どうやら処方されていたライゾデグ(持効型インスリン + 超即効型インスリンの合剤)を不適切に使用していたことが原因のようです。
前回、遷延性低血糖にトリフリードが有用かどうかは、①果糖がエネルギー源として速やかに利用できるかどうか、②血中に入った果糖(フルクトース)に血糖値を上げる力があるかどうかが、論点となりそうです。
①フルクトースは肝臓で、ジヒドロキシアセトンリン酸と、グリセルアルデヒド-3-リン酸に代謝され、解糖系に入るようです。(シンプル生化学 改訂第6版)
従って、基本的にフルクトースは、グルコースに変換されないまま、解糖系に入るようです。
②当院で使用している血糖測定器は、グルコースオキシターゼという酵素を用いて、グルコースから過酸化酸素を作り出し、その値を測定することで、血糖を測る仕組みのようです。フルクトースはこの酵素の基質にはならないため、血糖測定器では測定されません。
従って、フルクトースは、通常の血糖測定器では測定できないが、解糖系を介してエネルギー源として使用される、ということです。どうやらフルクトースも有用なようですが、遷延性低血糖のように頻回なモニターが必要な状態で、わざわざ測定しがたいものを用いる必要はない、ということになるでしょう。
持続静注をせざるを得ない状況であれば、5%ブドウ糖液に、50%糖液を混注し、15%ブドウ糖液を作成し、ビタメジンを加えた上で持続静注するか、電解質に配慮するならば、3号液に10%分の糖を混注し、持続静注するのが良いと思われます。