2009年03月03日

京都建築ツアー2009・1日目/青木淳講演会のこと01

青木淳氏の講演会を聴くのは2度目。1度目は第1回の「KEN-Vi建築セミナー」で。そのときはまだ「青木淳」という建築家のことを注目していたわけではなく、講師のひとりとして講演会を聴いていたのだけれど、その口調や話す内容、そして竣工間近の「青森県立美術館」も全てが気に入って、さっそくその年の冬には青森へ建築ツアーに行ってきた。それから氏の本や作品集・ディテール集を読み、発表される作品に注目してきた。しかし「青森県立美術館」以降の氏の作品では、よく分からないことも多くて、最近で自分の中でうまく消化しきれていないところもあった。

講演会はまず「クロスジアメフラシ」というウミウシの一種のスライドから始まった。とても奇抜な色と形で、スライドでみる限りはある意味グロテスクでド派手なものに見えたのだけれど、氏は「このスライドで、単体でみるととても目立つけれど、海の中という環境では目立たず、なじんでいる」と。確かに、建築を、特に建築家による建築は、それ単体で評価されることが多いけれど、周辺を含んだ環境として捉える視点で考えることも重要なのだろう。そして紹介されるのは、住宅「N」と「G」。どちらも周辺の住宅となじむような形体をしているけれど、ほんのすこしだけ違う。環境と溶け合おうとしながらも、ほんの少しだけ違和感がある。そういう「仲間なのかそうでないのか微妙な関係。どっちつかずの状態」を目指しているという。

その後も、周辺環境や状況との関わり合いのなかで「どっちつかず」の状態を目指したものとして「SIA青山ビル」やアート作品「U bis」「青森県立美術館」「白い教会」などが紹介される。確かに、これらの建築(一部アート作品)なんかは、明快な図式や像を持たず、ある場面とまたある場面では別々の印象を受ける。特に「青森県立美術館」は実際に訪問していることもあって、強く実感することができる。遠景での白いボリューム感、近づいていくにつれて分かる外壁のテクスチュア、近景での煉瓦、そしてディテールとしての素材感・重量感の喪失・・・。

氏の建築に感じる「不思議さ」や「あいまいさ」は、そういうところからくるのだろう。例えば「青森県立美術館」の最初の「トレンチの床とホワイトキューブがかみ合った形」という形式を示すスケッチ。今までの建築家の感覚としては、それをより明確な形で実現させようとするだろう。しかし実際に「青森県立美術館」では、その予想は見事に裏切られる。ホワイトキューブの空間は限りなく抽象的な表現であるはずなのに、一部では小屋裏の構造が見ていたり、開口部・壁・構造体がずれていて、はっきりと具象的な表現がとられている。その建築を体験する人の予想を少し外すだけで、建築の印象はガラリと変わり、意味の行き来を繰り返していく。


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sttts
posted at 23:59

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