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今の美術業界を考える(その860)
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アート政策勉強会 2021年3月6日
またご縁を頂いて、美術商の仲間とアート政策勉強会を実施する
ことになりました。10年前も5年間ほどボランティアで働かせて
頂きましたが、美術商の中でのコミュニケーションの難しさから
少し離れておりました。
もともと勉強することは好きな方ですので、多様なジャンルを内包
する日本の美術マーケットの整理と、その発展と市場を拡大する
ための必要な政策をまとめて提言することを目的としています。
非常に壮大なスケールでものを考える必要があり、多くの人が感じて
いる美術品の値段が不透明だという問いに対して、私達、美術商の
答えは、常に値段は動いており、取引があったのその一瞬の値段
でしかないというのが実感なのですが、それでは多くの人の理解を
得ることは難しく、議論が前にすすまないと言われています。
そういう声にこたえるために、東京美術倶楽部という組織が、新たに
一般財団法人 東美鑑定評価機構(https://toobi-tocfa.or.jp/)
という組織を作り、そちらで鑑定業務と美術品の評価をしています。
もちろん、銀座柳画廊も東京美術倶楽部に所属している美術商です
から、この組織へのパイプもありますし、そもそも美術商の世界は
非常に狭い世界ですので、長く商売をしている方であれば古美術から
現代アートまで一括して作品を見て評価することは仲間の力を借り
れば可能です。
問題なのは、我々、美術商は多くの時間を同業者や作家とお客様
との間で過ごすことで、我々が美術に興味のない人からどのように
みられているかを全く意識しておらず、自分たちの置かれている状況
を正確に認知していないことです。
まずは、客観的に我々の業界のポジションを謙虚に把握し、同業者の
中での序列は外部の方からは全く意味のないことを理解しなければ
いけないと思っています。
これからの社会の変化のスピードは、コロナ禍によるIT化の流れに
より急激にスピードアップしていきます。文化資源大国である日本が
宝の持ち腐れにならないように、少しでも貢献していきたいと心から
思っています。
文責 野呂洋子