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2022年04月16日発行
柳画廊

『鏑木清方展』

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       今の美術業界を考える(その922)

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鏑木清方展              2022年4月16日
没後50年        5月8日まで 東京国立近代美術館
                      
 土曜日の朝一番で、竹橋の東京国立近代美術館で開催している
 鏑木清方展にいって参りました。鏑木清方の作品は色々な所で、
 拝見しておりますし、銀座柳画廊でも扱ったこともあり親しみの
 ある作家です。また美人画を描く作家として認識しておりました
 が、今回の展覧会を拝見することで、鏑木清方作品の見方が大きく
 かわりました。

 やはり、売り物として作品を拝見するのと、美術館の個展として
 作品を拝見するのでは大きな違いがあります。改めて、鏑木清方氏
 の人となりを、音声ガイドやカタログから情報を得ることで、深く
 作品を理解できるようになったと思います。

 以前、鎌倉にある鏑木清方記念美術館にロータリークラブの仲間と
 伺ったこともあり、もともとお住まいだった場所が神田から京橋界隈
 であり、作品も明石町、新富町、浜町、木挽町と私が長年親しんで
 いる地域を題材に描かれていることも、非常に親近感を覚えました。

 さらに、本を読むことがお好きで、24歳の頃から縁あって泉鏡花の
 作品の口絵を手掛け、さらには樋口一葉の‘たけくらべ’を好み、
 何度も読んでいたというです。

 また、鏑木清方といえば、美人画ということで有名ではありますが、
 ご本人は、その当時の生活風景を描きたかったということです。明治
 に生まれ、大正、昭和を生き、関東大震災や戦争などの経験もされ
 た清方は、絵を通して、時代時代の市井の生活を表現したかったの
 だそうです。

 私自身も昭和に生まれ、平成、令和という時代に生きていて感じる
 のは、生活様式や常識が変わっていく様子を自分の感性を通して
 何か残したいという思いはよくわかります。‘なんでもない一瞬が
 なによりも美しい‘という言葉は非常に共感しています。
 先週、伺った府中市美術館にも通じているのですが、日常というか普通
 であることに対する愛おしさを、鏑木清方の作品から感じ取る事ができ、
 芸術というと、日本人にとっては岡本太郎や、ピカソのように奇抜である
 ことを求める風潮があるように感じますが、実は、普通であることや、
 なんでもない日常というものが、いかに貴重で大切なものであるか、今
 一度、心に留めたいと思っています。

 特に、ロシアとウクライナで起こっていることは、他人事ではなく、
 私達日本人が平和ぼけしないためにも、平和であることや日常生活の
 大切さを、関東大震災や戦争を経験された鏑木清方先生は訴えたかった
 のではないかと私は感じています。
 
                         
                      文責  野呂洋子
                       銀座柳画廊
                       http://www.yanagi.com
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