winならば、たくさんの仲間が集まります。

いろいろ振り返り、教訓になる記事でした。




2015年01月08日

東大、早稲田、慶応などの大学院で、経済、金融、企業戦略などを教えている宿輪純一先生の勉強会

宿輪ゼミ「国際経済・金融情勢」

に参加しました。

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さて、前回の参加は

アメリカ金融量的緩和終了、原油価格下落で独り勝ち、日本国債格付け引き下げ、で国際経済金融はどうなる?

は12月上旬でした。

この時のアメリカ金融量的緩和終了、原油価格下落で独り勝ち、原油だけでなく、鉄鉱石の価格も低下し、ロシアなど資源国は危機的状況、日本はつい以下金融緩和で長期金利が史上安

という流れに大きな変化はなく、むしろ一層の加速が進んでいます。

では、少し復習します。

アメリカの量的緩和終了に合わせて、日本も12月に量的緩和終了、というのが大方の思惑でしたが、これを裏切るかのように、追加量的緩和が発表されました。

これを機に一気に円安に進み、また株価も高騰しました。

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これは上記ブログに


金融の量的緩和、余ったお金が株式市場に流れる。緩和が解除されると、金融が引き締まり、株価が下がる 

景気が回復すると、「株が買われ、債権が売られる」量的緩和では「株が買われ、債権も買われる

投資は株が高いところ、金利が高いところへ動く。


と書いたとおりです。

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では、なぜ追加緩和をしたか、と言うと、上記ブログに


最近の景気動向を見ると、消費税増税後は景気が冷え込んでいます。

消費税増税前の駆け込み需要からの反動だけでなく、すっかり下方局面です

現在見る限り、さらに10%に増税するのは難しそうです。


と書いたように、このままでは景気が冷え込み、消費税の10%への引き上げが難しいため、と考えられます。

ところが、サプライズの追加緩和にもかかわらず、消費税の10%への引き上げは1年半延期され、2017年4月とされ、この是非を含めた、安倍政権の経済政策を問うために衆議院が解散され、選挙になりました。

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また年金の運用について、

国債などの国内債券の割合を「60%」から「35%」に引き下げる一方、国内株式を「12%」から「25%」に、外国債券を「11%」から「15%」、外国株式を「12%」から「25%」に、それぞれ引き上げる

ことになりました。

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1バーレル100ドル以上で高止まりしていた原油価格が40ドル台まで暴落しました。

これは主として、アメリカのシェールオイル、ガスが原因ですが、これまで原油価格を決定してきた資源国ロシア、OPEC諸国から、アメリカに価格決定が移ったことを意味します。

シェールオイル、原油価格決定がロシア、OPEC諸国からアメリカへ

を見ていただくとわかるのですが、

第2次オイルショック(1979年)による価格高騰の後、北海油田の産出量が増えたことなどを受けて、湾岸戦争などにもかかわらず、

1986年から2000年までは1バーレル2ドル程度で安定していたことがわかります。

その後、投機マネーなどが入り、高騰し、1バーレル100ドル付近で高止まりしていました。

この頃、石油会社経営層の方が話していたのを思い出します。

「石油の生産量も備蓄も十分あります。価格が高騰しているのは投機しか考えられません」

2008年のリーマンショックで40ドル付近まで急落するものの、すぐに1バーレル100ドル付近まで戻りました。

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ただ、上記ブログに書いたように、探査技術、掘削技術の向上により、石油、天然ガスの推定埋蔵量は増加しています。

さらに、産業用、家庭用は石油以外にも選択肢があるものの、自動車だけはガソリンを使わざるを得ない、

とされていましたが、テスラー社のバッテリーカーなど、ガソリンを使わない自動車も普及を始めています。

原油は次第にその重要性、価値が薄れていきます。原油価格は、短期的には変動があったとしても、長期的には下落傾向は不可避では、と考えます。

原油だけでなく、鉄鉱石の価格も下落し、資源国である新興国は大きな打撃を受けています。

円安により、輸入品、特に原材料費が上昇していたのですが、原油価格の下落で、これもひと休みする期待も出てきました。

一方で、2%のインフレ目標の達成が難しくなるため、さらなる金融追加緩和の可能性も出てきました。

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量的金融緩和策についての復習をすると、

経済の教科書では、市場に流通する通貨の量を調整するのが、政策金利(昔の公定歩合)であり、好景気の時にはインフレ防止で金利を上げ、逆に、不況時には、デフレ対策で、金利を下げる、というものでした。

ところが、政策金利がほぼセロに近いゼロ金利状態では、これが機能しないため、ゼロ金利の状態で、市場にさらに資金を供給するという政策がとられます。

これが量的金融緩和策です。


久しぶりの宿輪ゼミ「剥げ落ちたアベノミクスの期待/米国の量的緩和解除に注目」

にも


・金融の量的緩和とは?本来は金利の上げ下げで、市場に出回るお金の量をコントロールするのだが、金利がほぼゼロに近いため、量でコントロールせざるを得ない 

・アメリカの金融の量的緩和、余ったお金が株式市場に流れている。緩和が解除されると、金融が引き締まり、株価が下がる 


と書きました。

しかし、「紙幣」を大量に市場に供給するのであれば、「紙幣」の価値が急落するのでは、と考えるのが自然です。

金本位制の時代には、紙幣は金と交換されることで、その価値を担保していました。

紙幣が金と交換されない現在は、紙幣が大量に出回れば、ハイパーインフレで、文字通り、紙屑同然になってしまうリスクも、ないわけではありません。

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なお、重要な経済指標として、アメリカの雇用統計が挙げられますが、

アメリカ「雇用統計」

アメリカ労働省が毎月第一金曜日に発表する雇用に関する統計で、アメリカ経済の状態を知る上で、極めて重要な指標です。

失業率、非農業就業者数を中心として、製造業就業者数、小売業就業者数、週労働時間、賃金インフレの状態を示す平均時給など10数項目が同時に発表されますが、特に重要なのは、失業率、非農業就業者数です。失業率は経済の状態の反映に少し遅れがありますが、、非農業就業者数は遅れがなく、すぐに反映され、よりタイムリーな指標と言えます。

さて、前置きが長くなりましたが、国際経済、国際金融について、検討する時は、このくらいの前提はしっかり整理してからでないと、表層だけなぞって、本質は理解できないことになってしまいます。

早速出たお話をまとめます。

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・アメリカ、株価10%アップ、ドル高10%、金融の量的緩和終了、来年半ばに金利引き上げ予想

・日本、株価7%アップ、円安で1ドル120円

・ヨーロッパ、ゲルマン(ドイツ)とラテン(イタリア、スペイン)の違いで、まだら模様

・中国、株価が50%アップで東証を抜く

・原油50%ダウン一時最高値140ドルから40ドルへ、鉄鉱石も50%ダウン、金も10%ダウン(ドル建て評価)、資源国である新興国の景気は冷え込む

・原油50%ダウンで世界経済は1%アップ

・通貨、金融と実体経済のギャップ、問題はギャップから生まれ、取り組まれる

・先進国は3%の経済成長率、2%のインフレ率を設定し、実質1%の成長を目指している

・アメリカの雇用統計、20万人増加、失業率5.8%で好調となるが、今回は25万人増加、失業率5.7%の見込み。完全雇用で失業率5.5%。

・絶対値よりも、予想と実際のギャップで経済が動く

・アメリカ、来年半ばに金利引き上げ予想。南米など新興国が借金の返済ができなくなる恐れ、自国経済だけでなく、基軸通貨、国際通貨の責任

・ベネズエラ原油安で苦境100ドルが採算ライン、ベネズエラが支援していたキューバをアメリカが支援することに、ニカラグアが運河建設に着手、中国が資金拠出

・金融の量的緩和のGDP比率、アメリカ2割、日本7割、日本はあきらかにやり過ぎ

・日銀が国債を買い、インフレになることにより、株、土地が上がり、資産価値が上昇し、物価が上がると国の借金は目減りする。しかし、一方、所得は増えず、生活は困窮。

・国の歳入が55兆、歳出が95兆で国債が40兆、日銀が国債を80兆買おうとするため、不足し、長期金利が0.3%に低下

・ギリシャは緊縮財政を拒絶しているが、ユーロ離脱とはEU離脱、関税が上がってしまう。旧通貨への回帰は困難。

・小さい国はユーロに参加すると、金融、経済が安定する。

・イギリス、日本はアメリカの影響があり、ヨーロッパ、アジア統一通貨は困難。

・ウクライナ、軍事費の増大で通貨が急落

・今年12月設立予定のアジア投資銀行、中国が中心だが、オーストラリア、韓国が入ると安全保障上の問題も出てくる

・相場の変動20%が受け入れられる限界、それ以上だと新たなステージを探す

・アベノミクス、デフレ脱却が景気回復という錯覚、実体がない

・生産拠点の60%が海外のため、円安は効かない

・「保護された産業」は復活しない




2015年01月07日

フィギュアスケートに見る、コミュニティーの急激な再編

と書きましたが、現役選手だけでなく、引退後のキャリアも大変そうです。

奔放すぎる安藤美姫、スケート連盟激怒&関係者困惑…取材で異例の自粛要請も空振り

[為末大学]【嫌いな人を叩いてはいけない理由】〜安藤美姫さん「3ショット」写真炎上について〜

「私も」「私は」「私の」... 安藤美姫またしても「自分語り」連発

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のように、「ソチ五輪に出場できず競技引退を表明した、フィギュアスケート元世界女王の安藤美姫」さんの行動が話題を呼んでいます。

ところで、「フィギュアスケート元世界女王の安藤美姫」とありますが、安藤美姫さんがフィギュアスケート選手だったことは知っているけれど、「元世界女王」かしら?

と思って

Wikipedia安藤美姫

を調べると、2007年、2011年の世界選手権で優勝し、2003年の全日本選手権では4回転サルコウ、3回転ルッツ-3回転ループ、3回転トーループ-3回転トーループを入れた1クワド6トリプルの構成を完璧に成功させ、村主章枝、荒川静香らを抑えて初優勝しています。

確かにすばらしい実績なのですが、2007年、2011年とは、2006年トリノ、2010年バンクーバーなどオリンピックの翌年です。

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トリノオリンピックの荒川静香選手の金メダル、バンクーバーオリンピックの浅田真央選手の銀メダル、は人々の記憶に鮮明に焼き付いていますが、「フィギュアスケート元世界女王の安藤美姫」と言われてもピンときません。

日本の女子フィギュアスケートの名選手を上げるならば、伊藤みどり選手、荒川静香選手、浅田真央選手であり、

はっきり言って、安藤美姫選手は、その次のレベル、というのが多くの人の認識ではないでしょうか

キャリアトランジション勉強会:人生の分岐点に 八木沼 純子さん


●伊藤みどり選手は凄かった。格が違った。

今でこそ、荒川静香、浅田真央など、世界レベルで戦う日本選手が出てきています

当時は、世界レベルで戦ったのは、伊藤みどり選手だけだったでしょうか?

彼女だけは、ダントツに格が違ったそうです

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通常、ジャンプは飛び出しで成功、失敗がきまりますが、彼女は失敗ジャンプを途中で修正して、成功させることが出来たそうです

また、競技だけでなく、国際試合でのマナー、ルール等を後進に教えたのも彼女だったそうです

また、カタりーナ・ビット、クリスティー・ヤマグチなど、金メダリストたちは、そばにいるだけで、発するオーラが伝わってきたそうです


荒川静香選手、金メダル、おめでとう!

銀メダルで「がっかり」され、6位入賞に感激、浅田真央選手が残したもの

くるみ割り人形 「花のワルツ」と「行進曲」

のように素人だけれど、フィギュアスケートが好きな「TAK」さんは伊藤みどり選手、荒川静香選手、浅田真央選手については書いてきたけれど、安藤美姫選手については書いていないことに気づきました。

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冬季オリンピック 歴代日本代表選手

を見ると、安藤美姫選手は、トリノで15位、バンクーバーで5位、ソチオリンピックには全日本選手権7位で出場できませんでした。

フィギュアスケートに見る、ライバル同士の競争と協働




安藤美姫選手については、出産後、よくここまで復帰した、という感はありますが、

素人の「TAK」さんが見ても、4位の宮原知子選手、5位今井遥選手、6位の本郷理華選手の迫力には遠く及ばず、「7位だな」と感じました。


2006年トリノオリンピックには浅田真央選手が年齢制限で出場できませんでした。

この時は村主章枝選手、荒川静香選手、安藤美姫選手が選ばれましたが、このシーズン安藤選手は精彩を欠き、全日本選手権は6位、

もし、年齢制限がなければ、安藤選手ではなく、浅田真央選手が出場し、メダルの期待もあるくらいでした。

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実は、このトリノオリンピックの選考も兼ねた全日本選手権がターニングポイントでした。

女子フィギュアスケートのアイドルが「跳べない、4回転のミキティ―から軽々と笑顔でトリプルアクセルを決める真央ちゃん」へ移ったのです。

浅田真央選手も

くるみ割り人形 「花のワルツ」と「行進曲」




フィギュア・スケートの浅田真央選手の調子がいまひとつです。バンクーバー・オリンピックを控えているのに心配です


と書いたように、決して順風満帆ではなく、厳しい時期もあったのですが、オリンピックなど、ここ一番には調子を上げ、キムヨナとのライバル決戦は観客を楽しませてくれました。

また、なぜか、調子が今一つでも、日本中の観客を味方につけてしまう、ところがありました。

安藤美姫選手は、やがて鈴木明子選手、村上佳菜子選手にも抜かれて、引退します。

ライバルたちとの競争の中で、本来の実力を高め、発揮することができなかったのかもしれません。

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ここでちょっと考えます。

もし、安藤美姫選手が荒川静香選手、浅田真央選手のように、コミュニティーのトップ、代表としての立ち位置であったなら、冒頭に挙げたように、伝えられる奔放すぎる態度はあったでしょうか?

これは全くの「TAK」さんの憶測ですが、トップを目指す若手選手のロールモデルとしての自覚は持っていたのではないでしょうか?

立ち位置によるセカンドキャリアの進展、も興味深いテーマです。





2015年01月01日

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

以前は正月三が日は、今年の目標づくりをやりましたが、

最近は昨年の活動の総括をしつつ、今年の方向を定めていきます。

昨年の正月の

キャリア構想、最近の動きを振り返る

を参照しつつ、振り返ると、

(1)キャリア戦略にも出口戦略が大切

(2)セカンド、サードキャリアあるいは複線的キャリア

(3)キャリア構想と社会の進展のギャップ

(4)中堅エンジニアから技術経営層への脱却

(5)戦力外通告選手、場があれば大活躍する可能性

というかんじでしょうか。少し長くなりますが、それぞれのテーマが関連し合うのですが書いてみます。


(1)キャリア戦略にも出口戦略が大切

スタンフォード大学ビジネススクールにいると、在学中に起業する

・出口戦略を持ってビジネスを始める。これがないと、具体的な事業戦略が立てられない

と書きましたが、終身雇用が期待できない時代、キャリア戦略にも、

途中のプロセスはともかく、どういう形で卒業するのか?出口戦略を持っていることが大切です。

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・成功したアントレプレナーとて、必ずしもグレートアイデアを持っていた訳ではない。凡庸なアイデアを改善していく。何かにつまづく。誰かのアイデアをまねる。一般的なサービスを改善していく。

・グレート・ビジネスに、必ずしもグレート・アイデアは必要ない。 

・ビジネスプランを書くことで、どうやってビジネスを運営するか?自分の前提条件、がわかる

・会社が成長すると、必要とされる人材も変わる。創業時は何でもできる人、成長期は専門性を持ったスキルを持つ人

・自分がコントロールできることだけでなく、コントロールできないこと、運も大切、経済状況、外部環境はコントロールできない

・最良の方法はやってみること


などのアントレプレナー戦略は、キャリア戦略としても大切です。


(2)セカンド、サードキャリアあるいは複線的キャリア

昨年の終わりにフィギュアスケートの町田樹選手が、現役引退して研究活動を始める、と宣言して、世間を驚かせました。

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フィギュアスケートに見る、コミュニティーの急激な再編


町田樹「引退のご挨拶」


スポーツ選手のセカンドキャリア問題が社会問題となるに至っており、私も、自分自身の選手引退後のキャリアデザインに苦労した一人です。


町田樹選手は現在24歳、次のオリンピックを目指すか?(羽生選手、宇野選手が確実視される中、大変な道!)、いい状態の時に、惜しまれながら、セカンドキャリアに転向するのか?

悩んだ結果かと思います。

キャリア支援の現場から「40歳定年」を考える


キャリアを1社に終身雇用ではなく、20〜40歳のファースト、40〜60歳のセカンド、60歳以上のサード・キャリアのように構築していけないか?


・20代前半までの大学教育とその後の職務経験だけで、一生のキャリアを構築するのは難しい。キャリアを構築しながらの学び、スキル、知識の習得が不可欠。

・自分のストレッチ、成長の機会は、会社に与えられるのを待つのではなく、自ら創り出す。 

・自分のポジション、居場所、あり方を異なる視点から眺めてみる。 

・これまでと異なる仕事をやってみることがセカンドキャリア、サードキャリア構築のきっかけになる。

・40代ぶら下がり社員、40代前半で管理職に就かない社員は一生、管理職に就かない。

・セカンド、サードキャリアは場所を変えるのではないか?同じ場所では難しい?


ところで、ビジネスマンは、今頃、あわてて、セカンドキャリアについて考えていますが、

ビジネスマンよりも、もっと引退年齢が早いアスリートは、ずっと前から、セカンドキャリアについて考えています。


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人生は「意義」と「楽しみ」がある仕事をしている時、幸せ!


●メダルでキャリアが開けるか?

日本ではメダルは最後のゴールと考えられますが、世界では、メダルはキャリアの最初の一歩、と位置づけられます。

それゆえ、選手は現役時代から、メダルを取って引退後の自分のキャリアを描きます。

あるマラソンのメダリストは、

「メダルでキャリアが開けると思ったが、何もなかった。恨まれて、出たくもない駅伝に出なければならなくなっただけ」

とこぼしています。

メダルをゴールと位置づけ、その先のことを考えないのか?キャリアの最初の一歩、と考えるのか?大きな差が出そうです。


●何かを極めた人は、目標が決まれば、早い!

メダリストは、とにかく、ひとつの事を極めています。

その後、しばらく、悶々とする時期があります。

でも、次の目標が決まれば、最短距離で行けるそうです。


●とにかく、取り掛かることが大切!

大学生の就職活動でも、アスリートのセカンドキャリアでも、「まだ知らない世界」を探します。

それゆえ、その分野の真実など、初めはわかりません。

初めは間違っているかもしれません。でも、とにかく、取り掛かり、次第に真実を見つけていくことが大切です。


●前のキャリアのアイデンティティーを消すことはない!

例えば、アスリートが芸能活動を始める、など、新しいキャリアを始めるときに、「前のことは、すっかり忘れて」と言いますが、何もゼロクリアすることはありません。

前のキャリアで得たものを活かしながら、キャリアトランジションしていけばよい、のです。


●人生は「意義」と「楽しみ」がある仕事をしている時、幸せ!



(3)キャリア構想と社会の進展のギャップ

キャリア構想と社会の進展のギャップ


人々は技術の進展、社会の変革は十分に認識しつつも、一方では、キャリア構想は「高度経済成長期」から、それほど進歩がない。官庁、大企業に就職し、組織内で出世して、高いポジションを得ること、と考えている。

社会が変革している以上、当初描いたキャリアも修正、変更していくことになるはずなのですが、なぜかキャリアプランは当初描いた「高度経済成長」の頃のまま

官庁、大企業に就職し、組織内で出世して、高いポジションを得ることを目指す

ではうまくいくはずがありません。

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キャリアアップとは「自分がやりたいことを形づくるプロセス」

キャリアアップというと、ともすると専門知識やスキルを高めていくことで達成されるように思うけど、その概念が大きく覆されつつある。

今、露わになりつつあるキャリアアップの姿は、「自分がやりたいことを形づくるプロセス」だ。未来がくっきり見えない今の社会では、自らが進む方向性を明確に描き、着実に具現化を進める人こそがリーダーになる。これは企業の中でも外でも同じこと。だから、自分がやりたいことを見極めることこそが、これからのキャリア観の基礎を成すことになる。

やりたいことがある、すぐに見つかる人にとってはワクワクする世界。そうでない人にとってはなかなか住みづらい世界

専門知識やスキルを高めていくことは、そのための手段、必ずしも直接的に現業に結びつくものでなくても、育児休業や時短勤務も「自分がやりたいことを形づくるプロセス」の手段

キャリアアップというと、以前は、大企業で、同僚よりも早く出世して、高いポジションに付き、大きなプロジェクトを任される、

大企業が窮屈になると、転職、起業して、大企業の歯車では、なし得なかった夢を実現する、という感じでしたが、

キャリアアップとは「自分がやりたいことを形づくるプロセス」

と考えれば、別に転職、起業しなくても、会社内でも、いろいろなパターンが考えられます。

あるいは単純に、しっかりと結果を出し、実績を積み、信頼を重ね、ネットワークを広げていくことが、次の仕事に連鎖的につながり、「自分がやりたいことを形づくるプロセス」になるのかもしれません



(4)中堅エンジニアから技術経営層への脱却

中堅エンジニアから技術経営層への脱却するには工学部の再構築が不可欠


エンジニアのキャリアパスも、一つのメーカーに就職して、研究開発、技術開発の仕事で実績を残しつつ、一歩一歩キャリアの階段を上っていく、というよりも、

新技術のベンチャー企業を起し、それを売却し、経営陣に参加する、あるいは、売却益を元手に新たな技術開発を行い、また売却する、のようなキャリアが考えられるようになってきています。

日本とアメリカの技術者のキャリアストーリーが違いすぎるんです

日本では、技術者は大企業に就職して、生涯その会社で勤め上げ、社内で昇進して、定年前に、技術担当役員になり、年収2000万円程度、というのが、上々のサクセスストーリーでしょうか?

アメリカでは、大企業の技術者がいとも簡単に大企業を辞めて、起業します。

起業して、うまくいかなければ、その大企業に戻ったりします。日本ではあり得ないことでしょうか?

ベンチャー起業した人が、年収数十億円以上になり、資本家となり、ベンチャーに出資する側になる「技術者→起業家→資本家」というサクセス・キャリア・ストーリーが珍しくありません。

日本では、好きな技術の仕事をするのに対し、アメリカでは、好きな技術の経営をする、のが技術者のキャリアなのです。

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従来の工学系教育は、学部から大学院修士に進むにしたがって、専門分野を限定し、その分野を深く掘り下げ、最先端の研究、開発を行う、というものでした。

最先端の研究・技術開発には、このプロセスが不可欠なのですが、変化の速い社会では、他領域で注目すべき技術が生まれて、研究していた分野の価値が薄れる、陳腐化する、など、このスタイルの欠点が以前から指摘されていました

一方、MOT(技術経営)と呼ばれる分野は、一つの技術を掘り下げるのではなく、全体を俯瞰し、必要な技術を組み合わせ、マーケティング、ファイナンスなども取り入れて、商品化、実用化、ビジネス化に結び付けます

工学系でありがちなのは、大学院生が自分で有望なテーマを発掘するのではなく、研究室で、あるいは先輩が担当したテーマが既に決まっており、「問題発見」が省略され、既に決められた問題の「解決」だけを求められるケースでしょうか?

「専門を限定し、掘り下げる」と「全体を広く俯瞰する」の、2つの方向で、何も前者が悪くて、後者をすべき、と言っているのではありません。

ただ、これまでの工学系教育は、あまりに前者に傾いており、後者の視点を取り入れないと、前述のように、卒業生は、技術経営層ではなく、中堅エンジニアにおさまってしまいます

技術の研究、開発に携わるだけでなく、その技術を活用して、どのようにビジネスを行うか?という視点も欠かせません


(5)戦力外通告選手、場があれば大活躍する可能性

戦力外通告選手、場があれば大活躍する可能性


ここで言う戦力外通告選手とは、

全く能力がなくて、使い物にならない選手、ではなく、

今年で言えば、小笠原選手、井端選手、晩年の松井秀喜選手のように、全盛時と比べれば、確かに実力が落ちてきたことは否めないが、

まだまだ、かなりの実力があるのに、若手を活用したい首脳陣の意向のため、ライバルの台頭のため、首脳陣の考え方との折り合いがつかないため、

活躍する場、実力を示す場、に恵まれない選手のことです。

「戦力外通告選手」は、これまでいた場所にしがみついていても、「活躍する場」「実力を示す場」がないのですから、腐ったままです。

ただ、「活躍する場」「実力を示す場」を、与えられる、見つける、創る、ことができれば、大活躍する可能性があります。


これまでは終身雇用制で、大学を卒業してから定年まで、営業畑、技術畑、人事畑など、専門の分野を、真っ直ぐではないにしても、いくつかのポジションを経由しながら、らせん階段を上るように、昇進・昇格していくキャリアモデルでしたが、社会の変化が激しく、会社の寿命も短くなり、統廃合、吸収合併が珍しくなくなり、このキャリアモデルは通用しなくなりました。

キャリアを1社に終身雇用ではなく、20〜40歳のファースト、40〜60歳のセカンド、60歳以上のサード・キャリアのように構築していけないか?

ビジネスマンは、今頃、あわてて、セカンドキャリアについて考えていますが、

ビジネスマンよりも、もっと引退年齢が早いアスリートは、ずっと前から、セカンドキャリアについて考えています。

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「逃げる」とは、優位に戦える場に移行すること


これまでは、歯を食いしばって「戦う」ことが美徳とされ、「逃げる」ことは、勇敢に戦っている人を見捨てる、卑怯なこと、とされてきました。

しかし、無理に歯を食いしばって戦わなくとも、場所を変えて、もっと自分が優位に戦える場に移ることの方が得策の場合もあります。

「逃げる」とは、決して卑怯なことではなく、優位に戦える場を見つけ、あるいは作り出し、そこに移行することです。

歯を食いしばって戦うだけでなく、「戦う」と「逃げる」を使い分けると、よさそうです。





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