2008年11月05日
侵略戦争美化を許さない 市民70人が防衛省前で抗議
●田母神論文に抗議し、防衛省前に集まった人々。
航空自衛隊のトップである田母神俊雄・航空幕僚長が、民間企業の懸賞論文に「我が国が侵略国家というのは濡れ衣」とする文書を執筆し応募していたことが、10月31日に明らかになりました。
この問題に対して、東京新宿区の防衛省前で11月4日夕方、市民団体による抗議行動が行われました。行動を呼びかけたのは、「憲法を生かす会」・「平和をつくり出す宗教者ネット」・「許すな!憲法改悪・市民連絡会」の3団体です。緊急の呼びかけにも関わらず、70人の市民がかけつけました。
抗議行動の冒頭で「許すな!憲法改悪・市民連絡会」の高田健さんは、「現職の航空幕僚長が日本国憲法について基本的な理解を欠いている。重大問題だ。任命した防衛省の責任が問われる」と発言しました。
「日本消費者連盟」の富山洋子さんは、「私たちは主権者として、怒りを持ちこの場に立っている。自衛隊は暴力組織。歴史を歪めることも暴力。あらゆる暴力行為を許してはならない。憲法違反の発言を決して許すことができない」と訴えました。
弁護士の内田雅敏さんは、「田母神空幕長は北京や盧溝橋で、同じ発言をできるのか。国内でしか発言できないナルシストの歴史認識。非常に恥ずかしい」と指摘しました。
「自衛隊イラク派兵差止訴訟の会」の池住義憲さんは、「田母神航空幕僚長は、名古屋高裁での自衛隊派兵違憲判決に対して、隊員の気持ちを代弁すれば、そんなの関係ない、とお笑いタレントのフレーズを擬して愚弄した。その6ヶ月後の今回の発言は、法治国家をひっくり返す」と批判しました。
国富健治さんは、「こうした歴史認識のままに、自衛隊が海外に出ていくことが、どれほど危険なことか」と指摘しました。
その後、抗議行動に参加した5団体から、防衛省の担当者に対して抗議文を手渡しました。最後に、防衛省に向かってシュプレヒコールを行い、この日の行動を終了しました。
●防衛省の職員に、抗議文を読み上げ手渡しました。
■□■□発言要旨■□■□
●高田健さん(許すな!憲法改悪・市民連絡会)
今回の田母神前航空幕僚長の問題では、彼が現職の航空幕僚長でありながら、日本国憲法について基本的な理解を欠いていることが明らかになりました。大変重大な問題です。
麻生内閣と防衛省は、田母神空幕長を更迭し、退職させました。そのことで、この問題をあいまいに決着させようとしています。しかし彼は、6000万円の退職金をもらい、反省することなく発言を続けようとしています。自衛隊という、日本が保有する実力組織の最高幹部であるにもかかわらず、日本国憲法を順守する姿勢が全くないのです。
その田母神・航空幕僚長を、トカゲのしっぽ切りのように更迭すれば済む問題ではなく、麻生内閣は、その歴史認識に対してどう考えているのかを明確にするべきだと、私たちは考えます。
田母神・航空幕僚長が、そういう人物であると知っていながら、自衛隊の幹部に据えてきた、防衛省の責任問わなければなりません。更迭・退職で、この問題を容認するわけにはいきません。これから防衛省の担当者に、抗議文を渡します。
●富山洋子さん(日本消費者連盟)
みなさん。こんばんは。
私は主権者として、怒りをもって、この場所に立っています。主権者として、麻生総理大臣と浜田防衛大臣が、責任を取って直ちに辞任することを求めます。田母神・航空幕僚長に、6000万円もの退職金を渡すのですか?
私たちは昨日、11月3日の憲法集会で、憲法が制定されたときの喜びや、先人たちのながい長い努力の成果を確認し、世界の人々と共に安心して暮らせる社会を作ることを誓い合いました。そして今日は、全国消費者大会を開きました。その平和分科会では、憲法前文や9条を、いろいろな土地の方言で読みました。
悪いことをしたら謝る。これは当たり前のことではないですか? アジア2000万人の人々を殺して、日本でも徴兵された人々が戦地で殺され、また広島・長崎への原爆投下や各地の空襲などで、多くの人々が亡くなりました。なぜそうした人殺しを、覆い隠そうとするのでしょうか。
自衛隊は暴力的な組織です。歴史を歪めることも、暴力です。あらゆる暴力行為を許してはなりません。私は自衛隊の解体を望む者です。その私は、憲法違反の発言を決して許すことができません。私たちは主権者として、大地を踏みしめて、ここに立っています。私たちは、これからも怒りを持続させていくことを、確認しあいたいとおもいます。
●内田雅敏さん(弁護士)
今日は大学で憲法の講義がありました。学生たちに、これから防衛省の前に抗議に行くと言ってきました。裁判所でもそうですが、自衛隊・防衛大学で、日本の近現代史をどのように教えているのか。その事が問われていると思います。裁判所では、手続きを無視した様々な判決がでています。司法修習の中では、憲法に関する授業、近現代史に関する授業は、まったく行われていません。防衛大学も同じではないでしょうか。私たちは、防衛大学で、あるいは自衛隊で、どういうことを教えているのかを、問いただしていかなければいけないと思います。
私は昨日、中国の天津にいました。田母神・航空幕僚長はあの発言を、北京や盧溝橋で、あるいはマニラやシンガポールでもできるのでしょうか。国内でしか発言できないナルシストの歴史認識です。非常に恥ずかしいことです。
しかしあの発言は、決して特異なものではありません。靖国神社に行けば、あの発言とまったく同じ展示物があります。その靖国神社に麻生総理をはじめとした日本の国会議員が参拝している。そこに一番の問題があると思います。この問題は根が深い。近現代史を学び、この問題を深く追いかけ追及しましょう。
●池住義憲さん(自衛隊イラク派兵差止訴訟の会)
私は今日、名古屋から来ました。自衛隊イラク派遣差し止め訴訟の会の代表をしている池住です。
今年の4月17日に名古屋高裁は、航空自衛隊がイラクで実施している航空輸送活動は憲法9条に違反するという判決を下しました。これに対して、田母神・航空幕僚長は、「隊員の気持ちを代弁すれば、そんなの関係ない」と、お笑いタレントのフレーズを擬して、判決を愚弄しました。私は田母神発言に対して、防衛庁に来て抗議しました。それから6か月がたち、田母神さんは、集団的自衛権の行使を容認し、大量破壊兵器を要求し、侵略戦争を否定する、とんでもない発言をしました。
すべての公務員は、憲法を順守する義務を負っています。総理大臣以下すべて、憲法を順守しなければならないのです。航空自衛隊のトップである田母神・航空幕僚長は、法治国家をひっくり返す発言をしたのです。私は主権者として、怒りをもって、名古屋の仲間を代表して、皆さんと一緒に抗議するためにやってきました。
日本は法治国家です。田母神・航空幕僚長が更迭されただけでは済みません。任命した日本政府の責任を、しっかりと追及しましょう。
●国富健治さん
田母神論文を読んでみました。論ずるに値しないほど、幼稚な論文です。中身は、自分は悪いことをしていない、でもみんなが自分を悪いという、私は被害者だ、という幼児的な感覚のものです。しかしそれが、航空幕僚長という航空自衛隊の最高責任者の名前で書かれているのです。懸賞論文には、他にも自衛隊から、50人もの応募があったと報道されています。向こうにいる人たち(日の丸を掲げ奇声をあげている集団)が、「田母神に続く自衛官はいないのか」と叫んでいますが、少しはいるのです。しかも、かなりのトップにいる。そのことに対して私たちは、注意しなければならないと思います。
また田母神論文は幼稚なものですが、いまの自衛隊は海外活動を本務として、しきりに海外に出て行こうとしています。こうした歴史認識のままに、自衛隊が海外に出ていくことが、どれほど危険なことか。そうしたことを、考えてみる必要があります。
麻生総理は田母神・航空幕僚長を辞めさせましたが、麻生内閣には中山国土交通大臣など、田母神・航空幕僚長と同じ意見を持っている人がいます。麻生首相本人も、所信表明演説で、「かしこくも御名御璽をいただき」と、どこの国の憲法に生きているのか疑問を持つような、帝国憲法そのものの憲法観で政治をしているのです。
私たちはこうしたあり方を、根本的に変えていく、市民の力で憲法9条をまもり、自衛隊の海外派兵をやめさせていく。そうした運動を作らなければならないと思います。
防衛省の正門をはさんで反対側には、日の丸を掲げた人々が集まり、「自衛官は田母神に続いて決起を」と訴えていました。
この方々は、時々私たちの方を向いて、「お前たちの首を刎ねて、靖国の英霊に捧げてやるぞ!!」と叫んでいました。
この方々の解釈では、靖国神社に合祀されている戦没者は、血に飢えているということなのでしょうか。それこそ「英霊を冒とく」する発言だと思うのですが・・・。

