2019年04月25日

旅行相談が有料化?JTBの試みのねらいは

というニュース、ツイートが話題になっています。

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「TAK」さんは、

南イタリア、バーリ、ピサ、フィレンツェ、ローマに行ってきました(文化・慣習編)

のように毎年海外旅行に行くのですが、ここ10年以上、JTB、HISなどの旅行代理店は使っていません。

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ネットの時代になり、航空券、海外ホテルの予約は、旅行代理店を通さなくても、個人で可能であり、

海外の現地情報もネットにより検索可能で、Google earth, Google streetを見れば、どんな感じか、見ることもできます。

逆に旅行代理店のパッケージツアーだと、

行きたい場所だけでなく、それほど行きたくない場所も混在している、

スケジュールにフレキシビリティーがなく、雨の日に、傘をさして、レインコートを着て、アルプス登山、晴れた日にバスで市内観光

同じツアーに、困った人がいる、添乗員の対応がよくない、と、せっかくの旅行が台無し


という理由で、ネットに移行し、旅行代理店は、やがて消滅、と考えていたのですが、

今回の有料化は、むしろ不採算な客の削減、と取れます。

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旅行代理店を通さず、自らネットで対応する人は、

外国語(特に英語)でのコミュニケーションに問題がなく、添乗員が付き添う必要がない

自ら外国語のサイトを検索することができる

既に海外旅行の経験が十分にあり、不安がない

ことが前提です。これらの条件を満たさない人は、旅行代理店に頼らざるを得ません。

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一方で、上記の海外旅行をすることが前提の、有料見込み客がネットに移行したため、

旅行代理店の客は、あまり経験がない、相談に乗っても、予約するのか、不明な、採算がよくない客になり、

長時間窓口で粘った末に、申し込まない、ことを防ぐための、有料化と考えられます。

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ネットに移行した人が不満なのが、旅行代理店職員の知識の薄さ、乏しさでしょうか。

行先がハワイ、グアムなどに限定されていた時代と違い、行先が世界中に広がりました。

旅行代理店職員は、多くの場合、その目的地に行ったことはなく、ネットで情報を調べることになります。

すると、既に十分な検索をしている客の方が、現地情報、空港乗り継ぎなど、情報が豊富で、「あなたに聞いても仕方がない」ということになります。


こんな状態なので、優良な客はネットに移行し、それ以外の客だけが残る、ジレンマが続きそうです。

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以前書いたものを以下に再掲します。

旅行産業に見るネット社会への対応状況

情報の非対称性がなくなった時代




ある旅行会社の役員の方から、大変興味深いお話を伺いました

以前の旅行会社は、顧客に対する情報、交渉力の非対称性、それに対する対価がビジネスモデルでした。

例えば、日本に住んでいて、ロンドンからローマの航空券を予約する、パリのホテルを予約する、というのはほとんど不可能でした。

それゆえ、顧客は、ダメと言われればそれに従うしかない、圧倒的に弱い立場でした。

また、店頭販売では、高額な海外旅行商品を前に迷っている顧客の「背中を押す」のに長けているカリスマ販売員もいました。

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今は、ネット上で、一般の人が、ロンドンからローマの航空券の予約、パリのホテルの予約、を自宅のパソコンでできます。

情報、交渉力の非対称性は全くなくなりました。

また、背中を押す機能も、日本人の旅行先が、ハワイ、ニューヨーク、パリなどに限定されていた時は、確かに、旅行会社の方が顧客よりも情報が優れていました。

しかし、旅行先が、アフリカ、南米などに多様化し、顧客自身がネットで情報を検索できるようになると、必ずしも旅行会社の方が顧客よりも、情報が優れている、とはいえない状態になりつつあります。

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「TAK」さんはは毎年1回必ず海外旅行をします。

10年前は旅行会社のパッケージツアー、5年前までは旅行会社で自分用にカスタマイズしたツアーを作成していました。

しかし、それ以降は、インターネットを利用しています。

航空会社はともかく、各ホテルに直接アクセスし申し込むことはありません。

何らかのホテルを集めたサイトで申し込みを行います。そのサイトとは、必ずしも旅行会社のサイトとは限りません。

ある程度の質、量のホテルを掲載しており、適切な価格であり、信頼できるサイトであれば、よい訳です。

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「情報、交渉力の非対称性」がなくなり、「背中を押す機能」もなくなりつつある、旅行会社が今後どのようなビジネスモデルを展開していくのか?見守ることとします


と書いたのが5年前です。

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旅行の申し込み、売り上げが、旅行代理店支店での営業から、ネット上へ移行する中、

JTB、HISなどの大手旅行代理店も、支店を削減し、ウェブ上での営業を進めています。

ただし、大手旅行代理店は上記の「情報、交渉力の非対称性」を強みに営業してきました。

JTBならば、旅館の客室の大量確保、HISならば、海外航空チケットの格安確保、など

しかし、上記のように、これら「情報、交渉力の非対称性」は、ネット時代にはもはや消失し、かつての強みは意味を持たなくなりました。

大手旅行代理店は強みを活かしてウェブを運営しているのではなく、かつての得意な場が失われつつあるために、

仕方なく、得意でない場で活動せざるを得ない、と言う感じでしょうか。

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旅行サービスとは、基本的には、航空券、ホテル、現地ツアーなどを組み合わせる、

アラカルト型のもので、これはネットと相性がよさそうです。

上記のように、航空会社はともかく、各ホテルに直接アクセスし申し込むことはありません。

何らかのホテルを集めたプラットフォームサイトで申し込みを行います。

そのサイトとは、必ずしも旅行会社のサイトとは限りません。

ある程度の質、量のホテルを掲載しており、適切な価格であり、信頼できるサイトであれば、よい訳です。

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ただ、さらに状況が複雑になってきました。

格安航空会社の参入により、飛行機のフライトが変更、キャンセルになることが珍しくなくなりました

それに合わせて、ホテル、現地ツアーも変更しなければなりません

つまり、顧客に売ってしまえば、それで終わり、ではなく、売った商品が変更、キャンセルになることが頻繁になりました

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ユーザー視点でモノ・サービスを再構築するユーザー・イノベーションとは




製品をユーザーに売った後は、アフターサービスは手がかかるので、やりたくない


と書いたように、これは企業は得意ではありません。やりたくないことです。

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「飛行機のフライトが変更、キャンセル」は仕方がないことです。顧客側にその認識が十分にない場合もあるかもしれません。

ただ、変更、キャンセルの顧客への影響が最小限になるような努力を行う旅行サイトと、そうでないサイトがあります。

上記のように、大手旅行代理店は利用客に「変更は仕方がない。自分たちのせいではない。」と言えば、利用客は当初は不平を言っていても、

最終的には従わざるを得ない、という対応をする場合が多い感じがします。

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大手旅行代理店サイトからの連絡の例を挙げると、

・弊社からお客様へは、航空会社からの連絡事項をそのままご案内することとなります。ご理解し難い点もあるかと存じますが、何卒、ご理解賜りますようお願い申し上げます。

・お詫びの言葉もなく深く反省しております。今後はご指摘を真摯に受け止め、二度と同様のご指摘を頂戴することの無い様、業務に猛進する所存でございますので何卒ご容赦賜りますようお願い申し上げます。

つまり、「不満なことはわかるけれど、どうしようもないし、何もしないよ」と言っています。

さらには、「営業時間:月〜金 10:00〜18:00(土・日・祝日・年末年始休業)」と書いてあったりします。

「飛行機のフライトが変更、キャンセル」は、多くの場合、旅行の直前にあります。営業は月曜から金曜、などと言っていられては困ります。

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国内の大手旅行代理店が、情報、交渉力が非対称であった、支店営業時代のメンタリティーから抜けきれないのでは、

海外旅行サイトに、どんどん顧客が移行していくのではないか、自身の経験から、その感を強めている「TAK」さんです。










「TAK」さんstakeid at 17:41│コメント(0)このエントリーをはてなブックマークに追加

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