週刊 奇妙な日々
strange days weekly
  silverboy club presents


2014年02月08日 21:27      [posted by strange_days_2009]

音楽以外の何か

クラシックの作曲家としていくつも作品を発表していた人物が、実は自分で作曲しておらず、ゴースト・コンポーザーとでもいうべき「本当の作曲家」が存在していた、というニュース。まあ、僕はその「作曲家」も作品も知らなかったけど。

これが特に注目を集めているのは、その作曲家が広島の被爆二世でしかも全聾という「設定」だったということもあるのだろう。全聾の作曲家ということで「現代のベートーベン」などとも称される有名な人で、作品も高く評価されていたとか。作品のひとつはソチ・オリンピックで日本人選手のフィギュアスケートのプログラム使用曲に採用されている。

面白いのは「騙された」「裏切られた」という声があちこちから上がっていること。確かにAさんの作品だと思っていたものが実はBさんの作品だったという意味では「騙された」のであり「裏切られた」のだろう。

だが、そのことで発表された作品、楽曲そのものの価値はなくなったり壊れたりするのだろうか。素朴に考えれば今後は作曲者の名前をBさんと書きかえればいいだけのような気がする。それとも、それらの作品はAさんの作品だからこそ素晴らしい、Bさんの作品ではダメだという何か特別な理由があるのだろうか。

まさか、Aさんが「全聾」だからこそこれらの作品には意味があったのだ、耳の聞こえるBさんが作ったのなら大した作品じゃないのだ、ということなのか。もしそうだとすれば、それは耳の不自由な人を随分見下した、失礼なものの言いようではないか。

そしてそれはまた、音楽というものの価値についても随分と失礼な態度だ。本来取るに足りない作品なのに、それが全聾の作曲家の作品だからということで「プレミアム」をつけて評価していたというのであれば、その人が聞きたいのは音楽そのものではなく、音楽以外の何かだ。

「全聾なのにこんな曲が書けるのはすごい」という物言い自体が差別的だってもはや常識じゃなかったのか…。



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