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2026年07月11日

「絶滅写真 杉本博司」

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      今の美術業界を考える(その1143)


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杉本博司 絶滅写真展         2026年7月11日
東京国立近代美術館             9月13日まで

 写真、建築、舞台芸術の演出など、ジャンルを超えて活躍されてい
 る、杉本博司(1948−)さんの展覧会を拝見してまいりました。
 この方の原点は銀塩写真といって、現代のデジタルカメラが全盛の
 現代にとっては絶滅写真といっても不思議ではありません。
 しかし、このタイトルにはもっと深い意味が込められています。

 確たるコンセプトに基づく、独自の表現による作品は、銀塩写真の
 頂点を極めるものであり、その技法自体がまさに「絶滅が危惧され
 るもの」のひとつでもあります。その杉本博司氏による初期の19 
 70年代後半から現代にいたる銀塩写真60点を展観されています。

 杉本博司氏が評価を確立させるきっかけとなった「ジオラマ」シ
 リーズから始まりますが、博物館などの過去の複製のものを「写真」
 を取ることで、あたかも命を吹き込むという作業をされたことに
 写真というものの可能性を感じました。

 また、当時の現代アートの世界では抽象絵画やコンセプチュアルアー
 トが中心で、写真という媒体がまだ美術としての地位を確固たるもの
 として確立されていな時代に、杉本博司氏は、写真を芸術の柱として
 確率させることを決意されたそうです。50年たった今、杉本氏の
 野望は達成されたのではないでしょうか?

 また、今回 私が展示を拝見していて心に響いたものとして、写真という
 ものは光の芸術であり、光を捉えることで前半はモノクロームの写真が
 ほとんどでした。
 しかしながら、光というものは分割していくと色がでてくるというもの
 でして、プリズムなどを利用して光を分解していくと様々な色が現れて
 こられるのも、作品として表現されています。

 また、静電気は銀塩写真の現像作業には非常にやっかいな代物であるが
 ゆえに、その電気を作品として挑戦されていることにも杉本博司氏の
 知性というものを、ひしひしと感じました。さらに、銀塩写真が絶滅
 写真という表現をするだけでなく、地球上に繁殖した人類というもの
 に対しても、同じ目線を投げかけていることに私は共感してしまい
 ました。

 今の時代の世相を敏感に感じて、作品として表現されている世界的な
 現代作家さんなのだと思います。
 
 
        
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
           03-3573-7075

2026年07月04日

「日本医科大学・八重洲健診ステーション」

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      今の美術業界を考える(その1142)


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日本医科大学              2026年7月3日
八重洲健診ステーション

 今年の6月30日に東京駅八重洲口徒歩1分の場所に、日本医科
 大学による検診ステーションがオープンいたしました。
 銀座柳画廊はロータリークラブの友人から日本医科大学の教授を
 ご紹介され、新しい診療所に素敵な絵を掛けたいけれど、予算が
 潤沢にあるわけではないので、レンタルしてくれる画廊を紹介
 してくれということでご縁を頂きました。
 
 最初、社長と弊社の営業マンからは反対の意見で、手間ばかり
 かかって、大した数字にはならないので、やるのであれば副社長
 一人でやるか僕たちは外してくれというものでした。
 私ひとりでは、勿論無理ですので女性スタッフに協力してもらう
 ことを了解してもらい、まとめ役の弊社の加藤の了解をもらって
 この話をすすめさせてもらうことにしました。

 私としては、画廊巡りと同じで、この仕事単発では利益は出ない
 ことはわかっておりますが、少なくとも現役の作家の広報活動に
 つながると思いますし、作業をすすめることで新しく入った女性
 スタッフの社会的コミュニケーションスキルが上がることも期待
 して受けています。何より、紹介してくれたロータリアンの顔を
 つぶすわけにもいきませんし、この案件は複数の画廊から断られ
 た上に、銀座柳画廊にきた話であることを事前に知っていたから
 です。(社長と営業が嫌がるのも当然なんです)

 期待どおり、紹介してくれたロータリアンの方が銀座柳画廊の顧客
 になってくれました。私も苦労話を社長や営業マンにいうと、ほら
 みたことかと言われますから、ロータリアンの友人にお話しする事
 で、彼女が画廊に絵を買いに来てくれるようになりました。

 日本医大の方々も絵をレンタルする。さらに、そのレンタルしている
 絵を患者さんが気に入ったら購入できるようにして欲しいとのことで
 その仕組みも作りました。絵のそばにあるキャプションから絵を購入
 出来るようにしています。
 
 今後、どうなっていくか全くわかりませんが新しい試みとして日本
 医大の健診ステーションの今後を見守り応援をしていきたいと思って
 います。ご興味ある方は、是非一度、東京駅前の八重洲ステーション
 を覗いて見てください。
 
 
 
        
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
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2026年06月27日

「笠井誠一先生偲ぶ会」

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      今の美術業界を考える(その1141)


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笠井誠一先生を偲ぶ会         2026年6月27日

 昨年お亡くなりになられた画家の笠井誠一先生を偲ぶ会に参加して
 まいりました。上野精養軒で200名を超える多くの方のご参加で
 盛大な会でした。

 笠井誠一先生と銀座柳画廊との関係は、個展こそしておりませんが
 周年行事には作品をご出品していただいたり、銀座柳画廊で個展を
 される岡野先生をはじめ、多くの作家の展覧会に足を運んでいただき
 論評を頂いておりました。

 既に鬼籍に入られている、進藤蕃先生や橋本博英先生、中村清治先生
 らとともに、グループ展を活発にされており、立軌会という画家の
 団体をけん引されていらっしゃいました。多くの画家を育てたと
 いいますか、指標として導かれていらっしゃった姿は、私にもひしひし
 と伝わっており、そのお人柄は多くの方がご参加されたことからも
 よくわかります。

 笠井誠一先生は画家という顔だけでなく、愛知芸大でも長年教鞭を
 とられており、多くの芸術家の育成指導もしておられました。
 
 美術関係の方には意外と知られていないのが、笠井誠一先生が公益
 社団法人整体協会の代表を務められていたことです。
 この団体は、なかなか経営者の方にも影響力のあるもので、意外な
 ところから「笠井誠一先生の偲ぶ会はご参加されますか?」と
 声をかけられたりいたしました。

 笠井誠一先生は生前、人の為に使う時間が多く、自分が多くの役割を
 担っていて自分の絵を描く時間を捻出するのが難しいのではないかと
 思われるような状況でも、決して愚痴や泣き言をいわない方でした。

 そして、90歳を超えても銀座の画廊巡りをされ、多くの教え子の
 展覧会を見て回り、立軌会の画家でもない岡野博先生の個展にも、
 若いころにトラックに絵を積んで、ご自宅におしかけて、「絵をみて
 批評をお願いします。」というご縁だったにもかかわらず、毎回、
 銀座柳画廊に来て作品をみて批評していただきました。

 今もなお、笠井誠一先生を慕っている画家や画商は多く、そのご縁を
 息子さんも引き継がれ、これからも笠井誠一先生の作品の管理をされて
 いかれるとのことです。

 これからも多くの方に、笠井誠一先生の作品が色々な場所で目に触れ
 ることがあるのだと思っています。
 
 
        
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
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2026年06月20日

「台北出張報告」

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      今の美術業界を考える(その1140)


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台湾出張報告             2026年6月20日

 今週はロータリークラブの国際大会に出席のため、台湾にいって
 まいりました。私の所属する東京中央新ロータリークラブでは、
 数年まえより、台北牡丹ロータリークラブと姉妹クラブとして
 締結しております。その台北牡丹ロータリークラブも女性の多い
 クラブとして活動されており、お互いに行き来をしています。

 今回は国際大会もありましたので、うちのクラブからは21名もの
 参加となりました。また、火曜日の夜には合同例会ということで
 お互いのパストガバナーもお呼びして、総勢200名以上の参加
 という非常に大きな会合となりました。

 私も地区大会なども含めて、台湾でのロータリー関連のイベントに
 参加するのは2度目ですが、この接待文化は日本の昭和を思いおこ
 すものでした。

 月曜日には牡丹ロータリークラブの方も交えて終日のバスツアー
 でした。宜蘭(ぎらん)という石垣島方面の地方にいき、特別な
 観光地に連れて行っていただきました。イランとの貿易で財をなし
 た方がたてたお城のような場所で、これから台湾の名所になると
 言われておりました。アラビア風のたてものに、翡翠の彫刻や、
 ペルシャ絨毯、絵画は湿度の関係か、それほどありませんでしたが
 立体作品が多くみられました。

 また、台湾にRI会長を務められたゲーリー・ホアンさんが会長テー
 マとして挙げられた‘Light Up Rotary’を体現されたLight Up
 Rotary Story House という立派な建物にも連れて行って
いただきました。この建物で頂いたタピオカティー
 はとても美味しく、地元の名物だとおっしゃっておりました。

 また、日本の米山記念館と同じように、ロータリアンがこの建物
 に来られると、解説をしてくださる地元のロータリアンの方が
 出迎えてくださり、台湾のロータリークラブへの情熱を感じさせて
 もらいました。

 朝から晩まで遠足でもお世話になり、合同例会では驚くような
 出し物を次から次へと拝見させていただき、彼女たちが日本に
 訪れた時には、私たちも大歓迎しなければと思いました。

 個人的に嬉しかったのは、初代会長の林(リン)さんが大の日本
 文化の信奉者であり、日本舞踊の師範でもあるため、台湾の方々
 による日本舞踊を拝見させてもらったことです。

 日本で日本の文化を継承するには、ここまで自由にやらせてもらう
 ことは難しいなと思いながらも、そのエネルギーと情熱には敬服
 させていただきました。
 
 
        
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
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2026年06月13日

「カール・ヴァルザー」

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      今の美術業界を考える(その1139)


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カール・ヴァルザー          2026年6月13日
      於 東京ステーションギャラリー  6月21日まで

 カール・ヴァルザーはスイスのベルン近郊で1877年に生まれ
 ました。日本の美術業界においても、彼の名前を知る人は決して
 多くはないと思います。そして、日本で初めての回顧展を東京
 ステーションギャラリーで開催とのことで拝見してまいりました。

 120年前に、この画家がドイツの出版社に依頼されて小説家の
 ケラーマンとともに日本に滞在されています。このころのヨーロ
 ッパは日本趣味といいますか、ジャポニズムに湧いていた時代
 ですが、実際に日本にこられた方は少なく、ヨーロッパに戻って
 日本の風景や歌舞伎役者など、全くの異文化を絵画で紹介された
 数少ない作家なのだと思います。

 またヴァルザーは有名な作家というわけではありませんが、挿絵、
 舞台美術、室内装飾や壁画などの分野で活躍されておりました。
 ドイツとスイスにはいくつもの壁画が現存しています。

 舞台美術の分野ではシェイクスピアをはじめ、多くの作品のセット
 やコスチュームのデザインを担当いたしました。コスチュームの
 デザイン画は、まるでファッション画のような華やかさを感じさせ
 ます。

 また、装丁や挿絵でも弟のローベルトの本をはじめ、多くの仕事を
 残しています。

 1900年初頭のヨーロッパは植民地政策により、多くのアジアの国
 を植民地にしておりましたが、日本は植民地化されることなく、
 日露戦争ではアジアの小国が勝利することで驚かせました。芸術の
 世界では「ジャポニズム」が流行し、日本は神秘的で洗練された文化
 を持つ憧れの国として認識されていたのだと思います。

 そういう意味において、日本でカールヴァルザーを紹介することは非常に
 意味のあることですし、当時のヨーロッパの方々が日本の芸術をどのよう
 に理解して、興味を持ったのかを理解することは大切です。

 カールヴァルザーの作品を通して、当時の日本がヨーロッパからどのよう
 に見られていたのかを知る良い機会ですので多くの方にも知っていただきたい
 作家の一人となりました。
 
 
        
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
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2026年06月06日

「チュルリョーニス展」

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      今の美術業界を考える(その1138)


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チュルリューニス展           2026年6月6日
            於 国立西洋美術館  6月14日まで

 朝一番で国立西洋美術館のチュルリョーニス(1875-1911)展に
 行って参りました。リトアニアを代表する芸術家として、20世紀
 初頭という激動の時代に、ロシア帝国の支配下で民族解放運動の中
 にあったリトアニアにおいて、同国の近代文化の礎となった作家
 の展覧会です。

 芸術家はいつの時代に生まれるかというのも大切なことだと感じ
 ています。ヨーロッパの多くの偉大な芸術家は第一次世界大戦、
 第二次世界大戦の両方を経験され、その中で多くの人の心を癒し、
 励ました芸術家が偉大な作家として残っているように思います。

 このチュルリョーニスは、幼少のころから音楽の才能を見出されて
 始めは作曲家としてキャリアを歩みはじめますが、しだいに絵画の
 道へと強く惹かれていきました。ところが、画家として成熟を迎え
 た矢先、過労と精神的負担により健康を損ね、わずか35歳の若さ
 で生涯を閉じています。
 彼が絵画制作に集中的に取り組んだ時期は1903年から1909
 年までのおよそ6年に過ぎませんが、その短い画業のなかで実に
 300点以上もの作品が手掛けられ、長きにわたる不遇の歴史を
 乗り越えて、現在の評価は象徴主義と抽象絵画を架橋する存在と
 して国際的な美術史に位置付けられています。

 とくに、絵画作品の題名としてつけられた「ソナタ」や「フーガ」
 といった作品たちは音楽形式を造形的に取り入れられた連作で、彼
 が音楽家として優れた作曲家であったという個性をよく表して
 います。

 今回は日本で34年ぶりとなる大回顧展ですが、私はこの作家のこと
 を初めて知り、ウクライナとロシアの戦争が終わらない、現代の時代
 において、この展覧会の持つ意味を考えさせられました。ロシアに
 とってウクライナは多くの芸術家を生み出した場所であり、文化的に
 多くの影響を相互に与えた場所なのだと思います。

 絵画の世界が今でもヨーロッパを中心に語られる現代において、
 ロシアという国の影響力は計り知れないものがあると感じた展覧会
 でした。
 
        
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
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2026年05月30日

「チ。」

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      今の美術業界を考える(その1137)


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チ。                 2026年5月30日
            於 東京シティビュー  7月8日まで

 六本木ヒルズ展望台の東京シティビューで開催されているアニメの
 展覧会の ‘ チ。’を娘と一緒に拝見してまいりました。
 娘から‘お母さんが好きそうだから、一緒に行こう’といわれて
 行って参りましたが、すっかりはまりました。

 中世ヨーロッパ時代にキリスト教では天動説が信じられていた時代
 に天体の観測をすると矛盾することから地動説を唱えた学者は異教と
 言われて拷問を受けて、天動説を信じなければ殺されるという、今
 では考えられないような時代のことを描いたアニメの展覧会です。

 空をみて空想するというのは人間の本能なのだと思います。私自身
 記憶のある4歳5歳のころに夏の海や山で空を見上げた時の感動や、
 プラネタリウムで知った天の動きに感銘したことを昨日のことの様に
 覚えています。さらには高校時代の物理の授業で、教わった相対性
 理論には心底ほれ込んで当時は宇宙の研究をしようと思ったほどです。

 ですから、このアニメを拝見して、私は中世ヨーロッパに生まれて
 いたら明らかに異教として拷問にあって殺されていたと確信します。
 もしかしたら、要領よく勉強すること自体を辞めたかもしれませんが、、

 ともあれ、研究のために命をかけて繋げていった結果が、今の地動説
 であり、それとともに宗教界の腐敗や権威の崩壊についても描かれて
 います。

 このアニメを美術展ではなくアニメや漫画で読むと、リアルな拷問
 シーンが出てきて、人がどんどん死んでいくので、少し気持ち悪く
 なるのですが、アニメでは主題歌などの音楽がとても素敵で救われ
 ました。そこで、命をかけて研究するという所に日本の武士道の
 切腹文化と通じるものがあると感じました。

 ヨーロッパの方も、信仰の為や、科学の発展のために命をかける方は
 おりますが、日本人のように、主君のため国のために多くの人が死ぬ
 ことに第二次世界大戦の頃は脅威を感じたのだと思います。今では、
 そのような日本人も殆どいなくなったと思いますが、、、

 あらためて、人は命をかける何かがあるということが、もしかしたら
 とても幸せなことなのかもしれないと思った次第です。
 
        
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
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2026年05月23日

「アンドリュー・ワイエス展」

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      今の美術業界を考える(その1136)


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アンドリュー・ワイエス展       2026年5月23日
              於 東京都美術館  7月5日まで

 東京都美術館で開催しているアンドリュー・ワイエス展を会期の
 はじめの方に拝見してまいりました。また日曜美術館などで紹介
 されると混雑が予想されるために、週末の朝一番で行って参り
 ました。

 アンドリュー・ワイエスはアメリカ写実絵画を代表する画家であり、
 1974年に日本初の大規模な展覧会が開催されて以来、多くの
 日本の観客を魅了しつづけています。
 ワイエス自身が「日本人は自分の作品を深く理解してくれる」と
 語ったとおり、彼の描く世界に流れる死生観や世の無常という感覚
 は、古来より日本人が共有してきた精神世界と強く共鳴しています。

 作品をじっくり拝見していて感じたのは、ワイエスが表現したか
 ったのは、いわゆる能の幽玄の世界であって、あの世からこの世を
 覗いた世界観だったり、あの世からこの世を覗いた世界観を描き
 だしていることがわかります。つまり、生と死は隣り合わせの世界
 であることを日本人は古くから実感しており、それを体現した芸術
 が能だと私は理解しておりますが、その世界観を絵画の世界で、
 しかも、ポップアートや抽象絵画が席巻している時代のアメリカで
 表現したのがワイエスですから、ワイエス自身が自分の作品を深く
 理解しているのは日本人であると語ったのは、納得がいく話だと
 私は感じています。

 さて、そんなワイエスですが、今回、出品作に多くの作品を埼玉の
 丸沼芸術の森が所蔵している作品であることにもご縁を感じています。
 こちらのオーナーである須崎社長も、IBM時代の先輩からご紹介を
 受けていることもあるのですが、こちらの須崎社長がワイエス本人
 から多くの習作を含めた作品を購入するにあたって、銀座柳画廊で
 個展をしている有田巧先生と一緒にアメリカまで買い付けに行って
 いることです。

 人とのご縁は不思議でもあり、必然でもあると感じておりますが、
 有田巧先生は当時、丸沼芸術の森でアトリエをお借りして活動されて
 おり、そのご縁もあり、須崎社長から見込まれて、一緒にワイエスの
 アトリエまで伺って作品の購入のお手伝いをされたという事です。

 そうやって、美術館に飾られているワイエスの作品を拝見すると、
 私の妄想も膨らんで、楽しい美術館鑑賞となりました。美術品という
 ものは、その作品から多くのインスピレーションをもらうことで、
 非日常的な豊かさを感じることができるようになるのだと思います。

 
        
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
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2026年05月16日

「長沢芦雪」

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      今の美術業界を考える(その1135)


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長沢芦雪               2026年5月16日
               於いて 府中市美術館   終了

 最後の滑り込みで、5月10日まで府中市美術館で開催していた
 長沢芦雪 を拝見してまいりました。3月14日から5月10日
 まで開催しておりましたが、うかうかと4月の日曜日のお墓参り
 のあとに伺うと、長蛇の列で、チケットを購入するのに1時間以
 上かかると言われたので、まだ会期も1ケ月以上あったので平日
 の昼に、画廊を抜け出していけばよいとたかをくくっておりまし 
 た。

 そして、仕事としてスケジュールを組み、平日の昼に伺うと、
 なんと平日の11時すぎに伺ったのですが、チケットを購入する
 だけでも1時間半かかってしまいいました。その後、カタログを
 購入するにも30分以上ならぶというので、アマゾンで購入させ
 て頂きました。

 長沢芦雪と私の出会いは、「奇想の系譜」という書物から始まり、
 そこから東京都美術館で2019年に開催された「奇想の系譜展」
 に感銘をうけ、その後、大阪の中之島美術館で2023年の冬に
 長沢芦雪の大きな展覧会を拝見して、私も含めてこの時に、長沢
 芦雪のファンになられた方も多いのではないでしょうか?

 そして2026年に東京で初めての個展ということで府中市美術館
 での個展でしたから、きっと私のような方も多くいて、混雑された
 のだと思います。

 さて、この方の魅力は既に有名であられる丸山応挙の弟子として、
 江戸時代中期の京都で活躍された絵師で、円山応挙の枠をはみだし
 た所にも魅力があると言われています。私などは、「かわいいもの
 描き」としての芦雪に魅力を感じていて、子犬や、雀や、こども等
 目の前の命に心を寄せて、いとおしいと思わせる絵が大好きです。

 和歌山の串本町にある無量寺という所に、応挙芦雪館というのがある
ようです。今度は、こちらにも是非、足を運んで拝見したいと思って
います。

 
        
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
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03-3573-707

2026年05月09日

「岡野博個展2026」

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      今の美術業界を考える(その1134)

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岡野博個展2026           2026年5月9日
銀座柳画廊にて         5月18日から6月2日まで
 〜 やさしい色と形 〜

 今年で16回目となる岡野博先生の個展を5月18日より銀座柳
 画廊で開催いたします。銀座柳画廊を創業してから現在にいたる
 まで、ずっと継続して開催していることに自分でも驚いています。

 創業して今年で32年になりますが、その間には多くの作家との
 出会いと別れがあり、画商として作家とお付き合いを継続して
 いくのは大変な事だと思っています。お互いに生きて元気でいる
 ことも凄いことだと思っています。

 今回のサブテーマは〜やさしい色と形〜 ということで、カタログ
 が出来上がってきた所ですが、カタログの表紙もそれを体現した
 ような仕上がりになっています。

 岡野博先生の世界観は昔と変わることがなく、穏やかで安心感を
 与えるものだと感じております。時代がついてきたのかもしれま
 せんが、若い方は岡野先生の世界観をすぐに理解して応援して下さ
 り応援して下さる方もじわじわと増えてきております。

 私たち日本人にとって、水と安全はただ(無料)だと思っている人
 が殆どですが、海外にいくとそれは全く違うことがわかります。
 インターネットを通じて、世界中の情報が一瞬で共有される時代に
 生きている若者にとって、この岡野先生の世界観がとても大切だと
 共感してくださっているのだと思っています。

 岡野先生が表現されている世界は全く変わっておりませんが、時代
 と環境は大きく変わってきていると実感しています。気が付けば、
 アメリカは今でも大国ではありますが、世界を統治する力を失い
 多極化していく中で、若い世代は多くの事を感じ取っているのだと
 思います。

 益々、これからの社会において〜やさしい色と形〜が大切な価値観に
 なっていく世の中で、岡野博先生の作品が多くの人の心を癒していく
 のだと私は確信しています。

 一人でも多くの方と、穏やかな世界観を共有し、やさしい社会をともに
 築くことができたらと思います。季節も良い頃となりますので、銀座
 柳画廊に足を運んでいただき、実物を見て頂きたいと思っています。
      
 
         
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
03-3573-7075

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