2008年10月08日
構造設計者による考え方の違いのこと
今日は僕たちの事務所で同時進行していた2物件の実施設計後の打合せ。僕ともうひとりの担当者と2人で資料をそろえて会議に向かう。同じディベロッパーの同じような規模のマンション。ただひとつ違うことは、それぞれ構造設計者が違うということ。僕の担当分は今まで僕たちと数多く仕事をしているけれど、このディベロッパーの仕事は2回目(1回目も僕の担当分)の構造事務所(A)。もう1つの物件は、僕たちと仕事をするのは初めてだけれど、このディベロッパーの仕事は数多くこなしている構造設計者(B)が担当している。ほぼ同じ規模の建築で異なる構造設計者だと、どれだけ設計内容が変わってくるのかもちょっと興味があった。
僕の担当分は事務所が東京にあることと、急な会議だったことで出席できなかったけれど図面はほぼ完璧にできあがっていた。内容的にも特に問題なく、これから現説や確認申請に向けてスムーズに進みそうな感じ。B社の方は他物件も抱えていて多忙ということで、構造に関する部分のみ出席して、終了と同時に帰ることになっていた。僕はとりあえず帰る前のBさんをつかまえて、いろいろと質問してみることにした。
いろいろ聞いてみた分かったことは「構造設計者によって全く考え方も設計方法も違って、結果的にずいぶんと違う構造になる」ということ。僕の担当分のAさんは「安全な構造設計」を目指している。だから基本的に、主事や適判に指摘されそうな構造設計はやらない。仮に指摘されるかどうか微妙で、安全側でなければ当然コストも安くなることが分かっていても、できるかぎり安全側で設計している。Bさんんは「法に書いていないことであれば、技術基準解説書やJASCAの見解等を駆使してでも、できる限りコストパフォーマンスの高いものを設計する」という考え。だからAさんとBさんを比較すると、飛躍的にBさんの部材はスリムであったり鉄筋量もきっと少ないと思う。当然良い面ばかりでもなくて、もし最悪、難しい適判とかに当たって確認が下りなくなるリスクも抱えている。そういうリスクをAさんは避けようとしているところはあると思う。
こういう場合はどちらが正しいというものではないと思う。Bさんのようなアグレッシブな設計は危険とも隣合わせだし、いつでも安全側を目指そうとするAさんの場合は「過剰設計」と言われる可能性もある。今は構造設計者が意匠事務所を選ぶ時代ではあるけれど、意匠設計者も構造設計者の考えを理解して、仕事毎に自分のパートナーを誰にするのか、ということを選ぶ必要があるのだろうと思う。

