週刊 奇妙な日々
strange days weekly
  silverboy club presents


2014年03月09日 13:33      [posted by strange_days_2009]

対立しているのは何か

ウクライナがもめていて、ロシアがクリミア半島を事実上占領しているとか新冷戦だとかという見出しも見られる。ウクライナといえばもともと例の「オレンジ革命」の頃からバタバタしている印象があるが、ヤヌコビッチ大統領の権限を剥奪して国外に追い出したあたりからかなり剣呑な情勢になっているのは間違いない。

今回の一連の動きは、我々の目からは、親欧米的で民主的な、ウクライナの西半分を中心とする勢力と、親ロシア的で強権的な東半分の勢力とが存在し、民主的な勢力が強権的な勢力から権力を奪還したのにロシアがこれに軍事介入して邪魔している、と見える。

こう整理すると、民主勢力頑張れ、軍事介入するロシアはクソったれ、みたいな気にもなるのだが、これって果たしてそういう問題なのだろうか。

もちろん、個々のできごと、全体の中の特定の部分を見れば、どう考えてもおかしい、まずいということはある。だが、それならそこを解決すればすべてうまく行くかといえば、たいていはそこに別の善悪、新しい対立が発生するのである。

すべての問題は細かい善と細かい悪との複雑なモザイクで織りなされている。そこにあるのは総合的な善と総合的な悪の対立ではなく、部分的な善と部分的な悪との組み合わせであり、ほとんどの場合、総合的に見れば対立しているのは善悪や正誤であるよりむしろ利害である。

それは何もウクライナ情勢に限ったことではない。原発を巡る議論についても同じことが言えるかもしれない。ヘイトスピーチも従軍慰安婦もそうかもしれない。善悪、正誤でものを語り始めると、異論に対して原理の応酬になるだけで対立は解消しない。

そしてまた、善悪、正誤に関する議論はたいてい不寛容で峻険なものになる。悪きもの、誤ったものに譲る余地はないと互いに考えるからである。対立しているのは善悪、正誤ではない、利害なのだと考えてみることで、問題の本質が見えてくることは少なくないはずだ。




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