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2022年01月22日

「老人支配国家日本の危機」

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       今の美術業界を考える(その910)

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 老人支配国家日本の危機        2022年1月22日
             エマニュエル・トッド著  文春新書
                   
 タイトルに惹かれて、この本を読んでみました。著者はフランス
 の歴史人口学者・家族人類学者であり、日本のことがとても好きな
 方です。この本を手に取ったきっかけは次の文章でした。

 「若者の生活を犠牲にして老人のコロナ死亡率を抑えた日本だが、
 社会の存続に重要なのは高齢者の死亡率より出生率だ。「家族」
 が日本社会の基礎だが、「家族」の過剰な重視は「非婚化」「
 少子化」を招き、かえって「家族」を殺す。

 ということで、家族に関する文章に関しては、お隣の韓国を想像
 してしまいました。韓国の家族主義は、すでに家族を崩壊させて
 おり、ドラマで拝見する韓国の家族は昭和の日本で、懐かしくは
 あるけれども、息苦しいものだと感じてしまいます。

 自分の娘や、友人のお子さん方を拝見していて感じるのは、今の
 若者の生命力をもっと強くして、私達が少子化に貢献しなければ
 いけないと強く感じています。今の若者には、サポートが必要で
 、私達は老人よりも、子どもを産む若い世代に手厚い支援が必要
 なのだと思います。

 このエマニュエル・トッド氏の考察は非常に幅が広く、日本の家族
 に対する考察もされています。その中で、面白いと思ったのは、
 天皇家は日本的「イエ」ではない。というくだりです。
 天皇家が日本の家族システムと決定的に異なっている点は、現在に
 いたるまで婿養子をとったことが一度もないということです。近世
 移行、日本の家族には25%から40%が婿養子をとっているよう
 です。婿養子をとる理由は、血脈よりも、家名の存続に重きをおいた
 ということだそうです。

 また、面白い考察として、日本人が変革が苦手な理由に、直径家族
 の多さを挙げています。日本社会の閉鎖性は、家を永続させよう、
 事業を永続させようとするからで、変えたり壊そうとするものでは
 ないという考え方が変革を拒むのだと思います。

 つまり、スクラップ&ビルドが苦手だということです。そのことに
 ついては美術商という仕事をしている中で実感することも多々あり、
 家族システムにも起因している通り、よそ者を招いて変革をするのが
 苦手な国民性だということだと思います。

 家族の在り方が社会や事業に大きな影響を与えていることがよくわかる
 1冊でした。

                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
03-3573-7075
 




2022年01月15日

「GDW興国論」

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       今の美術業界を考える(その909)

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 GDW興国論              2022年1月15日
 幸福度世界一の国へ        下村博文著  飛鳥新社
                   
 ご縁があって、下村博文先生の後援会の幹事を20年以上務めて
 おり、そのご縁もあり、最新の下村先生の著書を拝読させて頂き
 ました。

 もともと、下村先生はお若い頃から「自分は将来、文部大臣になる。
 日本の国つくりは、人を作ることからで、日本の教育を変えるために
 自分は政治家になった。」とおっしゃっておりまして、その考え方に
 今でも賛同しています。

 そして 数年前に実際に文部科学大臣になられ、多くの文部行政の
 改革に取り組まれておりましたが、文部科学大臣になっても教育の
 多くを変えることができなかったとおっしゃっています。

 そうした中で、最近の下村先生は資本主義の限界について、お話し
 をされるようになり、GDPからGDW(Gross Domestic Well-being)
 という物質的な豊かさだけでなく、精神的な豊かさをはかるための
 新しい尺度を導入して、実感できる豊かさを測定する指標を作ろう
 とおっしゃっています。

 また教育ではなくて、啓育(けいいく)という、自ら学び、自ら行動
 する人材を作るべきだという考え方で、言われたことをやるのでは
 なくて、自分で課題を見つけて、自分で解決していく人材が求めら
 れるということです。

 色々と学ぶことの多い、下村先生ですが、私が共感しているのは、こ
 れからの社会において、物質的、金銭的な満足度はある程度の幸福感
 を満たしてくれても、本当の幸せというものは自分が周りの人を
 幸せにすることができて、初めて心の底から自分も幸せを感じる事が
 できるという事です。

 私自身、美術に関する仕事をしていて、高額な作品が売れたり、多く
 の絵画を販売することは、勿論、嬉しいことではありますが、この仕事
 をしていて一番やりがいを感じるのは、絵画を通じて、喜んでいるお客様
 からの報告を聞くことです。
 
 家の中が明るくなったとか、銀座柳画廊で絵画を購入してから会社の業績
 が伸びたとか、気持ちがうきうきするようになった等、絵画を通じて幸せ
 そうなお客様の顔を見ることが、何よりも嬉しいと感じる今日この頃です。

 下村博文先生の教えを守っているということですね。

                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
     03-3573-7075

2022年01月08日

「M式「海の幸」」

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       今の美術業界を考える(その908)

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M式「海の幸」             2022年1月8日
森村泰昌 ワタシガタリの神話 Artizon Museum 1月10日まで
                   
 駆け込みで日本橋のArtizon Museumで開催している M式「海の
 幸」を拝見して参りました。この展覧会は、石橋財団がジャム
 セッションといって、石橋財団コレクションと現代美術家との
 共演となります。

 その2回目のジャムセッションとなる今回の展覧会は、現代美術家
 の森村泰昌が、石橋財団所蔵の青木茂の「海の幸」の作品について
 の考察を、森村氏の作品を通じて表現し、最後は青木繁に扮した森村
 氏が青木繁に語り掛ける18分にもおよぶ映像を上演されておりまし
た。

 非常に面白い取組だと思いました。芸術というのは、作品と鑑賞者
との間に行われる対話に価値があると思っておりますが、芸術家同士
の対話を作品に仕上げるという取組が、とてもおしゃれというか本質
的な取組だと思います。

 青木繁の「海の幸」という作品は私達の世代にとっては、学校の
 美術の教科書にでてくる作品であり、明治という時代は西洋絵画が
 日本に入ってきて、西洋文化の思考法により絵画を制作することを
 日本人が始めた時期でもあります。
 
 森村泰昌さんは、著名人に扮して自画像写真を撮ることで有名な作家
 でありますが、青木繁を研究し、青木繁になりきって、青木繁に語り
 かける18分の映像、「ワタシガタリの神話」は圧巻でした。
 森村さんの青木繁へのオマージュだと思うのですが、あの映像を
 拝見するだけで、青木繁という作家がどういう人で、何を目指されて
 いたのかがわかるように思います。

 青木繁という作家が、明治という時代に生まれて28歳という若くし
 てなくなりその短い生涯において、多くの作品を残し、同時代に生き
 た作家たちに大きな影響を与えていたのがわかります。また洋画家の
 坂本繁二郎とは小学校の同級生であり、終生の親友だったようです。
 青木繁の代表作の「海の幸」に対する考察も、森村泰昌氏の独特の作品
 解釈やコメントも、芸術家ならではの面白いものでした。この石橋財団に
 よる、しゃれた企画は石橋コレクションの厚みを増すもので、美術鑑賞
 をより楽しくする素敵な試みだと思います。

 近代美術を、より深く楽しませて頂き有難うございました。
                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
     03-3573-7075
 

2022年01月01日

「2022 謹賀新年」

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       今の美術業界を考える(その902)

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 2022 謹賀新年                2022年1月1日
                   
 あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願いいたします。
 コロナ生活も3年目にはいり、ウイズコロナの生活にも多くの方が
 慣れてきたと思います。基本は、健康的な生活を心がける事だと
 思っています。

 さて、2022年の抱負として個人的に思っていることがいくつか
 あります。まず、ひとつは仮想空間の世界でも、銀座柳画廊は癒し
 の空間を提供していきたいと思っています。その手段の一つがNFT
 であり、オンラインギャラリーかもしれません。また、進捗はこの
 コラムでご報告していきたいと思っています。

 次に、考えているのはアートとスポーツのコラボレーションを実装
 したいと思っています。アスリートと芸術家は、生活圏としては、
 かなり離れたところにおりますが、相性は悪くないと思っています。
 何より、ビジネスモデルとしては類似しておりますしアートは心の
 栄養であり、メンタルを支えてくれる必需品です。そして、スポー
 ツは健康を維持するための必需品であり、スポーツをすることも見る
 ことも、健康であることに貢献すると思っています。
 そして、アートとスポーツに親しむことで、多くの人は必ず幸せで
 豊な人生を送ることが出来ると思っています。

 お金というものは、あくまでも手段であって目的ではありません。
 アートやスポーツは、それらに関わる事で幸せで豊かになることが
 出来ると信じています。高齢化社会を迎えて、日本という国も成熟
 していく中で、この基本的なアートとスポーツに対する考え方を
 共有することで、もっと日本は豊かで幸せな国になることが出来ると
 思います。

 本日はまさしく元旦ということもあり、銀座柳画廊の公式YouTube
 でも、新年の挨拶をさせていただいております。お時間のある方は
 こちらも覗いていただけると幸いです。
 https://youtu.be/ADm55Q7v0C0


 今年で銀座柳画廊も28年目に入ります。夫と二人で創業してあっという
 間に時間がたってしまったように感じておりますが、まだまだこれから
 やってみたいこと、試してみたいこと、業界に貢献したいことがあります。
 とはいえ、世代の責任のようなものも感じるようにもなってまいりました。
 日本の美術業界の発展に貢献できるように、社員とともに今年も精進したい
 と思っています。

 本年も、どうぞ宜しくお願いいたします。
                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
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2021年12月25日

「2021年を振り返って」

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       今の美術業界を考える(その901)

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2021年を振り返って        2021年12月25日
                   
 あっという間に2021年も終えようとしています。私にとって
 2021年は東京オリンピックをエンジョイするはずの年でした。
 今年もまた、コロナに振り回されて、東京オリンピックも無観客
 試合になり、会場で試合を拝見することも、ボランティアを実施
 することもないまま、TV観戦だけで東京オリンピックは終わりま
 した。

 画廊の仕事としては、予定していた展覧会がコロナのために延期
 ではなく中止になってしまったものもありました。作家の先生が
 銀座にくるのが怖いという理由でした。作品だけで、展覧会を実施
 するオプションもありましたが、別の展覧会を実施いたしました。

 コロナ生活は2年にもおよび、私も考え方と行動に変化があった
 ように感じています。まず、健康面においては無理はしない。そ
 して、人の価値観を受容して多様性を受け入れる事に慣れてきた
 ように感じています。

 特にコロナワクチンに関しては、強制することは出来ませんが、多
 くの方が接種していると思いますが、人知れず接種しない方、したく
 ない方、接種できない方がいらっしゃいます。気が付かないところで
 ワクチン接種を巡っての、分断があるように感じています。もともと
 美術の世界では、人と違う事を良しとする世界ですが、コロナ禍に
 おいて、日本人特有のコロナ警察のような方を多く拝見いたしました。

 人とのつながりの大切さを改めて実感する年にもなりました。特に、
 今年の秋以降、少しづつ人に会えるようになった時に、なんとも
 いえない安心感を感じました。オンラインでつながっていても、やは
 り人と会う事の大切さを改めて感じることになりました。

 また、努力というものについても考えさせられました。やはり、この
 歳になってくると無駄な努力というものが、どういうものかを考える
 ようになりました。私なりに分析をすると、自分がワクワクして楽しい
 と感じる努力は決して無駄にはならないということです。外からみると
 わからなくても、ワクワクするほど楽しいことは、努力も苦になりませ
 んし、何よりポジティブに考えられるからかもしれません。

 来年度も、楽しいという言葉をキーワードに、チャレンジをし続ける事が
 できたら何よりも幸せなのだと思っています。皆さまも健康に留意して
 良いお年をお迎えください。


                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
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2021年12月18日

「X'masアートフェスタ2021」

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       今の美術業界を考える(その900)

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Xmas アートフェスタ2021     2021年12月18日
                   
 まぐまぐも900回となりました。毎週土曜日に、海外出張中でも
 5年前に手術をして10日間入院している時も欠かさず書き続けて
 きている自分に拍手したい気持ちです。1年約52週ですから、
 17年続けていることになります。継続は力であり、習慣です。
 2年後には1000回を迎えますので、また本でも書こうかと思って
 います。

 さて、12月10日から本日まで銀座の画廊の仲間とX’mas アート
 フェスタを実施しています。こちらも13年目となるようです。
 数年まえから、土曜日の夜に、画廊の人間と、展覧会をしている作家
 やコレクターなどに声をかけて数十名前後のパーティも実施して
 います。例年汐留のパークホテルで実施しておりましたが、本年度は
 銀座のホテルモントレーで実施いたしました。

 やはり、銀座のイベントですので銀座の住所を持つホテルが馴染む
 ように感じています。銀座の画廊というと、敷居が高いとよく言われ
 ますが、実際に仕事をしている我々には全くそのような意識はあり
 ません。また、このように顔を合わせて一緒に食事をすると、お互い
 に親しみを持ちますし、お互いにコロナ対策のことや、画廊の内装の
 話など、共通の話題も当然おおく、学ぶことがあります。

 27年間、画廊経営をしていて実感しているのは、画廊によって全く
 仕事の仕方が違うという事です。それはすなわち何を大切にするかに
 よって、仕事の仕方が違うということです。銀座ギャラリーズでは
 貸画廊さんは入会できないことになっています。その大きな理由は、
 その画廊で本気で支援している作家がいないということです。

 銀座には企画と貸の両方をしている画廊さんも多くいらっしゃるので、
 そのあたりも微妙になりますが、基本的には場所を絵かきさんに貸して
 お金をもらうという事に対する違和感が企画画廊にはあるからです。
 業績が厳しい時に、場所が良いから高くてもいいから貸してほしいという
 申し出があると、私などは気持ちが揺らぎそうになりますが、銀座柳
 画廊の社長は、絶対に首を縦に振りません。それは、社長のこだわり
 なのだと思います。画家の先生方も、絵に対してこだわるものがある
 から、それが個性となりファンが付くのと同じように、画廊も画廊主の
 個性が強くあり、それぞれに違う個性の画廊があるからこそ、銀座の
 画廊の魅力があるのだと思っています。


                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
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2021年12月11日

「ミュシャ館」

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       今の美術業界を考える(その899)

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ミュシャ館             2021年12月11日
堺 アルフォンス・ミュシャ館 
                   
第73回男子日本ハンドボール選手権の決勝戦の前に時間が出来た
ので、大阪堺市のアルフォンス・ミュシャ館にいって参りました。

2017年の春に、六本木の新国立美術館でミュシャ展を開催した
時に、ミュシャの作品を楽しみに伺ったときには、スラブ人として
生きたミュシャの晩年のスラブ民族のアイデンティをテーマにした
作品群が紹介されており、日本人がイメージしていたミュシャの作品
とは、かなり違うものが展示されておりました。
それはそれで、ミュシャという人物を理解するためには大いに学び
のある展示ではありましたが、期待していたものと違うという感は
否めませんでした。

今回の堺市のミュシャ館は小ぶりな民間の展示であるにも関わらず、
良い意味で期待を超える内容とキュレーションの作品郡でした。
とくに、ミュシャが画家としてデビューした頃のポスター(リトグ
ラフ)の制作の丁寧な解説から、その時代の作品群が多く展示されて
おりました。

ミュシャのデビュー作ともなった34歳の時に手掛けた、女優サラ・
ベルナール主演の舞台、「ジスモンダ」のポスター制作のいきさつも
丁寧に解説されており、日本人が愛するミュシャの作品群を数多く、
展示されておりました。

シャンパンのモエ・シャンドンの依頼により作られた、レストランの
メニューの挿絵や、お菓子の箱のデザイン、ワインのラベルなど、当時
のパリを彩ったであろう、ミュシャの描かれた多くのデザインや挿絵、
ポスターなどが多く展示されており、1800年代のパリにタイム
スリップしたような展示内容でした。

先週の聖徳太子展を拝見したときも感じたのですが、私自身、全く新
しいものを見た時の感動よりも、歳をとってきたからか、自分の知って
いる情報に新たな知識や情報が付け加えられることに、感動を覚えるのだ
感じました。

そういう意味では、私にとっては多くのITやデジタルによる表現や、作品
達は、IBM時代にかじっていただけに、ブロックチェーンやNFTといった形で
目の前にアートとして現れると、感動してしまうのかもしれません。

新しい知識や作品は、常に触れていることで、そのものをその時に理解でき
なくとも、10〜20年後に理解できるようになるものだと思っています。



                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
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2021年12月04日

「聖徳太子」

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       今の美術業界を考える(その898)

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聖徳太子              2021年12月4日
サントリー美術館 開館60周年記念展 
                   
 新聞や電車の広告をみて気になっており、六本木のサントリー
 美術館で開催されている 聖徳太子展を拝見してまいりました。

 私の中の聖徳太子のイメージは、漫画家の山岸涼子さんが描かれた、
 「日出る処の天子」です。そうしましたら、この展覧会でも山岸
 涼子さんの描かれた漫画の生原稿が展示されていて、とても嬉しく
 感じました。

 そして、次の聖徳太子のイメージは1万円札です。すると、やはり
 昭和に使われていた聖徳太子のお札が1万円札だけでなく、他の紙幣
 もあわせて展示されており、大いに感動いたしました。

 聖徳太子という人物は、日本に仏教を広めた方として大変に尊敬され
 ておりますが、改めて死後1400年もたっていると、時代時代に
 聖徳太子の人物像が異なっていることを感じました。

 今では当然のように親しまれている仏教ですが、当時の日本からすると
 海外からきた宗教ですから、それなりに摩擦があったことは容易に想像が
 できます。丁末の乱という、仏教の礼拝を巡っての合戦で聖徳大使が
 苦戦している時の絵画なども陳列されておりました。

 もう1000年以上も前の話ですし、その時代によって聖徳太子を
 題材に様々な絵師や、彫師が作品を制作しております。それらを現代
 の私達が観賞することで、時代時代の聖徳太子のイメージを拝見する
 ことができる展覧会です。

 そう思うと、私達日本人は聖徳太子の事が大好きで、自分の思い描く
 聖徳太子像があるのだと思います。キリスト教を始めとして、多くの
 宗教が一神教を信仰しているのに対して、日本人が宗教に対して、
 非常におおらかなのは、このように以前に存命していた人物を崇拝して
 神格化することに違和感を感じない国民性なのかと思います。

 私なども、商売をしていると自分の努力ではどうにもならないことが、
 ありますし、そうした時に、神様にすがりたい気持ちになることもあり
 ますが、そういう時にはお墓詣りに行くことにしています。

 日本人は島国ですし、1000年以上も昔の方などは、もしかすると
 自分も聖徳太子の子孫かもしれないと考えるのも楽しい事かもしれません。



                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
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2021年11月27日

「ゴッホ展」

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       今の美術業界を考える(その896)

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ゴッホ展               2021年11月27日
響きあう魂           〜12月12日 東京都美術館
                   
 東京都美術館のゴッホ展に、事前予約をして伺ってまいりました。
 前に一度、伺おうとしたところ当日チケットが売り切れておりまし
 たので、再度、予約をしてチャレンジいたしました。
 ゴッホは日本人が大好きな作家です。それと同時に、ゴッホも日本
 が大好きだったようです。鎖国している日本でも、長崎の出島を
 通じて、オランダという国と日本との交流関係があり、その上で
 ゴッホは日本に対する憧れのようなものを抱いていたようです。

 今回の展覧会はヘレーネ・クレラー・ミュラーという、ゴッホの
 世界最大の個人収集家が初代館長を務めたクレラー=ミュラー
 美術館のコレクションの中から、選りすぐりの作品を紹介されて
 います。

 ファン・ゴッホは生前には全く評価されずに、死後、次第に評価を
 高めた作家として有名です。その陰には、ゴッホの絵を伝える事に
 人生を賭けた人たちがいることに注目したいと思います。

 特に、今回はオランダ時代のゴッホのデッサンが多く展示されて
 おり、ゴッホの確かなデッサン力に感動させてもらいました。
 また、ゴッホは牧師としてキリスト教の伝道師の見習いとして仕事
 をしておりましたが、半年後には辞めさせられてしまいました。
 弟のテオの助言を受け、画家になる決意をしたのち、ゴッホは弟の
 テオから精神的にも経済的にも生涯にわたって支援を受けることに
 なります。

 ゴッホは生きている間に数点しか、絵が売れていなかったことは有名
 です。彼の亡くなった後、その作品を引き継いだのは弟のテオであり、
 その弟もゴッホの死後半年後に亡くなり、弟のテオの妻のヨーが、その
 作品を引き継ぐことになりました。

 ヘレネ―・クレラー・ミュラー氏は、ゴッホが亡くなった後にファン・
 ゴッホ画廊を通じて作品を1908年から購入するようになり、その後
 30年におよぶ収集活動を行いました。夫の会社は生涯、順風だったわけ
 ではなく、世界恐慌などで経済的な打撃を受けたりもしながら、収集と
 美術館の建設についての情熱を燃やし続け、最後はビジネスから撤退し、 
 1938年に国立クレラー・ミュラー美術館が開館し、ヘレーネが初代
 館長に就任します。そして、その翌年に亡くなります。

 まさしく、ゴッホの評価を語るうえで、このヘレーネ・クレラー・ミュラー
 氏の貢献は計り知れないことを知り、私達、画廊の人間も、ヘレーネ氏の
 ように画家の評価を高める仕事をしていかなければいけないと思いました。 



                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
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2021年11月20日

「泰明小学校の画廊巡り2021」

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       今の美術業界を考える(その895)

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泰明小学校の画廊巡り2021    2021年11月20日
                   
 今年も東京中央新ロータリークラブの主催で、泰明小学校の画廊
 巡りを実施させていただきました。昨年度も、コロナの中では
 ありましたが、実施させていただき、本年度もコロナは落ち着いて
 きたものの、図工の先生が異動された中でも、継続事業として
 実施させていただきました。

 2006年度より16年目となる泰明小学校の画廊巡りの授業は
 銀座の泰明小学校の名物授業となっています。子ども達からの
 要望と保護者の理解と、学校側の協力、銀座の画廊の皆さまの多大
 なる協力があって実現されています。

 継続は力なりといいますが、実際に泰明小学校で画廊巡りを経験
 した子どもたちが社会に出始めており、それなりの影響を及ぼして
 いることを実感しています。

 私事ではありますが、我が家の娘が今年、ようやく就職がきまり、
 内定式をオンラインで実施し、同期の仲間とのフリートークの中で
 泰明小学校出身の同期がいたらしく、銀座の画廊巡りの授業に参加
 していて、銀座柳画廊にもいったことがあると話が弾んだようです。

 銀座の画廊というと特別な所でなかなか自分には縁がないと思って
 いらっしゃる方が多くいるとお伺いしていて、残念に感じています。
 しかし、泰明小学校出身の若者たちは、全くそのような意識はなく、
 銀座で待ち合わせをする時は、画廊で時間を潰そうと話してくれて
 いるようです。苦節16年、私の思い描いた未来がやってきている
 ことを実感しています。

 今回、画廊を回った子どもと一緒にいて感じたのは、ますます女の子が
 強くなっているということです。私と一緒に巡った女の子は体力も
 持て余しているようで、7階とか8階の画廊に行くときに、エレベー
 タではなく、階段で上り下りをしたがります。理由を聞くと、せっかく
 外にでているので、身体を動かしたいのだそうです。
 楽をしたいと思う、我々の世代と違って、せっかく7階まで行くので
あれば階段で上り下りしたいのだそうです。銀座で育つ子ども達では
ありますが、頼もしいなと思った瞬間でした。そして、拝見した絵画の
作家名と作品名を全て覚えようとして、歌まで作って歌っておりました。

こういう子どもらしい元気の良いお子さんと一緒にいると、日本の未来
は明るいかな?と感じさせてもらいました。そして同時に、やはり女性
には社会でも活躍してもらわないと勿体ないとも思いました。
                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
03-3573-7075
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