2016年02月07日

東大、早稲田、慶応などの大学院で、経済、金融、企業戦略などを教えている宿輪純一先生の勉強会

宿輪ゼミ「国際経済・金融情勢」

に参加しました。

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前回の参加は、

サウジとイラン対立による中東不安、中国成長の先行き不安で世界同時株安、Fintechの急速な発達も加わり、世界経済はどうなる?

で1月上旬でした。

この時から、1月ほど経ちましたが、この時からの主なポイントは、

・日銀がマイナス金利を導入

・中国経済の減速による中国株安、原油安による世界的な株価安

・Fintech(金融と情報通信技術の融合)の急速な発達

でしょうか?

それぞれが重要なテーマで、複雑に絡まり合っています。

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マイナス金利については、

日銀の新たな金融緩和、マイナス金利とは?




日銀は、金融政策決定会合でこれまでの大規模な金融緩和策に加えて金融機関から預かっている当座預金の一部につけている金利を、マイナスに引き下げる新たな金融緩和に踏み切ることを決めました。

日銀が市場に供給するお金の量を年間80兆円のペースで増やす、今の金融緩和策については維持します。

そのうえで新たに、日銀が金融機関から預かっている当座預金のうち一定の水準を超える金額につけている金利について、現在の0.1%からマイナス0.1%に引き下げる金融緩和策を導入することを決めました。

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これによって、金融機関が必要以上の資金を日銀に預けておくメリットが薄れることから、日銀の口座に積み上がっている金融機関の資金をより積極的に貸し出しなどに振り向けるよう促すねらいがあると見られます。

「マイナス金利」は、金融機関から日銀の当座預金で預かっている一部の資金につけている金利をマイナスに引き下げる政策です。

大規模な金融緩和のもとで、金融機関は、余った大量の資金を日銀に預けていてこの部分に日銀は0.1%という金利を付けていました。

中央銀行に預けられた金融機関の資金についている金利をマイナスに引き下げる政策は、ヨーロッパですでに各国の中央銀行が導入しています。

日銀が今回新たに導入したマイナス金利。金融機関は日銀にお金を預けると通常は金利がもらえますが、マイナス金利では逆にお金を預ける金融機関は金利を払わなければならなくなります。

日銀は、このような政策をとることによって金融機関が資金を日銀に預けるのではなく、積極的に企業や個人に貸し出す効果を狙っています。


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金融緩和策のためのマイナス金利については、まず、金融緩和の復習から、始めます。

アメリカ金利引上げ、ゼロ金利解除で国際経済、金融はどうなる?


経済の教科書では、市場に流通する通貨の量を調整するのが、政策金利(昔の公定歩合)であり、好景気の時にはインフレ防止で金利を上げ、逆に、不況時には、デフレ対策で、金利を下げる、というものでした。

ところが、政策金利がほぼセロに近いゼロ金利状態では、これが機能しないため、ゼロ金利の状態で、市場にさらに資金を供給するという政策がとられます。

これが量的金融緩和策です。

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・金融の量的緩和とは?本来は金利の上げ下げで、市場に出回るお金の量をコントロールするのだが、金利がほぼゼロに近いため、量でコントロールせざるを得ない 

・アメリカの金融の量的緩和、余ったお金が株式市場に流れている。緩和が解除されると、金融が引き締まり、株価が下がる 

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金融緩和時こそ、金融経済と実体経済の格差、が大切

資金量が一定であれば、景気が回復すると、「株が買われ、債権が売られる」、不況時には「株が売られ、債券が買われる」つまり、片方が上がれば他方が下がります。ところが量的緩和では市場に資金が投入されますので「株が買われ、債権も買われる」ことになります。

利子率が上がれば預金が動く。成長率が上がれば株価が動く。資金が一定であれば、預金と株価の片方が上がれば他方は下がる。ところが量的緩和状態では預金も株価も両方上がる。


0.1%とは決して高い利率ではありませんが、ゼロ金利状態では、低い利率でもありません。

量的金融緩和で、市場に資金が流れましたが、企業は設備投資をする状況ではなく、したがって銀行に資金を借りることもないので、

銀行には、量的金融緩和による、お金がダブつき気味で、そのお金を日銀に0.1%で預けていました。

ところが、この利率がマイナス0.1%になってしまうので、日銀に預けておくと、収益を圧迫することになってしまいます。

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さて、日銀がマイナス金利を発表してから、5日で1週間ですが、

<マイナス金利>3大銀、定期預金金利下げ…発表1週間

史上初のマイナス利回りも視野に 銀行、利ざや縮小に備え預金手数料模索

のように、いろいろ影響が出てきました。

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ひとつの大きな目的が、

日銀マイナス金利は「ショック療法」

にあるように、円安誘導、株価上昇ですが、この効果は当初多少あったものの、1週間で元に戻ってしまい、なくなった形です。

上記のように、銀行は日銀にお金を預けておくと、マイナス金利になってしまうので、その分、長期国債を購入したため、

国債が品薄状態になり、価格が上昇、すなわち金利が低下、することとなりました。

国債の金利が低下したため、主に国債で運用するMMFが募集を停止したり、生命保険などが、運用利回りを達成できず、保険料の値上げを検討せざるを得なくなっています。

ただ、個人向け預金をマイナス金利にすると、お金を引き出そうとする人が銀行に殺到し、「取り付け騒ぎ」が発生し、銀行自体が破綻することにもなりかねません。

また、仮に、定期預金がマイナス金利になった場合は、引き出して、国債を買う、などができましが、

普通預金の場合、給与振り込み、公共料金の振替の役目もあり、これがマイナス金利になった場合は、

コンビニでの支払いに振り替える、など、そもそも銀行の機能が失われます。

ただ、企業は銀行との取引を簡単に替えることもできず、三菱東京UFJ銀行などでは、企業向け口座ではマイナス金利が検討されています。

さて、銀行が貸出金利と借入金利との金利差で収益を上げることができず、逆ザヤとなり、損となるのであれば、

送金、振替などの決済手数料で収益を上げたいところですが、

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フィンテック(金融と情報通信技術の融合)とは?生活への影響は?




小切手、手形、送金など、これまで銀行が行っていた決済業務が、どんどん他の企業に置き換わってきます。

銀行は以前は、資金を調達し、借入と貸出の金利差でビジネスを行っていましたが、

ゼロ金利で、しかも企業も個人も、お金を借りたがらない時代になって、小切手、手形、振り込み、送金などの手数料でビジネスを行っていました。

クレジットカード会社と提携していない、海外のホテルなど、特に海外に送金する場合の手数料は、これまで相当割高でした.

ところが、この銀行の決済業務が、他へ置き換わっていくわけです。


と書いたとおりです。

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長くなりましたので、原油安、中国経済減速については、詳しくはサイトを見ていただくとして、ポイントだけ書きますが、

サウジとイラン対立による中東不安、中国成長の先行き不安で世界同時株安、Fintechの急速な発達も加わり、世界経済はどうなる?


従来のガス田、油田に比べ、固い岩盤に閉じ込められていて、これまでは採掘不可能と考えられていた、ガス、石油が、採掘技術などの進歩により、採掘が可能になった、というものです。推定ではアメリカのシェールオイルの埋蔵量はサウジアラビアを上回るのでは、と言われています。

原油価格を決定してきた資源国ロシア、OPEC諸国から、アメリカに価格決定が移ったことを意味します。

また、エネルギーの石油代替が進む中、自動車だけはガソリンを使わざるを得なかったのですが、電気自動車、燃料電池自動車の開発、実用化が進む中、石油の占める位置はますます軽くなっていきます。


原油価格について、短期的な変動はあったとしても、中長期的には、需要が減っていく方向で、安値に安定しそうです。

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中国がIMF通貨であるSDR(特別引出権)の構成通貨(現在、米ドル、英ポンド、ユーロ、日本円「主要な国際通貨」)の一つに人民元の採用されました

これは、中国の30年計画である人民元の基軸通貨化への重要なステップです。

今後、中国の景気が悪化することが予想されるので、金融緩和を行う予定ですが、海外で国債を売りさばくことになります


SDR、通貨の「量」と「質」が大切です。人民元の国際化に必要なのが金融市場の自由化です。

金利の自由化、従来の規制では、預金と貸出の金利差を3%に設定していました。預金金利が低く、貸出金利が高いため、両分野でヤミ金融が暗躍しました。自由化により、この金利差を縮小することになります。

金利の自由化により、銀行の収益が落ちることになります。上海株式市場は1%の銀行が上場企業全体の純利益の6割を占めるため、結果として、上海株式が暴落することになってしまいます。


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これまで、日本の株価、日経平均はアメリカのダウ30と連動していましたが、今では、中国の上海株と連動します。

株式への投資は、この動きへのウォッチが欠かせません。

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さて、前置きが長くなりましたが、ゼミで出た話をまとめます。

日銀は、銀行の銀行の役割、銀行からの預金に対して3段階の金利

0.1%(210兆円程度)各銀行への割り当て、マネーサプライ、マネタリー・ベース

0%(40兆円程度)準備預金(他の銀行の破たん対策)、公的基金

−0.1%(10〜30兆円)銀行からの当座の預金

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マイナス金利の事例

スイス、スウェーデン、デンマーク、ユーロ危機時に国内にユーロは流入するのを防止するため、為替対策

ECB、EU内の国が危機的状況で国債が買われず、企業も危機的状況で融資が行われないために、マイナス金利を導入し、これらを促進しようとしたが、うまくいかなかった

日本のドル円のレンジ115〜125円、ただし、主力産業が海外移転済みのため、円安にしても、GDPは伸びない

国債の30%は日銀が買っている

国債のマイナス金利は大量に買われたために生じる

銀行、6〜7割を融資、3〜4割が余剰、地方銀行も貸し出しのため、上京するなど、過剰融資で金利が低下

三菱東京UFJは企業口座に手数料(マイナス金利)

個人向け国債金利が0.005%以下だと売らない

日本の株価、国内要因ではなく、海外要因で動く

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上海株、銀行、石油で50%を占める。これらが悪くなると、株価が下がる。

銀行は金融介入で対応できても、石油は国際市場なので対応できない

中国、100年計画、GDPを世界一に、30年計画、人民元を基軸通貨に

IMFのSDR、ドル、ユーロ、ポンド、円に人民元が加わった、国際通貨であることが条件


金融市場

為替

ドル円:円安 115〜125

ユーロドル:ややユーロ安、金融緩和

新興国:ドル高現地通貨安(アメリカ金利引上げ、中国成長先行き不安)

株式

米株:やや安16000

日株:やや安17000

債券

国債:金利低下0.045%(個人向け国債金利下限0.005%)

商品

金:やや高、原油:安



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