週刊 奇妙な日々
strange days weekly
  silverboy club presents


2014年02月01日 19:58      [posted by strange_days_2009]

貧者の相互搾取

冷凍食品に農薬が混入された事件の容疑者が逮捕された。その容疑者が49歳の妻子ある男性契約社員で、月給が19万円だとか年収が280万円ほどだとかいうことが話題になっている。

まあ、給料が安ければ商売ものの冷凍食品に農薬をふりかけてもいいということにならないのは当たり前だが、容疑者はふだんから「給料が安い」と不満をもらしていたとかボーナスが減ったとか報じられており、さすがに49歳妻子ありでこの給与水準だと確かに不満はあるだろうということは理解できる。

だが、それでは会社が従業員を極端に安い給料で働かせ暴利をむさぼっていたのかといえば決してそんなことはないのではないかと僕は思う。

冷凍食品は決して高価なものではない。むしろきちんと料理をすることができず、かといって外食もできないときに手に取るものだ。安価な輸入品との競争も厳しい。消費者に手に取ってもらうためには1円でも安くする必要があり、ギリギリのコストカットがなければ商売が成り立たないのは容易に想像できる。

その結果が人件費の極限までの圧縮であり、それは商売を持続させ、雇用を維持するためにむしろ必要なことなのだ。つまり、49歳の妻子ある男性に年収280万円の労働を強いているのは、スーパーで1円でも安い冷凍食品を漁る僕たち消費者自身なのだ。

消費者が1円でも安い冷凍食品を漁るのはもちろん給料が増えないからであり生活を防衛するためである。カネがないから安い商品を求める。その結果企業収益は圧迫され賃金はますます切り下げられる。僕にはまるで貧者が貧者を相互に搾取しているように見えてしまう。手っ取り早く言えばこれがデフレスパイラルに他ならない。

「プア充」とか「脱成長」とか、低収入でも、経済が成長しなくても豊かな生活はできるという考え方が流行りだが、そうした考え方はこうした貧者の相互搾取を前提にして初めて成り立ち得るものではないか。そこ、よく考えた方がいい。




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