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餅花やかざしに挿せる嫁が君 松尾芭蕉

季語・季題は春、夏、秋、冬の4シーズンに新年を加えた5つに分けられます。

月別に分けると、1月ムツキ睦月、2月キサラギ着更衣・如月、3月ヤヨヒ弥生、゙4月ウヅキ卯月、5月サツキ皐月、6月ミナヅキ水無月、7月フヅキ文月、8月ハヅキ葉月、9月ナガツキ長月、10月カンナヅキ神無月、11月シモツキ霜月、12月シハス・シワス師走となります。

ビジネスレターや、案内文、招待状など手紙の「拝啓」のあとの挨拶文にもよく使われますね。

今回のお話は新年の季語・季題です。




 さて「嫁が君」

 この言葉は今では使う家はほとんどないかも知れません。

 知っている方、手を挙げてみてください。

 お、幾らかいらっしゃいますね。さすがはこのメルマガの読者さん。

 嫁は夜目の佳字化されたもの。

 夜に目を光らせるものと言えば・・・そうネズミです。

 ネズミは大黒様の使いとも言われています。

 それで三が日だけ、縁起を担いでこう呼ぶのです。


 正月の三が日だけ、ネズミのことを「嫁が君」と呼びました。

 それで新年を意味する言葉と言うわけです。


 秋なすびわささの粕につきまぜてよめにはくれじ棚に置くとも


 鎌倉時代に編まれた夫木和歌抄にある一首です。

 ここで云う「よめ」こそがネズミを指しています。

 「わささ」とは若い酒、新酒のことです。

 つまり、新酒の粕で漬けた秋茄子を棚に置いたときはネズミに注意しろよ

 と詠んでいるわけです。


 何処かで聞いたことがありますね。

 そう「秋なすび嫁に食わすな」の言葉は此処が出典と言われています。


 「嫁が君」がネズミを意味するのと同様に、この歌も夜目が嫁に転化した

 のです。


 これは「秋茄子は身体を冷やすから、子を産む大事な嫁には食べさせない

 方が良い」

 と言う意味だとか「秋茄子は種が小さいから縁起を担いで妊娠前の嫁には

 食べさせるな」 と言う意味だとか言われていますが、本来の意味は、

 「嫁に食べられては勿体ない」という感じが伝わってきます。


 お宅の嫁さん、正月は何を食べていますか?






 餅花やかざしに挿せる嫁が君          松尾芭蕉



 (松尾芭蕉:いまさら書くこともないのですが、正月ですのでめでたい句を。
  梅が香にのっと日の出る山路かな これは太宰府天満宮で芭蕉が詠んだ
  句ですが、当時「滑稽俳諧(こっけいはいかい)」と称して、俳諧ブーム
  の代表作と言われています。「のっと日の出る」というその表現が、
  高い評価を得ています)



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