メールマガジン/ブログ - 最新情報
2026年09月05日

「イーロン・マスク」

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      今の美術業界を考える(その1151)


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イーロン・マスク            2026年9月5日
ウォルター・アイザックソン著 井口耕二 訳    文芸春秋 

まだ55歳という世界的な有名人の傍に2年間、影のようについて
周り、この本を書き上げたという分厚い著書を2冊拝読いたしました。
そもそも、インタビューした先も、本人の父親、母親、兄弟、従兄
からはじまり、社員や取引先など、辞めた社員も含めて別れた妻や
秘書、敵と思われる方にも取材されています。会議にも同席し、
電子メールや各種書類も拝読されたとのことです。

何より驚くのは、イーロン・マスク本人がこの書著が刊行される前
に内容を全くチェックしていないということにも驚きました。

ですので、この本から得られるイーロン・マスクは、あくまでも
著書であるウォルター・アイザックソンという方の主観が入って
おり、私が感じたのは、イーロンの取材を通して、イーロンの
ファンになった方だとも思いました。

しかし、この文章を読む限りにおいては、イーロンマスクという世界
で最も影響力のある大金持ちは、私利私欲よりも世界の発展に1ミリ
でも貢献しようとして、本気で自分が生きている間に人類を火星に
送り届けることをミッションとして感じている人なのだということは
真実なのだろうと思いました。

また多動症というか自分も認めるアスペルガー障害の生きずらさを
ビジネスの上で強みに変えた方でもあり、高度成長期の時期に働いて
いた父親を持つ私からすると、昔の日本人はスペースXやテスラの
ような働き方をしており、エコノミックアニマルと呼ばれていました。

ですから、業績を伸ばす会社はイーロンのようにエコノミックアニ
マルのように働く集団であることは今も変わらないのではないかと
感じてしまいました。今の日本を含む先進国ではそれが難しいから
こそ、差別化されているのだと感じました。
女性関係に関しても、色々と問題というか変わった趣味を持たれて
おりますが、こちらは私には関係のないことですので、読み飛ばし
ました。宇宙とAIに対する関心は、私も大いに共感する部分があり、
AIが高度に発達することで人類を滅ぼすのではないかという恐怖に
対して、イーロンはAIとともに成長するニューラリンクという会社
を設立して、人間の脳に直接チップを内蔵して、考えるだけで、AI
とコミュニケーションをとり情報をやりとりすることを実行されて
います。

地球と人類の未来に対してコミットされているイーロンマスクの今後
は、私にとって目を離すことが出来ない一人となりました。
  

        
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
           03-3573-7075

2026年08月29日

「ニューヨークの藤田嗣治」

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      今の美術業界を考える(その1150)


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ニューヨークの藤田嗣治      2026年8月29日
軽井沢安東美術館       2027年1月11日まで 

軽井沢の安東美術館で開催しているニューヨークの藤田嗣治という
企画展示を拝見してきました。こちらの美術館は藤田嗣治を中心に
作品展示をする美術館で、非常に珍しい美術館だと思います。

そもそも一人の作家に絞って企画展示をしようとすると、企画を
考えるのが非常に難しいにもかかわらず、この美術館では次々と
興味深い展示を拝見させてもらっています。

その中でも、今回の‘ニューヨークの藤田嗣治’は私にとって、
とても勉強になり刺激的なものでした。私の大好きな安東美術館
所蔵の‘猫の教室’1949年作 の作品も、このニューヨーク
時代に描かれたものです。

藤田嗣治は戦争画を描いたことで、その後、日本の画壇との距離を
感じて戦後はパリに戻ることを決意するものの、敗戦国となった
日本からはなかなか渡航がかなわなかったようです。そうした中で
言葉が出来たことから戦後、GHQの関係者との通訳などをした事
から帰国したGHQ関係者からのオファーでニューヨークの美術学校で
絵を教える非常勤講師のような職を得て、ニューヨークに渡ります。

そのニューヨーク滞在中の1949年11月にマシアス・コモール
画廊にてニューヨーク滞在中の作品を発表され、大成功をおさめて
います。その時に描かれたのが、動物を擬人化したシリーズである
‘猫の教室’やポーラ美術館所蔵の‘ラ・フォンテーヌ頌’などが
あります。この2点が同時に展示されるのは、実にポール・ペトリ
デス画廊での個展以来、76年ぶりとのことです。

10ケ月のニューヨーク滞在を経て、パリに戻った藤田は有名な話
ですが日本には二度と戻ることはありませんでした。時代に翻弄され
ながら、世界で活躍された藤田嗣治氏の人生は日本人のスケールを
大きく超えたものだと思います。

私の個人的な感想としては、語学にたいする柔軟性もあると思います。
外国語だけでなく、日本語もあまりしゃべらない日本人絵描きが多い
中で、日本語と英語だけでなくフランス語も操ることのできた藤田は
大きなアドバンテージがあったと思います。

勿論、その理由のひとつにフランス人女性との結婚もあげられると思
います。郷に入れば郷に従えという言葉通り、藤田嗣治の生き方その
ものが、芸術や哲学を語るのに充分に値するものなのだと思います。
  

 
        
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
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2026年08月22日

「瀧口修造」

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      今の美術業界を考える(その1149)


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瀧口修造               2026年8月22日
書くことと描くこと
アルチゾンミュージアム      2026年10月4日まで 

アルチゾンミュージアムで瀧口修造の作品展示をやっているという
ことでしたので、拝見してまいりました。私にとって、瀧口修造
という方は美術評論家で、年々か前にBunkamura Museum でミロ展
をされたときに、やりとりの書簡を拝見して、面白い方だな、、、
と思っておりました。

この方は小林秀雄さんとも、同人「山繭」を通じてご縁があり
文章を通じてシュルレアリスムを日本に紹介した方でもあります。
小林秀雄さんも、日本に印象派を紹介した方として有名ですが、
この瀧口修造氏もシュルレアリスムをはじめとして、ダダイズム
やアンドレ・ブルトンなど、多くの海外の芸術家を日本に紹介
された方でもあります。

そういう方が描いた作品163点をアルチゾン・ミュージアムが
所蔵されているというので、拝見してまいりました。予想した
とおり、抽象絵画であり、サブタイトルに「書くことと、描くこと」
とあるように、言葉ではない人に伝える方法として描くことを
実行されたのだと思いました。

ご本人は1920年代にシュルレアリスムの影響のもとに詩作を
はじめ、1930年代から戦後にかけて、ポール・セザンヌから
同時代に至る美術についての施策と著述を重ねていく瀧口は「書く」
ことが中心でした。
その瀧口が1960年代に入ると、本人が「デッサン」と称する
造形作品の制作を始められ、今までは私も含めて、瀧口修造氏の
「書く」仕事を中心に拝見したものを、「描く」仕事を初めて
拝見する機会となりました。

抽象絵画でもありますので、評価はまだまだこれからですが、何
しろ今までは殆ど人の目に触れることの少なかったものですから、
あれだけの思想を持たれた方の作品にどのような評価が加わって
いくのか楽しみでもあります。

個人的には多くの人の影響を感じ取れる作品となっておりますが、
評価に関してはこれからも若い方々の反応を楽しみに、市場で
どのように評価されていくのかを期待したいと思っています。

  

 
        
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
03-3573-7075

2026年08月15日

「高島野十郎展」

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      今の美術業界を考える(その1148)


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高島野十郎展             2026年8月15日
渋谷区立松濤美術館         2026年9月6日まで   

 渋谷区立松涛美術館に高島野十郎展を拝見しにいって参りました。
 この展覧会は今年の6月に大阪で拝見しようと思っていたところ、
 飛行機の時間の都合で伺えず、残念に思っておりました。作家の
 ことはあまりしらず、ただポスターで蝋燭の絵が気になって、
 行きたいな、、、、と思っていて、よく作家のことも知らない
 まま拝見してまいりました。

 行ってみて、拝見して想像以上の内容で圧巻でした。絵だけでなく、
 この高島野十郎という方の人生そのものにも、興味を持ちました。
 作品からは、明治の方かな??? と思っておりましたが、それは
 その通りで、作品の質といい、生き方といい、芸術家らしい生き方
 をされた方なのだと改めて思いました。

 私のような仕事をしていると、絵の力だけで作品が残るのは難しい
 と思っています。それを伝える方がいて、初めてその作品の良さ
 が伝わるのだと思います。

 この高島野十郎さんも、この時代の絵描きの御多分にもれず、裕福
 な家の5男として生まれ、生涯独身で過ごされました。人づきあい
 が悪いとも言われたようですが、そんなことはなく、多くない親しい
 方々と長く親密なお付き合いをされています。所謂、画壇という
 所に所属せず、絵描きではなく自分と感性の合う方とお付き合いを
 されていたようです。

 特に、私の気になっていた蝋燭の作品はオークションデータで調べ
 ると、サムホールの小さな作品でも2000万円以上で落札されて
 いて驚きました。風景画などでは8号から10号くらいで200〜
 400万円くらいですので、無名とは言えない作家であることが
 わかりました。

 ただ、私が知らなかっただけという無知をこちらのコラムで報告して
 いるような形になりましたが、良いものは良いのだと嬉しくなりまし
 た。また、この蝋燭という作品は生前に販売したこともないそうで、
 野十郎さんが、この人にと思った方に差し上げていらっしゃったよう
 です。

 没後50年ということですが、多くの明治、大正、昭和を生き抜いた
 作家の相場が没落していく中で、画壇ではおおくの活動をされてこな
 かった野十郎氏が、こうやってスポットライトを浴びていることに
 日本の美術界の奥深さを感じています。
        
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
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2026年08月08日

「カフェに集う芸術家」

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      今の美術業界を考える(その1147)


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カフェに集う芸術家           2026年8月8日
印象派からゴッホ、ロートレック、ピカソまで
三菱一号館美術館         2026年9月23日まで   

 三菱一号館美術館に行って参りました。都心の銀座の近くにある
 美術館なので、近くて助かります。またこの日は偶然に梅田画廊
 の社長にも会場でお会いして、皆さん勉強しているんだな、、、、
 と思いました。

 この展覧会は、エコール・ド・パリと言われたパリのサロンである
 カフェにスポットライトをあてて展示をされています。というのも
 19世紀半ば以降、パリにはカフェやキャバレーが次々と誕生
 しました。そして、その場所は単に飲食を供する場所ではなくて、
 芸術家たちの交流場所であり文化の発信地として機能していたの
 です。

 若きモネやルノワールたちが、マネを慕ってモンマルトル周辺の
 カフェ・ゲルボワに集まり、その繋がりから印象派が生まれたこと
 は良く知られています。
 「パリの頭脳」とも称され芸術性を売りにしたキャバレー「シャ・
 ノワール(黒猫)」では、画家リヴィエールによる洗練された影絵
 芝居が人気を博しました。ゴッホと同じ画塾で学んだトゥールーズ
 =ロートレックはカフェ・コンセール(ディヴァン・ジャポネ)や
 キャバレー(ル・ミルリトン)の常連となり、出演ダンサーや歌い
 手たちを次々と描き、一世を風靡いたしました。

 今回の展覧会は三菱一号館が所蔵するトゥールーズ・ロートレック
 の作品と、印象派を中心とするコレクションを持つ ひろしま美術館
 の作品群で行う特別展です。

 パリのカフェ文化から生まれた芸術家たちを追うことで、その当時の
 時代背景や、エコール・ド・パリといわしめたパリの様子を絵画や
 ポスターを通じて知ることが出来る展覧会です。
 私たちの馴染み深い作品も多く拝見することができ、今はもうなく
 なってしまった古き良きパリを思い起こすことができると思います。

 パリに憧れた多くの日本人も、この時代のパリに憧れていたのだと
 思います。
 
        
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
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2026年08月01日

「藤田嗣治パリを歩く」

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      今の美術業界を考える(その1146)


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藤田嗣治パリを歩く           2026年8月1日
清水敏男 著                   東京書籍

 藤田嗣治の取引のご縁から、清水敏男さんという藤田嗣治の研究者
 のご紹介を頂き、ご著書を拝読させていただきました。
 藤田嗣治に関する本は何冊か読んでおりますが、この本は今まで
 読んだ本の中でも秀逸でした。

 清水さんは直接、藤田嗣治とお会いしたことはないようですが、今
 は亡き、最後の奥様の君代夫人とはやりとりされており、藤田の
 足跡を丁寧に追われた内容となっています。

 この本自体が、2021年に刊行されたものですし、本の内容も
 清水氏が藤田の足跡を追ってパリを歩きながら回想されたものと
 なっておりますが、若い頃からの藤田の研究のエッセンスが随所
 に現れており、深い考察の上で、藤田の目で見たパリを丁寧に
 描いています。

 また、藤田が亡くなられたのがスイスのチューリッヒの病院なの
 ですが、そこに対する考察も藤田のパトロンのご縁であることを
 初めて知りました。

 銀座柳画廊で扱っている多くの日本人画家もパリに住んだり、パリ
 の風景に影響された方が多くいらっしゃいます。そして、言葉には
 いたしませんが、彼らの中には藤田嗣治に対するライバル心のよう
 なものを少なからず持っていることを感じます。

 エコールドパリと言われた、世界中の画家を魅了し引き寄せたパリ
 という街で画家として成功するということが、当時では世界で成功
 するという意味と同義語だったことがよくわかります。

 現代におきかえると、そのパリという街の魅力がかなり薄れてしま
 い、ニューヨークが芸術の都になっているように感じますが、それも
 商業的な芸術であり、私にとっても古き良きパリを今でも残して
 いるのはギャルリーためながさんだけではないかとひそかに感じて
 います。

 芸術の世界も覇権が西洋から東洋に移ると言われている中で、藤田
 嗣治はまさしく、その架け橋となる芸術家の一人だと思います。
 
        
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
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2026年07月25日

「ピカソ meets ポールスミス」

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      今の美術業界を考える(その1145)


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ピカソ meets ポール・スミス     2026年7月25日
国立新美術館                9月21日まで

 六本木の新国立美術館で開催している‘ピカソ meets  ポール・
 スミス‘ を拝見してまいりました。
 この展覧会はパリ国立ピカソ美術館が所蔵するパブロ・ピカソの
 作品にインスピレーション得て、英国人デザイナーのポール・ス
 ミスが会場のレイアウトを考察する、かつてない展覧会です。

 2023年にパリで開催されたピカソ没後50周年記念の特別展
 「ピカソ・セレブレーション;コレクションに新たな光を!」を
 基にした国際巡回展です。

 ピカソは誰もが知っている大芸術家です。またポール・スミスは
 現存するイギリス出身のデザイナーで、私の認識では銀座にも
 ショップを構え、黄色とブルーのコントラストが代表的なイメージ
 のデザイナーさんです。

 ピカソの作品をデザイナーがキュレーションすることで、見せ方
 にもポール・スミスのカラーが随所にみられました。ブルーと
 黄色のストライプはまさしく、ポール・スミスそのものになって
 しまいますので、ポール・スミスらしい見せ方やピカソの解釈
 を拝見することができて、楽しめました。

 ピカソはそれだけで大芸術家ですが、違うエッセンスを加える事
 で楽しめるコンテンツであることも感じました。サブタイトルの
 ‘遊び心の冒険へ’とあるように、ピカソはヨーロッパを舞台に
 2回の大きな大戦を経験している画家でありながら、絶えず遊び
 心を忘れず、楽しいこと、美しい事、未来を考えることができた
 作家なのだと思いました。

 なかなか、これだけ厳しい時代の中で生きていると明るい未来を
 描くことが難しい環境の中で、ピカソは常に遊び心を持って、
 明るい未来を信じていたことを、彼の芸術活動を通して感じる事が
 できました。

 特に晩年に出会った陶芸の仕事にも情熱を燃やして、日本でもヨック
 モック・ミュージアムがピカソのセラミックを専門にした美術館を
 つくるくらい新しい芸術分野を開拓されたことには驚きます。

 ポール・スミスという別ジャンルのデザイナーにもインスピレーション
 を与えて、ピカソという芸術家が再定義されることで、パワフルに
 生き抜いた芸術家の一生を拝見させていただきました。
 
        
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
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2026年07月18日

「軽井沢セゾン現代美術館」

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      今の美術業界を考える(その1144)


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軽井沢セゾン現代美術館        2026年7月18日

 今年の6月26日にリニューアルオープンされたセゾン現代美術館
 に行って参りました。緑豊かな場所の現代アートを楽しめる場所で
 個人的にはお庭とカフェが気に入っています。

 今回の展覧会のタイトルは「ソコからみたキセキ」ということで、
 宇宙を感じさせるタイトルで、軽井沢の浅間山も、幾度もの噴火を
 経て、現在の軽井沢の豊かな森をはぐくんできたとのことです。

 このセゾン現代美術館が浅間山のふもとにある美術館ということを
 改めて意識した展覧会ということです。

 ご縁があって、館長の堤たか雄氏とは先日、夫婦でお食事をさせて
 いただきました。美術に対する思いも深く、スケールの大きな考え方
 をされています。

 そのひとつが、この美術館の展示でキャプションを外すということ
 です。画廊もそうですが、美術館に来られる多くの方が絵を見る
 時間よりもキャプションを拝見して、暗記をするというか、絵を
 鑑賞することよりも、知識の蓄積を優先することに疑問を持たれて
 絵を味わってもらいたいという配慮からキャプションを外された
 ようです。勿論、作家名とタイトルを知りたい人にはQRコードで
 探せばわかるようにされておりますが、作品の横にはキャプション
 を外されています。

 なかなか出来ないことですが、本当に絵画を味わってもらいたいと
 いう堤館長の思いが伝わってまいりました。また、入口には館長と
 学芸員の会話のないようを展示されておりましたが、館長自らが
 ナナフシと名乗っておりました。

 それは、館長いわく、人間社会における美術館は生態系のなかでの
 ナナフシと位置付けているからということです。ナナフシは、堤
 館長が一番好きな昆虫で、何の役にたつかわからないと思われて
 おりますが、葉を食べることで森林の更新を進めるという重要な
 役割を担っています。

 美術にたいする深い愛情と、真摯な姿勢を感じることの出来る、
 新しい館長の思いが詰まった展示となっておりました。お近くに
 お立ち寄りの方はぜひ、拝見してみてください。ゆっくり過ごさ
 れることをお勧めします。カフェでのお茶付きで3300円です
 ので、そこで時間を過ごすことに価値のある場所と内容ですので、
 時間に余裕をもって伺うことをお勧めいたします。

 
 
        
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
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2026年07月11日

「絶滅写真 杉本博司」

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      今の美術業界を考える(その1143)


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杉本博司 絶滅写真展         2026年7月11日
東京国立近代美術館             9月13日まで

 写真、建築、舞台芸術の演出など、ジャンルを超えて活躍されてい
 る、杉本博司(1948−)さんの展覧会を拝見してまいりました。
 この方の原点は銀塩写真といって、現代のデジタルカメラが全盛の
 現代にとっては絶滅写真といっても不思議ではありません。
 しかし、このタイトルにはもっと深い意味が込められています。

 確たるコンセプトに基づく、独自の表現による作品は、銀塩写真の
 頂点を極めるものであり、その技法自体がまさに「絶滅が危惧され
 るもの」のひとつでもあります。その杉本博司氏による初期の19 
 70年代後半から現代にいたる銀塩写真60点を展観されています。

 杉本博司氏が評価を確立させるきっかけとなった「ジオラマ」シ
 リーズから始まりますが、博物館などの過去の複製のものを「写真」
 を取ることで、あたかも命を吹き込むという作業をされたことに
 写真というものの可能性を感じました。

 また、当時の現代アートの世界では抽象絵画やコンセプチュアルアー
 トが中心で、写真という媒体がまだ美術としての地位を確固たるもの
 として確立されていな時代に、杉本博司氏は、写真を芸術の柱として
 確率させることを決意されたそうです。50年たった今、杉本氏の
 野望は達成されたのではないでしょうか?

 また、今回 私が展示を拝見していて心に響いたものとして、写真という
 ものは光の芸術であり、光を捉えることで前半はモノクロームの写真が
 ほとんどでした。
 しかしながら、光というものは分割していくと色がでてくるというもの
 でして、プリズムなどを利用して光を分解していくと様々な色が現れて
 こられるのも、作品として表現されています。

 また、静電気は銀塩写真の現像作業には非常にやっかいな代物であるが
 ゆえに、その電気を作品として挑戦されていることにも杉本博司氏の
 知性というものを、ひしひしと感じました。さらに、銀塩写真が絶滅
 写真という表現をするだけでなく、地球上に繁殖した人類というもの
 に対しても、同じ目線を投げかけていることに私は共感してしまい
 ました。

 今の時代の世相を敏感に感じて、作品として表現されている世界的な
 現代作家さんなのだと思います。
 
 
        
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
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2026年07月04日

「日本医科大学・八重洲健診ステーション」

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      今の美術業界を考える(その1142)


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日本医科大学              2026年7月3日
八重洲健診ステーション

 今年の6月30日に東京駅八重洲口徒歩1分の場所に、日本医科
 大学による検診ステーションがオープンいたしました。
 銀座柳画廊はロータリークラブの友人から日本医科大学の教授を
 ご紹介され、新しい診療所に素敵な絵を掛けたいけれど、予算が
 潤沢にあるわけではないので、レンタルしてくれる画廊を紹介
 してくれということでご縁を頂きました。
 
 最初、社長と弊社の営業マンからは反対の意見で、手間ばかり
 かかって、大した数字にはならないので、やるのであれば副社長
 一人でやるか僕たちは外してくれというものでした。
 私ひとりでは、勿論無理ですので女性スタッフに協力してもらう
 ことを了解してもらい、まとめ役の弊社の加藤の了解をもらって
 この話をすすめさせてもらうことにしました。

 私としては、画廊巡りと同じで、この仕事単発では利益は出ない
 ことはわかっておりますが、少なくとも現役の作家の広報活動に
 つながると思いますし、作業をすすめることで新しく入った女性
 スタッフの社会的コミュニケーションスキルが上がることも期待
 して受けています。何より、紹介してくれたロータリアンの顔を
 つぶすわけにもいきませんし、この案件は複数の画廊から断られ
 た上に、銀座柳画廊にきた話であることを事前に知っていたから
 です。(社長と営業が嫌がるのも当然なんです)

 期待どおり、紹介してくれたロータリアンの方が銀座柳画廊の顧客
 になってくれました。私も苦労話を社長や営業マンにいうと、ほら
 みたことかと言われますから、ロータリアンの友人にお話しする事
 で、彼女が画廊に絵を買いに来てくれるようになりました。

 日本医大の方々も絵をレンタルする。さらに、そのレンタルしている
 絵を患者さんが気に入ったら購入できるようにして欲しいとのことで
 その仕組みも作りました。絵のそばにあるキャプションから絵を購入
 出来るようにしています。
 
 今後、どうなっていくか全くわかりませんが新しい試みとして日本
 医大の健診ステーションの今後を見守り応援をしていきたいと思って
 います。ご興味ある方は、是非一度、東京駅前の八重洲ステーション
 を覗いて見てください。
 
 
 
        
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
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