メールマガジン/ブログ - 最新情報
2022年12月03日

「池田20世紀美術館」

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       今の美術業界を考える(その954)

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池田20世紀美術館         2022年12月3日
 絹谷幸太・絹谷香菜子二人展   2023年1月10日まで
              
 始めて静岡県の伊東高原にある池田20世紀美術館にいって参り
 ました。ニチレキ(株)創業者の池田栄一氏の寄付によりできた
 美術館で、ピカソ・シャガールからアンディウオーホルまで、
 20世紀に活躍された画家の収集作品が陳列されています。
 創設者は既にお亡くなりになられており、公益財団法人として、
 現在の方針としては現存作家の若手の育成を主軸に活動されている
 とのことでした。

 今回の訪問は、絹谷幸太さんより直接ショートメッセージを頂き
 まして、せっかくのご縁ですのでいって参りました。11月27
 日の日曜日の午後13時半より、妹さんの香菜子さんと幸太さん
 との2人のお話しを直接伺える機会ですし、何より池田20世紀
 美術館にも行ったことがなかったので楽しみに伺いました。
 (残念ながら妹さんは今回はこられませんでした)

 まず、日帰りでしたので車ではなく電車で伺う事にいたしました。
 静岡の伊東でとても良い場所ですから、社長からは1泊くらいして
 ゆっくりすれば? と言われたのですが、貧乏暇なしですので
 前後の予定をみて1日全日を開けましたが、2日のスケジュールは
 難しかったです。

 行きはは、東京駅から踊り子号で伊東高原駅まで伺い、そこから
 バスは1時間に1本でしたのでタクシーで行きました。帰りは、
 伊東高原駅から黒船列車というものに乗り、熱海から新幹線で
 帰りました。黒船列車というのがとても素敵で、椅子が海側の方に
 向かって座るようにできており、素晴らしい天気の、素晴らしい
 海辺の景色を拝見することができて、とても良かったです。

 今回、直接お話しをお伺いしてよかったと思うのは、偉大な父親を
 持つ芸術家の息子さん、娘さんたちはどのように育ったのだろうか
 という素朴な疑問に答えてくれる内容で、芸術家は環境が大切なのだ
 と改めて思いました。特に、幸太さんの妹思いには感激するものが
 あり、12歳の年の差があると半分、親のような気持ちになっている
 のがひしひしと伝わりました。

 改めて、芸術家というのは一番のパトロンが家族であり、家族の仲が
 良いことが芸術家として続けていくための必須条件であることを、絹谷
 幸太さんのお話をお伺いして確信いたしました。

益々ご活躍されるのだろうと思います。陰ながら応援しています。

 
                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
03-3573-7075
 

2022年11月26日

「展覧会 岡本太郎」

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       今の美術業界を考える(その953)

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展覧会 岡本太郎          2022年11月26日
               東京都美術館 12月28日まで
              
 上野の東京都美術館で開催している岡本太郎展を拝見してまいり
 ました。銀座柳画廊の目の前の数寄屋橋公園の中に、岡本太郎
 生誕100周年(2011年)を記念した「若い時計台」の作品
 がありますし、何より私の子どもの頃には、「芸術は爆発だ!」
 という言葉とともに、よくテレビにも出演されていた岡本太郎
 さんを身近に感じておりました。
 
 しかしです。画商として28年働いておりますが岡本太郎さんの
 作品を扱ったことは残念ながら一度もありません。何故ならば、
 岡本太郎さんは作品は売るものではないという考えをお持ちの方
 だったようです。自分の作品が個人のお客様の手元にいくと、
 その人にしか見てもらえないものになってしまい、多くの方の眼
 に触れる機会が減ってしまうため、美術品は公共のものであると
 いう考え方から、パブリックアートというか、公園とか壁画とか
 多くの人の眼に触れるところの仕事を好んでされていたと伺って
 います。

 また、工業デザインの走りでもあり、展覧会の中でも展示されて
 おりましたが、ネクタイのデザインから工業品のデザインなども
 されていたようです。

 今回、岡本太郎さんの人生と作品の全貌を拝見して、バラバラに
 あった知識がひとつのものに繋がった気がしています。職業を聞か
 れると「人間だ!」と答えるような、一見理解しがたいものが、
 非常に奥深い意味を持っている言葉であり、岡本太郎さんの言葉
 を集めたものや、著書なども何冊か購入させていただきました。

 漫画家の父親と、歌人で小説家の母を持ち、慶応の幼稚舎から芸大
 に進む恵まれた環境で、18の時に親の都合でフランスのパリに行き、
 そのまま第二次世界大戦前のパリに10年間一人で暮らしていた
 そうです。
 芸術家としては恵まれた環境の中、戦争にも駆り出され、戦後の日本の
 価値観の大きな変化の中で、表現者として正直に純粋にパワフルに生きた
 方なのだと思います。

 改めて岡本太郎さんの本当の姿にこの展覧会で出会えたようでとても嬉しく
 思っています。これから買い込んだ、岡本太郎の著書、言葉などなど、彼の
 生きた時代背景から、もっと深く、岡本太郎さんを研究しようと思います。
 この展覧会が私にとって、岡本太郎さんとの出会いになったことに感謝と
 ご縁を感じています。


 
                         
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
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2022年11月19日

「酉の市2022」

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       今の美術業界を考える(その952)

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酉の市2022           2022年11月19日
                          
 娘が2才の時に友人に連れられて、商売をやっているのだからと
 入谷の鳳神社に伺ったのが2000年だと思います。毎年、かか
 さずお参りに伺い、22年たちました。ご縁なので最初にふらり
 と立ち寄った、西野という熊手を制作する業者さんのところで
 ご縁をいただいて、毎年同じところで購入させてもらっています。

 商売を長年していると、神頼みというか、自分の力の及ばない所
 で仕事をさせてもらっていると感じることも多く、酉の市にくると
 そういう人で賑わっていることを実感しています。

 最初は夜に伺っていたのですが、仕事も忙しく、かといって熊手
 を購入しないのも気持ちが悪いので、ここ7〜8年は朝の早い
 時間に伺う事にしています。景気をかっこめということで、若い
 時には夜10時ごろから1時間以上ならんで、夜中の12時過ぎに
 家に帰るようなことをしておりましたが、最近は待つという事が
 苦手になりましたので、待たないで済む、朝の早い時間を選択
 しています。

 画廊巡りと同じで、流石に20年以上同じことを続けていると
 習慣といいますか、相手も私のことを覚えてくれるようになり
 ました。社長である夫は、最近は酉の市よりもお墓参りの方が、
 大切だとのことで、つきあってくれなくなり、私一人で伺うよう
 になりました。

 西野のお店の方々とのお話しも深いものがあり、彼らも景気には
 非常に敏感です。また熊手を購入にしくるお客様は、銀座柳画廊
 を始めとした中小企業、ベンチャー企業の経営者が多く、考えて
 いることの共通項が多くあることに気がづきました。

 長年、仕事をしていると自分の力だけではどうしようもない事に
 何度も直面いたします。リーマンショックや東北の震災、そして
 ロシアとウクライナの戦争、円安など、経営者にとっては毎日が
 不安定な環境の中で、自分の現場を守ることに必死なんです。

 そういう自分を見つめなおす時間として酉の市という場所に行って
 元気と勇気をもらっているのだと改めて感じています。 

                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
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2022年11月12日

「地球がまわる音を聴く」

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       今の美術業界を考える(その951)

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地球がまわる音を聴く        2022年11月12日
                          森美術館
              
 ネットで予約して、六本木の森美術館にいって参りました。久し
 ぶりに伺うので、事前予約をしないと入れないかと思い、ネット予約
 をした上で、伺いました。久しぶりに伺う、森美術館は同時開催で
 ‘ベルサイユのばら’と‘富樫義博展’が実施されており、その観客
 が非常に多く驚きました。

 サブタイトルの、‘パンデミック以降のウエルビーイング’という
 言葉に惹かれて、本展覧会を伺いました。展覧会のタイトルになって
 いる‘地球がまわる音を聴く’というのはアーティストのオノ・ヨ
 ―コさんのインストラクション・アートからの引用です。意識を
 壮大な宇宙へと誘い、私たちがその一部に過ぎないことを想像させ、
 新たな施策へと導いてくれる言葉です。

 今回の展覧会は2020年以降、目に見えないウイルスによって日常
 が奪われ、私たちの生活や心境が大きく変化しました。このような
 状況のなか、さまざまな芸術表現がかつてない切実さで心に響いて
 きます。この展来会では、パンデミック以降の新しい時代をいかに
 生きるか、心身ともに健康であるウエルビーイングとは何かを、現代
 アートに込められたさまざまな視点をとおして考えています。

 本展覧会は、芸術家がこのパンデミックをどのように捉えたのか
 を拝見することができ、改めて芸術家の仕事とは今の社会を自由な
 発想で表現することなのだと再確認させてもらいました。特に、現代
 アートという分野においては、自分の考えをビジュアルで表現して、
 ノンバーバルコミュニケーションで直感的に相手に伝えるものですから、
 後で、横のキャプションを拝読して納得する作品も多く見受けられ
 ました。

 私が個人的に興味を持った作品はミルストーンという作品でドイツの
 ヴォルフガング・ライブという作家が制作した作品です。白い大理石の
 上に、毎日、新鮮な牛乳を載せるという作品です。人の手を加えることで
 作品を維持するという考え方が、日本の伊勢神宮の遷都に通じるものが
 あるということです。永遠ということを考えた時に、一般的に西洋人は
 、作ったものを修復して古いままのものを良しとしますが、パンデミック
 の後だからかはわかりませんが、日本人のように、人の手を介して、同じ
 状態を維持し続けることで永遠を実現させる感性が西洋人にもあることが
 今回の展覧会での新しい発見でした。

 

                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
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2022年11月05日

「22世紀の民主主義」

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       今の美術業界を考える(その951)

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22世紀の民主主義           2022年11月5日
                   成田悠輔 著  SB新書
              
 最近、新聞、テレビなどでこの方の発言を拝見することが多く、
 面白いことを言われる方だな、、、と注目しておりましたので、
 著書を購入して読んでみました。

 目からうろこの提言書であり、近未来でこの話は実際にありえるな
 と思いました。本の帯には「民主主義が意識を失っている間に、
 手綱を失った資本主義が加速している。― 私たちはどこを目指せば
 いいのか? 人類は世の初めから気づいていた。人の能力や運や資源
 はおぞましく不平等なこと。」

 という下りで始まるこの本は、ピケティが指摘するように行き過ぎた
 資本主義で格差が拡大している現代社会において、弱者を救うための
 セーフティーネットであるはずの民主主義が腐敗している。という問題
 提起から始まっています。

 民主主義の根幹である選挙が、現代社会においてSNSの影響力が強まり
 多くの不正選挙の温床になっていると指摘しています。民主主義とは
 何かという根本的な問いからはじまり、それを支える選挙制度に無理が
 ないかと著書は訴えています。そもそも、何百年も前に始まった紙に
 よる選挙が、ネット選挙に移行できないだけでなく、アメリカの大統領
 選挙でみたような不正といわれる問題に直面しています。また、今回
 のコロナ対策から、その影響による経済対策においても、民主主義が
 進んでいると言われている国ほど、上手く機能しなかったとも言われて
 います。

 現実の社会において、資本主義からの逃亡ということで、タックスヘブン
 があるように、民主主義からの逃亡ということで、実験的にいくつか
 の場所で、独立国を作ろうという試みが行われているようです。
 今後、宇宙やメタバースといった空間で新しい国家が設立されることも
 著書は予想しています。

 最後の構想の章では、政治家不要論で、民主主義とはデータの変換であると
 いう著書の主張から、無意識データをアルゴリズムにより政策立案をする事
 で将来、政治家は不要になるというものでした。

 今の段階では突飛な提言に思われるかもしれませんが、もしかすると既に、
 どこかの国で実験が始まっているのかもしれません。人間がAIに動かさ
 れる未来の中に、政治でもAIが主導していく時代がくると考えると、
 あながち避けられない未来なのかもしれません。

 

                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
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2022年10月29日

「泰明小学校の画廊巡り」

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       今の美術業界を考える(その950)

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泰明小学校の画廊巡り2022    2022年10月29日
                   
 本年も先週の金曜日に泰明小学校の画廊巡りを実施して参りました。
 この活動も10年以上の継続事業となっており、泰明小学校の児童
 にとっても人気のプログラムになっているようです。

 私の作業は主に2つです。
 ご協力いただける画廊さんを募り、スケジュール調整をすること。
 画廊は絵を販売するところですから、準備をしていても当日に、
 商談がはいればキャンセルになりますし、当日に準備していた説明
 をされる方が風邪をひいたとのことでキャンセルになってしまうと、
 担当者の変更や順路の変更の対応を、ギリギリまで調整いたします。

 また、子ども達を引率するボランティアの手配です。こちらの方は
 私の所属する東京中央新ロータリークラブの皆さまにお願いしており
 ますが、なかなか人数があつまりません。参加すると言われていても、
 経営者の方々ですので仕事が入って、ぼつぼつとキャンセルが出て
 まいります。当日に来られない方も毎年出てまいります。

 つまり、人の手配が殆どでして、参加される方からはとても評判が
 よく、学校側でも子どもたちが、それぞれに別の画廊に行ってきます
 ので、学校に帰ってからしばらくの間、銀座の画廊の話題で大いに
 盛り上がるのだそうです。図工美術の先生からは、しばらく子ども達
 が真剣に授業に取り組んでくれるようになるので、モチベーション
 が上がると言われています。

 やりがいはありますし、長年続けていると、泰明小学校の卒業生が
 美大に入ったからと銀座柳画廊の報告に来てくれたり、社会人になった
 からと銀座で飲みに行く前に立ち寄ってくれたりいたします。
 嬉しいことがたくさんあるのですが、それなりに苦労もあるんです。
 
 小学生ですから、興奮するとどういう行動をするかがわかりません。
 一番、気を遣うのが、ギャルリーためながさんのような高額な作品を
 置いているところで走り回られると、大きな声をだして怒りたくなって
 しまいます。また、友達と銀座の街を歩いているので、ふらりと車道の
 方にでていたり、細い道で自転車とぶつかりそうになったりと危険とも
 隣りあわせです。

 何はともあれ、子ども達が無事に安全に、美術に親しむことが出来、一緒に
 ご父兄やロータリアンにも芸術の秋を満喫してもらっていることに感謝して
 います。

                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
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2022年10月22日

「竹内栖鳳」

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       今の美術業界を考える(その949)

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竹内栖鳳              2022年10月22日
山種美術館  没後80年記念        12月4日まで
              
 山種美術館で開催されている、没後80年の竹内栖鳳展を拝見して
 まいりました。このコラムを書いていて良いのは、ネタにつまると
 「美術館にいって参ります」と業務として美術館に伺えることです。

 経営者なのですから、気にしないで外に出ればよいのですが、何故
 かサラリーマン時代の名残で、オフィスにいないことに罪悪感を
 感じています。しかし、苦しい時期も乗り越えて、改めて経営者の
 仕事は画廊にいることではなく、数字を作ることだと確信しています。

 さてさて前置きが長くなりましたが、「西の栖鳳、東の大観」と
 言われるほどの実力者であった竹内栖鳳の展覧会でしたが、流石
 の一言でした。京都画壇を代表する一人であり、1864年に生を
 受け、日本が明治にはいり大きく変化していく中で、日本文化の
 中心にあった竹内栖鳳の生きざまは、今の画家にも大きく影響を
 与えていると確信しています。

 竹内栖鳳が36歳の時に、パリ万博にも作品を出品し、視察を兼ね
 て7ケ月をかけてヨーロッパを旅行し、その中でターナーやコロー
 などから大きな影響を受けたと言われています。

 当時の日本は、欧米に追い付け追い越せの時代であり、絵画といえば
 西洋絵画がもてはやされた時代で、黒田清輝のようにヨーロッパで
 学び、西洋絵画を描く画家がちやほやされた時代です。その時代に
 日本画というものを再定義した日本画家のひとりが竹内栖鳳なのだ
 と思います。

 彼の才能は若い頃から評価されており、「けものを描けば、その匂い
 まで表現できる」と言われたほどの実力があり、その言葉を実感でき
 るのが、今回の展覧会のチラシやポスターにも使われている「班猫」
 (重要文化財)だと思います。

 現代の私達が、その作品を拝見しても、動物や魚、植物などを観察する
 目が優しく、竹内栖鳳の感動やその時の気持ちまでもが表現されている
 ようで、けものの匂いだけでなく、自分の気持ちも絵の中に表現できる
 画家なのだと思います。

 機会があれば是非、足を運んだ見てください。

 

                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
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2022年10月15日

「ピカソとその時代」

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       今の美術業界を考える(その948)

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ピカソとその時代          2022年10月15日
ベルリン国立ベルクグリューン美術館展    国立西洋美術館
              
 国立西洋美術館で実施している「ピカソとその時代」というテーマ
 で、ベルリン国立ベルクグリューン美術館展を拝見してきました。
 ドイツ生まれの美術商のハインツ・ベルクグリューン(1914−
 2007年)が第二次世界大戦が終わった1948年からパリで
 画廊を経営しながら自分自身のためにコレクションを集めました。

 非常に特色のあるコレクションであり、ピカソを中心にパウル・クレ
 ー、アンリマティス、アルベルト・ジャコメッティに重点が置かれて
 います。特にピカソに関しては、初期のころから晩年にいたるまで、
 全ての時代を網羅したコレクションを拝見することができました。

 特に、2室の最初の作品は、20代の頃に銀座柳画廊の社長が扱った
 ことのあるピカソの青の時代の作品で、今はベルクグリューン美術館
 に収められているのかと一人で感動いたしました。

 今回初めて知ったのですが、ピカソは1940年6月から1944年
 8月まで続いたナチス・ドイツ占領下のパリでピカソは要注意人物
 として扱われており、その4年間は作品を発表することも許されずに
 アトリエに籠って作品を描いていたようです。

 その時期に描かれた「横たわる裸婦」という大作が陳列されていたの
 ですが、ピカソはその当時、直接的に反戦的な作品は描いておりません
 が、「横たわる裸婦」に込められた思いは、女性美と官能性は否定
 されており、独房のような閉ざされた部屋の中で横たわる女性を描く
 ことで自分の思いを表現されていたのだと思います。

 今も、世界で戦争が行われている中で、この作品と対峙すると、画家
 としてのピカソの思いを共有できるような気がしました。ドイツに
 占領されていたパリで、絵を描き続け、ピカソやパウルクレーといった
 前衛芸術家は当時のナチスに退廃芸術と言われながら、創作活動を続け
 ていたのですから、ピカソといえども順風満帆の芸術家人生ではなかっ
 たことがわかります。

 またベルクグリューン氏は画商でありながら、当時のアートフェアには参加
 せずに、独自の考えで自分の画廊での展覧会を大切にされたという考え方が
 銀座柳画廊の社長の考えにも通じるものがあり、多くの事を考えさせられ、
 学ぶことの多い展覧会でした。イヤホンガイドもお勧めです!

 ピカソ好きの方には必見の展覧会だと思います。来年1月22日まで開催され
 ているようです。
 

                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
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2022年10月08日

「第2回 松沢真紀個展」

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       今の美術業界を考える(その947)

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第2回 松沢真紀個展         2022年10月8日
              
銀座柳画廊で第2回目となる松沢真紀先生の個展を10月7日から
10月15日まで無休で実施しています。松沢先生は銀座柳画廊の
取り扱い作家の中では、若手の女流作家です。最近、感じるのは
若い女性が各方面で活躍されているということです。

絵の世界だけでなく、あらゆる分野で日本の若い女性が活躍している
のを感じています。私の世代は男女雇用平等法の1期生のあたり
ですので、まだまだ社会が女性の扱いに戸惑っていた時代ですが、
今は世の中も女性の社会進出を当然と受け止められるようになって
いると感じています。

絵を描くということは、家でできる仕事ですし、24時間いつでも
自分の自由に仕事配分が可能な仕事ですから、何故いままでは男性
社会だったのか不思議で仕方がありません。

松沢先生は相当な覚悟を持って絵を描かれています。それは、仕事
として一生描き続けたいという気持ちを強くお持ちだという事です。
画家という仕事は、本人の気持ちがとても大切な仕事ですので、
日曜画家とか、他の仕事をしながら絵を描くという方もいらっしゃると
思いますが、それほど簡単な仕事ではありません。

本人の考えている事全てが絵にでてくると思っています。絵を描くの
が好きだというレベルでは、とても職業画家にはなれません。
松沢先生からは、一生絵を描いて生きていくという覚悟が、潔いくらい
感じられ、頼もしく感じています。

家族の応援が非常に大切なのが画家という仕事なのだと思っています。
そういう意味においても、松沢先生のご家族はご両親をはじめ、ご
主人さまも含めて、彼女の画家人生を応援されています。それは、彼女
の制作に対する真摯な気持ちがそうさせるのだと私は思っています。

コロナの中でもひるむことなく、いくつかの展覧会も中止になったと
伺っています。そうした中でも、迷うことなく絵を描き続け、今回の第
2回銀座柳画廊の個展に繋がっていると思っています。
松沢先生の絵に対するまっすぐな思いは、画面全体を覆っていて、気持ち
よく私たちの心に響いてくれています。

松沢先生の眼を通した、自然の風景を拝見しに、是非、画廊に来ていただき
たいと思っています。多くの方のご高覧をお待ちしています。
 

                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
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2022年10月01日

「ボストン美術館展(芸術 x 力)」

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       今の美術業界を考える(その946)

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ボストン美術館展(芸術x力)     2022年10月1日
              10月2日まで  東京都美術館
              
東京都美術館で開催しているボストン美術館展にいって参りました。
ボストン美術館は日本美術が充実していることで知られており、
私も何度も伺ったことがあります。しかも、ボストン美術館の美術
品は明治の時代に岡倉天心がおさめたものも多く、その後、岡倉
天心がボストン美術館で働いていたこともあり、敷地内に天心園と
名前のついた日本庭園もあるほどです。

今回のボストン美術館展のテーマは「芸術 x 力」ということで、
歴史的に美術品が権力者の権力を世間に知らしめるために利用され
た事実や、権力を持った方がお金とともに求めたものが美術品
であるということを作品を通して伝える展覧会となっています。

本来2020年のボストン美術館150周年記念行事の一環として
東京都美術館が計画していた展覧会がコロナの影響でずれてしまい
2022年に実施されているということです。

今回、ボストン美術館から来ている作品は日本のものだけでなく、
エジプト、ヨーロッパ、インド、中国の作品がきており、その中
には、宝石から陶器、刀といったものも含まれた60点の作品展示
となっています。

その中で、私が面白いと興味を持ったのは吉備大臣入唐絵巻という
巻絵でした。美術品からも日本と中国との交流の深さを感じること
ができ、多大な影響を受けていることが美術品を通して理解できま
した。

それと同時に、収集された作品たちの多くが、その時代にアメリカ
という国は存在しておらず、自分の国がない時代の世界中の美術品を
集めているということでした。しかし、アメリカという概念も、その
土地には古くから人(インディアン)は住んでいて、彼らにも文化は
あったけれども、収集展示は行っていないということだと思います。
別の角度で考えると、今の中国は毛沢東の時代に建国されたのが今の
中国であって、それまでの中国大陸にあった国は、今の中国とは違う
国である(民族も)ということです。

美術を通して権力とか、国などを考えてみると、色々な真実が美術品を
通してその時の権力者の思いが伝わるのだと思います。その意味で、
今回の展覧会は、世界中の歴史の真実について考える良い機会となりま
した。

 

                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
03-3573-7075
 


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