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2009年11月14日発行
柳画廊

『NY出張報告2009』

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        今の美術業界を考える(その297)

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 NY出張報告2009                     2009年11月14日

久し振りにNYにやってまいりました。今回は社長が日本で仕事が入りました
ので、初めて私ひとりのNY出張です。基本はオークションへの参加ですが、
NYのオークションから欧米の市場動向を肌で感じることと、NYに住んでいる
友人たちとお会いして、アメリカの空気を読み取ろうと思います。また、こういう
次期にわざわざNYまでくるのは、余裕のある画商さんしかきませんから、
その人たちと親しくなるのも大切な事だと思います。

さて、今回のセールは明らかにサザビーズの圧倒的有利な状況でした。
そもそもオークションは出品作品をどれだけ集められるかが、セールの結果を
左右するものですから、数にしても質にしてもサザビーズに集まりました。
我々、画商は取引先の立場ですから、私たちの立場からものを言うと、もう少し
バランスをとって欲しいというのが本音です。何故ならば、1社のオークション
ハウスが強すぎると独禁法ではありませんが、市場をコントロールできる立場
になってしまうので、競争原理が働くなり、顧客の立場が弱くなるからです。
そういう意味において、頑張れ!クリスティ─ズ!!といいたくなるセールでした。
そうはいってもリーマンショックの前とくらべれば、作品の数は激減しております。
しかし、価格が暴落しているかといえば、底固くて一部の作品は値上がりを
しているようなものもちらほらあります。
久し振りにNYのセールにきて感じるのは、日本のオークションでは1000万円
を超える作品がメインセールで数点で、小さなオークションでは皆無です。
ところがここNYではメインセールでは基本は億単位のものでセールが行われ
デイセールというサブオークションですら基本は1000万単位で億以上のものも
ちらほら出品されています。ですから、日本の画商も顧客もここNYでは小さく
なっているのが実情で、日本の経済力が世界の中で相対的に小さくなっている
のを肌で感じます。銀座柳画廊の参加している印象派のオークションでは
中国人はほとんど見られません。やはり、欧米人を中心にロシア人がちらほら
混じっており、日本の画商もちらほらいる程度です。
オークションというのは金融業だと思います。何故ならば需要と供給によって
価格が決まるシステムであり、そこに芸術性うんぬんという指標は入りません。
扱う人たちがそれを語ることはあっても、現場でそのようなやりとりをする間は
ありません。今回のセールの結果だけを見れば、NYの景気は戻ったのかと
思われます。きっと、お金を持っている人からすれば欲しいものが出れば
買うのでしょう。そして、美術品市場が他の商品と比べて市場が小さく、
作品に希少価値があれば購入者もでてくるし、値段も上がるのだと思います。
日本ではあまり知られていない、シダネルや、アンリマルタンなどが高くなって
きていても、それを理解して購入していく日本のお客様がいないのが
なんだか、とても残念です。




                                 文責    野呂 洋子



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