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2022年01月08日発行
柳画廊

『M式「海の幸」』

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       今の美術業界を考える(その908)

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M式「海の幸」             2022年1月8日
森村泰昌 ワタシガタリの神話 Artizon Museum 1月10日まで
                   
 駆け込みで日本橋のArtizon Museumで開催している M式「海の
 幸」を拝見して参りました。この展覧会は、石橋財団がジャム
 セッションといって、石橋財団コレクションと現代美術家との
 共演となります。

 その2回目のジャムセッションとなる今回の展覧会は、現代美術家
 の森村泰昌が、石橋財団所蔵の青木茂の「海の幸」の作品について
 の考察を、森村氏の作品を通じて表現し、最後は青木繁に扮した森村
 氏が青木繁に語り掛ける18分にもおよぶ映像を上演されておりまし
た。

 非常に面白い取組だと思いました。芸術というのは、作品と鑑賞者
との間に行われる対話に価値があると思っておりますが、芸術家同士
の対話を作品に仕上げるという取組が、とてもおしゃれというか本質
的な取組だと思います。

 青木繁の「海の幸」という作品は私達の世代にとっては、学校の
 美術の教科書にでてくる作品であり、明治という時代は西洋絵画が
 日本に入ってきて、西洋文化の思考法により絵画を制作することを
 日本人が始めた時期でもあります。
 
 森村泰昌さんは、著名人に扮して自画像写真を撮ることで有名な作家
 でありますが、青木繁を研究し、青木繁になりきって、青木繁に語り
 かける18分の映像、「ワタシガタリの神話」は圧巻でした。
 森村さんの青木繁へのオマージュだと思うのですが、あの映像を
 拝見するだけで、青木繁という作家がどういう人で、何を目指されて
 いたのかがわかるように思います。

 青木繁という作家が、明治という時代に生まれて28歳という若くし
 てなくなりその短い生涯において、多くの作品を残し、同時代に生き
 た作家たちに大きな影響を与えていたのがわかります。また洋画家の
 坂本繁二郎とは小学校の同級生であり、終生の親友だったようです。
 青木繁の代表作の「海の幸」に対する考察も、森村泰昌氏の独特の作品
 解釈やコメントも、芸術家ならではの面白いものでした。この石橋財団に
 よる、しゃれた企画は石橋コレクションの厚みを増すもので、美術鑑賞
 をより楽しくする素敵な試みだと思います。

 近代美術を、より深く楽しませて頂き有難うございました。
                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
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