個人的に現在最も待ち遠しい作品がBruce Springsteenの新譜Devils & Dustなのですが....
DevilsNDust

この新作について、オフィシャルサイトには以下のように書いてあります;
Bruce Springsteen's new album, Devils & Dust (Columbia Records) will be released exclusively in DualDisc format on April 26 in the US, with the full album on CD on one side of the disc and DVD content on the other side.
あと3週間で聴ける!!という楽しみがある反面、困ったなぁ…という思いがあるのも事実。
その理由が、この作品は"exclusively in DualDisc format"…要するに、デュアルディスクでしか発売されないということなんですね。
(因みに日本盤はCD+DVDと2枚組で発売されるようです→こちら

DualDiscとは、片面にSACD、もう片面にDVDを貼り合わせた両面ディスクのことで、1枚でSACDでは普通にCDが楽しめるだけでなく、DVDでは5.1chのサラウンド音声が楽しめたり(Devils & Dustもそうなっているみたいですが)、ビデオやインタビュー等の特典も収録できる(Devils & Dustも5曲ライブテイクが入っているみたいですが)という代物です。
まあ、普通に考えれば「1枚で2度美味しい」(笑)企画ですし、ここ数年出ているCDとDVDがセットで入っているものが1枚で収まるというだけですが、調べていけば何かと問題も多いわけでして(^^;;。


 事のはじめは、当Blogでも何かとお世話になっているBlog「What's my scene?」のエントリー「DualDiscはアメリカで調子良いみたい」に、アメリカでのDual Discの現状が色々と書かれていたことなのですが....
詳しくは原文をご覧頂くとして、ここでは要約部分を引用すると;
単純に心配されるのは、日本に入ってくる輸入盤もDualDiscが増えそうな点。元々の卸値が高いようだから、店頭価格も比例して高くなるだろうし、DVD面がリージョンコードでプロテクトされていれば、一般的な国産家電メーカー製DVDプレイヤーじゃ見られないことになる。おまけに、DualDiscは接着剤で2枚のディスクを張りあわせているという構造上の問題から、長期間保存した場合、普通のCDよりも劣化するのが早いかもしれない。音だけを欲しいオレみたいな人にとっては、かなり美味しくない。
このトピックスを箇条書き的に挙げて一つずつ問題を挙げてみましょう。


1)値段が高い
上述の「What's my scene?」のエントリーではこのようにも書いてあります;
DualDiscの売値は、標準仕様CDに比べて1〜2ドル高めの設定というのが一般的な様子。これも、今後は普通のCDと同じレベルにして普及を目指すみたいな動きがあるようだ。
まあ、特典がつくとお値段が高くなるのは致し方のないところですし(ファン心理としては、特典が付くとついつい買ってしまいますもんね)、「標準仕様CDに比べて1〜2ドル高め」位の値段設定ならまあいいかな、とも思ってしまいますが....
しかし、今回のBruce Springsteenの新譜のように「DualDisc」のみ発売という形になると、実質高い値段で買わざるを得ない形になってしまうんですよね。
そして更に困るのが、日本で「DualDisc」を輸入盤で買うとなると、値段が異様に高くなってしまうことがあります。
実例として、上述のエントリーで新譜の販売状況の例として出された、OmarionのOと、Jennifer LopezのRebirthを取り上げてみると....
(比較材料として、4月3日現在のAmazon.co.jpAmazon.comとの購入価格を挙げてみました)
O〜Omarion
Amazon.co.jpにて 通常版 \1,550(税込) DualDisc \2,349(税込)
 Amazon.comにて  通常版 $13.99    DualDisc $18.98 

Rebirth〜Jennifer Lopez
 Amazon.co.jpにて 通常版 \1,550(税込) DualDisc \2,349(税込)
 Amazon.comにて  通常版 $13.49    DualDisc $13.99
他にAmazon.co.jpでDualDiscを取り扱っている例が分からないので、この2つのみで比較するのは資料不足ですし、恣意的だと言われるかもしれませんが....(^^;;
Omarionでも元は5$ほどしか値が上がっていないのに、日本では800円弱も値が上がっていますし、Jennifer Lopezに至っては元は50セントしか値が上がっていないのに、日本では日本では800円弱も値が上がっている計算になりますが....
まあ、Amazonでもアメリカと日本では仕入れ先等が違うから等々という問題もあるでしょうが、でも納得はいかないですよね。  

また、値段が高くてもお店などで手に入ればまだ救いようもありますが、実はDualDiscにするとお店などに入らない(要するに買うに買えない)こともしばしばあるようです。
現に、本題のDevils & Dustは4月3日現在Amazon.co,jpにて輸入盤の予約取り扱いがありませんし、店主の知っている限りでは、昨年Nine Inch NailsがThe Downward Spiral発売10周年を記念して発売したDualDisc盤(DVDにはプロモビデオなどが収録されているらしい)も発売当初から未だにAmazon.co,jpにて輸入盤の予約取り扱いがない状態だったりします。
(以下比較材料として、4月3日現在のAmazon.co.jpAmazon.comとの購入状況及び価格を挙げてみました)
Devils & Dust〜Bruce Springsteen
Amazon.comにて  DualDisc $13.49
Amazon.co.jpにて (4月3日現在輸入盤取り扱い無し)

The Downward Spiral〜Nine Inch Nails
 Amazon.comにて  通常版 $13.99    DualDisc $13.99
 (※注:未発表曲も追加されたThe Downward Spiral [Deluxe Edition]…通常版のみ…は$26.99)
Amazon.co.jpにて 通常版 \1730(税込) DualDisc (4月3日現在取り扱い無し)
 (※注:未発表曲も追加されたThe Downward Spiral [Deluxe Edition]…通常版のみ…は税込\3711)
更に、Tower RecordsやHMVで商品検索をしても、Devils & DustはHMVではアメリカ盤の予約受付をしているが(\1,699と通常の価格扱いなのがえらい!!)、Towerではアメリカ盤の予約受付がない、The Downward Spiralに至ってはTower、HMVとも取り扱いがないという状態だったりします。
まあ、両者とも今後状況が変わるかもしれませんが、少なくとも天下のBruce Springsteenの新譜がTowerで予約できないというのはどうかと思うのですがねぇ....(^^;;

#因みに、DualDiscでなく、通常のCD+DVD2枚組のパターンでも輸入盤だと高いとか手に入らないとかいうこともあるようですが....
 先日もBlog「いかんともしがたい」のエントリー「アメリカで発売中のアルバムが日本に入ってきていない現状について。」という中で、Queens Of The Stone Ageの新譜Lullabies To Paralyzeのデラックスエディション(アメリカ盤)がお店で手に入らないという例もあるようです。
(因みに店主はAmazon.co.jpで予約購入して、通常通りアメリカ盤発売日(3月22日)の翌日に自宅へ届きましたし、また2日にTower梅田店へ行くとデラックスエディション(アメリカ盤)も店頭に並んでいましたが....ただ、同じ商品がAmazon.co.jpでは¥2,769なのに、Towerでは\3,259と結構価格差はありましたが(^^;。)
また、去年出たNeil YoungのGreatest Hits(DVD付き)にしても、Amazon.co.jpは\2,844、HMVでは\3,199と多少の価格差はあれど手に入るのに、Towerでは通常盤(DVDなし)しか該当しないという例(いずれも4月3日現在)もありますし、過去の例では、MetallicaのSt.Anger(2003年作)がTowerでは「輸入盤は入荷しません」という張り紙をお店に貼って取り扱いの無い旨知らせていましたし(現在もTowerでは該当無し。HMVでは手に入るのですが....)、Rage Against The Machineのライブ盤Live At The Grand Olympic Auditorium(2003年作)もTowerでは同じような扱いをしてましたが(現在はTowerではDVD抜き盤のみ入手可能。HMVではイギリス盤で手に入るのですが....)、特にTowerでは経験上、DVD付きの物は慎重になることが多いようです。


2)国産DVDプレイヤーではDVDが見られない
 ご承知の通り、DVDにはリージョンコードというのがあり、日本とアメリカではコードが違うので(日本は2、アメリカは1)、一般的な国産のDVDプレイヤーでは輸入物のDVDが見られないこともあり得ます。
(まあ、秋葉原や日本橋とかに行けば、どのコードでも見られるDVDプレイヤーも色々あるんですけどね)
CDとセットになっているDVDの場合は、基本的にリージョンフリー(コードがかかっておらずどの国でも見られる)になっていることが多いので、通常は問題ないのですが、まれにコード1になっている物もあり(Neil YoungのGreendaleのDVD部分がそうで、未だに宝の持ち腐れ状態なのですが:涙)、そうなるとせっかくDualDiscで買ってもDVDの部分は何の意味もない羽目になります(TT)。
実際に、前述のJennifer LopezのRebirthにしても、Amazon.co.jpのカスタマーズレビューでは、DVD部分はリージョンコード1になっているとのことですし、
OmarionのOもBlogHello Worldエントリーによれば、これまたDVD部分はリージョンコード1になっているとのことですので、果たしてBruce Springsteenの新譜はどうなるのか…非常に気になります(^^;;。
(現時点では、Bruce Springsteenの最も有名なファンサイトBackstreetsにも、アメリカ及びヨーロッパ盤でDualDiscで発売とだけしか載ってませんが....)


3)DualDiscの寿命は??
 DualDiscとは直接関係しないのですが、Wired News 日本版の中で「DVDの寿命は何年? 米政府が表示義務付けを検討」という記事が載っており、「光ディスクは本来、丈夫だが、メーカーによって品質にばらつきが見られるという」ことから、その品質性、寿命性にも問題があると言えるかもしれません。
ましてや、上述の「What's my scene?」のエントリーのように「接着剤で2枚のディスクを張りあわせているという構造上の問題から、長期間保存した場合、普通のCDよりも劣化するのが早いかもしれない」という危惧が出るかもしれませんが....
CDの劣化というのもよく言われる話ですが、そうなるとDualDiscはどうなるのかという点は今後もっと論議されても良いことかと思います。


4)DualDiscは再生保証のない欠陥品??
 今回DualDiscを色々と調べていて、非常に気になったのがこの点なのですが....
 先程取り上げたBlog「いかんともしがたい」でも、別途「アメリカで DualDisc が好調なんだって」というエントリーで当問題を扱っていまして(併せてアメリカでのCD販売状況も書いてあり、非常に参考になります)、その中にこのような記述があります;
DualDisc の問題点の一つとして、CD と DVD を張り合わせたものだから厚みがあって、スロットローディングのプレイヤーでは不具合が出る可能性があるというのがある。
スロットローディングというのは「CD-ROMなどのメディアを裸のまま挿入口に差し込むだけで、自動的に中に引き込んでくれる機能」(@niftyデジタル用語辞典より引用)で、一般的にはカーステレオのCDプレイヤーを想像していただければ良いと思います。
(最近ではMacでもこの機能を取り入れているみたいですが)
実際にDualDiscを手に取ったことがないので、どう分厚いのかが実感できませんし、カーステレオのCDプレイヤーでもかけたことも無いですが、でもそうなると車では聴けないというのも非常に不都合な話ですよね。
ましてや、車社会だと言われるアメリカだとカーステレオでCDを聴くというのが一般的でしょうから、そうなるとDualDiscでしかCDが出ないBruce Springsteenの新譜が出たとき、どこぞから訴訟が出ないかどうかという点も大いに気がかりでしょうか。

更に気になるのが、先週相次いで出されたこれらの報道発表なのですが....
「DualDiscご使用に関するお知らせ」(←Sonyのサイトより)
「Dual Discに関するお知らせ」(←Pioneerのサイトより)
#また、両問題については、Impress社のサイトAV Watchにて詳しく取り扱われています;
「ソニー、両面ディスク「DualDisc」で利用制限−DVD面に傷をつける可能性。非対応機種を公開」(3月28日発表)
「パイオニア、「Dual Disc」についての注意を呼びかけ−CD面は規格に準拠せず、DVD面に傷を付ける可能性」(3月30日発表)
パイオニアもソニーもCDプレイヤーを多々出している会社ですが、そこの製品で不具合が生じるというのも問題が出てきますよね。
上述の記事を更に見てみると、このようなことも書いてあります;
CD面はコンパクトディスクの規格に準拠していないため、ソニーのオーディオ機器やPC用ドライブでは動作保証をしない。また、DualDiscのDVD面はDVDビデオの場合とDVDオーディオの場合があり、DVDビデオについては再生可能だが、DVDオーディオの場合はソニー製のDVDプレーヤーやPCではサポートしておらず、コンテンツ再生は不可能となっている。
さらにCD面は、コンパクトディスクの規格に準拠しないため、一部のソニー製CDプレーヤーで利用した場合に、DVD面に傷が生じる場合があるとしている。
(ソニーの場合)

コンパクトディスクの規格に準拠していないためCD面を再生できない可能性があるほか、プレーヤーからの取り出し時などに再生面の反対の面に傷を付ける場合もあるという。また、DVD面については、カーナビなどのスロットインタイプのDVD機器やチェンジャーでは、ローディング機構部にディスクがつまり、取り出せなくなる可能性があるとしている。
(パイオニアの場合)
記事を見ている中では、どちらもかなり深刻な症状になるみたいですし、ソニーに至ってはCD面すら動作保証しないという有様ですが....
しかし、洒落にならないのが、前述の「What's my scene?」のエントリーの中で書かれていた「4大メジャーでDualDiscに最も力を入れているのはSony BMG Music Entertainment」…って、そのソフトを作っている大元でハードの動作保証をしないというのは、非常に問題有りと思えてなりませんがねぇ!!(怒)

まあ、よくよく見てみると、Blog「試される。(ココログmix)の中でもこのような記載があったのですが(原文はこちら
CDのロゴをライセンスしている蘭 Philips Electronics の広報担当の説明によると、同社は、レーベル側がCD面の「読み込みエラー」に関する責任を負うと保証しない限り、CDのロゴをハイブリッドディスクに使用することを拒否するという。
まあ、同Blogの別エントリー(こちら)の言葉をそのまま借りるならば「Dual Disc とは DVD とCDとの貼り合わせではなく、あくまでもCDモドキとの貼り合わせなのである」というのが正しいのかもしれません。


また、ソフト面の欠陥性だけでなく、原始的な問題として、CDとDVDと両面になっているのであれば、両者をどう見分けるの??といった問題や、仮にCDプレイヤーでDVDの面を入れて再生してしまった場合、プレイヤーやアンプ、スピーカーなどは大丈夫なの??ということもあります。
一応、DualDiscのFAQにはこのように書かれています;
Q:How Can I Tell Which Side Is Which?
A:Each side is clearly marked for play on a CD or DVD player.

Q:What If I Put A DualDisc In My Player Upside-Down?
A:If you place the DVD side in a CD player, it will not play - just turn it over and re-insert.
まあ、両者の区別は色で分かるようですが、最初の頃は特に急ぎの時とかだと「どっちがどっちだったっけ??」って絶対に迷うと思いますが(爆)。
また、後者の疑問は「再生しません」というのは分かりますが、「プレイヤーやアンプ、スピーカーなどは大丈夫なの??」という質問には答えてくれてませんよね(って、店主が勝手に言っているだけだと思うが:爆)。
今のDVDディスクですら、CDプレイヤーで再生すると機器に影響を及ぼしますという注意書きが書かれている位ですから、DualDiscだとどうなるの??というのは素朴に疑問として思うのですが....どうなんでしょうね??(^^ゞ


 そうこう考えると、肝心のBruce Springsteenの新作も非常に気になって仕方がないのですが....
ここは嫌でも日本盤を買う羽目になるのか(DVDには字幕もついてますしね)、前述のBackstreetsで言われていた初版限定のアナログ2枚組(こちら)を買うのか、それか度胸試し(笑)でDualDiscを買うのか....思案が尽きないところです(^^;;。