陽ノ下
2006年12月14日
軽挙妄動その後
前回のあらすじ!!
Bucchiiコーチにお子さん誕生の報を受けた私達スプリングサンズ選手達は早朝ながら横浜私立病院へお祝いを言いに行くべく(決して騒ぎに行くんじゃないからね!)、タクシー飛ばして一路病院へ。
しかし、普通は病院の面会時間なんてどう考えても昼から。
さて、いきなり行き詰った私達のあしたはどっちだ!?
「おーい、みんなー、どこ行ったんだー!?」
…一人早乙女君は忘れられてたり。
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2006年12月01日
てなわけでB代表召集なのさ
「カシラカシラ、ご存知かしら?SCMの中の方は二時間かけてテキストを熟考なさってるとか」
「大したものねえ。…いっつも15分とかその辺でほとんど推敲もしないでテキトーにやってる某SSS中の人には見習って欲しいわねえ」
「それでなのね!とりあえず書き出してだらだら進めるから、全然キレイに落ちてないのは!」
「ああー、それそれ!あたくしも気になってたのよー。何でこんな尻切れトンボなオチが多いのかしらって」
「しかもSSS中の人ったら『こちとらナイジェリア代表とB代表の絡みを進めてくだけだから気楽なもんだぜへへーん』とかホザいてたらしいわよ!!」
「んまあ!自らストーリーを先導しようという気概の欠片もないなんて!」
「最低ねー」
「最っ低よねー」
……。
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2006年02月28日
練習中の1コマ
やっ、陽ノ下だよ。
オフ明けてあと2週間で開幕。ああ、もうシーズン近いなって時期になったね。
桜花杯といえばホーム&アウェーのトーナメント形式。これって初めての形式だから微妙に不安だなあ。
でも勝ち点の計算とか戦術とか、難しいことは監督や華澄さんに任せておけばまあ、何とかなるのかな。
去年も何だかんだ言いながらプレーオフまで進みはしたもんね。
今度こそは2位より上!
やっぱ目指すのはこの1点。
今年は助っ人も積極的に獲ってるし…あ、そうだ。
佐野倉さんがいるんだ!
あの某陸上雑誌の表紙を飾った、陸上界のホープが!
やっぱり陸上やってた私としては、とても気になる。
練習中もちらちら見てたけど、フォームが綺麗。も、ほんとに早そう!って感じの脚の出方。ピッチを細かく刻むんじゃなくて、身長から来る足の長さを生かしたストライド。
一流選手のフォームを間近で見られることってそうないので(清川さんも凄いけど、専門は水泳だもんね…)、思わず佐野倉さんに話しかけた。
「佐野倉さん、競争しよ」
「…え?」
佐野倉さんより、横の清水さんが敏感に反応する。
「何呆けてんの恵壬。光ちゃんはアンタと勝負がしたいんだよ」
「しょ、勝負!?」
そこまで大げさなことじゃないんだけど。
でも、高校時代惜しいところでインターハイに届かなかった私は、まだ走ることに未練があるのかも知れないな。
「なんだ、勝負か?」
清川さんがにこにこしながらやってくる。やっぱり体育会系ってこういうこと好きだよね。佐野倉さんはぶんぶんと首を横に振るんだけど、清水さんがヘッドロックして逃がさない。
「なーに言ってんの恵壬。陸上界のホープだったアンタなら楽勝じゃないの?」
「でも、足元が…」
「あっちに陸上用トラックあるって」
清水さんはすかさず退路を断つ。佐野倉さんは親友が自分を助けてはくれないと察したか監督に目を向ける。
「練習をした方がいいですよね」
「面白そうだからやれ」
ウチの監督って人の嫌がることは率先する人だなあ。でも今回はそれに感謝。
距離は100メートル、スターターは清川さん。
「位置について」
緊張した空気が走る。キックオフ直前みたい。
「…用意、」
ぱん、と清川さんが手を打って二人、体を前に弾き出す。
顔の前を物凄い勢いで風が流れていく。
ゴールラインまでほぼ同時に並走していたけどゴールライン寸前。
私は思いっ切り踏み切って体を前に投げ出し、転がりながらゴールイン!
頭一つかそれくらいだけど、勝った!
「どうだった!?」
いちおう確認。ゴールライン横で見ていた清水さんはしぶしぶって感じで
「…ひかりんの勝ち」
よしっ、とガッツポーズを取る私の肩を誰かが叩く。
佐野倉さんだ。
「まずは陽ノ下さんの一勝だね」
「え?」
「次は長距離行こうか。1万メートルくらいでいいよね」
「え、あの、練習…」
「監督、いいですよね」
それまで薄笑いしてた監督だけど表情が凍ってた。がくがくと頷くのが見えて、私は佐野倉さんに引っ張られ、二人でピッチの外周をひたすら走ってた…。
今日の練習、私と佐野倉さんは走り込みの別メニューになっちゃったとさ。
おしまい。
明日は琴子、お願いね!