2017年07月18日

東京大学現代文芸論研究室創設10周年記念シンポジウム「文学を読む・語る・動く」

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という案内が来ました。

文学を<読む> 

文学を<語る>??「物語」と「私」の距離 

文学を<動く> ??exile(亡命)・extraterritorial(脱領域)・errantry(彷徨)  

などのテーマについて、各パネリストからお話がありましたが、

文学だけでも、古典から現代、純文学から大衆文学、日本文学だけでなく、外国文学まで、幅広いのに加えて、

文学の背景となる、文章の表現方法、文章が表現される媒体である、音声、紙、活版印刷、マスメディア、ネットなど、

いろいろな要因が働いてきます。

これらについて、一度には紹介しきれないので、少しずつ書いていきます。

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宮下志郎「書物史のために」(2002年)

古代ローマでは、朗読会が現在の著作の出版に相当していたように、文学の受容も音を介しての行為であった。

中世の武勲詩(シャンソン・ド・ジェスト)も、「平家物語」と同様、読み書きができない聴衆が、吟遊詩人による弦楽器の演奏と朗誦に耳を傾ける「語り物」であtった。

中世文学とは、広場の言語、口誦的な言語で成り立つところの、共同体を拠り所としたもので、作品は必ずしも、テキストという支えを前提としていなかった。

ヨーロッパの場合、12世紀から13世紀を境にして、書かれたものの重要性は圧倒的なものになって、テクスト受容の世界に変動が生じる。

黙読(修道院の写本工房から始まった)が広がり始める。

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中世は「音声が唯一のマスメディア」の時代であった。

信者たちは教会の司祭や広場の修道士の説教を通して、音声を媒介として聖書に接していた。

活字本と黙読の出現により、「紙の言葉」は聴くだけのものではなく、書かれたものとなった。

黙読は密やかなる観想を通じて、神との個人的な交わりを生む。

文学もまた変身し、広場から室内に、共同体から個人の内心へと侵入していく

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現代は、紙媒体からネットへの流れが急速で、そこばかりに目が行きますが、古くは、文字、紙ができる以前、あるいは発明されても、普及する以前は、音声によるコミュニケーションが主体で、記録も語り部など、音声により、伝え継がれていました。

現代ですら、読み書きができない、文盲の人は少なくありません。

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上記のように、文字、紙の媒体、写本により、テキストが普及していきますが、これが爆発的に広がるきっかけとなったのが、1400年代中頃のグーテンベルグの活版印刷技術の発明でしょうか。

テキスト文書の大量印刷により、一部の特権階級しか所持できなかったテキスト文書を大衆が所持できるようになりました。

期待学研究会「経営デザインと期待」


グーテンベルグの活版印刷、やがて宗教改革、産業革命につながった。


その後、ラジオ、テレビなどのマスメディアが登場します。

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地域社会から世界へ:20世紀のメディアとコミュニティー


1920年代にラジオが登場した時、そのメディアが新しいコミュニケーションを巻き起こした。

毎日、同じ時刻に流される全国ニュースは、それまで小さな地域社会に生きていた人々を瞬時に国家や世界の出来事に結びつけ、日本人という国民としての意識や世論を醸し出す媒体となった。

地域の祭りや労働と結びついて伝統的に継承されてきた民謡とは違い、全国各地の若者が同じ流行歌を口ずさみ、レコードを買う、という現象が同時多発的に生じ、親の世代を大いにまどわせた。



山本コウタローさん、体験的戦後史


●テレビの絶大な威力、中産階級が欧米世界の生活を知る

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室町、安土桃山時代に南蛮船が日本に来るようになってから、西欧の進んだ文明が伝わりました。ただ、それを知ることができたのは、一握りの上流階級に限られました。

その状況は明治に開国し、文明開化と呼ばれた時代になってもそれほど変わりませんでした。

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ところが1953年にテレビ放送が始まり、当初日本の放送局は独自に番組を作ることができなかったので、ポパイ、奥様は魔女、など、主にアメリカの番組を放送しました。

その結果、上流階級だけでなく、中産階級も、華やかで、楽し気なアメリカの生活を見るようになり、大いに憧れることになりました。


など、全国に一斉報道など、即時性、普及性は大きなインパクトがありました。


メディアの進化、変遷「社会を変えるメディアを創造する」


ラジオは音声によるものです。

録音装置が豊富な現代ですら、音声は、原則として、その場で消えていきます。

残るのは、文字です。

それゆえ、この時代は、ラジオと新聞が、うまく補完する形で共存していました。

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ラジオの音声と、新聞の文字、はお互いに補完する形で共生していました。

テレビ放送が始まると、ラジオの衰退は起こりましたが、衰退が予想された新聞は、予想に反して伸びていきました。

テレビの映像と音声は、録画・録音して後で見る人は多いですが、情報は原則としてその場で消えます。

文字で残る新聞とは共存の関係でした。


通信、放送共にガラッと変わったのはネットが普及してからでしょうか?

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セックスに関するタブーがあるから、芸術、文学になる、というパラドクス


テレビによるマスメディアの時代から、インターネットの時代になって、

テレビをにぎわせていた、巨乳露出系アイドルが廃れ、インターネットには、おびただしい数のアダルトビデオが無料で流れています

セクシャリティーあるいはエロスは、家族、友達など他の人とテレビで鑑賞するものではなく、個人専用のインターネットで、鑑賞するのが適していることの表れ、と考えます。

時代、社会、技術の進歩にもよるのですが、単純に、「セックスに関するタブーがなくなって、オープンに」という訳でもなさそうです。

ネット以前は通信に手紙、電話が使われ、即時性から電話が主流でした。

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情報・電力・金融をデジタル技術で融合した電力ネットワークイノベーション


電話の時代には、送信者がかけた時に、受信者が受け取ることが原則で、双方の都合により、うまくいかないことが多かったものです。

ところが、インターネットと情報のメモリーによる蓄積により、メールで双方が都合の良い時間帯に、情報がやり取りできるようになりました。

最近では、通信には電話よりもメール、LINEなどのSNSが使われ、音声よりも文章による通信が主体になってます。

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まとめると、通信を含めた情報の受信、発信は、個人がプライバシーを保ちつつ、行われ、受信、発信される情報は、文章が主体で写真などを伴います。

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すると、受信、発信される内容だけでなく、情報を受信、発信する関係であること、受信、発信すること自体が、
リアルで会った時に、挨拶する、ハイタッチする、ハグする、意味を持つようになってます。

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このように文章を読む、書くことの重要性が高まっている状況では、文学の役割は、文学作品を鑑賞する、文学作品により、主人公の人生を疑似体験する、だけではなさそうな感がします。

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まとまりがなく、発散気味ですが、語り、紙、マスメディア、ネット、通信媒体の変化に伴う文芸、コミュニケーションの変化を考えると面白そうです。




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