2016年08月29日

「グラショー博士(1979年ノーベル物理学賞)講演会」「科学の進歩をもたらすのは、全くの偶然か、あるいは知的な計画か?」@東大福武ホール

という案内が来ました。

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案内文によると、


科学と技術における飛躍的進歩とは、ひとつは、あらかじめ立てられた計画に基づいて研究を進めたときに起きます。

もうひとつは、セレンディピティ(=偶然に巡り会えた素晴らしいもの)によるもので、全く予期しない発見によって起きます。

本講演ではこのふたつが互いに絡み合った様々な歴史的発見をひもとき、基礎研究に予算を割くことの重要性について論じます。


とあります。

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ある仮説を構築し、その仮説を検証する実験、測定を行うのが、一般的な手法です。

ただ、計画を着実に実行するだけでは想定内の結果しか得られないことがほとんどです。

そこに、偶然の要素が加わると歴史的な発見、開発につながることがあります。

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「理論を現象で検証する」から「現象から理論を導き出す」へ




「ニュートリノ天文学」の幕開けとなった「カミオカンデ」は当初、陽子崩壊観測のために建設されましたが、建設後わずか数か月で、大マゼラン星雲でおきた超新星爆発からのニュートリノを偶発的に観測しました。

基礎研究の世界では、何がどうやって役に立つのか?よくわからないところが面白かったりします。


と書いたのは、その一例です。

準備をしておくからこそ、「偶然」も起きます。実は「偶然」に見えて「必然」だったりするのですが。

準備をしないところには、「偶然」も起きようがありません。何もせずに、「偶然」を待っていてもナンセンスです。

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また、あまりに型にはまった、近視眼的な対応には、「偶然」は起きません。


「社会に役に立つことを研究する・学ぶ」と「研究成果を社会に活かす」の違い




「研究成果を社会に活かす」と似た言葉に、「社会に役に立つことを研究する・学ぶ」があります。

「社会に役に立つことを研究する・学ぶ」は既に、社会で顕在化しているニーズについて、研究する、学ぶ、こと

一方、「研究成果を社会に活かす」は、その研究成果について、社会で顕在化しているニーズは、特にはなく、研究者と社会の人々がコラボしつつ、その研究成果の活用について、探り、新たな可能性を見出していく、ことになります。

多くの人が顕在化していない、潜在的なニーズの開拓、は苦手なのですが、ここからイノベーションが生まれ、新たな価値、分野が展開していく可能性があります。


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科学と技術の融合




「科学」と「技術」が融合したのは、つい最近です。

「技術」が経験だけでなく、「科学」も根拠とするようになりました。

「科学」も何か「技術」に結びつかないか?検討し出しました。

そこで、「科学」が人間の生活に役に立つ、ようになりました。

「新しいことを知ることが楽しい」科学が「人間の生活に役に立つ」ようになりました。

こう考えると、科学はむやみに人間の生活に役に立つように、というよりも「新しいことを知ることが楽しい科学」と「人間の生活に役に立つ技術」がバランスを取って融合するのがいい、みたいです。


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工部大学校と日本の工学形成




当時の「工」は、日本だけでなく世界的にも、現在の数学、物理学などの科学と密接に結びついたものというよりも、経験に基づく「ものづくり」、交通インフラ、建物の工事、に近いものでした。

測量、交通インフラ、建物の工事、簡単な電気通信工事は、例えば、戦場では大変重宝で、評価が高かったようです。

当時の工部大学校でも、学問理論重視か?実地経験重視か?で、だいぶ意見が分かれていたことが伺えます。

いつの時代も、すぐに役に立つ、という点で、学問理論よりも実地経験の方が望まれます。

一方で、新しい技術を生み出すには、学問理論をベースとした研究開発があり、それが実地に展開することが大切であることは、後の歴史が示す通りです。

結果的にみれば、工部大学校は帝国大学令により東京大学工芸学部(前年に理学部より分離)と合併、帝国大学工科大学となり、理論と実践を融合させることになり、日本の技術の原動力となりました。


と書きました。

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計画を着実に実行すること、その際に起きるかもしれない「偶然」をどう活かすか?

いろいろ考えることがありそうです。




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