2017年02月10日

人工知能で生き方が変わる、この時代の前になすべき教育とは?

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というシンポジウムの案内が来ました。

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智(knowledge)・技(arts)・絆(communication)を築くために、今何をすべきか?

に書いた、はこだて未来大学の美馬のゆり先生

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「映像の世紀」から「魔法の世紀」へ

に書いた、筑波大学の落合陽一先生など、「TAK」さんのお友達がパネリストとして登壇するので楽しみに行きました。

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ところが、パネルトークは、「そうですね」のような予定調和のものではなく、「それではダメ」「あなたは間違っている」のような激しい言葉が飛び交う、聞いていてハラハラするトークになりました。

なお、このシンポジウムの様子は、2017年2月25日(土)NHK Eテレ「TVシンポジウム」午後2時〜3時で放送される予定です。

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学校教育とは、少人数教育を採用したとしても、どうしても集団で行う、画一的なものにならざるを得ず、ひとりひとりの個性を伸ばすべきところを、抑えてしまう、消しゴムで消す、ことになってしまっていないか?

「偏差値が、いくつだから、どこの大学へ行く」という入口戦略よりも、「将来、これをやるから」という出口戦略が大切。

建築物をつくるには、日曜大工の経験だけではダメ、詳細、複雑な構造計算が必要

集団でのリーダーシップだけではなく、自分のことは自分で決めるリーダーシップ、解放されると何をしてよいのか、わからなくなる

圧倒的なサーベイによる、テクノロジーに基づく、エモさの追求、何が人に、自分に刺さるのか?


というお話はキャッチしたのですが、上記のような、パネリスト同士のバトルになったので、バトルをフォローするというより、バトルを聞きながら、「TAK」さんが考えたことを書きます。

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「人工知能」がホットなテーマなのですが、「人工知能」だけでなく、社会の変化が目まぐるしい一方で、教育制度が変わるには時間がかかります。

その結果、社会の激動の変化の中で、教育は対応が間に合わず、「何をやっているんだ」ということになってしまいます。

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その一方で、

大学センター入試によせて、大学入試で、志願者にみたいことは?




大学入試に求められることは勉強し、そうでないものは勉強しない、のは仕方がないことです。

大学入試センター試験に英語のリスニングが導入されたのは2006年以降です。

これ以降の学生、例えば、現在の大学生、大学院生は英語のリスニングを相当訓練しており、TOEFL、TOEICなどのリスニングでも、それほど困ることはありません。

一方、それ以前の世代は、英語のリスニング、スピーキングをTOEFL、TOEIC対策などで独自に勉強せざるを得なくなり、相当苦労してます。

大学入試センター試験の英語のリスニング導入は、確実に日本人の英語能力開発に有効だった、と言えそうです。


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中学入試、「学歴」で分断される日本社会



開成、麻布、駒場東邦、桜蔭、雙葉、女子学院中学校の入学試験の解答

をみると、近い将来の大学入試の変更をにらんで、記憶力を問うよりも、考えさせる問題が増えていることがわかります。


のように、大学入試が変わると、てきめんに効果が出たりします。

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変化の激しい時代、将来を見通した教育とは?

教育とは、自分の将来への投資

に書いたのですが、

一言でいえば、「教育」とは、「将来の自分」のための、基盤づくり、投資、とも言えるでしょうか?


江戸時代以前は、親の職業、農業、漁業、武士などを継ぐのが当然で、それ以外の選択肢がなかった(唯一の例外は豊臣秀吉)のですが、

明治以降、高等教育が行われるようになり、産業、経済の進歩により、高等教育にふさわしい職業が生まれ、建前上は、農民、漁民の子でも、高等教育を受けることにより、エリートの道が開けるようになりました。

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社会とつながる学びとキャリア形成とは?




以前は官僚、医者、教員、法律家など、職業が比較的固定化されていて、医者になりたいのなら医学部、裁判官、弁護士、官僚になりたいのなら法学部、教員になりたいのなら教育学部のように、将来の職業と大学の専攻が結び付きやすかったのですが、

ソーシャルラーニングとこれからの人材育成


・小学生の65%は、今はない職業に就く

・高校生、大学生が将来就くキャリアについて、全く知らない段階で学ぶのは難しい


と書いたように、社会の変化が急激で、グーグルなど、IT関連では急成長する産業も多く、大学入試時点で将来の職業を描くのは難しいのかもしれません。

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「学歴」で分断される日本社会なのか?




東大新入生でも、親が東大であるか、そうでないか、による「分断」

東大に合格した以上、こんな「分断」ないでしょう、と思われるかもしれませんが、確かにあります。

親が東大でない場合、東大合格を、人生の大きなゴールとみなすのに対し、親が東大である場合、東大合格とは、人生のスタート、通過点である、ことを認識しています。

両者では、大学生活の過ごし方に大きな違いがあり、結果も大きく違ってきます。


と書いたように、同じ教育を受けられるとしても、育った環境により、その活用は大きく異なります。

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大学教育では、基礎となる教養教育重視か、すぐに役に立ち、即戦力となる実学重視か、いつも議論となります。

工部大学校と日本の工学形成




工部大学校でも、学問理論重視か?実地経験重視か?で、だいぶ意見が分かれていたことが伺えます。

いつの時代も、すぐに役に立つ、という点で、学問理論よりも実地経験の方が望まれます。

一方で、新しい技術を生み出すには、学問理論をベースとした研究開発があり、それが実地に展開することが大切であることは、後の歴史が示す通りです。

結果的にみれば、工部大学校は帝国大学令により東京大学工芸学部(前年に理学部より分離)と合併、帝国大学工科大学となり、理論と実践を融合させることになり、日本の技術の原動力となりました。


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一高理科へようこそ―科学する心




戦前期の高等学校、いわゆる旧制高等学校を代表する存在であった第一高等学校では、卒業後さらに法律・政治・文学・科学・工学・農学・医学等を帝国大学に於いて学び、各分野の指導者となるべく督励された若人のための基礎教育が実施されていました。

旧制高校では教養教育、特にデカルト、カント、ショウペンハウエルが登場するデカンショ節のように、文学、哲学など文科系領域が重視されました。

その一方で、西洋近代化を急ぎ、理学、工学、医学の基礎教育もしっかり行われていました。

この時代は、西洋文明を急速に取り入れると同時に、取り入れた文明の普及も積極的に行われました。

工学については、官営八幡製鉄所、富岡製糸場のように、産業として導入され、また科学については、ニュートン、ラグランジェ、ライプニッツなどの業績を取り入れるだけでなく、上記のように、事実を観察し、記録し、実験する手法も普及していきました。


と書いたとおりです。

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さて、最近は、先生から学生への授業よりも、学生同士が学び合う、アクティブ・ラーニングが話題になっています。

「学びのイノベーション」が、いろいろな所で進行中

先生から教わるだけでなく、教わったことを、ネット技術を駆使して、さらに深く、広く調べ、自ら学んだことを、他の人々と共有して、他者からの価値を付加して、さらに実際に活用していく、新しい学びについて、いろいろな所でチャレンジが進んでいる。

ということなのですが、これを分解すると、

(1)インターネットを利用した大規模オンライン授業、紙媒体の教科書、ノートだけではなくタブレット端末を活用した授業

(2)インターネットを利用して、教わったことを「調べる」ことが大切に

(3)一人で勉強するだけではなく、グループでシェアし、創り上げていく

(4)学ぶだけでなく、学んだことを実際に活用する

という感じでしょうか。これらが同時に進行中です。

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「教わる」と「学ぶ」をつなげる大切な「調べる」


小中高校までの教育は、「教わる」と「学ぶ」に大別され、これまでの日本の学校教育は「教わる」に重きが置かれていて、もっと自分で「考える、学ぶ」ことが求められる、と言われています。

もっとも、自分で考える、学ぶ、前提として、「教わる」ことが大切で、例えば、物理学の場合、偉大な先人の業績を教わることなく、自分一人で学ぶとしたら、ほとんどの人が、ニュートン、アインシュタインどころか、アルキメデスの成果を超えることなく生涯を終えます。


変化が激しく、不確定な時代に対応すべく、教育も変わろうとしています。

ただ、はっきりした目標を目指す、というよりは、手探りで模索していく、ことになりそうです。





「TAK」さんstakeid at 23:05│コメント(0)トラックバック(0)このエントリーをはてなブックマークに追加

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