2016年10月06日

東大、早稲田、慶応などの大学院で、経済、金融、企業戦略などを教えている宿輪純一先生の勉強会

宿輪ゼミ「国際経済・金融情勢」

に参加しました。

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前回の参加は、

イギリスEU離脱ショックでポンド、ユーロが売られ、急激な円高、長期国債までマイナス金利、で世界経済はどうなる?

で7月上旬でした。

これから3か月たちましたが、この間の動きとしては、

(1)アメリカは11月に大統領選を控え、9月の金利引き上げを見送り、12月の金利引き上げが現実味

(2)日本は国債購入を減額し、国債金利を引き上げを図る

(3)中国人民元は国際通貨(SDR)加入

(4)イギリスのEU離脱が、いよいよ現実味

など、世界の主要国で、それぞれ大きな動きが進行中で、しかも、それぞれが複雑に絡み合っています。

ひとつひとつを取り上げて単独で見るだけでなく、全体図を俯瞰することが大切です。


それぞれについて考えてみます。

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(1)アメリカ

アメリカ金利引上げ、ゼロ金利解除で国際経済、金融はどうなる?(2015年12月18日)


これから起こることを予測すると、

・EU、日本がゼロ金利なのに対し、アメリカは0.25%の金利なのですから、当然、アメリカに資金が集まることになります

・アメリカが金利引き上げに踏み切ったのは、景気が好調だからなので、株価も好調ですが、資金が減っていくので、中長期的には株価は低下傾向です

・ニューヨークダウが下がると連動して日経平均も下がります

・新興国から資金がアメリカに引き上げられ、深刻な資金不足、インフレになる

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アメリカは好景気なのですが、それにより、ニューヨーク、サンフランシスコの物価がラーメンが3000円、家賃が月に60万円と、高くなり過ぎ、インフレ気味で、金融引き締めが必要な状態です。

それゆえ、ドルが世界経済に及ぼす影響を考慮しつつも、国内状況を考えると、利上げせざるを得ない状況です。

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1997年に起きたアジア通貨危機も、米国のドル高政策によって金利が大きく引き上げられ、当時米ドルと連動させる「ドルペッグ制」を採用していたタイやマレーシアなどのアジア通貨が実力以上に大きく上昇していたところにヘッジファンドなどが売り浴びせをしたことによって起こった。


上に書いたように、アメリカの金利引き上げにより、アジア、中南米、アフリカなどの新興国から資金が引き上げられ、通貨危機を起こすことも懸念されます。

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ただ、アメリカFRBは急に金利引き上げを決定したのではなく、金融の量的緩和自体は1年半前に終了し、金利の引き上げは行わず、据え置いていました。

その後の米連邦準備制度理事会(FRB)において、イエレン議長は「今回は金利引き上げを行わないけれども、今後は引き上げる可能性もある。」

のような含みのある発言を繰り返していたことから、世界の市場もそれ相応の準備はしていました。


11月に大統領選を控え、9月の金利引き上げを見送り、12月の金利引き上げが現実味を帯びてきました。

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ギリシャ危機、中国株価急落は一段落、市場は次のステージ、アメリカの金利引上げ、ドル高へ移行で、国際経済はどうなる?(2015年07月17日)


いつも言っていることですが、織り込み済みのはずの、予期される事項が、いよいよ現実味を帯びてくると、金融市場は、起こるはずのことが、起き出すと一気に進む、ので、手遅れになる前に、早めに対応したいところです。


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(2)日本

中国回復傾向、原油安も底打ち、で世界的に回復傾向の中、日本はマイナス金利で混乱、で世界経済はどうなる?(2016年03月04日)


マイナス金利導入により、国債がマイナス金利となったことの影響が広がる

マイナス金利については、

日銀の新たな金融緩和、マイナス金利とは?

マイナス金利導入の効果は?日銀の思惑、外れる?

に書いたとおりですが、

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国債の金利が低下したため、主に国債で運用するMMFが募集を停止したり、生命保険などが、運用利回りを達成できず、保険料の値上げを検討せざるを得なくなる


地方銀行の収益の主力である、20年物国債の金利が、1.0%弱から0.6%以下まで下がり、すなわち、収益性が4割下がり、統廃合などを余儀なくされそう

など、深刻な影響が出始めています。

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日本の金融機関は、企業が設備投資などにお金を借りないため、預金者から預かった預金金利と、企業に貸し出す、貸出金利が逆ザヤの場合も多く、収益性が低く、比較的金利がよい、20年物の長期国債による資金運用が収益の柱だったのですが、これすらマイナス金利となり、収益の悪化が懸念されます

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住宅金利も下がったので、住宅を買いやすくなる、月々の返済が軽くなる、などのメリットがあるのでは、と考えられますが、解約手数料を払ってでも、現在のローンを解約し、新しいローンを組んだ方が安くなる場合、はもちろんメリットがあります。

ただ、新規の場合、住宅価格がバブル期を超えて高値を付けており、今買うのはどうか、という感がします。


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一時は20年物国債の金利すら、マイナスとなっていたのですが、現在80兆円の国債購入を2兆円減額することにより、

金利の引き上げを図り、10年物国債の金利ターゲットを0%とします。すると、20年物国債はプラスとなり、資金運用が可能となります。

現在、20年物国債の金利すら、マイナスのため、リスクの大きい外国債、暴落するかもしれない不動産で資金運用していた銀行が、比較的安定した20年物国債による運用が可能になります。

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(3)中国

アメリカ景気堅調、中国景気回復、原油価格は再び低下、日本は株安、マイナス金利で混乱、で国際経済はどうなる?(2016年04月07日)


中国がIMF通貨であるSDR(特別引出権)の構成通貨(現在、米ドル、英ポンド、ユーロ、日本円「主要な国際通貨」)の一つに人民元の採用されました

これは、中国の30年計画である人民元の基軸通貨化への重要なステップです。

今後、中国の景気が悪化することが予想されるので、金融緩和を行う予定ですが、海外で国債を売りさばくことになります

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SDR、通貨の「量」と「質」が大切です。人民元の国際化に必要なのが金融市場の自由化です。

金利の自由化、従来の規制では、預金と貸出の金利差を3%に設定していました。預金金利が低く、貸出金利が高いため、両分野でヤミ金融が暗躍しました。自由化により、この金利差を縮小することになります。

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金利の自由化により、銀行の収益が落ちることになります。上海株式市場は1%の銀行が上場企業全体の純利益の6割を占めるため、結果として、上海株式が暴落することになってしまいます。


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(4)イギリス

イギリスEU離脱ショックでポンド、ユーロが売られ、急激な円高、長期国債までマイナス金利、で世界経済はどうなる?(2016年07月07日)

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イギリスはEU域内のため、域内関税がかからず、ドイツ、フランス、イタリアと違って、言語として英語が通じるために、進出している海外企業もたくさんあります。

10%程度の関税がかかることになれば、これら、海外からの進出企業がドイツ、フランスなどへ拠点を移すことになり、既にロンドンなど、イギリスの不動産価格は下落し始めています。


ゼミで出たお話は、以上のほかにも、いろいろあるのですが、3か月ぶりの参加で、上記をまとめるだけで、精一杯なので、それ以外は後日また。




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