2009年09月09日

カンナ7歳

ある日父さんが3匹の子犬をもらってきた。

『イチ、ニノ、サンタっていうんだよ。』
『尻尾の先が黒いのがイチ、少し色が濃いのがニノ、小さいのがサンタだよ。』

生まれたばかりの3匹はよちよち歩いてミルクを飲んだ。
一番小さいサンタはいつも遅れる。
ミルクも少ししか飲めないし、
呼んでも最後に来る。

父さんは
『いいかい、動物の世界は強いものが勝つんだよ。弱いと生き残れないんだ。』
って言う。

カンナが
『カンナ、サンタが一番可愛いな。』
っていうと、
『そうか、じゃ、カンナがお母さんになって守ってやるんだよ。』

その日からカンナとサンタはいつも一緒だった。





story8 at 13:25コメント(0)トラックバック(0) 

2009年02月16日

賽の河原

唐突に浮かんできました。
子供の頃にどこかで聞いたか賽の河原の話です。
誰か聞いた事がありますか?


ここは三途の川の川原で
賽の河原と申します

親に先立つ不幸を詫びる
死んだ子供のくる所

『一つ積んでは母のため
 二つ積んでは父のため』
石を積みあげ供養する

後一息で塔が出来
供養の祈りも終わります

どこからくるのか赤い鬼
どこからくるか青い鬼
供養の塔を蹴り崩す

美味そうな匂いだと
子供達を追いかける

助けて下さい地蔵様
衣に隠れてふるえます

さしもの鬼も見つけられず
振り返りつつ去って行く

『一つ積んでは母のため
 二つ積んでは父のため』
永久に繰り返す塔作り

賽の河原は薄暗く
寂しい侘しい世界です




story8 at 01:48コメント(0)トラックバック(0) 

2007年09月05日

カンナ 6歳

今日は入学式だったよ。
かあさんと小学校に行った。
桜が満開で、いっぱい落ちて来てきれいだったよ。
とうさんもくれば良かったのに。

教室で先生に名前を呼ばれたよ。
カンナ大きな声でお返事出来た。
まいちゃんとけんちゃんもいたよ。

帰りにね、走って母さんの所に行って手をつないだの。
お顔を見たら母さんじゃなかったよ。
ハハハ、カンナ間違えちゃった。
だってよく似たお着物だったんだよ!
かあさんはすこし後ろで笑ってた、ずるい。

恥ずかしかったよ!


story8 at 09:48コメント(0)トラックバック(0) 
小説 

2007年08月24日

カンナ 4歳

日曜日は父さんはお休み
趣味の日曜大工をしながら
カンナと遊んでくれる

母さんは弟につきっきり
弟は(秋人・アキト)ハイハイでどこまでも行っちゃう
何度も縁側から落っこちる
母さんが飛んでっても間に合わない
なんでじっとしていないんだろう

今日の父さんの作品は洗面器を乗せる台
折りたたみ式
『ちょっと弱かったかな、もう一つしっくりこんな!』
『すごいねー、畳んで仕舞えば便利だね!』
『壊すなよ! あんまり丈夫そうじゃ無いんだよ。』
『父さん、洗面器、乗せてみようよ!』
『よ〜し、乗ったぞ・・・うん、大丈夫だな!』





story8 at 14:52コメント(0)トラックバック(0) 
小説 

2007年08月17日

カンナ 3歳

今日は父さんとお出かけ。
母さんは朝からお部屋。
病気じゃないんだって!

父さんと川縁を歩く
赤とんぼがいっぱいとんでいる
ずいぶん歩いて、カンナくたびれちゃった
「カンナ、疲れたろう」
父さんにおぶわれて小学校の運動場にきた

砂場で遊んで
ブランコに乗って
おなかが空いちゃった
カンナの大好きなおそばを食べる

気がついたら近所のおばちゃん家にいた
「目が覚めたか? そろそろ帰ろう。」
父さんと手をつないで
お家にかえったら
・・・・・・・・・・
赤ちゃんがいた!


story8 at 15:11コメント(0)トラックバック(0) 
小説 

2007年07月31日

カンナ 5歳

あたしカンナ
赤いカンナが咲き誇る暑〜い日に生まれたの
だからカンナ

父さんのお気に入り
父さんが家にいる時はいつもそばにいる
父さんの匂いがする
父さんの匂いはお陽様とタバコの匂い

父さんは寝転んで新聞を読む
私は背中に乗って匂いを嗅ぐ
「タバコの匂いがするよ、臭?い!」
「そうか!」
本当はこの匂い嫌いじゃない
「どうしてタバコの匂いがするの?」
「それはタバコを吸うからさ!」

「カンナはミルクの匂いがするぞ。」
「だってさっきミルク飲んだもん!」
「いい匂いだ!」
「父さんも飲みたい?」
「いや、父さんはビールが飲みたい!」
「うわ?、ビールも臭いんだよ!
 父さんの好きなのは臭い物ばっかりだ!」
「大人の匂いってやつさ!
カンナも大人になれば分かるよ!
 早く大人になって、父さんと飲みにいこう!」
「カンナ、大人になったらお紅茶飲むんだよ、
 母さんみたいに!」

大人になりたいカンナ・5歳

story8 at 16:19コメント(0)トラックバック(0) 
ショートショート 

2007年07月08日

後の祭り

固く握った両手から
夢がこぼれていく
ぱらぱらと

そっと開いてみれば
両手いっぱい掬った夢が
ほんの一欠片残して
こぼれてしまった

あんなに沢山あったのに
行き着く先は夢の国
・・・・・・・・・
だったはずなのに

この国で夢を見るのが許されるのは
ほんの一握り
今更気付いても
後の祭り





story8 at 10:58コメント(0)トラックバック(0) 
独り言 

2007年06月28日

再審

「山口の親子殺人事件」の差し戻し再審がはじまった。
相変わらず被害者をバカにしていると言うか被告ばかり擁護している弁護士団にはあきれるばかりです。
今回、被告が口を開いたと思えば「どらえもん」に「魔界転生」?????
「母親に頭をなでて欲しかった」???
空いた口が塞がらない・・・ですね。
愛する妻と子を理不尽に奪われた被害者の気持ちなど斟酌に及ばないと言うのでしょうか?
あの弁護士達は、きっと愛する家族を持っていないのだと思う。

被告を死刑にしろと言っているのではない。
正直に話して謝り、反省するのが先ではないでしょうか?
もちろん心から・・・
その上で判決を待つ・・・弁護士ならそのように努力をするべきだと思う。
そういう物が見えた時、被害者の心も救われる、勿論被告も・・・・

毎日ニュースが流れるたびに悲しい。


story8 at 15:42コメント(0)トラックバック(0) 
日記 

2007年03月25日

君と別れたすぐ後に
さくらの季節がやってきた
卒業式が別れの日
溜まった思いを飲み込んで
ふざけたふりして
「がんばれよ」


毎日見ていた校庭の
さくらがもうすぐ咲くけれど
卒業式が別れの日
良いこのお面を身にまとい
笑顔で贈る
「げんきでな」

毎年さくらは咲くけれど
一緒に花見は出来ないね
卒業式が別れの日
やっぱり想いを言えなくて
代わりの言葉は
「しっかりやれよ」

僕は花吹雪も好きなんだ
地面が薄桃色に染まる時
悲しい気持ちを埋めたようで
少しだけ身軽になる
空元気も出るってものさ
「さくらは好きさ、
 潔いからね。」







story8 at 15:29コメント(0)トラックバック(0) 
 

2007年02月23日

セミ捕り

じいちゃんの家は自然のただ中にあった。
春にはおたまじゃくしが泳ぎ、やがて初夏になると大合奏がはじまる。
そして夏の夜は蛍。
たくさんとってきて蚊帳の中にはなすと幻想的な世界になる。
昼間には蝉やカブトムシをとりに行くのだ。
虫取り網など買ってもらえない子供達は、しかし逞しい。
自分で作るのである。
笹だけを丸くして竹の棒の先に刺す。(しゃもじの中が抜けているような形だ)
それに朝クモの巣を見つけて巻き取っていく。
これをもって蝉のいそうな林に入っていくのである。
クモの巣の粘りで蝉が捕れるなんて、今では誰も知らないんじゃないだろうか。


story8 at 11:42コメント(0)トラックバック(0)