柳画廊のメールマガジン/ブログ情報です。

メールマガジン/ブログ - 最新情報

2021年11月27日
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       今の美術業界を考える(その896)

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ゴッホ展               2021年11月27日
響きあう魂           〜12月12日 東京都美術館
                   
 東京都美術館のゴッホ展に、事前予約をして伺ってまいりました。
 前に一度、伺おうとしたところ当日チケットが売り切れておりまし
 たので、再度、予約をしてチャレンジいたしました。
 ゴッホは日本人が大好きな作家です。それと同時に、ゴッホも日本
 が大好きだったようです。鎖国している日本でも、長崎の出島を
 通じて、オランダという国と日本との交流関係があり、その上で
 ゴッホは日本に対する憧れのようなものを抱いていたようです。

 今回の展覧会はヘレーネ・クレラー・ミュラーという、ゴッホの
 世界最大の個人収集家が初代館長を務めたクレラー=ミュラー
 美術館のコレクションの中から、選りすぐりの作品を紹介されて
 います。

 ファン・ゴッホは生前には全く評価されずに、死後、次第に評価を
 高めた作家として有名です。その陰には、ゴッホの絵を伝える事に
 人生を賭けた人たちがいることに注目したいと思います。

 特に、今回はオランダ時代のゴッホのデッサンが多く展示されて
 おり、ゴッホの確かなデッサン力に感動させてもらいました。
 また、ゴッホは牧師としてキリスト教の伝道師の見習いとして仕事
 をしておりましたが、半年後には辞めさせられてしまいました。
 弟のテオの助言を受け、画家になる決意をしたのち、ゴッホは弟の
 テオから精神的にも経済的にも生涯にわたって支援を受けることに
 なります。

 ゴッホは生きている間に数点しか、絵が売れていなかったことは有名
 です。彼の亡くなった後、その作品を引き継いだのは弟のテオであり、
 その弟もゴッホの死後半年後に亡くなり、弟のテオの妻のヨーが、その
 作品を引き継ぐことになりました。

 ヘレネ―・クレラー・ミュラー氏は、ゴッホが亡くなった後にファン・
 ゴッホ画廊を通じて作品を1908年から購入するようになり、その後
 30年におよぶ収集活動を行いました。夫の会社は生涯、順風だったわけ
 ではなく、世界恐慌などで経済的な打撃を受けたりもしながら、収集と
 美術館の建設についての情熱を燃やし続け、最後はビジネスから撤退し、 
 1938年に国立クレラー・ミュラー美術館が開館し、ヘレーネが初代
 館長に就任します。そして、その翌年に亡くなります。

 まさしく、ゴッホの評価を語るうえで、このヘレーネ・クレラー・ミュラー
 氏の貢献は計り知れないことを知り、私達、画廊の人間も、ヘレーネ氏の
 ように画家の評価を高める仕事をしていかなければいけないと思いました。 



                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
03-3573-7075

2021年11月20日
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       今の美術業界を考える(その895)

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泰明小学校の画廊巡り2021    2021年11月20日
                   
 今年も東京中央新ロータリークラブの主催で、泰明小学校の画廊
 巡りを実施させていただきました。昨年度も、コロナの中では
 ありましたが、実施させていただき、本年度もコロナは落ち着いて
 きたものの、図工の先生が異動された中でも、継続事業として
 実施させていただきました。

 2006年度より16年目となる泰明小学校の画廊巡りの授業は
 銀座の泰明小学校の名物授業となっています。子ども達からの
 要望と保護者の理解と、学校側の協力、銀座の画廊の皆さまの多大
 なる協力があって実現されています。

 継続は力なりといいますが、実際に泰明小学校で画廊巡りを経験
 した子どもたちが社会に出始めており、それなりの影響を及ぼして
 いることを実感しています。

 私事ではありますが、我が家の娘が今年、ようやく就職がきまり、
 内定式をオンラインで実施し、同期の仲間とのフリートークの中で
 泰明小学校出身の同期がいたらしく、銀座の画廊巡りの授業に参加
 していて、銀座柳画廊にもいったことがあると話が弾んだようです。

 銀座の画廊というと特別な所でなかなか自分には縁がないと思って
 いらっしゃる方が多くいるとお伺いしていて、残念に感じています。
 しかし、泰明小学校出身の若者たちは、全くそのような意識はなく、
 銀座で待ち合わせをする時は、画廊で時間を潰そうと話してくれて
 いるようです。苦節16年、私の思い描いた未来がやってきている
 ことを実感しています。

 今回、画廊を回った子どもと一緒にいて感じたのは、ますます女の子が
 強くなっているということです。私と一緒に巡った女の子は体力も
 持て余しているようで、7階とか8階の画廊に行くときに、エレベー
 タではなく、階段で上り下りをしたがります。理由を聞くと、せっかく
 外にでているので、身体を動かしたいのだそうです。
 楽をしたいと思う、我々の世代と違って、せっかく7階まで行くので
あれば階段で上り下りしたいのだそうです。銀座で育つ子ども達では
ありますが、頼もしいなと思った瞬間でした。そして、拝見した絵画の
作家名と作品名を全て覚えようとして、歌まで作って歌っておりました。

こういう子どもらしい元気の良いお子さんと一緒にいると、日本の未来
は明るいかな?と感じさせてもらいました。そして同時に、やはり女性
には社会でも活躍してもらわないと勿体ないとも思いました。
                         
                      文責  野呂洋子
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2021年11月13日
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       今の美術業界を考える(その894)

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 香月康男と日本近代洋画展      2021年11月13日
           於 銀座柳画廊 11月30日まで無休
                   
 11月7日から11月30日まで無休で香月康男と日本近代洋画
 展を開催しています。香月康男先生は、日本近代洋画の巨匠でも
 あり、岡野博先生が尊敬する作家でもあります。

 今年は香月康男先生の生誕110周年ということで、神奈川県立
 近代美術館の葉山館で11月14日まで展覧会を実施しています。
 香月先生は1911年生まれで1974年に亡くなられており、
 昭和を代表する洋画家の一人であり、山口県に生まれ、山口を
 愛した作家さんです。戦争の時代に生まれたため、1942年
 に招集され満州にいき、その後ソ連に抑留され、シベリヤ、クラ
 スノヤルスク地区のセーヤ収容所で強制労働に従事されています。
 この経験が原体験となり、その後、日本に戻られて、香月康男先生
 といえばシベリヤシリーズといわれるほど、作家としての主題と
 なっています。今、展覧会をされている葉山の美術館に初めて伺い
 ましたが、とても素敵なところで、是非、一度いかれることを
 お勧めいたします。

 暗いイメージのシベリヤシリーズですが、香月先生はたんたんと、
 この時のイメージを表現したい、描ききりたいという思いが強く、
 独自の世界を切り開いたのだと思います。59歳の時に書かれた
 歳記に、‘油絵具で東洋画のもつ精神を追求していく’ことが、
 香月先生の目指された境地だったのだと思います。

 香月先生が残された多くの言葉は、きっと今の日本人の画家さんの
 心にも響いているのだと思っています。‘芸術とは自分を発見していく
 過程であると思う。私が洋画を志ながら東洋画に傾倒していったのも
 東洋人である自分の発見。日本人である自分の発見のゆえだろうと
 思う。‘
 このあたりの言葉は、まさしく岡野博先生の思いと全く同じなのだ
 ろうかと思っています。時代が生んだ作家だと思いますが、現代の
 画家の先生方も、精神的な意味では、全く同じだと思います。
 日本の芸術家は言葉で自分の仕事を説明するのが苦手な方がおおく、さら
 に評論家と言われる方の発信力と影響力が、あまり大きくないために
 日本の美術家がクローズアップされることが少ないと感じています。画廊の
 私達も、勿論、頑張りますが、どうしても取り扱い作家を中心にエコひいき
 をしてしまいますので、観賞されている皆さまがフラットな目で、情報発信
 されていくことも重要なのかと思っています。

 近代日本の洋画を盛り上げたいと思っています。多くの方に、香月康男先生
 の生きていた時代を感じるために、観賞して頂きたいと思っています。
 
                         
                      文責  野呂洋子
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2021年11月06日
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       今の美術業界を考える(その893)

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動物の絵・日本とヨーロッパ      2021年11月6日
〜開廊20周年記念      府中市美術館 2021/11/28まで
                   
 娘と一緒に、多磨霊園のお墓参りの後に府中市美術館にいって参
 りました。府中市美術館は展覧会の企画といいますか、作品に
 つけられている解説が独特で非常にユニークです。美術に対する
 見識が深く、学芸員の意気込みを展覧会からいつも感じています。

 今回も期待を裏切らず、非常にユニークな切り口で、動物の絵を
 日本とヨーロッパでどのように描き分けているか、動物に対する
 描き方の違いなども解説されておりました。

 その中で、ヨーロッパにおける絵画はお作法といいますか、絵画
 に対する考え方が大きく違い、ヨーロッパではキリスト教の布教
 の手段としての絵画の役割が大きいために、印象派が出てくるまで
 はキリスト教の考え方にそった描き方をされておりました。
 つまり、世界は人間を中心とした考え方であり、動物はあくまでも
 絵画の中でも補助的な役割を果たしています。

 かたや、日本人にとって動物は擬人化されたり、とらえ方も違うよ
 うに感じます。また、今回の展覧会のポスターにもなっております
 が、円山応挙の仔犬たちは、それはそれは可愛らしく、世界性を
 もっていると私は確信しています。

 府中市美術館では、作品を鑑賞するときのキーワードとして、
 ‘ふしぎ・かわいい・へそまがり’という切り口で、美術品の観賞
 をされています。確かに、日本の絵描きさん(きっと海外も)へそ
 まがりの方は多くいて、その気持ちを理解しないで、その絵画を
 理解するのは難しいと思っています。

 今回はその中の、とくに、‘かわいい’に焦点をあてて展覧会を拝見
 させて頂いた中で、先ほどにも書きましたが円山応挙の雪中狗子図
 は絶品で多くの方に実物を見て頂きたいと思っています。

 美術の世界ではヨーロッパを中心とした覇権主義が今でも現代アート
 を中心に覆われておりますが、府中美術館のようにフラットな視点で
 日本人には日本人の考え方で作品の観賞をしていくことを、これからも
 期待したいと思っています。
                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
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2021年10月30日
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       今の美術業界を考える(その892)

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印象派・光の系譜          2021年10月30日
〜イスラエル博物館所蔵  三菱一号館美術館 2022/1/16まで
                   
 三菱一号館美術館でやっている‘印象派・光の系譜’展を拝見して
 まいりました。イスラエル博物館が所蔵している印象派の作品を
 陳列されており、殆どの作品が日本では初めての展示となる作品で
 あると伺っています。

 やはり日本人はというか、私も含めて印象派は大好きな作家たちで
 あり、作品を拝見していてほっとします。会場も多くの人で賑わって
 おり、若い人たちの姿も見えて、美術館に多くの方が訪れるのを
 嬉しく感じています。

 美術品というのは、何度も同じような作品と、同じ作家の作品を
 拝見することで理解が深まるのだと思っています。できれば1点の
 作品を何度も長時間、拝見することで作家の気持ちに寄り添うこと
 が可能になると感じています。

 印象派の作家たちに、私達日本人はどうしてここまで惹かれるのかと
 いわれると、当時の印象派の作家たちはファーイーストのジャポンと
 いう国に異文化と憧れを持っていたことが絵画を通じて感じることが
 できたからだと、私は思っています。

 今は世界が24時間もあれば、ほとんどどこでもいけるようになり、
 グーグルで検索すれば、どのような文化があるのかも一瞬で検索できる
 時代になっています。味気ないといえば味気ないのですが、文化に対
 する興味と欲求が、現代と当時の19世紀の時代とは計り知れないほど、
 大きく違うものだと思っています。

 美術品というのは、歴史を背負っているわけで、その当時の時代の空気
 を纏っているのは確かです。印象派というのは、当時の現代美術であり、
 新しい感覚の芸術だったわけです。作家たちも、当時の伝統との闘いの
 中でチャレンジを続けており、仲間割れもして、模索しながら次の時代
 を切り開いていのです。
 振り返って、ネットで検索すればなんでもわかった気持ちになる現代に
 おいて、私達がチャレンジするべきことは、何なのか。改めて、多くの
 人を魅了し続けている印象派の作家たちの展覧会をみて、今の時代に
 生まれてきて、これからの人たちに何を残していくのか、美術商として
 真剣勝負をし続けなければいけないと思っています。
                         
                       文責  野呂洋子
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2021年10月23日
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       今の美術業界を考える(その891)

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東美特別展              2021年10月23日
                   
 先週末に開催されていた、東美特別展にいって参りました。改めて
 東京美術倶楽部の凄さと、古美術商の実力というものを思い知り
 ました。

 はいって、いきなり平安時代の仏像があったのには驚きました。
 勿論、値段は書いてありません。流石に、同業者でもあるので、
 こわくて値段を伺うことは出来ませんでした。殆ど、人物と同じ
 大きさの、お寺に置いてあるような仏像が、古美術商が持っていて、
 しかも売り物であることに驚いています。流通する市場があると
 いうことなのだと思います。

 またそれらの作品も、以前に経験したことがあるのですが100年
 以上たつ美術品は海外に持ち出すことが難しく、文化庁の許可が必要
 だったと記憶しています。取り扱う事自体、非常に難しいことが
 明らかな作品が、このように売り物として陳列されていて、赤ピン
 が付いているところに、東京美術倶楽部の実力を拝見させていただき
 ました。改めて、銀座柳画廊も東京美術倶楽部の倶楽部員の一員と
 して、恥ずかしくない仕事をしたいと思いました。

 今回、ひそかに楽しみに伺ったのは、至峰堂画廊の戦争画展です。
 戦後のGHQの政策により、戦争画は没収されたり、関係者が厳しい
 立場に追い込まれたりして、藤田嗣治もその例外ではなかったのは
 有名です。

 しかし逆説的にいえば、戦争中は物資も非常に厳しい中で、軍に選ば
 れた一流画家のみが、画材を与えられて戦争画を描くことを許されま
 した。戦争画を描く以外に、表現の場所も発表の場所も、画材を得る
 方法もなかったのです。

 しかも、思想の統制をしていた時代ですが、唯一許された表現の場所
 として、日本軍が戦争画展を開催すると、多くの人が詰めかけて、そ
 の戦争画を愛でていたのも事実ですし、その当時の最高峰の画家のみが
 許された表現の場所だったのです。

 今の日本はまだGHQによる思想の支配が続いていて、政治的にも戦争画を
 評価するのは難しい時代かもしれませんが、戦後70年以上がたち、
 関係者の多くも亡くなってきている中で、芸術としての戦争画が正当に
 評価される時代は確実にくるのだと私も思っています。

 それを行動に移されている至峰堂画廊さんは、画商としてそれなりの覚悟
 を持って展覧会をされていることに、心から敬意を表しています。
                         
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
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2021年10月16日
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       今の美術業界を考える(その890)

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努力は夢中に勝てない        2021年10月16日
                   
誰から伺った言葉なのか、忘れてしまいましたが、大好きな格言
です。努力は実るとか、努力は無駄にならないとか、確かなのだと
思いますが、努力していると思っている段階で、夢中になっている
人にはかなわないのは事実なのだと思います。

仕事でも、遊びでも、お稽古ごとでも同じだと思うのですが、努力
していると考えている時点でスタートラインが違うのだと感じて
います。

銀座柳画廊でお世話になっている、画家の岡野博先生が‘からっぽ
になることの大切さ‘をよく教えてくださいます。このからっぽな
状況というのは、即ち、夢中になっている状況なのだと思います。

その、からっぽ(夢中)になってい状況であれば、自由になれるし、
多くのものが入ってくるし、そして自分の個性がもっとも強くでる
状況なのだとおっしゃいます。そして、その状況で生まれた絵画は
最初は、良い絵なのかどうかも判断できないものだと先生はおっしゃ
っておられます。

スポーツも同じなのだと思います。あそこにボールをパスして、シュ
ート するんだと思って、その結果が得られた時には、大きな喜びが
ありますが、計算している時点で既に遅いのだと思います。やはり、
多くの人が感動する神がかったプレーというのは、無意識の中から生ま
れるものであり、その結果について、最初はまわりも判断できないもの
なのだと思っています。

ビジネスについても同じです。計画して、実施してPDCAを回して結果を 
得るものは、日本人が得意な改善という世界で無駄を省いて効率を上げ
る仕事なのだと思います。会社全体を大きく成長させる施策というのは
非連続的なものであり、クリエイティヴなものであると思います。
そういう仕事というものは、努力の先にあるものではなく、会社がピンチ
に襲われた時とか、会社の外から持ち込まれた案件など、あがきもがいて
いる時に、ふと生まれてくるのだと思います。会社の場合は、その大きな
金の卵を産むような仕事を得るために必要なことは、多様性を担保する事。
同質な人間ばかりの意見を聞いていては、違う視点は生まれてきません。
会社ではお煙たがれているような人のアイデアを聞いてみたり、経営者が
夢中になって耳の痛い意見を聞くことから全てが始まるのだと思っています。
                         
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
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2021年10月09日
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       今の美術業界を考える(その889)

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修羅場のケーススタディ        2021年10月9日
令和を生き抜く中間管理職のための30問
                   木村尚敬 著 PHP出版

 著者とご縁があり、拝読させていただきました。私も経営者の
 立場であるとはいえ、社長の意向を無視して仕事を進めることは
 できませんので、中間管理職としてこの本を読ませて頂きました。

 「本当にヤバい時」あなたはどうするか?という出だしで始まる
 この本は、全体を通して大きな企業の中間管理職を意識されている
 ようで、常に「社長になったつもりで経営判断をすべし」とアド
 バイスされています。

 今は、どんな大きな企業であっても、環境の変化が激しいために、
 現場で様々な判断をしていかないと、ビジネスがまわらなくなって
 います。さらに、世代間での考え方の違い方は、非常に大きく、
 これからはコロナ禍で大学にもいかずにオンラインで学校を卒業
 する学生たちが企業で働くようになりますので、その価値観の違い
 からくる軋轢は容易に想像ができると思います。

 この本で、私が特に共感したのは「リーダーは怒ったら負け」とい
 うくだりです。人の上に立つ人間は、怒りの感情を演技として使う
 のであればよいけれど、ただ感情をぶつけるためだけに利用すると
 人はついてこないということです。実際に、恐怖政治が長続きしない
 ことは歴史が証明しておりますので、怒りのコントロールは非常に
 重要だと思います。

 また、私も経験したのが人手不足で八方ふさがりのプロジェクトで、
 どのように対処するかという問題です。ここで、ありがちなのは、
 「自分がやる」のは最悪の選択であり、抱え込むのが大きな問題を
 産む温床です。こういう場合は、手を尽くして組織のリソースを引
 きだすのが正解ということで、小さな組織でもよくある問題です。
 
 また、この著書にも書いてある通り、最後に優秀な人材は誰かが見
 ているもの、とあるように、大きな組織であっても、小さな組織であっ
ても、一生懸命働いていれば、必ず見ている人はいるものだと思います。
そもそも日本人は「どの会社に勤めているか」ということにアイデンティ
ティを置く方が多く、自分は何ができるかをクリアにしていないとの事
です。

つまり、これから働いていくためには、常に自分は起業する覚悟で働いて
いれば怖いものは何もない。また、これからは倒産した企業で働いていた
人は、逆にその経験が貴重なキャリアにもなるということでう。全ての
仕事は自分のキャリアアップにつながると、自分を信じて働くことなの
だと思います。
 
                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
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2021年10月02日
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       今の美術業界を考える(その888)

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巨匠の偽版画事件           2021年10月2日
          
 新聞、TVなどでも報道されている通り、平山郁夫、東山魁夷、片岡
 珠子らの絵画を基にした版画の偽物が大量に流失した事件で、大阪
 の画商さんと、版画工房の経営者が逮捕されました。

 9月28日の日経新聞にも大きく取り上げられておりましたが、
 この事件は、「性善説」を前提に充分な不正対策を講じてこなかっ
 た業界の課題と書かれておりますが、その通りだと思います。

 27年前に、IT業界から美術業界に入った私は、あまりの常識の
 違いに驚きました。それは、性悪説から入るIT業界と、性善説から
 入る美術業界の根本的な考え方の違いなのだと思います。IT業界
 も、素晴らしい方や尊敬する方にも多くお会いして参りましたが、
 ネット上だけのつきあいや、ステークホルダーが多岐にわたり、
 顔の見えない方とのおつきあいが多いために、性悪説から入らな
 いとビジネスにならないのです。

 方や、美術業界は非常に規模も小さく、狭い人間関係の中で行われ
 ているために、顔の見える関係性の中で仕事をしているので、性
善説がまかり通ってきているのだと思います。今回の問題に関しては、
東京美術倶楽部が、鑑定作家に関しては版画であっても真贋の証明書
を発行するとのことですので、ご心配な方は、東京美術倶楽部の会員
の画廊にお願いして、真贋をはっきりさせるのが安心かと思います。
銀座柳画廊も東京美術倶楽部の会員です。それなりに費用はかかりま
すが、、、、

美術業界の発展のための成長痛の一つだと私は思っています。おれおれ
詐欺が流行する日本ですから、こういう事がおこるのだと思っています。
 
 美術の世界で生き残るためには、審美眼を持つことと、品性を持つこ
 とだと私は思っています。その品性の部分が、今の美術界では揺らいで
 いることを感じています。もっといえば、世界的に現代アートの世界で
 品性を感じることが少なくなりました。
 ビジネスの世界では、お金が指標となり、画廊という仕事であっても、
 株式会社で運営している限り、お金を稼いでいかなければ継続すること
 は出来ません。苦しい状況から、偽版画を作るという犯罪に走って
 しまったのだと思いますが、具体的には知らなくとも、あの画廊は少し
 怪しいということは多くの画廊は知っており、その近くで甘い汁を吸った
 業者さんたちもいらっしゃったのだと思います。

 公の機関で通報できる仕組みがあり、通報した人を守る仕組みがあれば
 これほど大きくならなかったのだと思います。コロナでも同じですが、
 正直者が馬鹿をみる社会は、変えていきたいと思っています。
                         
                       文責  野呂洋子
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2021年09月25日
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       今の美術業界を考える(その887)

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日本人の精神構造           2021年9月25日
          
 日本人の精神構造は、非常に複雑です。それは、隠す文化からくる
 もので、戦後の正しい情報を知らないために、想像するしかないから
 だと思っています。

 正しい情報を持っていないため、お隣の中国や韓国の反日教育に対
 して、反論が出来ないどころか、何も言えなくなってしまうために、
 沈黙すると、相手を肯定していることになってしまうのが非常に
 残念です。

 また、正しい情報を持っていないという事から、思考を停止して
 しまう大人が多いために、大人であっても幼児性の強い社会が出来
 あがっていると感じています。また、不思議なことに日本では、
 精神的に幼児性の強い社会を肯定している所から、アニメ文化を
 始めとしたサブカルが強いのだと思います。

 そもそも、‘おれおれ詐欺’というのが社会的に成立するのは日本
 くらいだと他国の方からはよく言われます。おれおれ詐欺にあって、
 警察が守ろうとするのは、日本くらいであり、基本的に世界の常識
 は騙される方が悪いのです。

 ‘私は、こんな手口で騙されました’という事を公表すること自体が、
海外では大きなリスクであり、自分は騙される人間であることを社会に
ご披露するようなものだと思います。

 かつて私がIBMという企業で働いていた時に、上司にアメリカ人がつ
いた時があり、その時の上司が次のようなことを言いました。
「社内であっても、騙されたり、人から仕事を押し付けられることは
よくあることだ。でも、それを決して他人に言ってはいけない。何故
ならば、お前は騙しやすく、俺の仕事を代わりにやってくれるお人よし
であることを、わざわざ教えてあげることになるからだ。」

いかにもアメリカ人らしく、その彼もとても親切でお人よしの性格だ
 ったのを覚えています。慣れてしまうと、それが居心地がよくなる
 わけですが、それでは世界では通用しないことを覚えておかなければ
 いけないと思っています。

 世知辛い世の中だと思われるかもしれませんが、自立していくという
 ことは、そういう事なのだと思っています。
                         
                       文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
03-3573-7075
 


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